肌断食にトライしてみたいけど、勇気がないという人は多いですよね?
「肌断食」とは、肌になにもしない、なにも塗らない美容法です。肌が本来もっている健康維持機能を引き出して、美しい素肌を維持するものです。
長年続けてきた化粧品によるスキンケアをやめるとなると、「本当に大丈夫なのだろうか」、「取り返しのつかないことになるのではないだろうか」という不安にかられる人が多いはずです。
熱心にスキンケアをしてきた人ほど、肌断食に対する不安は大きくなります。
ここでは、化粧品をやめることが不安だという人のために、4つのステップを実践することによって、効果を実感しながらムリなくスキンケア化粧品をやめる方法を解説します。
化粧品をやめると言っても、メイクはやめずに習慣化するシンプルスキンケアです。
まず、肌断食がなぜ肌によいのかを理解することから始めましょう。
目次
1. 肌断食が素肌美人をつくる理由
1-1. 化粧品で角層バリアを壊している
1-2. 化粧品を構成する5つの危険成分
1-3. 油分を塗っても肌は潤わない
1-4. ターンオーバーを維持してサラサラ素肌になる
1-5. 常在菌を殺さず健康な肌を取り戻す
2. 4ステップで化粧品をやめる肌断食
STEP 1 クレンジングとリキッドファンデをやめる
・クレンジングをやめて純石鹸で洗顔する
・リキッドファンデをパウダーに替える
STEP 2 クリームと乳液をやめる
・寝る前の美容クリームとパックをやめる
・乳液や美容液をやめてワセリンを使う
・朝は石鹸を使わず水洗顔にする
STEP 3 日焼け止めをやめる
・日焼け止めを使う場合は低刺激のものを
STEP 4 化粧水をやめる
・化粧水をやめてワセリンを使う
3.まとめ
1. 肌断食が素肌美人をつくる理由
人間の肌の表面は、0.02m程度の厚さしかないのに高い防水機能をもつ「角層」で覆われています。
角層は、レンガのような「角層細胞」とレンガ同士の間をうめるセメントのような「細胞間脂質」が重なり合ってバリアとなり、肌内部の水分を保ち、異物が体内に侵入することを防いでいます。
健康な肌は、この角層バリアが主役となって保湿機能を維持しています。
1-1. 化粧品で角層バリアを壊している
角層バリアが壊れてしまうと、肌は水分を保つことができなくなり、悪性菌などが体内に侵入しやすくなります。
だから、簡単に壊れるものではありません。
ところが、ほとんどの基礎化粧品に含まれている「界面活性剤」には、角層バリアを壊す強力な作用があります。
化粧品が美容成分を肌内部に浸透させることができるのは、界面活性剤で角層バリアを壊しているからなのです。
角層バリアを突破して刺激成分が毛穴の中まで侵入すると、毛穴の周りの組織は異物を排除しようとして炎症を起こします。
化粧品を習慣的に使っていると、「角層バリアを壊す」→「ひび割れて乾燥する」→「保湿化粧品を塗る」という悪循環に陥ってしまいます。
スキンケアに熱心な人ほど肌がきたないのは、こうした理由からなのです。
1-2. 化粧品を構成する5つの危険成分
化粧品は主に5つの成分からできています。
油性成分
グリセリン、植物油、動物油、高級アルコール、シリコン油、炭化水素類、高級脂肪酸エステルなどの油性成分は、過酸化脂質に変化して、毛穴まわりの炎症を引き起こします。
乳化成分
界面活性剤、保湿剤、保潤剤、分散材、希釈剤、起包剤、消包剤などの乳化成分は、角質層の油分と水分を溶かして角層バリアを壊します。
皮膜形成剤(合成ポリマー)
コポリマー、クロスポリマー、酢酸、酢酸セルロース、カルボマーなどの皮膜形成剤は、肌表面をコーティングしていまい、代謝活動を遅らせます。
防腐剤、殺菌剤、酸化防止剤
パラベン、ソルビン酸、サリチル酸などは、常在菌を殺して肌のバリア機能を低下させます。
医薬部外品に入っている特殊成分
ホルモン、プラセンタ、スクワラン、ヒアルロン酸、コラーゲンなどは、異物と認識されて炎症を招いたり、肌を乾燥させたりします。
化学物質を塗っても肌はきれいになりません。
オーガニック化粧品といえども天然成分にも毒性が強いものもありますし、無添加化粧品と名乗っていても、防腐剤のみ無添加で界面活性剤は入っているものがあります。
結局、どの化粧品も100%安全とはいえないのです。
1-3. 油分を塗っても肌は潤わない
肌の表面の皮脂膜が潤いを保っていて、油分を補給しないと肌が乾いてしまうと思っている人がいます。
これは30年以上前の常識で、油分を塗っても肌が潤わないことは、現代の皮膚科学における常識です。
化粧品による油分補給を続けると、油が毛穴の中に入り込んで酸化、変性して、周囲の組織を傷つけます。
潤いのある肌には、角層バリアを傷つけないことが一番大事なことなのです。
1-4. ターンオーバーを維持してサラサラ素肌になる
しっとりとした肌が健康で美しいというのは、ただの思い込みです。
健康な肌は本来、桃の皮の表面のようにマットでサラサラした質感なのです。
肌の細胞は28日周期で生まれ変わっており、これをターンオーバーと呼びます。
皮膚の表皮の一番下の基底層と呼ばれる部分で細胞分裂が起こって新しい細胞が生まれます。
新しい細胞は徐々に押し上げられて寿命を終え、死んだ細胞は角層で角質細胞となってバリアとして働いた後に、アカとしてはがれ落ちます。
しかし、化粧品で肌を覆ってしまうと、アカがはがれにくくなって肌がくすみます。
表皮のアカが落ちないと、ターンオーバーが進まないので新しい細胞がつくれません。
見せかけのしっとり肌ではなく、サラサラの美肌こそ健康の証です。
1-5. 常在菌を殺さず健康な肌を取り戻す
人間の肌は、1兆個もの常在菌で守られています。
もっとも多いのが表皮ブドウ球菌で、汗や皮脂を食べて脂肪酸として排泄し、肌を弱酸性に保っています。
化粧品は腐らないために、パラベンなどの強力な防腐剤を含んでいます。
化粧品を顔に塗るということは、強力な防腐剤で消毒しているのと変わりません。
化粧品で表皮ブドウ球菌を殺してしまうと肌がアルカリ性になり、マラセチア菌やアクネ菌など、表皮ブドウ球菌がいることで繁殖できない悪性の常在菌が異常繁殖します。
マラセチア菌やアクネ菌による感染症はニキビや皮膚炎を引き起こします。
常在菌が減ってしまった状態では治りにくいので、治療が長期に及ぶこともあります。
化粧品をやめて常在菌を増やすことも大事ですが、洗顔料、シャンプー、ボディシャンプー、ハンドソープなどにも防腐剤が含まれているので、なるべく使わないようにしましょう。
巷にあふれる抗菌グッズや抗菌加工された日用品も、常在菌を殺してしまうので、できるだけ接触しないほうがいいのです。
2. 4ステップで化粧品をやめる肌断食
化粧品の使用をやめるのが不安な人は、段階的にトライしてください。
一度、化粧品をすべてやめた結果、乾燥がひどかったり、べたついたりした人にも効果的です。
4つのステップで、肌に大きな害を与えるスキンケア用品から順番に減らしていきます。
次のステップに進む期間に決まりはありません。早めに結果を出したい人は1週間、肌の様子を見ながら、じっくり進めたい人は1カ月程度かけてステップアップするといいでしょう。
STEP 1 クレンジングとリキッドファンデをやめる
・純石鹸で洗顔
・化粧水、乳液
・(日焼け止め)
・パウダーファンデ + ポイントメイク
夜のケアはクレンジングを使わずに、
・純石鹸で洗顔
・化粧水や乳液
・保湿クリーム
となります。
● クレンジングをやめて純石鹸で洗顔する
クレンジング剤の主成分は界面活性剤で、肌への害がもっとも大きなスキンケアアイテムです。
肌の水分を保っている角質層の細胞間脂質も、ひとふきで落ちてしまいます。
クレンジング剤で肌をこするとダメージは大きくなり、洗顔フォームなどでW洗顔をすればさらにダメージが増します。界面活性剤は丹念に洗い流しても肌に残って悪影響を及ぼし続けます。
最初の一歩は、クレンジング剤の使用とW洗顔をやめて、少量の純石鹸で顔を洗ってください。
角層バリアが壊れにくくなって、洗顔後のつっぱり感や乾燥が軽減されます。
純石鹸とは、脂肪酸ナトリウムや脂肪酸カリウムだけで作られ、添加物を一切含まない石鹸です。
香料などの添加物が加わると、洗浄力が弱まってしまい、メイクを落とすことができません。
● リキッドファンデをパウダーに替える
リキッドファンデーションは肌のカバー力が高いぶん、界面活性剤、油分、防腐剤の含有量が多いので、角層バリアを壊して細胞間脂質に付着します。
メイクがくずれにくいということは、落ちにくくて肌へのダメージが大きいということです。
落とすためにクレンジングを使うことで、肌の負担はさらに重くなるのです。
ファンデを使う場合は、刺激の少ないおしろいタイプのパウダーか、固形のパウダーファンデを薄くつけるようにしましょう。
ファンデで肌にツヤがでるのは、合成ポリマーや油分の働きです。肌を合成ポリマーで覆うと、ターンオーバーが遅れて不健康な状態になります。
肌の表面はプラスチックで覆われてツヤがあっても、フタをされてしまったその内部では代謝が行われずに老化が進んでいるのです。
ファンデーションについてはもっと詳しくお知りになりたい方は「乾燥肌に合うファンデーション-4タイプの特徴と正しい使い方」の記事もぜひ参考にしてみてください。
STEP 2 クリームと乳液をやめる
・純石鹸で洗顔
・化粧水
・(日焼け止め)
・パウダーファンデ + ポイントメイク
夜のケアは、
・純石鹸で洗顔
・化粧水
・(ワセリンをつける)
だけになります。
● 寝る前の美容クリームとパックをやめる
クリームは界面活性剤そのものです。
肌に塗れば角層の構造を破壊してしまい、肌本来の保湿機能を失わせます。
保湿のためと思ってクリームを塗れば塗るほど肌は乾燥してしまい、肌荒れなどのトラブルも多くなります。
「洗顔で皮脂を落としたら、クリームで保湿を」という美容業界の常識は、もはや時代遅れなのです。
クリームはたとえ角質中の成分と同じであっても、肌本来の保湿機能の代用品にはなりません。
基礎化粧品を減らす場合には、まずクリームの使用をやめましょう。
シートマスクによるパックは、ヒアルロン酸などの粘り気が潤った気分にさせるだけですから、これもやめましょう。
● 乳液や美容液をやめてワセリンを使う
乳液や美容液にも界面活性剤が含まれているので、角質バリアを壊して細胞のすき間に入り込みます。
クリームと同じタイミングで、使うのをやめてください。
乳液をやめたとしても、美容液の必要性を感じる人がいるかもしれませんが、美容成分とされるものは、肌にとって異物でしかないのです。これも塗れば塗るほど、肌は不健康になります。
乾燥がひどくて粉をふくような場合には、薬局で販売している「白色ワセリン」をつけます。クリームのように大量にすり込むのでなく、米粒半分程度を手のひらになじませて、肌にやさしく押し付けてください。
白色ワセリンは、石油から得た天然の炭化水素類を脱色して精製したものです。きわめて酸化しにくいという特性があるので肌を傷めず、石鹸で落とす必要もありません。
ワセリンはメイクの下地や、ハンドクリーム代わりにも使えますが、肌本来の機能を回復させるためには、使い過ぎないことが大切です。
ポイントメイクの落としは、コットンにワセリンをつけてこすらないようにして取り、その後は水洗顔で済ませます。
● 朝は石鹸を使わず水洗顔にする
寝る前のクリームをやめれば、朝の洗顔は水洗顔で問題ありません。寝る前にクリームや乳液を塗ると、朝は洗顔料で洗い流す必要がありますが、それをやめれば洗顔料も純石鹸も必要ないのです。
皮脂汚れはぬるま水でも十分落ちますから、このタイミングで水洗顔に切り替えましょう。前日のパウダーファンデが残っていても、数日でアカと一緒にはがれ落ちますから気にすることはありません。日中のパウダーファンデの使用をやめれば、夜も水洗顔だけでいいのです。
STEP 3 日焼け止めをやめる
・水洗顔
・化粧水
・(ワセリンをつける)
・パウダーファンデ + ポイントメイク
夜のケアは、
・水か純石鹸で洗顔
・化粧水
・(ワセリンをつける)
となります。
● 日焼け止めを使う場合は低刺激のものを
日焼け止めは汗で流れてしまうと効果がないので、ほとんどの商品にシリコンが使われています。
日焼け止めを使い続けると角質バリアを壊し、肌が乾燥してメラニンが増加し、シミやくすみを増やしてしまいます。これでは逆効果ですね。
1日15分以内の日差しであれば日焼け止めは必要ありません。15分以上であっても、普段の生活であれば帽子や日傘、衣服などで紫外線の害は防ぐことができます。旅行やスポーツなどでどうしても日焼け止めを使うときは、肌内部に入り込みにくいワセリンベースで防腐剤が入っていないものを使ってください。
正しい使用法は、米粒2~3粒程度を手のひらに広げてから、肌に押しつけます。汗で流れたら、こまめに塗りなおしましょう。
日焼け止めの選び方については「敏感肌でも安心!日焼け止めの効果的な選び方&注意点」の記事もあわせてお読みください。
STEP 4 化粧水をやめる
・水洗顔
・パウダーファンデ + ポイントメイク
夜のケアは、
・水か純石鹸で洗顔
・(ワセリンをつける)
となり、メイクをやめずに行うシンプルスキンケアが完成します。
● 化粧水をやめてワセリンを使う
最後の4ステップ目でやめるのは、化粧水です。
化粧水は界面活性剤や油分が含まれていないものも多いので、クリームや乳液よりは肌へのダメージが少ないのですが、肌を乾燥させてしまうことに変わりはありません。
保湿成分を肌の外から塗っても、肌内部の保湿機能を補うことはできないのです。保湿成分として含まれるヒアルロン酸やコラーゲンがしっとりした感触を出しているだけで、こうした成分も肌の乾燥を悪化させてしまいます塗ったときはしっとり感があっても乾燥してしまうものですから、塗るのをやめましょう。
肌のかさつきが気になる場合には、ワセリンを米粒半分ほど手のひらになじませて、押しつけます。
くれぐれもこすらないようにし、物足りないくらいの量に抑えてください。
唇のカサカサも寝る前に少量のワセリンをつけると効果があります。
3. まとめ
ここでは、スキンケア化粧品の使用をやめる4ステップを解説しました。しかし、本来の肌断食を徹底しようとするのであれば、さらなるステップアップが求められます。
次のステップとしては、シャンプーやボディソープをやめることになります。シャンプーやリンス、ボディソープにも界面活性剤をはじめとする刺激物が含まれているので、肌を傷めてしまいます。
普通の生活をしているのであれば、髪や体はお湯で洗うだけで汚れは落ちるのです。顔の化粧品ばかり気にしていても、シャンプーが顔につけば肌を傷めることになります。
そして、さらに次のステップとしては、洗濯に使う洗剤を刺激の少ないものに替えて、全身の肌を守るのです。
肌を傷める柔軟剤や蛍光増白剤を含まないものを選んでください。
洗剤の変更はムリなくできることなので、ぜひここで解説した4ステップと同時に開始してください。
参考資料
・『化粧品を使わず美肌になる!』 主婦と生活社 2013年
・『化粧品に頼らない素肌美人のつくるかた』 主婦と生活社 2015年