ドラッグストアに行くと、米ぬか入りの化粧水や石鹸などがいろいろ出ているのを見かけますね。
米ぬかが美容に良いというのは、昔からよく知られていることです。江戸時代の女性たちも、米ぬかで洗顔するなど、スキンケアに愛用していました。
「肌が明るくなる」「しっとりもちもちになる」と、今でも米ぬか洗顔は注目されています。
これから試してみたい方のために、米ぬか洗顔のコツや注意点をお教えします。
目次
1. 米ぬかは肌に効く成分がたっぷり!
1-1. 米ぬかセラミド
1-2. γ-オリザノール
1-3. フェルラ酸
1-4. ビタミンB群
1-5. ビタミンE
1-6. オリザブラン
1-7. 米ぬか油
2. 米ぬか洗顔の方法
2-1. 米ぬかを顔に直接つける洗顔方法
2-2. ぬか袋を利用する方法
2-3. 米ぬか入りの石鹸や洗顔料を使う方法
3. 洗顔だけじゃない!米ぬか美容方法
3-1. 化粧水
3-2. パック
3-3. 入浴剤
3-4. 玄米食
1. 米ぬかは肌に効く成分がたっぷり!
米ぬかとは、玄米を白米へと精製するときに削り落とされる、種皮や果皮などの「ぬか層」と「胚芽」部分のことです。多くの栄養が含まれており、栄養食品としても注目されています。
玄米のまま食べたり、料理や飲み物に入れたり、漬物を作ったり、昔からさまざまに活用されてきました。
例えばビタミンB1、B2、ビタミンE、鉄分、マグネシウム、食物繊維といったおなじみの栄養素が豊富です。
その他、強い抗酸化作用があるフィチン酸、コレステロールの吸収を抑えるγ-オリザノール、認知症予防に効果のあるフェルラ酸、リラックス効果をもたらすGABAなど、気になる成分も多彩に含まれています。
その中から、特に、肌に効く嬉しい成分をご紹介します。
1-1. 米ぬかセラミド
私たちの肌細胞の間には、油分や水分を保つ、セラミドという脂質が存在しています。年齢を重ねると減少し、肌の乾燥やシミ、しわなどの現象につながります。
米ぬかに含まれる「スフィンゴ糖脂質」は、米ぬかセラミドとも呼ばれ、セラミドによく似た性質を持っています。そのため、肌の手入れに使えば適度な油分を補い、保湿機能をサポートして、しっとりもちもちになるのです。
1-2. γ-オリザノール
米ぬかにだけ含まれる注目の成分です。強い抗酸化力があり、酸化防止剤として食品添加物に使われるほどです。
医薬品にも利用されており、体内でコレステロールの吸収を抑え、脳の衰えや更年期の自律神経トラブルなどを緩和する、という報告があります。
また、細胞の酸化を防ぐため、γ-オリザノールはアンチエイジングにも効果があると考えられています。
紫外線を防ぎ、活性酸素を除去し、血行を促進して肌のターンオーバーを正常化するなど、肌全体の調子を整えます。
チロシナーゼという酵素の働きを抑制し、黒いメラニン色素が増えないようにしてくれるので、シミを薄くするなどの美白効果もあります。
このようにさまざまな効果が期待できるので、美容製品にもよく取り入れられています。
1-3. フェルラ酸
フェルラ酸とは、植物の細胞壁に含まれているポリフェノールの一種です。特にイネ科の植物に多く含まれており、米ぬかにも豊富に含まれます。
γ-オリザノールと同じく、優れた抗酸化作用があり、紫外線を吸収してメラニンの生成を抑えるので、美白や美容の効果を期待して、洗顔料や化粧水、シャンプーなどに用いられています。
また、アルツハイマー型の認知症を予防するという研究結果もあり、医療方面でも注目されています。
1-4. ビタミンB群
米ぬかには、ビタミンB群が豊富に含まれています。食べて取り入れれば、疲労回復や、肌、粘膜の保護といった働きがあります。肌荒れや疲労時に、ビタミンBのサプリメントに頼る人も多いのではないでしょうか。
化粧品に配合された場合は肌から浸透し、直接細胞に働きかけて新陳代謝を促します。例えばB2は肌や唇の荒れ、ニキビを抑えますし、ナイアシン(B3)は保湿効果を発揮します。
1-5. ビタミンE
米ぬかに含まれるビタミンEの一種、トコトリエノールが、血行を良くし、酸化した脂質を分解して新陳代謝を促します。
また、強い抗酸化力があるので、活性酸素が細胞を傷つけ、シミやシワの原因になるのを防ぎます。
1-6. オリザブラン
オリザブランは、ブドウ糖や果糖などが組み合わさった、多糖類という物質です。
水に溶けやすく保水力が高いので、化粧品にもよく使われています。水分の蒸発を防ぎ、潤いある肌を保つことは、肌荒れやシワ、たるみの防止につながります。
また、食べて取り入れることで血糖値を下げ、糖尿病を改善する効果があるといわれています。
1-7. 米ぬか油
米ぬかには適度な油分が含まれています。ビタミンEやオレイン酸など、肌のバリア機能を支える成分が多く入っています。
この油だけを抽出した米ぬか油は、食用にされるのはもちろんのこと、江戸時代から化粧落としや髪油などの美容品としても使われてきました。
米ぬかの美容効果については「米ぬかパワーを美容と健康に活かす-美肌をつくる8つの活用法」の記事もぜひご覧ください。
2. 米ぬか洗顔の方法
肌のお手入れの基本といえば、洗顔と保湿です。
これだけ有効な成分がたっぷり入った米ぬかで、きれいに洗顔できたら、すべすべもちもちの美肌になるのも遠くないでしょう。
自然素材で低刺激なので、ニキビなどの肌トラブルを抱えている人にもおすすめです。
米ぬかを洗顔に使う方法は、3つあります。米ぬかを直接顔につけるやり方、ぬか袋を使うやり方、市販の米ぬか洗顔料を利用するやり方です。
自分にとってどれが合いそうか、説明を読んで参考にしてみて下さい。
2-1. 米ぬかを顔に直接つける洗顔方法
精米店や自然食品の店などで、米ぬかを買うことができたら試してみてほしい方法です。
スーパーでも置いている場合がありますが、ぬか漬け用に塩や鷹の爪が混ぜてあるものは、洗顔に向かないので気をつけてください。
何も混ざっていない「炒りぬか」を手に入れましょう。
米ぬかを洗顔に使う場合、まずスプーン1~2杯分をすくって、小さな容器に入れます。
そこに水かぬるま湯を少しずつ加え、混ぜ合わせます。慣れたら、手のひらで直接混ぜても構いません。
米ぬかが柔らかいクリーム状になったら、顔全体に伸ばし、優しくマッサージするように洗いましょう。ぬかの粒子がスクラブのように働いて、汚れを落とします。決して強くこすらないようにしましょう。
最後に、ぬるま湯で洗い流します。顎の下や髪の生え際などに残らないよう、丁寧に流して下さい。
2-2. ぬか袋を利用する方法
米ぬかの粒子が気になる方は、ぬか袋を使うのもおすすめです。
清潔な木綿の小袋に、ぬかを1つかみ入れて手作りするか、ぬか袋として販売されているものを使いましょう。
ぬか袋はまず、お湯かぬるま湯に漬けて湿らせておきます。軽く洗顔をした後、柔らかくなったぬか袋で優しく肌をマッサージします。木綿の繊維が角質を取り、染み出した米ぬかエキスが肌をしっとりさせてくれます。
マッサージ後はぬるま湯で洗い流して完了です。ぬか袋は水気を切り、風通しの良いところに保管して下さい。できるだけ早めに使い切るのがおすすめです。
2-3. 米ぬか入りの石鹸や洗顔料を使う方法
米ぬかエキスの入った石鹸や洗顔料も、いろいろ発売されています。米ぬかが手に入らなかったり、直接使うのは抵抗があるという方は、まずこういう商品を利用してみてはいかがでしょう。
まず顔をぬるま湯で軽く洗い、次に石鹸や洗顔料をよく泡立てて、ふわふわの泡で肌を包みます。そして、決して擦らないように洗うのがコツです。
最後はよく洗い流して、髪の生え際などに泡が残らないように気をつけて。
今使っている洗顔料と入れ替えて、同じ感覚で使えるので、気軽に試すことができますね。
米ぬか石鹸については「美白と保湿に期待大! しっとりすべすべ米ぬか石鹸」の記事でもご紹介しています。
3. 洗顔だけじゃない!米ぬか美容方法
お肌のために米ぬかの栄養を取り込む方法は、洗顔だけではありません。昔から女性たちが「効果あり」と認めてきた、米ぬか美容法をご紹介します。
3-1. 化粧水
米ぬか化粧水もいろいろと市販されていますから、試しに使ってみると良いでしょう。
せっかくだから米ぬかそのものを使ってみたい、という方には、手作りをおすすめします。
用意するのは、米ぬか20g、日本酒大さじ1、水200cc、グリセリン小さじ1です。
米ぬか、日本酒、水を鍋に入れて弱火で加熱し、沸騰する前に止めて、コーヒーフィルターなどで濾します。
そのまま冷ましましたら、事前に煮沸消毒したボトルに入れ、グリセリンを加えて振り混ぜます。
手作り化粧品は保存料が入っておらず、傷みやすいので、冷蔵庫で保管して3~4日ほどで使い切るようにしましょう。
3-2. パック
米ぬかの美容成分を、お肌に直接たっぷりと浸透させたいなら、パックがおすすめです。米ぬかを手に入れて、ぜひやってみて下さい。
基本の材料は、米ぬかと小麦粉です。米ぬか2、小麦粉1.5くらいの割合で容器に入れ、少しずつ水を加えてペースト状になるまで練ります。
それを顔に薄く伸ばし、5~10分ほど置いたら、よく洗い流しましょう。
小麦粉の割合を増やすと、さっぱりした使い心地になります。他にヨーグルトや蜂蜜などを加えると保湿力がアップしますので、慣れてきたら試してみると良いでしょう。
パックの後は、化粧水や乳液での、通常のお手入れも忘れずに。
米ぬかパックはこちらの記事もご参照ください→「肌がどんどん明るくなる!米ぬかパックの効果と作り方」
3-3. 入浴剤
ぬか袋を手に入れたら、洗顔だけでなく、お風呂に入れて入浴剤にするのもおすすめです。
湯の中で袋を揉むと、ぬかの成分がお湯に溶け出して肌を包むので、全身でしっとり効果を実感できます。保温効果もあるので一石二鳥です。
ただし、お風呂から上がったらお湯はすぐ抜いて、浴槽を洗いましょう。放置すると、においやカビの原因になります。
3-4. 玄米食
米ぬかには、肌から吸収できない栄養素もたくさん含まれています。
独特の風味が嫌いでなければ、ぬかや胚芽を落とす前の玄米を食べるのも、美しい肌を作るためには良い方法です。
女性は特に意識して摂りたい、カルシウムや鉄分も含まれています。
また、豊富な植物繊維が腸内の老廃物排出を促すので、便秘が解消され、吹き出物などの軽減やダイエット効果が期待できます。
玄米が苦手ならば、米ぬかを炒って、味噌汁や和え物に混ぜるなどの方法で食べるのもおすすめです。
まとめ
米ぬかにはさまざまな栄養が含まれており、美容品として使うと、抗酸化力や保湿力がアップする優れものです。
江戸時代の女性たちが、洗顔をはじめ、さまざまなことに愛用していたのも納得。ただ捨ててしまうなんて、もったいないですよね。
顔を清潔に保ちながら、保湿も美白も望める米ぬか洗顔。あなたも試してみませんか。
【参考資料】
・『食べる米ぬかですっきりやせる!病気が治る!』 宝島社 石原新菜監修 2017年
・『お風呂の愉しみ』 飛鳥新社 前田京子 1999年