朝起きて疲れが残っていると、気が重いですよね?
毎日、会社で人間関係に悩むサラリーマン。頭痛や肩こりを抱えながらパソコン仕事を続けるOL。家事と子育てに追われる主婦。
多くの人間が心と体の疲れに悩まされている現代、疲労回復法はとても重要です。回復しないまま疲れを溜めてしまうと、心も体も深刻な事態を招きかねません。
誰でも、自分で簡単にできる疲労回復法のひとつやふたつは持っているでしょう。
ここでは心と体の疲れを6つのカテゴリーに分けて、自分でできる疲労回復の裏ワザを紹介します。疲れを明日まで持ち越さないために、自分に合う回復法を見つけてください。
目次
1 全身の疲れを癒す裏ワザ
1-1 空腹になる
1-2 通勤電車でストレッチ
1-3 オフィスで足裏マッサージ
1-4 朝日を浴びてメールチェック
2 首と肩の疲れを癒す裏ワザ
2-1 日本舞踊の「三つ振り」
2-2 米粒でツボ刺激
2-3 足首にカイロ
2-4 座ったままできるストレッチ
3 目の疲れを癒す裏ワザ
3-1 パソコンの使用環境を見直す
3-2 まばたきを意識する
3-3 涙を流す
3-4 簡単ツボ刺激
4 脳の疲れを癒す裏ワザ
4-1 グリーンパワーを取り入れる
4-2 コーヒーを飲んで脳内昼寝
4-3 笑顔をつくる
4-4 子どもの心に戻る
5 人間関係の疲れを癒す裏ワザ
5-1 時間を決めて聞き役に徹する
5-2 「3ない」時間を設定する
5-3 わがままスイッチを入れる
5-4 脳内人事部長になる
6 怒りを管理して心を癒す裏ワザ
6-1 徹底したプラス思考にこだわる
6-2 「それはそれ」思考で荷を下ろす
6-3 「ま、いいか」で切り捨てる
6-4 楽しむことだけを考える
まとめ
1 全身の疲れを癒す裏ワザ
1-1 空腹になる
「お腹がすいてたまらない!」という気持ちになるまで空腹になりましょう。
疲れてくると栄養をつけようとして、甘いものやカロリーの高いものを食べてしまう人が多いものです。
食べ過ぎた翌日などはとくに、食事をとること自体が、疲れの原因になることがあります。食欲もないのに、疲れをとろうとしてムリに食べるのはよくありません。
食べ過ぎると、胃腸は休みなく働き続けて血液中に老廃物が溜まるので、できれば空腹になるまで食べないほうがいいのです。
1-2 通勤電車でストレッチ
朝の通勤電車は混んでいると疲労困憊しますが、ラッシュがそれほどひどくない場合には通勤時間を利用して疲労回復を図ることができます。
移動できるくらいの混み方であれば、ドアの両サイドに立って支柱を背中に当てながらツボを刺激してみましょう。
座ることができたら、背もたれと背中の間を10センチくらい開けて座り、お腹をへこませて力を入れ、肩で背もたれを5秒間強く押して戻すという動作を何回か繰り返します。肩、背中、腰の疲れがとれます。
ただし、男性は変な目で見られないように、くれぐれも周囲に気を配りましょう。
1-3 オフィスで足裏マッサージ
デスクの下にゴルフボールを用意しておき、靴を脱いで足裏のツボをゴロゴロと刺激します。足裏はいろいろなツボが集中しているので、全身の疲れをとることができます。
100円ショップなどで市販されている足裏刺激用のマットを利用するのもいいでしょう。
1-4 朝日を浴びてメールチェック
朝起きたら朝日を浴びることは、体内時計をリセットして体のいろいろなリズムを整えるために重要です。疲労回復にも大きな効果があります。
しかし、朝はなかなかゆったりとした時間が過ごせないという人も多いでしょう。その場合は、明るい窓際に座って朝食をとり、メールやニュースのチェックなどを行ってください。
これだけでも十分、疲労回復の効果があります。
2 首と肩の疲れを癒す裏ワザ
2-1 日本舞踊の「三つ振り」
首のストレッチは、筋肉を伸ばすことを意識して行えば、お辞儀をするだけでも効果があります。日本舞踊の基本稽古である「三つ振り」は、疲労回復にとても有効なので紹介しましょう。
「三つ振り」は決めのポーズをしたときに、「トンテンチン」「一二三」と3つ数えるように行うものです。
(一)顔を正面から右に向ける。
(二)顔を正面に戻して左に傾ける。
(三)右に傾けてからもとに戻す。
(三)のときの視線を右上に向けると日本舞踊の雰囲気が出せます。この動作をゆっくりと3回繰り返すだけで、首の筋肉がほぐれます。
2-2 米粒でツボ刺激
足の親指の裏、親指の付け根のシワの中央部分に、米が一粒当たるように絆創膏や医療用テープを貼ります。
夜、お風呂を上ってから両足に貼りましょう。
1日に3回ほど、お米が当たっている部分を軽く押さえながら、足の親指を上下に10秒動かすと、ツボを刺激して首や肩のこりが改善します。
2-3 足首にカイロ
首や肩をカイロなどで温める方法は、一時的にこりや痛みを緩和することができますが、慢性になっている場合には、下半身の冷えを解消すると効果があります。
足首の内側には腎臓を司るエネルギーが密集する「腎経」と呼ばれる経絡(気の通路)があります。
両足内側のくるぶしの上あたりにカイロを貼って温めることで、下半身の血流を促して冷えを解消し、その結果、首や肩のこりや痛みを改善することができます。
低温やけどをしないように靴下の上からカイロを貼り、1日6時間を目安に続けてみましょう。
2-4 座ったままできるストレッチ
肩こりには、肩周辺の筋肉のストレッチがとても有効です。筋肉が緊張して収縮し、血行不良を起こしているので、伸ばしてやるのです。
デスクワークのちょっとした間を見つけてできるストレッチを紹介しましょう。
(1)イスに座ったまま、左方の手をお尻の下に入れる。
(2)右手を後頭部に当てて、頭部を右斜め上に引っ張る。
(3)息を止めずに姿勢を40秒キープしたら、左右の手を入れ替えて行う。
痛かったらムリをせず、ゆっくりと行ってください。
3 目の疲れを癒す裏ワザ
3-1 パソコンの使用環境を見直す
パソコンの液晶モニターは、眼精疲労の大きな原因となっています。
目が疲れてつらくても仕事で使わざるを得ないために、回復しないまま疲労を重ねてしまい、眼精疲労という全身に影響が及ぶ病気に進行してしまうこともあります。
できる限り目にやさしい使い方を心がけるだけでも、目の疲れの回復度はずいぶんと違ってきます。
具体的には次のような方法があります。
【1】ものを見る視線は下向き20度くらいが目にやさしいので、モニター画面を15~20度上向きに傾けて、少し上から見るように配置する。
【2】モニターとの距離は40cm以上をキープする。
【3】仕事に差しさわりのない範囲でモニターの輝度を下げる。
【4】ブルーライトをカットするPC用メガネを使用する。
3-2 まばたきを意識する
意識的にまばたきをするようにして、ドライアイになることを防ぎましょう。
パソコンやスマートホンを長時間使用していると一点を凝視することになるので、まばたきの回数が激減します。
通常は3秒に1回くらい行っているまばたきがなくなると、角膜に酸素を供給したり目を細菌から守ったりする機能が低下して、目の疲れが溜まっていきます。
とくにパソコン作業を行っているときは、意識的にまばたきをして涙が眼球の表面に出てくるようにしましょう。
3-3 涙を流す
目に涙を供給して疲労回復を図るために、もっとも効果的なのは「泣く」ことです。
思いっきり泣くことは、ストレスの解消にもなります。効果があるのは、感動して流す涙ばかりではありません。キッチンへ行って、タマネギをきざんで流す涙でもいいのです。
目に潤いを与えて、目の筋肉の緊張をとりましょう。
3-4 簡単ツボ刺激
顔にある、目の疲れを解消するツボを刺激します。指の腹で押したり、グリグリ回して刺激したりしましょう。
太陽(たいよう)
目尻と眉尻の中間からほんの少し後方に寄ったところにあるツボです。こめかみから目尻に向かって指を滑らせていき、目尻の斜め上にあるわずかなくぼみです。
睛明(せいめい)
目がしらのやや上、鼻の付け根との間にある骨のくぼみで、よく目が疲れると無意識のうちにもんでいるところです。
攅竹(さんちく)
眉頭の内側にあるツボです。人指し指を当てて探ると、コリコリとした筋に触れる部分です。
魚腰(ぎょよう)
眉の中央あたりにある痛みを感じるポイントです。
4 脳の疲れを癒す裏ワザ
4-1 グリーンパワーを取り入れる
緑色のものを身近に取り入れます。財布など持ち歩くもの、カーテンやタオルなど家庭にあるもの、鑑賞用植物など、少なくても3つか4つは生活に取り入れましょう。
色には様々な心理的効果が認められています。「緑」には、自然治癒力を高める、精神の安定、緊張の緩和といった心理効果があるので、緑のものを見るだけでも、精神的な疲れを癒すことができます。
4-2 コーヒーを飲んで脳内昼寝
コーヒーを飲むと15~20分後にカフェインの覚醒作用が効いてくるので、昼休みの昼食後に、コーヒーを飲んでから15分間の昼寝をしましょう。
午後2時頃は、1日のサイクルの中で2度訪れる眠気のピークのひとつです。その前に脳を休ませることによって、午前中の疲れを取り、午後の仕事も効率を上げることもできます。
20分以上寝てしまうとかえってダルくなってしまいますから、目覚まし代わりのコーヒーを飲み、目を閉じて半覚醒状態になるだけでいいのです。
4-3 笑顔をつくる
口角を上げて笑顔を意識しましょう。作り笑いでもいいのです。
笑顔は幸福ホルモンと呼ばれるセロトニンを分泌させるので、疲労回復やストレス解消の効果があります。
女子プロゴルファーのアリヤ・ジュタヌガン選手は、ショットの前に笑顔を作るルーティンで知られています。笑顔には、リラックスして集中力をアップさせる効果もあるといわれます。
4-4 子どもの心に戻る
自分を解放することによって、精神的な疲労を癒すことができます。
「疲れたから、やーめた」
「つまんないから、やーめた」
「おもしろそうだから、やってみーよう」
「疲れたからかーえろ」
頭が疲れたなと感じたら、過労状態になる前に子どもの心に戻って自分を解放しましょう。毎日では問題が起こるでしょうが、疲れたときだけの裏ワザです。
こういう日は、残業などせずにさっさと帰りましょう。
5 人間関係の疲れを癒す裏ワザ
5-1 時間を決めて聞き役に徹する
30分間でも1時間でも時間に制限を設けて、上司や取引先の相手の言うことをすべて受け入れます。
「おっしゃる通りです」
「素晴らしい考えですね」
とすべて受け入れてしまうのです。反発を抑えるとストレスになりますが、この時間はすべて受け入れると決めるので、腹も立ちませんし、反発もしませんから疲れません。
本心を言うのは、この時間が過ぎた後、または次の機会にします。ワンクッション置くことによって冷静な判断もできるようになります。
5-2 「3ない」時間を設定する
(1)人と会わない
(2)会議に出ない
(3)メールを見ない
これも30分間か1時間の時間を設定して行います。人間関係で疲れるのは、緊張や気遣いが続くからです。
できれば1日くらい行方不明になってしまえばいいのですが、なかなかそうもいかないので、せめて時間を区切ってこの「3ない」を実践してみましょう。
5-3 わがままスイッチを入れる
疲れたら入れられるスイッチを心の中に作っておきます。
人間関係の抑圧から解放される「わがままスイッチ」です。
「とても疲れたな……」「今日はもういいか……」と感じたら、そのスイッチを入れてしまうのです。
なにができるようになるのかは、個人で設定しましょう。「好きものを食べる」「好きなワインを飲む」といった飲食でストレスを解消したり、趣味に没頭するのもいいでしょうし、誰の言うことも聞かないというわがままでもいいでしょう。
5-4 脳内人事部長になる
人事査定表を作り、会社の同僚、部課、上司の仕事や性格を10段階で評価して、備考欄には将来性や問題点を書き込みます。
給与やボーナスの査定、栄転や左遷を考えるのもいいでしょう。休みの日などに時間をゆっくり使ってやってみます。
単なる憂さ晴らしでもいいのですが、まじめに考えてみるとけっこう楽しくなって疲れを忘れます。人間観察をするようになるので、関係改善のヒントを得ることができます。
6 怒りを管理して心を癒す裏ワザ
6-1 徹底したプラス思考にこだわる
怒りの感情は大きなエネルギーなので、とても疲れます。そこで、怒りを覚えることがあったら、徹底的にプラスに転換してしまいましょう。
怒りの感情を鎮めることが目的ですから、なんでも自分に都合よく考えてしまいます。相手も自分もすべてを肯定してしまうのです。
「知らなかった自分に腹が立つ」ではなくて、「今、気づいてラッキー」。「なんでこんなことになったのだろう」ではなくて、「この程度ですんでよかった」と、物事の良い面だけをみるのです。
6-2 「それはそれ」思考で荷を下ろす
失意や後悔は、自分の中で怒りの感情を生み出すものです。自己嫌悪に陥ると悪循環にハマり、心の疲れが溜まっていきますから、そうなる前に重荷を下ろして肩の力を抜きましょう。
なにか失敗があったとしても、「それはそれ」と置いておき、次のことを考えられるようになる習慣付けをするのです。
現実は現実ですから、もう変えることはできません。早く前向きになったほうが心も癒せますし、時間のムダもないのです。無責任と思われようが、「それはそれ」と割り切ったほうが、結局立ち直りが早くなります。
6-3 「ま、いいか」で切り捨てる
人間はどこかに楽天的な部分がないと、心の疲れを溜め込んで壊れてしまいます。
いくら考えても結論が出ないことや考えても仕方のないことは、引きずるのをやめて「ま、いいか」と切り捨ててしまいましょう。
頭にくることがあっても、怒り続けていたら負のエネルギーを溜め込んで疲れるだけです。「なるようにしかならない」と気持ちを決めてスパっと切り捨てることで、目の前の現実を「ま、いいか」と受け入れることができるようになります。
6-4 楽しむことだけを考える
怒りの感情やイライラを消すのに一番手っ取り早い方法は、「妄想」することです。
昼休みの脳内昼寝と合体させてもいいでしょうし、夜寝る前に妄想タイムを作ってもいいのです。
このときばかりは徹底的に精神を内向させて、楽しいことだけを妄想します。自分の頭の中の話ですから、なんでもありです。いくらふくらましても、誰に迷惑をかけることもありません。
妄想タイムが終わった後に心がウキウキするようになったら、癒しの効果が表れた証拠です。楽しいという感情には、疲れを吹き飛ばすくらいのパワーがあるのです。
まとめ
ここでは24の裏ワザを紹介しましたが、疲労回復法は自分なりのものがいくつかあればいいのです。
人によっては、ひとつふたつでも大きな効果を発揮することもあるでしょう。しかし、それが見つかるまでは、できるだけ多種多様な方法を試してみるほうがいいですね。
すでに自分なりの回復法があるという人も、ぜひ、ここに挙げた裏ワザを試してみてください。
1日の疲れはその日に解消することができますが、1週間溜めてしまった疲れは、積み重なって複雑に絡み合いますから、1週間かけても回復できないことが多いものです。
ですから、疲労は明日に持ち越さずに解消していきましょう。
【参考資料】
『「あぁ、疲れた」と思ったら読む本』(KKロングセラーズ・2014年)
『1分間回復法』(経済界・2011年)