米ぬか石鹸を使ったことはありますか?
「肌が明るくなる」「洗いあがりがしっとりすべすべする」と人気の高い石鹸です。
米ぬかには美白、保湿の効果があり、昔から多くの女性が使ってきました。
実は家でも簡単に作ることができます。
米ぬか石鹸の魅力を見直してみませんか?
目次
2. 肌に効く嬉しい成分
2-1. 米ぬかセラミド
2-2. γ-オリザノール
2-3. フェルラ酸
2-4. ビタミンB群
2-5. ビタミンE
2-6. オリザブラン
2-7. 米ぬか油
4. 手作りもできる米ぬか石鹸
4-1. 重曹を使う方法
4-2. すりおろし石鹸に混ぜる方法
4-3. 保存上の注意
5. 石鹸以外にも、昔からある米ぬか美容方法
5-1. 洗顔料
5-2. 化粧水
5-3. パック
5-4. 入浴剤
1. 米ぬかとは?
米ぬかとは、玄米を精製して白米にするときに削り落とされた、種皮や果皮などの「ぬか層」と「胚芽」のことです。
多くの栄養が含まれており、本当はぜひ食べてほしい部分です。
例えば、ビタミンB1、B2、ナイアシン、ビタミンE、鉄分、マグネシウム、食物繊維といった栄養の他、強い抗酸化作用があるフィチン酸や、米ぬかに特有の成分で、コレステロールの吸収を抑えるγ-オリザノール、認知症予防に効果のあるフェルラ酸など、実に多彩な栄養が含まれています。
健康を考えて玄米を食べたり、料理に米ぬかを入れたりして、日常的に活用している人も多くいます。
豊富な食物繊維で腸内環境が整い、便秘改善に効く他、動脈硬化や糖尿病などの生活習慣病予防や、認知症の予防にも効果があると注目されています。
ただし、生の米ぬかには大腸菌などの微生物が含まれているので、食事に取り入れる場合は必ず乾煎りするなどして、均一に熱を通してからにしましょう。
食用にする他、床磨き、入浴剤、植物を育てるための土壌改善など、米ぬかは昔から、いろいろなことに活用されてきています。
2. 肌に効く嬉しい成分
米ぬかに含まれているたくさんの栄養素の中でも、美肌に効果のある成分として、特に注目したいものがいくつかあります。
2-1. 米ぬかセラミド
私たちの肌にはもともと、細胞と細胞の間に油分や水分を保つ、セラミドという脂質が存在しています。
セラミドは年齢とともに減少していく傾向にあり、不足してくると肌の乾燥やシミ、しわといった現象につながります。
米ぬかには、セラミドによく似た「スフィンゴ糖脂質(米ぬかセラミド)」が多く含まれています。
そのため、肌の手入れに使うと適度な油分を補い、保湿機能をサポートして、しっとりもちもちした洗いあがりになるのです。
2-2. γ-オリザノール
米ぬかにだけ含まれる成分で、健康にも美容にも、良い効果をもたらします。強い抗酸化力があり、酸化防止剤として食品添加物に使われています。
医薬品にも利用され、体内に取り入れれば、コレステロールの吸収を抑え、脳や細胞の衰えを防ぐとされています。
強力な抗酸化力で活性酸素を除去し、細胞の老化を防ぐため、γ-オリザノールはアンチエイジングにも効果があるとされています。
また、血行を促進し、肌のターンオーバーを正常化させるなど、肌全体の調子を整えるのにも役立ちます。
さまざまな美容製品に取り入れられている、注目の成分なのです。
2-3. フェルラ酸
γ-オリザノールから抽出される、ポリフェノールの一種です。
記憶力のアップや、アルツハイマー型の痴呆を予防・治療する働きがあるとして、医療方面でも注目されています。
紫外線の吸収やメラニンの生成を防ぎ、肌の酸化を防ぐ力が強いので、化粧品の原材料にも使われています。
2-4. ビタミンB群
米ぬかにはビタミンB群が豊富に含まれています。
疲労回復や、肌、粘膜の保護といった働きがある栄養素です。
化粧品に配合された場合も、肌を整え守るために、力を発揮します。
2-5. ビタミンE
強い抗酸化力のあるビタミンです。
活性酸素が細胞を傷つけるのを防いだり、酸化してしまった脂質を分解し、血行を促進するなどの働きをします。
米ぬかには、このビタミンEが豊富に含まれています。
2-6. オリザブラン
ブドウ糖や果糖などが組み合わさった、多糖類というものです。
体内に取り入れると、血糖値を下げる効果があるといわれます。
また、水に溶けやすく保水力が高いので、化粧品にも多く使われています。
肌の保湿力を高めることは、肌荒れやシワ、たるみを防ぐことにつながります。
2-7. 米ぬか油
米ぬかには適度な油が含まれており、この油だけを抽出したものが米ぬか油で、食用にされる他、江戸時代から化粧落とし用など、美容品としても使われてきました。
米ぬかの美容効果については「米ぬかパワーを美容と健康に活かす-美肌をつくる8つの活用法」の記事もぜひご覧ください。
3. 米ぬか石鹸の魅力
このような肌に嬉しい成分がたっぷり含まれている米ぬか石鹸は、根強い人気があります。
個人差はもちろんありますが、「洗いあがりがしっとりしている」「肌が柔らかくなめらかになる」といった感想が多く、昔から愛用されてきたのも納得です。
また、合成の添加物をできるだけ避けたい人にとって、食品として食べることのできる自然素材が材料であるという点も、魅力のひとつでしょう。
身近な材料で安心できるって、結構大事ですよね。
4. 手作りもできる米ぬか石鹸
米ぬか石鹸や、米ぬか入りの洗顔フォームは、たくさんの商品が売り出されています。
でも、自宅で手作りすることもできるって、知っていますか?
主原料であるオイルを自分の肌に合うものにしたり、蜂蜜、精油などをブレンドして好みの風合いに仕立てられるので、人気があります。
ただし多くのレシピは、苛性ソーダという強いアルカリ性の薬品を使います。材料の油分を石鹸化するために必要な薬品で、手順さえ守れば、安全な固形石鹸を作ることができます。
でもやはり、取り扱いには注意が必要な薬品です。
ここでは、苛性ソーダを使わないで作る、もう少し手軽なやり方を2種類ご紹介します。
まずはこの方法で、米ぬか石鹸作りにチャレンジしてみるのはいかがでしょうか?
アルカリ性の素材として、苛性ソーダの代わりに、食用の重曹を使います。
市販の石鹸のようにはなりませんが、よく知られている方法なので、やってみたことがある方もいるかもしれません。
4-1. 重曹を使う方法
用意する材料は三種類のみ。水600cc、重曹20g、米ぬか200gです。
道具として、大きめの鍋と混ぜるための木べら、できた石鹸を入れて冷ます型も用意します。
作り方の順番は、
1 鍋に水を入れ、沸騰させる。
2 重曹をいれて溶かす(かなり泡が立つので、落ち着くのを待つ)。
3 米ぬかを少しずつ入れて混ぜる(目安は10分くらい)。
4 ペースト状になったら型に入れて、冷まして完成。
以上です。2~3日乾燥させると、固形になって型から外れます。出来たての、柔らかいままで使うこともできます。
ただし、この方法で作った米ぬか石鹸は、市販の石鹸のようには泡立ちません。洗顔に使う場合は少量を手に取り、顔全体に広げ、米ぬかのザラザラ感を利用して優しく洗いましょう。
米ぬかの粒子がスクラブのように汚れを落とします。
もし肌に合わない、好みじゃなかった、という場合には、食器洗いや台所の掃除に使ってみましょう。なかなか優秀で、油汚れもすっきり落とせます。
4-2. すりおろし石鹸に混ぜる方法
もうひとつ手軽なのは、市販の石鹸に米ぬかを混ぜるやり方です。
用意する材料は、無添加の固形石鹸100g、米ぬか5~10g、お湯30cc、です。
道具として、おろし金、ポリ袋(厚めのもの。耐熱性だとなお良い)、石鹸用の型、湯煎するための鍋も用意しましょう。
作り方の順番は、
1 固形石鹸をすりおろして細かくする。
2 1をポリ袋に入れ、湯を少しずつ注ぎ、柔らかくなるまでこねる。
3 米ぬかを入れて混ぜる。
4 よく混ざったら、袋ごと湯煎にかける(袋を入れたまま鍋を加熱しないように)。
5 石鹸が溶けて半透明になったら、型に入れて冷ます。
冷めたら型からはずし、風通しの良い場所でさらに乾かすと良いでしょう。
米ぬかのにおいもほとんど気にならず、重曹で作る石鹸より使いやすいかもしれません。
4-3. 保存上の注意
これらの方法で作った米ぬか石鹸は、保存料なしの天然素材のみでできているため、市販品に比べて傷みやすい、ということに注意しておきましょう。
風呂場のような湿気の多いところへ置きっぱなしにすると、雑菌も早く繁殖します。
長持ちさせたいなら、使用後はすぐ湿気の少ない場所へ移して、冷暗所で保存するようにしましょう。
5. 石鹸以外にも、昔からある米ぬか美容方法
米ぬかを使った美容製品は、石鹸以外にもいろいろあります。
自宅で簡単に作れるものも多いので、試してみてはいかがでしょう。
ただし、ごく僅かですが、米ぬかにアレルギー反応が出る人もいます。不安がある人は、本格的に使う前に、少量を腕の内側に塗って様子を見るパッチテストを行いましょう。
5-1. 洗顔料
石鹸に加工せず、米ぬかをそのまま洗顔に使う方法もあります。
大さじ1くらいの米ぬかをぬるま湯で溶いて、ペースト状にしたもので顔を洗うのです。
ぬかの粒子が汚れを落としてくれますが、強くこすらないように気をつけてください。
低刺激で肌に優しいので、ニキビなどのトラブルを抱えている人にもおすすめです。
5-2. 化粧水
たくさんの市販品がある米ぬか化粧水も、自宅で作ることができます。
用意するのは、米ぬか20g、日本酒大さじ1、水200cc、グリセリン小さじ1、です。
まず米ぬか、日本酒、水を鍋に入れ、弱火で加熱します。
沸騰する前に止めて、コーヒーフィルターなどで濾し、そのまま冷まします。
冷めたら、事前に煮沸消毒した保存ボトルに入れ、グリセリンを加えて混ぜます。
冷蔵庫で保存し、3~4日ほどで使い切るようにしましょう。
5-3. パック
米ぬかの美容成分を、じっくり浸透させたい場合はパックがおすすめです。
基本の材料は、米ぬかと小麦粉。
米ぬか2、小麦粉1.5の割合で混ぜ、少しずつ水を加えてペースト状になるまで練ります。それを顔に薄く伸ばし、5~10分ほど置いて、よく洗い流しましょう。
小麦粉の割合をもっと増やすと、さっぱりした使い心地になります。ヨーグルトや蜂蜜などを加えると、保湿力がアップします。
パックの後は、化粧水や乳液で通常のお手入れも行って下さい。
米ぬかパックについては、「肌がどんどん明るくなる!米ぬかパックの効果と作り方」の記事をぜひ参考にしてみてください。
5-4. 入浴剤
米ぬかを入浴剤にするのも、昔から行われてきた美容法のひとつです。
米ぬかをひとつかみ、さらしなどの布に包んで浴槽に入れましょう。
湯の中で袋を揉むと、湯の中にぬかが溶け出して肌を包みます。保湿と保温の効果で、湯上がりのしっとりすべすべ感が長続きします。
においやカビの原因になるので、風呂から上がったらお湯はすぐぬいて、浴槽を洗いましょう。
まとめ
米ぬかには、γ-オリザノールや米ぬかセラミド、ビタミンBやEなど、実にさまざまな栄養素が詰まっています。
美容品として使えば、抗酸化力や保湿に優れ、美しく明るい肌が期待できます。昔から女性に愛用されてきたのも納得です。
そんな米ぬか入りの石鹸は、家で手作りすることもできます。
市販品も多くありますので、ぜひ試してみて下さい。
米ぬか入りの化粧水などとあわせて使えば、美肌効果がさらにアップするかもしれません。
【参考資料】
『食べる米ぬかですっきりやせる!病気が治る!』 宝島社 石原新菜監修 2017年
『お風呂の愉しみ』 飛鳥新社 前田京子 1999年