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15分で理解する倍音とは?-さまざまな音質や音色を決める要素

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楽器を演奏する人は、「倍音」という言葉を普通に使っていると思いますが、倍音とはなにかということをわかっている人は少ないですよね?

ギターを弾く人は、12フレットや7フレットや5フレットに指を軽くのせて弦を弾いたときの、ポーンという音が「倍音=ハーモニクス」ということは知っています。

チューニングをするときに利用するばかりでなく、ハーモニクスを取り入れた演奏も珍しくはありません。

しかし、多くの人は「倍音とはなにか」ということをしらないまま倍音を出しています。

それはなにも楽器に限ったことではありません。

人間の声は、倍音によって聞く人にいろいろな感情や影響を与えています。

自然界に存在する音にはすべて倍音がふくまれており、倍音によって音質や音色がつくられているのです。

ここでは、音の構成要素である倍音とはなにかということを、身近な楽器や声を例にあげてわかりやすく解説します。

目次

1. 音色や音質を決める2つの倍音
1-1. 倍音とは基音に重なる、基音より高い周波数の音
1-2. 整数次倍音の特徴
1-3. 非整数次倍音の特徴

2. 倍音の含み方による音の分類

2-1. 倍音の少ない楽器や声
2-2. 整数次倍音を多く含む楽器や声
2-3. 非整数次倍音を多く含む楽器や声
2-4. 整数次倍音と非整数次倍音の両方を多く含む楽器
2-5. 倍音の種類や量を調節する楽器や声
2-6. 倍音をつくり出して音色を再現する楽器
3. テレビで理解できる「心に響く声」の秘密
3-1. 整数次倍音が多いボーカリスト
3-2. 非整数次倍音が多いボーカリスト
3-3. 倍音を使い分ける
3-4. 人気芸人の声の倍音
3-5. 倍音のバランスが取れているコンビ
3-6. 大物政治家の声の倍音

まとめ

1. 音色や音質を決める2つの倍音

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「音」は、骨伝導や皮膚で感じる場合のもあるとされますが、主に耳で聴くものです。

物質の振動が空気に伝わって耳に届き、鼓膜を振動させることによって、音を認識するのです。

私たちが耳で聴いている音には、じつにさまざまなものがありますよね。

人間は、音量の大小、音の高低、音色の違いという「音の三要素」を感じとって、それらを聞き分けています。

そして、三要素のひとつである音色を決めるものが「倍音」なのです。

1-1. 倍音とは基音に重なる、基音より高い周波数の音

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音の高低は、振動の多さで変わります。

通常、人間が耳で聴きとれる低音は、1秒間に20回振動する「20Hz(ヘルツ)」くらいまでとされます。

また、高音の限界は、10代の若者で1秒間に2万回の振動「20kHz(キロヘルツ)」程度で、20歳をすぎると下がっていき、個人差はありますが50歳を過ぎると10kHzくらいまで落ちるといわれます。

自然界のほぼすべての音は、基本となる周波数の「基音」と、それより高い周波数をもつ「倍音」が組み合わされ、これが音色をつくり出しています。

純粋な基音は、シンセサイザーなどで出す電子音で聴くことができますが、自然界には存在しないといわれています。

1-2. 整数次倍音の特徴

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倍音は、基音の倍、3倍、4倍といった整数倍の周波数をもつ「整数次倍音」と、整数倍以外の不規則な周波数をもつ「非整数次倍音」に大別されます。

かつて、倍音とは整数次倍音のことを指していました。

整数次倍音が多く含まれる音は、響きのよい豊かな音という印象を与え、ギラギラして通るのが特徴です。

倍の周波数の倍音を「第2倍音」、3倍の周波数の倍音を「第3倍音」、4倍を「第4倍音」と呼び、第10倍音よりも高次の音が多いとキラキラと輝くような印象の音になります。

また、整数次倍音は、高次の音になるほど音量が小さくなっていきます。

吹奏楽で使われる管楽器にはいろいろな音色の楽器があり、弦楽器もギター、バイオリン、チェロなど、それぞれ音色が違います。

弦楽器や管楽器は1本の弦や管の振動する部分の長さで基音が決まり、楽器ごとに倍音の重なり方が違うので、それぞれの音色ができあがっているのです。

1-3. 非整数次倍音の特徴

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弦楽器や管楽器は基音がはっきりしていて、整数次倍音が美しく出る構造になっていますが、自然界の音は、ほとんどが整数倍以外の不規則な振動によって起こる音が含まれています。

楽器でも打楽器の太鼓は、皮が振動すると内部で音が反射し、無数の振動を発生させます。

また、ギターの弦がフレットに触れるとビリビリとした音を発することがあります。

このように、何らかの不規則な振動によって起こる整数倍以外の倍音を「非整数次倍音」と呼びます。

非整数次倍音が多く含まれる音は、濁った音になり、ザラザラ、カサカサした音という印象を与え、ソフトで優しいイメージを感じさせることもあります。

整数次倍音が抜けのよい通る音であるのに対し、非整数次倍音は金属的な音やノイズのような音になります。

2. 倍音の含み方による音の分類

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基音に整数次倍音と非整数次倍音が複雑に重なって、自然界の音はさまざまな音色をつくり出しています。

楽器や声の音は、2種類の倍音の含まれ方によって、いくつかに分類することができます。

それぞれの代表的なものを紹介しましょう。

2-1. 倍音の少ない楽器や声

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倍音の少ない楽器としてはフルートが代表的なものです。

ギターの「ハーモニクス」やバイオリンの「フラジオレット」という奏法は、ある倍音だけを奏でるのでほかの倍音が少ない音になります。

声ではクラシックの発声が代表的で、とくにグレゴリオ聖歌など古い時代のものは倍音の少ない歌い方です。

ヨーデルなどで聴くことができるファルセット(裏声)も、倍音が少ない音です。

2-2. 整数次倍音を多く含む楽器や声

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低次の整数次倍音が多い楽器は、西洋楽器全般。

管楽器は低次の整数次倍音を出す楽器に、バルブなどを着けて音階を奏でることができるようにしたものです。

オーボエだけは特殊な管楽器で、基音がほとんどなく低次の倍音を主として構成されている音です。

高次の整数次倍音が多いのは、西洋クラシック音楽以外の楽器や声に多く、楽器ではチャルメラや雅楽の篳篥(ひちりき)などダブルリード楽器、バグパイプなど。声では、「天使の声」と呼ばれる高次倍音が聞こえるブルガリアンボイスなどが有名です。

洋楽のミュージシャンでは、エディット・ピアフ、ジョン・レノン、ボブ・ディランなどの声があてはまります。

2-3. 非整数次倍音を多く含む楽器や声

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非整数次倍音を強く発生させる楽器は、打楽器の多くや、南米のケーナ、ギリシャ神話では「パンの笛」と呼ばれるパンパイプなどがあります。

声では、ハスキーボイスやウィスパーボイスがあてはまり、有名な洋楽ミュージシャンでは、ヘレン・メリル、ロッド・スチュワート、ブルース・スプリングスティーンなどが、ある程度一定に非整数次倍音を出している声です。

2-4. 整数次倍音と非整数次倍音の両方を多く含む楽器

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両方の倍音を出す楽器としてもっとも知られるのがインドのシタールです。

シタールは、共鳴弦が特定の整数次倍音を強調することによって新たな倍音を生み出し、ギターでいうところのブリッジが広い面積で弦に触れて非整数次倍音を出します。

日本の三味線や琵琶も同じメカニズムですが、シタールほど広い面積で弦が下駒に触れません。

エレキギターは、電気的に倍音を強調していろいろな音色をつくり出します。

1950年代から60年代前半までのクリアなサウンドは倍音が少ない音でした。

しかし、1960年代後半から登場した歪ませた音は、整数次倍音を多く含み、音が圧縮されることによって、弦にピックが当たる音や弦がブリッジに触れる音など非整数次倍音も大きくなり、世界中の若者の心をとらえたのです。

2-5. 倍音の種類や量を調節する楽器や声

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日本の楽器は、倍音の量をコントロールできるものが多く、三味線や琵琶は非整数次倍音をコントロールできて、尺八はあらゆる倍音を自在にコントロールできる楽器といわれています。

また、日本の伝統的な声も倍音をコントロールするものが多く、浄瑠璃の一流派である「義太夫」、大道芸の語り物であった「説教節」、浪花節と呼ばれる「浪曲」などは、2種類の倍音の量や倍音の量自体を激しく変化させることによって、抑揚をつくり出します。

2-6. 倍音をつくり出して音色を再現する楽器

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パイプオルガンは、複数のパイプを同時に鳴らして、倍音の音色を再現する楽器です。

しかし、高次の整数次倍音や非整数次倍音を出すことはできません。

電気的に倍音をつくり、複雑に組み合わせて音色をつくり出すのが、初期のシンセサイザーでした。

弦楽器や管楽器の音色を電気的に再現しようと多くのミュージシャンが試みましたが、生の楽器の音色を再現することは非常に困難な道でした。

音色は倍音の種類と量に加え、それぞれの倍音の時間的な変化も影響するので、それらをすべてコントロールするのは膨大な情報量が必要とされ、再現はほぼ不可能であることがわかったのです。

1980年代に楽器のデジタル化が進むと、シンセサイザーは実際の楽器の音を取り込むサンプラーという機材と融合し、サンプリングした生の楽器の音を加工して、いろいろな音色をつくり出すシステムになりました。

現在では、パソコン上で音色をコントロールするソフトウェアシンセサイザーと、自動演奏させるソフトウェアシーケンサーによってつくられた音楽が、生演奏と聴き分けられないほどのクオリティをもっています。

3. テレビで理解できる「心に響く声」の秘密

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最後の項では、テレビで聴くことができる著名人の声を例にとって、倍音の働きを解説していきます。

3-1. 整数次倍音が多いボーカリスト

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整数次倍音が多いボーカルは、最初は「ちょっと変わった声だな」とか「なんか面白い声だな」という印象を与える傾向があるといいます。

ところが、整数次倍音が多い声を聴いた人の脳内では、癒しの効果がある「α波」が発生し、快楽物質が分泌されるので、その声に慣れてくると、カリスマ性を感じるようになります。

熱狂的なファンが多くなる傾向にあり、長年にわたって支持されるボーカリストに多いタイプです。

郷ひろみさん、浜崎あゆみさん、B‛sの稲葉浩志さん、TOKIOの長瀬智也さんらは、このタイプの典型的な声のもち主です。

ボーカリストではありませんが、黒柳徹子さんも整数次倍音の多い声です。

3-2. 非整数次倍音が多いボーカリスト

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非整数次倍音が多いボーカルは、一般的に親近感がわくことが多く、日本語は何かを強調したいときに非整数次倍音を出すことから、とくに日本人は無意識のうちに「重要だ」と感じてしまう傾向があるといいます。

このタイプのトップはなんといっても森進一さんで、八代亜紀さんや青江三奈さん、それから宇多田ヒカルさん、桑田佳祐さん、スガシカオさん、平原綾香さんらが代表的なボーカリストです。

情緒に親近感をもって訴えかける働きが強いので、ときとしては効果がありすぎて、日本人は「わざとらしい」と感じてしまうこともあります。

3-3. 倍音を使い分ける

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人気があるボーカリストには、整数次倍音と非整数次倍音を使い分ける達人もいます。

その代表が、美空ひばりさんです。

整数次倍音が多い声なのでカリスマ性を発揮し、国民的歌手といわれる一方で、非整数次倍音を自在に操って情緒に訴えかけるボーカルなのです。

美空ひばりさんは、これを1曲の中で完璧に演じることができました。

非整数次倍音の代表としてあげた森進一さんも、整数次倍音を高いレベルでブレンドしながら歌っているボーカリスト。

そしてもうひとり、都はるみさんも倍音を自在に使い分ける達人とされています。

若手になると、平原綾香さんは非整数次倍音をとても効果的に使っており、倖田來未さんは歌っているときは整数次倍音でカリスマ性を発揮し、トークになると非整数次倍音を強くして親近感を出す特殊なタイプだといわれます。

3-4. 人気芸人の声の倍音

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芸人、タレントの分野では、整数次倍音の代表がタモリさんです。

タモリさんは、よく通る声でカリスマ性を発揮しながら、いろいろなタレントや芸人と親しみやすい内容の話をして、態度で親近感を訴えかけてきます。

その正反対になるのが、非整数次倍音が強いビートたけしさんです。

ビートたけしさんは、とても毒のある内容や嫌味たっぷりな言葉を発しますが、声質が親しみやすいので、嫌味が嫌味に聞こえない親しさを感じてしまうのです。

声質と話す内容が相反するというところが、人気芸人のポイントだといわれます。

もしも、タモリさんがハスキーな声のもち主であったら、わざとらしく感じてしまうでしょうし、ビートたけしさんが整数次倍音の強い通る声で毒説だったら嫌味が過ぎてしまうでしょう。

3-5. 倍音のバランスがとれているコンビ

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人気芸人コンビは、整数次倍音の人と非整数次倍音の人の組み合わせが鉄則だといいます。

古くは、整数次倍音の萩本欽一さんと非整数次倍音の坂上二郎さんの「コント55号」、カリスマ性のある欽ちゃんのツッコミと、親しみを感じる二郎さんのボケというコンビは、漫才の典型だったといわれています。

しかし、「横山やすし・西川きよし」は、非整数次倍音の西川きよしさんがツッコミで、整数次倍音の横山やすしさんがボケ。

これはボケが主役になるという、漫才のあり方に変化をもたらし、以後は「ダウンタウン」も「ウッチャンナンチャン」も、この組み合わせでした。

ダウンタウンの浜田雅功さんが司会を務めても人気なのは、非整数次倍音が親しみやすさを感じさせるからなのですが、ボルテージが上がってくると整数次倍音が強くなる声のもち主。

一方の松本人志さんは、本来は整数次倍音の強い声ですが、毒舌になるときは非整数次倍音を強くするテクニックのもち主です。

このふたりの漫才は、ボルテージが上がってくるとふたりとも整数次倍音が強くなるのが特徴で、それが独特なカリスマ性につながっていると考えられるのです。

音楽の分野でもこうした違う倍音のコンビは人気が高く、「CHAGE and ASKA」や「コブクロ」がその代表とされます。

3-6. 大物政治家の声の倍音

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テレビでは、タレント、芸人、ミュージシャン以外に、政治家の声もよく聴くことができます。

とくに回数が多いのは、やはり総理大臣ということになりますね。

日本の政治家で、もっとも整数次倍音と非整数次倍音をうまく使い分けたのは、田中角栄氏だといわれます。

演説では整数次倍音が非常に強い声で強力なカリスマ性を発揮しながら、インタビューなどでは非整数次倍音たっぷりの声で親近感を出し、この両面を違和感なく使い分けることによって国民の心をつかみました。

マスコミを効果的に使う天才といわれた小泉純一郎氏は、タイプとしてはビートたけしさんに似ています。

「自民党をぶっ壊す!」というようなとても強い口調で演説をしましたが、非整数次倍音が強い声質だったので、カリスマ性よりも親近感を感じさせ、言葉が国民の心に響いたのです。

まとめ

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倍音とは、音の三要素のひとつである音色を決めるもので、その働きはとても大きいことがおわかりいただけたことと思います。

整数次倍音と非整整数次倍音という2種類の倍音を効果的に使うことができれば、心に響く音楽をつくったり、心に響く声を出したりすることができるのです。

そして、自分の声を意識して倍音豊かな声にすることによって、相手の心をつかむことも不可能ではありません。

倍音をうまく使えば、コミュニケーション能力も向上させることができるのです。

こうした「倍音のパワー」については、本サイトの記事「倍音に秘められた10のパワー-コミュニケーション力を高める技」で解説していますので、参考にしてください。

【参考資料】

・『倍音 音・ことば・身体の文化誌』 中村明一 春秋社 2010年

・『声で奇跡を呼び込む“倍音”パワー活用法』 山岡尚樹 シンコーミュージック・エンタテイメント 2012年

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