健康茶として知られるルイボスティーは、健康オタクでなくても興味をひきますよね?
アンチエイジング効果が高くて、生活習慣病の予防にもなり、とくに妊娠中の女性には優れた効果があるといわれます。
「南アフリカの不老長寿薬」と呼ばれるルイボスティーには、神秘的な魅力があります。
ルイボスティーが日本ではじめてブームになったのは、もう30年近くも前のことですから、すでにいろいろな種類のものが販売され、健康茶として定着しています。
そして今、女優やセレブにファンが多いということから再ブームとなっているのです。
ここでは、ルイボスティーの栽培地や製造される過程にはじまり、人気の理由となっている3大成分によるメリットと、様々な活用例を解説します。
目次
1. ルイボスティーとはなにか?
1-1. ヨーロッパ発のノンカフェイン健康飲料
1-2. 南アフリカの一部だけで栽培されるマメ科の針葉樹
1-3. 販売されている形態
2. ルイボスティーの3大成分とメリット
2-1. 必須ミネラル
2-1-1. 生命に必要なミネラルバランス
2-1-2. 生活習慣病の予防と改善
2-2. SOD様酵素
2-2-1. 活性酸素を除去する酵素「SOD」
2-2-2. 抗酸化作用でアンチエイジング
2-3. フラボノイド
2-3-1. ルイボス特有のフラボノイド「アスパラチン」
2-3-2. 抗酸化&抗アレルギー作用
3. ルイボスティーの活用例
3-1. 妊娠中や授乳期のミネラル補給
3-2. 炎症などの湿布剤
3-3. スポーツドリンク
3-4. 入浴剤
3-5. 消臭剤
1. ルイボスティーとはなにか?
ルイボスティーは「健康茶」として知られていますが、日本茶や中国茶、紅茶などとはまったく違い、お茶の木の葉からつくられるものではありません。
紅茶などとは違ってノンカフェインなので、妊婦や幼児でも安心して飲むことができ、美容効果や健康促進効果が高いといわれます。
いいことずくめに見えるルイボスティーですが、その原料や製造過程は、一般にはあまり知られていません。
まず、ルイボスティーとはどのようなものなのか、その概要から解説しましょう。
1-1. ヨーロッパ発のノンカフェイン健康飲料
「ルイボス」は、南アフリカの公用語であるアフリカーンス語で、「赤い(Rooi)」「藪(bos)」という意味です。
イギリスでは、ルイボスティーを「レッドブッシュティー」や「サウスアフリカンレッドティー」と呼びます。
ルイボスティーの歴史は古く、南アフリカの先住民の間では古来、「不老長寿のお茶」「奇跡の飲み物」として語り継がれてきました。
18世紀には、ルイボスを酵素発酵させた後に天日乾燥させる方法で、先住民が日常的に飲んでいたという記録が、ヨーロッパ人によって残されています。
17世紀後半から18世紀初頭にかけて、ヨーロッパ人の植民地化が行われる南アフリカで、先住民が飲んでいたルイボスティーをオランダ移民が紅茶の代用品として飲みはじめます。
その後、ヨーロッパに持ち帰られたルイボスティーは、20世紀初頭からドイツなどで医学的研究が行われると次第に様々な効用が明らかになり、健康飲料として定着しました。
日本で飲まれだしたのはおよそ30年前のことで、1990年代にはブームとなりました。
今では、茶葉タイプのものやティーバッグにしたもの、ペットボトルの飲料になっているものなど、いろいろなタイプのものが販売されています。
近年になって再ブームの到来といわれた理由は、強力な抗酸化作用をもつ「SOD様酵素」やポリフェノールが含まれていることにあります。
1-2. 南アフリカの一部だけで栽培されるマメ科の針葉樹
ルイボスティーの原料となるルイボスは、学術名を「アスパラサス・リネアリス」というマメ科の針葉樹です。
ルイボスは、南アフリカ共和国のケープ州ケープタウン北側にあるセダルバーグ山脈一帯が世界で唯一の産地で、過去には何度もほかの地域での栽培拡大が試されましたが、すべて失敗に終わりました。
海抜500メートル前後の高地で、日中の寒暖差が30度あることや、ミネラルたっぷりの酸性土壌であることが、栽培の条件を満たすものではないかと考えられています。
高さは2メートル程度の低木で、マメ科の植物にしては珍しい針葉樹です。
小さな黄色い花が咲き、エンドウ豆のようなサヤの中に黄白色の豆ができて、熟すとサヤから豆が飛び散ります。
先住民は、ルイボスの針のような葉を細かく砕いて、発酵させたものを飲用にしていました。
1-3. 販売されている形態
種まきから2年後、ルイボスは1.5メートルほどに育ち、葉は刈り入れると細かく断裁されて、風を当てながら30~35度の温度で約8時間発酵させられます。
緑色の葉が、濃い赤茶色に変色すると独特の甘い香りを発するようになり、天日で乾燥させた後に蒸気で低温殺菌し、熱風乾燥させたら原材料の完成です。
ルイボスティーの原材料は、南アフリカ共和国の法令に基づいて「スーパーグレード(またはスーペリア)」を頂点とする5等級に分けられ、真空パックされて各国へ輸出されます。
2000年前後からは発酵させていない「グリーンルイボス」の製造もはじまり、通常のレッドルイボスよりもさらに高い抗酸化作用が注目されています。
輸入されたオリジナル茶葉は、国内で加工され、もっとも初期からある煮出すタイプ、お茶のようにお湯を注いで手軽に飲めるようにしたもの、さらに手軽なティーバッグ、溶かして飲むパウダータイプ、自販機でも買えるペットボトル飲料など、様々な形態で販売されています。
ミントやレモンのフレーバーを加えたり、数種類のハーブをブレンドしたりして、味や香りも工夫されています。
2. ルイボスティーの3大成分とメリット
ルイボスティーが世界で幅広く飲まれてきた理由は、オーガニック(有機栽培)のものが多く、カフェインレスの安心な飲料であること、そして美容や健康に多大な効用があることです。
ここからは、ルイボスティーの並々ならぬ効用を生みだしている3つの代表的な成分について、解説しましょう。
2-1. 必須ミネラル
南アフリカは、世界有数の鉱物資源産出国として知られています。
大地には人間が生きるために必要不可欠な「鉱物=ミネラル」が豊富に含まれています。
この土壌に3メートルもの長さの根を伸ばして育つルイボスは、豊かなミネラル成分を大地から吸収して細胞内に取り込んでいるのです。
2-1-1. 生命に必要なミネラルバランス
ルイボスティーに含まれるミネラルのバランスは、人間が生きていく上で必要なミネラルバランスと非常によく似ているという特徴があります。
ミネラルは、タンパク質、脂質、糖質、ビタミンとともに5大栄養素の1つとして、生命活動を続ける糧となっています。
地球上に存在するミネラルは100種類以上発見されていますが、このうち人間の体に取り込まれるものは約50種類といわれ、その中でも欠乏すると生命にかかわるものが16種類あって「必須ミネラル」と呼ばれます。
必須ミネラルとは、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、マンガン、リン、カリウム、亜鉛、鉄、銅、モリブデン、セレン、硫黄、クロム、塩素、コバルト、ヨウ素で、ルイボスティーにはこれらの重要なミネラルがまんべんなく含まれているのです。
2-1-2. 生活習慣病の予防と改善
ミネラルはそれ自身が血や肉になったり、代謝されてエネルギーに変換されたりすることはありません。
体内で、酵素やビタミンを効率よく機能させる働きをするのです。
ですから通常は、ミネラル自体の効用という表現ではなくて、欠乏すると現れる症状があげられます。
例をあげると、カルシウムが不足すれば骨粗しょう症や免疫力の低下を招き、マグネシウムが不足すればカルシウムとカリウムを吸収できなくなり、カリウムの欠乏は神経機能のマヒや心臓発作などを起こしやすくなるというような事柄です。
こうした必須ミネラルの働きは、生命維持にかかわるもので、とくに高血圧、動脈硬化、糖尿病といった生活習慣病の予防には欠かせないものとなっています。
2-2. SOD様酵素
ルイボスティーに含まれる3大成分の2つめは、「SOD様酵素」という、聞きなれない成分です。
「SOD(スーパー・オキシド・ディスムターゼ)」とは、細胞内に発生した「活性酸素(スーパー・オキシド)」を分解する「抗酸化酵素」のことです。
SODは体内でしか作り出すことができない酵素で、このSODとよく似た働きをする成分が、ルイボスティーに含まれる「SOD様酵素」なのです。
2-2-1. 活性酸素を除去する酵素「SOD」
活性酸素は、細胞の中でエネルギーを発生させるときにできてしまう毒素です。
しかし、この毒素は、免疫の最前線となる「食細胞」の活動を助け、細菌やウィルスを溶かす働きがあります。
ですから活性酸素は、細菌やウィルスから身を守るためには欠かせない物質なのですが、食細胞が過剰になってしまうと、その強力な酸化力で体内組織を破壊してしまいます。
病気の9割以上は、活性酸素が原因であるといわれるほど、体が酸化するのは危険なことなのです。
人間の体には、この危険な活性酸素の毒性を中和するために抗酸化物質が備わっており、その代表がSODです。
環境の悪化やストレス、加齢などによって活性酸素は増え、体に様々な悪影響を及ぼします。
そうなるとSODの量が追いつかなくなり、さらに、体内でつくられるSODは40歳をすぎると極端に減ってしまいます。
そこで、SODと似た働きをする「SOD様酵素」を外から補充してやれば、体内の抗酸化作用が高まるわけです。
2-2-2. 抗酸化作用でアンチエイジング
体内が酸化すると現れる代表的な症状は、血管が硬くなり、コレステロールや中性脂肪が酸化されて過酸化脂質が増えるということです。
これだけ聞いても、心臓病や動脈硬化のリスクを高めることがわかります。
SOD様酵素は、活性酸素を除去して、体内のあらゆる組織を正常化する働きがあります。
免疫力を高めるので、ウィルス感染の防止にも効果があります。
活性酸素は肌の老化を進めることでも知られています。
シミの原因の1つであり、コラーゲンやエラスチンを減らしてしまうので、シワやたるみの原因にもなります。
SOD様酵素は、抗酸化成分と呼ばれるビタミンA、B2、C、Eなどとともに、肌のアンチエイジングにも優れた効能があります。
このSODやビタミンは、必須ミネラルの助けを借りることによって、100%のパワーを発揮します。
2-3. フラボノイド
ポリフェノールは、植物が光合成でつくった糖分の一部が変化してできた物質で、色素や苦味の成分です。
その代表格であるフラボノイドも、ルイボスティーの3大成分の1つです。
フラボノイドは、植物が紫外線から身を守るためにつくる天然の抗酸化物質で、お茶に含まれるカテキンや、大豆に含まれるイソフラボンなどがよく知られています。
2-3-1. ルイボス特有のフラボノイド「アスパラチン」
ルイボスティーには、ケルセチンやルチン、オリエンチン、イソオリエンチンなど、少なくても10種類のフラボノイドが含まれています。
中でも、アスパラチンはルイボスだけでしか発見されていないフラボノイドです。
これだけ多種のフラボノイドが含まれているのは驚異的なことで、フラボノイドには抗酸化作用以外にも、デトックス作用、ストレス緩和作用、免疫力を整える作用など、種類によっていろいろな働きがあります。
ルイボスティーの効用が多岐にわたるのは、含まれるフラボノイドの種類が多いことも大きく影響しているのです。
2-3-2. 抗酸化&抗アレルギー作用
フラボノイドの代表的な効用としては、抗酸化作用による動脈硬化や脳梗塞、心筋梗塞の予防などがあげられます。
そして近年、ルイボスティーの効用としてとくに注目されているのが、抗アレルギー作用。
花粉症などのアレルギー体質は、免疫組織が通常は無害な物質に対して抗体をつくって攻撃してしまうという特徴があります。
こうした免疫組織の異常も、活性酸素が大きな原因になっています。
アトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎なども免疫組織の異常によって起こるものですから、ルイボスティーを常用することによって症状が改善するケースが多いのです。
3. ルイボスティーの活用例
ここまで解説してきたように、ルイボスティーをお茶として常用することによって、美容面や健康面で多大な効用を得ることができます。
形態やつくり方にもよりますが、効果的な摂取量は1日にカップ3杯が目安とされます。
それ以上の量を飲んでも、ルイボスティーは体に害はありませんが、たくさんの水分を摂取することはお腹を壊すことになりかねないので注意してください。
さらに、ルイボスティーには、お茶として飲用する以外にも効果的な活用方法があります。
いくつかピックアップしてみましょう。
3-1. 妊娠中や授乳期のミネラル補給
ルイボスティーは妊娠中のドリンクとして、女性に高い人気があります。
人気の理由は、ノンカフェインであることと、絶妙なミネラルバランスがもたらす効果です。
生命の維持に欠かせない必須ミネラルの1つであるカルシウムは、足りなくなると貯蔵庫である歯や骨からもち出されます。
妊娠中の母体は胎児から大量のカルシウムを奪われますから、補給しなければ歯や骨がスカスカになってしまいます。
ミネラルバランスにすぐれたルイボスティーのカルシウムは、体に吸収されやすいので、妊娠中の女性には強い味方となるのです。
また、授乳期には、この豊富なミネラルが母乳の質をあげることになります。
さらに、乳児にもルイボスティーで溶いた粉ミルクをあげるなど、子どものミネラル補給にも最適な飲み物とされています。
そのため「赤ちゃんとお母さんに優しい妊娠中の食事」という記事でもルイボスティーをご紹介しています。
3-2. 炎症などの湿布剤
筋肉痛や皮膚の炎症などに、ルイボスティーを染み込ませたガーゼで湿布します。
飲用のものの濃度を2倍にした浸剤をつくり、手と同じくらいの温度にしたらガーゼを浸して患部にあてます。
湿布剤が冷たくなるまであてておきましょう。
また、飲用と同じ濃さの浸剤を冷やしてガーゼに浸し、両目に10分間あてると、疲れ目をスッキリさせることができます。
3-3. スポーツドリンク
スポーツによる発汗は、ミネラルを多く消費するので、水を大量に飲むと体液のミネラルがどんどん失われていきます。
スポーツドリンクには、こうした状態の体に良質のミネラルを早く吸収させる目的があります。
優れたミネラルバランスのルイボスティーは、スポーツドリンクにも適しています。
3-4. 入浴剤
湿布剤としても効果を発揮するように、ルイボスティーにはミネラルイオンを皮膚に吸収させる働きがあります。
煮出したり茶葉として使用したりした後のルイボスティーを残しておき、3~4回分をメッシュの袋に詰めて浴槽に入れれば、皮膚炎を改善する入浴剤になります。
入浴できない状況にある人は、ルイボスティーを浸して絞ったタオルで全身を拭きます。
花粉症の人は、スプレー容器にルイボスティーを入れて、鼻孔にスプレーしても同様の効果が望めます。
3-5. 消臭剤
ルイボスティーのフラボノイドには強力な消臭効果もあります。
入浴剤で紹介した使用済みの茶葉は、そのまま冷蔵庫やシューズボックスなどの消臭剤としても使えます。
また、花粉症で紹介したスプレーは、臭い消しスプレーとしても使えます。
お酒を飲んだ後や、飲みすぎた翌朝にルイボスティーを飲めば、口臭消しや二日酔い防止の効果も望めます。
まとめ
体内の毒物を出し切ることを目的とするデトックス療法では、数日間から2週間ほどカフェインの摂取が禁じられるので、SOD様酵素が毒素の排出を促すルイボスティーは最適な飲み物となります。
さらに、便秘や睡眠障害の解消、ムリのないダイエット効果など、ルイボスティーがもたらす効用は数えきれないほどあります。
これだけ有用な植物なのですから、健康飲料として定着したのもうなずけますね。
近年は、通販で簡単にいろいろな形態のものが入手できるようになっていますから、興味のある人はぜひ試してみてください。
【参考資料】
・『自分でできる花粉症・アレルギー撃退法』 現代書林 2000年
・『ハーブ・ハンドブック』 東京堂出版 2010年
・RT ROOIBOS TEA web site
・日本抗酸化 web site