ひとりで海外へ行くのは、不安なことが多くて勇気がいりますよね?
若い頃に自分探しの旅をして、なにものにも代えがたい経験ができたという先輩たちの話はよく聞きますが、自分には無理ではないかと、あきらめてしまっている人が少なくありません。
自分探しの旅って何でしょう?
人生には、将来のことや自分を取り囲むいろいろな問題に対して、答えを出さなければいけないタイミングがあります。
自分探しの旅とは、そんなときに客観的に自分を見たり、自分と向かい合う時間をつくったりできる旅のことなのです。
日本の若者が海外へ行かなくなったといわれていますが、5chなどの掲示板では、「自分探しの旅ってなにか意味があるの?」「自分探しの旅なんて現実逃避だ」というような意見がある一方で、「海外に出て、はじめて日本や日本人を客観的に見ることができて、今まで知らなかった自分を発見できた」といった、自分探しの旅を推す意見も多く見受けられます。
ここでは、自分探しの旅として世界中で支持されている「バックパッカー」の旅を取り上げ、計画と準備段階で欠かせない10の要素を簡単に解説します。
やり方さえわかれば、あとはちょっと勇気を出すだけ。
この記事が、自分探しの旅のきっかけになれば幸いです。
目次
1. 目的とスタイル
1-1. 自分探しをする理由を考えてみる
1-2. 時代とともに変わったバックパッカーのスタイル
2. 期間と行き先
2-1. 予算4万円から可能な1週間の海外旅行
2-2. ランキングで行き先を決める
3. パスポート
3-1. パスポートの取得方法
3-2. パスポートは常に携帯が基本
4. 航空券
4-1. LCCをうまく使い分ける
4-2. 30万円台から手配できる世界一周航空券
5. ビザと海外旅行保険
5-1. オンラインも増えているビザの取得方法
5-2. 3カ月以内であればクレジットの付帯保険を使う
6. 荷物と服装
6-1. 荷物は国内2~3泊程度の身軽な旅を
6-2. 軽くて乾きやすい服装が基本
7. スマホとカメラ
7-1. Wi-Fiの使い方
7-2. コンパクトカメラの選び方
8. 宿泊
8-1. ゲストハウスの選び方
8-2. 現地の人の家に宿泊する方法
9. 言葉
9-1. アプリを活用する
9-2. 言葉を勉強してその国を知る
10. おカネ
10-1. おカネは3つに分けて管理する
10-2. 目的地によってもっていく通貨を変える
1. 目的とスタイル
旅をするのに理由は必要ありません。
しかし、自分探しの旅には「自分探し」という目的があります。
そして自分探しの旅には、「バックパッカー」というスタイルのひとり旅が最適です。
自分探しの旅の計画は、目的をはっきりさせることと、どんなスタイルで旅をするのか決めることからはじめます。
何も決めずに出る旅というのも貴重な体験となりますが、はじめての海外旅行であればしっかりと計画を立てて、自分探しの準備をはじめるべきです。
1-1. 自分探しをする理由を考えてみる
自分探しの旅をする理由は何でもいいのですが、自分は何を求めて旅に出るのか明確にしましょう。
ただ、悶々とした気持ちで旅に出るよりも、テーマをもっていると得るものが多くなるはずです。
大学には入ったけれど、何をしたらいいのか見えない。
どこに向かって進めばいいのかわからない。
人生の岐路に立っていて、道を選ばなければいけない。
こういうタイミングで答えを求めている人もいるでしょうし、仕事で疲れた頭をリフレッシュして自分を取り戻したい、広い世界を見て自分なりの生き方を見直したい、という自分探しだってあります。
1-2. 時代とともに変わったバックパッカーのスタイル
今から約50年前となる1964年、東京オリンピックが開催された年に、日本人の海外渡航が自由化されました。
この50年で、バックパッカーの旅もすいぶんと進化しています。
リュック(バックパック)が象徴であるバックパッカーとは、貧乏旅行者という意味ではなく、ひとりで身軽に自由な旅をする旅人のことです。
ヒッピームーブメントがあった1970年代には、長髪とヒゲにラフな服装のバックパッカーが世界中からインドやバリ島に集まりました。
日本でも「地球の歩き方」が、学生の旅行を後押ししました。
1980年代から1990年代にかけては、合法ではなかった格安航空券が流通をはじめて、バックパッカーたちはタイのバンコクを起点として世界を旅します。
そして2000年代になると、LCC(格安航空会社)の登場とインターネットの普及によって、バックパッカーのハードルがぐっと下がりました。
2010年代後半となった今では、誰もがネットで現地の情報を知り、SNSで旅人同士がつながる時代となっています。
2. 期間と行き先
はじめてのひとり旅であったら、1週間くらいでひとつの国のいくつかの街を巡るのがベスト。
自由になる時間が3日しかとれないときは、2泊3日で韓国や台湾へ行く「弾丸ひとり旅」もおススメです。
2-1. 予算4万円から可能な1週間の海外旅行
バックパッカーに人気がある3カ国を1週間旅した場合の平均予算をまとめてみました。
予想以上に安上がりだと思いませんか?
① タイ(39000円~)
航空券代 25000円~(成田-バンコク)
1日の費用 約2000円
(宿泊費-400~800円、食費-500~1000円、その他-500~1000円)
② カンボジア(56000円~)
航空券代 42000円~(成田-シェムリアップ)
1日の費用 約2000円
(宿泊費-500~800円、食費-300~1000円、その他-500~1000円)
③ インド(65000円~)
航空券代 57000円~(成田-ニューデリー)
1日の費用 約1500円
(宿泊費-200~500円、食費-100~300円、その他-500~1000円)
2-2. ランキングで行き先を決める
上にあげた3カ国以外に、モロッコ、オーストラリア、スペイン、アメリカなどもバックパッカーに人気のある国です。
行き先が決まっていなければ、いろいろなランキングを参考にして決めるといいでしょう。
世界の絶景ランキング
①ウユニ塩湖(ボリビア)
②グランドキャニオン(アメリカ)
③オーロラ(カナダ、ノルウェーなど)
食事が美味しい外国ランキング
①タイ
②イタリア
③ペルー
治安がよい街ランキング
①レイキャビク(アイスランド)
②ゴールドコースト(オーストラリア)
③バンクーバー(カナダ)
3. パスポート
準備の第1歩は、パスポート(旅券)を取得することです。
パスポートは国際的な身分証明ですから、なければ外国に入国できません。
パスポートは5年有効と10年有効の2種類があり、20歳未満は5年有効のパスポートしか申請できません。
3-1. パスポートの取得方法
① 必要な書類をそろえる
一般旅券発給申請書、戸籍謄本または抄本、住民票の写し、写真、運転免許証や保険証など
② 申請する
住民登録をしている都道府県のパスポート申請窓口で申請
③ 受けとる
通常は1週間程度で受領可能、申請時に受け取った受領証と収入印紙が必要
詳細は外務省のホームページで確認してください。
3-2. パスポートは常に携帯が基本
ホテルのチェックインにはじまり、レンタカーや買い物など、外でパスポートを提示する機会は多く、紛失してしまうと日本大使館や日本領事館に行って再発行を申請することになるので、大切にしなければいけません。
パスポートセンターで売っている首掛け式や腰巻式などのパスポート入れに入れて、常時携帯するのがいいでしょう。
場所によってはコピーの提示でもいいところがあるので、コピーを2~3枚用意しておくと便利です。
4. 航空券
旅の費用の中で大きな割合を占めるのが航空券代。
ここをいかに安く抑えるかで、総予算が変わってきます。
4-1. LCCをうまく使い分ける
今は、LCCが一番安いとは限らない時代になっています。
場合によっては既存の航空会社のほうが安い場合もあるのです。
直行便は、「スカイスキャナー」「トラベルコちゃん」「momondo」などのサイトで検索、乗り継ぎ便は航空会社に問い合わせるのが基本。
乗り継ぎや乗り換えは、まち時間が長いと安くなるなど選び方が難しいので、航空会社に問い合わせたほうが安全です。
4-2. 30万円台から手配できる世界一周航空券
旅に少し慣れた人だったら、何カ国かを周りながら自分探しをする旅も貴重な体験となるでしょう。
世界一周航空券は、出発地から到着地までの航空券が、セットになって綴られている航空券です。
ワンワールド、スターアライアンス、スカイチームといった航空会社グループごとに人気の航空券があり、エコノミーであれば30万円台から購入可能。
もちろん、世界一周航空券を利用せずにLCCで自由に旅することもできますが、直前の予約だと高くなったり、予約がいっぱいであったりすることがデメリットです。
5. ビザと海外旅行保険
パスポートと航空券の次に準備しなければいけないのが、ビザと保険です。
5-1. オンラインも増えているビザの取得方法
ビザとは入国許可証のこと。
パスポートは日本国が発行する身分証明証であるのに対し、ビザは渡航先の国の大使館が発行します。
日本のパスポートは世界最強とされており、多くの国にビザなしで入国することができます。
現在は、大使館に出向かなくても、オンラインでビザを取得できる国も増えています。
5-2. 3カ月以内であればクレジットの付帯保険を使う
ケガや事故、盗難などのアクシデントを補償してくれる海外旅行保険は必ず入っておく必要があります。
クレジットカードを契約していれば、補償の範囲はそれほど広くありませんが90日間適応される海外旅行保険が付随しています。
事前に必ず条件の確認をしておきましょう。
6. 荷物と服装
バックパッカーの基本は、自分の足で歩くこと。
荷物はできるだけ軽くしてフットワークを優先します。
6-1. 荷物は国内2~3泊程度の身軽な旅を
ベテランのバックパッカーは、1年以上の長旅でも2~3泊程度の国内旅行くらいの荷物だといわれます。
もっていく荷物は最小限にまとめますが、大事なのは丈夫なバックパックで、男性にはフレーム付きの60リットルクラス、女性には30リットルクラスが人気です。
荷物のポイントには次のようなことがあります。
・衣類や洗面用具はどこでも買えるので最小限でOK
・タオルはすぐに乾く「スイムタオル」を用意
・S字フックと洗濯ものを干すロープは必須アイテム
・サングラスは砂埃対策にもなるので必須アイテム
6-2. 軽くて乾きやすい服装が基本
バックパッカーの間では、「ユニクロ神様」という言葉があるくらい、安価で軽くて乾きやすいものが揃っています。
男性の場合は、かさばる上に乾きにくいジーンズを避けて、綿素材のパンツがポイント、女性の場合は露出を抑えつつ軽やかなファッションがポイントです。
歩く旅であればトレッキングシューズ、暑い場所へ行くのなら軽量コンパクトなサンダルなど、足元は旅先に応じて気を使うのも大事なポイントです。
7. スマホとカメラ
インターネットが世界中で使えるようになった現在では、スマートフォンさえあれば様々な情報を入手することができます。
情報入手のカギとなるWi-Fiと、旅の記録を残す写真も、欠かせない要素です。
7-1. Wi-Fiの使い方
まず、スマホは出国時にモバイルデータ通信をオフにし、帰国までそのままにします。
モバイルデータ通信をオフにしておかないと、電話がかかってきたときに出なくても料金が発生してしまうのです。
空港やゲストハウスなどの宿泊施設では、フリーWi-Fiが提供されているところが多いので確認しましょう。
ファストフード店やカフェは、お店でパスワードを確認して利用するところが多くなっています。
長い旅の場合には、日本でWi-Fiレンタルをしていくと安心です。
7-2. コンパクトカメラの選び方
今やスマホの性能が向上して、動画も静止画もほぼ問題なく記録できますが、せっかく海外へ行くのですから、写真の画質にこだわってデジタルカメラをもっていくことをおススメします。
身軽さを第一とする自分探しの旅ですから、さすがに一眼レフを携行するのは大変です。
バックパッカーに人気があるのは、レンズが内蔵されているコンパクトデジタルカメラか、ボディもレンズもコンパクトサイズになっているミラーレスカメラです。
コンパクトカメラは1台で広角から望遠までカバーし、とくに望遠はスマホのようなデジタルズームではなくレンズが伸びる光学ズームが使えて画質がよくなるので、カメラ初心者にもおススメです。
できるだけ「F値」が小さくてレンズの明るいものを選ぶのが、画質向上のポイント。
望遠の倍率が高くなればレンズが暗くなりますから、どこまで望遠が必要になるか考えてみましょう。
8. 宿泊
ひとり旅に慣れているバックパッカーは、「ウォークイン」といって、宿泊先を現地で選ぶ人が多いのですが、初心者はインターネットで情報を仕入れて、可能であれば予約しておくと安心です。
8-1. ゲストハウスの選び方
「ゲストハウス」はバックパッカーが宿泊する安宿のことで、世界中にあります。
だいたいは、簡単なロビーとコミュニティスペースがあり、個室とドミトリー(相部屋)がある造りになってます。
多くの町にはゲストハウスが集まる「安宿街」があり、そこには安い飲食店や旅行会社なども存在します。
とにかく安く宿泊することができて、世界のバックパッカーと出会うことができる反面、ボロイ、貴重品の管理が大事、相部屋に不審者がいるかもしれない、突然パーティがはじまってうるさい、などというデメリットもあります。
今は、スマホから予約できるゲストハウスも多くなっています。
8-2. 現地の人の家に宿泊する方法
ゲストハウスやホテルに宿泊する以外の方法として、現地の人の家に泊まる旅もあります。
「Couch Surfing(カウチサーフィン)」は、泊めてくれる現地の人を探すことができるSNS。
200カ国130万人が登録しており、プロフィールなどを細かく設定して検索できるので、それほど不安はないといわれています。
現地の人と触れ合いたい、仲良くなりたいという人にはおススメです。
9. 言葉
あまり海外旅行をしたがらない人たちは、言葉が通じないことに不安を感じている人が大多数です。
英語ができなければ海外旅行はできないかといえば、決してそんなことはありません。
大事なのは、あきらめずに自分のいいたいことを伝えようとする気もち。
文章にすることはできなくても、単語の羅列とジェスチャーで、だいたいのことは伝わります。
9-1. アプリを活用する
今は誰もがスマホをもっているのですから、利用しない手はありません。
「Google翻訳」はもっとも多くの旅行者が使っている翻訳アプリです。
スマホのカメラで撮影した写真に写っている文字も翻訳することができます。
「語語ナビ」はオンライン英和・和英辞書アプリで、ダウンロードしておけばオフラインのときでも辞書が使用可能。
このふたつは、海外旅行の必須アプリといわれています。
9-2. 言葉を勉強してその国を知る
自分探しの旅をきっかけとして、この際、英会話を勉強してみようというのも、いいスキルアップにつながるでしょう。
これもスマホでできるものが人気です。
インターネットラジオ「Podcast」で聴くことができる「English Workout」は、英語キュレーターのセレンとネイティブ講師BJによる英語バラエティーで、通勤時間などに聴いて英語を学ぶことができます。
また、有料の「DMM英会話」は、世界60カ国の講師によるマンツーマンレッスンがオンラインで受けられます。
10. おカネ
自分探しの旅に必要なおカネをどうやってもっていくかということも、大事なポイントです。
10-1. おカネは3つに分けて管理する
現金だけで旅をするのは危険。
できるだけ多額の現金をもち歩かないほうが安心です。
旅慣れた人は、3つに分けて旅の費用を管理します。
現金が1/3、それとクレジットカードと、現地のATMで使用できる国際デビットカードです。
デビットカードは預金口座に入っている額しか使えないので、おカネを使いすぎる心配がありません。
クレジットカードは、スキミングで情報を読み取られる恐れがあるので、怪しい店では使わないようにしましょう。
10-2. 目的地によってもっていく通貨を変える
現金は、行き先が東アジアや東南アジアであれば日本円で問題ありません。
米ドルとユーロ以外を日本の空港で両替するのは、レートが悪いので現地で両替したほうがいいのです。
主要都市や観光地であれば、銀行、両替商で簡単に両替できます。
カンボジアやラオスは、米ドルを少額用意していったほうが便利。
インド以西であれば日本円より米ドルのほうがレートがよくなるので、米ドルに両替していきます。
ヨーロッパであればもちろんユーロ、アメリカや中南米は米ドルが有利です。
まとめ
自分探しの旅の計画と準備に欠かせないポイントを、ざっとピックアップしてみました。
現代では、リタイアした高齢者がバックパッカーとして自分探しの旅に出ることも多くなっています。
しかし、できるだけ若いうちに広い世界を自分の目で見て、日本と世界の違いを感じて、地球規模で物事を考えられる思考をもつことができると、人生は豊かになります。
安心な国内旅行で自分探しの旅というのもいいでしょうが、できれば1週間から10日の休みをつくって、海外に飛び出してみましょう。
「探せる自分」の幅が、比較にならないほど大きくなります。
【参考資料】
・『世界でいちばん旅が好きな会社がつくった ひとり旅完全ガイド』 TABIPPO いろは出版 2017年
・『最新改訂版 バックパッカーズ読本』 旅行情報研究会+『格安航空券ガイド』編集部 編 双葉社 2017年