コレステロールの値を下げるためにはどのようにしたらよいのかご存知ですか?
高コレステロールは、中高年の男性の症状というイメージが強いかもしれませんが、近年では、女性を含めた全世代でみられる症状になってきました。
これは、日本人の食生活や運動習慣の変化が大きいといわれています。
高コレステロールは、脳梗塞や心筋梗塞など、命をも脅かす病の引き金となります。
現代を生きる私たちがコレステロールの値とうまく付き合うためにはどうしたらよいのか、コレステロールへの理解を深めるための解説と、予防&対策5選、食事のポイントなどをお伝えしていきます。
目次
1. コレステロールとは?
1-1. 高コレステロールとは?
1-2. コレステロール2つの役割とは?
① HDL(善玉)コレステロール役割
② LDL(悪玉)コレステロールの役割
1-3. LDL(悪玉)コレステロールの負の影響
1−4. コレステロールによって動脈硬化になる仕組み
2. コレステロールが高くなる原因
2-1. 遺伝を含めた体質
2-2. 脂肪の多い食事
2-3. 運動不足
3. 高コレステロールの予防&対処法5選
方法① 運動習慣を作る
方法② 食生活を見直す
方法③ 禁煙する
方法④ ストレスを減らす
方法⑤ 病院で治療を受ける
4. 食生活の5つのポイント
ポイント① 緑黄色野菜やきのこ、海藻を1日で5品目以上摂取する
ポイント② 大豆や大豆製品を1日1回以上摂取する
ポイント③ 魚が主菜となる食事を1日1食以上作る
ポイント④ 調理油は良質な物を使う
ポイント⑤ 果物、ジュースなどで糖質を摂りすぎない
1. コレステロールとは?
まずはコレステロールの基本について理解していきましょう。基本を理解することで、正しくコレステロールの値を管理できるようになります。
一般的に、コレステロール=悪者というイメージを持っている人も多いと思いますが、実は、すべてのコレステロールが悪者というわけではありません。
むしろ、コレステロールは、本来、私たちの体の細胞の働きを調節したり、栄養素を吸収したりするためには欠かせない脂質成分なのです。コレステロールの善悪の違いなどについて解説していきたいと思います。
1-1. 高コレステロールとは?
高コレステロールといわれている状態は、コレステロールなどの値が異常な値になることです。
これは、後述する悪玉コレステロールの値が基準以上になることで、体に余分な脂質が溜まり、さまざまな病気を引き起こしかねない状況になってしまっていることをさします。
1-2. コレステロール2つの役割とは?
実はコレステロールには、大きく分けて2つの役割があります。その役割ごとに呼び名が異なり、それぞれ「HDL(善玉)コレステロール」と「LDL(悪玉)コレステロール」といわれています。
ちなみに、2種類のコレステロールがあると思われがちですが、コレステロール自体は1種類のみで、役割などが異なるために2つの呼び名があるのです。
よって、コレステロールの状態をよくするためには、「HDL(善玉)コレステロール」を増やし、「LDL(悪玉)コレステロール」を減らし、コレステロールの働きのバランスを整えることが必要になるのです。
① HDL(善玉)コレステロールの役割
善玉のHDL(善玉)コレステロールは、血管内にある余分なコレステロール回収し、さらには血管壁に溜まってしまったコレステロールも取り除き、肝臓に戻す役割を担っています。
増えすぎたコレステロールを回収するため、動脈硬化を抑える働きがあります。HDL(善玉)コレステロール値が異常に低いと、肺炎や脳卒中、ガンになる可能性が高まるといわれているので、注意が必要です。
HDL(善玉)コレステロールは、40mg/dL以下で、低HDLコレステロール血症と診断されます。
② LDL(悪玉)コレステロールの役割
LDL(悪玉)コレステロールは、肝臓で作られたコレステロールを全身に運ぶ役割を担っています。増えすぎると、体内のコレステロールが異常に増え、それが動脈硬化を引き起こし、心筋梗塞や脳梗塞の原因となってしまいます。
こちらが、いわゆる「高コレステロール」の原因となるものです。
LDL(悪玉)コレステロールの値は、140mg/dL以上で高LDLコレステロール血症と診断されます。
1-3. LDL(悪玉)コレステロールの負の影響
LDL(悪玉)コレステロールは、検査の数値が通常の範囲内であれば問題ありません。しかし、血管内のLDL(悪玉)コレステロールが増えすぎると、余分なものが血管壁に溜まってしまいます。
それが活性酸素の影響で酸化し過酸化脂質になることで、動脈硬化をもたらし、さらには脳梗塞や心筋梗塞の原因となってしまうのです。
1−4. コレステロールによって動脈硬化になる仕組み
LDL(悪玉)コレステロール値が異常になると、動脈硬化が起こります。
まず、動脈硬化とは、血管の壁が厚くなり、血管内側の血液の通り道が狭くなってしまった状態をいいます。
この血管の内側が狭くなる原因こそ、LDL(悪玉)コレステロールが血液中に増え、余分なコレステロールが血管壁に入り込み、コブのように固まり動脈硬化となってしまったものなのです。
動脈硬化は自覚症状がないまま進行し、ある日突然、脳梗塞や心筋梗塞を引き起こします。「サイレントキラー」=「静かなる殺し屋」とも呼ばれる恐ろしい病気なのです。
2. コレステロールが高くなる原因
なぜコレステロールが高くなるのか、その原因についてお伝えしていきます。原因は一つだけではありませんので、コレステロール値が気になるあなたも、現時点では気にならないあなたも、自分自身に心当たりのあるものがないか確認してみてくださいね。
2-1. 遺伝を含めた体質
遺伝や家族性高コレステロール血症などで、生まれつきコレステロール値が高い場合です。
2-2. 脂肪の多い食事
野菜や魚中心の日本食から、肉や脂質の多い欧米食への変化が大きな原因となっているといいます。
2-3. 運動不足
移動手段の発達や、忙しさやデスクワークによる運動不足も高コレステロールの原因となっているといいます。
3. 高コレステロールの予防&対処法5選
高コレステロールと呼ばれる、LDL(悪玉)コレステロールが増えすぎた状態を改善するためには、どうしたらよいのでしょうか?
実は次のような方法を実践することで、コレステロール値のバランスをよく保っていけるといわれています。その5つの予防&対処方法をお伝えしていきます。
方法① 運動習慣を作る
毎日の運動習慣を作りましょう。激しい運動ではなく、軽く汗ばむ程度の運動を毎日の生活に取り入れるようにしてみてください。
たとえば、電車通勤だったら1駅分を大股の早歩きでウォーキングしたり、駅や会社・家でエレベーターを使わずに階段で上り下りをしたりという程度の運動でも大丈夫です。
無理のない範囲で運動習慣を作ることで、日常生活の範囲内で、コレステロール値をコントロールできるようになります。
方法② 食生活を見直す
食事の量と質の両方を調整していきましょう。
暴飲暴食をせず、栄養バランスとエネルギー量を適切に保つことが、コレステロール値の改善に役立ちます。
後ほど食生活のポイントをご紹介しますので、参考にしてみてください。
方法③ 禁煙する
コレステロール値が高い場合は、禁煙することが大切だといわれています。喫煙は動脈硬化のリスクを高めるといわれているのです。
もし、喫煙習慣があるなら、脳梗塞や心筋梗塞などを引き起こす動脈硬化のリスクを少しでも減らすために、できるかぎり禁煙できるよう取り組んでいきましょう。
方法④ ストレスを減らす
実は、ストレスもコレステロール値を高める要因であるといわれています。そのため、できる限りストレスを溜めない、解消する生活習慣を作ることも重要です。
もしストレスが溜まっていると感じる場合は、何が自分のストレスの原因となっているかを突き止めて、それを解消し、ストレスがかからない環境になるよう工夫していくことが、コレステロール値のコントロールにもつながります。
方法⑤ 病院で治療を受ける
病院での検査の結果、すでにコレステロール値が基準より高くなっている場合は、医師の指示に従って治療を受けましょう。
自己判断で対処すれば、気づいたら脳梗塞で手遅れ、などといった命の危険にさらされる可能性も高くなります。専門医の治療と生活習慣の改善が、コレステロール値の正常化への1番の近道だといえます。
4. 食生活の5つのポイント
コレステロール値を下げたり、事前に予防したりするための食生活の5つのポイントをお伝えしていきます。
毎日の食事を、次のポイントに注意したレシピへと切り替えることで、コレステロール値の正常化を目指しましょう。
ポイント① 緑黄色野菜やきのこ、海藻を1日で5品目以上摂取する
食物繊維やビタミン、ミネラル、抗酸化作用が強いβ-カロテンなどの栄養素が含まれる、緑黄色野菜やきのこ、海藻類を毎日の食事に取り入れていきましょう。
動脈硬化の原因となる血管のつまりを引き起こすLDLコレステロールを排出させる効果があるといわれています。
ポイント② 大豆や大豆製品を1日1回以上摂取する
大豆や大豆製品も1日1回以上摂取するようにしましょう。大豆には悪玉菌を減らす働きをする食物繊維と不飽和脂肪酸が多く含まれているのです。
この大豆に含まれるタンパク質がコレステロール値を低下させるということは、数々の論文で証明されています。つまり、大豆や大豆製品を積極的に食事に取り入れることが、コレステロール値の低下につながっていくのです。
ポイント③ 魚が主菜となる食事を1日1食以上作る
1日のうち1回以上は、魚がメインとなる食事を作りましょう。魚の脂に含まれる不飽和脂肪酸は、血中のコレステロールを減少させる働きがあります。
特に、EPA(エイコサペンタエン酸)という血中のコレステロールを減少させ心臓病などのリスクを下げる物質は、いわし、さば、あじなどの青魚の油の不飽和脂肪酸に多く含まれています。
ポイント④ 調理油は良質な物を使う
高コレステロールの方は、使う油に気をつけましょう。全ての油がいけないというわけではなくLDLコレステロールを減少させてくれる油は使用しても大丈夫です。ただし、油全般にいえることですが、カロリーは高いので、どの油でも使いすぎには注意してください。
●適量ならOKな油→オリーブオイル、キャノーラ油、シードオイル
●少量ならOKな油→ごま油、大豆油
●できるかぎり控えたい油→バター
●摂らない方がよい油→マーガリン
ポイント⑤ 果物、ジュースなどで糖質を摂りすぎない
果物やフルーツジュース、野菜ジュースは、糖質が多いため摂取しすぎないように注意しましょう。
一見、体によいと思われがちですが、実は健康へのよい影響よりも、糖質の取りすぎによる悪影響の方が大きくなってしまう場合が少なくないのです。食物繊維やビタミンは野菜から摂るようにし、果物やジュースの摂取は控えめにしましょう。
まとめ
善玉コレステロールや悪玉コレステロールの違いや、高コレステロールの悪影響、コレステロールの値を下げる方法などはおわかりいただけましたか?
サイレントキラーとして私たちの命を脅かしかねないのが、LDL(悪玉)コレステロールの影響で発症する動脈硬化です。
脳梗塞や心筋梗塞など、突然の不幸で命を落としてしまわないよう、日頃からコレステロールの値には注意を払い、今回お伝えした予防や対策法を実践していきましょう。
また、高コレステロールを発見するためには、病院での検査が大切です。自分や家族のためにも、毎年、健康診断や自主的な検査で、コレステロール値に異常がないか確認していきましょう。