「痩せるサプリメント」を探している人は多いのではないでしょうか。
市販されているのは、あくまでも「ダイエットサプリ」や「デトックスサプリ」であって、「痩せる」ことを目的としたものではありません。
「痩せるサプリなし」とか、「痩せるサプリには嘘がある」といわれるのは、それなのに痩せることだけを目的として服用するからです。
白米を1日3回食べるという従来の日本人の食生活に、高カロリーの欧米風食生活が同居してしまった現代は、男女を問わずダイエットに気を使うことが必然となり、健康維持のために減量をしなければいけない人が増えています。
そこで、少しでも楽に痩せようと、ダイエットサプリやデトックスサプリなどを活用する人が多いわけです。
ところが、サプリで痩せることはなかなかできませんよね。
ここでは、痩せる目的で服用するサプリが効かない理由を4つあげて、目的に合った栄養素の摂り方を解説します。
体重を落としたいという人も、健康な身体づくりをしたいという人も、サプリを選ぶヒントとしてご覧ください。
目次
1. ダイエットと痩せることを混同している
1-1. ダイエットとは健康な身体をつくる食事療法
1-2. 減量とダイエットでは食生活も運動も違う
1-3. サプリを服用する目的をはっきりさせる
2. 栄養素の基本的な性質がわかっていない
2-1. 三大栄養素の代謝
2-2. 代謝を助けるビタミンとミネラル
2-3. 抗酸化成分の働きと性質
2-4. 腸内フローラの働きと性質
3. 自分の身体の状態や特性をわかっていない
3-1. サプリは生活習慣とセットで考える
3-2. 自分に足りない栄養素を知る方法
4. ダイエットサプリの分類がわかっていない
4-1. カロリーカット系
4-2. 燃焼アップ系
4-3. デトックス系
1. ダイエットと痩せることを混同している
痩せるサプリが効かないと訴える人に多いひとつ目の理由は、「ダイエット」と「痩せること=減量」を混同しているケースです。
「減量」とは文字通り体重を落とすことですが、「ダイエット」は体重を落とすという意味の言葉ではありません。
だから、ダイエットメニューを実行したからといって、必ずしも痩せるとは限らないのです。
1-1. ダイエットとは健康な身体をつくる食事療法
「ダイエット」の語源である英語の“diet”は、単なる「食」という意味からはじまって、「特別食」「食事療法」「食事制限」という使い方をされるようになった言葉です。
一般的には、「治療や体重調節などのために行う食事療法」という意味で使われることが多くなっています。
基本的には、問題がある食生活を改善して、健康な身体をつくることが目的とされます。
1-2. 減量とダイエットでは食生活も運動も違う
ダイエットで痩せることが目的となるのは、体重を落とさなければ健康になれない人。
現代の欧米や日本では、このタイプの人が多いことは間違いありません。
だから、「ダイエット=減量」というイメージが定着してしまったのです。
健康的には痩せる必要がないのに、体重を落としたい人もいますよね。
たとえば、ボクシングの選手が短期間で体重を落とす減量。
または、1カ月後に結婚式を控えていて、着たいドレスを着るためにどうしてもウェストを細くしたいといったケースもあるでしょう。
こういった減量が、広い意味で「ダイエット」と呼ばれることがあるのも事実。
健康な身体になるためのダイエットと、減量を目的としたダイエットは、分けて考えなければいけません。
どういう栄養素を摂るべきか、摂らないべきか、どういう運動が効果的かということに違いがあるからです。
1-3. サプリを服用する目的をはっきりさせる
本来、サプリメントは、食事で摂取しきれない栄養素を補うためにつくられたものですが、体重を落とすことを目的とするようなものには、そうではないものが多くなっています。
不足している栄養を補うのではなく、糖質や脂質の吸収を抑制しようとするもの、体脂肪をより多く燃焼させようとするもの、便や尿の排出を促すものなどがあります。
「痩せるサプリ」という言葉でくくられるのは、こうしたサプリが中心。
しかし、生活習慣病の予防や改善のために体重を落とすのであれば、必ずしもこれらのサプリが効果的とは限りません。
まず、自分がどういう目的で痩せたいのかはっきりさせなければ、効果的なサプリを選ぶことはできないのです。
2. 栄養素の基本的な性質がわかっていない
2つ目の理由として、栄養にかんする知識の不足があげられます。
ダイエットのためにサプリを使おうとするのであれば、それは栄養療法なのですから、栄養素にかんする基礎知識は理解しておくべきですよね。
栄養学というほどの、難しいものではありません。
栄養素の基本的な性質を知るだけでも、ずいぶんと違います。
栄養素には、「エネルギーを生む」「体内で必要な物質をつくる」「いろいろな身体機能を調整する」という3つの基本的な働きがあります。
2-1. 三大栄養素の代謝
三大栄養素である「糖質」「脂質」「タンパク質」は、どれもエネルギーとなる物質で、糖質とタンパク質は1gあたり4kcal、脂質は1gあたり9kcalのエネルギーに変換されます。
糖質が体内に貯蔵される量は、肝臓に500kcal、筋肉に2000kcal程度で、全身に貯蔵される脂肪が約14万kcalもあることと比較すると、とても少ないことがわかりますよね。
糖質がエネルギーとして使われるのは、即効性や瞬発力が必要とされる運動で、短時間しか続けることができません。
糖質がエネルギーになるときには酸素を必要とせず、乳酸を発生さるという特徴があり、糖質には血糖(血液中の糖分)を調節する働きもあります。
高効率で貯蔵量が多い脂質は人体のメインエネルギーであり、酸素を使って活性酸素を発生させるのが特徴。
脂質には、細胞膜の材料になる、脂溶性ビタミンを働かせるといった働きもあります。
タンパク質は、全身の細胞やホルモン、酵素などの材料になるという重要な役割があるので、エネルギーとして使われるのは、ほかのエネルギー源がなくなったときだけ。
唯一、糖質と脂質が吸収される小腸壁では、そのどちらもエネルギーとして使えないので、タンパク質がエネルギーとなっています。
三大栄養素がエネルギーになったり、必要な物質をつくったりするために、体内で行われる合成や分解などの化学反応を「代謝」と呼びます。
2-2. 代謝を助けるビタミンとミネラル
三大栄養素の代謝は、酵素が化学反応を促すことによって行われます。
酵素のほとんどはタンパク質で、それ自体は変化せずに化学反応を起こさせる物質です。
酵素の働きを助けるのが、サプリの中心的存在で微量栄養素と呼ばれる、ビタミンやミネラル。
ビタミンは、8種からなるビタミンB群とCの水溶性ビタミン、ビタミンA、D、E、Kの脂溶性ビタミンに分類されます。
ミネラルは、体内に存在する酸素、炭素、水素、窒素以外の元素のことで、ビタミンが生物に由来する「有機物」であるのに対して、金属や岩石などの「無機物」に分類されます。
人体には約60種の元素があるといわれ、その96%を酸素、炭素、水素、窒素が占めており、残り数十種類のミネラルはわずか4%にすぎませんが、身体にとってはとても大事な働きをもっています。
厚生労働省は、13種のミネラルを必須ミネラルとして、摂取量の基準を示しています。
比較的多くの量を必要とする多量ミネラルとして「カリウム」「ナトリウム」「カルシウム」「マグネシウム」「リン」の5種、微量ミネラルとして、「鉄」「亜鉛」「銅」「ヨウ素」「クロム」「マンガン」「セレン」「モリブデン」の8種があります。
ビタミンには体内で生成されるものもありますが、ミネラルは体内では合成できないので、すべて外から摂取する必要があります。
ビタミンやミネラルは、各々性質や働き方が違い、影響しあって働くものが多いので、それぞれの解説サイトを参照して基本的なことを抑えておきましょう。
2-3. 抗酸化成分の働きと性質
体内の代謝で酸素が使われると必ず発生するのが活性酸素。
活性酸素は強力な酸化作用をもっており、有害な細菌やウィルスなどを殺す免疫物質ですが、増えすぎると正常な細胞まで酸化させてしまい、老化やがんなどの原因をつくります。
体内には抗酸化システムが備わっているものの、運動をしたり紫外線を浴びたりするだけで活性酸素は急増してしまうので、すぐに間に合わなくなります。
そこで、抗酸化成分を含んだ食品やサプリを摂取して、活性酸素による酸化ストレスをケアするわけです。
ダイエットのためにウォーキングやジョギングといった有酸素運動を行うと、体内の活性酸素が過剰になるので、抗酸化成分の摂取が必須。
抗酸化成分には、ビタミンA、C、Eの「ビタミン系」、β-カロテンやルテイン、アスタキサンチンなどの「カロテノイド系」、アントシアニン、イソフラボン、カテキン、セサミンなどの「ポリフェノール系」などがあります。
これも、関連サイトを参照して、どのような食品に含まれているか、抑えておきましょう。
2-4. 腸内フローラの働きと性質
ダイエットばかりでなく、万人向けの健康法として注目されている「腸活」。
腸内環境を整えることは、栄養素の消化吸収をスムーズにして、ダイエットの大きな要素である「デトックス=排出」を活性化させます。
乳酸菌やビフィズス菌などの腸内細菌を顕微鏡で見ると、花畑のように見えることから「腸内フローラ」と呼ばれるこれらの細菌は、腸内の善玉菌を増やす働きがあります。
腸内には、「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」という3種類の細菌があり、善玉か悪玉のどちらか多い方の働きを助ける日和見菌を味方につけることが腸活のポイント。
そのためには、悪玉菌を減らすことよりも、善玉菌を補強してやることが効果的なのです。
3. 自分の身体の状態や特性をわかっていない
3つ目の理由としては、自分の身体が今どのような状態にあるのかという現状や、自分の体質や特性を理解していないことがあげられます。
たとえば、中年太りになったから生活習慣病を予防するために、体重を落としたいという場合でも、誰もが同じサプリを摂取すればよいというものではありません。
人それぞれ身体の状態も特性も違うのですから、自分に合ったダイエットメニューが必要なのです。
3-1. サプリは生活習慣とセットで考える
サプリを摂取することだけで痩せようとしても、ムリがあります。
身体がどんな状態にあっても、ただ飲むだけで痩せるサプリや薬があるとすれば、それはどこかに危険な要素をはらんでいるはずですし、実際に短期間で痩せたとしてもリバウンドする可能性が高いのです。
ダイエットは、サプリの摂取だけで行うのではなく、食習慣、運動習慣、睡眠習慣といった生活習慣と組み合わせて考えなければいけません。
運動するのが面倒くさいからサプリで脂肪を燃焼させたい、食事制限をしたくないのでサプリでカロリーカットしたいと考える人は、痩せることに失敗します。
糖質や脂質の過剰摂取に気をつけて代謝を活性化させる「食習慣」、筋肉を増やして脂肪が燃焼しやすい身体をつくる「運動習慣」、消化吸収や脳機能を活性化する質の良い「睡眠習慣」を基本として、その上で効果的にサプリを使用することを考えましょう。
3-2. 自分に足りない栄養素を知る方法
自分の身体の状態を知る方法としてもっとも簡単なのは、病院で行う血液検査と尿検査です。
最近はスマートフォンのアプリで栄養バランスをチェックできるものもありますが、少なくても1年に2回は血液検査を行って、医師のアドバイスを聞きたいものです。
痩せたいと思う人は、自分に足りない栄養素は何か、過剰になっている栄養素は何か、生活習慣の問題点はどこにあるのか、ということを知らなければいけません。
医師から減量の必要があるといわれるかもしれませんし、こんなダイエットは危険だというアドバイスをもらうことがあるかもしれません。
単に体重を落とすということだけでなく、体質を改善することによって健康的に体重を落とす方法を考えましょう。
これが、リバウンドしないダイエットの秘訣です。
4. ダイエットサプリの分類がわかっていない
4つ目の理由として、ダイエットサプリの種類や特性がわかっていないために、自分に合ったものが選べないことがあげられます。
ネット上では、様々なダイエットサプリが紹介され、いくつものサイトで口コミや人気ランキングが掲載されていて、どれを選べばよいのか迷いますよね。
すべてが科学的な根拠をもつ成分ではありませんから、最終的には使ってみて自分の身体に合うものを選ぶしかないのですが、ダイエットサプリが大きく3つに分類されていることと、それぞれの働きを知っていれば、ハズレを引く確率が多少は減ります。
4-1. カロリーカット系
糖や脂質の吸収を穏やかにしようとするのが、カロリーカット系。
最近は、お茶や炭酸飲料などでも人気がありますよね。
成分としては、難消化性デキストリン、ギムネマ酸、サラシア、白インゲン豆エキス、キトサン、ウーロン茶エキスなどが知られています。
サプリとして販売されているもので人気が高いのは、次のようなもの。
・カロリミット(ファンケル)
・なかったコトに!(グラフィコ)
・ギムネマ(DHC)
・ガルシニアエキス(DHC)
・メタバリアEX(富士フイルム)
4-2. 燃焼アップ系
体脂肪が燃焼されやすくして消費カロリーを増やそうとするのが、燃焼アップ系。
運動と組み合わせることで、効果が発揮されやすくなります。
成分としては、コレウスフォルスコリ、L-カルニチン、α-リポ酸、カテキン、ラクトフェリン、カプサイシン、ガルシニアなどが知られています。
サプリとして販売されているもので人気が高いのは以下のアイテム。
・シボヘール(ハーブ健康本舗)
・内脂サポート(ファンケル)
・フォースコリー(DHC)
・燃焼ダイエット L-カルニチン&カプサイシン(グリーンファーム)
・コレウスフォルスコリ+アフリカマンゴノキ(ジョイフルライフ)
4-3. デトックス系
腸内環境を整えて老廃物の排出を促したり、利尿作用を高めたりするのが、デトックス系。
デトックスの大部分を占めるのが排便ですから、便秘の解消を目的とするものもあります。
成分としては、難消化性デキストリン、乳酸菌、ビフィズス菌、オリゴ糖、食物繊維などが知られます。
人気が高いサプリは以下のようなアイテム。
・Lakubi(ニコリオ)
・腸活革命(協和食研)
・菌トレ習慣(Growth canvas)
・FLORA CLEANSE(Botanical Label)
・BISERA(ヘルスアップ)
まとめ
痩せたい、体重を落としたいと思ったら、何のために減量したいのかという目的をはっきりさせてから、自分の身体の実情を知り、自分に合った方法でダイエットすることが大事。
ただ「痩せるサプリ」を探すのではなくて、ここで解説した4つのポイントを踏まえて健康的で効果的なダイエットを目指してください。
減量の基本は、摂取カロリーより消費するカロリーを増やすことですから、はやり食生活の管理と、脂肪を燃焼させる適度な運動が2本の柱。
その上で、効果的にサプリを活用するのが賢いダイエットです。
【参考資料】
・『医者が教える「あなたのサプリが効かない理由」』 宮澤賢史 著 イーストプレス 2018年
・『サプリメント大図鑑』 佐藤務 監修 総合法令出版 2018年