仕事もプライベートも忙しくて、なんだかグッタリ。今日は元気の出るものを食べたい!……と思ったとき、何を選びますか?
もちろん、好きなものを食べて元気を出すのが一番ですが、疲労回復に効果のある食べ物を知っていたら、もっと心強いと思いませんか。
疲れたとき頼りになる栄養素や、おすすめの食べ物、まとめてご紹介します。
目次
1.疲労の正体を知る
疲労は、大きく分けて二つのタイプに分けることができます。身体を使ったあとに起きる肉体疲労と、頭脳労働や気疲れによる精神疲労です。両方の疲労が重なることも多く、簡単に区別できるケースばかりではありませんが、どちらも、食事や睡眠をしっかりとれば回復するのが基本です。
もし、なかなか回復せず、疲れの上に疲れが重なっていくなら慢性疲労。放っておくとさらに弱って、生活習慣病や、大きな病気につながってしまいます。できるだけ早めに改善したいところです。
2.疲労時に摂りたい栄養素
身体を動かすエネルギー源になるのは、主に炭水化物、脂質、たんぱく質の三大栄養素です。そして栄養素をエネルギーに変換し、体内へ吸収させるために、さまざまなビタミンやミネラルがサポートしています。特に、ビタミンB群(B1・B2・B6・B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン)やビタミンCが重要です。
疲労時には、このエネルギーの回路に関わる栄養素を、意識的に摂っていきましょう。
炭水化物
エネルギー源として最も重要な栄養素です。糖質と食物繊維が合わさったもので、エネルギーになるのは糖質の部分。他に、砂糖やはちみつなども糖質の仲間です。
また、糖質が分解されてできる「ブドウ糖」は、脳の唯一のエネルギー源。頭脳労働で疲れたとき、甘いものがほしくなるのはこのためです。
代表的な食べ物:米、小麦、芋
たんぱく質
筋肉や臓器、皮膚や骨など、身体全体をつくるのに重要な栄養素です。肉や魚、豆類などに多く含まれます。身体が疲れたときは、たんぱく質を補うのが有効。スポーツする人を中心に好んで飲まれるプロテインも、主成分はたんぱく質です。
代表的な食べ物:肉・魚・大豆・卵
ビタミンB群(主にビタミンB₁・B₂)
三大栄養素を分解し、エネルギーに変換するとき重要な役割を担うのが、ビタミンB群です。特にB₁・B₂が不足すると、エネルギー変換がうまくいかなくなり、疲れやすくなります。ビタミンB群は水溶性で、体内に長く溜めておくことができないので、こまめに補給することが必要です。
代表的な食べ物:豚もも肉、鶏むね肉、うなぎ、まぐろ、レバー、納豆、空豆
アリシン
ビタミンB₁が効果的に体内へ吸収されるための、手伝いをします。アリシンの豊富な食材を一緒に摂ると、新陳代謝や疲労回復効果が高まります。
代表的な食べ物;タマネギ、にんにく、にら
ビタミンC
脂質をエネルギーに変換するときに関与します。また、様々なストレスによって発生する活性酸素を体内から取り除く、抗酸化作用も強いとされています。
代表的な食べ物:レモン、じゃがいも、キウイ、ブロッコリー、トマト
イミダゾールジペプチド
近年注目を浴びている抗酸化物質です。イミダペプチド、と表記されることもあります。
長時間運動し続ける渡り鳥や、カツオ・マグロなど回遊魚の筋肉に多く含まれていて、食べると人の筋肉にも有効に働き、運動機能が向上したり、筋肉疲労や脳疲労が改善されるといった報告があります。1日200㎎のイミダゾールジペプチドを、2週間続けて摂り続けると効果が出るそう。
代表的な食べ物:鶏むね肉、カツオ、マグロ
3.疲れた時におすすめのレシピ
疲れたときには、疲労回復の助けになる栄養素をたくさん含んだ食べ物を摂りましょう。栄養ドリンクで補助するのも悪くありませんが、毎日続くのは危険。口から食べ物を入れて、噛み、消化するという刺激を与えないと、消化器も身体もどんどん衰えてしまいます。頑張れるときは、簡単な自炊をしてみましょう。おすすめの料理を3つご紹介します。
納豆そば
①茹で蕎麦1人前(湯をかけてほぐしておくと良い)を丼に入れる
②納豆1パックと卵1個を蕎麦の上に入れる(先に混ぜてからのせても良い)
③きざみネギや大根おろしなどを好みで加える
④上からめんつゆをかけ(濃縮タイプなら控えめに)、よく混ぜて食べる。
火を使わずパパッと作れる残業お助けメニュー。
納豆も卵も、たんぱく質やビタミンを多く含んだ栄養素の宝庫です。疲労回復や抗酸化効果が期待できます。
寒い時期なら、温めためんつゆをかけて。
ソーセージとトマトのオムレツ
①ソーセージとトマトを一口大に切る。
②卵を溶いて、塩コショウをひとつまみ入れる。(マヨネーズをひとさじでも良い)
③ソーセージとトマトを軽く炒め、溶き卵を入れて、オムレツの形に整える。
オムレツ型が難しければ、スクランブルエッグ状態で十分です。
トマトにはビタミンCやリコピンという抗酸化成分が豊富なので、普段から積極的に摂りたい食材。ソーセージや卵のたんぱく質と合わせて。
鶏むね肉のスープ
最近あちこちで注目されている、おすすめの一品。鶏むね肉には、イミダゾールジペプチドという、優秀な抗疲労成分が多く含まれています。これは水溶性なので、スープにして飲むのが効果的。以下に、一番シンプルなやり方を紹介します。
①鍋に5カップ(1リットル)くらいの湯を沸かす。
②鶏むね肉を1~2枚そのまま入れ、30分煮る。
③2、30分放置する
④肉を取り出し、スープの方に塩胡椒をして味を調える。
⑤むね肉を刻んで具にしたり、梅干しや、酢、生姜などを入れたりして、自由にアレンジして飲む。
⑥茹でたむね肉は、細かく裂いて棒々鶏風サラダにしたり、薬味と一緒に塩とゴマ油で和えものにしたりと、別の料理に色々使えます。
むね肉は火を通しすぎると固くなるので、柔らかく食べたいなら、沸騰した湯に入れた後、煮る時間を5分ほどにしておきます。
放置している間にゆっくり加熱が進みます。
スープの具として、アリシンが豊富な玉ねぎなどを入れると、ビタミンB1の吸収もはかどりますよ。
イミダゾールジペプチドは、2週間摂り続けた頃から効果が出るとされています。相性が良さそうなら、ぜひ続けてみて下さい。
4.疲れた時にコンビニで買える食べ物
自炊する余力も、外で食べて帰る元気もない時は、コンビニでさくっと買えるものを頼りにしましょう。今はコンビニ各社とも、添加物を抑えた美味しくて便利な商品を色々開発しています。冷凍食品もレトルトも缶詰も、頼りになりますよ。
サラダチキン
鶏むね肉に味をつけて加工し、そのまま食べられるよう真空パックにして売られています。
人気商品なので、今は大抵のコンビニにあるはずです。
そのまま食べるのはもちろん、冷凍ご飯と一緒に雑炊に仕立てるなど、アレンジするのもおすすめです。
とろろ蕎麦や納豆巻き
エネルギーになる炭水化物が摂れるほか、とろろや納豆などのネバネバした食材には、ムチンという成分も入っています。
滋養強壮はもちろん、粘膜を保護したり、血液をサラサラにするなどの効果があります。オクラやめかぶも良いですよ。
チーズ
たんぱく質とカルシウムを手軽に摂れる、優秀な食材です。
チーズ単品のほか、チーズをたっぷりかけた料理も、各コンビニでいろいろ販売されています。疲労回復のためには、ビタミンB群もたくさん摂れるメニューを選びましょう。
野菜グラタンや肉丼、ハンバーグなどにチーズがのっているものがおすすめです。
甘酒
甘酒には、ビタミンB群やアミノ酸が豊富に含まれています。
また、食物繊維やオリゴ糖など、腸内環境改善に効く成分が含まれているのも嬉しいところ。
食欲がない時や、何か食べる時間がない時など、栄養ドリンクの代わりとしておすすめできます。
カットフルーツ
パイナップルやリンゴなどのカットフルーツは、ビタミンCと糖質である果糖が豊富。
バナナを売っているところもありますね。フルーツのたくさん入ったヨーグルトなら、脂質やカルシウムも摂れます。
5.疲れた時に嬉しい差し入れの食べ物
仕事で疲れているときに、軽い差し入れをもらうと嬉しいですよね。
デパートで買う高価なお菓子も良いけれど、ここでは、スーパーやコンビニで手に入るものをおすすめします。お互い気軽に、あげたりもらったりできて良いですよ。
選ぶときのコツは、「食べるときに手間がかからないもの」「個包装のもの」です。
相手の好きなものや、寒いときに温かいもの、暑いときに冷たいもの、といった気遣いがプラスできたらなお良いでしょう。
チョコレート
糖分をすばやく摂ることができる、差し入れ鉄板アイテムです。
抗酸化成分であるカカオポリフェノールも含まれています。カカオ成分が多いものを選ぶなら、ビター(ダーク)やハイカカオがおすすめ。
ドーナツ
糖分補給だけでなく、空腹を満たすボリュームがあるのも嬉しい。
ダイエット中の人には避けられがちですが、動くためにはカロリーも必要です。
どうぶつの顔がデコレーションがしてあるなど、可愛い見た目のドーナツなら、テンションも上がります。
栄養ドリンク
身体を使う場所への差し入れなら、直球勝負で、栄養ドリンクのセットも喜ばれるかもしれません。
制度改正により、製品の表示が以前よりわかりやすくなっているはずなので、確認して、「疲労の回復・予防」と書いてあるものを選ぶと良いでしょう。
果物100%ジュース
果糖とともに、ビタミンも摂れます。小さいパックをいくつか揃えて差し上げてみては?
果汁100%のゼリーも良い差し入れになりますが、冷蔵庫がない場所だと、溶けて液体に戻ってしまうので要注意です。
フリーズドライのスープ
先方に給湯施設があるなら、フリーズドライのスープやリゾットを差し入れするのもおすすめです。
化学調味料無添加のものを選べば、なお良いでしょう。
6.疲れた時におすすめのお菓子
疲れたときは甘いもの!
そう感じる人も多いでしょう。実際、糖は最初にエネルギーになるものですし、脳が使える養分は、糖から変換されたブドウ糖だけです。
甘い物を少しつまむのは、とても理にかなっています。
以下に少しおすすめを挙げておきます。参考にしてみて下さい。
ドライフルーツ
甘い物は欲しいけど、チョコレートは苦手…という人は、ドライフルーツがおすすめです。
パイナップルやパパイヤ、リンゴのドライフルーツなどは、かなり強い甘みで満足度高いですよ。胃腸が疲れているときは消化不良にならないよう量を控えるか、無糖ヨーグルトに一晩浸してみて下さい。翌朝にはプルプルに復活した果物入りの、濃いヨーグルトが楽しめます。
ラムネ
ブドウ糖で作られたラムネなら、直接エネルギーになります。
頭脳労働の息抜きに食べたいお菓子です。商品によっては、砂糖とコーンスターチで出来ているラムネもありますので、必ず成分表を確認して、ブドウ糖と書いてあるものを選んで下さい。
羊羹
小豆のお菓子もおすすめです。
小豆にはビタミンB1、B2や、ポリフェノール、鉄分など、さまざまな栄養素が詰まっています。空腹なら饅頭や大福餅、少しだけ食べたいときには小豆の甘納豆など、選んでみましょう。常備しておける、という点でもおすすめしたいのが小豆羊羹です。食べきりサイズの小型羊羹もありますよ。
まとめ
何となく疲れているときは、食物の代謝が偏って、エネルギーがうまく回っていないことが多いものです。
たんぱく質やビタミンB、ビタミンCなどを中心に、疲労回復に効果的な食材を積極的に摂りましょう。
忙しくて疲れて、動きたくないからと、食事を抜いてしまうのが一番良くありません。軽い間食や、コンビニ飯なども利用しつつ、食事のサイクルを整えましょう。
【参考資料】
『食材事典』 廣田孝子/監修 学研
『からだにおいしいキッチン栄養学』 宗像伸子/監修 高橋書店