シャープなフェイスラインは、誰もが望むものですよね?
顔全体のむくみやたるみ、二重アゴ、ほうれい線などは、多くの女性の悩みの種です。
こうした症状による顔の肥大化は、40代からはじまるとされていましたが、近年は30代から顕著になっています。
そこで、人気を集めているのが、様々な「顔痩せグッズ」です。
暇さえあれば、美顔ローラーを手にする女性も増えています。
しかし今、顔痩せグッズの効果が疑問視されています。
かえって、肌に悪影響を与えてしまうものもあるといわれているのです。
ここでは、そうした顔痩せグッズの効果を検証するために、タイプ別グッズの目的をはじめとして、顔痩せに関する10の真実をまとめました。
小顔美人を目指す人は、ぜひ読んで参考にしてください。
目次
1. 顔痩せグッズの種類と目的
1-1. かっさプレート
1-2. フェイシャルフィットネス
1-3. サポーター
1-4. サウナマスク
1-5. マウスピース
1-6. 美顔ローラー
1. 顔痩せグッズの種類と目的
顔痩せグッズは、低価格のものもそろっていて手軽に試すことができるので、30代40代の女性を中心に使用者が増えています。
Amazonや楽天などのショッピングサイトには、たくさんの口コミやレビューが掲載されており、使用感やコストパフォーマンスの評価などを見ることができます。
しかし、これらはあくまでも一般消費者の感想であり、美容医療や皮膚科学などの見地から出たものではありません。
ここで、主な顔痩せグッズを6種類に分類して、その目的や科学的な効果をまとめてみましょう。
1-1. かっさプレート
「かっさ」とは、「刮莎(かっさ)板」という道具で皮膚をこすり、血液やリンパの流れを促す中国の伝統的な民間療法です。
日本でも、かっさ療法に由来するかっさマッサージがよく知られています。
そのかっさマッサージに使用される専用のプレートが「かっさプレート」です。
かっさマッサージは全身に対して行われますが、顔に行う美容かっさには、リフトアップ効果や小顔効果があるといわれています。
自分でかっさマッサージを行うために購入するかっさプレートは、水牛や黒牛の角でつくれられたもの、黒曜石や水晶などの天然石でつくられたものなど自然素材以外に、チタンや特殊な鉱石、磁器などを加工したものもあります。
形は、羽根型や長方形、曲線にこだわった特殊な形状、ツボ刺激もできる棒状のものなどが、1000円前後から用意されています。
かっさプレートは、固まっている顔の筋肉をほぐし、ツボを刺激することによって、筋肉の弾力を回復し、血行を改善するのが目的です。
使用方法によって効果がまったく違ってきますから、まず肌を傷めない効果的な使い方をマスターすることが必要になります。
1-2. フェイシャルフィットネス
中央部のマウスピースを口にくわえて、両側に伸びるブレードを上下に揺らす「フェイシャルフィットネス」と称されるグッズは、有名サッカー選手が宣伝して人気を博しました。
表情筋のトレーニングが目的で、1回30秒を1日2回行えばOKという、アクティブな性質の割には誰にでも使いやすいという特徴があります。
効果が出たというレビューがある一方で、顔が筋肉痛になった、負荷の調節が難しいといった報告もあり、首やアゴを傷める可能性も指摘されています。
1-3. サポーター
「小顔サポーター」や「美顔ベルト」などのアイテムは、二重アゴや、口まわりの矯正が目的のコルセットです。
頭部からアゴにかけて装着するものが多く、口まで覆うものもあります。
また、目尻のケアを目的とした、アイマスクのような形状をしたものもあります。
締め付けることで矯正するものなので、使用感の反応には賛否あり、気分が悪くなったり、血行不良を招いてしまうケースも見受けられるので、長時間の使用は避けるようにアナウンスされています。
1-4. サウナマスク
ゲルマニウムやアルミなどを練り込んだ繊維を使用して顔全体を覆い、発汗作用を促すのがサウナマスクです。
矯正を目的とした、サポーター機能を兼ねるものもあります。
サウナのもっとも大きな効果は、体を温めることにより、交感神経の働きを活性化して血流をよくすることにあります。
汗をかくことによって疲労回復するわけではありません。
サウナマスクは、汗をかくことによってデトックス効果を狙うものではなく、温めることによって血流を改善することが正しい目的です。
サウナマスクでかいた汗が毛穴に与える影響を考えると、必ずしも肌によい影響を与えるとはいえません。
1-5. マウスピース
フェイシャルフィットネスと同様に、表情筋のトレーニングを目的として、口にはさんで使用するのがマウスピースです。
「くわえるだけのエクササイズ」などといわれる、ただくわえるだけのものから、口を開け締めするもの、「い」や「う」の発音をするように口のまわりの筋肉を動かすものまで、いろいろなタイプがあります。
唇の形をしたユニークな形状で、遊び感覚を誘うものもあり、もっとも気軽に試すことができる顔痩せグッズです。
1-6. 美顔ローラー
有名人やモデルなどが使ったことから美容アイテムとして流行した美顔ローラーは、Y字ボールタイプとスティックタイプに大別されます。
Y字ボールタイプは小顔効果、スティックタイプは美肌効果を狙ったものが多くなっており、どちらも表情筋のマッサージと、血流やリンパの流れの改善を目的としてます。
価格は1000円程度のものから数万円もするものまでそろっており、3000円前後のものがもっとも売れています。
防水性や微弱電流を発生させるソーラーシステムをもったものが人気で、高価なものには、可動式のヘッド部分や、ローラー表面の光沢処理などが施されています。
かっさプレートと同様に肌をこすることになるので、過度な使用で角層を傷めてしまい、肌トラブルを引き起こしてしまう女性が増えています。
2. 顔太りの原因は表情筋の衰えと異常発達
二重アゴの主な原因は、顔の筋肉が衰えて皮膚がたるむことです。
また、エラ張りの原因は、くいしばりによってアゴ関節まわりの筋肉が異常に発達してしまうことです。
顔には「表情筋」と呼ばれる24種類の筋肉があり、皮膚を内側から支え、目や口などの動きを司っています。
筋肉が衰えたり、こり固まってしまったりすると弾力性を失い、皮膚がたるんで下がってしまいます。
筋肉を動かさなくなるために、血流も悪くなってむくみも発生します。
逆に働き過ぎの筋肉は、異常に発達して肥大していきます。
体は痩せていても顔がだけが太ってしまうのは、こうした表情筋の状態に原因があり、たるみやむくみだけでなく、シワやくすみといった肌トラブルも併発するリスクが高まります。
3. 顔太りが30代からはじまる理由
かつては、顔太りを起こす年齢は40代からというのが一般的な見解で、老化の一種ととらえられていました。
ところが近年は、30代で症状を起こす人が多くなっているのです。
この原因は、「姿勢の悪化」と「咀嚼回数の減少」にあるといわれています。
姿勢を悪化させた最も大きな要因は、スマートフォンやパソコンの普及です。
携帯電話やスマートフォンでメールを打ったり読んだりするときは、無意識のうちに首を前に垂れる姿勢をとりがちです。
同じ姿勢や表情を続けると、使っていない筋肉はどんどん衰えて固くなり、シワやたるみが目立つようになります。
さらに、長時間にわたるパソコン作業では、肩や首の筋肉が緊張して血行不良を起こす「こり」を発症します。
肩や首の筋肉がこってしまうと、顔の表情筋に十分な血液が流れていかなくなり、酸素が不足して、老廃物が筋肉内に蓄積し、くすみやむくみの原因になるのです。
「咀嚼」とはものを噛むことです。
くいしばりの習慣化によって、アゴまわりの筋肉を緊張させたり異常発達させてしまう人がいることは解説しました。
しかし、一般的には、やわらかいものばかり食べてあまりものを噛まなくなったことで、アゴまわりの筋肉が衰えてしまう人が増えているのです。
4. 骨盤がゆがむと顔もゆがむ
姿勢の悪化は、表情筋の酸素不足や衰えを招くばかりでなく、顔をゆがませる原因となって顔太りを助長してしまいます。
猫背になると、背骨のS字カーブに異常をきたし、骨盤にも影響を及ぼします。
本来は地面に対して垂直を保っている骨盤が傾いてしまうと、全身に影響が出てきます。
顔も例外ではありません。
骨盤のゆがみによって左右の脚の長さに差が生じると、短くなっている脚のほうに目線が傾きます。
そうすると、無意識のうちに視線の水平を保とうとして、顔をゆがませてしまうのです。
5. 表情筋をほぐすと美肌効果もある
表情筋をほぐして弾力性を取り戻すことにより、美肌効果も期待できるので、小顔美人を目指す人には不可欠なケアです。
皮膚のたるみが改善されて顔が引き締まる結果、シワが伸ばされて目立たなくなります。
表情筋が弾力性を取り戻すと血行がよくなって、皮膚の下に蓄積していた老廃物や水分が排出されるので、くすみやむくみを解消します。
血流が改善すると、肌の新陳代謝も高まるので、あたらしい皮膚細胞がどんどん生まれて綺麗な肌をつくり出します。
人間の肌は加齢によって毛穴が目立つようになりますが、これは皮膚がたるんで毛穴を引っ張って広げてしまうことが主な原因です。
表情筋をほぐすことで、皮膚が引き締まり、毛穴を目立たなくすることもできます。
6. 顔太りと関係が深い8種の表情筋
顔は24種類の表情筋が皮膚の土台となって、様々な表情をつくり出します。
とくに顔太りに影響するのは、8つの筋肉です。
エラ張りの原因である「咬筋」と「側頭筋」は、「咀嚼筋」と呼ばれる、噛むために必要な筋肉に含まれます。
6-1. 眼輪筋
目の周囲にあって目を開閉する働きがあり、弾力を失うと目尻のシワや上まぶたのたるみを引き起こします。
6-2. 大頬骨筋
目尻から口角にかけて伸びており、弾力を失うと口角が下がってしまいます。
6-3. 口輪筋
口の周囲にあって、唇を動かす働きをもち、弾力を失うと口元のたるみを引き起こします。
6-4. オトガイ筋
口から下アゴに伸びており、弾力を失うとアゴのラインがたるみ、二重アゴの原因になります。
6-5. 小頬骨筋
大頬骨筋の上部にあって頬や上唇を引き上げており、弾力を失うとほうれい線の原因になります。
6-6. 笑筋
口角から外側に伸びて口角を横に広げる働きがあり、弾力を失うと頬がたるみます。
6-7. 側頭筋
耳の上からこめかみあたりにあって下アゴを持ち上げる働きがあり、弾力を失うと顔全体の輪郭がたるみます。
6-8. 咬筋
上下の歯をかみ合わせる働きがあり、異常発達するとエラ張りの状態になります。
7. 8つのリガメントが表情筋を支えている
日本語で「支持靱帯」と呼ばれる「リガメント」は、皮膚と筋肉と骨をつないで肌の弾力をささえている繊維状の束です。
顔のリガメントに弾力性があると表情筋や肌のハリが保たれており、加齢などで弾力が低下すると、皮膚と表情筋と骨を支える力が弱まるので、たるみの原因になります。
顔痩せに関係する主なリガメントは、8カ所にあります。
7-1. 眉のリガメント
まぶたを支えているので、目元に影響を与えます。
7-2. こめかみのリガメント
顔の上半分に影響が大きく、ほうれい線にも影響します。
7-3. 目尻のリガメント
目尻の周辺を支えていて、目尻のたるみに影響します。
7-4. 目の下のリガメント
目の下の頬骨のラインにあって下まぶたを支えており、目の下にたるみに影響します。
7-5. 頬のリガメント
頬を支えており、ほうれい線の深さに影響します。
7-6. エラのリガメント
耳下のエラ部分にあり、フェイスラインのたるみに影響します。
7-7. 口元のリガメント
弾力が低下すると口角が下がって、口元のたるみにつながります。
7-8. 下アゴのリガメント
口元のたるみや、口角から下に伸びるマリオネットラインに影響します。
8. 即効性のある頬のリガメント
顔にある8つのリガメントの中でも、頬のたるみの引き上げ効果が高く、ほうれい線の深さに影響するのが頬のリガメントです。
頬のリガメントは見つけやすいポイントで、即効性がありますから、最初のケアに最適です。
硬くなってしまったリガメントは、周辺の表情筋といっしょにやさしくほぐしてケアします。
指で肌を引き上げたときに顔がリフトアップするポイントがリガメントです。
鏡を見ながら目の下の頬骨のラインを中指の腹でなぞって確認し、こめかみ方向に引き上げたときに、ほうれい線が目立たなくなるところが頬リガメントのポイントです。
効果的なケア方法は、顔全体に保湿性のあるクリームを塗って滑りをよくしてから、メイクブラシなどのスティック部を使って行います。
① みつけたポイントにスティックの側面をあてて、先が小鼻のキワにくるようにして、小刻みに15秒間、上下に動かします。
② 反対側も同様に行います。
③ 次に鼻の穴を広げないように外側から内側にむけて、左右それぞれ、スティックを小刻みに15秒間動かします。
④ スティックの先を斜め下から小鼻のキワにあてて、左右それぞれ、軽く押し上げるように小刻みに15秒間動かします。
⑤ そのまま真横から小鼻のキワに向けて、左右それぞれ、軽く押すように小刻みに15秒間動かします。
⑥ 同様に斜め上から小鼻のキワに向けて、左右それぞれ、軽く押すように小刻みに15秒間動かします。
⑦ 最後に手を握って人差し指の第2関節を小鼻のキワにあてたら、頬骨のラインに沿ってくるくるとやさしく回しながら外側に動かします。
効果が実感出来たら、目元、口元などのリガメントも手を使ってやさしくほぐしてみましょう。
9. むくみを改善するリンパマッサージ
リガメントをほぐして表情筋に弾力を与えたら、リンパマッサージをプラスすると顔痩せに相乗効果があります。
リンパは、体内の老廃物や余分な水分を排出する機能と免疫機能をもち、流れが滞るとむくみの原因になって、顔太りを起こします。
リンパの流れは、指などの末端からワキの下や脚の付け根などのリンパ節を経て、鎖骨下リンパ節で静脈に合流する一方通行です。
ですから、リンパのマッサージは、鎖骨にむかって流すことが重要です。
耳の下からフェイスラインに沿って鎖骨に流す、目頭から頬骨を経てこめかみから鎖骨へ流す、上まぶたからこめかみを経て鎖骨に流すというように、常に鎖骨への一歩通行を意識してやさしくマッサージしてください。
小顔に効くマッサージについては「すぐできる小顔マッサージで顔の悩みを解消」の記事もぜひ参考にしてみてください。
10. 顔痩せに特別な道具は必要ない
顔痩せのポイントを整理すると、次のようになります。
① 姿勢を良くすること
② よく噛んで食べること
③ 表情筋やリガメントをほぐして弾力を維持すること
④ 血液やリンパの流れを健全に保つこと
ここで、冒頭で紹介した顔痩せグッズをあらためて検証してみましょう。
顔痩せという目的のために肌トラブルを起こしてしまっては、小顔美人への道は遠のいてしまいます。
よって、角層を傷めてしまうリスクが高い「かっさプレート」や「美顔ローラー」は、安全なグッズとはいえません。
サポーターや矯正ベルトは、顔の血流を阻害してしまうおそれがあるので、これも安全ではありません。
サウナマスクなどの発汗グッズは、温めて血行をよくする多少の効果は望めても、顔に汗をかくことが肌によい影響を与えません。
さらに、表情筋は鍛えるのではなくて、ほぐして弾力を回復させ、血流を改善しなければいけないのですから、表情筋を鍛えるグッズは的外れといわざるを得ません。
顔痩せに必要な4つのポイントに照らし合わせてみると、顔痩せグッズは必要ないばかりでなく、使い方によっては逆効果になってしまうことがわかります。
姿勢をよくすることや、よく噛んで食べることに道具は必要ありません。
表情筋やリガメントをほぐしたり、リンパのマッサージをしたりするのは、特例としてメイクブラシの柄を使う程度で、基本的には自分の手で行うほうが、肌にも筋肉にもやさしいタッチが可能なのです。
まとめ
顔は服などで隠すことができない部位で、もっとも周囲の視線を集めます。
フェイスラインがゆるんだり、たるんできたりすると、とても目立つので、顔痩せグッズにたよってなんとか改善したいと思うものです。
しかし、それだけに顔が痩せると、周囲にあたえる印象はガラッと変わります。
体は多少ゆるんでいたとしても、シャープなフェイスラインで引き締まった顔があれば、イメージアップが図れます。
正しく道具を使って、楽しみながら小顔美人を目指すという方法も悪くはありませんが、美容医療や皮膚科学の見解では、顔痩せのセルフケアに特別なグッズは必要ないのです。
これを機会に顔痩せケアを見直して、小顔を手に入れてください。
【参考資料】
・『顔だけ痩せる技術』 メディアファクトリー 2012年
・『魔法の表情筋エステ&若見せメイク』 成美堂出版 2017年
・『こぶしカッサで小顔美人』 学研プラス 2017年