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3つの分野で実践するストレス解消法-心と身体を軽くする秘訣

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ストレス社会といわれる現代、誰もがストレスと闘いながら生きています。

しかし、よく考えてみましょう。
ストレスを解消しているように思えても気持ちが休まらなかったり、そのときは楽になっても後からドッと疲れが出たりすることはありませんか。

よくあるのがスマートフォンでストレス解消用の「癒しアプリ」であるとか、ゲームや動画などを楽しむようなケース。
通勤中や休憩時間に手軽に使えるスマホですが、実はストレスの大きな原因になっています。
そのときは集中するので、ストレスを忘れるのですが、視覚に与えるダメージが大きくて疲労が蓄積していくのです。

ここでは、科学的な視点でストレスをとらえ、誰もが実践可能な対処法を「思考」「リラクゼーション」「生活習慣」という3つの分野からピックアップしました。

 

目次

1. 思考でストレス解消
1-1. ストレスを消そうとしない
1-2. 完璧主義をやめる
1-3. 「やらないよりはまし」でイイ
1-4. 目の前の現実を受け入れる
1-5. 自分に都合よく考える

2. リラクゼーションでストレス解消
2-1. いつでも腹式深呼吸
2-2. どこでもストレッチ&マッサージ
2-3. お気に入りの音楽
2-4. アロマグッズ
2-5. ゆらぎとフィトンチッド

3. 生活習慣でストレス解消
3-1. ストレスを軽減する食べ物
3-2. 快眠でストレス軽減
3-3. 軽い有酸素運動を毎日
3-4. 週末はアクティブレスト
3-5. 紫外線対策

まとめ

1. 思考でストレス解消

ストレスとは、人間が五感で受けた刺激が脳に伝わり、記憶と照らし合わせて生まれる「感情」がもたらす生体反応。
「不快」「つらい」「悲しい」「嫌い」といったマイナスの感情が生まれると、脳が外界から自分を守ろうとして防御態勢をとるのです。

ストレス反応は、外界の変化に対して敏感に反応しなければ生命の危機につながった太古の時代の名残りだといわれています。
身体的な変化としては、筋肉を収縮させて外界からの刺激に備える、ホルモンの分泌を促して心拍を上げる、呼吸を早くする、血圧を上げるといったことが起こります。

心と身体は、切り離して考えられるものではありません。
感情を左右する思考によって、身体に起こるこうした反応を変えることが可能なのです。

1-1. ストレスを消そうとしない

ストレスが重なってつらい状態になると、ストレスを消そうとか忘れようと考えがちですよね。
ところが、ストレスは外界からの刺激に対する生体反応ですから、なくすことはできませんし、意識的に忘れようとすれば、原因となっている刺激や記憶を思い出すことになるので、余計にストレスを大きくしてしまいます。

ですから実は、ストレスは「解消」できるものではないのです。
だから、闘っても逆効果。

それではどうすればよいかというと、ストレスの原因や、生体反応の不快な状態を忘れてしまうような状態に、自分をもっていけばいいわけです。
これが「プラス思考」や「ストレスケア」といわれる術で、この記事でこれから解説することはすべてこの考え方に基づいています。
まず、ストレスを消そうと考えない、闘おうとしないことが大事です。

1-2. 完璧主義をやめる

自分の思考が自分を追い込んでしまう典型的な例が「完璧主義」です。
「こうでなければいけない」「こうあるべきだ」という思いが強すぎると、ストレスの原因を自分でつくってしまいます。

こういう固い考え方は、仕事を頑張る人や努力家にありがちなことですが、「こうなるように努力したい」「こうなるといい」「こうある方がいいと思う」というくらいの柔らかい考え方を許せるようになりましょう。

完璧主義は、子どもの頃に親や先生を喜ばせたい、認められたいという思いが強い優等生タイプが陥りやすいといわれています。
他人が指摘するのはなかなか大変なことなので、思い当たる人は意識して変えたいものです。

1-3. 「やらないよりはまし」でイイ

何かを「やるかやらないか」という判断を下すとき、完璧主義の人ではなくても、「どうせ半分くらいしかできないのだったら時間と労力のムダだからやらないほうがいい」と考える人がいますよね。

でも、柔らか頭の人は「やらないよりはまし」「やれるところまでやろう」と考えることができます。
余計なストレスを溜めないのは、こうした柔らか頭の人。

明らかに自分にとってマイナスになることでなかったら、「やらないよりはまし」くらいの柔軟な考え方で生きた方が、ストレスフリーな人生になります。

1-4. 目の前の現実を受け入れる

ストレスを溜めない人に共通するのは、「現実を受け入れる寛容さ」をもっていることです。

どんなにつらいことであっても、起こってしまったことは、もう変えることができません。
少しでも早く受け入れて、次なる一歩を歩み出した方がいいわけです。

しかし人間誰しも、大切な人を失ったり、愛するペットが死んでしまったりしたときには、簡単に立ち直れるものではありませんよね。

気持ちが落ち着くまで時間がかかるのは当然のこと。
ある程度の時間が経ったときに、自分を癒す術をもっているかどうかが、大きなストレスから立ち直る分かれ目になります。

そのきっかけになるのが、現実を受け入れる勇気。
目の前の現実を受け入れる勇気がもてたら、どういう形にしろ、思い切って一歩踏み出してみましょう。
そこから、必ず次の一歩が見えてくるはずです。

1-5. 自分に都合よく考える

何でも自分に都合よく考える人は、無責任だとか、協調性に欠けるという評価をされがちです。

しかし、本当にそれができる人は、究極のプラス思考だといえます。
何でも自分に都合よく考えることができたら、意識せずにストレスを軽減できるからです。

問題は、他人に迷惑をかけるかどうかということ。
他人に迷惑をかけず、自分の内面で済むことであったら、自分に都合よく考えるのは悪いことではありません。

心の中では、何があっても自分に都合よく考えられるクセをつけたいもの。
少しでもそれができるようになると、プラス思考が身に着いてくるはずです。

2. リラクゼーションでストレス解消

「リラックス」とは、心と身体の状態を緩めること。
実はこれ、自律神経が深くかかわっています。

自律神経とは、心拍、呼吸、血圧、体温、消化吸収といった生命維持に欠かせない身体機能をコントロールしている人体の制御装置で、活動状態をつくる「交感神経」とリラックス状態をつくる「副交感神経」が常に6:4程度のバランスで働き、どちらかが優位になるようになっています。

ストレス反応が起こると交感神経が刺激されるので緊張状態になるのですが、この状態を鎮めるためには副交感神経を優位にすればいいわけです。
そのために行うのがリラクゼーションです。

2-1. いつでも腹式深呼吸

深呼吸が気持ちを静めるということは誰もが知っていますよね。
ストレスを軽減するポイントは腹式呼吸にすることです。

横隔膜の周囲には自律神経が集まっているので、上下させることによって副交感神経を優位にすることが可能。
お腹をへこますと副交感神経が刺激されるので、息をゆっくり吐くことから始めます。

8秒かけて口からフーっと息を吐き切ってお腹をへこませたら、次に4秒かけて鼻から息をお腹に入れます。
そのまま4秒キープしたら、また8秒かけて息を吐く。
この腹式深呼吸を気持ちが落ち着くまで繰り返します。

2-2. どこでもストレッチ&マッサージ

ストレス反応が起こると全身の筋肉が収縮状態になるので、血流が悪化します。
筋肉から二酸化炭素や老廃物を排出できなくなるのはもちろん、首や肩の血流が悪化すると脳への血流も悪化してしまいます。

脳への血流が悪化すれば、脳機能が低下するので、全身に悪影響が出始めます。
ですから、ストレス軽減にもっとも効果的なストレッチやマッサージは、首や肩と、下半身のふくらはぎなのです。

ふくらはぎは、動かすことで、血液で回収しきれなかった老廃物を集める「リンパ」を流す働きがあるので、第二の心臓ともいわれる器官。
心臓は血液のポンプですが、リンパを流すのは筋肉の動きで、そのメイン器官がふくらはぎなのです。

ちょっと作業に飽きてきた、ちょっとダルいというのは疲労のサインですから、そう感じたら首と肩のマッサージやストレッチを行い、席を立って少し歩くことで血流が改善でき、ストレスを軽減することができます。

2-3. お気に入りの音楽

音楽を聴いてリラックスするのは、普通に誰もがやっていることでしょう。
スマートフォンとイヤホンさえ携帯していれば、どこにいてもお気に入りの音楽を聴くことができます。

リラクゼーションの音楽は、クラシックや環境音楽のように静かなものがイイとは限りません。
「好きな音楽」を聴くことで、脳にプラス刺激を与えることができれば、ストレスの原因になっている刺激を忘れることができます。
それがクラシック音楽である人もいれば、デスメタルだという人もいます。

一般的に、テンポやボルテージは高いものから低いものへと変わっていくことで、心身もスローダウンしやすいといわれています。
だんだんと曲調をゆるくしていく「ストレスケア用アルバム」をつくるのがおススメ。
好きなジャンルでつくってみましょう。

2-4. アロマグッズ

アロマオイルやお香などは、リラクゼーショングッズとして知られていますよね。
なぜ「香り」がリラクゼーションになるのかということには、科学的な理由があります。

「視覚」「聴覚」「味覚」「嗅覚」「触覚」という人間の五感の中で、嗅覚だけは、脳で感情を生む扁桃体という部位へダイレクトに伝わります。
ほかの刺激は、それぞれ違う部位で電気信号から感覚へと変換されて扁桃体に伝わるのです。

これは、太古の時代に、嗅覚がもっとも敏感に危機を知る手段であったからだといわれています。

アロマオイルには、就寝前に合う、気分をゆったりさせるもの、仕事中に向く集中力を高めるものなど、いろいろな効用をもつものがありますから、使い分けてみると面白いですよ。

2-5. ゆらぎとフィトンチッド

香りの中でも、近年、リラクゼーション効果の高さで注目されたのが、「フィトンチッド」と呼ばれる「緑がもつ香り」。
森林浴の効用として知られています。

フィトンチッドは、森に行かなくても、そこらへんに生えている草をちぎってクシャクシャっと指でこすっただけで発生します。
オフィスや店舗に観葉植物を置く効果は、見た目だけでなく、うっすらと香るフィトンチッドを漂わせることにもあるわけです。

緑のパワーと同様に、自然がもたらすリラクゼーションとして知られるのが「ゆらぎ」。
風でゆれる木漏れ日、小川のせせらぎ、小鳥のさえずり、波の音というように、規則性なく繰り返すリズムのことです。

昼休みには、オフィスから出て、緑やゆらぎのある場所へいってひと時を過ごせば、仕事のストレス軽減に大きな効果があります。

3. 生活習慣でストレス解消

3つ目の分野は生活習慣。
食生活、睡眠、運動習慣、休日の過ごし方などで、ストレスの溜まり方がまったく違ってきます。

こうした生活習慣は、続けなければ効果がないので、ムリなくできる自分なりのスタイルをつくることが大切です。

3-1. ストレスを軽減する食べ物

ストレスを起こす食べ物とは、辛すぎる食べ物や嫌いな食べ物だけではありません。
偏った食生活は自律神経のバランスを崩す原因になるので、ストレスを軽減するためにはバランスのよい栄養が必要です。

日本人は米を主食とする人が多いので、糖質の摂りすぎがストレスを助長してしまいがち。
そこで、糖質制限をする人が増えたのですけども、ガマンを続ける食生活もストレスになります。
週に1日か2日は好きな物を食べる日をつくって、週ごとに栄養のバランスをとっていくというスタイルがおススメ。

栄養学的にストレス軽減を考えると、全身の細胞やホルモンなどの材料になるタンパク質は毎日十分に取り、細胞膜の材料となる脂質は、「善玉コレステロール」と呼ばれるHDLを増やす「オメガ‐3」を毎日適量摂ることがポイントです。

3-2. 快眠でストレス軽減

快食の次は快眠。
健康の基本ですね。

ストレス解消の効果を高めながら、気持ちよく寝る方法を紹介しておきましょう。
まず、自分の睡眠サイクルを知ること。

睡眠は、身体も脳も休んでいる「ノンレム睡眠」の合間に、脳が起きている数分程度の「レム睡眠」がセットになり、90分程度のサイクルを繰り返します。
このサイクルが80分の人もいれば100分の人もいるといわれます。

深い快眠をとるポイントは、1回目や2回目のレム睡眠で目覚めることなく、4回目か5回目のレム睡眠で起きることです。
4回目で起きればだいたい6時間、5回目であれば7時間半ということになります。

3-3. 軽い有酸素運動を毎日

ストレス解消に運動は欠かせません。
ウォーキング、スロージョギング、サイクリングといった、激しくない運動を長時間続ける有酸素運動は、ストレスケアだけでなく、手軽な健康法として知られていました。

近年、疲労の原因が乳酸などの物質ではなく、活性酸素にあることがわかってきました。
疲労感は、自律神経中枢に活性酸素が溜まって起こるものだといわれています。

活性酸素は、酸素が体内で使われると必ず発生する物質ですから、有酸素運動をやり過ぎると活性酸素が過剰になってしまい、強力な抗酸化作用が必要になるのです。

ストレスケアや健康を目的とする有酸素運動の目安は、1日に息が切れない程度の運動を20分間×2回といわれています。
ウォーキングであれば、1日8000歩が活性酸素を過剰にしない範囲とされます。

3-4. 週末はアクティブレスト

週末の過ごし方もストレスケアに大きくかかわってきます。

もっともダメなのは、1週間の疲れがたまって家でゴロゴロして過ごすパターン。
のんびり休んだつもりでいても、月曜の朝になっても疲れが取れていないことが多いのです。

筋肉は動かさないと固まっていき、血流が悪化します。
ゴロゴロしていると、心は休んでいても身体の血流は悪化。
筋肉の疲労をとるためには、軽く動かしたほうがいいのです。

軽く身体を動かしながらとる休息が「アクティブレスト」。
週末は、気持ちのいいところへ行って散歩やサイクリングを楽しみ、日曜日の夕方には帰宅してゆっくり入浴し、美味しい食事を摂り、少し早めに就寝するのがおススメです。

3-5. 紫外線対策

意外と知られていないことですが、日々の紫外線対策は、ストレスケアと深くかかわっています。

日焼けをすると、それだけでストレスになりますよね。
皮膚が赤くなって火傷を起こしてしまうと、さらに大きなストレスになります。
しかし、日焼けに至らなくても、紫外線にあたると皮膚で活性酸素が大量に発生するので、それだけで交感神経が活性化してストレス反応を起こすのです。

肌の健康を保つという理由だけでなく、ストレスケアのためにも紫外線対策をしっかり行いましょう。
帽子や日傘、日陰などを上手く利用して、必要なときには日焼け止めを使わなくてはいけません。
日焼け止めは、肌の負担が大きい吸収剤ではなく反射剤を使用したもので効果が強すぎないものを選び、2~3時間経ったら塗り直し、帰宅したらしっかり洗い流すのがポイントです。

まとめ

「ストレス解消」とはいえ、ストレスは「解消」できるものではなく、無意識のうちに行えるケアで忘れることが大切だということをおわかりいただけましたか?

簡単なことばかりを集めてみましたが、全てを実践しなければいけないというわけではありません。
環境や身体の状態は誰もが同じではなく、ストレスも個人によって違うのですから、自分が楽になれそうな事柄をできることからはじめてみましょう。

 

もう1点、ストレスについて大事な知識を最後に。
ストレスは病気や老化の原因になることから、よくないものと考えられがちですが、心と身体によい影響を与えるストレスもあります。

適度なストレスがなければ、充実感や達成感は生まれませんし、人間が成長していくこともできないでしょう。
どこからが「悪いストレス」になるかということには、個人差があります。

やはり、自分のストレスをよく知ることが大事
そこが、ストレスケアの難しさでもあるといえますね。

 

【参考資料】
・『5分でできる「プチ・ストレス」解消術』 保坂隆 監修  PHP文庫 2017年
・『超ストレス解消法』  鈴木祐 著  鉄人社  2019年

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