疲れやすくて悩んでいませんか?
特別なことなどしていないのに、すぐに疲れてしまって気力が続かないのは、なにが原因なのか知りたいですよね。
「疲れにくい体」とは、言い換えれば「疲労回復力の高い体」ということです。疲れにくい人というのは、その日の疲れをその日のうちに解消して溜めないので、翌日はまたゼロからスタートすることができます。
疲れやすい原因は、疲労を解消する治癒力が弱くなっていることにあります。
ここでは、体をリセットして、本来自分がもっている回復力を取り戻すための習慣をジャンルに分けて20種紹介します。
自分にあった習慣を見つけて、疲れにくい体づくりに役立ててください。
目次
疲れにくい体1 体の軸をつくる
1-1 正しく立つ
1-2 正しく座る
1-3 正しく歩く
疲れにくい体2 体幹を緩める
2-1 ショルダーツイスト
2-2 ウォールツイスト
2-3 足の抱え込み
2-4 プッシュプル
疲れにくい体3 体の力をぬく
3-1 脱力する方法
3-2 入浴
3-3 正しい姿勢で寝る
疲れにくい体4 体をリフレッシュする
4-1 ヨガ呼吸法
4-2 丹田呼吸法
4-3 肩甲骨ほぐし体操
4-4 上体ぶら下げ体操
4-5 1分間仮眠法
疲れにくい体5 疲れにくい心をつくる
5-1 ストレスを軽減する
5-2 読書で脳を鍛える
5-3 涙を流す
5-4 笑顔をつくる
5-5 楽しむことを考える
まとめ
疲れにくい体1 体の軸をつくる
疲れにく体には、骨格が左右対称の正しい位置にあって、体幹と筋肉が緩んでいて、脳が安定した状態を維持することが不可欠です。
そのために必要なのが、「体の軸」というもの。体の軸とは、身体を安定させる架空の直線です。
日常生活において、体の軸を作り上げるのは「正しい姿勢」です。「立つ」「座る」「歩く」という3つの動作を見直して、正しい姿勢を見につけましょう。
1-1 正しく立つ
step1
股関節の幅に足を開いて立ち、足の裏が水平になるイメージで、土踏まずに重心を落とします。
step2
肩甲骨と仙骨(腰の骨)を垂直に立てます。仙骨は手を当てて垂直を確認し、肩甲骨は、力を抜いて肩を2~3回上下させると垂直を意識することができるでしょう。
step3
後ろから見ると、左右の肩甲骨と仙骨を結ぶ二等辺三角形が地面に対して垂直になっていて、手の指先も垂直、足の裏が水平になっているのが正しい立ち方です。
ただし、この姿勢を守ろうとするあまりに力が入ってしまうと自然体ではなくなってしまうので、一度立ち方を確認したら、あとは脳内でイメージするようにしましょう。
1-2 正しく座る
step1
正しく立っている状態から、ヒザを曲げてそのまま垂直に上体を下ろしてイスに座ります。
step2
土踏まずに均等に重心を落として、肩甲骨と仙骨を垂直に立てます。
step3
左右の足の裏と、イスの座面に下ろしているお尻の4点で立っているイメージでいると、身体の力を抜いても姿勢が崩れません。
1-3 正しく歩く
step1
正しく立っている状態から、踏み出す足を垂直に浮かせ、足の裏を水平にしたまま前に移動して着地します。
step2
前に出した足が安定したら体重を乗せる。このとき後方の足の裏はほぼ垂直になっている。
step3
後方の足を浮かせて足の裏を水平に戻しながら前に出し、着地したら安定を確認して体重をかける。
この繰り返しで「正しく歩く」ときに重要なことは、できるだけ頭を上下させないことですが、これは体幹を柔らかくしておかないとなかなかできません。
疲れにくい体2 体幹を緩める
「体幹」とは、頭と手足を除いた胴体の部分を指します。
体幹の中心部である脊椎(背骨)には、上から7つの頸椎、12の胸椎、5つの腰椎があり、体幹を安定させている骨盤へとつながっています。
人間がなにか動作をするときは、体幹の筋肉が動き、それに連動して手足の筋肉が動いていますから、体幹を緩めることは手足の可動域が広がることになるのです。
体幹を緩める運動を4つ紹介しましょう。
2-1 ショルダーツイスト
step1
正しく座った状態から、左右の腕をあくびをするように上に伸ばして肩幅の倍くらいに広げます。5本の指は伸ばしたままです。
step2
そのままの姿勢で、両腕を水平の位置まで前方に下ろします。
step3
右の手のひらを上向きにします。
step4
右の手のひらを下向きに戻し、左の手のひらを上向きにします。アゴを動かさないようにして、これを左右繰り返します。
体幹は手のひらが上を向いている方に向き、手のひらを反すと腕の向きも連動し、体幹の向きも変わります。
2-2 ウォールツイスト
step1
壁から30センチほど離れて正しく立った状態から、壁に両手を伸ばしてリラックスします。
step2
身体を安定させたら肩甲骨の向きを変えないようにして、腰から下を左右にひねります。
足の向きは変わりますが、肩の向きを変えないことがポイントです。
2-3 足の抱え込み
step1
正しく座った状態で、右側の股関節に重心を移し、左足をイスの上にあげてスネを抱え込みます。このとき左のお尻は浮いている状態です。
step2
左右を変えて同様に行います。
頭の位置を変えず、持ち上げる方の足が正面を向いているようにすると、骨盤周りを柔軟にして体幹を緩めます。
2-4 プッシュプル
step1
正しく座った状態から、両腕を前に伸ばして力を抜き、手首を軽く立てます。
step2
背中の肩甲骨を開くように両肩を前に出します。
step3
背中の肩甲骨を寄せるように両肩を引きます。
背筋を伸ばしたままアゴを動かさないようにして、肩回りを柔らかくします。
疲れにくい体3 体の力をぬく
その日の疲れをその日にうちにリセットするためには、体の力を抜いて緩め、できるだけ自然体に戻すことが重要です。
何かに身をゆだねて体の脳が安定すると、緊張が抜ける瞬間がやってきます。この感覚をつかみましょう。
3-1 脱力する方法
step1
デスクに座っていた状態から、イスを少し引いて正しく立ちます。
step2
上半身を前に倒して、両腕のヒジから先をデスクの上に乗せます。
step3
両肘を開いて胸とアゴをデスクに接地させます。
step4
ゆっくり腰を落としてイスに座り、アゴの角度を調節して楽な姿勢にします。
step5
ゆっくり呼吸をしながらそのまま待っていると、フッと体の力が抜ける瞬間がやってきます。
座った状態のまま突っ伏すのでなく正しく立ってから体をしずめるのは、身をゆだねられる部分を大きくするためです。正しい姿勢から始めないと、体にかかる負担が大きくなってしまいます。
3-2 入浴
体が水中に入ると、浮力で体にかかる重力が10分の1になります。意識しなくても、脳から垂直に背骨や体幹がある状態になるので、関節や筋肉の負担が軽減されて、体の緊張がほぐれるのです。
肩までお湯につかると体が重力から解放されて、仕事などで興奮した交感神経の働きが低下し、副交感神経の働きを高めます。
副交感神経は心拍数と血流量を増やして、体の末端まで血液を送ろうとします。これは水圧で血流が妨げられることを防ぐために反応で、このとき血流量は1.5~2倍になります。
こうして自己代謝熱で体を熱くすることにより汗を出し、皮脂に溜まっていた水分や老廃物を体外に排出するのです。
脂肪の燃焼も含めてこうした効果は、入浴後1時間くらい続きます。
長い時間の半身浴をする場合でも、10分程度は肩までお湯につかったほうが、副交感神経を優位にして体をゆるめる効果が高まります。
3-3 正しい姿勢で寝る
「立つ」「座る」「歩く」という活動状態における姿勢と同様に、睡眠状態の姿勢も疲れにくい体をつくるためには重要です。
疲労回復に睡眠は不可欠。寝れば脳の疲れは回復し、大きなダメージがなければ体の疲れもある程度回復します。
正しい姿勢で寝るためにもっとも大切なことは、「正しく立つ」のと同じく、肩甲骨と仙骨を水平(寝床に接地している状態)に保つことです。
次に大切なのは、腰が反らないようにすること。
そのために重要なのが「枕」です。枕を肩の下まで入れて、首の下に空間ができないようにすると腰の反りを抑えられるので、この状態をしばらく保ち、眠くなったら枕を通常の位置に戻すようにしましょう。
疲れにくい体4 体をリフレッシュする
体をリフレッシュする方法は、先にあげた入浴や睡眠以外にも、ストレッチや呼吸法などが知られています。
ここでは、いつでもどこでもリフレッシュできる方法を5つ紹介します。
4-1 ヨガ呼吸法
ヨガの「完全呼吸法」を見につけましょう。「呼吸」は本来「吐いて」「吸う」もので、「吐く」ことが基本となります。
息を口から長く吐きながらお腹をへこませていき、体の中の空気をすべて吐き出します。吐いて吐いて吐き切ります。肛門を締めながら、下腹部までギューッとへこませて息を吐き切り出すのがポイントです。
息を吸おうとしなくても、へこませたお腹を緩めるだけで鼻から息がはいってきます。
息を吐くと副交感神経が優位に働くので、自律神経のバランスを整えることができます。体の中に残っている「よどんだ空気」を吐き切るので、デトックス効果もあります。
4-2 丹田呼吸法
ヘソから指3本分くらい下にある「臍下丹田(せいかたんでん)」という、東洋医学において生気が集まるとされるところがあります。
この丹田を意識して、口から「フーッと」長く息を吐きます。横隔膜を押し下げるとともに気を丹田に集めるイメージで行います。
鼻から3秒息を吸ったら2秒お腹に溜め、15秒かけて口からゆっくり吐きます。慣れてきたら鼻から吐いてもかまいません。
この「3秒、2秒、15秒」をワンセットとして6回繰り返しましょう。上っていた気を静めることにより、リフレッシュします。
4-3 肩甲骨ほぐし体操
肩の関節は、肩甲骨、上腕骨、鎖骨の3つの骨から構成され、背中の上部で羽のように左右にある肩甲骨は、筋肉に吊り下げられた状態で腕の動きをサポートする支点となっています。
肩甲骨は関節で固定されていないため、安定性に欠けてとても疲れやすい部位なのです。
肩こりになると肩の上の部分をほぐしたくなりますが、実は肩甲骨の下の部分をほぐしたほうが、疲れは回復します。
step1
自然な姿勢で立ち、左手を肩の上から右の肩甲骨にもっていき、腕の付け根あたりから背骨にかけて指先で揉みほぐします。
step2
揉みほぐしながら、右手を伸ばしたまま後ろから前へ10回、回します。
step3
(3)前から後ろへ10回、回したら、同じ要領で反対側も行ってください。
朝と夜に1セットずつ習慣化すると、首や肩の疲れの回復力が高まります。
4-4 上体ぶら下げ体操
step1
腰の幅に足を開いて立ち、ヒザの力を抜いて上体を前に倒します。
step2
上体の力を抜いて手をブラブラさせ、息を吐きながら体重を左右の足の裏に交互に乗せかえて上体を揺らします。
step3
体の力を抜いて重力に身をゆだねることにより、気持ちよいユラユラを感じます。
自分の体の重さを感じるようにすると、自然に体からムダな力が抜けて、体をリフレッシュさせることができます。
4-5 1分間仮眠法
昼休みに15分間の昼寝をすると、心と体がリフレッシュすることはよく知られています。
しかし、その15分間が作れないという人は「1分間仮眠法」を習得してください。
step1
リラックスして座り、完全に目を閉じて体をまっすぐな状態にします。
step2
ゆっくりしたリズムで「息を吸って吐いて」を繰り返します。
これだけで、かなりリフレッシュすることができます。この仮眠法ではとくに呼吸法にこだわる必要はありません。心地よいリズムで繰り返すことが重要です。
新鮮な空気を取り込んで体中に行きわたらせることができて、疲れて酸欠状態になっている脳の機能も回復させることができます。
疲れにくい体5 疲れにくい心をつくる
心と体は連動していますから、ストレスが多くなると体を動かしていなくても疲労感が増します。
疲れにくい心をつくることは、疲れにくい体をつくるために不可欠なのです。
心の疲労をその日のうちに解消するためには、快眠習慣や適度な運動習慣が重要です。そのほかにも、心の回復力を高めるために身につけたい習慣がいくつかあります。
5-1 ストレスを軽減する
ストレスとは、外部から刺激を受けたときに生じる緊張状態のことです。適度なストレスは人間にとって必要なものですが、過度なストレスは心身に様々な悪影響を与えます。
人間には、本来自分でストレスから回復する機能が備わっているのですが、睡眠不足であったり、人間関係の悩みや仕事の悩みが重なったりすると、回復が間に合わなくなって溜まっていってしまいます。
そうならないために、もっとも重要なことは、リラックスできる時間や空間を日常生活の中にもつことです。
もうひとつ大切なことは、頭を柔らかくすること。固定観念や思い込みは、その通りに行かないときに大きなストレスになります。少し無責任だと思われても、心のどこかに楽天的な部分があったほうがいいのです。
ものの見方や考え方を少し変えるだけで、ストレスは大きく軽減されます。「柔らか頭」で、疲れにくい心をつくりましょう。
5-2 読書で脳を鍛える
本を多く読むことで、集中力や持続力が身につき、疲れにくい脳を育成できます。
仕事をしていて、すぐに疲れてしまう人と根気よく続けられる人の違いは、脳の疲れやすさにあります。疲れにくい脳を維持できると、心の回復力も高まります。
寝る前の1時間は、パソコンやスマートホンの操作をやめて、本を開いて心を潤しましょう。読書の習慣は、仕事の集中力を高める効果もあります。
5-3 涙を流す
睡眠にはストレスによる交感神経の緊張を緩ませる役目がありますが、起きている間に同じ効能を得られるのが「情動の涙」です。
映画やドラマを見て感動の涙を流すと、心に溜まっていたものが流されて楽になります。「情動の涙」はデトックス効果が高いのです。
毎日泣くのは大変でしょうから、週末に自宅で映画やドラマを見ながら号泣しましょう。一週間溜め込んだストレスを涙と一緒に流すことができます。普段から、「泣ける一作」を用意しておくと、心の疲れを回復させるアイテムになります。
5-4 笑顔をつくる
笑うことは、計り知れないほど大きな好影響を心や体にもたらします。
脳の働きを維持してくれる神経伝達物質セロトニンの分泌を促すばかりでなく、がん細胞などを攻撃するNK(ナチュラルキラー)細胞というリンパ球を増加させて免疫力を向上させることがわかっています。
ワッハッハーと腹の底から笑うことが一番いいのですが、口角を上げて作り笑顔をするだけでも効果があります。
1日に数回、鏡を見て笑顔を作る習慣を身につけましょう。
動物と一緒に暮らすことも、笑顔を多く作るにはとても高い効果があります。動物と接しているときは、無意識のうちに笑顔になっていることが多いのです。
5-5 楽しむことを考える
心が疲れないようにする秘訣は、いつでもどこでも自分が楽しめる手段をもっていることです。
人間は楽しいことをしているときに脳を活性化させます。本を持ち歩くとか、スマートホンでゲームなどをしたりするのもいいでしょうが、目が疲れることになります。
体を疲れさせないで簡単に楽しむ方法は「空想」です。電車の中や会社の休憩時間に、目を閉じて、頭の中でひたすら楽しいことを考えましょう。脳波の状態が安定し、ホルモンのバランスも改善します。
まとめ
体の疲れは、血液やリンパなどの体液や空気の流れが滞ることに直接の原因があります。心の疲れも、ムリなことをして負担が大きくなり、ストレスの流れが滞ることに原因があります。
疲れにくい体をつくる秘訣は、血液の流れ、空気の流れ、気の流れなどをスムーズにすることにあるのです。
ここで紹介した習慣で、ムダなものはその日のうちに流してしまいましょう。
【参考資料】
『一生疲れない「カラダ」の作り方』(日本文芸社・2012年)
『「疲れない身体」をつくる本』(PHP研究所・2015年)