日焼け止めといえば、夏の必需品となっていますよね?
でも実は、紫外線は、一年中降り注いでいるので、夏に限らず、紫外線防止対策は必要なのです。紫外線の怖さやさまざまなトラブルなども、最近ではいろいろと問題になっているので、気にしている方も、男女問わず多くなってきています。
しかし、日焼け止めの種類はとても多く、何を使用したらいいのか?迷ってしまうことでしょう。あなたにピッタリの日焼け止めを見つけることができるように、紫外線のこと、日焼け止めの事、SPFのこと、少し掘り下げてお伝えしていきます。
目次
1.SPFについて理解をしましょう
1-1.日焼け止めのSPFとは
1-2.覚えておくと為になる!紫外線の種類
1-3.SPF値の選び方ー自分に合う日焼け止め
1-4.SPF30?SPF50?SPF100!? 日焼け止めのSPFは高ければ高いほどいいの?
2.PAについてしっかり理解をしましょう
2-1.PAの本当の意味
2-2.PAには段階があります
3.なぜ?日焼け止めが紫外線を防ぐメカニズム
3-1.日焼け止めの主な内容成分について
3-2.日焼け止めが紫外線を防ぐしくみとデメリット
4.紫外線ってこんなに怖いんです!
4-1.なぜ肌が黒くなる?日焼けの原理
4-2.シミだけじゃない!紫外線による肌トラブル
4-3.怖い!!紫外線による健康被害あれこれ
4-4.気をつけて!紫外線による子供への影響
5.市販の日焼け止めについての効果や注意点
5-1.日焼け止めにも種類がいろいろあります
5-2.安心&安全?日焼け止めの肌への影響
5-3.敏感肌のための日焼け止めの選び方と注意点
5-4.日焼け止めをより効果的に使用するための方法
6.まとめ
1.SPFについてしっかり理解をしましょう
1-1.日焼け止めのSPFとは
日焼け止めに、必ず表記している「SPF」という文字、この意味は紫外線防護指数のことを表し、サンプロテクションファクターの略のことです。紫外線UVB波を浴びた時に、肌が赤くなるまでの時間を示す指数の事で、SPF-1が約20分くらいの目安となっています。そのため、SPF-30の表記がある場合、20分×30=600分(10時間)という事になるので、10時間の間、紫外線UVB波を防ぐという事になります。
しかし、注意をして頂きたい事は、肌が赤くなる時間というのは、肌質や人種などで個人差があります。色白の方でしたら、15分くらいで赤くなる場合もりますし、比較的色が黒い方でしたら、25分くらいは大丈夫だったりするので、個人によって、多少のズレがある事を考慮しておいてください。
また、この指数には見落としがちな落とし穴があります。この数値を調べる際の方法ですが、1平方センチメートルにつき、2mgの日焼け止めを塗布して調べた結果となっていますので、実際の所、そんなにたっぷりの量は塗りませんし、汗や皮脂、化粧などで崩れてしまう事を考えると、実はそんなに長い時間は効果がありません。
じゃあ、SPF値の高いものを、たっぷり塗ればいいじゃない・・・!って、思われるかもしれませんが、数値が上がれば、それだけ肌に負担もかかりますので、必ずしもベストとはいえないのです。肌質や状況に合わせて、選ぶ事がとても大切となります。日焼け止めの選び方は、1-3にて詳しくお伝えしますので、SPF値の解釈の仕方として、まずは覚えておいてください。
1-2.覚えておくと為になる!紫外線の種類
紫外線には種類があり、なかには人体や肌に重大な影響を及ぼすものがあります。紫外線は太陽から届く光の中で、もっともエネルギーが高く、波長も短い光です。波長によって、UV-A、UV-B、UV-Cの3つに分類され、それぞれに特徴があり、波長が長いほど、影響は大となります。
UV-A
もっとも波長が短い光で、肌の深部まで到達する力を持っています。そのため、肌の真皮に影響を及ぼし、コラーゲンやエラスチンを破壊し、たるみ、しみなどの老化の原因のものとなります。また、ガラスや雲なども通過してしまうので、日差しが強くなくても、肌へ影響を与える事ができます。
UV-B
主に肌を赤く炎症(やけど)や水ぶくれを起こす力を持っています。日焼け後に肌が黒くなるのも、このB波の影響によるものです。表皮内の細胞遺伝子や細胞膜を破壊し肌を炎症させ、メラニン色素を増やし、シミや色素沈着を起こします。また、細胞を破壊する事から、皮膚ガンや白内障その他の細胞を変異させるような病気の原因となります。UV-A波に比べて、地上にはごく一部しか届いてはいないのですが、肌や人体に受ける影響は、すさまじく、有害性は1000倍近くはあると言われています。
UV-C
波長が一番長い光で、もっとも有害と言われていますが、現在はオゾン層の影響で、地球上には届いてはいません。しかし、さまざまな環境破壊問題などで、近い将来UV-C波も地球に届く日が来るかもしれません。とても恐ろしい事です。
1-3.SPF値の選び方ー自分に合う日焼け止め
自分にあった日焼け止めを選ぶには、肌質やライフスタイルによって、選ぶ事が大切です。また必ずしも1本だけではなく、状況や部位によって使い分けをしても良いでしょう。SPF値が高ければ確かに、紫外線を(UV-B)防ぐ力は高くなりますが、そのぶん肌への負担が強くなりますし、クレンジングの際に、日焼け止めをキチンと落とす事も大変になります。
【タイプ別日焼け止め SPF値の選び方の目安】
外出をほとんどしない |
主婦、在宅ワーカーなど |
SPF10〜25 |
1日1回以上短時間外出 |
通勤時のみ、子供の送り迎え |
SPF20〜30 |
頻繁に外出 |
屋外や外まわりの仕事 |
SPF30〜50 |
レジャーやアウトドア |
海、山など |
SPF30〜50 |
敏感肌の方 |
肌が弱い |
SPF10〜25 |
選び方の基本として、まずはライフスタイルを考えます。
主婦の方などで一日中家にいるのがメインの場合でも、ベランダや庭に出たり、ちょっとした買い物に行かれる事もありますので、SPF30以下の日焼け止め、SPF15〜20くらいのものの低いSPFを常用として使用し、外出の日にSPF30のものをプラスされると良いと思います。
ただし、お子様がいらっしゃって、公園などに頻繁に行かれる方は、SPF30を常用でも大丈夫です。お子様にもお子様用の低刺激のものを塗ってあげると良いですね。
会社勤めなどで、毎日出かけられる方は、SPF20〜30のものを選びますが、外に出る事が多いお仕事の方の場合は、SPF30〜50を選んでも良いでしょう。日焼け止めは、汗をかいたりして、時間が経てば、効果が薄れていきますので、こまめに塗り直すことが、効果を出すためには必須となります。汗などをきちんとふき、肌を清潔な状態にして、2〜3時間おきに重ね付けをします。
また、行楽などで、海や山などに行かれる際は、汗や水に強いタイプ(ウォータープルーフ)を選び、SPF30〜50を選ぶようにします。そして、お顔用とボディ用も分けた方が、使用感などが違うので、塗りやすいと思います。特にお顔に関しては、日焼け止めの上から、下地、ファンデーションと重ねると思いますが、化粧クズレしにくいタイプのものや、肌質をきれいに見せてくれるものなどもあり、おススメです。
1-4.SPF30?SPF50?SPF100!? 日焼け止めのSPFは高ければ高いほどいいの?
最近の日焼け止めは、SPF50はおろか、SPF100なんていう高数値もあります。ですが、先のご説明通り、数値が上がれば、それだけ肌に負担もかかります。高いものを選べばいいというわけではなく、こまめに塗ることの方が日焼け対策には大切なことです。
●落ちない!
●くずれない!
●汗や皮脂に強い!
●長時間の効果!
●高いSPF値!
●白浮きナシ!
このようなキャッチフレーズのものほど、安心安全とは言えません。確かに理想的ではありますが、これが真実であればあるほど、肌に負担にかかるダメージは大きいものになるのです。実は、肌に優しく、安心安全な日焼け止めという観点からみれば、このことが全て揃っていないものの方が、理想的とはいえます。しかし、市販されているもののなかで、パーフェクトのものを選ぶのはなかなか難しいのが、現状です。では、いったいどうしたら・・・??
(1)できる限り高いSPF値でないものを!
(2)できれば紫外線吸収タイプではないものを!
(3)できる限りシンプルな成分で作られているものを!
この3代要素がカギ!となりますので、頭に入れて、少しでも安心できる日焼け止めを選びましょう。
2-1.PAの本当の意味
PAとは・・
プロテクショングレードオブUVA(Protection Grade of UVA)の略で紫外線UV-A波の防御力を示すものです。
UV-A波とは、地上に届く紫外線の9割以上を占めています。肌への影響として、深部まで浸透しますので、たるみやしわといった光老化の元となっています。そのため、日焼け止めには紫外線UV-A波とUV-B波を防ぐ為に、SPF値とPA値の記載があります。特にUV-A波を防ぐ為のPA値は2013年に改正され、4段階の表記となっています。
2-2.PAには段階があります
PA値は4段階で表されており、+が増えるほどに防御力が高まります。
(注1:下記表のUVAPFとは世界基準のUVA防御指数の事)
PA+ |
UVAPF2〜3 |
UVA防御効果がある |
PA++ |
UVAPF4〜7 |
UVA防御効果がかなりある |
PA+++ |
UVAPF8〜15 |
UVA防御効果が非常にある |
PA++++ |
UVAPF16以上 |
UVA防御効果が極めて高い |
一般的に、日焼け止めにはSPF値と比例してPA値もバランスをとってあるため、PA値ばかり意識して、選ぶ必要はありませんが、紫外線を防ぐという事は、UV-A波とUB-B波の両方を防いでいるという事になりますし、どちらも防ぐ事が重要という事なのです。
3.なぜ?日焼け止めが紫外線を防ぐメカニズム
日焼け止めには大きく分けて2種類あり、紫外線を散乱させて防ぐタイプのものと、紫外線を吸収して防ぐタイプのものがあります。
【紫外線散乱剤】主な内容成分は・・・
別名「二酸化チタン」イルメナイトというチタン鉄鋼を細かく粉砕して作られる。最近では超微粒子化(ナノ化)されたものも開発されており、肌へのなじみが良く、白浮きしないものも作られてはいるが、肌への安全性においては、まだ確実性はわかっていない。日焼け止めの他に、ファンデーションなどにも多く使用される成分。
また、酸化チタンは、酸素中で光を当てる事により、活性酸素が発生し、肌を老化させる事がわかっていますが、化粧品には「ルチル型」といわれる活性酸素を発生しにくいもので、さらに表面をコーティングすることにより、安全性を高めているものを使用しています。とはいえ、人体に無害という訳ではありません。
化粧品には白色顔料として、使用されており、(おしろいなど)保護作用、弱い防腐作用などがあります。このような特性から、日焼け止めの他に、デオドラント製品などにも良く使用されています。酸化チタンに比べ、活性酸素の発生は少なく、人体への害も低いと言われています。
【紫外線吸収剤】主な内容成分は・・・
薄黄色から黄色の粉末状簿成分で、油にやや溶けるが、水分やアルコールには溶けない性質。化粧品基準(注2)では、全ての化粧品に配合の制限がある成分に分類となっている。UV-Aを唯一吸収する成分。
(注2:化粧品基準とは、化粧品へ配合する成分に関する基準を定めたもの)
独特の香りと粘り気があり、淡黄色の液体。油溶性で、水には溶けない。テクスチャーの改善のために使用されているシリコーン油と相性が良いため現在最も多く使用されている成分。UB-Bを吸収する。化粧品基準では、化粧品の種類により制限される成分の分類となっている。
白〜淡黄色の粉末、油溶性で水には溶けない。SPF値が高いものに良く使用される。UV-A、UV-Bどちらとも吸収する。化粧品基準では、化粧品の種類により配合が制限される成分の分類となっている。
このように、日焼け止めには2種類のタイプがありますが、どちらといえば、紫外線散乱剤のタイプの方が、肌への負担が少ないと言われています。しかし、効果面を考えると、吸収剤の方は高い場合もあるので、ライフスタイルや状況に合わせて選び、使用した後に、日焼け止めが、肌に残らないようにキチンと落とす事が大切なのです。
3-2.日焼け止めが紫外線を防ぐしくみとデメリット
紫外線を防ぐしくみは、大きく分けて2つあります。
3-1に記載したように、紫外線を散乱させて防ぐ方法と、吸収して防ぐ方法があることはわかりましたが、いったいどのようにして、紫外線から肌を防いでいるのでしょうか?
【紫外線散乱剤】の場合
主に白色顔料などの成分の粒子による、その名のとおり、紫外線を反射し散乱させ、肌へ紫外線を浴びさせないようにしています。散乱剤に配合されている酸化チタンや酸化亜鉛の粒子は光を反射させる働きがあるので、その特性を利用しています。
化学変化などをさせたり、有機化合物ではないので、肌に比較的には、負担がかかりにくいと言われています。また、錯乱剤そのものにも、無理がかからないため、長時間効果を持続させる事ができます。そのうえ、波長も選びませんので、UV-A、UV-Bどちらにも対応可能です。
紫外線錯乱剤のデメリットとしては・・
◎肌が白浮きしやすいので、白っぽく目立つ
◎塗布する際に伸びが悪く、塗りにくい
このようなことがありますので、SPF値が高いものには、組み合わせて配合されている事が多いのです。
しかし、ナノ粒子化(注3)して使用される事により、デメリットが改善される事もありますが、ナノ粒子化されてしまうことで、粒子が細かくなりすぎてしまい、肌のバリア機能(注4)を通過して,肌深部まで入ってしまうため、悪影響があるのでは?という心配もあります。
(注3:ナノ粒子化とは、物質をnm(ナノメートル)単位の粒子にしたものの事。主に1〜100nmくらいのものを示す)
(注4:バリア機能とは、皮ふが外的刺激からの水分蒸発を防いだり、異物を侵入させない為のしくみのこと)
ただし、酸化チタンに関しては、さまざまな実験の結果、ナノ粒子化されていても、角質層までしか、浸透しない事は確認されていますが、その他の動物実験などでの、皮下組織への注射や呼吸器から入り込んだ場合の安全性については、まだ不明な点が多いので、今後注意は必要です。また、酸化チタンや酸化亜鉛には※注5 光培養効果があるので、住居などの壁材などのコーティングに使われることが多く、このようなものが肌に長時間触れるという事は、あまり好ましいとも言えないのも事実なのです。
いずれにしても、化粧品に使用される酸化チタンの場合は、光培養効果(注5)が低いタイプのものを使用しているので、そう心配はいらないのですが、粒子が細かくなればなるほど、さらに光培養効果が高まってしまうので、酸化チタンの表面にコーティング加工などをして、安全性を高めているものが多くなっています。
(注5:光培養効果とは、太陽光などのに光を浴びる事で、強力な酸化力が生まれ、接触してくる有機化合物や細菌などの有害物質を除去する効果のこと)
【紫外線吸収剤】の場合
こちらのタイプは、紫外線をみずからが吸収して、取り込んでしまい、分子構造のなかに、含んでいる有機化合物を利用して、化学変化を起こさせる事で処理をしてしまうという原理で、紫外線を防止しています。
もう少し簡単に説明をすると、みずからが取り込んだ紫外線を熱や赤外線に変化させて、放出をおこなったり、分子構造を一時的に変化させたりすることで、エネルギーの無駄遣いが行われます。このように紫外線を違う方向へと無駄遣いする事で、肌に影響を与えないようにしているという訳です。
しかし、化学変化を起こさせるのも、時間が経ち過ぎると壊れたり、取りこぼれるものが出てきてしまいます。そのため、繰り返し日焼け止めを、塗り直す必要があるという事なのです。
紫外線吸収剤は、ほとんどが無色透明で、テクスチャーも軽い為に、白浮きもなく肌馴染みも良く、塗布する際もとても滑らかとなっています。そのため、紫外線散乱剤と組み合わせて使う事で、SPF値も高くする事ができ、効果と使用感にすぐれた日焼け止めを作る事ができます。
紫外線吸収剤のデメリットとしては、
◎配合量が規制されているので、吸収剤のみを使用しての日焼け止めの場合に関しては、あまり効果が高いものが作れない。
◎特にUV-Aに対しては、防ぐ効果が低い。
◎有機化合物を使用しているため、肌に負担がかかりやすいので、敏感肌や子供には向かない場合がある。
◎化学変化の際に、吸収剤が違う物質に変化した際の安全性が明確ではない。
このように、タイプによってそれぞれ特徴がありますので、ライフスタイルや肌質などで、選ぶ事が好ましいでしょう。タイプ別の人気商品の例は、5-1.日焼け止めにも種類がいろいろありますにて、詳細をお伝えしています。
4.紫外線ってこんなに怖いんです!
4-1.なぜ肌が黒くなる?日焼けの原理
紫外線を浴びる事により、表皮内の基底層部分にあるメラノサイト(色素細胞)が活性化され、メラニン色素を作り出します。メラノサイトは、紫外線のエネルギーの影響を受ける事により、蓄えているチロシン(注6)からメラニン色素を作り出します。(注6:チロシンとは、多くのたんぱく質に含まれるアミノ酸。メラニン色素の原料。チロシナーゼ酵素により化学反応が促進される)
生成されたメラニン色素は、枝状になっている細胞を伝わり、すぐ上のケラチノサイト(角化細胞)に移動し、細胞核の周りに蓄えられていきます。メラニン色素の生成に関係するのは、UV-B波の影響ですが、色素自体を褐色化させるのはUV-Aの働きによるものです。メラノサイトで作られたメラニン色素は、最初は薄いピンク色をしていまますが、UV-Aを浴びる事により酸化が進むため、やがて褐色化されていきます。
紫外線を浴びた時間や量、またもともと肌色やメラノサイトの量などからも、褐色化の度合いは変わります。
このように、肌全体が褐色化してしまう状態の事を「サンタン」といい、それ以上に、日焼けが進んでしまった状態で、赤みや水ぶくれなどの状態を「サンバーン」といいます。サンバーンの状態になってしまうと、単純な日焼けとは言えず、火傷をおった状態と同じなので、大変危険です。
4-2.シミだけじゃない!紫外線による肌トラブル
光老化はとても恐ろしく、シミ以外にもさまざまな肌トラブルを引き起こします。紫外線による肌トラブルといえば、最初にシミを思いつくかもしれませんが、それ以外にもさまざまな害を及ぼす事がわかっています。紫外線というのは、容赦なく皮フの深部にも入り込んできます。特にUV-Aに関しては、ガラスを通過するために、家の中にいても、知らず知らずのうちに、紫外線を浴びてしまい、ジワジワと光老化を促進させる事となります。
皮ふの深部、特に真皮層には、肌の弾力を保つ為のコラーゲンやエラスチンなどどいった繊維組織が多く存在します。それらの細胞組織を紫外線は破壊してしまうのです。そのため、肌は弾力を失い、たるみやしわ、などが現れていきます。その他にも、肌の水分量をどんどん奪いますので、乾燥を促進し、さらにカサカサとなるうえ、乾燥状態が長く続くと、肌はどんどん敏感肌へとなっていきます。
また、紫外線を浴びる事により、角化(注7)異常を起こし、角質が厚くなり、硬く厚ぼったい肌へとなりますし、古い角質が表面に溜まる事で、透明感がないくすんだ肌へと変化していきます。(注7:角化とは、表皮のターンオーバー(生まれ変わり)のことで、新しく作られた角質が徐々に、皮ふ表面に押し上げられて、最終的にはがれ落ちる過程を表す)
このように、紫外線による肌へのトラブルは、悪い事ばかりなので、できる限り紫外線は防いだ方が懸命です。日焼け止めはもちろんですが、日傘、帽子、UVケア効果のある衣類などにも気をつけ、日が射していないとか、家にいるとかなどのうっかり日焼けを防ぐことにも、気をつけましょう。
4-3.怖い!!紫外線による健康被害あれこれ
紫外線は肌以外にも、さまざまな健康被害をもたらします。
【皮膚がん】
UV-Bによる影響が大きいと言われています。紫外線を長時間や大量に浴び続ける事によって、細胞組織が破壊されます。特に細胞遺伝子への影響が大きく、傷ついたままの遺伝子がそのまま細胞分裂を起こす事により、間違った遺伝情報が伝達されてしまい、突然変異を起こし、皮ふがんの発生の原因となります。
特にもともと、メラニン色素の少ない肌質のかたほど、この影響を受けやすいと言われているので、色白の方やすぐ赤くなりやすい方などは、特に注意が必要です。
【白内障】
白内障は、水晶体と言われる部分が何らかの原因で白く濁り、視力が落ちたり,視野が狭くなるなどの症状が現れる目の病気です。
水晶体は、水とたんぱく質でできており、紫外線による光も吸収しやすくなっています。そのため過度の紫外線を浴びる事で酸化し、症状が悪化します。加齢などの悪条件も重なる事で、最悪の場合は,失明する事もある怖い病気です。
特に紫外線UV-Bの影響によるものとされています。※その他にも、雪眼炎(せきがんえん)翼状片(よくじょうへん)加齢性黄斑変性(かれいせいおうはんへんせい)などの病気も起こります。
【紫外線アレルギー】
紫外線を多く浴びすぎる事で、紫外線の抗体が体内にできます。その結果アレルギーとなり、さまざまなアレルギー症状が現れてしまいます。(日光過敏症、日光性皮膚炎などといわることもあります)アレルギー症状は、ある日突然に現れる事も,珍しくなく、湿疹や赤み、かゆみ、腫れなど、皮ふにさまざまな症状がでてきます。一度アレルギーが起きてしまうと、治す事はなかなか難しくなります。
【免疫力の低下】
人間にはもともと、免疫機能が備わっているのですが、紫外線を浴び続ける事によって、免疫機能の低下が現れる個こともあります。その結果さまざまな病気の発症や体質が変化するなどの症状が出てきます。ウイルス感染しやすくなったり、風邪を引きやすい,治りにくい、疲れやすい、だるい、ヘルペスなどの疾患が現れる・・・など、さまざまな症状が現れていきます。
4-4.気をつけて!紫外線による子供への影響
一生のうちで浴びる紫外線の半分の量は、18歳までと言われています。それくらいに、子供は紫外線を浴びる機会も多く、また大人に比べて、肌も薄く抵抗力もないので、影響を強く受けます。
特に幼い頃に多く紫外線を浴びてしまうと、大人になってからの皮ふガンの再生率もかなり高くなりますし、免疫力の低下などから、体力の低下、さまざまな病気などの発生へのリスクが高まります。現在では、オゾン層の破壊などの環境問題からも、紫外線の子供への害については、世界的に問題になっており、さまざまな対策や取り組みも起こっているようです。
■紫外線.COM/子供の為の紫外線対策協会 http://www.shigaisen.com/
■紫外線による健康被害/環境省 http://www.env.go.jp/chemi/uv/uv_pdf/02.pdf
■INTERSUNプロジェクト/世界保険機構(WHO)http://www.who.int/en/
5.市販の日焼け止めについての効果や注意点
5-1.日焼け止めにも種類がいろいろあります
日焼け止めにはさまざまな種類があり、ライフスタイルや肌タイプで選ぶ事が大切です。SPFやPAについての選び方は、1、2の項でお伝えしたので、ここでは具体的な日焼け止めの選び方のポイントをお伝えしていきます。
形状によって選ぶ
日焼け止めにはさまざまな形状がありますので、ライフスタイル、好み、価格、使い勝手のよさなどで使い分けをすると良いでしょう。
■スプレータイプ
スプレータイプのものは、最近とても人気があります。コンパクトで持ち運びも便利なうえ、簡単に広範囲にまんべんなく塗布できます。逆さまの状態でも使用できるものもあるので、ボディなどにも使いやすくなっていますし、髪の毛にも使えます。ただし、やや金額は高めで、量はそう多くはないので、常用ではなく、携帯用として持ち歩いている方が多いようです。
■ローション(乳液、クリーム)タイプ
一番多く使用されているタイプ。テクスチャーはメーカーによってさまざまですが、最近は白浮きせず塗りやすいものも多く出ています。また価格も安価で購入しやすく、サイズもいろいろあり、ボディ用や家族全員で使用できるようにポンプタイプのものもあります。
■シートタイプ
こちらも比較的新しいタイプの日焼け止めです。コンパクトで携帯に便利なうえ、手も汚れないので外出先での塗り直しや、子供さんにも使いやすくなっており、汗拭きシート兼用としても可能です。ただしSPF値は低めなので、補助的に使用するのがおススメです。
■固形タイプ
こちらは主に唇専用が多いく、リップクリーム型となっています。唇は以外に皮ふが薄く、紫外線の影響も受けやすいので、できれば専用のものを塗る事をおススメします。夏以外にも、スキー場などでも、雪の反射で紫外線を浴びやすいので、オールシーズン使用できます。その他のスティックタイプのものは、海辺でのアウトドアなどで、ほお骨やTゾーンなど部分的に紫外線を浴びやすい場所の重ね塗りが便利です。
■パウダータイプ
パウダータイプのものも、ココ数年注目を浴びており、新商品なども多く出てきています。パフで使用する事から、使い勝手のよさと手軽さで人気のようです。また、比較的肌に負担がかかりにいわりに、SPF値は高めとなっています。
■化粧下地タイプ(顔専用)
テクスチャーを良くして、ベタつきを抑えたり、ファンデーションのノリを良くし、さらにパール効果を入れくすみをとったりするようなプラスα効果があるものが人気のようです。オールシーズン使用可能なので、日常的にファンデーションのタイプなどに合わせて使い分けをする方も多いようです。
■ボディ専用タイプ
ボディ用は、広範囲に使用するため、伸びのよさや塗りやすさなどが重視されています。また家族などでも使用する場合もあるため、コストパフォーマンスも良いものを選んでいるようです。最近はボトルタイプやチューブタイプのお得サイズなどもあります。
成分で選ぶ
■紫外線散乱剤タイプ
どちらかといえば、肌に負担がかからないものが多いので、デリケートな方や肌への刺激が気になる方にはおススメです。しかし、こまめに塗り直したり、きちんとクレンジングをするという基本的なことを守る事で、肌への負担が軽減されるので、注意して使用するようにしてください。敏感肌用、子供用などの日焼け止めでノンケミカル処方などと記載があるものは、こちらのタイプになっています。主な成分については、3-1 日焼け止めの主な内容成分についてを参考にされて、商品を選ばれると良いでしょう。
■紫外線吸収剤タイプ
テクスチャーがとても良いものが多いので、日常的に使用する方も多いと思います。SPF値が高いものが多いのですが、肌への負担は強くなりやすいため、必要な時以外はきちんとクレンジングを行い、完全に落としてあげましょう。アウトドア用にウォータープルーフタイプ(汗や皮脂に強いもの)などもありますので、その場合は専用のクレンジングを使用します。いくらSPF値が高いからといっても、こまめに塗り直しをしなければ、効果は低くなり、紫外線の影響を受けてしまいますので、注意をしてください。
このように、日焼け止めにはさまざまな種類があるので、ひとつに絞るのは迷ってしまうかもしれませんが、ライフスタイル、用途、肌質、好みに合わせて、数本使用すると便利で使いやすいと思います。また、オールシーズン日焼け止めは必要なので、季節ごとに変えるのもおススメです。
しかし、注意をして頂きたいのは、特にアウトドア用のものなどは、必ずワンシーズンごとに使い切るようにしてください。一度開封したものは、品質が変化する恐れがあるので、持ち越し使用は厳禁です。
5-2.安心&安全?日焼け止めの肌への影響
実は、日焼け止めの成分には毒性のある成分も入っています。
2001年に化粧品の全成分表示制度になって以降、残念な事に品質が悪化してしまった製品群のひとつなのです。特に「紫外線吸収剤」という毒性の成分についての規制がゆるくなり、悪化してしまったといえます。日焼け止めには「散乱剤」と「吸収剤」と2つのタイプがある事は、3-1.日焼け止めの主な内容成分についてにてしくみなどはお伝えしましたが、特性上どうしても、吸収剤の方が肌に負担がかかります。
なぜなら、もともと印刷用のインクの退色防止剤だった、フェノール系やアミン系化合物で、発がん性や環境ホルモンなどの毒性があります。毒だからこそ全成分表示導入以前は、何種類使用しても良いが、合計量は10%を超えてはいけない」という規制がありました。しかし、規制緩和のため、分量なども不明となってしまいました。このことは、みごとに法律の落とし穴となってしまっています。
また、UV効果のある商品は、重ね付けをしてしまいがちです。そのため無意識のうちに、必要以上の成分を肌に塗りすぎてしまう事もあります。重ね付けをする際は、表示などをよく確認して、肌に負担がかからないように気をつけてください。日焼け止めを塗る前の下地として,油性のもので肌を保護すると、安心です。また必要以上に長時間使用する事も避けましょう。
※化粧品全成分表示についての詳細は、STOP!無添加化粧水を購入する前に必ず知って欲しいこと!にて記載がありますので、こちらもご覧ください。
5-3.敏感肌のための日焼け止めの選び方と注意点
敏感肌の方は、肌に負担がかかりにくい「紫外線散乱剤」のタイプを選びます。また、新しい商品を使用する前には、必ずパッチテスト(注8)を行いましょう。肌に異常を感じる場合は、使用をストップして、状態によっては医療機関などへ相談されてください。(注8:パッチテストとは、皮ふ試験のことで、清潔な状態の皮ふの上にテストをしたいもの(化粧品など)をつけ、48時間以上置いて診断すること)
日焼け止めは、必要以上に長時間使用する事を避け、必要がなくなった際は、すみやかにクレンジングを行います。その際には、落し残しがないように注意をしてください。SPF値を選ぶ際に気をつけて頂きたいのは、あまり高すぎるものは避け、SPF10〜25くらいまでのものをチョイスするようにし、塗布する前には肌を保護する意味で、油性のクリームなどをしようすると安心です。
日焼け止め以外にも、日傘、帽子、衣類などでの保護をおススメします。
5-4.日焼け止めをより効果的に使用するための10個の方法
①肌質、ライフスタイル、状況などに合わせて、合うタイプのものを選ぶ
②日焼け止めを塗る前には、基礎化粧品で肌を整え、保護しておく
③使用量を守り、必要以上に多く塗りすぎたり、また少なすぎないように気をつける
④顔全体に塗った後は、頬骨や鼻に重ね付けをすると効果的
⑤塗りムラが無いように、気をつける
⑥SPF値にもよりますが、2〜3おきに肌チェックをし、汗やメイクなどで崩れているときは、汗を押さえ塗り直す。
⑦一度開封したものは、ワンシーズンで使い切る
⑧肌に異常を感じたら、使用するのを止める
⑨落とす際は、正しいクレンジング方できちんと落し、落とし残しが無いように気をつける
⑩日焼け止めを過剰に安心せずに、その他のアイテム(日傘など)も同時に活用する。
6.まとめ
いかかでしたか?
シーズンに関係なく毎日使用する日焼け止めですが、ささやかな事を少しだけ気をつけるだけで、効果があがったり、その逆もあるということが、ご理解いただけたでしょうか?また、安心と思って使用していた日焼け止めにも、危ない部分もあるということも、知って頂ける事で、ご自身の肌を紫外線から、上手に守って頂ける事と思います。
どうぞ、日焼け止めを上手く活用して、ライフスタイルに取り入れてください。
【参考文献】
「正しいスキンケア事典」吉木伸子、岡部美代治、小田真規子監修/高橋書店
「美容皮膚科科学事典」朝田康夫監修/中央書院
「ウソをつく化粧品」小澤貴子/フォレスト出版
「エステティック用語辞典」滝川エステティック学院、滝川エステティック技術開発研究所監修/ザ・ビューレック社