乾燥肌は、対処が難しいですよね?
肌がカサカサになって粉をふいたようになることもあるので、メイクのノリも悪くなりますし、悪化すればいろいろな肌トラブルの原因にもなります。
「乾燥には水分」と誰しもが思いがちですから、とにかく毎日、化粧水をたっぷり使い、スプレー容器に入れて外でも顔にプシュプシュと吹きかけているという人が、いまだにいます。
実は、こうした「化粧水信仰」は乾燥肌のケアどころか、乾燥を悪化させる原因でしかありません。
ほかにも、間違ったスキンケアで乾燥肌の改善を遅らせたり、悪化させてしまったりしているケースがとても多いのです。
1日も早く乾燥肌を改善するために、ここでは、陥りやすい乾燥肌ケアの間違いをピックアップし、最新の皮膚科学に基づいて正しい対処法を解説します。
目次
1. 4つの肌タイプを知る
1-1. ノーマルスキン
1-2. ドライスキン
1-3. オイリースキン
1-4. オイリードライスキン
2. 間違いやすい15のNGポイント
2-1. NG①:乾燥肌の原因は空気の乾燥
2-2. NG②:乾燥肌はニキビの心配がない
2-3. NG③:肌のうるおいを守っているのは皮脂
2-4. NG④:肌の水分は外部から補給しなければいけない
2-5. NG⑤:たっぷりの化粧水で保湿ケア
2-6. NG⑥:飲むセラミドは効果が高い
2-7. NG⑦:保湿成分は天然セラミドを選ぶべき
2-8. NG⑧:クレンジングでしっかりメイクを落とす
2-9. NG⑨:ポイントメイクリムーバーを使う
2-10. NG⑩:乾燥肌にはぬるま湯洗顔がよい
2-11. NG⑪:保湿クリームは乾燥肌の強い味方
2-12. NG⑫:乾燥肌には弱い日焼け止めを使う
2-13. NG⑬:外出先ではスプレー化粧水が便利
2-14. NG⑭:シートパックかコットンパックで保湿
2-15. NG⑮: 1日に2リットルの水を飲む
1. 4つの肌タイプを知る
乾燥肌がどのようなものか理解するためには、4つの肌タイプを知る必要があります。
自分がどの肌タイプなのかは、洗顔料を使って洗顔してから、20分後の肌の状態で判別します。
通常時、洗顔後はすぐに保湿ケアをしなければいけませんが、このチェックのときだけは化粧水など何もつけずに20分間放置してください。
チェックする場所は、皮脂の分泌が少ないUゾーン(頬からアゴにかけて)の肌です。
・少しつっぱり感があったけど、次第にうるおってきている → ノーマルスキン
・顔全体がまだつっぱっている → ドライスキン
・皮脂が浮いてきてベタつきはじめている → オイリースキン
・つっぱりとベタつきの両方がある → オイリードライスキン
水分と油分のバランスで判断する、それぞれの肌タイプの特徴は次のようなものです。
1-1. ノーマルスキン
ノーマルスキンは、水分が多く、油分が少なめの状態です。
肌が本来もっている保湿力が保たれているので、皮脂をしっかり洗い流してもうるおいを取り戻します。
この状態を維持することが、スキンケアの目指すところ。
間違ったスキンケアや生活の乱れで、肌のコンディションを崩すことのないようにしましょう。
1-2. ドライスキン
ドライスキンは、水分も油分も不足した状態で、乾燥肌と呼ばれます。
本来は保たれるはずの水分が蒸発してしまい、すぐに肌がつっぱってしまいます。
肌が傷んでいて敏感になりやすいので、いろいろな肌トラブルの原因にもなります。
肌の負担を抑えるスキンケアと、効果的な保湿ケアを必要としますから、次項では具体的な例をあげて対処法を解説していきます。
1-3. オイリースキン
オイリースキンは、水分も油分も過剰になっている状態で、脂性肌と呼ばれます。
乾燥はせずに、皮脂が多いのでテカリやベタつきが気になります。
皮脂は毛穴の中の皮脂腺から分泌されるので、どうしても毛穴のトラブルを招きやすくなり、ニキビができやすい肌質です。
1-4. オイリードライスキン
オイリードライスキンは、油分が多く、水分が少ない状態で、ベタつくのに乾燥もします。
肌が敏感になっていることが多く、ニキビや発疹などの肌トラブルを招きやすい状態です。
余計な油分を与えずに、正しい保湿ケアで水分補給をする必要があります。
2. 間違いやすい15のNGポイント
乾燥肌(ドライスキン)を肌の悩みとしてあげる人はとても多いので、スキンケア関連の本や化粧品メーカーの記事には、必ずといってよいほど原因の解説や、セルフケアによる対処法が紹介されています。
ところが、本や記事によって書かれ方が異なる場合があるので、カン違いして覚えてしまったり、何が正しい対処法なのか迷ってしまったりすることが多いのです。
そうした乾燥肌にかんする情報の中から、よくある間違いをピックアップしてみました。
正しい情報を理解して、乾燥肌の改善に役立ててください。
2-1. NG①:乾燥肌の原因は空気の乾燥
→ 乾燥肌の原因は、「生まれつき乾燥しやすい体質」「肌への刺激が強いスキンケア」「食生活や睡眠の乱れ」などによって、角質層のセラミドが減少してしまうことです。
全身を覆う皮膚は、大きく分けて「表皮」「真皮」「皮下組織」という3層構造でできています。
一番外側の表皮は0.2ミリほどの厚さしかありませんが、常に細胞が生まれ変わって健康な肌の状態を保っています。
表皮は外側から「角質層」「顆粒層」「有棘層」「基底層」という4つの層に分かれ、基底層では細胞分裂によって新しい表皮細胞が生まれ、成熟しながらだんだんと押し上げられて、角質層に至ると角質細胞(角質)となり、やがてアカとなってはがれ落ちます。
この代謝のサイクルは20代の健康な肌だと約28日で、「角化」または「ターンオーバー」と呼ばれます。
角質層まで押し上げられた表皮細胞は薄くなって、核のない(死んだ状態の)角質細胞となりますが、ここでは2週間程、レンガのように何層にも重なり、その間を細胞間脂質が埋めて強固な防護壁をつくります。
これが「角質層のバリア」と呼ばれるもので、細菌やウイルスなど外界からの異物侵入を防ぎ、肌の水分を保持する役目を担っています。
角質層は、わずか0.02ミリの厚さしかありませんが、細胞間脂質の半分近くを占めるセラミドという物質や、やはり細胞間脂質に存在するアミノ酸を主成分とする天然保湿因子(NMF)、肌の表面に広がった皮脂膜によって、水分を保っています。
その中でも保水機能の80%を担うといわれるセラミドは、外界の湿度に関係なく水分を保持できる性質をもっており、このセラミドが減少することこそ、肌が乾燥する最大の原因なのです。
2-2. NG②:乾燥肌はニキビの心配がない
→ 大人ニキビは、乾燥肌が原因になってできることがあります。
思春期のニキビは、過剰な皮脂が毛穴に詰まることでできます。
しかし、30代以降にできる大人ニキビは、肌が乾燥することやターンオーバーの低下によって角質が厚くなる「角質肥厚」が、主な原因となります。
皮脂の分泌は加齢とともに減っていきますが、角質が厚くなって毛穴の出口をふさいでしまうと、毛穴から出られなくなった皮脂が酸化してアクネ菌を繁殖させてしまうのです。
また、角質層のバリア機能が低下すると、肌の防御機能が働いて皮脂の分泌量を増やそうとするので、毛穴の詰まりに拍車をかけることになります。
2-3. NG③:肌のうるおいを守っているのは皮脂
→ 肌のうるおいを守っているのは、主に角質層のセラミドです。
角質層の水分を保つ機能は、80%をセラミドが担っていることは、すでに解説しました。
セラミド以外の保湿機能は、アミノ酸を主成分とする天然保湿因子(NMF)が16~17%、肌を覆う皮脂膜が3~4%といわれています。
洗顔で皮脂を落としすぎてしまうと肌が乾燥するので、少し皮脂を残す「しっとり洗顔」がいいという人がいます。
しかし、皮脂が担っている保湿はわずかなもの。
皮脂は時間が経つと酸化して肌トラブルの原因になるので、朝晩2回の洗顔でしっかり洗い流すべきです。
2-4. NG④:肌の水分は外部から補給しなければいけない
→ 皮膚の内部にあるセラミドを主とする保水物質が、外界に出ようとしている水分をつなぎ止めています。
皮膚からは、常に体内の水分が蒸発しています。
その外界に出ようとしている水分をつなぎ止めているのが、セラミドを主とする保水物質なのです。
肌は本来、自らうるおうための保湿機能をもっているので、子どもや若い人の肌は外からの保湿ケアをしなくても乾燥することはありません。
外からの保湿ケアは、水分を補給するのではなく、セラミドなどの保水物質を増やすことが目的となります。
2-5. NG⑤:たっぷりの化粧水で保湿ケア
→ 化粧水の使いすぎは、かえって肌を乾燥させてしまいます。
日本人は、世界でも化粧水をよく使うことで知られています。
逆をいえば、日本人以外の女性は化粧水に重きをおいていません。
これは、日本人の間に化粧水の間違った認識が残っているからです。
角質層のバリアがありますから、肌の上に水をいくらつけても蒸発するだけで、中には浸透しません。
もし、水が浸透してしまえば、入浴も水泳もできなくなってしまいます。
化粧水は90%以上が水分ですから、たっぷり肌につけても蒸発してしまうのです。
その際、肌がもっている水分まで一緒に蒸発させてしまうので、かえって乾燥させてしまうことになります。
化粧水は角質層のほんの表面を濡らすだけですから、角質層の表面をやわらかくして美容液の成分が浸透しやすいようにする目的で使いましょう。
2-6. NG⑥:飲むセラミドは効果が高い
→ 食べ物や飲み物で摂取した美容成分は消化されるので、肌に定着することはありません。
セラミドに限らず、コラーゲンやヒアルロン酸などを配合した美肌サプリメントが、たくさん販売されています。
しかし、口から摂取した成分は腸で分解されてしまうので、そのままの形で自分の肌まで届くことはありません。
セラミドは、肌に塗ってこそ効果が現れるのです。
2-7. NG⑦:保湿成分は天然セラミドを選ぶべき
→ 保湿美容液は、合成された「人型セラミド」が配合されたものを選びましょう。
美容液は、美容成分が高濃度で配合されており、目的によって「保湿美容液」「アンチエイジング美容液」「美白美容液」などに分類されます。
乾燥肌に欠かせないのは、良質な保湿美容液です。
保湿美容液は、セラミドが配合されたものが中心になりますが、配合されるセラミドには種類があります。
「天然セラミド」とは動物由来の成分で、植物由来のものは「植物セラミド」とも呼ばれます。
セラミドではありませんが、似た性質をもつ「疑似セラミド」という化合物もあります。
人間の肌に存在する生体物質に近いセラミドは、「ヒト型セラミド」と呼ばれ、「セラミド2」や「セラミド3」というように番号がついています。
保湿美容液で人気が高いものは、この人型セラミドが数種類配合されています。
「合成」と名の付く物質が悪者であったのは、すでに遠い昔の話。
現代の化学では、人体に安全な合成物質もたくさん開発されています。
セラミドについては「3つの保湿成分で乾燥肌対策-乾燥のしくみを理解して保湿ケア」の記事でも詳しくご紹介していますので、あわせてお読みください。
2-8. NG⑧:クレンジングでしっかりメイクを落とす
→ 乾燥肌の人はとくに、クレンジングでメイクを完全に落とす必要はありません。
クレンジングは、油性のメイクを肌から浮かせて落とすことが目的です。
そのためにクレンジング剤には、水と油をなじませる界面活性剤という化合物がたくさん使われています。
界面活性剤は洗剤や洗顔料、ほとんどの化粧品に配合されていますが、とくにクレンジング剤や洗顔料には多く配合されています。
界面活性剤は肌に強い刺激を与え、長い時間使用すると角質層を傷つけて、セラミドなどの細胞間脂質を溶かし出してしまいます。
ですから、肌のバリア機能が低下している乾燥肌の場合は、オイルタイプなどの洗浄力が強いクレンジング剤は避けて、洗い流すクリームタイプを使い、肌にのせている時間も30~40秒で済ませるようにしましょう。
メイクが肌から浮いていれば、多少のヌルつきは残っていても、洗顔で洗い流せますから問題ありません。
乾燥の状態がひどいときは、クレンジングをしなくて済むライトメイクに切り替えることも大切です。
2-9. NG⑨:ポイントメイクリムーバーを使う
→ 乾燥肌のアイメイクは、スキンケア用のオリーブオイルなどでやさしく落とします。
ポイントメイクリムーバーはクレンジングを軽くするために効果的ですが、濃いメイクを落とすものなので、当然、肌への刺激も強くなります。
目の周囲は、皮膚が薄いのにまばたきで絶えず動かしますから、肌が疲労しやすく、乾燥もしやすい部位です。
もともとデリケートな部位なので、乾燥肌のときに強い刺激を与えれば肌トラブルを引き起こします。
メイクもライトにして、オリーブオイルなど肌にやさしいアイテムで落としましょう。
2-10. NG⑩:乾燥肌にはぬるま湯洗顔がよい
→ 乾燥肌用の固形石けんで、朝晩2回の洗顔は欠かさないようにしましょう。
すでに解説したように、時間が経った皮脂はしっかり洗い流すべきです。
洗顔料もいろいろなタイプがありますが、肌への刺激が少ないのは、余計な添加物を含まずに、自分の肌にあった洗浄力を選べる固形石けんです。
とくに乾燥肌用として販売されている固形石けんは、より低刺激にこだわっています。
さっぱりとした使用感のものを選びましょう。
うるおいを残す成分などが配合されているものもありますが、洗顔料は洗い流してしまうのであまり効果は期待できません。
それよりも洗顔をしたら、すぐに保湿ケアをすることが大切です。
乾燥肌が悪化して石けんがピリピリ感じるようなときは、より低刺激のものを使い、朝だけはぬるま湯洗顔にして様子を見てください。
乾燥肌を改善する洗顔法についてはこちらの記事でも詳しくご紹介しています。「乾燥肌を改善する洗顔とは?-肌の負担を抑える4つの洗顔法」
2-11. NG⑪: 保湿クリームは乾燥肌の強い味方
→ 保湿ケアは美容液で行い、クリームは目元や口元の油分補給だけに使います。
乾燥肌にもっとも必要とされる良質な保湿ケアは、セラミドを配合した美容液が適しています。
化粧水も、乳液やクリームも必須アイテムではありません。
油分が豊富なクリームは、肌の油分補給に使いますが、乾燥肌だからといって余分な油分を与えてはいけません。
油分で肌にフタをしてしまうと、毛穴のトラブルなどを招きやすくなります。
乳液とクリームの違いは油分の割合です。
乾燥が激しい目元や口元にポイント使いするのであれば、クリームが適しています。
50代後半あたりからは、肌全体の皮脂がとても少なくなるので、乳液やクリームの日常的な出番となります。
2-12. NG⑫:乾燥肌には弱い日焼け止めを使う
→ パウダーファンデーションやフェイスパウダーを使ってUVケアをしましょう。
肌が乾燥するからと、リキッドタイプやクリームタイプのファンデーションを使用すると、界面活性剤が傷んだ角質層からセラミドを溶かし出してしまいます。
乾燥肌のベースメイクには、界面活性剤が少なくて、クレンジングをしなくても落とせるパウダーファンデーションが適しています。
さらに、パウダーファンデーションは粒子の数が多いので、UV効果も高いというメリットがあります。
乾燥肌の人は、肌への刺激が強い日焼け止めをできるだけ使わないようにして、ベースメイクでUVケアの工夫をしましょう。
乾燥肌に合うファンデーションをお知りになりたい方はこちら「乾燥肌に合うファンデーション-4タイプの特徴と正しい使い方」の記事を参考にしてください。
2-13. NG⑬:外出先ではスプレー化粧水が便利
→ 外出先での保湿ケアは、メイクの上から美容液をやさしくなじませます。
水分をスプレーすると、そのときはうるおったように感じても、少し時間が経てば蒸発してしまいます。
化粧水のつけすぎと同じで、かえって肌を乾燥させてしまうことになるのです。
化粧直しで保湿ケアをするときも、セラミド配合の美容液を使いましょう。
2-14. NG⑭:シートパックかコットンパックで保湿
→ 保湿パックは、水分の蒸発を防ぐ石膏パックが適しています。
シートタイプのパックは便利ですが、表面から水分が蒸発していきます。
また、コットンに化粧水などを染み込ませて肌にのせても、セラミドなどの保水成分がなければ水分が蒸発するだけです。
石膏状に固まるパックは表面から水分が蒸発しないので、乾燥肌に向いています。
基本的には乾燥が気になるときに行えばよいのですが、冬場は週に1~2回続けてもいいでしょう。
パックの後には、保湿ケアを欠かさないようにしましょう。
2-15. NG⑮:1日に2リットルの水を飲む
→ のどが渇いてもいないのに、余分な水を飲むべきではありません。
小まめな水分補給が必要といわれるのは、発汗が大量になる運動や熱中症などの対策としてです。
たくさんの水を飲んでも、それが肌に滲み出てくるわけではありませんから、乾燥肌の対策として必要以上の水を飲むことは意味がありません。
水分のとりすぎはトイレが近くなり、冷え症の原因になります。
顔のむくみの原因にもなり、水分過多の状態が続けば、腎臓の機能を悪化させてしまうことすらあるので、気をつけましょう。
まとめ
健康な肌は、角質層の水分量が30%程度といわれます。
水分量が20%をきると肌が乾燥している状態とされ、10%をきればほとんどの人は肌がつっぱる感じを覚えるとされます。
乾燥肌のケアは、角質層の水分量が20%以上の状態を保つようにすることが目的です。
季節や環境によって肌の状態は変わりますから、いかにしたら健康的にうるおいを保てるか、正しい情報をもとに自分なりのケア方法を見つけましょう。
更年期を迎える40代後半は乾燥肌になりやすくなるので、基礎化粧品の見直しをおすすめします。
【参考資料】
・『究極にシンプルなスキンケア論』 成美堂出版 2013年
・『最新版 肌美人になるスキンケアの基本』 学研パブリッシング 2014年
・『正しいスキンケア事典』 高橋書店 2010年