「美白のためになるクレンジングと洗顔の方法を知りたい」
そう思っている女性は多いですよね?
正しいスキンケアとしてのクレンジングや洗顔については、いろいろな説を耳にしてきたことと思います。
「クレンジングは朝もやったほうがいい」
「朝は水だけの洗顔にしたほうがいい」
「洗顔はクリーミーな泡をたっぷり使ったほうがいい」
「泡の立たない洗顔のほうが肌にやさしい」
あまりに違う説があって、どれが本当に美白のためになるのか、正しい理由を答えられる人は少ないでしょう。
美白のためのUV対策や保湿化粧品をいくら考えても、正しいクレンジングと洗顔がわからなければ、スキンケアは成立しません。
ここでは、美白をつくるために必要な知識である、クレンジングと洗顔の最新情報を解説します。正しい知識を身につけて、自分の肌に合ったスキンケアを行いましょう。
目次
1. 美白とはなにか
1-1. 肌のしくみ
1-2. 角層バリアの働き
1-3. 28日周期のターンオーバー
1-4. シミの種類
1-5. 美白に必要なスキンケア
2. 美白を作るクレンジングの真実
2-1. 【真実 1】 クレンジングは必要悪
2-2. 【真実 2】 肌の負担が少ないのはクリームタイプ
2-3. 【真実 3】 1分で手早く終わらせるべき
2-4. 【真実 4】 クレンジングで毛穴の汚れは落ちない
2-5. 【真実 5】 正しいクレンジングの手順
3. 美白を作る洗顔の真実
3-1. 【真実 6】 肌質を問わず朝晩の洗顔は必要
3-2. 【真実 7】 シンプルな固形石けんがベスト
3-3. 【真実 8】 洗顔後はつっぱり感が必要
3-4. 【真実 9】 泡はそれほど重要ではない
3-5. 【真実10】 正しい洗顔の手順
1. 美白とはなにか
「美白化粧品」「美白ケア」などと使われる「美白」とは、肌を白くすることではありません。
「美白」は、シミやくすみなどの色素沈着がない明るい肌を意味する造語です。
日本人の肌は、本来白いものでも、透き通っているものでもなく、いろいろな色素によって色がついているので、白くすることは白粉でも塗らない限りムリなのです。
欧米諸国では、「美白」の英訳とされる「ホワイトニング」という美容用語はありません。
日焼けはバカンスの証拠、セレブの象徴とされるくらいですから、肌を白くしたいと考える女性は少ないのです。
美白化粧品には、白い肌にあこがれる傾向が強い日本人を対象として作られたものが、アジア諸国に伝播したという経緯があります。
しかも、美白化粧品で、できてしまったシミはほとんど消すことができません。
美白を目指す人にとっては、少しショックな言葉かもしれませんね。
でも、これは真実。
クレンジングと洗顔の解説をする前に、美白の真実を知りましょう。
1-1. 肌のしくみ
人間の肌は3層構造で成り立っています。もっとも外側の部分が「表皮」で、その内側が「真皮」、一番内側の部分が「皮下組織」です。
真皮にはコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸があって肌の弾力を保っています。
皮下組織には皮下脂肪などがあります。
美白にもっとも関係の深い表皮には、外部からの刺激から肌を守り、体内の水分を保持する役割があります。
表皮の厚さは平均約0.2mmで、外側から、「角層」「顆粒層」「有棘層」「基底層」という4層で成り立ち、その大部分を「角質細胞」が占めています。
1-2. 角層バリアの働き
肌の表面である角層は、死んだ角質細胞がレンガのように10層程度(腕は20層、手のひらや足の裏は50~100層)積み重なって、その間をセメントのように「細胞間脂質」が埋め、強固な壁となって外部からの水や異物の侵入を防いでいます。
この機能は「角層のバリア機能」と呼ばれ、美肌の大きなカギを握っています。
化粧品や洗浄剤に含まれる「界面活性剤」という物質は、美肌の大きなカギである角層バリアを壊してしまいます。とくにクレンジングで肌をこすったり、洗顔の後に硬いタオルで肌をこすったりすると、角層が傷んですき間ができてしまい、外から異物が侵入しやすくなってしまいます。
角層は厚さ0.02mm、ラップ1枚ほどの薄い膜ですから、とても壊れやすい部位なのです。
角層の細胞間脂質の50%を占めているのは、水と結合して蒸発を防ぎ、肌の水分を保っている「セラミド」という物質です。セラミドが多い肌はうるおいがあり、少ない肌は乾燥や敏感傾向にあります。
セラミドも、クレンジングが原因で減ってしまいます。
1-3. 28日周期のターンオーバー
表皮の一番下にある基底層では、細胞分裂が行われて新しい表皮細胞が生まれます。
表皮細胞はだんだん上部に押し上がっていき、4週間後に死んで角層の角質細胞となります。この表皮細胞が生まれ変わる代謝のサイクルを「ターンオーバー」と呼ぶのです。
角層では折り重なった角質細胞が、アカといっしょにはがれていきます。ところが、肌がフタをされた状態になると角質細胞が残って肌がくすみ、ターンオーバーの活性も落ちてしまいます。ターンオーバーの機能が低下するとセラミドも減ってしまい、保湿機能も低下します。
1-4. シミの種類
美白=シミ対策と解釈されるほど、シミのケアは美白ケアのメインです。
人間が紫外線を浴びると、肌の内部を守ろうとして「エンドセリン」などの情報伝達物質が表皮細胞から分泌されます。情報伝達物質は、表皮の基底層にある色素細胞「メラノサイト」に「メラニン(色素)」を作れという指令を出します。
メラノサイトが活性化すると、「チロシン」というアミノ酸に「チロシナーゼ」という酸化酵素が作用してメラニンが生成されます。これは、紫外線から表皮細胞の中にあるDNAを保護するために行われる防御活動なのです。
紫外線を浴びなくなれば、メラニンの生成は減少するのですが、何らかの原因によってメラニンが大量に作り続けられたり、肌に蓄積されてしまったりすることがあります。
これが、美白の大敵であるシミになってしまうのです。
紫外線を含めていろいろな原因でできるシミは、主に6種類に分類することができます。
① 老人性色素班(日光黒子)
数ミリ~数十ミリの丸い色素班であることが多く、でき始めは薄い茶色ですが、次第に濃くなってはっきりとしてきます。一般的に「シミ」といった場合は、紫外線の影響でできる老人性色素班のことを指す場合がほとんどです。顔では頬骨の高い部分にできやすく、何年も後になってから隆起してくるものもあり、「脂漏性角化症」になる場合もあります。
② 脂漏性角化症(しろうせいかっかしょう)
シミがイボのように盛り上がってできたもので、紫外線だけでなく老化も大きな原因です。イボの表面がボツボツしているのが特徴で、老化によって大きくなったり、数が増えたりする場合があります。頬骨の高い部分やこめかみ、額にできることが多く、手の甲など体にできることもあります。
③ 肝班(かんぱん)
女性ホルモンのバランスが乱れたことに原因があり、妊娠中やピルを服用したとき、更年期の人にもよく見られるシミです。目尻の下、頬骨のあたりに左右対称にできることがほとんどで、稀に鼻の下や額にできることもあり、茶色だけでなく、灰色がかったものもあります。
④ 雀卵斑(じゃくらんはん)
一般にソバカスと呼ばれているもの。遺伝的体質が原因で、小さく茶色いシミが鼻を中心とした広範囲にできます。幼児期から思春期にかけて目立つ傾向があり、色白の人に比較的多いのが特徴です。シミの形が円形ではなくて三角形や四角形になっていることも特徴とされます。
⑤ 炎症性色素沈着
ニキビや虫刺され、傷などによる炎症が原因で、茶色く痕が残ったものです。
叩く刺激や摩擦でもできることがあり、ムダ毛を抜いた後に毛穴の周りが炎症を起こして黒く痕になったものも、このタイプです。
⑥ 花弁状色素班
海水浴などの急激な日焼けが原因で、肩から背中にかけて広範囲にできる点状のシミです。よく見ると円形ではなく、花びらのような形をしていることから、この名で呼ばれます。
美肌化粧品は、ごく初期の老人性色素班や一部の炎症性色素沈着、肝斑を除いて、できてしまったシミを消すことはできません。本格的に消そうと思うのであれば、レーザー治療などを行わなければいけません。
美白スキンケアは、あくまでもシミの予防と考えるべきなのです。
1-5. 美白に必要なスキンケア
そもそも、紫外線を浴びなければメラニンは生成されないのですから、シミを予防する美白スキンケアにもっとも重要なのは、紫外線対策ということになります。
そして、もうひとつ重要なのが、美白成分が働けるように肌の健康を維持することです。そのためには、肌を守っている角層バリアを壊さないようにしなければいけません。
実は、角層バリアを壊す最大の原因になるのが、クレンジングと洗顔なのです。
2. 美白を作るクレンジングの真実
スキンケア化粧品の中で、もっとも肌への負担が大きいのはクレンジングです。
メイクの油性の汚れを落とすためには、油分で浮かせないと落とせないので、洗顔料よりも洗浄力の高いクレンジングが必要になります。
仕事で忙しい現代女性は、簡単にメイクを落としたいからと、強力なクレンジングを好む傾向があるようですが、強いクレンジング剤の使用や、毛穴の汚れまで落とそうとして強くこすることは、肌を傷める大きな原因になっています。
2-1. 【真実 1】 クレンジングは必要悪
クレンジング剤には主に油分と界面活性剤が用いられています。
クレンジングは、まず油分でメイクを浮かせて、界面活性剤で水と乳化させることによって落ちやすくするものです。つまり、油分がメイクを落として、界面活性剤の働きによって水で洗い流すのが、クレンジングの基本的な仕組みになります。
界面活性剤は、油と水を混ざりやすくする物質で乳化剤とも呼ばれ、スキンケア化粧品全般、石けん、洗剤などに配合されています。
界面活性剤は、角層バリアを簡単に破壊してセラミドを溶かしてしまう強い物質ですから、乾燥肌やターンオーバー低下の原因となります。だから、本来はクレンジングを使わないことが理想的ですが、洗顔料だけでメイクを落とせないという人は使わざるをえません。
どんなに上質のクレンジングでも、洗浄するためには界面活性剤で肌に大きな負担をかけていることを頭においておきましょう。
クレンジングは必要悪と考え、使用量は最小限に抑えることが基本です。
2-2. 【真実 2】 肌の負担が少ないのはクリームタイプ
油分が多いクレンジングは簡単にメイクを浮き上がらせますが、それを乳化して流すためには多量の界面活性剤を必要とします。
反対に油分が少なければ、メイクがしっかり浮き上がらないので、そこを補うためにこちらも多量の界面活性剤が必要になります。
油分の量が、界面活性剤の配合を決める要素となっているのです。油分が多すぎも少なすぎもしないクレンジングが、好バランスということになります。
油分が多いのはオイルクレンジング、少ないのはリキッドクレンジングや、シートタイプのふきとりクレンジングです。
適度に油分を含み、肌の負担が比較的少ないのは、クリームタイプです。ジェルタイプで乳化してあるものも、好バランスのものが多いといえます。大切なのは自分の肌で試して優しいもの、洗浄力が弱めのものを選ぶことです。
2-3. 【真実 3】 1分で手早く終わらせるべき
クレンジング剤が肌に触れている時間が長ければ長いほど、肌のうるおいは失われていきます。メイクを浮かせて洗い流すまでのトータルな時間は1分で済ませましょう。
W洗顔が基本ですから、クレンジングの段階でメイクが完全に落としきれていなくても、その後の洗顔である程度は落とせますから問題ありません。すすいだときに、すこしヌルついているくらいで、そのまま洗顔をしたほうがいいのです。
そのほかクレンジングで気をつけたいのは、適量を使うことと、こすらないことです。
せっかく界面活性剤の影響を最小限に抑えようとしているのですから、こすって肌にすりこんだり、マッサージをしたりしてはいけません。
2-4. 【真実 4】 クレンジングで毛穴の汚れは落ちない
美白に憧れる人が嫌う「毛穴が目立つ人」のタイプは、3つに分類されます。
- 皮脂腺が大きくて毛穴が開いているタイプ
- 皮脂と角質が混ざった角栓ができてしまうタイプ
- 毛穴が開いてくる、たるみ毛穴タイプ
いずれのタイプも、クレンジングで毛穴を目立たなくすることはできません。
こすっても落ちないので、行き過ぎたクレンジングで肌を傷めてしまう人が多いのです。
2-5. 【真実 5】 正しいクレンジングの手順
- 500円玉くらいの量を手のひらにとる。
- Tゾーンから中指と薬指の2本でのばす。
- Uゾーンに素早く広げる。
- 目元や口元に薬指でやさしくなじませる。
- 40秒以内に30~32度くらいのぬるま湯ですすぐ。
3. 美白を作る洗顔の真実
洗顔の役割は、皮脂や肌に付着した雑菌やホコリなどを落として、肌を清潔に保つことです。美白に欠かせない肌の保湿の三大要素とは、「セラミド」「天然保湿因子」「皮脂」の3つですが、皮脂の役割はそれほど重要なものではありません。
3-1. 【真実 6】 肌質を問わず朝晩の洗顔は必要
最近は、皮脂を落とし過ぎると肌が乾燥してつっぱり、それがシワにつながると思い、皮脂を落とすことを恐れている女性が増えています。
これは逆で、皮脂をしっかり落としたほうがシワにはなりません。肌を乾燥から守っているのは皮脂ではなく、80%はセラミドの働きによるものなのです。
また、シワの原因は乾燥ではなく、真皮の弾力が落ちることにあります。
皮脂の役割は肌を弱酸性に保って雑菌の繁殖を抑えることにありますが、時間がたつと空気で酸化して過酸化脂質となり、肌を老化させてしまいます。肌の質を問わず、毎日朝晩2回の洗顔は、皮脂汚れをしっかり落とすために必須です。
3-2. 【真実 7】 シンプルな固形石けんがベスト
洗顔料にはいろいろなタイプがありますが、比較的安心して使えるのは固形の石けんです。
クリームタイプの洗顔料は、中身にばらつきが多く、見た目ではどの程度の界面活性剤が含まれているかわかりません。中には、強力な界面活性剤を含むものもあります。
リキッドタイプやパウダータイプは、肌に優しいイメージで洗浄力も弱めのものが多いのですが、これもメーカーによって中身のばらつきがあります。
泡タイプは、手早く洗顔ができて便利な反面、泡立ちがよいものには界面活性剤が多く配合されている場合があります。
泡をたてないミルクタイプは、洗浄力が弱いので肌荒れがひどい人向きです。
固形石けんには洗浄力が強いものから弱いものまでいろいろなものがあります。もっとも安心して使えるのは、シンプルな無添加・無着色・無香料の固形石けんです。
3-3. 【真実 8】 洗顔後はつっぱり感が必要
洗顔直後は多少つっぱり感があって、保湿ケアをするとしっとり落ち着くというものが、肌に合っている石けんです。
洗顔後につっぱり感がないものは洗浄力が弱く、美容液などで保湿ケアをしてもカサカサというものは洗浄力が強すぎます。
固形石けんにも、オイリー肌用から乾燥肌用までさまざまなものがありますから、自分の肌質に合ったものを選びましょう。
3-4. 【真実 9】 泡はそれほど重要ではない
「洗顔は泡が命」というのは俗説です。界面活性剤が多ければ泡立ちやすいものですし、泡そのものに美白効果があるわけではありません。
レモン1個程度の泡があれば大丈夫です。
泡は肌への摩擦を防ぐもので、指が肌を傷めないためにあるものです。
肌をこすらないようにして、指先でくるくると泡をころがすように洗いましょう。
泡立てネットは便利ですが、水分が少なくても泡だってしまう欠点があります。
使用する場合は、水分が少なくならないように、水をたっぷり足しながら泡立ててください。
3-5. 【真実10】 正しい洗顔の手順
- ぬるま湯で手と顔をぬらす。
- 洗顔料をレモン1個分泡立てる。
- TゾーンからUゾーンへ指の腹でクルクルと泡をのせていく。
- 目元と口元を中指と薬指でやさしく洗う。
- 30~32度のぬるま湯を使い、すすぎ残しがないように丁寧にすすぐ。
まとめ
美白にとって、紫外線とともに、強い界面活性剤や、肌をこすることも大敵だという理由がおわかりいただけましたね。
だから、クレンジングは最小限に抑えなければいけない必要悪なのです。
また、洗顔に泡は大量に必要ありませんが、皮脂をしっかり落とすことが求められます。
正しい知識とデイリーケアで健康な肌を維持することが、美白や美肌の基本です。様々な成分が配合された美肌化粧品を使う前に、日々の洗顔ケアを見直しましょう。
【参考資料】
・『いちばん正しいスキンケアの教科書』 西東社 2014年
・『毎日のスキンケア 10の法則』 廣済堂出版 2013年
・『スキンケアの真実 美肌ルネッサンス』 集英社 2006年