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重要な栄養素ですが、そのすべてを食事から補うのは難しいと言われています。
妊活では、「妊娠しやすい体を作ること」が大きなテーマとなります。
そのために欠かせないのが食生活の見直しです。
妊娠には、さまざまなホルモンが関わっています。妊娠しやすい体づくりには、ホルモンがしっかり働くように、栄養をとることが大切です。
アメリカでの女性看護師を対象にした調査によると、卵子の成熟や排卵に問題がある不妊の場合、食生活や健康状態の影響が大きいことがわかっています。
日本でも、スタイルのよい人ほど、妊娠しにくい傾向にあるといいます。
食事の見直しから妊活をスタートしましょう。
1. 妊活の食事で多い5つの間違い
1-1. 太る原因となる油は控えめに
1-2. 炭水化物は少ない方がいい
1-3. 野菜や果物をよくとっているから健康
1-4. 妊活ではお肉は控えめで、植物性タンパク質をとる
1-5. 忙しいときは野菜ジュースで栄養補給
2. 低栄養のリスクと妊活に必要な栄養素
2-1. 食生活の変化と野菜不足
2-2. 妊活に必要な栄養素
2-2-1. タンパク質
2-2-2. 脂質
2-2-3. 炭水化物
2-2-4. 絶対とりたい5つのミネラルとビタミン
3. 妊活のための食事のとり方〜5つの基本〜
3-1. 外食では複数の料理をとる
3-2. 料理したくないものは外食でとる
3-3. 単品料理の外食のときは、一品追加を
3-4. コンビニごはんはタンパク質を意識する
3-5. 自分で作る一皿料理にはある食材をすべて入れる
世の中には、太りにくい食事のとり方や健康によいとされる成分を多く含むスーパーフードなど、体にいい食べ物や食事についての情報があふれています。
妊娠を考えている人が勘違いしている食の常識は少なくありません。
そのせいで、妊娠しにくい体になっている人は意外に多いのです。
ここでは妊娠しやすい体を作る上で、間違いやすい食の常識を5つ、紹介します。
「油(脂質)は太るもの」「生活習慣病の原因になるもの」と思っていませんか?
脂質は妊娠にとって重要な栄養素です。
食事として取り込まれた脂質はコレステロールに変えられて、ホルモンの材料として使われます。
妊娠しやすさを表す指標に、「卵巣予備機能」があります。
これは、卵巣に残っている卵子の数を予測するAMH検査で知ることができるのですが、コレステロールが高い女性ほど、AMHの数値が高いことがわかっています。
炭水化物もエネルギー源のひとつです。
砂糖(ブドウ糖)は血糖値を急激に上昇させるため、注意が必要な食べ物です。
しかし、食物繊維と糖質が組み合わさった炭水化物を控えすぎるのは、妊娠を考える上では逆効果です。
炭水化物を控えすぎると、摂取カロリーがどんどん減って、栄養不足になりやすいのです。
適度な量の炭水化物はきちんととるようにしましょう。
野菜やフルーツは、ビタミンが豊富で、健康によい成分も多く含まれています。
でも、野菜やフルーツさえとっていれば、健康が保てるわけではありません。
女性では野菜は足りていても、タンパク質が足りない人が多いのです。
タンパク質は赤ちゃんの体を作る材料にもなるので、妊活中は特にしっかりとりましょう。
食物繊維が十分にとれていない人も多いので、色の濃い野菜や噛み応えのある野菜もしっかり食べてください。
植物性タンパク質である豆は大切な食べ物のひとつです。
でも、豆腐や厚揚げ、煮豆といった、大豆や大豆製品ばかり食べているのは問題です。
妊活中には栄養バランスが偏らないようにすることが重要です。
肉や魚、たまご、乳製品など、さまざまな食材をバランスよく食べましょう。
特に妊活中の女性が気をつけたいのは、鉄不足です。
肉には体に吸収しやすい鉄(ヘム鉄)が多く含まれています。
魚にはDHAやEPAといった良質の油やミネラルが豊富に含まれています。
どちらも妊活中には積極的にとりたい食材です。
さまざまな野菜を使ったジュースは、栄養豊富と思いがちです。
でも、市販の野菜ジュースのほとんどは、加熱処理して作られています。
野菜の持つ栄養素のどのぐらいが破壊されずに残っているかははっきりしません。
栄養補給のつもりでとるなら、店頭で絞って作るスムージーやジュース、もしくは自家製のスムージーにしましょう。
現在の日本人の多くが、栄養不足だと知っていますか?
実は摂取カロリーの平均は、食べるものがろくになかった終戦直後と同じぐらいにとどまっています。
妊娠適齢期の20〜30代の女性には、スリムな体型の人が多く、摂取カロリーも特に少なくなっています。
20〜30代女性のやせすぎは、妊娠に悪影響を及ぼしています。
あまり知られていませんが、実は生まれたときの体重が少ない赤ちゃん(出生児の体重が2,500g未満)の割合が国際的に見ても日本は特に高いのです。
極端なダイエットは妊活の敵と覚えておきましょう。
かつての日本の食事、和食は栄養バランスがよいといわれてきました。
海外でもヘルシーな食事として、和食は注目されています。
ところが、最近の日本の食生活はその限りではなくなっているのです。
日本で推奨されている1日の野菜の摂取量は350g(うち緑黄色野菜は120g)。
しかし、野菜をよく食べると思われている20代女性でも、平均で見ると1日に摂取する野菜の量は238.9g(うち緑黄色野菜は74.5g)に過ぎません。
そのため、ビタミンやミネラルなどの栄養素が不足しがちなのです。
妊活ではバランスのとれた食事をとることが大切です。
不足しやすい栄養素は食事の好みによって変わってきます。
特に注意が必要な栄養素が不足していないか、食べ方に問題がないか、チェックしてみましょう。
私たちの体を構成する栄養素といえば、タンパク質です。
こんな食習慣の人はタンパク質が不足している可能性が高くなります。
妊活中に1日に摂取したいタンパク質は、体重1kgあたり1.5〜2g。体重50kgの人で75〜100gです。
1日に肉と魚をそれぞれ100gずつ、牛乳をコップに1杯(200ml)、豆腐を半丁、たまご1個食べると、ようやく必要な量のタンパク質をとれることになります。
3食しっかりタンパク質をとらないと、目標の量を満たすことは難しいのです。
ホルモンの材料となる脂質は、妊活では重要な栄養素です。
上記に当てはまる場合は、「よい油」がとれていない可能性があります。
よい油をとるように心がけましょう。
※オメガ3脂肪酸は、サンマやサバ、カツオ、マグロなどの青魚に多く含まれています。
※オメガ3脂肪酸の含有量は、亜麻仁油やえごま油も多いのですが、熱に弱い油なので、加熱しないで使いましょう。サラダにかける、汁物に食べる直前に加えるなどの食べ方がおすすめです。
反対に、トランス脂肪酸を含む食品(マーガリンやショートニングなど)は妊娠しにくくなるため、避けましょう。
エネルギー源となる炭水化物は、血糖値の上がりやすさを配慮して食べるようにしましょう。
精製してある上白糖は血糖値が上がりやすいのでできるだけ避けて、三温糖などの茶色い砂糖を使いましょう。
妊活では、主食は白米より雑穀米、白いパンよりも全粒粉のパン、うどんよりソバが適しています。迷ったら、色の茶色いものを選ぶとよいでしょう。
また、血糖値の上昇を抑えるため、炭水化物はビタミンやミネラル、タンパク質と一緒にとってください。
<血糖値を上げやすい食べ物>
かなりの確率で妊活に取り組む女性に不足している、是非ともとりたいミネラルとビタミンを5つ紹介します。
【ビタミンE】
ビタミンEは不妊治療や妊娠初期の流産防止に処方されることもある物質で、ホルモンの分泌を調整する働きも持ちます。こうしたことから、ビタミンEは「妊娠のビタミン」とも呼ばれます。
ビタミンEは脂質やビタミンC、ビタミンAと一緒にとるとより効果的です。
かぼちゃやアボカドなどビタミンEを多く含む食材をサラダにして、オリーブオイルをかけて食べるのがおすすめです。
【亜鉛】
性的な機能に深く関係して、細胞が分裂するときにも不可欠なミネラルが亜鉛です。
妊活中は、女性だけではなく、男性も積極的にとりたい栄養素です。
亜鉛が不足すると次のような変化が体に現れます。
亜鉛はおなかの中の赤ちゃんの成長にも欠かせません。
妊娠がわかってからはもちろん、授乳中もしっかり亜鉛をとりましょう。
亜鉛はカキ、納豆、レバー、ウナギ、赤身の牛肉などに多く含まれています。
【ビタミンD】
卵子が老化すると妊娠しにくくなることは最近、知られるようになってきました。
30歳以上の女性の卵子の数が少なくなるのは、ビタミンDの不足が原因のひとつと考えられています。
ビタミンDを多く含む食材としては、きのこ類やサケ、シラス干しなどが挙げられます。
自宅に手軽に食べられるシラス干しを常備するのがおすすめです。
また、1日に15分程度日光を浴びることで、体の中でビタミンDをつくることができます。
【鉄】
月経で毎月、血液を失う女性には、鉄不足の人が多く見られます。
鉄不足の可能性があるのは次のような人です。
私たちは、鉄をフェリチン(貯蔵鉄)という形で体内に蓄えています。
上記の状態に当てはまる人は、一度、フェリチン検査を受けてみるとよいでしょう。
貧血の目安となるヘモグロビンの値は正常でも、フェリチンが不足している「隠れ貧血」の可能性があります。
妊娠すると、鉄はおなかの中の赤ちゃんに回されます。
あらかじめフェリチンとして鉄を貯めておかないと、妊娠中に貧血に陥ってしまいます。
鉄には動物性食品に含まれるヘム鉄(吸収率25%)と、植物性食品に含まれる非ヘム鉄(吸収率5%)があります。
吸収しやすいヘム鉄を多く含むレバーやアサリ、カツオ、煮干し、たまご、牛肉などを積極的に食べましょう。
なお、切り干し大根などの乾物や納豆などの大豆製品には、非ヘム鉄が多く含まれています。
こうした食材はビタミンCと一緒にとると吸収率を高めることができます。
ほうれん草やトマトなどの野菜と上手に組み合わせて食べるとよいでしょう。
【葉酸】
葉酸は厚生労働省が妊娠可能な全ての女性に積極的な摂取をすすめている栄養素です。摂取すべき葉酸の量は1日に400μgです。
葉酸は赤ちゃんの脳や神経が作られるときに欠かせないもので、不足すると先天性異常をおこすリスクが高まります。
赤ちゃんの脳や神経は、妊娠6週までにほとんどできあがっています。
妊娠に気づかないことも多い時期なので、妊活中から葉酸をしっかりとる必要があるのです。
葉酸はほうれん草やブロッコリーなどの緑黄色野菜のほか、レバーやウナギの肝にも多く含まれています。
一般的な大きさの鶏レバー串2本で1日の必要量がとれます。
レバーには葉酸と一緒にとりたいビタミンB12も多く含まれているので、外食のときに食べたり、お総菜売り場で買ったりするのがおすすめです。
妊活中に取りたい栄養素については、こちらの記事でもご紹介しています。→「妊娠しやすい体を作る!妊活に必要な栄養と食べ物」
栄養バランスのとれた食事といえば、自炊ですが、毎日、主菜と2品の副菜、味噌汁を作るなんてハードルが高いと感じる人も多いでしょう。
外食やコンビニごはんも賢く選べば大丈夫です。
食べ方の基本を守れば、食事での妊活はそこまで難しいものではありません。
いろんな食材をとることは望ましいですが、毎日、自炊で何種類もの料理を作るのは現実的ではないでしょう。
外食のときは、主菜と小鉢(副菜)、汁物がつく和定食で、複数の料理をとるように心がけてください。
ぬか漬けなどの漬け物が添えられていれば、発酵食品もとれます。
牛丼やカツ丼などの丼物は、皿数が少ないため、栄養が偏りがちです。
サラダとパスタ、飲み物のセットも、妊活向きの食事とは言えません。
「作るのは面倒」と思うものは、外食で食べるようにしましょう。
同じ魚でも、お刺身なら買ってくれば自宅でも簡単に食べられます。
でも、煮魚は下処理に手間がかかって、料理するのが面倒だと思いませんか?
「ちょっと面倒」と感じる料理は、外食のときに選ぶようにしましょう。
だれかと食べに行くときには、自分の希望だけでは店を選べませんよね。
パスタやカレー、丼物などを食べるときは、追加でもう一品、オーダーしましょう。
サラダとパスタのセットならスープを追加、カレーや丼物ならグリーンサラダなどをつけるなどです。
追加の一品は彩りのよいものを選びましょう。
赤いトマトやニンジン、緑のほうれん草やブロッコリー、黄色のかぼちゃやグレープフルーツ、白い大根やタマネギ、茶色の椎茸やアーモンド、紫のサツマイモやなすといった食材を使った料理がおすすめです。
コンビニなどで買う食事では、炭水化物が多くなりがちです。
「主食でタンパク質をとる」ことを意識しましょう。
タンパク質というと、コンビニなどのレジのまわりにある唐揚げなどを思い浮かべる人も多いでしょう。でも、妊活用の食事にはこうした揚げ物は向きません。
おにぎりならサケやタラコなどタンパク質を具にしたもの、パンなら菓子パンよりもたまごなどタンパク質が具になったサンドイッチが適しています。
コンビニごはんでは、主食プラス一品が基本です。
サラダやおひたしなどの野菜、ゆで卵や冷や奴、豆乳などのタンパク質を足すのがおすすめです。
お弁当の場合は、野菜が不足しがちなので、メインのおかずに野菜が使われているものを選ぶとよいでしょう。
一汁三菜は理想的ですが、準備が大変ですよね。
実は重要なのは料理の品数ではなく、食べる食材の数です。
ひとつの料理にできるだけ多くの食材を使うことを考えましょう。
冷凍ごはんを電子レンジで温めて、納豆で食べる場合は、冷蔵庫のネギやミョウガ、漬け物の残りなど、混ぜて食べても美味しそうなものなら何でも、納豆に混ぜ込んでしまいましょう。
冷凍ごはんは白米ではなく、玄米のものを用意しておくのがおすすめです。
パスタでも、具に冷蔵庫にあるものをなるべく多く入れればOKです。
冷凍のミックスベジタブルやお肉、残り物のほうれん草のおひたし、きのこなどをどんどん入れていきます。
パスタは全粒粉のものを買い置いておくとよいでしょう。
困ったときにはお鍋もおすすめです。
いろいろな具材を適当な大きさに切って煮るだけと簡単で、栄養もたっぷりとれます。
具材の種類を変えたり、ポン酢やごまだれ、ナンプラーなどで味付けを変えたりすることでバリエーションを作れます。
血糖値を急激に上げるような食事をしていると、妊娠しにくくなるだけではなく、健康にも悪影響を与えます。
同じものを食べるのでも、食べる順番に気を配ることで、妊娠しやすい食事にすることができます。
最初に野菜など食物繊維が多いものを食べて、次にタンパク質、ご飯やパンなどの炭水化物は最後に食べるとよいでしょう。
妊娠中の食事については「赤ちゃんとお母さんに優しい妊娠中の食事」でも詳しくご紹介しています。
また、妊娠中に避けたい食べ物については「妊娠中の食事の基本!おすすめの食べ物、避けたい食べ物」の記事をぜひ参考にしてみてください。
食事は健康な体を作るためにとても重要なもの。
妊娠しやすい体になるには、妊娠に欠かせない栄養をしっかりとることが大切です。
でも、毎日、栄養のことを考えて食事を作るのでは疲れてしまいます。
外食やコンビニごはんも上手に活用して、がんばりすぎずに妊娠しやすい体づくりに取り組みましょう。
【参考資料】
・岡田明子(著)、堤治(監修)『妊娠できる体は食から 30代からの妊活食』(株式会社KADOKAWA 2016年)
・古賀文敏・定真理子『卵子の老化に負けない 妊娠体質に変わる栄養セラピー』(青春出版社 2017年)
ジョージ・E・チャヴァロ、ウォルター・C・ウィレット、パトリック・J・スケレット(著)『妊娠しやすい食生活』(日本経済新聞出版社 2013年)
・ベネッセムック『妊活たまごクラブ 2017〜2018年度版』(ベネッセコーポレーション)
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