オイリー肌はオイリースキン、脂性肌とも呼ばれる「肌質」のひとつです。
肌質を4つに分類すると、普通肌・乾燥肌・脂性肌・混合肌となり「普通肌」以外はなんらかの悩みを抱えていることになります。
中でもオイリー肌は肌のテカリが気になったり、化粧くずれしやすかったり、ニキビができやすかったりと悩みの多い肌質といえます。
そんなオイリー肌を改善するためにはどんな方法があるのでしょうか。
食生活や生活習慣がお肌に与える影響は大きいので、努力次第でオイリー肌は改善できそうです。
オイリー肌の改善について書籍で調べたところ、皮膚科医によっておすすめ方法は違うこともわかりました。
オイリー肌の改善に役立つ方法をご紹介してまいります。
目次
1. オイリー肌を改善するには
1-1. 肌質は遺伝します
1-2. オイリー肌になりやすい思春期
1-3. 肌への刺激の強い化粧品をやめてみる
2. 毎日の食事でオイリー肌改善
2-1. 肌の材料になる良質タンパク質
2-2. 肌を丈夫にして潤いを保つビタミンB
2-3. ビタミンCは皮脂抑制効果も
3. 生活習慣でオイリー肌改善
3-1. 睡眠不足を改善して規則正しい生活を送る
3-2. 適度な運動をする
3-3. 正しい洗顔とピーリングをおこなう
4. 化粧品でオイリー肌改善
4-1. メイクのベースはルースパウダーがベスト
4-2. ピーリング成分とレチノール配合で改善
4-3. 週末の肌断食を試す
5. サプリメント・漢方薬でオイリー肌改善
5-1.オイリー肌改善に効くサプリメントをご紹介
5-2.オイリー肌改善に効く漢方薬をご紹介
6. 美容皮膚科でオイリー肌改善
6-1. ピーリング・PDTがオイリー肌を改善
6-2. ビタミンC誘導体を入れてオイリー肌改善
1. オイリー肌を改善するには
オイリー肌の原因を知ることで改善につながるよう、オイリー肌についてご紹介していきましょう。
1-1. 肌質は遺伝します
人の顔の特徴や体つきなどと同様に、肌質は遺伝します。
父親と母親のどちらの肌質が、どの程度遺伝するかというのは(顔の特徴や体つきと同じように)決まっていません。
皮脂は、毛穴の丈夫に開口している脂腺から分泌されて汗などの水分と合わさり皮脂膜となって肌を守る役割を持っています。
しかし、過剰に皮脂が出ることで顔がべたついたり化粧くずれを起こしやすくなったりするため、皮脂の分泌は多ければ良いというものではありません。
また、脂漏性皮膚炎のように皮脂が多いことが原因でかかりやすい病気もあります。
脂漏性皮膚炎は、皮膚に常在しているマラセチアという真菌の一種が皮脂を栄養源にしているため皮脂が多い方が炎症を起こしやすいと考えられています。
1-2. オイリー肌になりやすい思春期
その人の肌質にかかわらずオイリー肌になりやすいのが思春期です。
その原因は、思春期に急激に増えるホルモンが原因です。
男性ホルモンのテストステロン、女性ホルモンのプロゲステロン(黄体ホルモン)は脂腺を刺激して多くの皮脂を分泌させてしまうのです。
また、思春期は食欲も旺盛になり、勉強しながらチョコレート菓子やスナック菓子を食べる機会も多くなります。
さらに夜遅くまで勉強するなど睡眠不足も重なる時期です。
思春期はホルモンの分泌だけでなく、食生活や睡眠不足の面からもオイリー肌の原因が増える時期でもあるのですね。
1-3. 肌への刺激の強い化粧品をやめてみる
オイリー肌の改善については、皮膚科医によって見解が違うようです。
医師の宇津木隆一氏、池田大志氏、山口麻子氏は
「何もつけないスキンケア」
を勧めています。
私たちが日ごろ当たり前につけている化粧水や乳液、美容液やクリームなどには界面活性剤やパラベンなどの殺菌剤のように、肌にとっては刺激になる物質が含まれています。
中でもクレンジングに使っているクリームやオイルなどはとても刺激が強いのだとか。
宇津木医師によれば、化粧品をつかうことは「時間とお金をかけて肌バリアを壊している」ことなのだそうです。
そうはいっても、いきなり何もつけないというのは抵抗がありますよね。
池田医師は
「一度にすべてをやめないと、肌が回復した効果を感じにくいために不安になってしまうので、一度にすべてやめた方が良い」
としていますが、
宇津木医師は
「化粧品を一度にやめると、今まで化粧品によって減少していた常在菌が異常繁殖することがあるので、段階を踏んだ方が良い」
としています。
化粧品の害が気になる方で、いきなり何もつけないということには抵抗がある方は、
クレンジング・リキッドファンデーションをやめる
(洗顔は純石けんにする)
↓
クリーム・乳液をやめる
↓
日焼け止めをやめる
↓
化粧水をやめる
というように、順番にそれぞれ1週間~1か月かけてやめていくと良いようです。
その際、肌の乾燥に対しては無色無臭の「白色ワセリン」をほんのわずかに使うようにします。
ワセリンは、使い過ぎも肌トラブルのもとになります。
ワセリンはすり込まず、手のひらに伸ばしたものを押し当てるようにして肌につけます。
鏡にワセリンをつけた部分をあててみて、べっとりと脂が鏡につくようならつけすぎです。
ワセリンなしでも鏡に油分がつくようなら、ワセリンは必要ありません。
2. 毎日の食事でオイリー肌改善
毎日の食事を意識することもオイリー肌の改善に役立ちます。
2-1. 肌の材料になる良質タンパク質
皮膚はタンパク質でできています。
食事で摂取するタンパク質を良質なものにするよう意識することで、肌の生成サイクルが整ってオイリー肌の改善につながります。
良質なタンパク質といっても、身近にたくさんあるので安心してくださいね。
良質たんぱく質の基準となる「アミノ酸スコア」が100の食品として鶏卵や牛乳、肉類があります。
和食でも洋食でも、朝食に卵を食べる方は多いでしょう。
朝食をしっかり摂ることで良質たんぱく質が摂取できますね。
1日に必要なタンパク質量の目安や良質たんぱく質についてはこちらの記事を参考にしてくださいね。
2-2. 肌を丈夫にして潤いを保つビタミンB
ビタミンB群は肌を丈夫にして潤いを保つ働きがあります。
肌が乾燥するとそれを防ごうとして余分な皮脂がつくられてしまいますから、まずは肌の潤いを保つビタミンB群を意識して摂取しましょう。
【ビタミンB1を多く含む食品】
焼き海苔
豚肉
ピーナッツ
うなぎ
たらこ
ごま
【ビタミンB2を多く含む食品】
豚レバー
牛レバー
鶏レバー
うなぎ
納豆
まいたけ
たらこ
卵
ビタミンB1は炭水化物の代謝を助ける栄養素です。
炭水化物がきちんと代謝されないと、皮脂が過剰に分泌されてしまいます。ビタミンB1を充分に摂取することで、皮脂の過剰分泌を予防することができます。
ビタミンB2は、皮脂の分泌をコントロールするのにとても有効な栄養素です。
2-3. ビタミンCは皮脂抑制効果も
ビタミンCが肌の美白に良いことは知られていますが、皮脂抑制効果も期待できます。
新鮮な果物や野菜を生で食べることでビタミンCは簡単に摂取できます。
ほとんどのビタミンサプリメントにはビタミンCが入っているので、普段生野菜や果物を食べる機会が少ないという人はサプリメントを活用するのも良いでしょう。
3. 生活習慣でオイリー肌改善
毎日の生活習慣に気をつけることでオイリー肌を改善していきましょう。
3-1. 睡眠不足を改善して規則正しい生活を送る
睡眠をしっかり6時間以上まとめてとること、そして就寝時間をできるだけ毎日同じ時間にすることがオイリー肌の改善につながります。
就寝時間がまちまちだと、体内時計が乱れて肌の再生にかかわる成長ホルモンの分泌に影響を及ぼすため、できるだけ規則正しくに就寝することが大切です。
皮膚科医の吉木信子氏は、「寝不足なのに毎朝早起きしてお弁当をつくったりするのもおすすめできません。極論をいえば、食事より睡眠の方が大切です」と著書の中で述べています。
忙しい毎日の中では難しいことですが、規則正しく睡眠をきちんと取ることが美肌にとってはとても大切なのですね。
3-2. 適度な運動をする
適度な運動をすることがオイリー肌の改善につながります。
運動によって新陳代謝が良くなるという効果もありますし、オーバーカロリーを防ぐという役割としても運動はとても重要です。
人の基礎代謝(生きていくために必要な最低限のエネルギー量)は、筋肉量が多い人ほど多くなります。
つまり、同じ身長体重の人が同じ量の食事をした場合、筋肉量が多い人の方が多くのエネルギー(カロリー)を消費できるのです。
一日に必要なエネルギー以上のエネルギーを食品から摂取することでオーバーカロリーとなり、皮脂は余分に分泌されてしまいます。
運動することで消費カロリーを増やし、さらに筋肉量が増えることで基礎代謝が上がりますからオイリー肌の人は積極的に運動をすると良いですね。
3-3. 正しい洗顔とピーリングをおこなう
正しい洗顔と適切なピーリングをおこなうことで、オイリー肌を改善することができます。
毎日の洗顔は、お湯ではなく水に近いぬるま湯を使います。
お湯だと皮脂を洗い流し過ぎてしまい、肌はさらに皮脂を分泌しようとするためです。
洗顔料はしっとり系の潤い洗顔料ではなく、さっぱり系の洗顔せっけんが向いています。
自分の肌のことは自分がいちばんわかるので、夜洗顔して寝たら翌朝の肌の調子を、朝洗顔したら日中の肌の調子をよく観察して自分に合う洗顔せっけんをみつけると良いですね。
ピーリングは、肌に刺激を与えるものもありますが、AHA(アルファヒドロキシ酸)などの優しい成分を使った洗い流すタイプのものや、酵素洗顔料などは刺激も強すぎずおすすめできます。
ピーリングによって余分な皮脂とともに余分な角質を取り除くことで肌が正常な状態に戻りやすくなり、過剰な皮脂分泌が抑えられます。
ピーリングの頻度は、週に1~2回程度、自分で肌に触れたときにざらつきを感じたらするというように自分の肌と相談して決めるのがいちばんです。
4. 化粧品でオイリー肌改善
化粧品を上手に選ぶことでオイリー肌を改善していきましょう。
4-1. メイクのベースはルースパウダーがベスト
メイクに関しては1章でお話したようにオイリー肌の人は「何もつけない」のがベストとする皮膚科医もいます。
そこまでは踏み切れないというなら、油分の少ないファンデーションを選ぶようにしましょう。
オイリー肌の人にはルースパウダー(粉おしろい)のみでベースにするのがベストです。
それだけではカバー力が不安という場合も、日焼け止めとパウダータイプのファンデーション程度にすると良いでしょう。
化粧下地は油分を含んでいますし肌への刺激も強いので使わない方がいいようです。
4-2. ピーリング成分とレチノール配合で改善
ピーリング成分としてのAHA(アルファヒドロキシ酸)に加えて、レチノールが配合されている洗顔せっけんでオイリー肌が改善される人もいます。
レチノールはビタミンAの一種で、皮膚の線維芽細胞に働きかけてコラーゲンを増やす作用があります。
新陳代謝の低下した肌は、適度なピーリングとレチノールの効果でターンオーバーのサイクルが早められることで過剰な皮脂を分泌しなくなります。
洗顔せっけんは毎日使うものなので、使い心地を確認しながら肌に悪い刺激のないものを選ぶようにしましょう。
4-3. 週末の肌断食を試してみる
オイリー肌の改善のために、週末などの休日に肌断食をすることも人によっては効果が高いようです。
外出の予定がないという休日には、洗顔後に「何もつけない」という肌断食をして自宅でゆっくりと過ごしてみてください。
はじめはつっぱるように感じる肌も、時間が経つと適度な油分が分泌されて気にならなくなります。
基礎化粧品にも含まれている界面活性剤を丸一日肌につけないだけでも肌は休まります。
せっかくなので食事も肌に良いフレッシュな果物や野菜を食べる一日にしてみるのもいいですね。
5. サプリメント・漢方薬でオイリー肌改善
5-1.オイリー肌改善に効くサプリメントをご紹介
〈パントテン酸〉
パントテン酸はビタミンB群の水溶性物質で、体内でコエンザイムA(補酵素A)の構成成分になり脂質のエネルギー代謝に使われます。
また、コラーゲン生成の際のビタミンCの働きをサポートしますので肌の代謝が良くなり、皮脂の分泌過剰を抑える効果があります。
吸収を高めるためにカルシウムが配合されているサプリメントを選びましょう。
〈ビタミンB6〉
女性ホルモンのバランスが崩れることによって皮脂の分泌が過剰になっている場合によく効きます。
ビタミンB6は女性ホルモンエストロゲンの代謝に使われてホルモンバランスを整えます。
〈ビタミンB2〉
糖質・タンパク質・脂質の代謝を促進してエネルギー代謝のサポートをします。
また、ビタミンB2には皮脂のエネルギー代謝を促す働きがあり、皮脂のコントロールにも関わっています。
5-2.オイリー肌改善に効く漢方薬をご紹介
オイリー肌やニキビ肌の改善に効く漢方薬をご紹介しましょう。
〈当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)〉
色白、冷え性でむくみやすい体質の人、生理が遅れがちな人に向いています。
〈荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)〉
顔全体に皮脂が多く赤ら顔で小さいニキビができる人に向いています。
〈清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)〉
若い人で額などに皮脂が多く出る人に向いています。
漢方薬は専門の薬局で症状を相談して処方してもらってくださいね。
6. 美容皮膚科でオイリー肌改善
美容皮膚科で施術できるオイリー肌を改善する方法をご紹介します。
6-1. ピーリング・PDTがオイリー肌を改善
美容皮膚科でのケミカルピーリングでオイリー肌を改善することができます。
ケミカルピーリング後の肌は美容成分の吸収も良いので、皮脂の過剰分泌を抑える効果のある成分を吸収させることもできます。
また、PDT(フォトダイナミックセラピー「光線力学療法」)といって皮脂腺を破壊することでオイリー肌を改善する方法もあります。
副作用や危険性など医師の説明をよく聞いて、納得の上で施術してもらいましょう。
6-2. ビタミンC誘導体を入れてオイリー肌改善
イオン導入機という美顔器を使って週に一度程度ビタミンCのイオン導入をすると毛穴ケアとして有効で皮脂の抑制効果も期待できます。
ビタミンCは化学的にいうとアスコルビン酸ですが、これを肌に浸透しやすい形に改良したものがビタミンC誘導体で、成分表示としてはリン酸型は「リン酸アスコルビル」、APPSは「バルミチン酸アスコルビルリン酸3Na」となっています。
まとめ
オイリー肌の改善について様々な方法を調べてみました。
「肌には何もつけない」という極端な方法もあり、またそうした同じ理論でも「一気にすべてやめないと効果がわからず元の生活に戻りやすい」という考え方も「肌への刺激が強いものから少しずつやめていく方が良い」という考え方もありました。
すべての化粧品をやめることはできなくても、肌断食として週に一度くらいなら取り入れることはできそうです。
また、女性の場合は女性ホルモンのバランスによっても皮脂の分泌が増えることもわかりました。ビタミンB群のサプリメントに効果があるようですね。
脂取り紙についても調べてみたのですが、
「皮脂を取りすぎて余計に分泌してしまうからやめたほうが良い。ティッシュで押さえる程度に」
という考え方と、
「ティッシュは皮膚に繊維が残るので良くない。過剰な皮脂は脂取り紙で除去したほうが酸化しないので良い」
という考え方があることもわかりました。
洗顔せっけんや化粧品についても、調べてみれば必ずメリットもデメリットもあるのですね。
オイリー肌の人だけでなく、自分の肌の悩みを改善するときに洗顔方法やお手入れ方法を変えるのなら「自分がどう感じるか」を基準に選んでいくのがいちばん良さそうです。
【参考資料】
「ケミカルピーリングとコラーゲン注入のすべて」松永佳世子・他(文光堂)
「正しいスキンケア辞典」吉本伸子・他(高橋書店)
「大人のスキンケア新法則」平田雅子(三笠書房王様文庫)
「本当に知りたかった美肌の教科書」山本未奈子(講談社+α文庫)
「『何もつけない』美肌ケア」池田大志(マキノ出版)
「化粧品に頼らない素肌美人のつくりかた」山口麻子(主婦と生活社)