鏡で自分の顔のたるみを見ると、肌の老化が心配になりますよね?
若い頃は考えたこともなかったのに、いつの間にか進行していた目元や口元のたるみが、悩みの種になってしまう人はとても多いのです。
シワやたるみは、他人に老けた印象を与えてしまうので、コンプレックスを抱えてしまう人もいます。
しかし、老化は誰もが避けることのできない自然な現象。
現実を受け入れて向かい合わなければ、改善も解決もありません。
まず、自分の顔の状態をよく知ることが、エイジングケアのスタートラインです。
どこにシワがあって、どこにどういうたるみがあるのかしっかり把握して、今の自分、さらには5年後10年後の自分を輝かせるスキンケアをはじめましょう。
ここでは、顔のたるみを6つの部位に分けて、それぞれに適したケア方法を解説します。
たるみを予防、改善して、5歳若返るテクニックを身につけましょう。
目次
2. 部位別のたるみ改善テクニック
2-1. 上まぶたのたるみ
2-1-1. 眼輪筋のストレッチ
2-1-2. 上まぶたのエクササイズ
2-1-3. アイメイク落としの見直し
2-2. 目の下のたるみ
2-2-1. 下まぶたのストレッチ
2-2-2. コラーゲンケア
2-3. 毛穴のたるみ
2-3-1. セルフピーリング
2-3-2. 正しい洗顔
2-4. 頬のたるみ
2-4-1. 頬のマッサージ
2-4-2. 口角アップエクササイズ
2-5. ほうれい線・マリオネットライン
2-5-1. UVケアと保湿ケア
2-5-2. 抗酸化化粧品
2-6. 頬からアゴのたるみ
2-6-1. 口元の筋トレ
2-6-2. リンパマッサージ
1. 顔のたるみができるメカニズム
肌のたるみは、シワと同じメカニズムによって発生します。
皮膚は、外側から「表皮」「真皮」「皮下組織」という3層の構造になっていて、厚さ0.2ミリほどの表皮は、外部からの異物侵入や体内の水分の蒸発を抑えています。
厚さ0.6~3ミリ(平均1.5ミリ)の真皮は、コラーゲンという線維が網目状のネットワークをつくり、そのところどころをエラスチンという線維が補強し、ヒアルロン酸などのゼリー状物質がすき間を埋めて、肌の弾力を保っています。
皮下組織は部位によって厚さが大きく変わり、大部分を皮下脂肪が占めてクッションの役割をするとともに、動脈や静脈が通っていて、肌に酸素や栄養を届けたり、老廃物を排出したりしています。
真皮が保てっているは肌の弾力は、コラーゲンやエラスチンが減って繊維のネットワークが変形すると失われていき、肌はハリをなくします。
真皮の70%を占めるコラーゲンは、線維芽細胞という細胞からつくられますが、40代以降は生産量がぐっと落ちます。
真皮が弾力を失っていくとヒアルロン酸による保湿力も低下し、顔の筋肉や骨に皮膚が吸着する力も落ちてしまいます。
こうした原因によって、皮膚や脂肪の位置が下がると肌はたるみます。
さらに、顔の筋肉が衰えることによって、たるみは進行していきます。
ほかにも、たるみを進行させる要因には、乾燥、紫外線、肌への刺激などがあります。
このような要因をケアして、たるみの予防と改善を行いましょう。
2. 部位別のたるみ改善テクニック
顔のたるみの現れ方には、腫れぼったい上まぶた、涙袋、たるみ毛穴、二重アゴなどがあります。
顔は部位によって構造に特徴がありますから、たるみにもそれぞれの部位に適したケアがあります。
とはいっても、顔の皮膚や筋肉はつながっていて連動しているもの。
スキンケアも筋肉のケアも、パーツ単位で考えるより顔全体として考えたほうが、効果的であることはいうまでもありません。
これから解説する各部位のケアには、ほかの部位のたるみにも好影響を与えるものが多いですから、状態に応じて組み合わせましょう。
2-1. 上まぶたのたるみ
目の周囲は皮脂腺が少なくて乾燥しやすい上に、まばたきで筋肉を酷使しますから、皮膚も筋肉も疲労しやすい部位です。
上まぶたのたるみは、垂れ下がった脂肪とむくみが主な原因です。
2-1-1. 眼輪筋のストレッチ
顔には左右あわせて20数か所の筋肉があり、その総称を表情筋といいます。
表情筋は、喜怒哀楽を表す表情をつくったり、言葉を発したりするときに連動して使われます。
表情筋がもつ、もう1つの大きな役割は、顔のリンパの流れを促すことです。
足の先、手の先、顔などから血液が回収しきれなかった老廃物を運んで、鎖骨の下で静脈と合流するリンパ管には、血管における心臓のようなポンプがありません。
リンパ液は、筋肉がリンパ管を刺激することによって少しずつ流されるのです。
ですからリンパ管周辺の筋肉が動かないと、リンパの流れが悪くなってむくみを起こします。
顔も表情筋を動かさないと、リンパが流れなくなってむくみます。
まぶたのむくみは、目の周囲にある眼輪筋という筋肉を動かすことで改善します。
まず、顔全体の表情筋をほぐすフェイスストレッチから行いましょう。
・フェイスストレッチ
① 目や口など顔のすべてのパーツを鼻に近づけるイメージで、ギュッと顔を縮めて5秒間キープしたら、元に戻します。
② 顔を縦に伸ばすイメージで、口を「お」の形のままアゴを引き下げ、頬骨から上は引き上げて5秒間キープしたら、元に戻します。
③ ①と②を5回繰り返します。
・眼輪筋のストレッチ
① 口を「お」の形に大きく開いたまま、頬骨より少し上に人差し指、中指、薬指の3本の指先を置いて軽く押し下げながら、目を大きく見開きます。
② 目線を真上にしたまま5秒間キープしたら元に戻し、5回繰り返します。
2-1-2. 上まぶたのエクササイズ
眉や目尻の筋肉を動かして上まぶたをほぐし、キリっとした目元を取り戻します。
① 目を閉じて、眉だけを上に引き上げて5秒間キープします。
② 右手の親指で左の目頭、人指し指で左の眉頭に押さえ、左手の中指で左の目尻を押さえて外側に引っ張り、5秒間キープします。
③ 目尻の指を離し、目頭だけを押さえて5秒間キープしたら、反対側も同様に行います。
2-1-3. アイメイク落としの見直し
上まぶたは、アイメイクで肌を傷めやすい部分です。
とくに気をつけなければいけないのが、クレンジング。
そして、肌をこすることです。
洗浄力の強いクレンジング剤には、肌に刺激を与える界面活性剤が多く含まれています。
界面活性剤とは、本来は混ざることのない水と油を混ぜる「乳化」のために、洗浄剤や化粧品に配合される添加物です。
メイクの油分は、クレンジングの乳化によって肌から浮かさないと落とせません。
簡単に落ちるからと、洗浄力の強いクレンジングを毎日使っていると、まぶたはダメージを重ねて肌をたるませる原因になります。
しかし、洗浄力の弱いものを使うと、メイクを落とそうとしてまぶたをこすってしまいがち。
ただでさえ危ない界面活性剤を肌にのせ、さらにこすってしまうとダメージは大きくなります。
クレンジングを肌にのせている時間は1分以内にして、絶対にこすらないことが大事です。
目元や口元のポイントメイクには、専用のリムーバーを使うようにしましょう。
さらに肌にやさしいのは、肌の保護などに使う精製オリーブオイルで落とす方法です。
メイクを落とす力は弱くなりますが、肌が敏感な人や荒れてしまった人にはおすすめです。
2-2. 目の下のたるみ
目の下はとくに皮膚が薄いので、眼球のまわりにある脂肪を支えきれなくなると、下まぶたの皮膚がぷくっと膨らんで「涙袋」という状態になります。
涙袋は目を大きく見せたり、可愛いイメージをつくったりするので、若い人の間ではわざわざ強調するメイクをする風潮もありますが、そう見えるのは、あくまでも顔にハリがある場合です。
若い頃には魅力的に見えていた涙袋も、加齢とともに、たるみとして目立ってきてしまいます。
2-2-1. 下まぶたのストレッチ
目の下から頬にかけての筋肉を伸ばして、目の下の肌トラブルを改善します。
こわばっている表情を明るく変える効果もあります。
眼輪筋ストレッチとセットで行うと効果的です。
① 眼輪筋ストレッチのキープの状態から、下まぶたを上げて目を閉じたら5秒間キープします。
下に軽く力を加える指先と、下まぶたの間を広げるイメージです。
② 5秒経ったら下まぶたを戻して、指先を置いたまま力を抜いてリラックス。
一休みしてから、同じ動作を5回繰り返します。
2-2-2. コラーゲンケア
コラーゲンを増やすことは、シワやたるみ全般に対してもっとも有効なケアです。
とくに目元はデリケートな部位ですから、真皮のケアが効果を発揮します。
コラーゲンは、食べたり飲んだりして口から摂取しても、肌に塗っても、そのまま真皮に定着することはありません。
コラーゲンやエラスチンは細胞ではありませんから、表皮細胞のように細胞分裂で増えるわけではありません。
真皮に存在する線維芽細胞によって生成されます。
ですから、コラーゲンの生成を高めるためには、材料となるタンパク質や、生成を促す作用をもつ成分を補給する必要があるのです。
食事で良質なタンパク質を摂取するとともに、コラーゲンの生成を促す作用がある「レチノール」や「ビタミンC誘導体」を配合した化粧品をスキンケアに取り入れましょう。
目元のたるみについては「目元美人になる20のテクニック-マイナス5歳を印象づけるケア」の記事でも詳しく取り上げていますので、参考にしてみてください。
2-3. 毛穴のたるみ
たるみが気になりはじめる初期症状として多いのが、頬などの毛穴が開くことによる「たるみ毛穴」です。
若くてハリのある肌は、毛穴の周りを弾力性のある真皮が支えています。
しかし、加齢によって肌が弾力を失うと、縦に伸びた毛穴が集まってたるみを形成するようになります。
毛穴自体は減らすことも小さくすることもできないので、あまり神経質にならないほうがいいのですが、たるみ毛穴は、たるみを改善することで目立たなくすることが可能です。
毛穴には皮脂腺があって皮脂が分泌されているので、ニキビなどのトラブルを抱えやすい部位です。
たるみのケアとともに、毎日の洗顔でしっかり皮脂を落としてから、保湿ケアを怠らないようにしましょう。
毛穴のたるみが気になる方は「顔の毛穴がわかる7項目-毛穴が目立つ理由とタイプ別ケア方法」の記事もあわせてお読みいただくことをおすすめします。
2-3-1. セルフピーリング
毛穴の汚れを取るには、定期的なピーリングが有効です。
ピーリングは、酸の力を利用して古くなった角質を取り去り、肌の再生を促すものです。
ピーリングは、古い角質が溜まって角質が厚くなってしまう「角質肥厚」の対処法として知られますが、毛穴に皮脂が詰まったり、角栓ができたりすることも防ぎます。
角栓とは、皮脂と古くなった角質が混ざって毛穴に詰まってしまうものです。
AHA(フルーツ酸)が配合された市販のピーリング剤を使って、週に1~2回のセルフピーリングを行えば毛穴のケアになります。
ピーリングを行って肌の吸収力が高まっている状態で、レチノールが配合された美容液を使えば、コーラゲンケアの効果もアップします。
市販のピーリング剤は皮膚科などで使用するものより濃度が薄くなっていて、安全に使えますが、レチノールがピリピリ感じる場合は、ビタミンC誘導体を用いるといいでしょう。
2-3-2. 正しい洗顔
目立つ毛穴のケアは、洗顔によって皮脂をしっかり洗い流すことが大事です。
時間が経った皮脂は酸化して目立つようになるばかりでなく、黒ずみやニキビなどの原因にもなります。
洗顔は、スキンケアでは基本中の基本ですが、意外と正しくできていない人が多いものです。
今一度、自分の洗顔を見直してみましょう。
洗顔料は、自分の肌質に合ったものを選ばなければいけません。
洗い終わったときに、少々肌がつっぱる程度の使用感があるものです。
洗顔料もクレンジング剤と同様に、界面活性剤をはじめとする添加物がいろいろと含まれています。
肌に刺激を与える添加物が比較的少ないのは、固形タイプの石けんです。
固形タイプの石けんは、洗浄力が強めのものから弱めのものまでそろっているので、弱めのものから試してみて、自分の肌に合ったものを見つけましょう。
2-4. 頬のたるみ
「ブルドッグフェイス」とも呼ばれる頬のたるみは、表情筋の疲れや衰え、脂肪の蓄積が原因です。
表情筋が衰える要因の1つに、「表情グセ」があります。
同じ表情ばかりしているために、表情筋が固まってしまうのです。
同じ表情など続けられるものかと思われるかもしれませんが、ひとりでいる時間が長い人や、パソコン使用などのデスクワークが続く人は、表情グセを起こしてたるみにつながっているケースが多いのです。
2-4-1. 頬のマッサージ
表情筋もほかの筋肉と同じように、緊張したり疲労したりすると収縮して血流が悪化し、老廃物の排出もできなくなって硬くなります。
頬周辺を中心とした表情筋をマッサージすることで、筋肉内の血行を改善して老廃物の排出を促しましょう。
中指と薬指の腹を使って、顔の内から外へとほぐしていきます。
① 頬骨の下を鼻のキワから外側へ、小さな円を描きながらマッサージします。
② 鼻と唇の間を内側から外側へ、小さな円を描きながらマッサージします。
③ 口角から外側に向けて、小さな円を描きながらマッサージします。
④ ①~③を3回繰り返します。
2-4-2. 口角アップエクササイズ
頬の筋肉をほぐしたら、口角を上げた笑顔をつくるエクササイズで、表情筋を引き締めましょう。
やり方は簡単、頬にある胸骨筋を意識して口角を上げるだけです。
肌が乾燥した状態で行うとシワの原因をつくってしまう可能性があるので、保湿ケアをしっかり行って、しっとり肌を維持しながら日常生活に取り入れましょう。
笑顔が、リラックスするホルモンの分泌を促すことは知られていますが、口角を上げる「つくり笑顔」でもリラックス効果が得られます。
リラックスも、たるみのケアには大切な要素です。
2-5. ほうれい線・マリオネットライン
鼻のキワから頬の下に向けてできる「ほうれい線」や、唇の両端からアゴに向けてできる「マリオネットライン」は、シワと間違えられがちですが、たるみが原因です。
頬の厚い脂肪を支えきれなくなって、顔全体が下がってきている状態です。
くっきりできてしまったほうれい線やマリオネットラインは、スキンケアや化粧品では解決しません。
本格的に改善するためには、美容皮膚科でヒアルロン酸注入などの治療をする必要があります。
ですから、予防と初期のケアで進行させないことが重要です。
口元のたるみやほうれい線の予防については「1週間で効果を出す顔ヨガの基礎コース-1日10分で10歳若返る」の記事もぜひ参考にしてみてください。
2-5-1. UVケアと保湿ケア
角層が乾燥していると、シワやたるみはより目立つという特徴がありますから、デイリーケアで角層の保湿をしっかり行い、角層をやわらかい状態に保つことが、たるみ全般を予防する1つのポイントです。
また、紫外線は真皮のコラーゲンやエラスチンのネットワークを分断し、減少させてしまいます。
日焼け止めや、UVカット効果が高いパウダーファンデーションによるUVケアを欠かさないようにしましょう。
しかし、日焼け止めは肌に大きな負担をかけて、シワやたるみの原因をつくってしまうこともあるので、スポーツやレジャーなどで紫外線を長時間浴びるときだけに限定使用し、日常は日陰、日傘、帽子などをうまく活用して紫外線対策を行うのが得策です。
2-5-2. 抗酸化化粧品
シワやたるみの予防には、肌の老化を進める活性酸素を除去する抗酸化化粧品が有効です。
アンチエイジング化粧品に配合される抗酸化成分には、ビタミンC、ビタミンE、アスタキサンチン、アントシアニン、コエンザイムQ10、フェルラ酸などがあります。
抗酸化成分は食事で取ることも効果的で、とくにビタミンA、C、Eは一緒に摂取することによって、高い相乗効果が期待できます。
2-6. 頬からアゴのたるみ
頬からアゴにかけては顔の中でも脂肪が厚く、たるみが発生して二重アゴになりやすい部分です。
二重アゴの予防や改善は、表情筋を柔軟にすることと、表情筋を動かしてリンパの流れをよくすることがポイントになります。
2-6-1. 口元の筋トレ
頬からアゴにかけての表情筋を鍛えて、引き締めましょう。
ペットボトルを使用する口元の筋トレを紹介します。
① 小さなペットボトルに少量の水を入れ、歯を使わず唇だけでもち上げて、10秒間キープします。
② 一休みをはさんで3回繰り返し、慣れてきたらじょじょに水の量を増やします。
口にはさんで使う、口元の筋トレ用マウスピースも効果的です。
どちらも、筋肉を使ったらよくもみほぐすアフターケアを忘れずに。
2-6-2. リンパマッサージ
顔のリンパは、顔の中心から外側へと流れ、首筋を通って鎖骨に向かいます。
表情筋の衰えで流れなくなったリンパを直接マッサージして、しっかり鎖骨下まで流してあげましょう。
① 両手の親指以外の4本の指で、両目の外側を上から下へ5回さすります。
② 耳の前方を上から下へ5回さすります。
③ 耳の後方から首筋に沿って、上から下へ5回さすります。
④ 鎖骨の内側から外側へ5回さすります。
このマッサージで、顔のリンパが流れることを実感できます。
まとめ
顔のたるみは、表情筋の衰えと、真皮のコラーゲンが減少することに大きな原因があります。
加齢という、誰もが避けることのできない要因が大きいことは確かです。
しかし、食生活や睡眠、運動などの生活習慣も大きな影響を及ぼしています。
意外と大きな影響を及ぼすのが、ストレスです。
ストレス過多の生活を続けていると心身に悪影響を与えることは、誰もが知るところでしょう。
ストレスは体内で活性酸素を発生させるので、老化を進行させます。
さらに、ホルモンの分泌にも影響を及ぼすので、じわじわと皮膚のたるみも悪化さていきます。
生活習慣の見直しやストレスケアも、たるみの予防と改善に取り入れましょう。
【参考資料】
・『最新版 肌美人になるスキンケアの基本』 学研パブリッシング 2014年
・『素肌美人になれる正しいスキンケア事典』 高橋書店 2010年