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ビタミンD不足が怖い理由-「骨のホルモン」がもつ6つの効力

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子どもの頃に、「太陽の光を浴びると骨が丈夫になるから、外で遊びなさい」と言われたことがありませんか?

ビタミンDは、骨と深い関係がある成分です。
それだけに、不足すると体に大きな影響を与えることになります。
近年の研究では、骨以外の部位に与える効果も報告されて、ビタミンDに対する注目度が高まっています。

美容関連の本などで、紫外線は体に悪いものとされるのに、ビタミンDをつくためには浴びた方がいいという話を読んだことがありませんか?

ビタミンDは、紫外線を浴びてまで自分の体内でつくらなければいけない栄養素だということなのでしょうか。

化粧品にもよく配合されているビタミンCやビタミンEなどと比較すると、ビタミンDには少々わかりづらいところがありますよね。

ここでは、「ビタミンDとはなにか」ということを明らかにし、ビタミンDがもつ6つの効力を解説します。
さらに、効率的な摂取方法も紹介しますので、健康長寿に役立ててください。

目次

1. ビタミンDの分類と作用
1-1. 鱈の肝油から発見されたビタミン
1-2. ビタミンDの体内状態
1-3. カルシウムの吸収促進作用
1-4. 血中カルシウム濃度の調整作用

2. ビタミンDがもつ7つの効力
2-1. 骨軟化症の予防と治療
2-2. 骨粗しょう症の予防と治療
2-3. 糖尿病予防
2-4. 高血圧予防
2-5. 感染症予防
2-6. がん予防

3. ビタミンD不足にならないために
3-1. 紫外線を浴びる
3-2. 魚類やキノコ類から摂取する

まとめ

1. ビタミンDの分類と作用

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ビタミンは三大栄養素(糖質、脂質、タンパク質)のように、人体をつくる材料や、動かすときのエネルギーになりません。

しかし、ビタミンはミネラルとともに、微量で三大栄養素の働きを助ける、潤滑油のような役割を担っています。
微量でも役割は大きいので、不足すると様々な体のトラブルを引き起こします。

ビタミンは、大きく分けて13種類あり、水に溶けやすい「水溶性ビタミン」のB群やC、水にはほとんど溶けない「脂溶性ビタミン」のA、D、E、Kに分類されます。

ほとんどのビタミンは、ホルモンのように体内で合成することができないため、食事などで外部から摂取しなければなりません。
しかし、ビタミンDは体内で合成できるのです。

ですから、ビタミンDの実態は、ビタミンというよりもホルモンに近いものだといわれています。

1-1. 鱈の肝油から発見されたビタミン

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ビタミンDが発見されたのは20世紀初頭で、ビタミンAを発見したアメリカの科学者エルマー・マッカラムが、鱈の肝油の中にある「抗クル病因子」を特定したのです。

「クル病」は、小児期に骨が石灰化することによって変形してしまう病気で、成人に起こるものは「骨軟化症」と呼ばれます。

このクル病が、18世紀後半から産業革命が始まったイギリスで多発しました。
とくにロンドンやマンチェスターなどの大都市で、クル病を患う子どもが急増したのです。
ところが、熱帯地域や北欧地域ではほとんど見られない病気でした。

イギリスの都市部では工場から吐き出される排煙で空はスモッグに覆われ、太陽光が遮られたことに原因があったのです。

19世紀に入ってから、クル病の原因が太陽光の不足であることと、鱈の肝油によって改善することがわかりました。
日光によく当たったり、魚を多く食べる民族には稀な病気だったのです。

その後、鱈の肝油の研究をしたマッカラムが有効な成分を特定して、ビタミンDと名付けられました。

ビタミンDには、本来D2からD7まで6種類が存在しますが、実用化されているのは、キノコ類などの植物に多く含まれる「ビタミンD2」と、魚類などの多く含まれる動物性の「ビタミンD3」の2つです。

化学名は、ビタミンD2が「エルゴカルシフェロール」、ビタミンD3が「コレカルシフェロール」といいます。

1-2. ビタミンDの体内状態

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ビタミンDは体内で、カルシウムやリンとともに、丈夫な骨をつくる働きをします。

骨は体内のほかの組織と同じように、新陳代謝によって次々と新しい細胞に置き換えられています。
ビタミンDは、古くなった細胞を壊す「破骨細胞」を活性化し、新しい骨になる「骨芽細胞」も活性化して、新陳代謝を促すのです。

外部から摂取されたり、体内で生成されたビタミンDは、すぐに肝臓で「カルシジオール」という物質に変化して血中を循環します。
余ったビタミンDは脂肪組織に貯蔵されます。

ですから、体内状態を調べるときには、血液中のビタミンDの量ではなく、安定状態になっているカルシジオールの濃度を測定します。

1-3. カルシウムの吸収促進作用

血液中のカルシジオールは、一部が肝臓と腎臓の酵素によって、「カルシトリオール(活性型ビタミンD)」に変化します。
ビタミンDは、この活性型ビタミンDに変化することによって、より強力な作用をもたらすことになります。

活性型ビタミンDは、小腸でカルシウムとリンの吸収を促す作用があり、この働きによって血中のカルシウム濃度が高まり、骨の形成が促進されます。

1-4. 血中カルシウム濃度の調整作用

血液中のカルシウムは、骨の形成だけでなく、神経伝達や筋肉の収縮などにもかかわるので、一定の濃度に保たれなければいけません。

このコントロールも、活性型ビタミンDの役目です。

血中のカルシウム濃度が低下すると、活性型ビタミンDは副甲状腺ホルモンと連携し、小腸粘膜に作用して腸管からのカルシウム吸収を高めたり、骨からカルシウムを溶かして取りだしたりします。

ビタミンDが不足すると、骨軟化症だけでなく、こうした体内での活性作用が低下して、いろいろな障害の原因になります。

逆に、過剰摂取になった場合にも問題が起こります。

食事による摂取や体内合成によって過剰になることは、まずありませんが、サプリメントなどで大量に摂取した場合には、血液中のカルシウム濃度が高くなりすぎて「高カルシウム血症」を引き起こしたり、血管壁や心筋、肺などにカルシウムが付着して、腎機能障害や骨以外の組織の石灰化障害を起こします。

2. ビタミンDがもつ7つの効力

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ビタミンDが骨の形成や再構築に効力があることは、すでに知られていましたが、近年の研究によって、ほかにいくつかの効力があることもわかってきました。

ビタミンDが不足した場合は、これらの効力が低下するということにほかなりません。

2-1. 骨軟化症の予防と治療

骨は、65%がカルシウムやリンなどの無機質で、10%が水分、残りの25%が有機質で、そのうち23%を占めるのがタンパク質の繊維であるコラーゲンです。

骨はカルシウムでできているわけではなく、コラーゲンの繊維にカルシウムが沈着して硬い組織になっているのです。

カルシウムが沈着することを「石灰化」と呼び、無機質の不足や骨芽細胞の機能不全によってこの石灰化に障害が起こると、コラーゲンが増加して「類骨」と呼ばれるやわらかい骨が増えてしまいます。

これが骨軟化症と呼ばれる症状です。
子どもに起こると、クル病と呼ばれます。

ビタミンDは、血中カルシウムの量を調整し、骨芽細胞を活性化させるので、骨軟化症を予防します。
治療には、高カルシウム血症に注意しながら、医薬品の活性型ビタミンDを連続投与します。

2-2. 骨粗しょう症の予防と治療

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骨粗しょう症は、加齢によって骨量が減少してしまい、最終的にはスカスカな骨が増えて骨折しやすくなる病気です。

とくに閉経後の女性は、骨芽細胞を活性化して骨の形成を促す「エストロゲン(女性ホルモンの一種)」の分泌量が急激に落ちるので、骨粗しょう症のリスクが高まります。

超高齢化が進む日本では、骨粗しょう症も大きな社会問題となっています。
骨粗しょう症による骨折で多いのは、背骨の骨折と大腿骨の骨折です。
こうした部位の骨折は、寝たきりや歩行障害につながるおそれがあるので、未然に防ぐためには、ビタミンD不足を起こさないようにすることが大切です。

骨粗しょう症の治療にも医薬品の活性型ビタミンDや、その類似薬が用いられますが、
その場合にも、抗カルシウム血症には注意が必要です。

2-3. 糖尿病予防

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ビタミンDには、血糖値が上昇したときのインスリンの分泌調整を改善する働きがあることがわかってきました。

糖尿病には、遺伝的要因が影響して若年期から発症し、インスリン注射による血糖値のコントロールが欠かせないⅠ型と、食事や運動などの生活習慣が大きく関与して、中年期以降に発症するⅡ型があります。

日本人の糖尿病のほとんどはⅡ型糖尿病なので、高齢者に発症するケースが多いのですが、骨粗しょう症のリスクに加え、糖尿病の人は2~4倍骨折しやすいといわれています。

その理由は、インスリンに骨芽細胞を増殖させる作用があるからで、Ⅰ型でもⅡ型でも糖尿病の人は、インスリンの分泌が足りないか、インスリンの効きが悪いので、骨芽細胞をうまく増やせず、骨形成が低下してしまうのです。

ビタミンDには骨芽細胞を活性化させる働きがあるので、インスリンとの関連性を探る研究が世界で行われています。

乳児を対象とした調査では、1年間ビタミンDを摂取したグループが摂取しなかったグループに比べて、Ⅰ型糖尿病の発生率が88%も低いことがわかりました。

成人の調査では、非ラテン系黒人をのぞき、血液中のカルシジオール濃度の高いグループが低いグループにくらべてⅡ型糖尿病の発生率が64%も低いことがわかっています。                                            

現時点では、ビタミンDが日本人の糖尿病予防に役立つという断言はされていませんが、大きな期待がもたれています。

2-4. 高血圧予防

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ハーバード大学医学部の調査によると、血液中のカルシジオール濃度が高いグループは、低いグループに比べて、高血圧のリスクが男性で84%、女性で63%も低いことがわかりました。

高血圧症の発症率と血液中のカルシジオール濃度は、きれいに反比例していたのです。

この結果から、ビタミンDの摂取による高血圧予防が期待され、より信頼性の高い試験研究が望まれています。

とくに、日照時間が短い高緯度地域に住む人や、日光にあたる機会の少ない国々では、大きな期待を寄せています。

2-5. 感染症予防

結核やハンセン病などの感染症が、日光を浴びると治りが早い理由は、紫外線の殺菌作用にあると考えられていました。
そのため療養所は、陽がよく当たり、空気がきれいなところに多くつくられたのです。

しかし2000年以降になって、この理由が皮膚でのビタミンD生成にあることがわかりました。
免疫細胞にビタミンDを加える実験で、結核菌をはじめとする多くの細菌に対して防御作用が生じたのです。

活性型ビタミンDが、抗病原体タンパク質の「カテリシジン」つくり出すことによって、細胞内に寄生した結核菌などの病原体を殺していることが判明しました。

黒人は白人に比べて結核にかかりやすいとされていますが、これは黒人が白人よりも皮膚でビタミンDを合成しにくいことが原因でした。

ビタミンDをしっかり補給すれば、様々な細菌、ウィルス、真菌などの病原体に対する免疫力を高めることができるのです。

2-6. がん予防

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1980年以降、ビタミンDのがん予防効果を示す証拠が数多く報告されています。

血液中のカルシジオール濃度と大腸がんの発生率を調べる大規模な集団調査研究では、8年間、10年間という長期間の調査を行って、カルシジオール濃度の高いグループは大腸がんの発生リスクが70%も低いというような結果が報告されています。

日本でも国立がん研究センターの大谷哲也氏が、2007年に研究データを発表し、カルシジオール濃度がもっとも低いグループが、それより濃度の高い3つのグループに比べて、直腸がんのリスクが男性で4.6倍、女性で2.7倍も高いことがわかったのです。

乳がんの予防効果についても、大規模な集団調査研究の報告がいくつかあり、やはり血液中のカルシジオール濃度が高いグループはリスクが低い結果が出ています。

ビタミンDを毎日経口摂取するか、日焼けしない程度に、積極的に日光に当たることによって、乳がんのリスクをおよそ35%減らせるという報告もあります。

ハーバード大学公衆衛生大学院の14年間にわたる調査研究では、通年して血液中のカルシジオール濃度を10ng/mL(1ミリリットルにつき10ナノグラム)高めることで、大腸がん37%、膵がん51%、白血病56%、食道がん63%、口腔・咽頭がん70%のリスクをそれぞれ低下させる可能性があると報告されています。

3. ビタミンD不足にならないために

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ビタミンD不足は、骨軟化症や骨粗しょう症だけでなく、大腸がんや乳がんを中心とする多くのがん、糖尿病、高血圧症、感染症などのリスクを高めてしまいます。

これらのリスクを減らすためには、紫外線を浴びて皮膚でビタミンDを生成するか、食事などで経口摂取する必要があります。

骨折予防においては、血液中のカルシジオール濃度が20ng/mL未満をビタミンD不足、10ng/mLを切るとビタミンD欠乏症とする見解もありますが、上に示したようないくつものリスクを予防するためには、32~50ng/mL程度に保っておく必要があると考えられています。 

血中のカルシジオール濃度が100ng/mLを超えるとビタミンD過多となるので、注意が必要です。
自分の血中カルシジオール濃度を知りたい場合は、医療機関に検査を依頼することになります

3-1. 紫外線を浴びる

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日差しの強い国々の人は、血中のカルシジオール濃度が50~90ng/mLを保っています。
日本ではかつて、ビタミンD不足が多いのは、緯度の高い北海道や東北地方などで、とくに日射量の少ない冬場だとされてきました。

しかし近年は、日射量の多い地域でもビタミンD不足が多く確認されており、日本人は総じてビタミンDが不足している状態にあるといわれています。

その原因は、紫外線対策で日焼け止めを常用したり、意識して日光に当たらないようにしたりする人が増えたこと、夜型生活をする人が増えたこと、魚類をあまり食べなくなったことにあります。

あまり日焼けしていない40歳男性が、半そで長ズボンという一般的な夏場の衣服を着用している場合、夏の東京都内で正午頃の直射日光に当たると、30分間で17~20㎍(マイクログラム)のビタミンD3が生成されます。

これは肌の露出が10%の場合ですが、露出が50%になれば6分間でこの量のビタミンD3が生成されることになります。

ところが、紫外線量の少ない冬場のビタミンD3生成量は、同じ条件で夏場の8分の1程度まで落ちてしまいます。
ですから、冬場は食事などで積極的にビタミンDを摂取する必要があります。

3-2. 魚類やキノコ類から摂取する

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キノコ類に含まれる植物由来のビタミンD2の効力は、魚類に含まれる動物由来のビタミンD3の40~50%なので、魚類からの摂取が効率よい方法です。

日本人が1日にビタミンD3を2.5㎍摂取すると、血液中のカルシジオール濃度が、およそ1 ng/mL高まるとされています。

20歳以上の成人では、男女ともに1日の食事摂取量に必要な目安は5.5㎍程度とそれほど多くはありませんが、あまり日光に当たらない生活をしている人は、「日本人の食事摂取基準」に定められている上限の50㎍に近い量を摂取するようにしましょう。

キノコ類でビタミンD2の含有量が多いのはキクラゲで、白キクラゲは5g(5個程度)で48.5㎍、黒キクラゲは3g(10個程度)で13.1㎍となっています。

魚類のビタミンD3では、アンコウの肝1切れ(50g)で55㎍、紅ザケ1切れ(100g)で33㎍、サンマ1匹(150g)で20㎍、イワシ丸干し1尾(30g)で12.8㎍となっています。

食事のときには、同時に脂肪を含む食品を一緒にとることや、油を使うことによって吸収率が高まります。

高カルシウム血症などを引き起こす過剰摂取は、サプリメントなどで125㎍を超えるようなビタミンD3を連日摂取した場合に起こるものですから、通常の食生活で1日の摂取量が50㎍を上回っても気にする必要はありません。

まとめ

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「骨を丈夫にするのはカルシウム」という認識をもつ人が多いのですが、骨を健康に保つためにはビタミンDが欠かせないことが、おわかりいただけたことと思います。

また、ビタミンDの不足が引き起こすリスクが、骨に限らないことを知って、少し紫外線を見直したという人もいるのではないでしょうか。

日光に当たりすぎて、ビタミンDが過剰になることはありません。
しかし、シミの原因になる紫外線による日焼けは避けなければいけません。

ビタミンDの生成目的で日光に当たるときは、多少日焼けしても問題のない部位を露出して、顔や首などはしっかりガードするようにしましょう。

 

【参考資料】
・『栄養の基本がわかる図解辞典』 成美堂出版 2015年
・『がん予防に実は「日光浴」が有効なわけ』 講談社 2008年
・全薬工業web site
http://www.zenyaku.co.jp/k-1ban/clip/cola/page05.html
・日経サイエンス
http://www.nikkei-science.com/page/magazine/0801/200801_068.html

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