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  2019.04.25



健康をつくる葉酸の5つの効果

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「葉酸」の名前は耳にしたことがあっても、その働きはあまりよく知らないという人が多いのではないでしょうか?

妊娠したら赤ちゃんの健やかな成長のためにとるものというイメージが強く、葉酸は妊婦さんだけに関係するものと思われがちです。

でも、そんなことはありません。実は葉酸は全ての人にとって大切な栄養素のひとつです。

ここでは葉酸とはどんなものか、どんな効果が期待できるのかについて、紹介します。

目次

1 栄養学から見た葉酸
  1-1 5栄養の分類と5大栄養素
  1-2 ビタミンと葉酸
  1-3 葉酸が全ての人に必要な理由
2 葉酸の持つ5つの効果
  葉酸の効果1 おなかの中の赤ちゃんの発育を助ける
  葉酸の効果2 血液を作る
  葉酸の効果3 出産後の母乳の出をよくする
  葉酸の効果4 美肌を作る
  葉酸の効果5 口内炎や食中毒の予防
3 葉酸と生活習慣病の予防
  3-1 生活習慣病の定義と種類
  3-2 動脈硬化と葉酸の効果
4 葉酸不足が与える影響と不足しやすい人
  4-1 葉酸が不足しておこる体のトラブル
  4-2 葉酸不足になりやすい病気や生活習慣
5 妊娠と葉酸の深い関係
  5-1 葉酸不足が招く赤ちゃんの先天性異常
  5-2 母乳と葉酸の効果
6 葉酸の必要量と摂取方法
  6-1 葉酸の必要量
  6-2 体内での葉酸の生成と摂取方法
まとめ

1 栄養学から見た葉酸

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サプリメント売り場には、さまざまな種類のものが並べられています。美肌や肌トラブル防止に関係するビタミンCやビタミンAはもちろん、葉酸や鉄を含むもの、アミノ酸など多彩な商品があります。

よいとされる栄養素でも、ひとつあれば十分というものではありません。すべての栄養素は単独で機能するわけではなく、複数の栄養素が関わり合って働いています。葉酸も例外ではありません。

栄養素の分類と役割から説明します。

1-1 5栄養の分類と5大栄養素

私たち人間は、外から取り入れた食べ物を体を動かすエネルギーに変えたり、体を作る材料として利用したりして、不要なものは体外に排出して、生命を維持しています。

こうした生命維持のために使われる食べ物の中の物質を栄養素と呼びます。栄養素は、糖質、脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラルの5つに分けられます。

(1)エネルギー源となる3大栄養素

5大栄養素のうち、エネルギー源となる糖質と脂質、タンパク質を3大栄養素と呼びます。糖質はエネルギー源としてだけ利用されていますが、脂質とタンパク質は体を作る材料にもなります。

糖質と脂質、タンパク質は体内で分解・酸化されて、エネルギーをつくり出します。このエネルギーはアデノシン3リン酸(ATP)という分子に蓄えられていて、体温を維持したり、体を動かしたりするときなど、人間の全ての活動に使われます。

(2)体の調子を整えるビタミンとミネラル

ビタミンとミネラルは、体の調子を整える役割を持ちます。3大栄養素の代謝を促したり、生体機能を調節したり、皮膚や粘膜、神経、筋肉、骨、血管の健康を保ったりする働きをしています。

葉酸はビタミンの一種なので、次で詳しく説明します。

ミネラルは無機質とも呼ばれています。健康維持に不可欠なミネラルは14種類あります。カルシウム、リン、マグネシウム、鉄などは体を作る材料にもなります。

1-2 ビタミンと葉酸

葉酸は、3大栄養素体の働きを助けて、体の調子を整える役割を持つビタミンの一種です。

人間に必要不可欠のビタミン「必須ビタミン」は13種類あります。葉酸も必須ビタミンのひとつです。

必須ビタミンは大きくふたつに分けられます。ひとつは水に溶けやすく油に溶けにくいもの(水溶性)、もうひとつが水に溶けにくくて油やアルコールに溶けるもの(脂溶性)です。

葉酸は水溶性ビタミンです。血液をつくる(造血)、遺伝情報などを伝える大切な役割を持つ核酸の合成、口内炎の予防などに関係しています。

ほかに水溶性のビタミンは、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、ビタミンB12、パントテン酸、ビオチン、ビタミンCがあり、全部で9種類になります。

一方の脂溶性ビタミンは4種類。ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKです。

ビタミンは必要とされる量は少ないのですが、体内で作り出すことができないか、十分な量が作れないため、食事から摂取する必要があります。

水溶性のビタミンは、一度にたくさんとっても、使われなかった分は体外に排出されてしまうため、毎日、きちんと摂ることが大切です。

1-3 葉酸が全ての人に必要な理由

葉酸には「造血ビタミン」という別名があります。この名前からわかるように、人間の生命活動を担う血液を作り出すしくみに関係しています。体内に入った葉酸は、骨髄にある造血臓器に働きかけて、赤血球をつくる役割を担っているのです。

また、人間の体では常に細胞が分裂して新しい細胞が生み出され、新陳代謝が行われています。肌を美しく保つ上で重要な皮膚のターンオーバーも、新陳代謝のひとつです。

葉酸は、細胞の分裂や細胞の成長にも深く関わっています。

血液や細胞分裂といった人間の生命活動の基幹に関わる栄養素だから、葉酸は全ての人にとって重要なのです。

2 葉酸の持つ5つの効果

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葉酸の持つ効果はさまざまですが、代表的なものとして次の5つが挙げられます。

葉酸の効果1 おなかの中の赤ちゃんの発育を助ける

細胞分裂が活発に行われて、細胞が成長する妊娠初期には葉酸が欠かせません。また、赤ちゃんが先天性異常をおこすリスクを低下させる役割があります。

葉酸の効果2 血液を作る

骨髄にある造血細胞に働きかけて、新しい赤血球を作ります。貧血状態のとき、赤血球や白血球が減るのを抑える効果が報告されています。

葉酸の効果3 出産後の母乳の出をよくする

出産後に十分な葉酸をとると、母乳の出がよくなります。

葉酸の効果4 美肌

美肌を保つ働きがあることも明らかになっています。500ml前後の葉酸を短期間とり続けたところ、シミやそばかすが消えたという報告があります。

また、パントテン酸と一緒にとることで、白髪を防いだり、白髪になるのを遅らせたりする効果も認められています。葉酸とPABA(パラアミノ安息香酸)を合わせてとると、白髪になりかけていた髪が元の黒髪に戻ったという例も多く報告されています。

葉酸の効果5 口内炎や食中毒の予防

消化管や口の中、舌の粘膜を保護する働きがあります。体調がよくないときの口内炎の予防、腸内の寄生虫から身を守ったりする役割を持っています。

葉酸の働きについてはさまざまな研究がおこなわれていて、ガンを予防したり、ガンの進行を遅らせたりする効果も報告されています。これには葉酸だけではなく、コリンという物質も合わせてとる必要があります。

3 葉酸と生活習慣病の予防

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厚生労働省の定義によると、生活習慣病は「食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣が、その発症・進行に関与する疾患群」のことです。

ここでは生活習慣病の予防と葉酸の関係を説明します。

3-1 生活習慣病の定義と種類

代表的な生活習慣病としては、肥満症、高血圧、糖尿病、脂質異常症などが挙げられます。

こうした生活習慣病を健康診断で指摘されたにも関わらず、生活習慣の改善などを行わずにいると、命に関わる可能性がある心筋梗塞や狭心症といった虚血性心疾患や、治療しても後遺症を残すリスクが高い脳卒中を引きおこす危険があります。

また、十分に血糖値のコントロールができずに糖尿病が進行すると、失明したり、人工透析が必要となったりします。

長寿化が進む日本では、介護が必要な状態にならず、健康で長生きするために、生活習慣病の予防や早期治療は重要なテーマとなっています。

3-2 動脈硬化と葉酸の効果

虚血性心疾患や脳卒中など健康に重い被害を与えるリスクがある生活習慣病を引きおこす原因ともなるのが、「動脈硬化」です。

実は葉酸には、動脈硬化の進行を抑える働きがあります。

動脈硬化の危険因子のひとつに、「ホモシステイン」という物質があります。欧米の研究で、葉酸をとることでホモシステインの値が低下することがわかっているのです。

年間に五万人が動脈硬化が原因で死亡しているドイツでは、国民の7割が不足する葉酸をサプリメントで補えば、動脈硬化による死亡を半減させられると推計されています。

また、カナダ政府が1970~1972年の全国調査で5000人以上の血中葉酸値を測定して、15年間の追跡調査を行ったところ、葉酸値が最低レベルの人は、葉酸値が十分な人に比べて心臓病で死亡する人が7割以上高いという結果になりました。

なお、生活習慣病の予防は、1日30分以上の運動を週2回以上行う、食塩摂取量を1日10g未満にして野菜の摂取量を1日350g以上に増やすなどの食生活の改善、禁煙、適性体重の維持などが基本となります。

4 葉酸不足が与える影響と不足しやすい人

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葉酸が不足すると体にはさまざまな悪影響がおこります。不足しやすい状態を知って、食事だけでは十分な量がとれそうにない場合には、サプリメントの利用も考えて、必要な量をしっかりとるようにしましょう。

4-1 葉酸が不足しておこる体のトラブル

葉酸をはじめとするビタミンは、必要量が少ないため、足りなくてもあまり影響がないのでは?と思うかも知れません。でも、不足すると心身の不調を引きおこすだけでなく、病気を発症する場合もあるのです。

造血に関係する疾患で、悪性貧血という怖い病気があります。正常な赤血球が増えなくなって、異常な巨赤芽球が増える病気です。

免疫力が下がることから、舌炎や口内炎といった口内の炎症、肌荒れ、下痢、食中毒などをおこすこともあります。

うつ病などの精神疾患になりやすくなる要因のひとつであることもわかってきています。

対して、葉酸のとりすぎ(過剰)による病気は報告されていません。安心してたくさんとるようにしましょう。

4-2 葉酸不足になりやすい病気や生活習慣

病気などで薬を服用している場合や、特定の生活習慣を持つ人では、葉酸不足をおこしやすいことがわかっています。

まず、消費が増えるため、積極的な摂取が必要となるのが妊娠中の女性です。

さらに女性で注意したいのがピルの服用です。ピルによって、葉酸のほか、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンCの働きが妨害されるからです。ピルを飲んでいない人に比べて、積極的に摂取する必要があります。

また、大量飲酒する人では葉酸が大幅に不足する場合が多くなっています。大量飲酒は葉酸不足にとどまらず、さまざまな健康への悪影響が考えられるため、飲酒量を減らす努力をしましょう。

サプリメントなどで大量(1日に2g以上)にビタミンCをとっている人は葉酸の排泄量が増えます。ビタミンCの摂取を減らすか、葉酸の摂取量を増やす必要があります。

アスピリンなどの鎮痛剤、ホルモン剤のエストロゲンのほか、スルフォンアミド、フェノバルビタールなどの薬を飲んでいる場合も、葉酸が大幅に減少することがわかっています。こうした場合も葉酸の摂取量を増やしましょう。

5 妊娠と葉酸の深い関係

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葉酸が最も注目されているのは、おなかの中にいる赤ちゃんの発育に関係する点です。葉酸不足は、赤ちゃんの先天性障害の原因となる場合があるのです。

5-1 葉酸不足が招く赤ちゃんの先天性異常

妊娠初期に葉酸が不足すると、赤ちゃんが先天性異常をおこすリスクが高まります。

葉酸について、厚生労働省が勧告を出していることをご存じでしょうか?これは全国の都道府県と医師会に対して出されたもので、「妊娠可能な全ての女性に葉酸の積極的な摂取を呼びかける」という内容となっています。

葉酸は、新しく細胞ができる上で必要な核酸を作ったり、タンパク質を合成するときに重要な働きを担うため、細胞の分裂や増殖が活発に行われる妊娠初期には特に大切な栄養素です。また、赤ちゃんの脳の発育や神経の形成を助ける働きも持っています。

脳や神経がつくられる妊娠6週目までに葉酸が不足すると、赤ちゃんの脳の発育に影響を与える可能性があります。脳や神経が上手く作られずに、二分脊髄や無脳症といった先天性異常をおこすリスクも高くなります。こうした障害を「神経管閉鎖障害」と呼びます。

十分に葉酸をとったからといって神経管閉鎖障害のリスクをゼロにすることはできませんが、葉酸の摂取には発症のリスクを減らす効果があります。

日本では神経管閉鎖障害を持つ赤ちゃんは、1万人に6人という報告もあるそうです。

妊娠6週目まででは妊娠に気づかないケースも少なくありません。そのため、厚生労働省の呼びかけでは、妊婦だけではなく、妊娠が可能な女性全てが葉酸を積極的に摂取する対象となっているのです。

5-2 母乳と葉酸の効果

葉酸にはもうひとつ、妊婦さんにとって重要な役割があります。それは出産後の母乳の出をよくする効果です。妊娠中だけではなく、出産後も葉酸を十分にとる必要があります。

母乳の質は、母親の栄養状態によって左右されます。葉酸だけではなく、各栄要素をバランスよく含む食事をとることが大切です。

6 葉酸の必要量と摂取方法

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大切な役割を持つ葉酸ですが、必要量は年齢や性別などによって異なります。

6-1 葉酸の必要量

葉酸が一番必要とされるのは妊婦と妊娠可能な全ての女性です。葉酸の摂取量としては、1日に0.4mg(400μg)が推奨されています。

次に多いのが15~17歳の男女で、1日0.25mg(250μg)になります。3番目に多いのが18歳以上の男女で、1日0.24mg(240μg)です。4番目が12~14歳の男女で、1日0.23mg(230μg)になります。

12歳未満ではさらに摂取推奨量が少なくなります。10~11歳の男女が0.18mg(180μg)、8~9歳の男女が0.15mg(150μg)、6~7歳の男女が0.13mg(130μg)、3~5歳の男女が0.1mg(100μg)、1~2歳の男女が0.09mg(90μg)です。

1歳未満では摂取推奨量は定められていません。目安量として、0~5か月は0.04mg(40μg)、6~11か月が0.06mg(60μg)となっています。これは男女とも変わりありません。

なお、授乳期の女性は年齢に応じた摂取推奨量にプラス0.1mg(100μg)した量をとることが推奨されています。18歳以上は0.34mg(340μg)、15~17歳の場合は0.35mg(350μg)です。

6-2 体内での葉酸の生成と摂取方法

細胞の分裂や細胞の成熟を助ける働きを持つ葉酸は、どうやって摂取すればいいのでしょうか?

実はわずかながら体内でも作ることができます。葉酸を作っているのは、最近注目が集まっている腸内細菌です。でも、1日の必要量には遠く及ばないため、食事などで補う必要があります。

葉酸は緑黄色野菜などに含まれています。バランスのよい食生活をしていれば、一般には葉酸が不足する心配はありません。妊娠中や出産後など、特別な場合は、サプリメントで補うことを考えてください。

サプリメントは葉酸単体のものより、葉酸を活性化する働きがあるビタミンB12が含まれているものが適しています。

まとめ

葉酸は人間の生命維持に欠かせない新陳代謝や血液を作る上で大切な役割を果たすため、年齢や性別を問わず、全ての人に欠かせない栄養素のひとつです。

なかでも特に積極的に摂取したいのが、妊娠が可能な年齢の女性と妊娠中の人です。葉酸には赤ちゃんの健康な発育を助けて、先天性異常のリスクを減らす役割があります。妊娠初期に重要な栄養素なので、妊娠がわかってからとるのでは遅く、妊娠可能な年齢のすべての女性は葉酸をとる必要があるのです。

一般的には、バランスのよい食生活をしていれば葉酸は食事だけで十分な量がとれます。しかし、必要量が増える妊娠中と妊娠が可能な年齢の女性、授乳期の女性については、食事だけで十分な葉酸を摂取するのが難しくなるので、サプリメントも上手に活用しましょう。

【参考資料】
『葉酸』(健全社)永井勝次
『卵子の老化に負けない 妊娠体質に変わる栄養セラピー』(青春出版社・2017年)古賀文敏・定真理子
『七訂 食品成分表2017』(女子栄養大学出版部・2017年)香川明夫(監修)
『決定版 栄養学の基本がまるごとわかる事典』(西東社・2015年)足立香代子(監修)

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