便秘の解消には、食物繊維や発酵食品が定番ですよね。
それはわかっていても、なかなか治せないのがやっかいな慢性便秘。
その理由のひとつは、悩んでいる人が多いのに、便秘にかんする正しい知識を理解している人の少なさがあげられます。
たとえば、一言で「食物繊維」といっても、食材に含まれている食物繊維には「不溶性食物繊維」と「水溶性食物繊維」があり、2:1のバランスで摂るのが良いバランス。
食物繊維が豊富だからと、野菜などから不溶性食物繊維ばかりを摂っていると、水分が不足して便が硬くなり、お腹の張りを引き起こしてしまいます。
こうした「腸活」の基本的な知識は、本サイトの別記事でわかりやすく解説していますので、ぜひ本記事とあわせてご覧になることをおすすめします。
ここでは、バランスのよい腸活で便秘を解消するために、10種の食材を取り上げ、簡単レシピを紹介します。
各レシピは、簡単な調理方法だけを紹介していますので、食材などの詳細な分量や調理時間はお好みに合わせて調整してください。
目次
10種類の食材を使った便秘解消レシピ
1. ごぼう
① 牛肉、ごぼう、まいたけのしぐれ煮
② 簡単きんぴら
2. かぼちゃ
③ かぼちゃ入りラタトゥイユ
④ かぼちゃとプルーンのサラダ
3. 豆類
⑤ いんげん豆とさつまいものレモン煮
⑥ 大豆のガーリック炒め
4. 発酵食品
⑦ 具だくさん味噌汁
⑧ 納豆キムチ
⑨ 甘酒ヨーグルト
5. もち麦
⑩ もち麦入り煮込みハンバーグ
⑪ もち麦とブルーベリーのお粥
6. オリーブオイル
⑫ カプレーゼ
⑬ アヒージョ
7. オリゴ糖
⑭ オリゴ糖&きな粉
⑮ オリゴ糖とレーズンのパン
8. ココア
⑯ ミントココア
9. キウイフルーツ
⑰ キウイスムージー
10. バナナ
⑱ バナナブルーベリーマフィン
まとめ
10種類の食材を使った便秘解消レシピ
1. ごぼう
ごぼうは、不溶性と水溶性両方の食物繊維を豊富に含み、腸内環境を整えるオリゴ糖まで豊富なスーパー腸活根菜。
とくに最近は、脂質の吸収を高める胆汁酸を吸着して排出し、便の量を増やす、不溶性食物繊維リグニンの効果が注目されています。
① 牛肉、ごぼう、まいたけのしぐれ煮
「しぐれ煮」は、佃煮のような甘しょっぱい味付けに生姜を加えた煮物のことです。
ごぼうに、これも両方の食物繊維が豊富なキノコ類と、水溶性食物繊維が豊富な糸こんにゃくを合わせます。
・フライパンに油をひき、笹がきにしたごぼう、斜め切りしたねぎ、糸こんにゃく、生姜の細切りを入れて炒めます。
・つゆの素(出汁醤油)と水、砂糖適量を加えて煮立ったら、食べやすい大きさに切った牛肉のこま切れとまいたけを加え、煮汁がなくなるまで煮たら完成。
② 簡単きんぴら
ごぼうを最も簡単においしく食べられるメニューが「きんぴら」です。
・ごぼうとにんじんを細切りにし、フライパンでごま油を熱したらしんなりするまで炒めます。
・つゆの素で味付けしたら火を止めて、仕上げにごま油で香りづけします。
2. かぼちゃ
かぼちゃも、不溶性と水溶性の食物繊維を豊富に含む腸活野菜。
免疫力を高める抗酸化成分のβカロテン(体内でビタミンAに変換)やビタミンC、疲労回復効果の高いビタミンB群など、豊富なビタミンも見逃せません。
③ かぼちゃ入りラタトゥイユ
かぼちゃとマッシュルームで食物繊維を摂り、玉ねぎやにんにくからはオリゴ糖が摂取できる腸活メニュー。
・鍋にオリーブオイルとにんにくのみじん切りを入れて弱火で熱したら、2~4cm大に切った、なす、かぼちゃ、ピーマン、マッシュルームを加えてしんなりするまで炒めます。
・さいの目に切ったトマト、塩、コショウを加えて20分ほど煮たら完成。
④ かぼちゃとプルーンのサラダ
かぼちゃとプルーンは食物繊維が豊富で、自然な甘みが楽しめる食材。
プルーンの甘ずっぱさとカレーの風味が食欲をそそります。
・2cm大に切って電子レンジで加熱したかぼちゃ、刻んだプルーン、薄切りにしてから水にさらし、水気をとった玉ねぎをボールに入れます。
・市販のフレンチドレッシングにカレー粉を適量加えたものをボールに入れて、あえたら完成。
3. 豆類
豆類は不溶性食物繊維が豊富で、その量はごぼうの2倍ともいわれ、タンパク質を多く含む大豆や落花生、糖質を多く含む小豆、いんげん豆、ひよこ豆などに分類されます。
糖質を多く含む豆は、茹でたり煮たりすることによって糖質が食物繊維に変化するという特性があります。
⑤ いんげん豆とさつまいものレモン煮
いんげん豆は茹でて冷凍保存しておくと、煮物やスープ、サラダなどに加えて手軽な腸活メニューをつくることができます。
両方の食物繊維が含まれるイモ類の中でも、とくに食物繊維が豊富なさつまいもと、レモンのさわやかさを合わせます。
・茹でたいんげん豆と、半月切りにして軽く茹でたさつまいもを鍋に入れ、水、砂糖、いちょう切りにしたレモンを加えて5分ほど煮たら完成。
・さめるまでおいてからいただきます。
⑥ 大豆のガーリック炒め
オリーブオイルとにんにくの風味が効いた、イタリアンな大豆炒め。
ひよこ豆やミックスビーンズなどを使っても美味しくできます。
・フライパンにオリーブオイル、ひとかけのにんにく、鷹の爪を入れて弱火で熱して香りが立ってきたらにんにくと鷹の爪を取り出します。(これは「アーリオオーリオ」と呼ばれる、イタリアンの基本となるオイルソース)
・さいの目に切ったこんにゃく、茹でた大豆を加えて炒めたら塩とあらびきブラックペッパーで味を調えます。
4. 発酵食品
発酵食品は、食物繊維と並ぶ腸活食材。
腸内には、腸内環境を整えて腸管運動を促進する「善玉菌」と、腸内のタンパク質などを腐敗させて有害物質をつくる「悪玉菌」、そしてどちらか優勢な方に味方する「日和見菌」という3種類の菌が存在します。
腸活のポイントは、悪玉菌を減らすことよりも、ビフィズス菌をはじめとする善玉菌を補給して善玉菌優性の状態をつくることにあります。
醤油、味噌、漬物、納豆、麹など、和食は発酵食品の宝庫。
ここでは簡単につくれる「スーパー発酵腸活メニュー」を3点紹介します。
⑦ 具だくさん味噌汁
世界中で和食が人気を集めている今、味噌汁はスープというよりも、ひと椀でバランスが取れる一品料理として注目されています。
出汁をとるのは面倒だし、顆粒出汁ではコクが出ないと思っている人におすすめなのが、紙パックの天然出汁。
簡単に本格的な出汁をとれるものが、各種発売されています。
出汁の種類、味噌の種類、そして具の種類を考えると、無数の美味しさが生まれるバリエーションが、味噌汁の醍醐味なのです。
便秘解消メニューとしておすすめなのは、食物繊維の多い根菜、キノコ類、こんにゃくなどを組み合わせた具だくさん味噌汁。
仕上げにエキストラバージンオリーブオイルを垂らすのもおすすめ。
風味が増して、さらにスーパー腸活メニューとなります。
⑧ 納豆キムチ
味噌や醤油は大豆からつくられますが、キムチは野菜類、海産物、植物性油といったいろいろな食品が発酵してできる乳酸菌豊富な発酵食品です。
日本古来の栄養食品である納豆は、生きたまま腸まで届く強い善玉菌の納豆菌に加え、善玉菌のエサになる食物繊維、血栓のもとになるタンパク質を分解するナットウキナーゼが豊富。
このキムチと納豆の組み合わせは、最強の発酵食品といえます。
そのまま合わせるだけでも、料理に利用してもOK。
さらにオリーブオイルを組み合わせれば、もはや「鬼に金棒」です。
日本で売られているキムチには発酵させていないものもあるので、必ず発酵させてあるものを購入しましょう。
⑨ 甘酒ヨーグルト
発行食品の強力な組み合わせをもうひとつ。
最近、健康食材として人気が高まっている甘酒は、古来、米と米麹からつくられてきた発酵食品で、「飲む点滴」といわれるほどビタミンやアミノ酸、食物繊維が豊富に含まれています。
酒粕に砂糖を加えてつくる甘酒も売られていますが、自然な甘さがいきている米と米麹だけが原料のものを購入しましょう。
甘酒は「ジャパニーズヨーグルト」と呼ばれることもあるのですが、ずばり乳酸菌の宝庫である無糖ヨーグルトと合わせて毎日飲めば、強力な腸活ドリンクとなります。
5. もち麦
もち麦は大麦の一種で、豊富な水溶性食物繊維が善玉菌のエサとなって腸内環境を整えることから、便秘対策の食材として注目されています。
ここで、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の働きの違いを簡単に説明しておきましょう。
野菜や穀類、豆類に多く含まれている不溶性食物繊維は、水分を吸って大きく膨らみ、便の量を多くしてやわらかくするとともに、腸壁を刺激して排便を促します。
一方の水溶性食物繊維は、植物の細胞や分泌液に含まれているネバネバの成分で、老廃物やナトリウムを排出するという作用が強く、粘度が高いのでほかの食べ物を包んで小腸内をゆっくり進み、血糖値の急上昇を防ぐ効果もあります。
不溶性はビフィズス菌などのエサとなって善玉菌を増やすのに対し、水溶性は発酵性が強く、それ自体が発酵食品のように善玉菌を増やします。
⑩ もち麦入り煮込みハンバーグ
もち麦は茹でて冷蔵庫で保存しておくと便利です。
あいびき肉と、もち麦のプチプチ食感がとてもよく合うハンバーグ。
つなぎに卵やパン粉を加えて、食感を調節しても楽しめます。
・茹でてお湯を切ったもち麦、みじん切りの玉ねぎ、ひき肉、塩、コショウをボールに入れてよく混ぜ、小判型にまとめておきます。
・フライパンにオリーブオイルを熱したら、電子レンジで加熱したにんじん、適当な大きさに切ったエリンギを入れてさっと炒める。
・にんじんとエリンギを取り出したフライパンにオリーブオイルを加え、ハンバーグの両面を焼いて、にんじん、エリンギ、水を加え、煮立ったら市販のデミグラスソースを入れて5分くらい煮ます。
・最後に茹でたブロッコリーを加えて塩、コショウで味を調えたら完成。
⑪ もち麦とブルーベリーのお粥
もち麦をお粥状に茹でた鍋に、たっぷりめのブルーベリーを加えて加熱するだけという簡単朝食メニュー。
大麦の水溶性食物繊維と、ブルーベリーの水溶性食物繊維の相乗効果で、腸内善玉菌を優性にします。
また、双方に血糖値の上昇を抑える効果があるので、便秘対策とともに糖尿病予防にも効果を発揮します。
6. オリーブオイル
オリーブオイルに多く含まれるオレイン酸は、腸を刺激して排便を促す作用が認められています。
酸化した脂質は身体に悪い影響を与えるのですが、エキストラバージンオリーブオイルには、オレイン酸に加えてポリフェノール、葉緑素、ビタミンEといった抗酸化成分が豊富で酸化しにくいために、食用油として注目されているのです。
ヨーロッパでは古くから、ワインと同じように、様々な香りと味を楽しまれてきた食用油ですから、いくつか気に入ったものを使い分けるのがおすすめです。
概ね和食との相性もいいので、すでに紹介した味噌汁などに加える食べ方もおすすめですが、ここでは、簡単にできるイタリアとスペインの小皿料理を紹介します。
⑫ カプレーゼ
カプレーゼは、赤いトマト、白いモッツァレラチーズ、緑のバジルというイタリアンカラーが鮮やかなサラダ。
この料理は、塩とオリーブオイルの組み合わせ次第で、同じトマトがまったく違う味わいになります。
オイルと同様に、塩も何種類か用意して楽しむとリッチな気分になれますよ。
・1cm程度の厚さに切ったトマトの上に同じくらいの厚さに切ったモッツァレラチーズをのせ、その上にフレッシュバジルを重ねます。
フレッシュバジルがない場合は乾燥バジルで。
・全体にオリーブオイルをかけて、塩をパラパラっとふったら完成。
⑬ アヒージョ
アヒージョは、スペイン料理の代表的な小皿料理で、簡単にいえば「オイル煮」です。
素材は、エビ、牡蠣、チキン、エスカルゴなどがよく使われますが、便秘対策としてはキノコ類を必ず入れたいところ。
耐熱容器がなかったら、たこ焼き用のホットプレートでつくっても楽しめます。
・耐熱容器にたっぷりのオリーブオイル、にんにくスライス、鷹の爪、塩を加えて加熱します。
・食べやすい大きさに切った海老、帆立、牡蠣、鶏もも肉などとともに、半分に切ったマッシュルームを入れて、オイル煮にします。
・仕上げに醤油を垂らしたり、パセリのみじん切りをかけたりしても楽しめます。
7. オリゴ糖
オリゴ糖は、大豆、ごぼうや玉ねぎ、にんにく、ハチミツなど様々な穀類、豆類、野菜、果物などに含まれている糖類で、腸内でビフィズス菌のエサになり、腸内環境を整える働きがあります。
近年は、工業的に生産されているものが販売されており、虫歯になりにくいこともあって、砂糖の代わりに使う人も増えています。
⑭ オリゴ糖&きな粉
インターネットでレシピを紹介しているクックパッドには、オリゴ糖を使用するメニューもたくさん掲載されていますが、その中でも子供に人気があって高い検索率を維持しているのが、きな粉との組み合わせです。
きな粉は炒った大豆の皮をむいて挽いた粉ですから、それだけでも豊富な食物繊維と大豆オリゴ糖が含まれているところにオリゴ糖をくわえるのですから、これも強力なタッグ。
きな粉、オリゴ糖、牛乳からつくる「生きな粉団子」や、トーストに塗るペーストなどが好評です。
⑮ オリゴ糖とレーズンのパン
楽天レシピでは、幼児&妊婦食としてオリゴ糖を使ったブドウパンが紹介されています。
ホームベーカリーをもっている人は、オリゴ糖の甘さとたっぷりのレーズンで、子供と一緒に楽しめるパンを焼いてみてはいかがでしょう。
8. ココア
「便秘にココア?」と不思議に思った人もいると思いますが、通常の飲み物の中で唯一食物繊維が含まれているのがココアなのです。
とくに不溶性食物繊維が豊富で、便秘の改善に効果が認められています。
⑯ ミントココア
現代人の便秘には、ストレスが原因になって起こる「過敏性腸症候群」によるものも多くなっています。
ヨーロッパでこうした症状の便秘に処方されているのが、ミントオイル。
ミントには、リラックスに必要なセロトニンという神経伝達物質を活性化させる働きがあるのです。
ココアの食物繊維に、ミントとオリゴ糖を加えたスーパー腸活ドリンクが「ミントココア」。
ペパーミントティーのティーバッグと粉末のココアを使って簡単につくれます。
チョコレートとミントの組み合わせは、サーティワンなどのアイスクリームや、パティスリーショップのショコラなどで日本でも珍しくなくなっていますから、違和感はないでしょう。
9. キウイフルーツ
キウイフルーツは、ビタミンC、E、カリウム、葉酸などが多く含まれる果物ですが、100gあたりに1.8gの不溶性食繊維と、0.7gの水溶性食物繊維を含んでおり、これは食物繊維の理想的な割合である2:1に近い数値なのです。
⑰ キウイスムージー
キウイフルーツに、ヨーグルトの乳酸菌とハチミツのオリゴ糖、バナナまで加えたスーパー腸活スムージー。
キウイフルーツ1個に対して、バナナ1本、プレーンヨーグルト1カップ、ハチミツ大さじ2をミキサーに入れて混ぜるだけ。
甘みも十分なので、子供の便秘対策にも向いています。
10. バナナ
バナナの栄養価が高いことはよく知られていますが、中でも便秘の解消に有効な成分には豊富な食物繊維やオリゴ糖だけでなく、セロトニンの原料であるトリプトファン、腸の細胞から水分を引き出して便をやわらかくするマグネシウムなどがあります。
バナナだけを食べるときには、エキストラバージンオリーブオイルと一緒に食べると、腸活力がアップします。
⑱ バナナブルーベリーマフィン
ホットケーキミックスを使い、茹でたもち麦とつぶしたバナナ、さらにはブルーベリーまで加えた腸活マフィン。
好みでバター、砂糖、卵黄を適量加え、180度のオーブンで20分ほど焼いたら完成です。
まとめ
便秘解消レシピのヒントは、食物繊維に乳酸菌やオリゴ糖などをうまく組み合わせるところにあります。
普段食べているメニューも、ちょっとした工夫で腸活メニューに変えることができますよ。
ここでは食べ物、飲み物という観点から便秘の解消を考えてきましたが、適度な有酸素運動やストレッチ、質の良い睡眠といった生活習慣を見直すことも忘れないでください。
【参考資料】
・『腸がきれいになる元気食』 松生恒夫 著 法研 2019年
・『食事療法 おいしく続けるシリーズ おかずレパートリー 過敏性腸症候群 急な下痢 つらい便秘』 松枝啓、牧野直子 著 女子栄養大学出版部 2018年