嫉妬心を持つのは、人が生活していく上で仕方のないことだそうです。
精神科医によると、自分以外の人がいるかぎり、多かれ少なかれ、嫉妬心は芽生えるものなのだというのです。
嫉妬心がない、という人の方が珍しいかもしれません。
しかし、嫉妬されることで自分の仕事や生活に悪影響があったり、嫉妬することの苦しさで自分の生活の質が下がったりしてしまうとしたら、やはり嫉妬心はある程度コントロールしたいものです。
ここでは、他人の嫉妬から自分を守る方法、自分が無用な嫉妬をしなくて済む方法を、嫉妬のメカニズムを理解しながら身につけられるようにまとめました。
心理カウンセラーのところには、「嫉妬する自分をコントロールしたい」という相談よりも「嫉妬されて困っている」という相談の方が多く寄せられると言います。
まずは、相手の嫉妬心から自分を守る方法からご紹介しましょう。追って嫉妬のメカニズムも理解できますから、嫉妬する側で苦しむ人、される側で悩む人のどちらにも役立つ内容になっているはずです。
目次
1. 嫉妬から自分を守る方法
1-1. 嫉妬心の強い人を見極める
1-2. 嫉妬しやすい人とは物理的な距離をとる
1-3. 嫉妬されることに慣れる
1-4. 嫉妬しやすい人との会話に注意する
1-5. 物事を多面的に捉える
2. 自分の嫉妬心をどう解決するか
2-1. 嫉妬心をなだめる
2-2. 嫉妬のパターンを知って対処する
2-3. 相手との物理的距離をとる
2-4. 嫉妬心に新解釈を与える
2-5. 嫉妬心をモチベーションに変える
3. 恋愛における嫉妬心についての解決方法
3-1. 男性に嫉妬されて困っている女性へ
3-2. 女性に嫉妬されて困っている男性へ
3-3. 男性に嫉妬して困っている女性へ
3-4. 女性に嫉妬して困っている男性へ
4. 嫉妬心とは~嫉妬のメカニズム
4-1. 嫉妬するとき何が起きているか
4-2. なぜ嫉妬していることを隠すのか
4-3. 困った感情に対してどう考えるか
4-4. 嫉妬でカーッとなったときすぐにとるべき行動
4-5. 自分を大切にする人がとる行動
5. 普段の考え方を変えることで嫉妬心は起きにくくなる
5-1. 相手と自分の距離感をどう捉えるか
5-2. 仮に嫉妬した通りだとして「だから何?」
5-3. 成功者は嫉妬する人をどう捉えているか
6. 体験談
6-1. 辛い恋愛で嫉妬心に苦しんだYさん
6-2. 嫉妬心に悩まなくなったMさん
6-3. ストーカーだったHさん
7. まとめ
1. 嫉妬から自分を守る方法
1-1. 嫉妬心の強い人を見極める
- 「俺が、俺が」「私が、私が」という自己アピールの強い人
- スタンドプレーを好む、相当な目立ちたがり屋の人
- 噂好きな人
- 大風呂敷を広げる、虚栄心の強い人
- 自分と他者を比較する、不安感の常に強い人
心理カウンセラーの川村桂子先生は、著書「嫉妬のお作法」で、上記の5つの特徴を持つ人が嫉妬心を持ちやすい人だと解説されています。
普段接していてその性格に気付くほか、SNSでの自己表現をみていれば、嫉妬しやすい人は簡単にわかるということです。
1-2. 嫉妬しやすい人とは物理的な距離をとる
嫉妬しやすい人だとわかったとき、自分にできることはまず、できる限り物理的な距離を取るということです。
職場が同じ、学校が同じ、または家族の中にそうした人がいる場合、なかなか自分の意思では距離が取れないように感じるかも知れませんが、できることから始めましょう。職場の人物ならば、仕事以外の私語を慎む、仕事以外のことを話しかけられても軽く流して深入りしない、など自分にできることが必ずあります。
嫉妬しやすい人は、誰かがごく普通に日常を話題にしただけでも、そのことに対して嫉妬するわけですから「自慢しないようにする」という自分の感覚は通用しないのです。
つまり「家を建てたけれど、間取りが悪くて後悔している」というただの状態や感想を話題にしても「あの人は家を建てたことを自慢している」と捉えるわけですから、話し方や内容に注意したところで、嫉妬しやすい相手からは嫉妬されてしまうのです。
とにかくよけいなことは話さないように距離を置くことが最も有効です。
1-3. 嫉妬されることに慣れる
嫉妬されることに悩んでいる人は、嫉妬されるというそのこと自体に慣れるというのも、嫉妬に悩まなくなるためのひとつの方法だと精神科医は言います。
わかりやすい例は芸能人などの有名人です。嫉妬されることもあるでしょうが、おそらく同じ程度、チヤホヤされるなどの良い面も受け取っているのでしょう。
なぜか嫉妬されて困るという人は、「その分自分は良い思いもしているのだろう」という受け止め方をすることができます。嫉妬されることに変わりはないのですが、「そんなものだ」「プラマイゼロだ」と思うことで、嫉妬に悩むことはなくなります。
1-4. 嫉妬しやすい人との会話に注意する
嫉妬しやすい人とできるだけ物理的な距離を置いても、職場や学校が同じなど、どうしても会話が避けられない場合、会話の内容のここに注意してください。
- 謙遜しすぎは嫉妬をあおる
- 言われたこと(嫉妬の対象になること)は素直に認め、中立的な立場で話す
- 「ありがとう」と言って相手とつながろうとする
嫉妬しやすい人でも、手の届かないくらい突き抜けた人(芸能人やオリンピック選手)や、自分側の人には嫉妬しにくいのです。つまり、ライバルの立ち位置に立たない工夫をすると良いようです。
褒められたら、謙遜するよりも「ありがとうございます。自分でもちょっと驚いています」と率直な気持ちを述べる程度にすることが、最も嫉妬心を刺激しないと言えます。
また、できることなら相手とつながろうとする、相手側の人間だと思ってもらえれば嫉妬されることも少なくなると言えます。
しかし嫉妬しやすい人とつきあいながら嫉妬されないようにずっと気を遣うことになりかねませんから、これは少々高度なテクニックかも知れません。
1-5. 物事を多面的に捉える
物事を多面的に捉える訓練をすることで、他人からの嫉妬心をうまくかわせるようになります。
起きた出来事を、「嫉妬された」という面以外から、どう捉えることができるかをすぐに考える練習をするのです。
自分にとって居心地が悪い状況にあって、その原因が誰かの嫉妬心だとすると、どうしても「相手が悪い、自分は悪くない」という結論にたどり着いてしまいます。
それ以外に「嫉妬されているように感じるということは、相手より私の方が優れているところがあるのだな」「嫉妬しているあの人には、どんな心の傷があるのだろう」「結果だけ見ていて、私の努力や挫折は見えていないのだろう」など、様々な捉え方ができます。
そうすることで、相手にとって嫉妬心が収まるような会話ができるようになります。
自分の失敗談や苦労話をさらりと伝えることや、逆に「なぜかそうなったのは運が良かったから」と伝えることで、嫉妬の矛先を自分に向けないようにできるのです。
2. 自分の嫉妬心をどう解決するか
2-1. 嫉妬心をなだめる
嫉妬心をなだめるには、まず「嫉妬は醜い」という思い込みをなくすことです。
嫉妬のメカニズムは4章で説明しますが、嫉妬という感情がなぜ起きるかを正しく理解すれば、それは自分の心の傷、つまりその傷がつくられた環境によるものだとわかります。
それなら、自分のせいではないのです。自分の心の傷を他人のせいにするのもまた、自分を傷つけますので誰かを恨む必要もなく、ただ単に、自分はある環境下において心に傷を負い、その傷が刺激されているだけだ、と思えばいいのです。
嫉妬は自分の心の傷が「そこは痛い、まだ癒えていない」と訴えている、と捉えましょう。
2-2. 嫉妬のパターンを知って対処する
自分が誰かを嫉妬するときには、よく似た理由やパターンがあることに気付けば、対処の方法もみつかります。
自分が仕事で認められたいと強く思っている人は、同僚ばかりでなく上司や部下の成功に対しても嫉妬しますが、仕事よりも良い家庭をつくることが大切だと考えている人は、夫婦仲の良い友人を嫉妬します。
このように、自分の中で何が大切なのかによって嫉妬のパターンがありますから、それがわかったら、嫉妬しそうなときには相手に目を向けず、自分はどうなりたいのか、どうありたいのかに集中することです。
2-3. 相手との物理的距離をとる
どうしても嫉妬してしまう相手と、物理的な距離をとることは嫉妬されない方法と同様、最も有効です。
職場や学校が同じなど、物理的に無理と思えても、「心のシャッターを下ろす」ことはできると精神科医の水島広子先生は書かれています。
自分がどうしても嫉妬してしまう相手に対して、シャッターを下ろして、見ないようにしてしまうことは「卑怯な逃げ」や「一時しのぎ」ではなく、本質的に重要だと言えるそうです。
「嫉妬」に取り組む人は嫉妬を悪いことだと考えがちなので、嫉妬してしまう自分を悪く評価してしまいます。ですから、嫉妬しない環境に自分を置く練習「シャッターを下ろす」ことで嫉妬しなくするということはとても重要なのだということです。
2-4. 嫉妬心に新解釈を与える
「心のシャッターを下ろす」練習をしている間にも、嫉妬してしまうことはあるでしょう。そんなときには、嫉妬心に新しい解釈を与えると自分を癒しながら解決できます。
自分はどのような場面で嫉妬してしまうのかを判断し、その領域での傷はまだ癒えていない、と自分をいたわる気持ちを持つようにするのです。
小さな頃から理数系が得意だったOさんは、歴史や古文に詳しい人と出会っても「すごいな、博識だな」と素直に尊敬するのに対し、理系の職業で自分よりも上の立場にいる人を見るとどうしても嫉妬心が出てしまうと言います。
Oさんは自分が育った環境を思いだしました。ごく平凡なサラリーマン家庭に育ったOさんは、成績優秀だったために両親にとても期待されて育ちました。中学生までは「医者になりたい」という明確な目標を持っていたのですが、高校生になり、苦手な暗記ものの勉強がうまくいかず、国立の医学部は無理だと考えるようになりました。
私立の医学部なら受かるという模試の結果が出ても、両親にかかる負担を考えるとそれもできず、医師になるという目標を失いました。
親が医者で金持ちだったら。自分がもっと頑張って、国立に受かるくらいの能力になれていたら。
そうした気持ちがOさんの嫉妬の原因だと気付いたのです。すると「俺、医者になりたかったんだな。でも今自分は医者じゃないけれど、幸せだな」と感じられるようになってきたといいます。
2-5. 嫉妬心をモチベーションに変える
嫉妬心を上手にコントロールして、自分がそのことに対して頑張るためのモチベーションにできたら、それは理想的ですね。
嫉妬心をそのままにしておいては、モチベーションには変わりません。嫉妬心を悔しさに変換できれば、モチベーションになります。
「嫉妬心」と「悔しさ」は似ていますが、違います。
「嫉妬心」は相手に対しての自分の感情なのに対し、「悔しさ」は自分に向いているのです。
前述のOさんが、自分の嫉妬心をモチベーションにして、何歳からでもかまわない、再び猛勉強をして国立の医学部に合格し、奨学金や学資ローンを活用して学び、立派な医師になったとしたら、それは嫉妬心をモチベーションに変えたと言えるでしょう。
身の回りの医師などに嫉妬している状態のままではこうしたことは起こり得ません。Oさんが、自分の努力不足に対して「悔しい」と感じたとき、嫉妬心がモチベーションに変わります。
それには自分の弱さ、情けなさに気付く必要がありますから痛みを伴いますし、その後の行動にも大変な努力が必要となります。だからこそ嫉妬心をモチベーションに変えることができたら、大きなことが成し遂げられるのでしょう。
3. 恋愛における嫉妬心についての解決方法
3-1. 男性に嫉妬されて困っている女性へ
自分の感覚とあまりに違う嫉妬心を出す男性とは、できるだけ早く別れることです。
恋愛関係において男性が嫉妬深いとき、彼の所有欲が強く束縛されることが、女性にとって負担になります。
相手がそれだけ愛してくれている、相手がかわいそうなどと言ってズルズルつきあうと、どうしてもダメ、となって女性から別れを切りだすときには男性側は「かわいさ余って憎さ百倍」の状態になり、DVやストーカーに発展する可能性もあります。
異常な嫉妬を感じたら、相手の執着が強くなる前に、とにかくすぐに、別れることです。
3-2. 女性に嫉妬されて困っている男性へ
恋愛における女性の嫉妬は、程度にもよりますがほとんどは、男性が少し心配りをすることで解決することが多いようです。
行動としては単純で、「誰と比べても君がいちばん」と口にする、「自分は君のような恋人がいて幸せだ」という内容のことを口にする。
そして「君を失いたくない」と自分も嫉妬していることを知らせる。そうしたことを日常的に行って、女性を安心させてあげるのです。
女性のいる飲み会に行く、女性と会う用事があるなど、男性は恋人にそのことを説明するのが面倒だったり、あるいはちょっと浮気したいという下心があったりで、秘密にしてしまうことがありますが、そうした態度が女性の嫉妬心をあおるのです。
嫉妬している女性は、不安なのです。心のどこかに「愛する人からの愛情がなくなったらどうしよう」という傷があり、それを刺激するから嫉妬するのです。
3-3. 男性に嫉妬して困っている女性へ
過去の恋愛の傷だけでなく、両親が離婚したなど、自分の育った環境において、「愛する人からの愛情を失ったこと」がある女性は、その心の傷によって嫉妬心が強くなりがちです。
これまでの環境は自分で選べなかったかも知れませんが、恋愛対象は自分で選べます。自分の心の傷を一緒に癒してくれる男性を選ぶことです。
嫉妬しているときに素直に「女性のいる飲み会に行って、あなたが誰かのことを好きになったらどうしようって心配なの」と口にしたとき、「女性のいる飲み会への参加はやめる」「男性の友人と一緒に行って、そいつに見張っててもらう」など女性の不安をなくすために誠意ある対応の取れる男性は世の中にたくさんいます。
3-4. 女性に嫉妬して困っている男性へ
男性もまた、女性に対して嫉妬するとき、過去の心の傷に関係している場合が多いようです。
自分でも、異常に相手を束縛していると気付いたり、嫉妬でおかしくなりそうだと思ったりしたら、カウンセリングに行くことを考えましょう。
こうしたタイプの人は、女性が浮気症だから自分が嫉妬すると考えがちですが、たとえ相手の女性が変わっても、また嫉妬します。
嫉妬は自分の問題なので、大きなトラブルや犯罪になる前に、心の傷を癒すようにしましょう。
4. 嫉妬心とは~嫉妬のメカニズム
4-1. 嫉妬するとき何が起きているか
嫉妬心とは何でしょうか。
嫉妬心の意味:嫉妬心(しっとしん、英語:Jealousy)とは、一つの感情であり、主として何かを失うこと、または個人がとても価値をおくもの(特に人間関係の領域)を失うことを予期することからくる懸念、怖れ、不安というネガティブな思考や感情に関連した言葉です。
精神科医の水島広子先生は、著書「ドロドロした嫉妬がスーッと消える本」の中で嫉妬の感情をこのように表現しています。
『すべての嫉妬に共通する構造として「本当に求めていること」と「主観的に感じていること」が違うということがあります。』
“嫉妬は大別するとふたつに分類できます”
- 自分の愛する人の愛情が他人に向けられるとき(愛情関係の嫉妬)
- 自分よりも優れた相手に対する嫉妬(優劣関係の嫉妬)
このどちらもに共通して、「本当に求めていること」と「主観的に感じていること」にずれが生じているために起きる感情が嫉妬です。
例を挙げましょう。
“愛情関係の嫉妬”
今までひとりっ子として可愛がられてきた3歳の子供に、妹が生まれました。
「本当に求めていること」→「親から愛されたい」
「主観的に感じていること」→「赤ちゃんへの憎悪」
“優劣関係の嫉妬”
自分と同年代の中途採用者として、とても仕事のできる人が入社しました。
「本当に求めていること」→「仕事で認められたい」
「主観的に感じていること」→「中途採用者への憎悪」
この例を見てわかるように、3歳の子供は、独占欲による嫉妬心ですが、赤ちゃんを憎まなくても、自分のことを愛してもらうことは可能です。赤ちゃんを憎むことでとってしまう行動によって、より親からの愛を失うことの方が多いのです。また、中途採用者は、仕事における嫉妬心ですが、自分より仕事ができたとしても、自分も頑張っていれば仕事で認められることは可能です。人を憎むという嫉妬によって自分にプラスになるものはないと考えられるでしょう。
4-2. なぜ嫉妬していることを隠すのか
大人になると嫉妬心をさらけ出す人は少なく、嫉妬していることを悟られまいとするようですが、これは「嫉妬」をしてしまう「醜い自分」が嫌だという自己嫌悪が原因です。
また、嫉妬する人というのは自意識過剰、負けず嫌い、自己主張が強いなど、あまり良いイメージを持たれません。ですから、心の中では嫉妬していても、顔や態度に出すことは少ないのです。
前の章で『嫉妬』という感情が生まれる状況を説明しました。これを正しく理解できれば、「主観的に感じていること」はいったん保留にして、「本当に求めていること」に目を向けることができるはずです。
「相手に対して感じている気持ちは、自分が本当に求めていることをわからせてくれる」というふうに捉えて、自分が本当に求めている気持ちに集中しましょう。
4-3. 困った感情に対してどう考えるか
嫉妬心、怒り、憎しみ、極度の悲しみなど、大人になっても自分の困った感情をコントロールするのが難しいときがあります。
そんなとき、感情というものをどう考えるかでずいぶん気持ちが楽になります。
私たちは子供の頃から、自分の肉体に対するケアは学んできます。怪我をすれば洗って消毒し、必要に応じて絆創膏や包帯などで保護します。風邪をひきそうなら温かくして睡眠を取るでしょう。
また、熱いものや尖ったものに触れると「熱い!」「痛い!」と感じて肉体は自分を防御します。
ところが、精神に関しては、ほとんど何も学んでこなかったのではないでしょうか。
どれほど自尊心を傷つけられても、理不尽に悔しい思いをしても、それに対するケアの方法を知っているという人はいないようです。
そうして放置されてきた心の傷が刺激されるとき、私たちは肉体が感じる「熱い!」「痛い!」に替わって「悔しい!」「憎い!」などの感情を持つのです。
ですから、嫉妬心が出たときに「良くないことだ」と封じ込めるのではなく「本当はこうしたいんだね」「心の傷が痛いね」と自分の心を理解することに活用すれば、すこしずつ自分の心の傷を癒すことにつながるのです。
4-4. 嫉妬でカーッとなったときすぐにとるべき行動
自分でもコントロールできないような、強い嫉妬心が出たときや、嫉妬心がムクムクと湧いてきたときには、できるかぎり早くひとりになれるような場所に移動します。
いくら嫉妬のメカニズムを知って「本当に求めていること」と「主観的に感じていること」が違うからだと理解しても、嫉妬心がすぐになくなるわけではありません。
「心のシャッター」を下ろすヒマもなく嫉妬してしまったら、とりあえずひとりになりましょう。
ひとりになることの利点は、嫉妬によって感情的に行動することを防ぐこと、嫉妬心と向き合って自分の心の傷を確認することの両方があります。
さらに、大人になると「嫉妬していること」を隠す傾向にありますから、誰かといる限り、嫉妬で苦しんでいるその状態を隠すという心の負担をさらに増やしてしまうのです。
4-5. 自分を大切にする人がとる行動
自分を大切にする人は自分が好きなこと、やりたいことをする時間や余裕を確保しています。
そうして自分を大切にすると、嫉妬心の現れ方が変わってくるといいます。
自分に自信をつける方法とも共通しますが、誰かと比較したり誰かのことを考えたりする時間があるなら、自分が楽しめること、集中できることをするということです。そうして行動していると「自分はこれでいい」という考え方を身につけられるようになり、自分のあり方に自信がつき、むやみに嫉妬しなくなるのです。
頭や心が悶々として、ドロドロした嫉妬が出てきたら、それ以上考えることをやめ、好きなことをするのです。誰かから見て立派な行動や、誰かと比較しての行動ではなくてかまいません。
「カラオケで大声出してスッキリ!」や「とにかく走る!」「料理をつくる!」など自分が楽しい、スッキリするという行動をとってみてください。
5. 普段の考え方を変えることで嫉妬心は起きにくくなる
5-1. 相手と自分の距離感をどう捉えるか
相手と自分の距離を近く感じるほど、嫉妬心は現れますが、つながりを持つと嫉妬心はなくなります。ですから、嫉妬しないためには、物理的に相手との距離を置く、心理的に相手との距離を置く、またはつながるほどの距離になる、のどちらかにするのです。
自分が水泳をしていても、オリンピックの水泳選手に嫉妬はしないでしょう。けれど、オリンピック選手の選考会に出場できるくらいになれば、嫉妬するのです。だとしたら、嫉妬してしまう相手は、自分とは育った環境も何もかも違うと考えてしまうことで、自分とオリンピック選手くらいの距離を感じるのは効果があります。
つながるのは距離を置くより難しいですが、キレイな人に「美人でうらやましいな。メイクの仕方、教えてくれる?」などと嫉妬心を軽く口にだしておつきあいすることで、「私はあなたのスタイルがうらやましいと思っていたわ」と相手から思わぬ反応があるかもしれません。
5-2. 仮に嫉妬した通りだとして「だから何?」
嫉妬した側も、嫉妬された側も使えるのが「だから何?」というフレーズです。
「どうしてあの人ばかりモテるの?!美人は得よね…だから何?」
「なぜかあの人私の邪魔ばかりする…だから何?」
「嫉妬しちゃったけど、まあ、その通りだしね」「嫉妬されているかも知れないけど、まあ仕方ないよね」という軽い気持ちになる言葉です。
5-3. 成功者は嫉妬する人をどう捉えているか
成功者は自分に嫉妬する人に対し、あまり反応しないようです。
1章で書いたように、慣れてしまうことで嫉妬に対応しているということもあるでしょうし、そもそも成功者として認められるような人は、オリンピック選手同様、並大抵の努力ではできないことを達成したという、揺るがない自信があるのでしょう。
自分と同じレベルに達している人は、2章に書いたように、嫉妬を悔しさという自分の問題に変換し、モチベーションに変えられるような人たちで、そういった人と普段接していれば、無用な嫉妬に悩まされることもないのかもしれません。
6. 体験談
6-1. 辛い恋愛で嫉妬心に苦しんだをしたYさん
“Yさんは既婚者を好きになってしまいました。”
彼に会えないときには彼の家族に対する嫉妬心に悩まされ、会えたときにはその分さらに喜びがあふれ出すという、ジェットコースターのような恋愛でした。
たまたま知ってしまった彼の自宅住所に行ってしまったことで、彼から別れを切りだされ、なぜ彼の奥さんは幸せに暮らしていて、自分だけがこんなに辛い思いをするのかと、さらに嫉妬心は燃え上がりました。
Yさんを落ちつかせてくれたのは、職場の先輩でした。普段から親切にしてもらってはいましたが、プライベートなことを何もかも話すような仲ではありません。
Yさんの様子がおかしいことに気付いた先輩が、「私で良ければ話を聞くよ」と声をかけてくれたのです。友人には話したことのなかったことを話して、泣きながら「悔しい。ずるい」と訴えると、先輩も「私も同じ経験がある。わかるよ。私たち、幸せになろう。絶対に幸せになろう」と一緒に泣いてくれたことで、Yさんの嫉妬はあきらめに変わったといいます。
6-2. 嫉妬心に悩まなくなったMさん
“Mさんは自営業者です。”
子供の頃から家事が好きで、幸せな主婦になると信じていた自分が離婚してしまったことから、幸せな主婦に見える女性を見ると嫉妬してしまい、苦しい思いをしていました。
ある日知り合った、自分と同じように小さく起業した自営業者の女性と話が合い、小さな事業を立ち上げようという話が進みました。
打ち合わせを進めていく途中で、彼女は事業がダメになっても夫がいるから、という意識があることが見える瞬間があり、自分とは立場が違い、危機感も大きく違うということがわかりました。
そのことに気付いたのは、Mさんの嫉妬心のおかげです。嫉妬してしまう相手とは距離を置くと決めていたMさんは、正直な気持ちを説明して、一緒に事業をすることを中止しました。
性格的には相性が良かった彼女と新しい仕事を始められなかったことを残念に思う気持ちが最初はありましたが、結果的に、事業のパートナーに嫉妬しながら仕事をするという状況を避けることができたのは良かったと考えています。
Mさんの心の傷はまだ癒えていなくて、専業主婦でのんびりしている女性を見ると嫉妬してしまいますが、そういった人に出会うことも少なくなり、嫉妬に悩むことはもうなくなったといいます。
6-3. ストーカーだったHさん
“つきあっていた彼から突然の別れを切りだされ・・”
何がなんだかわからないという絶望の日々を送っていたHさんは、共通の知人から、彼が結婚するという話を聞きました。
彼の会社に派遣で来ていた女性との間に、子どもができたらしいのです。
Hさんの絶望は、嫉妬に変わり、彼の上司宛に派遣の女性を名指ししたひどい手紙を送りつけました。
共通の知人は何人かいたので、彼はひとり暮らししていた女性のアパートに一緒に住んでいることを知り、女性の自宅へも嫌がらせの手紙を送りました。
ある日、Hさんはアパートから出てくる女性を目にしてしまい、嫉妬心が抑えられなくなりました。駅の階段から突き落とそうと考えて後をつけてもやはり恐くなってしまい実行できず、翌日、電車の中で彼女に近づき、画鋲を女性のバッグに入れ、縫い針をスカートに三本差して逃げました。
Hさんは、翌日警察に呼びだされ、ストーカー被害にあった女性を知っているかと訪ねられました。
婦人警官が「あなたも辛かったのよね」と言ってくれたとたん、涙が溢れ、これまでの犯行を自供しました。
まとめ
嫉妬の感情をどう扱うかによって、犯罪にまで発展するということは、ストーカーやDVによって知られています。
嫉妬のメカニズムを理解し、嫉妬する対象から距離を置く、自分の心の傷を癒すことに目を向けるなどの方法を取ることができれば、人生に関わるような大きな出来事にはならずにすみます。
また、体験談から、女性の場合は共感してくれる人がいるということで、嫉妬があきらめに変わる、嫉妬しておかしな行動を取ってしまった自分を反省する、など落ちついた気持ちになることがわかります。
自分が嫉妬に苦しんでいるとわかったら、まずはひとりになって、自分の心の傷と向き合い、嫉妬の対象と距離を置くことを選ぶことです。時間はかかるかも知れませんが、心の傷を刺激せず、理解していたわってあげることで自分の嫉妬がいつの間にか落ちついていることに気付くはずです。