健康や美容、アンチエイジングへの効果でアミノ酸が注目を集めています。
地球上の生物の始まりともいわれるアミノ酸ですが、私たちの身体から水分を除くと約半分はタンパク質(アミノ酸がつながったもの)でできています。
筋肉だけでなく、皮膚、毛髪、内臓など人間の身体のタンパク質の種類はなんと約10万種類もあるのです。
それでは、アミノ酸の種類はどのくらいあるのでしょうか。ここでは、話題のアミノ酸の種類とその特徴・働きについて詳しくご紹介していきます。
目次
1. アミノ酸の種類
1-1. アミノ酸は20種類
1-2. 必須アミノ酸とは
1-3. 分岐差アミノ酸(BCAA)とは
3. 気になる症状を改善するアミノ酸の種類
3-1. メタボリックシンドロームに効果があるアミノ酸
3-2. ボディメイク・筋肉をつくるアミノ酸
3-3. 睡眠の質を改善するアミノ酸
4. アンチエイジング効果・美容効果のあるアミノ酸の種類
4-1. アンチエイジング効果が期待できるアミノ酸
4-2. 美容効果が期待できるアミノ酸
4-3. 美容効果を期待する際の注意点
5. 食品に含まれるアミノ酸
5-1. 良質たんぱく質の指標アミノ酸スコア
5-2. 食品から効率よくアミノ酸を摂取するには
1. アミノ酸の種類
1-1. タンパク質を作るアミノ酸は20種類
タンパク質を作るアミノ酸
私たちの身体には、10万種類以上のタンパク質が存在しているといわれていますが、そのタンパク質を作っているアミノ酸はたったの20種類です。
人間が食べ物として取り込んだタンパク質は、タンパク質分解酵素によってアミノ酸の状態にまで分解されて小腸から吸収されます。
吸収されたアミノ酸は血液中に取り込まれ、全身の細胞へ運ばれてDNAに基づいてアミノ酸同士が結合し、様々なタンパク質を作ります。
わかりやすくいうと、アミノ酸という材料を使ってDNAという設計図を基にタンパク質を作っている、ということになります。
人間のDNAは2万種類程度なので、そのDNAを設計図としてできる立体構造のタンパク質も2万種類です。できあがったタンパク質は「途中で切れる」「3次構造を作る」「糖鎖が結合する」「リン酸化される」などの修飾を受けてさらに種類を増やすことなどによって10万種類ものタンパク質が出来上がるのです。
タンパク質を作らないアミノ酸
化学でいうと、アミノ酸は「分子内にアミノ基(-NH2)とカルボキシル基(-COOH)を持つ有機化合物」と定義されます。
自然界にはタンパク質を構成しない「非タンパク態アミノ酸」が200種類以上あるといわれていて、多くは特定の限られた動植物でみつかっており、今現在ではその役割が不明なものもたくさんあります。
人の身体の中でも、遊離アミノ酸として血流を介して様々な臓器、組織に存在して働き、一部では興味深い生理機能を有することが明らかにされ、医薬品や農薬、健康食品などの機能性素材として活用が進められています。
1-2. 必須アミノ酸とは
必須アミノ酸とは、タンパク質を作るアミノ酸のうちで人間の身体では合成できないアミノ酸のことです。
体内で作られないために食品から摂取する必要があるので、「必須アミノ酸」と呼ばれています。これらのアミノ酸が不足すると、肌荒れなどの美容面だけではなく健康面にも悪い影響が出てしまうことになるので、バランスよく摂取することが必要になります。
【人に必要な必須アミノ酸】
・ロイシン
・イソロイシン
・リジン(リシン)
・スレオニン(トレオニン)
・トリプトファン
・バリン
・ヒスチジン
・メチオニン
・フェニルアラニン
※カッコ内は学術用語の表記となり、近年はこちらで表記しているものもあります。
1-3. 分岐鎖アミノ酸(BCAA)とは
分岐鎖アミノ酸(BCAA)とは、人の必須アミノ酸のバリン、ロイシン、イソロイシンの3種類のことをいいます。
食品に含まれるたんぱく質を構成する必須アミノ酸のうち、分岐鎖アミノ酸(BCAA)の割合は約50%と、とても高くなっています。
また、人体の筋たんぱく質中の必須アミノ酸における分岐鎖アミノ酸(BCAA)の割合は約35%と、やはりとても高い割合を占めています。
【分岐鎖アミノ酸(BCAA)の摂取による効果】
・運動によるたんぱく質の分解を防ぐ
運動中には筋たんぱく質が分解し、筋肉での分岐鎖アミノ酸(BCAA)の分解が促進されます。
運動直前に分岐鎖アミノ酸(BCAA)を摂取することにより、血中と筋肉中の分岐鎖アミノ酸(BCAA)濃度が上昇し、筋肉から遊離する必須アミノ酸量は減少することが分かっています。これは、運動前に摂取した分岐鎖アミノ酸(BCAA)が筋肉中で分解することで、身体の筋たんぱく質の分解が抑制されたと考えられます。
・筋たんぱく質の合成を促進する
分岐鎖アミノ酸(BCAA)の摂取によって、ロイシンは膵臓からのインスリン分泌を促進するため、インスリンによる筋たんぱく質の合成が促進されることが報告されています。
・中枢性疲労の予防・回復
中枢性疲労の原因のひとつに、脳内でトリプトファンからセロトニンが生成されることによるものがあります。血中から脳内へとトリプトファンが運ばれると中枢性疲労が高まると考えられています。
脳内にトリプトファンが運ばれる場合には、脳血液関門を通過する必要があります。
トリプトファンの輸送体は分岐鎖アミノ酸(BCAA)の輸送体と共通なので、この脳血液関門を通過する際に競合します。
血中のトリプトファン濃度に対する分岐鎖アミノ酸(BCAA)濃度が低下すると、脳内にトリプトファンの取り込みが増加して、中枢性疲労が促進されるということになります。
2. 種類別アミノ酸の特徴と働き
タンパク質を作る20種類のアミノ酸の特徴と働きをご紹介します。
バリン
バリンは身体の筋肉をつくるのに大切な必須アミノ酸です。成長に関与し、肝機能を向上させ、血液中の窒素バランスの調整も行っています。
イソロイシン、ロイシンとともに分岐鎖アミノ酸(BCAA)と呼ばれます。
不足すると食欲が低下するため、栄養不良の悪循環が起こります。
イソロイシン
イソロイシンは身体の筋肉や血液中のヘモグロビンをつくるのに大切な必須アミノ酸です。成長に関与し、神経機能を助けています。血管の拡張や肝機能向上にも関与しています。
バリン、ロイシンと ともに分岐鎖アミノ酸(BCAA)と呼ばれます。
ロイシン
ロイシンは身体の筋肉維持に必要な必須アミノ酸です。成長や肝機能向上に関与し、肝細胞の増殖・分化を正常に保ちます。たんぱく質の生合成を促進し、筋たんぱく質を維持します。
バリン、イソロイシンとともに分岐鎖アミノ酸(BCAA)と呼ばれます。
メチオニン
メチオニンは、身体の中でタンパク質を生成する際に必ずいちばんはじめに必要な必須アミノ酸です。不足すると、すべてのタンパク質合成に支障が出てしまう重要なアミノ酸です。薬物中毒の解毒に関与し、肝機能を改善します。
また、脂肪をエネルギーに変えるときに必要なカルニチンという物質の生合成に関与しています。
リジン
リジンは小麦や米など穀類には少ない必須アミノ酸です。成長に関与し、身体の組織を修復することを助け、肝機能を向上させます。
また、脂肪をエネルギーに変えるのに必要なカルニチンという物質の材料になります。
フェニルアラニン
フェニルアラニンは、脳内神経伝達物質ドーパミンやノルアドレナリン、黒色色素メラニンの材料になる必須アミノ酸です。血圧の上昇に関与し、鎮痛作用があります。
また、食品としては合成甘味料アスパルテームの原料ともなるアミノ酸です。
トリプトファン
トリプトファンは、体内でナイアシンになり、脳内神経伝達物質セロトニンやメラトニンの材料となる必須アミノ酸です。コレステロールや血圧のコントロールに関与しています。
トウモロコシに少ないため、以前はトウモロコシを主食としていた地域でナイアシン欠乏症(ペラグラ)が発生しました。
スレオニン
スレオニンは、人が体内で全く合成できない必須アミノ酸です。成長に関与し、脂肪肝を抑制します。魚や鶏肉、肉などに多く含まれています。
ヒスチジン
ヒスチジンは、体内での合成が遅いアミノ酸で、幼児の場合不足すると湿疹ができてしまう原因となる必須アミノ酸です。成長に関与し、ヘモグロビンや白血球の生産にも関与しています。血液中のヘモグロビンに多く含まれているので、不足すると貧血になることがあります。
アルギニン
アルギニンは、成長期にその合成能力が足りないため、大人では非必須アミノ酸ですが、小児では必須アミノ酸となっています。成長ホルモン、インスリンやグルカゴンの分泌に関与します。
グルタミン
グルタミンはグルタミン酸とアンモニアからつくられる非必須アミノ酸です。ストレスなどで足りなくなる場合もあるために準必須アミノ酸といわれます。小腸や免疫細胞のエネルギー源で、消化管粘膜の保護を助けます。血漿中にもっとも多いアミノ酸です。
グリシン
グリシンはコラーゲンの約3割を占める非必須アミノ酸です。体内では神経伝達物質としても働き、赤血球や胆汁酸抱合体の材料です。睡眠の質に関与し、体内ではセリンやスレオニンからつくられます。
アラニン
アラニンは体内のほとんどすべてのタンパク質に存在している非必須アミノ酸です。グルタミン酸とピルビン酸からつくられ、様々なエネルギー源となります。アミノ酸の中でいちばんグルコースに変わりやすいアミノ酸です。
セリン
セリンは体内でグリシンやグルタミンなどからつくられる非必須アミノ酸です。様々な酵素の部分を構成し、タンパク質分解酵素のような多くの酵素の活性中心に存在します。情報伝達に関与し、中枢神経の栄養因子ともなります。
チロシン
チロシンは体内でフェニルアラニンからつくられる非必須アミノ酸です。ドーパミン、ノルアドレナリン、甲状腺ホルモン、黒色色素メラニンなどの原料になります。非必須アミノ酸ですが、チロシンの摂取は必須アミノ酸フェニルアラニンの節約につながります。
システイン
システインは硫黄を含む非必須アミノ酸です。身体のタンパク質の立体構造を保つのに大切な役割を果たし、タウリンや、エネルギーをつくるのに大切な補酵素CoAの成分でもあります。
アスパラギン
アスパラギンは世界で最初にアスパラガスから発見された非必須アミノ酸です。アスパラギンの一部は水素結合に関与し、タンパク質の表面では水や他の極性のあるアミノ酸とくっつく性質があります。
プロリン
プロリンは体内ではグルタミン酸などからつくられる非必須アミノ酸です。コラーゲンの材料となり、角質層の保湿に関与し、コラーゲン合成に役立っています。
アスパラギン酸
アスパラギン酸は、タンパク質の親水性などで重要な役割を担っている非必須アミノ酸です。身体の中に存在する割合としては少ないアミノ酸で、神経伝達に関与しています。
食品としては、人口甘味料アスパルテームの原料でもあります。
グルタミン酸
グルタミン酸は、小麦グルテンから発見されたアミノ酸です。アスパラギン酸同様にタンパク質の親水性で重要な役割を果たしています。脳のアンモニア解毒の気質となり、アンモニアのコントロールに関与しています。興奮性神経伝達物質としても働き、GABAやグルタチオンの材料でもあります。
食品としては、世界でも日本で初めて「うま味調味料」として工業生産されました。
3. 気になる症状を改善するアミノ酸の種類
3-1. メタボリックシンドロームに効果があるアミノ酸
メタボリックシンドロームに効果があるアミノ酸の種類をご紹介します。
分岐鎖アミノ酸(BCAA)
バリン、ロイシン、イソロイシンは筋肉量を増やし基礎代謝をアップする効果があります。
リジン、スレオニン
分岐鎖アミノ酸(BCAA)と一緒に摂取することでエネルギー消費量と脂肪燃焼がアップすることがわかっています。
アルギニン
血管を柔軟にし、血圧上昇を抑える効果が期待できます。
カルニチン
脂肪酸と結合してエネルギー生産の場であるミトコンドリアの内部へ移動し、脂肪を効果的に燃焼する効果が期待できます。
【メタボ予防に効果のあるメニュー】
ついつい食べ過ぎてしまうという方におすすめなのが、タンパク質をしっかり摂れる「おかずサラダ」です。
たっぷりの生野菜の上に、ゆでた鶏ささみ、鶏むね肉、豚もも肉、ゆでたエビやホタテ、サーモンなどの魚介類、豆腐などをのせて、主菜としていただきます。
見た目のボリューム感で満足度が高く、良質たんぱく質と同時にビタミン類をしっかり摂ることができます。
3-2. ボディメイク・筋肉をつくるアミノ酸
分岐鎖アミノ酸(BCAA)
バリン、ロイシン、イソロイシンは運動時の筋肉減少を防止し、筋肉量を増やす効果があります。
グルタミン酸、システイン、グリシン
グルタミン酸、システイン、グリシンが結合したグルタチオンは免疫力の改善と免疫機能の調節の両方に役立ちます。
身体を修復する治癒力も広い意味では免疫機能となりますので、これらのアミノ酸が効果的に働くことが期待できます。
【本気の方はプロテインがおすすめ】
アミノ酸は牛乳、卵、肉類といった良質なタンパク質から摂取できますが、特に意識して筋肉を作る方には、粉末のプロテインがおすすめです。
食品だけからタンパク質を摂取しようとすると、どうしてもエネルギー量(カロリー)が高くなってしまう傾向にあるためです。
3-3. 睡眠の質を改善するアミノ酸
グリシン
人は眠るときに体の中心部の温度(深部温度)が下がることで自然な深い眠りに入ります。赤ちゃんや小さな子供は眠くなると手足が温かくなりますが、これは身体の熱を放出しているからなのですね。
グリシンはこの身体の深部温度を下げる働きに関与しているのではと考えられています。
就寝前に3gのグリシンを摂取した場合、プラセボ(偽薬)を摂取した場合に対し、睡眠の質が高く翌日の日中の眠気が軽減し、記憶に関する試験においてその記憶の正確さも高く、問いに対する反応が速いことがわかりました。
また、睡眠中の脳波を調べたところ、深い眠りに入る時間を短縮させることもわかりました。
一方、睡眠制限時にグリシンを摂取すると日中の疲労度や眠気が軽減される傾向にありました。
非必須アミノ酸のグリシンは体内ではセリンやスレオニンからつくられますが、上記のようなエビデンスを元に、グリシンを含む食品が機能性表示食品として届け出がなされています。
【グリシンを摂取できる食品】
グリシンは、魚介類や大豆製品のほか、ゼリーを作るときに使うゼラチンにとても多く含まれています。
ゼラチンは粉末状で販売されているものが手軽に扱えます。お好みの飲み物を温めて(60度くらい)、水にふやかした粉末ゼラチンを入れて溶かしたら冷蔵庫で冷やせばゼリーができあがります。
4. アンチエイジング効果・美容効果のあるアミノ酸の種類
4-1. アンチエイジング効果が期待できるアミノ酸
アンチエイジング効果が期待できるアミノ酸のひとつとして「ロイシン」をご紹介します。
高齢者が介護状態に至る原因のひとつとして、サルコペニアと呼ばれる現象があります。これは、筋力や筋肉量が減少する状態で、高齢者の運動機能を低下させて日常生活や生活の質に大きな影響を与えます。
このサルコペニアを予防するには、運動と栄養、とくに良質タンパク質の摂取が重要になりますが、ここでもアミノ酸が活躍します。
必須アミノ酸のロイシンは、筋肉のタンパク質の合成を促す作用があります。
ロイシン高配合必須アミノ酸を摂取することは、タンパク質そのものを摂取する場合に比べて、少量でも同程度の筋肉タンパク質の合成を引き起こし、適切な運動との組み合わせによりサルコペニアを改善することがわかっています。
【牛乳から効率よくロイシンを摂取】
食品からロイシンを摂取するには、魚類や大豆製品、牛乳や乳製品がおすすめです。
とくに牛乳や乳製品は日本人に不足しがちな食品なので意識して摂取すると良いでしょう。
牛乳の摂取量は個人差が大きい(調査の分布にバラつきが大きい=標準偏差値が高い)のが特徴です。習慣として牛乳を飲むようになれば、ロイシンが不足することはありませんし、同時に吸収されやすいカルシウムも摂取できるため、よりサルコペニアの予防には効果的といえます。
牛乳の味があまり得意ではないために習慣化できないという人は、みそ汁の水分の半分を牛乳にする、間食の飲み物をカフェオレなど牛乳をつかったものにするなどの工夫で毎日無理なく牛乳を摂取することができます。
4-2. 美容効果が期待できるアミノ酸
美容効果の中でも美肌効果の期待できるタンパク質といえば、コラーゲンが思い浮かぶのではないでしょうか。
確かに、肌の構造ではコラーゲンは重要な働きをしているのですが、食品に含まれるコラーゲンは体内で一度アミノ酸に分解、吸収され、その後身体のタンパク質として合成されますので、コラーゲンを食べたからといってそれが皮膚のコラーゲンになることはありません。
コラーゲンたっぷりといわれる食事をした翌日は、肌が潤っていてハリがあるように感じる、つやつやしていると感じるのは、豚足やすっぽん、鳥皮のように「コラーゲンたっぷり」の食材には油分が多く含まれているため、それが肌に影響を与えているからです。
ですので、コラーゲンを食品から摂取するという考え方ではなく、コラーゲンを肌でつくるために必要な良質のアミノ酸をバランスよく摂取することが重要になります。
また、コラーゲンをつくるために重要な要素のひとつがビタミンCです。コラーゲンの原料となるプロリンは、酵素の働きでヒドロキシプロリンに変換されます。この変換が起きないとコラーゲンを丈夫にしている3重らせん構造が崩れやすくなります。そして、この酵素が働くためにはビタミンCが必要なのです。
ご存知のようにビタミンCは水溶性で、多めに摂取してもすぐに尿に交じって体外へ排出されますので、良質なタンパク質からアミノ酸を摂取するとともに一日数回、ビタミンCを摂取することは丈夫な肌をつくるための美容効果が期待できます。
【肌でコラーゲンを効率よく作るための食品】
良質たんぱく質がきちんと摂取できてビタミンCが不足しないように意識すると良いですね。
エネルギー量(カロリー)が気になる方は、鶏のささみや胸肉、豚もも肉など、脂の少ない部位を選び、ゆでる、蒸すなどの加熱方法でさっぱりといただきましょう。
生野菜と一緒に、レモンなどのかんきつ系のしぼり汁をかけるとビタミンCが取れますよ。
4-3. 美容効果を期待する際の注意点
アミノ酸摂取で美容効果を期待する場合、自然の食品からタンパク質として摂取するのなら問題ないのですが、サプリメントによってアミノ酸を摂取する場合は注意点があります。
・アミノ酸サプリメントを長期間使用しない
特定のアミノ酸だけを取り続けていると、身体全体のアミノ酸バランスが悪くなってしまいます。気になる症状が改善したら単体での摂取はやめて、すべてのアミノ酸がバランスよく取れるプロテインに変更するか、アミノ酸バランスの良い良質なたんぱく質を摂取できる食事に切り替えましょう。
・吸収率アップのためにビタミンB6、ビタミンCを一緒にとる
ビタミンCの不足はアミノ酸の小腸からの吸収を悪くし、ビタミンB6不足ではアミノ酸の体内での運搬がうまくできません。
タンパク質分解にはビタミンB2が必要なのは良く知られているため、アミノ酸サプリメント自体に含まれているものがほとんどですが、ビタミンB6とビタミンCも確認すると良いでしょう。
アミノ酸の健康・美容効果については「アミノ酸とは|美容・健康のために欠かせない成分」の記事でもぜひ参考にしてみてください。
5. 食品に含まれるアミノ酸
5-1. 良質たんぱく質の指標アミノ酸スコア
食品からバランスよくアミノ酸を摂取するなら、アミノ酸スコアの高い食品を選ぶことをおすすめします。
アミノ酸スコアは、1973年、国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関 (WHO) の合同特別専門委員会によって発表されました。
アミノ酸スコアは人の身体に必要な必須アミノ酸をどれだけバランスよく含んでいるかの指標として利用されており、1985年には基準となるアミノ酸パターンが改定され、大豆のプロテインスコアが100と算出されました。
アミノ酸パターンとは、必須アミノ酸の理想的な量のことで、1955年に国連食糧農業機関(FAO)が発表したプロテインスコアを算定するための比較蛋白質のアミノ酸配合量を改訂したものです。
5-2. 食品から効率よくアミノ酸を摂取するには
食品から効率よくアミノ酸を摂取するには、必須アミノ酸がバランス良く含まれる、アミノ酸スコアの高い食品を毎日摂取することが大切になります。
また、極端な糖質制限の食事を続けると、すぐにエネルギーに変わってくれるエネルギー源がないために、身体の筋肉からアミノ酸を取り出してエネルギー源にしはじめます。
この際、アミノ酸をエネルギーにするために肝臓や腎臓が余分な働きをするために疲れやすくなります。
また、食品から摂取したタンパク質をアミノ酸に分解するためにビタミンやミネラルも必要なので良質のたんぱく質を意識するだけではなく、食事全体の栄養バランスに気を配るようにすると良いでしょう。
食品からのアミノ酸を摂取については、こちらの記事も参考になります→「アミノ酸を食べ物から|効果を実感できる食べ方とは」
まとめ
アミノ酸が初めて発見されたのは、1806年です。フランスの化学者であるL.N.ボグランとP.J.ロビゲがアスパラガスの芽の煮汁からアミノ酸を結晶として取り出すことに成功しました。
アスパラガスにちなんでアスパラギンと名付けられたこのアミノ酸の発見後、1810年にシステイン(シスチン)、1819年にロイシン、1820年グリシン…と発見が続き、1935年にスレオニンが発見されることによって私たちの身体のたんぱく質を構成している20種類のタンパク質構成アミノ酸がすべて発見されたことになります。
また、同時にタンパク質をつくらない種類のアミノ酸として、体の中にアミノ酸として単体で存在する非タンパク質性アミノ酸の働きも次々に発見され、その働きがわかってきており、今も研究は続けられています。
こうして発見されたアミノ酸は工業生産が可能になるとサプリメントなどの健康食品や機能性表示食品に使用しやすくなるため、食品関連の企業や製薬会社などは積極的にその効果や安全性を示す研究を続けるのですね。
【参考資料】
「日本食品成分表準拠 アミノ酸成分表2010」文部科学省資源調査分科会報告
「アミノ酸の科学と最新応用技術」シーエムシー出版
「トコトンやさしいアミノ酸の本」味の素株式会社編著(日刊工業新聞社)
「生命の万能素材」水谷仁編集(ニュートンプレス)
「アミノエビデンス」大谷勝(現代書林)
「アミノ酸で10歳若返る」ナターシャ・スタルヒン(講談社α文庫)
「アミノ酸で身体の調子がどんどん良くなる」三條健昌(三笠書房)
「介護されない人生・アミノ酸が高齢社会を救う」大谷勝(ダイヤモンド社)