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  2019.04.25



アロマの効果|アロマセラピーの活用で快適な日常を

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あなたは「アロマ」というとどんなイメージを持ちますか?

良い香りを部屋に漂わせ、リラックスするというイメージを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。「日本国内ではまだその程度のイメージを持つ人が多い」と言うのは、実際にエッセンシャルオイルを治療に用いている医師たちです。

芳香植物(ハーブ)から抽出された100%天然の精油をエッセンシャルオイルといいます。このエッセンシャルオイルを用いた治療を「Aromatherapy」といいます。「Aromatherapy」を英語読みすると「アロマセラピー」、フランス語読みをすると「アロマテラピー」というので日本ではそのどちらもの言葉が使われています。

ここでは言葉を統一するために「アロマセラピー」とさせていただきますね。

アロマセラピーの効果は「良い香りでリラックスする」という程度のものではありません。それぞれの症状に対して医師がつくる処方箋もありますが、それはエッセンシャルオイルを使って自宅でできるものも多いのです。

これからそのアロマセラピーの驚くべき効果やエッセンシャルオイルの使い方についてご紹介します。

目次

1 アロマの効果と効能
 1-1 アロマセラピー(アロマテラピー)とは
 1-2 アロマの効果・効能
 1-3 精油の使い方別アロマテラピー効果の理由
 1-4 精油選びの際注意すべきこと
2 アロマセラピーで効果を得る基本の方法
 2-1 精油でのマッサージと塗布
 2-2 精油を使った芳香浴と吸入
 2-3 アロマバス
 2-4 うがい
3 効果の目的別アロマセラピー(医師監修処方箋)
 3-1 女性の体の不調に効果のあるアロマ
 3-2 精神面に効果のあるアロマ
 3-3 アレルギーに効果のあるアロマ
 3-4 日常の不快症状に効果のあるアロマ
4 まとめ: アロマの効果は補完医療と呼べるレベルです

1 アロマの効果と効能

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1-1 アロマセラピー(アロマテラピー)とは

アロマセラピーとは「アロマ(芳香)」を用いた「セラピー(治療)」のことで、日本語では「芳香療法」と訳されています。

導入部分でお話させていただいたように、「アロマセラピー」と「アロマテラピー」は同じ「Aromatherapy」のことです。ここでは「アロマセラピー」に統一してお話していきますね。

「香りを用いた治療」と聞いても、まだあまりアロマセラピーが浸透していない日本ではやはり「良い香りでリラックスする」といった印象以上のものをイメージするのは難しいと思います。

これからそのアロマセラピーの効果についてご紹介していきますね。

1-2 アロマの効果・効能

アロマセラピーには、香りによる心身の癒やしやリラクセーション効果、肌や毛髪のみずみずしさを保つといった美容効果があります。

また、医学的効果を目的とした「メディカルアロマセラピー」では実際に身体の不調に対してアロマセラピーが効果を発揮しています。

アロマセラピーの美容効果

・リラックスすることで美肌、アンチエイジングなどに効く
・エッセンシャルオイルの効果で肌や髪のコンディションが良くなる
・心が潤されることで余裕が生まれ体全体の美につながる
・不眠が解消され肌の調子が良くなる

メディカルアロマセラピーの効果

・交感神経の興奮を抑えることで不眠症・パニック障害・不安発作・うつ等に効く
・血行促進効果によって肩こり・筋肉痛・頭痛などに効く
・気管支の症状を緩和することでかぜ・インフルエンザなどに効く
・殺菌力によってニキビ・主婦湿疹・水虫・口臭・わきが・帯状疱疹などに効く
・筋肉をほぐして血流を良くするマッサージにより顎関節症・下肢静脈瘤等に効く

1-3 アロマセラピーの歴史

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アロマセラピーを世に送り出したのは、フランスの科学者ルネ・モーリス・ガットフォセです。ガットフォセは化粧品の研究に携わり、ラベンダーの防腐効果に興味を持っていました。

あるとき実験中にやけどをしたガットフォセがその部位にラベンダーを塗ったところ、傷は化膿もせず治癒してしまいました。この経験から彼はラベンダーをはじめとする精油の研究に本格的に取り組むようになりました。

1930年、ガットフォセの自著「アロマテラピー」が刊行されました。後に同じフランス人の医師ジャン・パルネによって受け継がれます。彼は精油に関する膨大な臨床データを積み上げ、1960年代にはアロマセラピーの基礎を確立しました。

それからアロマセラピーはヨーロッパ各国へ広まり、様々な形を取りながら発展しています。

フランスでは徹底した「メディカルアロマセラピー」として発展し、病院や専門のクリニックには精油の薬理作用や処方に精通した医師がいます。フランスでは精油は医薬品と同様に扱われ、成分表示などについて細かな規定があります。

フランスでのアロマセラピーはフィトセラピー(植物療法)とともに医療行為の一つとして認められ、1991年に保険財政が破たんするまでは医療保険が適用されていました。

ベルギーではフランスのアロマセラピーの流れをくみ、現在でも25種類の精油に対して保険適用が認められています。

イギリスでは、精油を使ったマッサージが定着し、美容やエステの分野で進展を続けています。精油に関する理論やマッサージの技術を教育する公式の機関もあり、ここで学ぶことで認定アロマセラピストのライセンスが取得できます。

ドイツでも精油は保険医療の適用を受けています。温泉療法やタラソセラピー(海水療法)といった自然療法がさかんなドイツでは、アロマセラピーはフランスやイギリスとは異なる発展を遂げています。ドイツでは精油の香りそのものを重視し、香りで心身を治療することが中心となっています。

日本で本格的なアロマセラピーが紹介されたのは1985年、イギリスのロバート・ティスランドの著書「アロマセラピー・芳香療法の理論と実際」の翻訳書によります。そのため日本でもイギリス式のアロマセラピーとして、美容効果やリラクセーション効果を中心としたアロマセラピーが展開しました。

日本では若い女性を中心に、一種のアロマセラピーブームが起こります。すると市場には化学物質や農薬が混入した粗悪な精油が出回るようになり、皮膚炎などを発症する健康被害も報告されるようになりました。

こうした事態を憂慮した医師の川端一永氏は、正しい精油の選び方、使い方について精査検証する研究会を立ち上げます。のちに医師や看護師、助産師、薬剤師など国家資格を有する医療従事者によって1997年「日本アロマセラピー学会」を発足させました。

1-4 精油の使い方別アロマテラピー効果の理由

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アロマテラピーはヨーロッパ各国で補完医療として用いられ、使用される精油は薬品同様に保険医療の適用を受けています。

精油をどのように使用するかによって効果の出る理由は違いますので、ここではアロマテラピーの精油の使い方別に効果のある理由を説明していきます。

マッサージと塗布

皮膚は表皮・真皮・皮下組織からなります。表皮には細菌やウイルス、異物などの侵入を防ぐバリア機能があり、ほとんどの物質は表皮でシャットアウトされ皮膚内部に入り込むことができません。

ところが、精油成分の分子サイズはたいへんに小さく、精油の芳香分子は表皮の「毛孔(もうこう)」「汗孔(かんこう)」などから真皮、皮下組織へと浸透し、最終的に血液中に取り込まれて血液の流れに乗り体内に吸収されて薬理効果を発揮します。

また、精油を用いるアロママッサージは心身の疲労や緊張を取り去る働きがあり、高いリラクセーション効果を発揮します。さらに血液循環を促進し、筋肉の痛みやこりの原因となる乳酸などの疲労物質や老廃物を体外に排出する効果もあり、さまざまな不快症状の解消に役立ちます。

芳香浴と吸入

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精油の芳香成分は揮発性が高く、ビンから出たらすぐに蒸発しはじめます。空気中に拡散した芳香分子は呼吸によって鼻粘膜、肺へ送り込まれます。

◆鼻粘膜から脳へ

鼻の穴から吸い込まれた芳香分子は、鼻腔の内側奥にある嗅上皮に到達します。嗅上皮には香りを認識する嗅神経細胞が存在し、その表面からは香りと結合するレセプター(受容体)を先端に持つ嗅線毛が出ています。

芳香分子は嗅線毛のレセプターに結合し、これが刺激となって嗅線毛の内部では次々に反応が起こり、芳香分子はインパルスと呼ばれる電気的な信号になります。

この信号は嗅神経細胞から脳につながる軸索を伝って脳の嗅球(きゅうきゅう)に送信され、脳の大脳辺縁系を経て視床下部に到着します。視床下部に到着した信号は視床下部を刺激し、働きの落ちている恒常性維持調節機構を回復します。

甘酸っぱい柑橘系の香りをかぐとリラックスできたり、刺激的なペパーミントの香りをかぐとシャキッとしたりするのは、香りが信号に変換されて脳に伝達されるからです。恒常性維持調節機構とは

・血管や内臓の働きを調整する「自律神経系」
・体の機能がスムーズに働くように調節する物質、ホルモンの分泌にかかわる「内分泌系」
・身体をウイルスや最近などから守る「免疫系」

これらの3つのシステムをあわせたものを恒常性維持調節機構といいます。

◆肺から血液へ

呼吸器を介するもう一つのルートは、芳香分子が軌道を経て肺胞に取り込まれ、ここから血流に入っていくというものです。精油を吸入すると、約5分後には血中に精油の成分が出現することがわかっています。肺から取り込まれた精油は代謝されるのも早く、成分によって違いはありますが、わずか7~8分で体外に排せつされてしまいます。

吸入や芳香浴のメリットは、精油の成分を速やかに体内に取り込める点、好きな香りをかぐことでリラックスできる点です。手軽でありながら、心身両面にアロマテラピーの効果は表れます。

その他の方法

◆うがい

精油の殺菌作用をうがいで活かすことができます。精油なら何でも良いというわけではないので注意が必要です。ティートリー、ラバンサラ、ニアウリなどは水に落としてうがい薬として用いることができます。

◆内服

消化器から精油を吸収させる方法です。フランスやベルギーでは精油の内服はスタンダードな処方に含まれますが、日本では精油の内服はあまりすすめられていません。いずれにしても医師の指導のもとでおこなうことが望ましいため、個人が自己判断で内服することはおすすめしません。

1-5 精油選びの際注意すべきこと

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精油を選ぶときの主な注意点を医師は次のように述べています。

・植物名が学名で明記され、特徴となる成分、産出国も表示されている
・100%天然である
・原料のハーブは有機農法栽培である
・原料のハーブの抽出部分が明記されている
・生産国でびん詰めされている
・含有成分や成分分析データが開示できる
・1滴が0.05~0.06mlの範囲内である

精油は、日本では香料や雑貨の類として扱われるため、品櫃基準はないに等しい状態です。厳しい品質基準をクリアしたものとそうでないものとが同じように店舗で扱われているのが現状で、メディカルアロマセラピーに使える良質な精油は国内の市場に出回っている全製品のわずか5%にすぎないともいわれています。

粗悪な精油を使うと、化学物質や農薬が体内に吸収されてしまいます。アロマセラピーによる皮膚障害のトラブルは年々増加傾向にあり、国民生活センターにも精油が原因と思われる接触性皮膚炎などの被害が増え続けています。

アロマセラピーを安全かつ効果的に行うためには、良質な精油を選ぶ目を養うことが重要です。

国内で信頼できる精油(エッセンシャルオイル)を販売している会社
(株)健草医学舎

【コラム】 キャリアオイルについて
キャリアオイルは、精油を希釈して使うためのオイルです。100%天然の植物油でビタミン類を非常に多く含むなど、キャリアオイル自体にも保湿、鎮静、殺菌、抗炎症といったさまざまな作用があります。

●ホホバオイル
さっぱりした使用感が特徴。化学構造が人間の肌に類似しており、酸化しにくく品質が安定している。保湿効果が高く、肌質を選ばないのも利点。

●ローズヒップオイル
皮膚の免疫力を高め、細胞の修復効果に優れたα―リノレン酸、リノール酸を多くふくんでいる。

●月見草オイル
さらさらした軽い使用感が特徴。肌の修復作用に優れたγ-リノレン酸を多く含む。酸化しやすいので少量ずつ購入すると良い。

●マカダミアナッツオイル
使用感はやや重め。人間の皮脂の構成成分で加齢とともに減少するパルミトオレイン酸の含有量が抜群。酸化しにくい。

●スイートアーモンドオイル
香ばしい香りでリラックス効果が高い。オレイン酸やビタミンA・B群、ミネラル類を多く含み、保湿効果も抜群。

●小麦胚芽オイル
リノール酸、オレイン酸、γ-リノレン酸、ビタミンA・B群、ビタミンEを多く含み、保湿や抗炎症効果に優れている。使用感が重いので、他のオイルとブレンドして使うと良い。

2 アロマセラピーで効果を得る基本の方法

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2-1 精油でのマッサージと塗布

精油を直接皮膚につける場合は、必ずパッチテストを行います。

精油やキャリアオイルにはアレルギー反応を起こす人もいますし、精油の中には皮膚刺激を伴うものもあります。トラブルを避けるためにも、精油とキャリアオイル双方についてパッチテストを行ってください。

パッチテストの方法

1 実際に使う濃度にキャリアオイルで希釈した精油を上腕部の内側に10円玉くらいの大きさに塗り、そのまま2日間(48時間)様子を見ます。

2 変化がなければその精油、キャリアオイルとも使用して問題ありません。

3 皮膚にかゆみや赤み、発疹が出た場合は、精油かキャリアオイルのどちらかにアレルギー反応が起きていると考えられます。そこで、次は精油とキャリアオイル単独で同様のパッチテストを行います。

※アレルギー反応が現れた場合は、すぐに無香料のせっけんでよく洗い流し、タオルで軽くふいて空気にさらします。
※精油にアレルギーがあった場合は、その精油は塗布だけでなく吸入も控えてください。
※特定の精油にアレルギーがあった場合、精油の中には同様の薬効を持つものが必ずあるので、毎回パッチテストでチェックしながら自分に合った精油を使うようにしましょう。

マッサージの方法

精油をキャリアオイルで希釈したブレンドオイルを皮膚に塗り、マッサージをします。

マッサージの際のブレンドオイル(マッサージオイル)の量は、一部位(肩・背中・腕など)につき10円玉程度、両脚で5mlくらいが目安になります。

手指よくこすり合わせて温め、マッサージオイルを手のひらに取ります。手を温めることでオイルも温まり、精油が浸透しやすくなります。

患部にオイルを塗り、気持ち良いと感じられる強さで身体の末端から中心に向かってマッサージします。マッサージオイルは洗い流したりふき取ったりする必要はありません。キャリアオイルはとても吸収されやすいのでべたつくこともないはずです。

◆マッサージのポイント

・身体の末端から中心に向かう
・心地よい強さ、時間でおこなう
この2点を守れば、細かいことにはそれほどこだわらなくても大丈夫です。

◆マッサージの手法

・なでさする
手のひらを患部に密着させ、手のひら全体でやさしくなでるようにさすります。手足のほか、胸や背中など全体に使えるアロママッサージの基本です。

・もむ
手のひらや指を使って、筋肉をもみほぐします。心地よいと感じる強さでおこないます(痛いようなら強すぎです)。こりや痛みにおすすめのマッサージ方法です。

・押す
押して気持ちがいいところやツボなどを「1・2・3」と数えながら指で押していき、「4・5・6」でゆっくり指の力を抜きます。

◆塗布の方法

精油を患部に塗って有効成分を皮膚から浸透させることで、様々な病気や不快症状に対応できます。

精油をキャリアオイルで希釈します(濃度は2%までにとどめる)。希釈した精油を患部に塗ります。

【塗布における注意点】
・精油、キャリアオイルともに必ずパッチテストをおこなう
・精油は基本的に薄めてから塗布し、原液のまま塗らない(原液が皮膚についてしまったときは、水でよく洗い流す)

2-2 精油を使った芳香浴と吸入

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芳香浴の方法

空気中に芳香分子を分散させて、呼吸によって芳香成分を吸収させます。以下のような方法で、精油の芳香成分を空気中に拡散させます。

・ディフューザーなどで芳香を拡散させる
・40~50℃のお湯を張った洗面器に精油を2~3滴加え、香りを含んだ空気を漂わせる
・ティッシュペーパーやハンカチなどに精油を2~3滴たらし、そのまま部屋に置いておく

【芳香浴における注意点】
・1日3回、それぞれ15分程度にとどめる(長時間行うと疲労や頭痛を感じることがあるため)
・子供のいる家庭では、芳香浴に使う精油は1日10滴にとどめ、時々換気する

2-3 アロマバス

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精油を浴槽に加えて入浴します。取り入れやすく、精油の濃度も低いため、初心者にもおすすめの方法です。40℃前後のお湯に精油を3~5滴加え、良くかき混ぜながら入浴します。半身浴、足湯、手湯などにも利用できます。

【アロマバスにおける注意点】
・換気をじゅうぶんに行う
・精油は水に溶けないので、精油が直接皮膚につかないよう、よくかき混ぜながら入浴する

2-4 うがい

うがいの方法は、コップに水を180mlほど入れます。精油(ティートリーやレモンなどの殺菌作用のあるもの)を2~3滴加えてうがいをします。

【うがいにおける注意点】
・飲み込まないように注意する(うがいに使う程度の濃度であれば、多少消化管に入ってもそれほど問題はありませんが、こどもの誤飲などには注意しましょう)

3 効果の目的別アロマセラピー(医師監修の処方箋)

3-1 女性の体の不調に効果のあるアロマ

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アロマセラピーは女性の身体の不調に対して効果を発揮します。精油の中には、クラリセージ、スターアニスなど女性ホルモン様作用(女性ホルモンと同じような働きをする作用)を発揮するものが多数あり、不足しているホルモンを補ったり、ホルモンバランスを調整したりします。

その結果、月経障害、更年期障害、自律神経失調症といった様々な症状に改善効果が見られます。

月経不順に効くアロマセラピー

◆アロママッサージ

・クラリセージ…2滴
・スターアニス…1滴
・ホホバオイル…5ml

ビーカーにホホバオイルを入れ、各種精油を加えてよく混ぜます。手のひらで温めたマッサージオイルで下腹部を5分~10分程度円を描くようにマッサージします。

◆アロマバス

・オレンジ…2滴
・クラリセージ…1滴

40℃くらいのお湯をバスタブに張り、精油を落としてよく混ぜます。みぞおちまでお湯に浸かり10~20分程度、半身浴をおこないます。

【精油について】 クラリセージ
クラリセージは婦人科系の疾患に幅広く用いられる精油で、体内でエストロゲンと同じように働き、ホルモンのバランスを整えるスクラレオール(ジデルペンアルコール類)を含んでいます。
鎮静作用を発揮する酢酸リナリル(エステル類)も豊富に含んでいるので、ストレスで緊張している心身をリラックスさせてくれます。
【精油について】 スターアニス
スターアニスに含まれるトランスアネトール(フェノール類)にも、エストロゲンと同じような働きがあり、ホルモンのバランスを整える効果が期待できます。
【精油について】 オレンジ
オレンジに含まれる理も年(モノテルペン炭化水素類)は、血管を拡張して血流を促進し、骨盤内の血流を改善して冷えの解消に有効に働きます。

更年期障害に効くアロマセラピー

◆不眠、不安、イライラが強い時

・プチグレン…1滴
・ラベンダー…2滴
・クラリセージ…2滴
・オレンジスイート…1滴
・ホホバオイル…15ml

ビーカーにホホバオイルを入れ、各種精油を入れてよく混ぜます。このブレンドオイルを1日3回、前胸部と下腹部に塗ります。

◆うつ状態が出ているとき

・クラリセージ…2滴
・ネロリ…2滴
・ヨーロッパアカマツ…1滴
・ホホバオイル…10ml

ビーカーにホホバオイルを入れ、各種精油を入れてよく混ぜます。このブレンドオイルを1日3回、前胸部と下腹部に塗ります。

【精油について】 プチグレン・ラベンダー・オレンジスイート
脳の興奮を抑えて鎮静作用を発揮するため精神神経症状に効果を表します。
【精油について】 ネロリ
フローラルで爽やかな香りです。交感神経の過度な興奮を抑えます。
【精油について】 ヨーロッパアカマツ
フレッシュな森林の香りです。強壮作用があり心身をシャキッとさせるので、抑うつの改善に効果をもたらします。

3-2 精神面に効果のあるアロマ

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アロマセラピーは精神面にも効果を発揮します。身体に不調があり、不快感を覚えるのに検査をしても異常がないというようなケースには、自律神経失調症が疑われます。

自律神経は体の働きを無意識に調整している神経で、交感神経と副交感神経からなります。交感神経は心拍数を増やし、血管を収縮させて血圧を上げ、活動に適した体調を作る自律神経で、主に活動時に優位になります。

一方、副交感神経は心身をリラックスさせる自律神経で、食事時や休息時に優位になり、心拍数を少なくし、血管を拡張して血流を良くして食物の消化を促します。

交感神経と副交感神経がバランスを取って働き、一方が優位のときはもう一方の働きは抑えられます。自律神経の働きを支配しているのは、脳の視床下部です。視床下部はストレスの影響を受けやすく、心配事や過労などのストレスがかかると、その刺激が影響して自律神経のコントロールもうまくできなくなります。

交感神経が優位になってしまい「食欲がない」「眠れない」「イライラする」「下痢や便秘が続く」「頭痛」などの症状が現れます。

1章でお話したように、精油の香り分子は脳にダイレクトに働きかけます。精油に含まれる成分には、交感神経の興奮を抑えて副交感神経を優位にさせて調整する作用や、気分をリフレッシュさせる作用を持つものが多数あります。

不眠症やパニック障害、不安発作などにアロマセラピーは効果を発揮します。現状病院で処方されている薬を使っている人も、その薬の量を減らすことができるかもしれません。その際は、勝手に薬をやめるのではなく、医師に相談しながら減らせるかどうか試してみてください。

不眠症に効くアロマセラピー

◆入眠障害があるとき

・ラバンサラ…3滴
・ラベンダー…2滴
・ホホバオイル…10ml

ビーカーにホホバオイルを入れ、各種精油を入れてよく混ぜます。これを眠る前にみぞおちに塗ります。

◆早期覚醒があるとき

・オレンジスイート…3滴

37~39℃のぬるめのお湯を張った浴槽に精油を落としてよくかき混ぜます。寝る前にゆったりと入浴します。

【精油について】 ラベンダー・ラバンサラ
どちらも爽やかな香りで精神を落ち着ける効果があります。
【精油について】 オレンジスイート
フルーティで甘くライトな香りで血行促進、消化促進、鎮静作用があります。

不安発作に効くアロマセラピー

・ユーカリラジアタ…1滴
・サイプレス…1滴

不安を感じたら、すぐに精油類をティッシュペーパーかハンカチに落とし、5分間程度吸入します。
※精油のボトルを携帯し、そのまま吸入しても良いです。

【精油について】ユーカリラジアタ
クリアでシャープな清潔感のある香りです。強壮作用があり気分を前向きにしてくれます。
【精油について】サイプレス
ヒノキ科の植物から摂れるサイプレスはウッディで甘くライトな香りです。不安を取り除き心を鎮めてくれる効果があります。

3-3 アレルギーに効果のあるアロマ

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アレルギーによる様々な症状にもアロマセラピーを活用できます。 

スギやブタクサの花粉症の場合、アロマセラピーで花粉症を完治させることはできませんが、症状を一時的に抑える効果はあり活用する価値はじゅうぶんにあると医師はすすめています。

また、アトピー性皮膚炎の場合は非常に治療の難しい疾患であるため、アロマセラピー単独で治療をおこなうのは難しいといえます。長くステロイドを使用していた人がいきなり薬を中止して、アロマセラピー単独で治療するのは危険なので、はじめは薬と併用するようにし、6か月程度期間をかけて様子を見ながら徐々に移行していくことが大切です。

ステロイドを中止してアロマセラピーに切り替えて症状が悪化した場合は、いったんアロマセラピーを中止して、皮膚の炎症を治める必要があります。炎症を放置すると皮膚のダメージはどんどん修復が難しくなります。

また、アトピー性皮膚炎の人はとても肌がデリケートなので、必ず精油とキャリアオイルのパッチテストを行い、赤みなどがみられる場合はその精油は使わないようにしましょう。基本的に12歳以下の子どものアトピー性皮膚炎には、医師の指導のもとで行うことができる場合を除き、アロマセラピーはおすすめできないと医師はいいます。

アトピー性皮膚炎に効くアロマセラピー

◆小児期から発症したタイプのアトピー性皮膚炎

・カモミールローマン…1滴
・カモミールジャーマン…1滴
・ホホバオイル…10ml(またはワセリン小さじ1)
※皮膚が乾燥していたりひっかき傷があるならゼラニウムを2滴加えます

ビーカーにホホバオイル(またはワセリン)を入れ、各種精油を入れてよく混ぜます。これを、1日5回を目安に患部に塗ります。

【精油について】 カモミールローマン・カモミールジャーマン
どちらもフローラルな甘い香りです。どちらも抗アレルギー作用のある精油です。
【精油について】 ゼラニウム
ローズに似た甘くフレッシュな香りです。皮膚の修復作用や保湿作用があります。
◆成人から発症したタイプのアトピー性皮膚炎

・ラベンダー、またはゼラニウム…1滴
・ホホバオイル…5ml(またはワセリン小さじ半分)

ビーカーにホホバオイル(またはワセリン)を入れ、各種精油を入れてよく混ぜます。これを、1日5回を目安に患部に塗ります。

花粉症に効くアロマセラピー

・ユーカリラジアタ…3滴
(マートル、カモミールローマンでも良い)

精油をティッシュペーパーやハンカチに落とします。片方の鼻の穴を押さえながら片方ずつゆっくりと3回深呼吸して鼻の奥まで吸い込みます。マスクにユーカリラジアタを1滴落として使うのも良いでしょう。

【精油について】 ユーカリラジアタ
クリアでシャープな清涼感のある香りです。ユーカリラジアタに含まれる1.8シネオール(オキサイド類)は、鼻粘膜の炎症を抑える作用があり、鼻の通りを良くします。

3-4 日常の不快症状に効果のあるアロマ

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肩がこる、頭が思い、二日酔いで苦しいなど、日常生活の不快症状をアロマセラピーで緩和することができます。

症状によってはすでに医師の診察を受けて薬を処方されている場合もあるかもしれません。その場合は自己判断でアロマセラピーのみに切り替えたり、薬を中断したりすることは絶対に行わないようにしてください。

肩こり、筋肉痛に効くアロマセラピー

・ラバンジン…2滴
・レモン…3滴

各種精油をティッシュペーパーやハンカチに落とします。入眠1時間くらい前からこれを枕元に置き、眠ります。

【精油について】 ラバンジン
フルーティーで甘い香りです。鎮痛作用のあるリナロール(モノテルペンアルコール類)を含みます。
【精油について】 レモン
爽やかな酸味のある香りです。血行促進作用のあるリモネン(モノテルペン炭化水素類)を含みます。

頭痛に効くアロマセラピー

・オレンジスイート、またはローズマリーカンファー…2滴

各種精油をティッシュペーパーやハンカチに落とします。頭が起こりそうなときや頭痛がするとき、これを鼻にあててゆっくりと深呼吸しながら3~5分香りを吸い込みます。

【精油について】 オレンジスイート
甘いオレンジの香りです。リラックス効果があります。

【精油について】 ローズマリーカンファー
クリアで爽快感のあるハーブの香りです。血流増加作用、抗うつ作用、筋肉弛緩作用があります。

二日酔いに効くアロマセラピー

・レモン、ペパーミント、ローズマリーカンファーのいずれか…1滴

各種精油をティッシュペーパーやハンカチに落とします。これを鼻にあててゆっくりと深呼吸しながら3~5分香りを吸い込みます。

4 まとめ: アロマの効果は補完医療と呼べるレベルです

アロマの効果といえば「良い香りでリラックスできるという程度」というイメージが、かなり変わったのではないでしょうか。

アロマセラピーは、ヨーロッパでは本格的に補完医療として取り入れられているほどポピュラーなものなのですね。薬とまではいかないとしても、身体に塗ったり吸い込んだりして取り入れるものなので精油の品質はとても気になります。

日本では精油は雑貨扱いのため、アロマセラピーに使える品質の良い精油も、混ぜ物のある香りを楽しむだけのためのものも、同じ店で売られているという状況にあるようです。

自分でアロマセラピーをする場合、精油は本当に信頼できるところから購入することです。(1章で医師も扱っている精油を販売している会社をご紹介しています)

また、病院で治療を受けているときには、自分の判断で薬をやめたりしないことと医師は警告しています。さらに、パッチテストなどを正しくおこない、自分の身体に合う精油をみつけるようにしてください。

女性にはとくに多い、生理痛などのちょっとした身体の不調を解消してくれるアロマセラピーを日常に取り入れることで、より快適な日々を送れると実感しました。

【参考書籍】
「医師がすすめる『アロマセラピー』決定版」(川端一水・吉井友季子・横山信子 マキノ出版)
「医師が認めたアロマセラピーの効力」(川端一水 河出書房)
「まいにちアロマ美人」(おかせみと ダイエックス出版)
「アロマテラピー検定合格テキスト&問題集」(翔泳社)
「クリニカル・アロマテラピー」ジェーン・バックル(フレグランスジャーナル社)
「佐々木薫のアロマ生活1・2」(佐々木薫 池田書店)

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