自分を好きになりたいという気持ちは、誰もが持っているものだと思います。
この記事に興味を持ってくださった方はおそらく、その気持ちに気付いている人です。そしてほとんどの人は、その気持ちに気付かないか目をそらしているかなのではないでしょうか。
「自分のことが大好き!!」と声を大にして言える人はそう多くないと思いますし、いるとしたらもしかして少々自己中心的で自分勝手な人かも…と想像してしまいます。
ですから、今は自分のことを好きになれなくても、「自分を好きになりたい」という気持ちを大切にしながら少しずつ、自分と向き合ったり自分を認めてあげたりしてみませんか。
自分にやる気があるときに是非、「自分を好きになる方法」を試してみてください。いきなり劇的な効果が現れて「自分大好き!」になることはなくても、何度かその行動を取るうちに自分の中で何かが変わりはじめるはずです。
変わり始めた自分や行動を取った自分を、前より少しでも好きになれたら、そこから好循環がはじまります。
そして自分を好きになれない原因を探ってみましょう。心当たりがあるものが見つかったら、その原因のタイプ別に自分を好きになるための具体的方法を読んでみてください。
「少し面倒だな」と思うようなことが目の前に現れたとき、「これをする自分としない自分、どっちが好き?」と無意識のうちに考えて、自分を好きになれる行動を選ぶようになっていきます。
「自分を好きになれる行動をする」→「自分を好きになる」→「さらに自分を好きになれる行動が取れるようになる」→「もっと自分を好きになる」
そんな好循環のはじめの一歩を踏み出してみましょう!
目次
0. まずは自分について書きだしてみます
1. 誰にでも効果のある自分を好きになる方法
2. 「気にしない」ということができるようになる方法
3. 自分を好きになれない原因を知る
4. タイプ別自分を好きになるための具体的方法
5. それでもどうしようもないときにはプロに頼る
6. まとめ:いつもよりちょっとだけ頑張ることが好循環を生みます
0. まずは自分の適性を知ることから
紙を縦半分に折って真ん中にラインをつけます。左側に自分の好きなところを、右側には自分の嫌いなところ(直したいところ)を箇条書きにしていきます。
少々面倒に感じても是非やってみてください。書き出すことで自分のことをより理解できるようになるはずです。
ここで注目したいのは右側に書いた、自分の「直したいところ」です。実は、この「直したいところ」にこだわることが自分を好きになれない原因になってしまうからです。
「直したいと思っていてもなかなか直らない」「やりたいと思っているのにそのことに対してはどうしても重い腰が上がらない」というのは、そのことに対して「適性がない」とも言えます。
右側に箇条書きしたものを見ながら、過去の自分と照らし合わせてみてください。適性がないことに対して努力を続けることが自分を好きになれない原因だとしたら、自分の適性を知ることが自分を好きになることにつながるはずです。
「小さな頃からずっとそうだった」「直したつもりになってもいつの間にか元に戻っていた」というものに関しては、遺伝が関係していることもあるかもしれません。そうしたことは自分に適性がないことです。これから先、あまりこだわらずに自分の個性のひとつとしてそのままにしておく方が良いと言えます。
一方「昔からずっとできていたことなのに、最近できていない」「忙しくなったからできなくなってしまった」「あることをきっかけにできなくなった」などということであれば適性がないとは言えないかもしれませんので努力することで自分を好きになるきっかけになり得るでしょう。
今人気のある女性芸人といわれる人のほとんどは、「自分の直したいところ」が売りになっていると言えばわかりやすいでしょうか。その部分は「自分の個性」としてそのままにして「明るい」「面白い」などの自分が好きな部分をさらに磨くことで自分を好きになることができるようになります。
1. 誰にでも効果のある自分を好きになる方法
1-1. 良い感情を強化する
「嬉しい」「楽しい」などの感情や、「充実感」「達成感」などの感情を強化することで自分を好きになることができます。
人間は、意識しないでいると悪い感情は何度も反芻して強化してしまうのに、良い感情はそれほど思い出さずに忘れていくのだそうです。これは、自分の身を守るための本能なので仕方のないことですが、心がけで良い感情を強化することはできます。
毎日寝る前に「今日いちばん良かったことは?」と自分に問いかけてみましょう。あるいは「これから何が楽しみ?」と未来のことでもかまいません。
そしてその出来事を思い出すだけではなく、そのときの感情をもう一度味わってください。良いことがいくつもあったなら、もちろんいくつでも思い出して、良い感情を再現します。
これから先のことも同様に、楽しい、ウキウキするといった感情を想像して体感します。
アメリカの臨床心理学者ジョージ・ウェインバーグは「行動は感情がつくる」と言い、こうした良い感情を反芻して強化することで、その良い感情を求めてまた、良い行動を取るという好循環がはじまると言います。
寝る前ではなくても、時間があればいつでも「良かったこと・楽しみなこと」を思い出して良い感情を強化しましょう。
1-2. 深く考えすぎることにストップをかける
起こる出来事に対して深く考えすぎることをやめましょう。
人はものを考えるとき、「自動思考」があると精神科医の和田秀樹さんは言います。自動思考は考え方の癖のようなものです。
例えば、ある日上司が不機嫌だったとしましょう。
「なんだか今日は部長、不機嫌だなあ」
↓
「不機嫌な人がいると職場の空気が悪くなるよね」
↓
「特に私に対して冷たいみたい」
↓
「そうか、先週の私のミスのことをまだ怒っているんだ」
↓
「もう済んだことだし、ちゃんと処理だってしたのに」
↓
「部長ってそういうところ、しつこいんだよね」
↓
「もう一回謝っておいた方がいいのかな」
↓
「何か部長がご機嫌になるようなこと言った方がいいかも…」
このとき、現実に起こっていることはただ「部長が不機嫌」というだけのことですよね。それに対して何か考えてしまうとどうしても、悪い方向へ向かってしまうのです。
考え方の癖を直すのは難しく、時間もかかるそうです。ですから、考えないようにする癖をつけること。起きた出来事が自分に直接関係のないことならなおさら、スルーする癖をつけていきましょう。
1-3. 行動日記をつける
自分の取った行動の日記を付けることで「自分を好きになる」好循環を作り出すことができます。
自分の取った行動に対する良い感情を強化するために、書くということはとても有効です。
書く内容は、その日一日の中で自分が良かったと思えたこと、感謝できることなどで、どんなシチュエーションでそうした感情になったのか自分の取った行動を具体的に書いておきます。
「思い切って親切をしたら感謝されて嬉しかった」ということを書いていくうちに、それまでは「余計なお世話かもしれないし…」と考えてしまい行動に移せなかった自分が案外たやすくそうした行動をとれるようになっていきます。
1-4. 「自分探し」「自分磨き」をやめる
「自分探し」「自分磨き」をやめることで自分を好きになれると心理カウンセラーの心屋仁之助さんは言います。
今の自分に足りないものがあると思っているから「自分探し」や「自分磨き」をするのであって、実は足りていると知ることで満たされるのだとか。
「すでに足りている、どうせ愛されている」と思うことで今の自分を認められるようになるということです。
「自分を好きになるって、素晴らしい自分になることじゃないんです」と心屋さんは言います。
2. 「気にしない」ということができるようになる方法
自分のことを好きになれないという人は、すこし敏感な人が多いようです。
「他人が自分をどう見ているか」や「自分は好かれているか(嫌われていないか)」などが気になっていると、自分のことを好きになれません。
身の回りの些細なことを「気にしない」ためにできることをご紹介しましょう。
2-1. 自分が好きなものに集中する
なにか気になることがあるときには、自分が好きなものに集中しましょう。
自分が好きなこと、好きなもの、やりたいことを本気でやっているときには、「自分」のことはあまり気にならないものです。
他人が「自分」をどう見ているか、どう感じているか。「自分」は自分のことが好きなのか。
そんなふうに「自分」が気になるのは目の前のことに集中していないときです。だとしたら、悩みはじめたらすぐに、自分が好きなものに集中すること。
好きなアーティストの曲を聴く、小説を読む、大声で歌う、ダンスをする…すぐにできることがきっとあるはずです。
2-2. 「人の言動にはそれほど意味がない」と考える
人が何気なく口にした言葉や、なんとなく取った行動にはそれほど深い意味はないということを心に刻みつけましょう。
「あの人はこう言ったけれど、本当はこういう意味なのかも」と、相手の言葉の裏側を考えていたらキリがありません。「空気を読む」といった言葉はありますが、あまり気にする必要はないと思います。
人の言動を疑い始めたら何を信じたらいいのかわからなくなってしまいますよ。
言われた言葉はそのまま受け止め、受け止めるのが嫌な言葉なら受け流しましょう。嫌なことをされたときも、言える場面なら「やめてください」と言い、言えない場面や立場ならうまく受け流せるように行動してください。
大丈夫です。みんな、それほど深く考えて話をしたり行動したりしているわけではありませんよ。
2-3. 「みんな自分がいちばん可愛い」と理解する
誰かに嫌なことを言われたり、されたりしたときには傷つきますよね。そんな時には「みんな自分がいちばん可愛いんだな」と、ちょっと上から目線で見てみましょう。
そしてその上から目線で、自分のことも見てあげてください。
そうした上から目線、神様目線で見ればどんな人も可愛げがあると思いませんか。意地悪な人は自分を認めて欲しいんだな、人の足を引っ張る人は自分が上の立場になりたいんだな、そんなふうに見ることができれば、他人がどんな言動をしても気にならなくなってきますよ。そして、自分ことも同じように感じられるようになっていくでしょう。
結局、自分がいちばん可愛いから「自分のことを好きになりたい」のですよね。
2-4. 「自分」ではなく「社会環境」が原因と判断する
どうしても自分のことが好きになれない人の中にはトラウマがあるという人もいます。自分を責めることをやめて、社会環境が原因だと決めつけてしまっても良いと思います。
親や兄弟とうまくいっていない、会社の人たちと馴染めない、友達ができないなど、人間関係の悩みやトラブルは「自分を好きになること」を邪魔します。
だからといって、自分を押し殺してまで他人に合わせる必要はありませんし、親や兄弟だからと仲良くする必要もありません。
「環境によってそうなっただけ。自分のせいではない」と判断することで楽になれるかもしれません。ただし、環境や特定の人を妬んだり恨んだりするのは無駄です。
ただ単純に「自分を好きになれなかったのは自分のせいだけではなく環境のせいもあった」と判断することです。あとは今いる環境を自分にできる限り良くしていくことに専念しましょう。
3. 自分を好きになれない原因を知る
自分を好きになれない原因によって、効果的な対処方法は違います。
なぜ自分を好きになれないのか、例を挙げていきますので自分がどのタイプに当てはまるか考えてみてください。いくつか複合しているかもしれませんね。
次の2章で精神科医などが勧める、タイプ別の対処方法をご紹介します。
3-1. どうしても他人と比較してしまうから
他人との比較によって自分を好きになれないということがあります。
とくに、人は自分にとって大切に感じることに関して他人と比較してしまう傾向があります。
例えば「自分は仕事で成功して尊敬されたい」という人は自分の仕事面を他人と比較しやすいですし、「早く結婚して子供を生み、幸せな家庭を築きたい」という人は恋愛や結婚の面で自分と他人を比較しやすいということです。
「仕事で成功したい人」は、若くして結婚している人に対してとくに何も感じませんし、「早く結婚したい人」は仕事で成功している人を見ても自分と比較したりはしないでしょう。
こう考えると、ある部分だけを比較することの無意味さに気付いてきませんか?
3-2. 自分の理想とは違う行動をしてしまうから
自分の理想とは違う行動をとってしまうことで、振り返ったとき自己嫌悪に陥り、自分を好きになれないということがあります。
よく使われる「なりたい自分」という言葉。自分が考える理想の自分が誰にでもあります。その理想の自分を目標にして成長するのは素晴らしいことです。
ただ、今すぐに理想の自分と同じ行動が取れないのは仕方のないことです。経験を積んで努力することで「なりたい自分」に近づいていると実感できれば、自分を好きになることはできるはずですよ。
3-3. 自分の短所を直すことができないから
自分でも自分の嫌いなところ、短所は目につきます。それを直すことができないことで自分を好きになれないこともあります。
短所には、身体の外見など見た目のことと、性格など内面のことがあります。どちらの短所もすぐに直すということは無理だと思います。
それでも、自分の短所が気になって自分のことを好きになれないとしたら、少しずつでも改善した方が良いですよね。
3-4. 自分でも理由がわからない人は
なぜだかわからないけれど自分のことがどうしても好きになれない、という人は自分でも気付かないところに原因があるかもしれません。
育った環境やこれまでのトラウマなど、原因はあるのかも知れませんが、それを追求することで自分のことを好きになれるというわけではなさそうです。
過去の不幸な出来事を振り返るより、自分の今の状態を見て何をしたらいいのか判断し、実践していく方が良い結果になるはずです。
4. タイプ別自分を好きになるための具体的方法
自分がどのような原因で「自分を好きになれない」か、なんとなくわかってきたでしょうか。
それらの原因について「考え方を変えてみましょう」と簡単にアドバイスすることはできますが、そうしたアドバイスによって実際に効果を実感することはないでしょう。
なぜなら人が「考え方」を変えるには多大な努力が必要で、しかも時間もかかるからです。
もちろん「考え方」を変えようとする努力は無駄にはなりませんから続けて欲しいと思います。
けれど、問題を解決するためには「考え方」を変えるより「行動」を変えた方が近道となりますから、まずは「行動」を変えてみてください。きっと楽になりますよ。
4-1. 他人と比較することをやめるための行動
他人との比較をやめるための行動は「環境を変えること」がもっとも効果的です。言い方を変えれば「逃げる」ことです。
他人と自分を比較することを簡単にやめることはできません。なぜならそれは「考え方」の問題だからです。
「他人との比較なんて無意味だ」「比較したところで自分は何も変わらない」とわかっていることは大切です。何度も自分に言い聞かせていくうちに、「考え方」も変わってくるからです。比較の無意味さについて自分に言い聞かせたら、納得してもしなくても、行動でできることは「環境を変える」ことです。
できるだけ比較する相手との距離を取る、目にしないように工夫するといったことで「比較してしまう」時間を物理的に短くする努力をしてみてください。職場が同じ、学校のクラスが同じなど難しい場合でも、会話を減らす、近くに行かないなどできる限り頑張って、比較してしまう相手との距離を取るようにしてみてください。
Mさんの体験談
Mさんは専業主婦になって幸せな家庭を作るのが夢で、若いうちに結婚しました。
しかし、結婚生活は続かず離婚しシングルマザーとなります。家事が大好きなMさんですが生活のために働かなくてはならなくなりました。そうなると時間が足りなくて納得のいく家事ができずに不満を抱えていました。
どうしても他人と比較してしまい、自分が苦しいのがわかっているから、幸せそうな家庭のママ友とは距離をおいていましたが、仕事関係で知り合った女性と意気投合。
しかし、しばらく付き合ってみると、彼女は仕事をしているけれど最終的にはダンナさんがいるから、頼れる人がいるから安心して働いているのだということがわかりました。
専業主婦ではない相手にさえ、自分は嫉妬してしまうのかとMさんは悩みました。しかし彼女と付き合っていたらますます自分を嫌いになってしまうと思い、彼女とも徐々に疎遠になりました。
それから6年が過ぎ、今のMさんには専業主婦の友達も、幸せな家庭の働く主婦の友達もいます。時間はかかりましたが「他人と自分を比べる」ことをやめることができたのです。
あのとき、せっかくできた友達をひとり失ったけれどそのときの自分にはそうすることがベストだったのだと思うようにしています。
4-2. 理想の自分に近づくための行動
理想の自分に近づくための行動は、「二択にして選ぶ」ことです。そして「選んだ結果の快感を味わう」ことで快感を強化していきます。
「モデルの○○さんみたいな人」が理想だとします。もっとも近づけられるのが体型や生活スタイルでしょうか。
《朝起きるときに》
「眠い。あと30分だけ寝よう」と思ったら頭の中で
①二度寝する
②頑張って起きてストレッチをする
という二択にします。
①二度寝する
→太りやすい。身だしなみの時間が取れない。→絶対後悔する
②頑張って起きてストレッチをする
→スッキリする。スタイルが良くなる。時間に余裕ができる。→○○さんに近づく
頭の中で二択にして、その結果をイメージしてからどちらかを選び、行動に移します。
このとき、自分が頑張って起きてストレッチできたら、その快感を何度も振り返ってください。出勤中の電車の中でも「今日は頑張って早起きしたから気分がいいなあ。きっと○○さんも早く起きて運動しているはず」と何度も快感を味わうのがコツです。
同じように、《ランチに何を食べるか》《夕食はヘルシーな食材で自炊するか》などを次々と二択で選ぶようにし、理想に近づける方を選んだ自分を褒めて、その快感を何度も振り返って確かめ、味わいましょう。
どうしても自分が楽をしたくて理想とは違う方を選んでしまったときには、自分を責めるのではなく「やっぱり、早起きした方が気持ち良かったな」と良い行動を取れたときの自分を思い出すことで目の前の快楽よりも、あとで「良かった」と快感を覚える行動が取れるようになっていきますよ。
4-3. 自分の短所との向き合い方
自分の短所は簡単には直せません。それはきっと誰もが経験していると思います。けれど短所と向き合う方法を変えることはできます。
ライフアップコーチのあべけいこさんは、「5つ以上の自分の短所を書きだし、それをオセロのようにひっくり返して」と言います。
・「暗い」→「物静か」
・「冷たい」→「冷静」
・「いいかげん」→「ものごとにこだわらない」
・「臆病」→「慎重」
・「人の意見に左右される」→「柔軟性がある」
短所にも良い面があるということに気づけたでしょうか。
また、心理カウンセラーの心屋仁之助さんは「今までこびりついていた『良いと信じてきたこと』のせいでそう見えているのでは?」と問いかけています。
・親(世間)の価値観
・正しさ
・常識
・(自分の決めた)限界
・(自分の決めた)劣等感
・欠乏感や罪悪感
・成功すること
・結果を残すこと
・誰かの期待
・「スゴイ」と思われたい
・「見返してやる」という気持ち
自分の心と向き合って、こうした自分の中の基準が変われば、自分が「短所」だと思っていたことも、そうではなくなるかもしれませんね。
(「自分を好きになる48のメリット」あべけいこ 鉄人社)
(「『うらやましい』と思ったときに読む本」心屋仁之助 あさ出版)
4-4. 性格の気質を考えてみる
原因ははっきりしなかったけれど、なぜか自分を好きになれないという人は、今の自分の性格、気質に目を向けてください。
あなたが自分のことを好きになれない理由が「気が弱い」「おどおどする」「動揺しやすい」といった気質からくるものだとしたら、HSP(Highly Sensitive Person)かもしれません。
HSPはどの社会にも15~20%の割合で存在する、先天的な「とても敏感な、感受性が豊かな人」のことで、1996年にアメリカの心理学者エレイン・N・アーロン博士が提唱した概念で、世界各国で大きな反響を呼びました。
HSPの人は一般社会で「生きにくさ」を感じるそうですが、そんな人たちへのアドバイスはまさに「自分を好きになる方法」と言えます。
・合わない環境に身をおきつづけるのをやめる
・プラス思考ではなく「プラスの感情」を大事にする
・「べき思考」をやめる
自分はもしかしたらHSPかもしれない、という方は参考にしてください。HSPではない方にも役立ちます。自分を好きになれるヒントがたくさん載っていますよ。
(「敏感すぎる自分を好きになれる本」長沼睦雄 青春出版社)
5. それでもどうしようもないときにはプロに頼る
いろいろ試したけれど自分を好きになれない、自分を好きになれないことが辛い、というときにはプロに頼ってみるのもひとつの方法です。
5-1. 心療内科・精神科を受診する
自分を好きになれないことがどうしてもつらい、誰かにわかって欲しい、助けて欲しいと感じていて、肉体的や精神的に日常生活に支障があるようなら、心療内科や精神科を受診しましょう。
ドクターから見れば、「こうしたら楽になりますよ」という具体的アドバイスや投薬治療など、解決への道筋が見えるかもしれません。
また、カウンセリングが必要ならそうしたアドバイスをもらえますから次にすべきこともわかり安心することでしょう。
5-2. カウンセリングを受ける
自分を好きになれないことがつらい人は、信頼できるカウンセラーに相談するのも良いでしょう。
カウンセラーによって、あなたにピッタリの「自分を好きになる方法」を教えてくれるかもしれませんし、「自分を好きにならなくてもいいんだよ」と教えてくれるかもしれません。
ただしカウンセリングを受けて行動することがストレスになっては本末転倒ですから、自分のことをよく理解してくれる相性の良いカウンセラーをみつけてくださいね。
5-3. 自己啓発の注意点
自分を好きになるために自己啓発をするのも効果があるでしょう。
自己啓発のための本はたくさんありますし、自己啓発セミナーもたくさん行われています。
カウンセリング同様、自己啓発のために行動することが辛い、ストレスだということになっては本末転倒です。
自分が心から理解して楽しめて、やってみようという気持ちがわき上がってくる方法をみつけてくださいね。
5-4. カルチャーセンター程度で解決することも多い
自分が考えているよりずっと簡単に、カルチャーセンターで習いごとをする程度のことで自分を好きになれるということもあると精神科医の香山リカさんはいいます。
カウンセリングに来ていたある女性が、徐々に生き生きしてきて元気になり、明るくなったので尋ねてみたところ、「話し方教室」に通い始めたら、会社の人とのやりとりがスムーズになり、営業成績も上がりはじめ、悩みが大幅に減ったということが実際にあったのだそうです。
本人は深刻に悩んでいても、実はちょっとした話し方の技術、間のとり方や笑顔のタイミング、会話の内容や言葉の選び方を練習しただけで解決する程度のことだったということもあるということです。
メイクレッスン、ヨガ、呼吸法など今の自分にプラスになることを試しに学んでみると良いかもしれませんね。
6. まとめ:いつもよりちょっとだけ頑張ることが好循環を生みます
この記事を書くに当たって様々な関連書籍を読んでいるうちに、「自分のことを好きになりたい」と悩むことで、さらに「自分のことが好きになれない」のかもしれないと考え始めました。
ご紹介してきた「自分を好きになる方法」を試してみて、好循環が生まれ、徐々に自分のことを好きになれるようになることを心から願っています。
心が疲れてしまいやすい現代には、「自分を許そう」「そのままですでに愛されていることに気付こう」という優しいメッセージが溢れています。
けれど私を含めて多くの人は、現状そのままの自分を許したり、愛されていることに気付いたりするよりも、「ちょっと頑張った自分」の方がわかりやすく素直に自分を好きになれるように思います。
「何が何でもやり遂げる」とか「達成するまで努力を続ける」と言われると「自分には無理」と感じてしまうかもしれませんね。
けれど、「早起きする」「健康な食事をする」といった身近な生活のなかで自分を好きになれる行動をしてみること、二択にしてちょっとだけ頑張る方を選ぶと気分良く過ごせて自分を好きになれることに気付けば好循環が始まり、気付いたら目標に手が届いていた、ということもありそうです。
目の前の快楽より、心から自分を好きになれる方を選べる自分になれば好循環からはずれることはないと思います。
【参考書籍】
「弱い自分を好きになる本」香山リカ(朝日新聞出版)
「自分が『たまらないほど好き』になる本」ジョージ・ウェインバーグ(知的生き方文庫)
「『うらやましい』と思ったときに読む本」心屋仁之助(あさ出版)
「敏感すぎる自分を好きになれる本」長沼睦雄(青春出版社)
「君はこんなに素晴らしい~自分を好きになる方法」中谷彰宏((株)スパイク)
「自分を好きになる本」パット・パルマー(径書房)
「自分を100%好きになるシンプルな習慣」青山華子(SBクリエイティブ(株))
「アナとエルサ自分を好きになる7のレッスン」PHP研究所(PHP文庫)
「自分を好きになる48のメソッド」あべけいこ(鉄人社)
「『自分を好きになる』だけでいいことは次々やってくる」角礼寿(大和書房)