フラワーエッセンスをご存知ですか?
花の持つエネルギーを水に写し取ったもので、人の心に働きかけ、心身のバランスを回復させてくれるとされます。
「アロマテラピーと同じもの?」「怪しい宗教?」……それは勘違い。
心身のケアのために世界各国で利用されている、自然療法のひとつです。
相性が良ければ、とても頼もしいサポート役になってくれることでしょう。
目次
1.フラワーエッセンスとは
18世紀末のドイツの医師ハーネマンが体系化した、ホメオパシーという自然療法があります。植物や鉱物などの力を得て作ったレメディ(治療薬)を利用して、私たち人間が本来持っている自己治癒力に働きかけるというものです。
このうち、植物から作るレメディを開発・体系化させ、38種類にまとめたのが、20世紀初頭のイギリス人医師、エドワード・バッチでした。
植物から作った治療薬は、「フラワーエッセンス」と呼びます。
バッチが開発したフラワー(花)のレメディ(治療薬)ということで、「バッチフラワー」や「バッチフラワーレメディ」と呼ばれることもあります。いずれも同じものです。
2.フラワーエッセンスの効果
フラワーエッセンスは、花の持つエネルギーを水に転写して作ります。アロマテラピーのように植物の「成分」を利用するのではなく、「花の持つエネルギー(波動)」を利用します。
病んだ身体を直接治癒する薬ではありません。どちらかといえば感情面に働きかけるものです。
落ち込むと胃が痛んだり、楽しいときは風邪をひきづらかったり、精神状態と体調は密接に繋がっていますよね。
そこで、精神のバランスが崩れて心身がネガティブな方へ傾いたとき、フラワーエッセンスで感情を整え、身体のバランスも回復させるのです。
フエラワーエッセンスは、人が本来持っている自然治癒力をサポートするものです。
3.フラワーエッセンスの種類
バッチ博士が体系化したフラワーエッセンスは38種類あります。
以下にその中から一部をご紹介します。
本格的に興味を持って、使ってみようと思う方は、ぜひ専門の書籍などを確認して下さい。
アスペン
漠然とした不安感にとらわれているときに
ビーチ
寛容さに欠け、他人を批判しがちなときに
チェストナットバッド
同じ失敗を繰り返しがちなときに
エルム
責任を引き受けがちで、重圧に潰れそうなときに
ハニーサックル
過去にとらわれ、今を生きられないときに
マスタード
理由が分からないまま鬱々とするときに
オリーブ
極度の疲労で心身共に消耗しきっているとき
パイン
罪悪感が強すぎ、無価値感におそわれるときに
ロックローズ
極度の恐怖やパニック状態のときに
スクレランサス
優柔不断で決断力がなく、不安定なひとに
スターオブベツレヘム
突然のショックやトラウマに
スイートチェストナット
精神的な苦しみの極地で絶望しているときに
ウォルナット
環境や人間関係の変化にうまく対応できないとき
ホワイトチェストナット
同じ思考にぐるぐる囚われてしまうとき
4.フラワーエッセンスの選び方
バッチの38種類のフラワーエッセンスは、アロマテラピーのオイルやハーブのように、症状にあわせて選ぶものではありません。
使う人の性格や精神状態、心理傾向などを見て、その時の感情に合ったものを選びます。
1種類でも、複数でも構いません。
今どのエッセンスが必要か、以下のように自分に問いかけてみましょう。
①今一番つらいのは、どんな感情ですか?
「怒っている」のなら、それがどういうタイプの怒りなのか、考えてみましょう。
カッとなって怒りがおさまらない感じ? イライラが続く感じ?
②その感情は、自分のどんな性格からくる感じ方ですか?
例えば「カッとしてしまう」なら、それは自分が潔癖だから? 短気だから?
③その感情は、今自分が置かれている状況に反応して起きていますか?
例えばその怒りは、「身近な人を亡くしたので」=「運命の理不尽さに怒っている」というふうに、自分で原因を特定できますか?
38種類のフラワーエッセンスには、それぞれ独自の癒やしの力があります。
自分自身に問いかけ、フラワーエッセンスの説明をよく読み、しっくりくるものを選びましょう。
専門の販売店に行くと、使い方をきちんと学んだ人が、選ぶためのアドバイスをしてくれることもありますよ。
5.フラワーエッセンスの作り方
フラワーエッセンスは、午前九時前に採取した花と、ミネラルウォーターで作ります。
花の種類によって、「太陽法」「煮沸法」どちらかの方法で作ります。
太陽法
午前九時前に、花の部分に直接触れないようにして花を摘みます。
ガラスボウルにミネラルウォーター250mlを入れ、水面が見えなくなるくらい花びらを浮かべます。
それを太陽光の当たる場所に3時間置きます。
時間になったら、葉っぱや小枝を使って花を取り除きます。指先が水に触れないよう注意します。
花を取り除いたあとの水に、保存のためのブランデーを同量入れてできあがりです。
煮沸法
午前九時前に摘んだ花を、ホウロウかステンレスの鍋に入れます。
かき混ぜるための木の枝も、花と一緒に採取します。
花の入っている鍋に、ミネラルウォーターを1リットル加えて火にかけ、沸騰したら30分煮沸します。
その後、野外で冷まし、木の枝を使って花を取り除きます。
残りの水を濾紙で濾して、保存のためのブランデーを水と同量入れます。
こうして作られたエッセンスを、10ミリリットルのブランデーに2滴落としたものを、ストックボトルと言います。
一般的に、販売されているフラワーエッセンスは、ストックボトルの状態です。
自作もできますが、今は通販などを利用して購入する方が現実的でしょう。
6.フラワーエッセンスの使い方
副作用の危険がなく、習慣性もないので、フラワーエッセンスは子供も老人も妊婦も使えます。
また、犬や猫などのペットに使うこともできます。
飲む方法が一般的ですが、肌につけたり、スプレーで周囲にまいたりする方法もあります。
市販のストックボトルから飲む
市販されているフラワーエッセンスは、スポイトの付いた遮光瓶に入っています。そのスポイトで直接舌に落とし(2滴)、そのまま飲みます。
飲み物に入れて飲む
水などの飲み物に2滴、混ぜて飲みます。
風呂に入れる
お風呂のお湯に、5~6滴加えて入浴します。飲むのに抵抗がある場合や、子供に使う場合におすすめです。
直接肌につける
手首や耳の後ろなどに、1~2滴、直接落としてつけます。
スプレーして使う
スプレーボトルに、無水エタノールかブランデーを10ミリリットルと、水20ミリリットルを入れ、フラワーエッセンスを3~4滴(数種類混ぜる場合は、それぞれ3~4滴ずつ)混ぜます。これをルームスプレーとして使います。
数種類を混ぜて、自分に合ったトリートメントボトルを作る
フラワーエッセンスをあらかじめ何種類か混ぜておき、自分に合った手当用のボトル(トリートメントボトル)を作ることもできます。
まず、スポイト付きの遮光瓶にミネラルウォーターを30ml入れます。
保存性を高めるために、ブランデーなどのアルコールを少量入れます。
そこへフラワーエッセンスを2滴ずつ入れて混ぜます。
これを1日4回、4滴ずつ飲みます。
スポイトで直接舌に垂らしても、飲み物に混ぜても構いません。できるだけ早めに使い切りましょう。
7.フラワーエッセンスは怪しい?
フラワーエッセンスは、花の薬効を取り出すのではなく、「水に花のエネルギー(波動)を転写して」その力を借りる、というものです。
スピリチュアルな思考と結びつきやすく、現代の科学や医療の常識に反する部分もあり、「科学的根拠がない胡散臭いもの」「ただのプラセボ効果」と議論を呼んでいることも確かです。
ですが、ここまで説明した通り、フラワーエッセンスは人間が本来持つ自然治癒力に働きかけるものです。
禁忌も副作用も習慣性もありません。
世界保健機関(WHO)が補完・代替医療(CAM)として認めており、世界80カ国以上で、現代医療のサポートとして活用されています。
利用することで感情が落ち着き心身のバランスを取り戻せた、ヒーリング効果があった等、効果を実感している人が確かにいます。
インナーチャイルドと向き合ったり、執着を手放すなど、自分の心の問題に向き合うきっかけになった人もいます。
もちろん、フラワーエッセンスだけですべて完治するというものではありません。
代替医療を過剰に評価し、現代医療に背を向けるのは危険です。
「これだけで癌治療に効果あり」などと、声高に断言する記事を信じてはいけません。
あくまでも、自然治癒力を取り戻すために併用するものと考えましょう。
まとめ
フラワーエッセンスは、人間が本来持っている自然治癒力に働きかけ、心身のバランスを整える手助けをするものです。
現代医療の代わりになるものではないので、つらい時は我慢しないで、医者にかかることも忘れずに。
日常的なセルフケアのサポートとして、上手に取り入れて下さい。
【参考資料】
『アロマテラピー ハーブ・バッチフラワーLESSON』 林真一郎 主婦の友社
『医師が教えるホメオパシーセルフケアバイブル』 中村裕恵 河出書房新社
『ニールズヤード式 女性のための症状別ナチュラルケアBOOK』
ニールズヤード監修 河出書房新社