瞑想にチャレンジしたことのある人も、これからやってみたいと考えている人も、瞑想の効果については興味がありますよね。瞑想することで得られるメリットは、身体的な側面と精神的な側面の両方にあります。
以前は修行僧など特別な人たちだけがおこなうというイメージのあった瞑想ですが、今では個人的に習慣としておこなう人もいますし、研修のひとつに瞑想を取り入れている企業も多く存在します。それは瞑想することによって、明らかに良い効果があるからです。
「静かに座って目を閉じ、呼吸を整える」というただそれだけのことで、なぜ人にとって身体的にも精神的にも良い効果が現れるのでしょうか。
また、それらの瞑想の効果は科学的にどこまで証明されているのでしょうか。瞑想の効果とそのエビデンスの存在、認知科学者や脳外科医の見解について調べました。
さらに、日本の厚生労働省はアメリカの国立補完統合衛生センター(NCCIH)の研究結果を元に「瞑想には一定の効果があると考えられる」として「マインドフルネス瞑想」と「TM(超越瞑想)」を紹介していますので、そのふたつの瞑想の効果について詳しくご紹介していきます。
瞑想をする前に知っておくことで、瞑想を継続するモチベーションにつながると思いますよ。
目次
1. 瞑想をすることで得られる効果
1-1. 瞑想することそのものによる効果
1-2. 瞑想を続けることで得られる効果
2. 瞑想の効果は立証されているのでしょうか
2-1. 日本の厚生労働省の考え方
2-2. アメリカの国立補完統合衛生センター(NCCIH)では
2-3. 脳機能科学の観点から
2-4. 脳外科医の見解では
3. マインドフルネス瞑想と超越瞑想
3-1. マインドフルネスの効果
3-2. 超越瞑想の効果
4. 瞑想の効果としての「引き寄せ」
4-1. 引き寄せの法則とは
4-2. 瞑想が引き寄せの法則をもたらす理由
5. (まとめ)瞑想の効果を信じて続けてみましょう
1,瞑想をすることで得られる効果
1-1,瞑想することそのものによる効果
目を閉じて静かにしているという瞑想そのものによる効果には以下のようなものがあります。
・呼吸が整い身体に充分な酸素が行き渡る
・思考が整理される
・自分の考え方の癖に気づく
・頭がスッキリする
・精神統一される
・イライラが落ちつく
・疲れが取れる
1-2,瞑想を続けることで得られる効果
瞑想を毎日続けることで得られる効果には個人差がありますが、このようなものがあります。
(身体的な面)
・高すぎる血圧が下がる
・糖尿病、動脈硬化などの生活習慣病が改善される
・アルコールなどの依存症が改善される
・若返り効果がみられることがある
(精神的な面)
・うつ病が改善される
・日頃の幸福感が増大する
・過剰な怒りや悲しみが減少する
・ストレスが軽減される
2,瞑想の効果は立証されているのでしょうか
2-1,日本の厚生労働省の考え方
日本の厚生労働省はアメリカの国立補完統合衛生センター(NCCIH)の研究結果から、瞑想には一定の効果があると“考えられる”としています。
厚生労働省は「総合医療」に係わる情報発信等推進サイトの中で「瞑想の効果」についてこう解説しています。ある種の瞑想には、交感神経系の働きを抑制し、副交感神経系の働きを促進する作用があるかもしれないと考えられています。
ある研究分野では、精巧な装置を用いて、瞑想が脳機能の有意な変化に関連しているかどうかを研究しています。研究者の多くが、様々な瞑想の効果により脳機能の変化が起きていると考えています。
また、瞑想の効果は注意力の向上によって得られている可能性もあります。注意力は日常作業の遂行や感情のコントロールに関わっているため、他にも瞑想の効果が認められるかもしれません。
2007年にNCCIHの助成により実施された科学論文のレビューでは、瞑想が健康上有益と考えられる変化に関連している可能性を示唆するエビデンスを見出しました。しかしながら全面的に支持する結論には達しませんでした。レビュアーらは、確実な結論を導くためには、今後、さらに厳密な研究を行う必要があると述べています。“
今のところはまだ瞑想の効果が科学的に証明されたとは言えないようですが、臨床研究では効果が見られているという段階なのですね。
厚生労働省「『総合医療』に係わる情報発信等推進サイト
http://www.ejim.ncgg.go.jp/public/overseas/c02/07.html
2-2,アメリカの国立補完統合衛生センター(NCCIH)では
アメリカの国立補完統合衛生センター(NCCIH)では、瞑想の中でも「マインドフルネス瞑想」と「TM(超越瞑想)」のふたつに関して効果が期待できるとして研究を進めています。
国立補完統合衛生センター(NCCIH)は、患者に対する治療を西洋医学のみでなく東洋医学など様々な面から行うことを推進しています。
西洋医学に替わって東洋医学で治療するという「代替医療」ではなく、それぞれの良いところをお互いに補い合う「補完」の考え方は世界でも認められています。
今のところ瞑想は治療方法とは言えないものですが、患者本人からの聞き取り調査によって瞑想によって身体の痛みが軽減したり、精神的な苦痛が取り除かれたりするといった効果は認められています。
脳波測定器などの開発が進むことで瞑想中に身体に何が起こっているのか、それが疾病に対しどのように作用するのかがようやくわかり始めているという段階です。
2-3,脳機能科学の観点から
認知科学者の苫米地英人さんは著書「超瞑想法」の中で「瞑想によって情報空間を書き換えることができる」と説明しています。
情報空間を書き換えると現実の物理空間に現れるものが変わります。つまり、夢を叶えるための方法として瞑想は役立つという考え方です。
「情報空間」と「物理空間」は抽象度の高さによって表現されます。もっとも抽象度が低いのは、私たちが五感で感じることができて物理的な法則が働いている「物理空間」となり、抽象度が高くなると「情報空間」になります。
「情報空間」の中の特定の座標を「情報場」と呼び、これは人間の数だけ存在します。
なぜなら脳はこれまでの経験から特定のものに対する情報を持っているからです。
特定の「情報場」はその写実として、低い抽象度である物理空間に現れます。苫米地さんはわかりやすい例を挙げています。私たちの多くは、神社に行くと「清まった空気」や「良いエネルギー」「清々しさ」などを感じますよね。
これは、情報空間の中の特定の座標である「神社」という情報場に対して私たちが情報を持っているからです。「神社」に対して日本人が持っている情報が物理空間に実際に現れているのです。
ですから、外国人や幼い子どもは神社に入っても何も感じないはずだといいます。このように、自分が持っている情報空間を書き換えることは現実を変えることになります。
自分が持っている情報空間は、親や教師などによる洗脳、テレビや新聞などのメディアによる洗脳、過去の記憶などによって歪められています。
瞑想をすることでこうした歪みに気づき、物事を正しく見ることができるようになり、これまでの自分なら「不可能」のレッテルを貼ってしまうような夢も「可能」と思えるようになります。そうなると、夢だったものやことが物理空間に現れるというわけです。
2-4,脳外科医の見解では
最先端脳外科医の篠浦伸禎さんは、著書「脳と瞑想」の中で、瞑想について「私たちの動物的な情動や衝動をコントロールして幸せに生きるための鍵」と説明しています。
快楽ホルモンのドーパミンに左右されるのは脳の中でも古い脳、動物脳ともいえる部分です。人間はその古い脳の外側に新しい脳があり、理性があるために快楽にふけるということを抑制します。
瞑想は、動物脳が反応してレベルの低い行動をとらないようにコントロールできるようになるために役立つのだそうです。
実際に篠浦医師は自身のアルコール依存症気味だった酒の習慣を瞑想によって改善しています。「自己流でかなりいい加減な瞑想でも効果があった」と対談で話されています。
以前は頭の外側にたくさんの管をつける器具で脳波を測定するといったことで脳の働きを研究してきましたが、近年「覚醒下手術」によって脳の働きに明確な科学のメスが入りました。
麻酔薬の向上によって脳の手術を全身麻酔ではなく、患者さんの意識を働かせたまま行うことができるようになったのです。
そのことで、脳のどの部分が身体にどう影響するかがよくわかってきました。それまで脳外科医が信じていた従来の手術の常識が、いかに根拠がないものが多かったかよくわかったと篠浦医師はいいます。そうした最先端の脳外科医も、自身の体験から瞑想の効果を認めているのですね。
科学的に瞑想の効果のエビデンスが示される日も近いのかも知れません。
3,マインドフルネス瞑想と超越瞑想
アメリカの国立補完統合衛生センター(NCCIH)では、瞑想の中でも「マインドフルネス瞑想」と「TM(超越瞑想)」のふたつに関して効果が期待できるとして研究を進めていて、日本の厚生労働省も以下のようにそれに準じた考え方をしています。
マインドフルネス瞑想は仏教の重要な要素です。マインドフルネス瞑想に共通する技法の一つでは、瞑想者は体内に出入りする呼吸の流れの感覚に意識を集中するよう教えられます。瞑想者は今経験していることに反応したり判断したりせず、注意集中することを学びます。これは、日常生活において瞑想者が思考と感情のバランスや、受容を高めるのに大変役立つと考えられています。
TM(超越瞑想)法はヒンドゥー教に由来します。この瞑想法ではマントラ(静かに復唱する単語、音、または語句)を用いて心に入り込む雑念を追い払います。TMの目的は開放された気づきの状態に達することです。
「マインドフルネス瞑想」と「超越瞑想」についてその効果をご紹介しましょう。
3-1,マインドフルネス瞑想の効果
マインドフルネス瞑想の効果には次のようなものが挙げられます。
・集中力アップ
・コミュニケーション能力の向上
・共感力が上がる
・幸福度の向上
こうした効果の延長上には「集中力が上がり仕事の精度も上がって能率的に仕事がこなせるようになる」「コミュニケーション能力や共感力がアップして人に好かれるようになる」などの効果もあります。
マインドフルネス瞑想はただリラックスして瞑想するのではなく、自分の「今」の状態を観察しながら瞑想します。ですから、自分の考え方の癖に気がついたり、身体の本当の不調に気がついたりする「気づきの瞑想」とも呼ばれます。
ヨガ・瞑想講師の吉田昌生さんは著書の中で
「マインドフルネスの目的は、この『気づいている自分(=観察者の視点)』を養うことにあるのです。自分の中の感覚や思考を観察することで、『気づく力(アウェアネス)』を高めることがこの瞑想の目的です」と説明しています。
観察者の視点で自分を見ることができるようになると、普段の生活の中でも目の前に起こった出来事に対して落ちついて対処することができるようになります。
自分の視点からのみの狭い視野で問題を見るのではなく、様々な角度から起こった出来事を見ることができるようになるため、結果的にうまく事が運ぶようになるのです。
自分の視点からだけ出来事を見ると、どうしても自分にとって都合が良い結果になって欲しいという偏った考え方になります。ときに自分の保身のために相手に対して攻撃的になってしまうこともあるでしょう。
しかしマインドフルネス瞑想によって観察者の視点を手に入れると、自分にとっても相手にとっても良いと思える解決法をみつけられるようになります。お互いがWINWINの関係を築くことができるので人間関係も良好になります。
3-2.超越瞑想の効果
超越瞑想は、資格のある指導者によって広められている瞑想で、その効果については多くの報告があります。
・自己実現
・より良い人間関係
・ストレス解消
・健康の増進
・脳の開発
2015年3月1日にテレビ朝日で放映された特別番組「世界の天才教育、林修のワールドエデュケーション」では超越瞑想を取り入れている学校について紹介されました。
http://www.tm-meisou.org/blog/archives/7296
注意欠陥多動性障害(ADHD)の子ども達を薬物治療ではなく瞑想によって治癒していく取り組みについてのニュース番組がこちらです。
https://youtu.be/lB7pkGTnG20?list=PLUfUR8XdhE5bb_HB90YhPOnUStEsIkGIj
https://youtu.be/f_i70NJY2bQ?list=PLUfUR8XdhE5bb_HB90YhPOnUStEsIkGIj
https://youtu.be/dtOaGY7_KkM?list=PLUfUR8XdhE5bb_HB90YhPOnUStEsIkGIj
他にも刑務所内で受刑者が超越瞑想をすることで再犯率が下がったり、イラク戦争の帰還兵が超越瞑想によってPTSD(心的外傷後ストレス症候群)やうつの症状が減少したりといった効果が認められています。
超越瞑想は本やCD、DVDなどで学ぶことができません。
ひとりひとりが違うマントラを与えられ、指導者の下で超越瞑想法を学びます。どんな宗教の人でも学ぶことができるため宗教色は強くないといいますが、指導者は超越瞑想の創始者マハリシ・マヘーシュ・ヨーギーを崇拝しているようです。
無料説明会は各地で開かれています。実際に行ってみましたが、宗教のような勧誘は全くありません。
教室によって勧誘の度合いは違うのかもしれませんが、超越瞑想の効果、学び方、受講料金の説明があり「やりたいという人には教える」というスタンスですので興味のある方は安心して説明会に行ってみると良いですよ。
4,瞑想の効果としての「引き寄せ」
4-1,引き寄せの法則とは
引き寄せの法則とは、人が考えていることがその対象を引き寄せるということです。「世の中は不公平で自分には良いことなど起こらない」と考えている人はまさにそうした状況を引き寄せるため、良いことなど起こらない人生が続きます。
「まわりの人は親切で、いつも私はタイミングが良い」と考えている人はそうした状況を引き寄せるため、タイミング良く人に親切にしてもらう人生になるのです。ロンダ・バーンの「ザ・シークレット」にあるように、欲しいものを明確にイメージすること、すでに持っているような気持ちになるまでイメージすることで欲しいものを手に入れることができるのが「引き寄せの法則」です。
認知科学者の苫米地英人さんは「情報空間」を変えることで「物理空間」に現れるものが変わると説明していますが、「イメージする」ことで「情報空間を変えている」ということになるのですね。
瞑想することで、こうした「引き寄せの法則」を起こしやすくなる効果があります。
4-2,瞑想が引き寄せの法則をもたらす理由
瞑想することで「引き寄せの法則」が働きやすくなる理由はいくつかあります。
・自分の「情報空間」を変えることができるので引き寄せが起きる
・本当に自分が欲しいもの、望むことがはっきりするため引き寄せが起きる
・人とのコミュニケーションがうまくなるため引き寄せる時間が早くなる
・潜在意識に届ける言葉に不安が混じらなくなるため引き寄せの効果が上がる
引き寄せの法則を知って、欲しいものをイメージしたりなりたい自分になっている様子をイメージしたりしたことのある人は多いでしょう。
そして多くの人はうまくイメージできず、引き寄せも起こらず、「イメージが下手だから仕方ない」と諦めているのではないでしょうか。
瞑想の効果はいきなり明確に現れることはなく、毎日続けることが大切ということはすでにお話ししましたよね。引き寄せの法則もこれとよく似ています。
たまに気が向いたときだけ引き寄せたいものをイメージしても、苫米地さんのいうところの「情報空間」は変わりません。なぜなら「イメージしたくらいで、そうなるはずがない」という否定の気持ちが混じってしまうからです。
本当にそうなると信じられることなら毎日ハッキリとイメージできるはずです。その状態にならないと「情報空間」は書き換えられないということです。
そもそも、自分が本当に望んでいる状態や欲しいものを静かな気持ちで書き出したことがある人はどのくらいいるでしょうか。ほとんどの人はただなんとなく「今より良くなりたい」「あの人がうらやましい」と言いながら自分の気持ちに向き合うことすらできていないのではないでしょうか。
望むものすらわかっていない状態で、叶うはずがありませんよね。私たちには自分と向かい合うための静かな時間が必要です。一日の中で静かな気持ちになる時間をつくることができるのが瞑想です。瞑想することで引き寄せの法則を加速することができることがわかるでしょう。
(まとめ)瞑想の効果を信じて毎日続けてみましょう
瞑想の効果について調べてきましたが、今の段階では実際に瞑想した人の効果を確認するという形での研究結果しかないようです。
しかし、以前は全身麻酔で意識がないまま脳の手術をおこなっていたために仮定でしかなかったことが、麻酔の進歩によって意識のある状態で手術できるようになったため実際にはどうなのかがわかり始めていること、そしてそれ以前の医師の間での常識が覆っていることがわかりました。
脳の外側から脳波を調べるだけではなく、脳のどの部分をどのように刺激すると身体のどこがどう反応するかをダイレクトに試すことができる時代になっているのです。
いずれ瞑想によって起こる脳の変化がより具体的に明確にわかるようになり、なぜ瞑想をすると身体に良い影響があるのか、精神に良い影響があるのかが解明される日が来ることでしょう。
しかしそのような証拠が見つかるのを待つ必要はありませんよね。瞑想が良いとわかっているのだから、興味がある人はやってみるべきです。
瞑想は誰もが手軽にできる健康法といっても良いでしょう。ただし、健康法の多くがそうであるように、効果を自覚できるようになるまでには時間がかかります。
まずは1分からで良いから続けることが大切だといいます。
瞑想の良い効果を知った今なら、それを励みにして毎日続けられそうですよね。
(参考書籍)
「1分間瞑想法」吉田昌生 (フォレスト出版)
「超越瞑想癒やしと変容」ノーマン・ローゼンタール (さくら舎)
「脳と瞑想」プラユキ・ナラテボー 篠浦伸禎 (サンガ)
「超瞑想法」苫米地英人 (PHP文庫)
「からっぽ!」アンディ・プティコム (辰巳出版)
「ヒマラヤ聖者の知恵があふれる瞑想法」相川圭子 (主婦の友社)
「瞑想のすすめ」相川圭子 (SBクリエイティブ)
「始めよう。瞑想」宝彩有菜 (光文社知恵の森文庫)
「意のままに生きられる」A・スマナサーラ (国書刊行会)