アドラー心理学は、人生における幸せを手にするために不可欠なさまざまな気づきを、私たちに与えてくれます。
「今、あまり幸せを感じていない」
「自分が不幸だと感じる」
「いつも満たされない感じがする」
そんなあなたは、アドラー心理学を知ることで、人生が変わる可能性があります。
今回は、アドラー心理学の大きな5つの教えや、アドラー心理学をもっと深く知るための本をご紹介します。
目次
2. アドラー心理学5つの教え
教え1.「目的論」と「原因論」
①「原因論」とは
②「目的論」とは
教え2. 共同体感覚
(1)自己受容
(2)他者信頼
(2)他者信頼
教え3. 勇気づけ
① 思いを伝える言葉
② 現在を認める言葉
③ 未来に意識を向ける言葉
教え4. 課題の分離
(1)課題の分離の方法
(2)あなたの課題に向き合う方法
教え5. 承認欲求を捨てる
① 承認欲求は生きづらさを生む
② 自分との対話を大切に
3. アドラー心理学おすすめの書籍
3-1. アドラー心理学入門 (ベスト新書) /岸見一郎 著
3-2. 嫌われる勇気(ダイヤモンド社)/岸見 一郎 著、古賀 史健 著
3-3. マンガでやさしくわかるアドラー心理学( 日本能率協会マネジメントセンター )/岩井 俊憲 著、星井 博文
1. アドラー心理学とは?
アドラー心理学とは、アルフレッド・アドラーが創始し、後進たちがさらに発展させてきた心理学のひとつであり、個人心理学とも呼ばれます。
アドラー心理学は、多くの名言や考え方で、さまざまな人々に影響を与えてきました。現在まで多くの人々に読まれ続ける、『7つの習慣』の著者のスティーブン・R・コヴィーや、『人を動かす』の著者のデール・カーネギーなども、アドラー心理学の影響を受けた1人だといわれています。
2. アドラー心理学5つの教え
アドラー心理学の中で、私たちが幸せな人生を歩んでいく上で知っておきたい、5つの教えをお伝えしていきます。
教え1. 「目的論」と「原因論」
アドラーは「目的論」を唱え、「人は何かの目的があって、今の状況を作り出している」という考え方を示しました。
そんな「目的論」の対極にあるのが「原因論」です。それぞれの違いをみていきましょう。
①「原因論」とは
原因論とは、「過去の出来事が、現在の状況を作っている」という考え方です。そのわかりやすい例が、トラウマです。
「過去のトラウマが原因となって、今このような状況になっている」などとすることを、原因論と呼びます。
②「目的論」とは
目的論とは、「人は何かの目的があって、今の状況を作り出している」という考え方です。
「自力ではなんともできない過去の事象を引きずっているのではなく、自分が目指す目的を叶えるために、その状況を継続させているのである」というのが、アドラーが唱える目的論なのです。
教え2. 共同体感覚
人が幸せを感じるために必要なのが、横のつながりから得られる「共同体感覚」です。
人は、職場、家庭、趣味の集まり、地域、学校などの共同体の中で人とつながっていると実感したときに、幸せを感じるといいます。
この共同体感覚は、次の3つで構成されるといいます。
(1)自己受容
自己受容は、「私は今ここにいる、ありのままの自分でよい」と自分自身を受け入れることです。
「よいところも悪いところも含め、これが私である。特別よいところばかりでなくても、私自身には価値がある」と思えることが大切だといいます。
自分自身に価値があると感じられるとき、人は初めて自分以外の人と積極的に関わる勇気を持てるようになるといいます。
(2)他者信頼
他者信頼は、「周りの人々は、信頼できる人たちだ」と何か条件をつけることなく、人を信頼することです。
生きていると、信頼できると思っていた人から裏切られることも少なからずあります。しかしながら、それで人を信頼しなくなれば、他者と深い人間関係を築くことはできません。
人が幸せになるためには、「私も含め、人はみな不完全であり、仲間なのだ。それぞれがよい方向に変わっていける」と、他者を受け止め無条件に信頼することが必要なのです。
(3)他者貢献
他者貢献は、「自分は人の役に立ち、貢献できている」と感じられることです。それによって、自分に価値があるという認識ができるようになるのです。
人が不幸を実感するのは、多くの場合「自分はみんなに必要とされていない、自分なんていなくても、周りの物事はうまくいく」などという孤独を感じたときです。
つまり、人が幸せになるためには、「みんなに必要とされていることを『感じる』」ことが大切なのです。他者が喜ぶことをすることで、人は自分自身が幸せになることができるということです。
これら3つのことは、密接に関係しています。
不完全であるありのままの自分を受け入れることで、他者の不完全さも受け止め無条件に信頼することができる。
↓
他者を信頼し仲間だと思うことで、他者に貢献しようと思える。
↓
他者に貢献することで、自分に価値があると感じ、さらに自分を受け入れることにつながる。
このように、3つのことを実践することが、人としての幸福につながるのです。
そして、これらのことを実践するに当たって、重要なことが2つあります。それこそが、これからお伝えする「勇気づけ」と「課題の分離」なのです。
教え3. 勇気づけ
勇気づけは、人生で直面するあらゆる対人関係の「挑戦したり、困難を克服する活力を与える」ものです。
勇気づけでは、さまざまな言葉で相手に活力を与えます。次のような言葉をかけることで、相手の自己肯定感が上がったり、これから先のことへの意欲が湧いたり、互いに信頼関係を築いたりすることができるといいます。
① 思いを伝える言葉
ありがとう
「〜してくれてありがとう」
大好きだよ
「あなたの〜なところが大好きだよ」
助かっているよ
「〜してくれて助かったよ」
素敵だと思う
「あなたの〜なところが素敵だと思うよ」
嬉しいな
「〜してくれると嬉しいな」
② 現在を認める言葉
よく頑張ったね!
「大変だったのに、よく頑張ったね!」
よくなっているね!
「前よりも〜がよくなっているね!」
大丈夫だよ!
「大丈夫だよ!一緒に考えよう!」
よく我慢したね
「〜だったのに、よく我慢したね!」
努力しているね
「〜なんて、すごく努力しているね」
③ 未来に意識を向ける言葉
楽しみにしているよ
「また会える日を楽しみにしているよ」
応援するよ
「やりたいことができるよう応援するよ」
頼りにしているよ
「あなたの力を頼りにしているよ」
見守っているよ
「いつでも見守っているよ」
教え4. 課題の分離
課題の分離とは、「これは誰の課題であるのか?」ということを明らかにし、自分の課題と他者の課題を切り分けることです。
これをはっきりとすることで、他者の問題で気を煩わせることがなくなり、自分の課題だけに集中できるようになるのです。
(1)課題の分離の方法
課題の分離は、次のように行っていきます。
1. まず、この課題に最終的に向き合い、責任を負うべきなのは誰なのか?を考えます。
2. 「この課題に向き合うのは自分自身である」「気になってしまっていたけど、本当はあの人が向き合うべき課題だ」というように、その課題がだれのものなのかを明確にしていきます。
3. 課題が明確になったら、自分の課題だけにまっすぐ向き合い、他者の課題には踏み込まないようにします。
このように課題を分離し、自分の課題だけに集中することで、今まで頭を悩ませていた多くの事柄から解放され、より身軽に人生を歩んでいくことができるのです。
(2)あなたの課題に向き合う方法
課題の分離ができたら、あなたにできることは、「あなたがもっともよいと信じる物事を選択すること」です。
◆「他者の選択」があなたに迫る
あなたが自分の課題に向き合おうとするとき、こんな壁が目の前に立ちはだかるでしょう。
・自分の課題に対する向き合い方は、これで合っているのかという不安
・「あなたのやり方は間違っている」という他者からの批判
これらによって、自分の選択への自信がなくなり、他者の意見の方を信じて選択を行ってしまうことが、少なからず起こってくるのです。
◆他者の介入を許容しないこと
あなたは、そんな「他者が信じる最良の選択」を選ぶことを、避けなければなりません。
アドラーは、あなたが他者の課題に踏み入らないのはもちろんのこと、他者にもあなたの課題への介入を許してはならないといいます。
あなたの課題を他者の選択に委ねることは、あなた自身が課題の分離ができていないということになるのです。
◆あなたが最善だと信じる物事を選択する
あなたの課題に対しては、他者の意見に惑わされることなく、あなたの心がよしとする最善の選択をすることが非常に大切です。
あなたが最善だと信じる物事であれば、他者の評価を気にすることはありませんし、更にいえば、あなたがどうにかできることでもないのです。
他者がその選択をどう評価し、どんな行動をするかは、その他者の課題だからです。
「他者のあなたに対する評価は、個人的な意見にすぎず、あなた自身の評価ではない」
「大切なのは、あなたがこれからどうしていくかである」
アドラーはこのようにいっているのです。
◆課題から逃げ出すときも自分で決断している
人はたびたび、「他者から反対されたから、やめたのです」と、他者の意見を理由に自分の課題から逃げ出すことがあります。
一見、人の忠告を素直に聞き入れたと思われるかもしれません。
しかしアドラーはそれを、「他者の意見を言い訳に、自分の課題から逃げている」とみます。他者に意見を言われた結果からやめたのは、あなたがやめることを選んだということなのです。
あなたの周りがどんなことをいってきたとしても、「私がすべきことは、私がもっともよいと信じる選択をすることである」と考えることが大切なのです。
教え5. 承認欲求を捨てる
人はよく、他者に認められたいと思う欲求を持ちます。それを、承認欲求と呼ぶことはご存知の方が多いのではないでしょうか。
アドラー心理学では、この承認欲求を否定します。
① 承認欲求は生きづらさを生む
他者に認められたいという承認欲求や、他者と自分とを比較して優位に立とうとする競争意識が私たちにもたらすのは、生きづらさだけです。
他者に認められたとしても、他者よりも優位に立ったとしても、真に幸せな人生を歩めるようにはならないのです。
アドラー心理学では、このような承認欲求や競争意識を、自分の人生からなくすよういわれています。
② 自分との対話を大切に
その上で、もっとも大切にすべきは、自分自身の対話だと述べています。そこからは、健全な劣等感しか生まれず、それを解決するために健全な努力をしていくことができるのです。
そうすることで、自分らしさに磨きをかけ、自分が本当に幸せだと感じる人生を手に入れることができるのです。
3. アドラー心理学おすすめの書籍
アドラー心理学を知るためにおすすめの書籍を3つご紹介します。どれもわかりやすく解説してありますので、ぜひ参考にしてあなたの人生の幸せをつかんでいってくださいね。
3-1. アドラー心理学入門 (ベスト新書) /岸見一郎 著
アドラー心理学の見地から、「どうすれば幸福に生きられるのか」という問いに対する答えが述べられています。
人がどのように生きればよいのかという指針が示されています。
3-2. 嫌われる勇気(ダイヤモンド社)/岸見 一郎 著、古賀 史健 著
大ベストセラーとなっており、人生の悩みや対人関係の悩みを消し去る“勇気”について知ることができるのが、この本です。
哲学者と青年の対話から、過去のトラウマから解放され、人生の悩みを解決するための大きなヒントを受け取ることができます。
3-3. マンガでやさしくわかるアドラー心理学( 日本能率協会マネジメントセンター )/岩井 俊憲 著、星井 博文
アドラー心理学の基本について、わかりやすくマンガで学ぶことができます。
活字が苦手な人でも、気軽に基本の考え方を知り、実践に移すことが可能です。
まとめ
アドラー心理学についておわかりいただけましたか?
他者との関係を基本としつつも、自分自身を尊重することをもっとも大切にするのがアドラー心理学の考え方です。
あなたもアドラー心理学の考え方を取り入れ、人生における幸せを手に入れていってくださいね。