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  2017.11.07



10分でわかる「保湿」-肌の保湿メカニズムと保湿成分の種類

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毎日スキンケアをしていても、「保湿のしくみ」や「保湿成分」の種類がわかっている人は意外と少ないですよね?

「セラミド」「アミノ酸」「コラーゲン」「ヒアルロン酸」などといった成分名は、化粧品のコマーシャルなどでよく耳にしているはずです。

しかし、それらの成分が、肌のどの部分でどういう働きをしているものかということを知って化粧品を選んでいる人は少ないでしょう。

ここでは、肌の基本構造と保湿のメカニズムをわかりやすく解説し、いろいろな保湿成分の特徴や働きを紹介します。

自分の肌の保湿機能はどういう状態にあるのか、自分に必要な保湿成分は何なのかということを知り、日々のスキンケアに役立ててください。

目次

1. 肌の保湿メカニズムと保湿成分
1-1. 皮膚の基本構造
1-2. 表皮のターンオーバー
1-3. 角層のバリア機能
1-3-1. セラミド
1-3-2. 天然保湿因子のアミノ酸とペプチド
1-4. 真皮の保湿メカニズム
1-4-1. コラーゲン
1-4-2. エラスチン
1-4-3. ヒアルロン酸

2. そのほかの保湿成分
2-1. 従来から保湿剤として使用されているもの
2-2. 動植物・菌類由来の保湿成分
2-3. 海洋天然物由来の保湿成分

まとめ

1. 肌の保湿メカニズムと保湿成分

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人間の体重の3分の2は水です。

体内の水分は皮膚から、常に少しずつ蒸発しています。
この蒸発する水分を皮膚につなぎとめて、肌の水分を保つことを「保湿」といいます。

1-1. 皮膚の基本構造

肌の構造

人間の肌は3層の構造でできています。
もっとも外側の部分が「表皮」、その内側が「真皮」、一番内側の部分が「皮下組織」です。

表皮の厚さは平均約0.2mmで、外側から「角層」「顆粒層」「有棘層」「基底層」という4層で成り立ち、その大部分を「表皮細胞」が占めています。

表皮には、外部の刺激から肌を守り、体内の水分を保持する役割があり、その重責の大部分を担っているのが一番外側の角層です。

基底層では、細胞分裂が行われて新しい表皮細胞が生まれます。

真皮は、網目状に広がっているコラーゲンが70%を占め、エラスチンやヒアルロン酸がそれを支えて肌の弾力を保っています。
シワの原因は肌の乾燥ではなく、コラーゲンの網目構造が壊れることにあります。

1-2. 表皮のターンオーバー

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表皮の一番下にある基底層では、次々と新しい表皮細胞が生まれます。

表皮細胞はだんだん上部に押し上がっていき、平均28日後に死んで角層の角質細胞となり、最後はアカになってはがれ落ちます。
この表皮細胞が生まれ変わる代謝のサイクルを「ターンオーバー」と呼ぶのです。

化粧品や洗顔料に含まれる界面活性剤などの刺激物や、強くこすることなどで角層が破壊されると、このターンオーバーがうまく働かなくなります。

乳液やクリームなどの油分で肌がフタをされた状態になっても、角質細胞がアカになってはがれ落ちずに残り、ターンオーバーの活性が落ちてしまいます。

ターンオーバーの機能が低下すると、保湿機能も低下します。

1-3. 角層のバリア機能

角層では、角質細胞がレンガのように10層程度(腕は20層、手のひらや足の裏は50~100層)積み重なっています。

その間をセメントのように「細胞間脂質」が埋め、強固な壁となって外部からの水や異物の侵入を防ぎ、皮膚の水分を守っていて、「角層のバリア機能」と呼ばれます。

角層がなんらかの理由で傷つくと、バリア機能が低下して保持する水分量が減ってしまい、乾燥肌になります。
そのため、保湿ケアには、角層に保持されている水分を補う効果がもっとも求められるのです。

また、洗顔で皮脂を落とし過ぎると、肌のうるおいがなくなるという考えは間違いです。
肌の水分を守っているのは、「セラミド」「天然保湿因子」「皮脂」の3つで、その働きはセラミドが約80%、天然保湿因子が17~18%、皮脂が2~3%といわれます。
皮脂の保湿機能は重要なものではありませんから、洗顔ではしっかり落とすべきなのです。

天然保湿因子とは、角質細胞の中にあって水分を維持している分子の小さいアミノ酸などの集まりです。

1-3-1. セラミド

角層の細胞間脂質の50%を占めているのは、水と結合して蒸発を防ぎ、肌の水分を保っている「セラミド」という物質です。

セラミドと水の分子は交互に積み重なって、角質細胞同士の間に約8層もの構造を作って、水を保持しています。

セラミドの間に挟まれた水分は、たとえ空気中の湿度が0%になっても蒸発しません。
気温がマイナス20度になっても凍らないという特性もあります。

セラミドには、角質細胞同士をセメントのように接着する働きもあり、外部からの異物の侵入も防いでいます。

セラミドが多い肌は水分を十分に保持しているのでうるおいがあり、少ない肌は水分が不足して乾燥肌になり、角質細胞同士の接着が弱くなってスキマができるので、乾燥性敏感肌になります。

化粧品に配合されるセラミドは、化学構造によって種類があり、発見された順に1、2、3と番号がつけられています。

現在、化粧品の原料として使用されているのは、主に「セラミド2」「セラミド3」「セラミド10」です。
番号がついていないセラミドは、多くが類似物質と考えていいでしょう。

セラミドはそのままでは水にも油にも溶けないので、化粧品に配合するためには技術が必要とされ、化粧品原料の中では比較的高価になります。
水に溶けないので、化粧水に配合することが難しいのも特徴です。

1-3-2. 天然保湿因子のアミノ酸とペプチド

角質細胞の中にあって、水分を保持しているのが、「天然保湿因子(NMF)」です。
天然保湿因子は、約半分がタンパク質を構成する水溶性のアミノ酸と、アミノ酸からつくられるピロリドンカルボン酸(PCA)で構成されています。

基底層でつくられる表皮細胞は別名「ケラチノサイト」とも呼ばれ、ケラチノサイトが変化した(死んだ)核のない角質細胞は、ケラチンという繊維状のタンパク質を大量に抱えています。

ケラチンを構成するアミノ酸が様々な形で結びついて、水分を抱え込んでいるのです。
化粧品に配合されるアミノ酸には、プロリン、ロイシン、セリン、グリシンなどがあります。

2個以上のアミノ酸が結合したものの総称が「ペプチド」であり、各種のタンパク質はペプチドからつくられています。

アミノ酸が20個以下のペプチドを「オリゴペプチド」、20個以上のペプチドを「ポリペプチド」と呼ぶことがあり、化粧品にも多くのポリペプチドが使用されています。

1-4. 真皮の保湿メカニズム

表皮の内側にある真皮は、「コラーゲン」が70%を占めています。
コラーゲンはゴムのように弾力のある線維で、網目状の構造をつくって皮膚を支えています。

コラーゲンの網目構造をところどころで固定しているのが「エラスチン」という線維状タンパク質、その周りを埋めるセメントのような役割をしているのが、基質と呼ばれる「ヒアルロン酸」や「コンドロイチン硫酸」というゼリー状の物質で、これらの線維や基質を生み出すのが「線維芽細胞」です。

真皮の65%は水分で、弾力をつくる役割を果たしているコラーゲンの線維や基質が減少すると、水分が不足してシワができ、肌がたるんできます。
とくにヒアルロン酸は、保湿効果の高い物質として知られています。

ところが、コラーゲンやヒアルロン酸は、食事などで口から摂取しても胃腸で分解されるので、そのまま肌の線維や基質になることはありませんし、塗っても肌には浸透しません。

角層のバリア機能があるため、肌の表面に水をつけても、肌の内部には浸透しません。
もし、肌の外側の水分が肌内部に浸透してしまうのであれば、水泳や入浴などできなくなってしまいます。

油性の美容成分が浸透するのも、角層までと法律に規定されています。
「お肌に浸透」などとうたっている化粧品は、必ず但し書きで、「角層(角質層)への浸透」と明記しているはずです。

だから、肌にいくらコラーゲンを塗っても真皮までは届かないことを覚えておきましょう。

1-4-1. コラーゲン

コラーゲンには、グリシン、プロリン、アラニン、ヒドロキシプロリン、グルタミン酸、アルギニンなど、保湿効果の高いアミノ酸が多く含まれています。

だから、化粧品に配合されているコラーゲンは、直接真皮のコラーゲンにはならなくても、角層に浸透して水分を保つ効果があります。

牛や豚などの動物から得られたコラーゲンには、可溶性の成分がごくわずかしかないので、プロアテーゼ(タンパク質分解酵素)で不溶性コラーゲンを可溶性のアテロコラーゲンに変えて用います。

近年は、植物から抽出したエキスに含まれる「植物性コラーゲン」や、魚の皮や骨、うろこから抽出する「海洋性コラーゲン」のニーズが高まっています。

1-4-2. エラスチン

コラーゲンが真皮線維の70%以上を占めているのに対して、エラスチンは数パーセントしかありませんが、コラーゲンの網目構造を固定する重要な役割を果たしています。

エラスチンがコラーゲンと成分的に違うところは、グリシンの含有量がとくに多く、ヒドロキシプロリンをほとんど含有せず、デスモシン、イソデスモシンというアミノ酸を含んでいるということです。

1-4-3. ヒアルロン酸

化学的には「酸性ムコ多糖類」に属するヒアルロン酸は、1980年頃から化粧品に応用されるようになりました。

ヒアルロン酸1グラムで6リットルの水を保持することができると言われるほど保湿効果の高い成分ですが、天然のヒアルロン酸は主にニワトリのトサカから抽出するので、量産できませんでした。

しかし、バイオテクノロジーの進歩で微生物による発酵法が考案され、バイオヒアルロン酸として多量に生産できるようになりました。
化粧品には、ヒアルロン酸ナトリウムの形で配合されています。

2. そのほかの保湿成分

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近年、化粧品に配合される保湿成分は、代表的なセラミドやコラーゲンなどのように生体成分と同じか類似している保湿成分が多用されています。

天然保湿因子を補うアミノ酸、ピロリドンカルボン酸、乳酸塩、尿素なども保湿剤として配合されています。

2-1. 従来から保湿剤として使用されているもの

従来から保湿剤として化粧品に配合されているのは、「多価アルコール」の種類で、いずれも水に良く溶けて肌になじみやすい液状の物質です。

これらの物質は、外気が乾燥していると皮膚の水分を吸収して蒸発させてしまうので、ヒアルロン酸などの外界湿度の影響を受けにくい高分子系保湿成分と併用して、効果を高めます。

保湿剤御三家といわれるのが、「グリセリン」「BG」「DPG」です。

・グリセリン

吸水性、保水性ともにもっとも高いグリセリンは、動植物油脂から石けんや脂肪酸をつくる過程で得られた副産物を精製して生産されていましたが、現在では化学合成のものが多くなっています。

薬局で手軽に入手できるので、手作り化粧品のベースとしてもよく使用されます。
高濃度配合すると、吸水力が高いために肌を荒らすこともあるので、配合量には注意が必要です。

・BG (1,3-ブチレングリコール)

グリセリンに比べて粘度が低く、ベたつかないのが特徴で、多価アルコール類の中では比較的おだやかな吸湿性をもっています。

菌が育ちにくい状態をつくる働きもあり、防腐剤の代用としても使われます。

・DPG(ジプロピレングリコール)

べとつかずサラッとしているので、化粧品は肌の上でスーッと伸びる感触になります。
BG同様に菌が育ちにくい状態をつくる働きもあり、防腐作用も高い成分です。

食品添加物に指定されているPG(プロピレングリコール)も保湿剤のひとつですが、DPGよりも肌への刺激が強いとされ、現在の日本ではほとんど使われていません。

2-2. 動植物・菌類由来の保湿成分

植物から抽出されるエキスは、植物粘液質を多く含むので、皮膚にやさしい保湿成分として用いられます。

そのほか、多くの動植物性成分や菌類抽出物が保湿成分として化粧品に用いられています。
ここでは代表的なものだけ数種類をピックアップしました。

・コンドロイチン硫酸

ヒアルロン酸などと同様に酸性ムコ多糖類であるコンドロイチン硫酸の化粧品原料は、哺乳動物や魚類の軟骨から得られます。

水に溶けて高粘度の粘液質をつくる水溶性高分子なので、基礎化粧品だけでなくメイクアップ化粧品まで幅広く保湿剤として用いられています。

サメの軟骨からつくられたサプリメントも市販されています。

・AHA(アルファヒドロキシ酸)

「フルーツ酸」とも呼ばれるAHAは、リンゴや柑橘類などのフルーツに存在している有機酸の一種で、その中には「グリコール酸」「乳酸」「クエン酸」「酒石酸」「リンゴ酸」などがあります。

保湿効果とともに古い角質の排出を促す効果もあり、化粧品には保湿成分や角質柔軟成分として配合されます。

・ライスパワーエキス

ライスパワーエキスは、米と麹菌や酵母の組み合わせによって発酵させた「コメ発酵液」で、アミノ酸、糖類、有機酸、ペプチド、ビタミンBなどを豊富に含んでいます。

発酵のしかたの違いにより、今までに30種を超えるライスパワーエキスが生み出されており、そのすべてが異なる効能をもっていますが、その中で現在は11種類のエキスが実用化されています。

中でも「ライスパワーNo.11」は、皮膚水分保持能改善が認められて、2001年に厚生労働省から医薬部外品の保湿剤として承認されました。
ライスパワーNo.11は角質細胞に働きかけてセラミドの生成を促し、バリア機能を復活させます。

・大豆イソフラボン

大豆イソフラボンは大豆の胚芽に多く含まれるポリフェノール化合物の一種です。
女性ホルモンと化学構造が似ているので、「植物性エストロゲン(フィトエストロゲン)」や「美肌ホルモン」とも呼ばれます。

ヒアルロン酸やコラーゲンの生成を促す保湿効果以外に、メラニンの生成を抑制する美白効果もあるといわれています。

・プラセンタエキス

プラセンタエキスは、豚、馬など動物の胎盤から抽出される成分で、アミノ酸やタンパク質、ミネラル、ビタミンなど、肌の健康に必要な栄養素を多く含んでいます。

皮膚への保湿効果のほかに、ターンオーバーを活性化する働きもあります。

・キチン・キトサン

キチンは多糖類の一種で、カニ、エビの甲殻類、昆虫類の外骨格、菌類の細胞壁を構成する成分として自然界に存在しています。
キトサンは、ある種のカビの細胞壁に含まれて存在しています。

キチンやキトサンは、ヒアルロン酸に似た保湿効果をもちます。
化粧品に使用されるキチンはカニ殻を原料としてつくられ、このキチンからキトサンが製造されます。

・ローヤルゼリー

ミツバチの若い働きバチが分泌するローヤルゼリーは、高い栄養に富んでいて、欧米諸国では古くから長寿の妙薬として尊重されてきました。

細胞を活性化してターンオーバーを促し、皮膚の保湿性を高めます。

・ベタイン

ベタインは、アミノ酸の一種で、サトウダイコン(ビート)などの植物やヒトの肝臓などにも含まれる成分です。

成分名をトリメチルグリシンといい、とくに乾燥時の保湿性に優れています。
肌のしっとり感やべたつきを抑えるために配合されます。

・トレハロース

酵母、キノコ類、昆虫の体内など広く自然界に存在する糖質で、近年は高い保湿効果が注目されています。

とくに乾燥時における保湿性に優れ、化粧水の保湿性を高めるためによく用いられます。
トレハロースを改善した硫酸化トレハロースは、角層の水分保持機能を高める成分として化粧品に配合されます。

2-3. 海洋天然物由来の保湿成分

海には地球上のすべてのミネラルが存在しており、化粧品にも多くの海洋天然物由来成分が応用されています。

海洋天然物由来成分は総じて保湿効果が高く、新陳代謝を促す美容効果が特徴で、代表的なものとして次のようなものがあります。

・海藻エキス

褐藻類に属するコンブ属やヒバマタ属、紅藻類、緑藻類から抽出したエキスで、アミノ酸、ヌメリ成分のフコイダンやアルギン酸などの粘液質多糖類、ビタミン、ミネラルなどの成分が豊富で、優れた保湿効果と細胞活性効果があります。

・マリンクレイ(海泥)

数千万年前の海洋動植物が海底に堆積し、長い年月をかけて分解や代謝を繰り返してできたもの。

吸着効果が優れているので毛穴の汚れや余分な皮脂を取り除くパックなどに使用され、各種ミネラルは皮膚の自然治癒力を高めて肌のキメを整えます。

・海水成分(海塩)

海水から得られたミネラルの混合物で、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム及び塩化カリウムなどからなります。

皮膚細胞にエネルギーを与え、皮膚の新陳代謝を促してうるおいをもたらします。

まとめ

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保湿のポイントは、肌が本来もっているバリア機能を補って、肌の保水力を高めることです。

化粧品を使うスキンケアを行う前に、角層バリアを壊さない生活習慣が大切になります。
とくにクレンジングや洗顔は、角層を傷つけやすいので、できるだけ肌に刺激の少ないアイテムを選び、肌をこすらないようにしましょう。

また、保湿のためと思って使った化粧水のせいで、かえって乾燥肌になってしまったという女性も増えています。

保湿成分を効果的に使うためには、成分の薄い化粧水より、高価であってもセラミドなどの成分が豊富な保湿美容液がおすすめです。

 

【参考資料】
・『コスメティックQ&A辞典』 中央書院 2011年
・『化粧品成分表示のかんたん読み方手帳』 永岡書店 2017年

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