子育てをしていると、イライラしてしまうことがあります。
それまでの自分は、そんなに怒りっぽい性格ではなかったはずなのに、なぜか子育てが始まってからいつもイライラしている。イライラが止まらない……と、自己嫌悪に陥ることもあるでしょう。
勉強や仕事ならば自分の努力が結果に反映されやすいため満足感を得ることができますし、職場の人間関係ならば自分の気の持ちようや気配りによって良くなったりもします。
ところが子育てとなると、頑張っているのに何の結果も見えてこない。誰にも評価されることがない。これまでに経験したことのないことばかりが押し寄せてきます。できればイライラせずに子育てをしたいと誰もが願っているはずです。
教育コンサルタントや東京大学院教育学研究科博士などのプロが教えてくれる「イライラ解決法」と、実際に育児をして「こうしたらうまくいった」という先輩ママたちの声を参考にして、イライラ子育てを終わりにしましょう。
1.子育てにイライラしたらとりあえずこうしてみて!!
2.イライラのコントロールを身につける
3.育児の記録、公開していますか?
4.まわりの環境を変える
5.子育てのイライラから心療内科へ。医者や薬に頼ってもいい
6.子供は親が思ったように育つから不思議です
7.イライラから解放された母親たちの体験談
1.子育てにイライラしたらとりあえずこうしてみて!!
1-1.子育てにイライラしないためのプロが教える8つのアドバイス
「子どもが変わる 怒らない子育て」の著者、教育コンサルタントの嶋津良智さんはイライラしたときにする具体的な行動をこのように教えてくれています。すぐにできることばかりですので、覚えておいてイライラしたら実践してみましょう。
(1)ストップシンキング
イライラしたときに、ゆっくりと1,2,3と数えて思考を停止します。
(2)クロスポジション
自分が子供の立場だったら、と立場を入れ替えて考えてみます。
ex.)自分がこどもへ「成績が悪いんだから勉強しなさい!」
→子供が自分へ「太ってるんだからダイエットしなよ」
→子供が自分へ「料理がまずいから料理教室いけば?」
弱点を指摘されてすべきことを言われる気分の悪さがわかります。
(3)キープメンター
なんでも相談できる相手をみつけて、不満や不安をはき出せると、精神はかなり安定します。ひとりで抱え込まないような工夫をします。
(4)コーピングマントラ
イライラしたときに口にする「魔法の呪文」を決めておきます。
マントラを「これはちょうどいい!」に決めたとします。子供がコップの牛乳を床にぶちまけたとき、「これはちょうどいい!」と口にすることで脳は「何がちょうどいいんだろう」と答えを探し、「キレイに床の拭き掃除ができて気持ちいい」という答えをみつけます。
(5)リロケーションアイ
ふだんとは違う景色、環境に自分を置きます。夫と子ども達が寝付いてからドライブをする、こどもを預けて喫茶店に入るなど自分にとって少々緊張してストレスがかかるくらいのことをすると効果があります。
(6)ポジティブフォーカス
相手の良いところを思いだす方法です。夫なら「あのとき優しくしてくれた」、子供なら「ママのごはんがいちばん美味しいと言ってくれた」など、嬉しかったときのことを思いだします。
(7)リフレーム
自分の持っている枠(ルール、規律など)を変えます。「時間は必ず守らなくてはいけない」から「小さな子供がいるのだから、変更はしかたない」に変える、「部屋はすっきり片付けておきたい」から「この部屋だけは散らかしてもいいと決める」に変えるなど許す範囲を広げていきます。
(8)ファーストファクター
不安、悲しみ、恐れ、ストレス、寂しさ、絶望などの感情が第一の感情で、それを感じたくないために第二の感情「怒り(イライラ)」が生まれます。自分がイライラしている原因は何だろうと探ることで「ああ、自分は不安だったのだ」というふうに怒りを別の感情に変えることができます。
1-2. 先輩ママから学ぶ10個のヒント
(1)赤ちゃんの時の可愛い写真を家のあちこちに貼っておく
生まれた日の写真はとくに効果的!イライラしそうになったら眺めて、生んだときの感動を思いだしたり、赤ちゃんの頃の可愛い写真を見て「可愛い!」と感じることで心を落ち着けたりすることができます。
(2)トイレなどに一時避難する
このままでは手が出てしまうかも!というときに。泣きわめく子供の安全を確認したら、自分は隣の部屋やトイレなどに行って、お互いにクールダウンします。
(3)自分も泣きわめく、叫ぶ
子供がダダをこねて泣きわめいているとき、もうどうしようもない気持ちになったら「私だって泣きたいわよ!」と一緒に泣いたり叫んだりする。
(4)預けたくなくても預けてみる
専業主婦なのだから子供を預けるなんて贅沢などと罪悪感を持つ人こそ、一度祖父母や保育園の一時預かり、ベビーシッターなどに子供を預けて自分がやりたかったことをしてみて。イライラが溜まってきたと感じたときに早めにストレス解消を。
(5)お笑いのDVDを常に用意しておく
笑いはイライラと対局のもの。笑っていると何を怒っていたのか忘れてしまいます。
(6)イライラは夫にぶつけない
「所詮他人なのだから理解し合えない」くらいに考え、夫に期待しないこと。子育てが辛い、イライラするなど夫に言っても無駄。何の解決にもなりません。
疲れて仕事から帰ってきた夫には、子供の可愛かったところ、成長したところを伝えた方が自分の心も安定します。
(7)子供に「合い言葉」を覚えさせる
「ママは?」と言ったら「可愛い!」など、子供も自分もご機嫌なときに、遊びで合い言葉を覚えさせておきます。
ダダをこねて大泣きしている娘に「ママは?」と言ったら嗚咽しながら「か、か、可愛い」と言ってくれたので、イライラせずに笑ってしまいました。
(8)松岡修造並みにポジティブになる
イライラしてきたと思ったら、大きな声で「子供が散らかすのは元気な証拠!」「うちの子はおとなしくて自己主張できないのではなく、周囲を観察している天才肌!」「私の目を盗んでいたずらするとは、世渡り上手の大物!」などイライラの原因をポジティブに表現してみます。
(9)とにかく触れる
イライラが爆発しそうなとき、ぎゅっと子供を抱きしめたり、手をつないだり、触れることで心が落ちつくことがあります。子供の肌ってやわらかくてすべすべで、それだけで癒やし効果があるのかもしれません。
(10)寝る前に「褒めるごっこ」
寝る前に、子供とお互いを褒め合う遊びをします。「○○くんは今日ひとりで身体を洗えてすごかったです」「ママは自転車に乗るのが上手です」「○○くんはひらがなを読めるようになってきました」「ママは朝パンとたまごをお料理して上手です」など。
子供からはとんでもなく意外なことを褒められることもあり、感動で涙が出ることもありますよ。
1-3. 怒りをそのままぶつけてはいけない理由
怒りをそのまま相手にぶつけても、相手が受け取るのは恐怖や不安というストレスだけで、怒っている人の言いたいことや感情は理解してもらえません。
とくに成長過程にある子供に怒りをそのままぶつけていると、「いつも親の顔色をうかがい、萎縮して自分をうまく表現できない子供」「怒られているストレスを他の子供への暴力や暴言という形で発散してしまう子供」になる危険性があります。
イライラすることがあっても
怒りをコントロールすることが必要なのです。
前述の教育コンサルタント、嶋津良智さんは「怒りにフタをしてはいけない」と言う一方で、「怒ってばかりいると失うものが大きい」と言います。
免疫学では、怒ってばかりいる人は健康を害することがわかっています。また、怒りっぽい人と友達になりたい、怒りっぽい人と一緒にいて楽しいという人はいませんから、自然と人も離れていきます。
怒りにフタをして我慢するのではなく、感情をコントロールして自分の気持ちを相手に上手に伝えることが必要です。
2.イライラのコントロールを身につける
子育て中のイライラは、その矛先が子供に向いてしまいがちです。常にイライラして子育てをしていては、自分にとっても子供にとっても不幸な人生になってしまいます。上手に感情をコントロールできる方法をまとめました。
2-1.子供に対してムカッときたら・・・子育てイライラ対策
日常生活で子供にムカッとしたその瞬間、自分が口にする言葉を感嘆詞から始めることで、落ちつくことができます。子供がとった行動を、感嘆詞の後に実況中継してください。
へえ!○○ちゃんは人形を片付けてから他のことをしてね、って言われたのに人形も人形の洋服も片付けないままで絵本を出してきて読んでいるの
あらまあ!もうすぐ出かけるから着替えておいてね、ってお願いしたのにまだパジャマのままで○○くんはソファに座ってゲームしているんだ
子育て中のイライラの多くは、子供がしてしまう行動が自分にとって予想していなかったことだったために驚いたり、不利益を被るために腹が立ったりすることによります。詳しく実況中継するのは、前述した「ストップシンキング」同様、自分の感情を暴走させない方法です。感嘆詞をつけることで、たいしたことではないということを自分に言い聞かせることができます。
子供に対してムカッとすることがあっても、「怒りでは伝わらない」と親が理解していれば気持ちを落ち着けることができますから、この方法で落ちついてから「人形を片付けてね」「すぐにゲームをやめて着替えてね」と自分の要望を伝えることができます。
2-2.そのイライラは子育てのせいだけではない
自分のイライラは子育てが原因だと決めつけるのは良くありません。子供の行動に対してムカッとするのではなく、慢性的にイライラしていることに気付いたら、そのイライラの原因を考える時間を取ることが必要です。
放置しておくと、子供のちょっとした行動に対していちいち怒ってしまい、子供が萎縮してしまう原因になりかねません。慢性的なイライラの原因をつきとめるために、その日イライラしたこと、なぜそのような気持ちになったのかを紙に書きだしていきます。
A子さんの場合、旦那の家族に対するイライラが多いということに気付きました。夫のことは好きですし、もちろん離婚するなど考えてもいませんから、旦那の家族との付き合い方をどうしたら良いのか考えて書き出すことをくり返しました。
長電話をしてくる義母に対して「今ちょっと忙しいから」と言えなかったA子さんは、思い切ってそう口にしてみました。すると「あらそう、じゃあまたかけるわね」とあっさり電話が終わったのです。義母とうまくやりたい、いい人(嫁)だと思われたいと自分が考えすぎていただけだったのだと気付きました。
そのようにして、ひとつひとつ、イライラしたことの原因を解決していくそのことが、A子さんにとってストレス解消になり、むやみに子供に対して怒ることがなくなったそうです。
2-3.自分が楽になるために
イライラ、怒りをコントロールすることは、自分が楽になることがいちばんのメリットです。
もちろん、育児中は「子供のために」と思う気持ちもあるでしょうが、なによりも自分のため、自分を大切にして自分が楽になるためだと考えると、とてもリラックスした気持ちで取り組むことができます。
アメリカで始まった怒りのコントロール、「アンガーマネジメント」は日本では社団法人「アンガーマネジメント協会」として発足し、今では中学校の教育にも取り入れられています。
怒りは連鎖することがわかっていて、親が意味もなく怒ってばかりいると、その子供は友達に対して、怒りや恐怖で自分の言うことを聞かせようとします。当然、そのようなタイプの子供からは友達も離れていきます。すると自分を理解してもらえない苦しさで、さらにその子供の行動は悪化してしまうのです。
しかし、ここで子供の行動を矯正することばかり考えていては、結果によってはますますイライラしてしまうことになってしまいます。まずは自分が楽になるために。そう考えて、怒りをコントロールしてみましょう。
3.育児の記録、公開していますか?
SNSが普及し、自分の生活を公開する人が増えています。
育児日記も、以前は自宅でノートに書いていたものが、今は写真付きでブログやフェイスブックによって公開されています。こうしたことのメリット、デメリットを理解してイライラの原因を取り除きましょう。
3-1.イライラをみつめる育児日記の書き方
イライラの原因をみつける、自分に合ったイライラの対処方法をみつけていくとき、考えるだけではなく書き出すのはとても効果的です。子育て中のイライラを軽減するために、自分のための育児日記を始めてみませんか。
ポイントは、誰にも見せないということと、手書きにするということのふたつです。
自分しか読まないので、良い格好をせず見栄も張らずにありのままの気持ちをはき出すことができます。また、人はタイピングをしているときと、手書きで文字を書いているとき、脳の違う部分が働くと言います。手書きの方がより深くそのことについて考えられるのだそうです。
どんなときにイライラしたのか。子供のどんな態度に対してイライラしたのか。自分はどうしたかったのか、どうして欲しかったのか。怒らずにどうやってそれを伝えられたか。怒った後の後悔はあったか。
出来事を書き出すことで、イライラの原因がわかり、改善策もみつかります。
赤ちゃんが生まれてからしばらくは、ミルクの量やウンチの回数、成長の記録や、予防接種を受けた日などを記録する育児日記を書いていましたよね。
幼児のうちは書き留めておいた様々なことも、子供が大きくなるにつれ、だんだんと記録しなくなってしまうものです。
イライラをみつめるための育児日記を始めたら、ついでに子供の成長の様子も記録するとより子供に対する愛情が深まり、怒る回数も減っていきます。
3-2.ブログやSNSがストレスになることも
子供に関することを公開するとき、どうしても他人の目を気にしてしまうのではないでしょうか。そのことがストレスになっていないかどうか、よく考えてみる必要がありそうです。
毎日会えなくても、SNSでつながっているママ友。子育ての悩みを相談したり、同じ悩みがアップされている記事を見て「あるある!!」とうなずいたりという関係なら理想的ですね。
けれど、家庭や生活というのは本当に100人100通りですから、ときには相手の環境をうらやましく思ったり、自分も他の人に合わせるように同じようなことをしなくてはと焦ったりすることもあるのではないでしょうか。
例えば、夏休みやゴールデンウィークには子供と一緒に家族でレジャーに出かけなくては様にならないとか、まわりのママが料理上手なら自分も手作りしているように料理の写真をアップしなければ恥ずかしいとか。
お互いにコメントをするために、かなりの時間をつかってしまうということもあるでしょう。
見栄えの良い素敵な育児記録をつくるために時間がかかり、普段会わない程度のママ友との関係のために時間がかかり、ちょっとした競争や嫉妬があり、そのために現実の時間が足りなくて家事や育児でイライラしているとしたら、SNSとの関わり方をちょっと考えなくてはならないですよね。
Sさんは、こどもの可愛い写真を撮ろうと必死になり、「そうじゃなくてこっちに立って!」と子供にイライラしている自分に気付き、はっとしたそうです。
手軽にできる手作りおやつを、オシャレに見えるように撮影していて、子供が手を出して食べようとしたときにも「まだ、待ってて!」と叱ってしまいました。おやつのレシピ、作っている途中の写真、できあがりの写真と子供が美味しそうに食べている写真とそれに添える文章をすべてアップしたら、1時間はかかっていることにも気付きました。
時間が足りなくてイライラしているのに、自分は何しているんだろうとSさんは疑問に思ったのです。
「いろいろ考えたのですが、ちょっとお休みします。ごめんね」と1週間のお休みを宣言したところ、写真を撮らなくて良いということが、こんなにも楽なのかと驚き、子供を叱る回数も激減。そのまま半年以上SNSをしていないそうです。
無理に手作りおやつにこだわることもなくなり、疲れている日はこどもの大好きなポッキーを紙ナプキンの上に出すだけという日もあります。手作りするときは一緒にするようになり、盛りつけも子供に任せてつまみ食いもオッケー。
パパや家族とのレジャーや、お誕生日などの様子は非公開で丁寧に写真と文章で記録しているそうですが、家族に向けてだけ書いているので、とても温かく良い内容になっていると満足しています。
3-3.子供の立場で記録を見直す
自分が子供だったとき、親が不用意に口にした言葉に深く傷ついたことはありませんか?また、叱られたことを不条理に感じ、とても納得がいかなかったことや、親がイライラしているときの思い空気がとても嫌だったことなど、思い出せることはないでしょうか。
イライラをなくすために子育ての記録を始めたら、1週間分くらいをまとめて読み返し、自分が子供の立場だったらどう感じただろう、と想像してみてください。
子供は親がいないと生きていけないと本能で理解しています。反抗しているように見えても、本当のところは自分ひとりでは生きていけないから、親に嫌われたくないと考えているのです。
親がイライラしたり、怒ったりすることで、子供が親の思ったような行動をとったとします。「本気で怒れば言うことを聞く」と考えて自分の都合でイライラ怒っていたら、子供はどうでしょうか。
自分がその立場だったら。きっと親が恐くて、親に嫌われたくなくて、いつも機嫌を取るようになってしまうかもしれません。自分の考えで行動すると叱られるからと、無気力になってしまうかも知れません。何をしても楽しいと感じられなくなるかも知れませんね。
自分が子供だった頃のことを思いだしながら、今自分の子供はどんなふうに感じているのだろうと思いやることは、イライラを沈めるためにとても役立ちます。
子育てについては「タイプ別子育てと仕事を自分らしく実現するための方法」の記事もぜひ参考にしてみてくださいね。
4.まわりの環境を変える
イライラする原因がどうしても環境にある場合、環境を変えることで解決することもあります。ただ、引っ越しや転校などは容易ではないでしょうから、できる範囲で何をしたらいいか、じっくり考えてみましょう。
4-1.感情がマイナスになるお付き合いを断つ
公園やお友達の家で、子ども達数人と遊んだ後、自宅に帰ってからどうしてもイライラして子供にあたってしまうという悩みは多くの女性が経験しています。そんなときは迷わずママ友とのお付き合いをお休みして、家で子供とあそぶ、家事や買いものに一緒に行って楽しむなどに切り替えて様子を見てください。
例えば男の子がいる場合、お友達をたたいたり、意地悪したり、乱暴な言葉をつかったりする子供の母親は、そのことがとても気になって家に帰ったら子供を叱ります。でも、たたかれたり、意地悪されても我慢していたりするおとなしい男の子の母親は、そのことが気になって子供を叱ります。
つまり、子供の行動や態度が問題なのではなく、自分の子供にない部分を欲しがるということです。母親は、多動な傾向にある子供には「○○くんみたいにおとなしくしていて欲しい」と望みますし、おとなしい子供には「○○くんみたいにやんちゃでいいから元気いっぱいに動いて欲しい」と望んでしまうのです。
子ども達同士が、一緒に遊ぶことを楽しくて仕方ない様子なら、ある程度親もつきあう必要があるでしょうが、あまりに小さな子供同士の場合本人もストレスになっていることも多いものです。小さな子供に必要な子ども達の社会は、保育園や幼稚園からの集団生活で充分に学べます。
ママ友の誘いを断りにくいというタイプの人ほど、溜めたストレスが子供に向かう傾向にあるようです。「今日はゆっくり買いものに行くから」「今日は家でDVDを見るから」とさっぱりと断れるようになると、気持ちに余裕ができてイライラすることも少なくなることに気付くでしょう。
4-2.距離のある人と深い悩みを話す
誰かにイライラの原因や悩みを話すことで、気持ちが軽くなることもあります。
軽い内容の話なら、ママ友などに話すことでスッキリすることもあるかもしれませんが、できれば他のママには知られたくない悩みなどがあると、イライラの原因になっていることもあります。深い悩みほど、自分と距離がある人、客観的にアドバイスをくれる他人と話すのが良いでしょう。
そういうとき、誰に話したら良いのかわからない、ということもありますよね。まずは自分の住んでいる地域の地方自治体にどんな支援があるか確かめてみましょう。定期的に保健婦さんが育児相談に乗ってくれるところもありますし、幼稚園や保育園が子供を遊ばせながら母親の悩みを聞いてくれるというところもあります。
そうしたサービスは、自分から求めていかない限り提供されませんから、イライラしていて誰かに話がしたいときには、その道のプロを求めると良い結果になるかもしれません。
4-3.大きく環境を変えてみる
イライラを解消するために様々な努力をしても、どうしても子供に当たってしまう、子育てがつらいというときは、大きく環境を変えることが解決策になることがあります。イライラが募って虐待につながったり、子供にとって悪い影響があるほど怒ってしまったりすることが続く場合、すぐに行動する必要があります。
大きく環境を変えるといっても、人それぞれに現状で許される範囲は違うことでしょう。子供を保育園に預けて働いてみる。夫に育児休暇が取れないかお願いしてみる。他に思いつくことがあればなんでも、実行してみる価値はあります。
Uさんの事例
Uさんは娘が2歳になった頃からどうしようもなくイライラするようになってしまいました。1歳代の頃は可愛がっていたのに、2歳頃からは子供の態度にムカッとすることが多く、このままでは手を出してしまいそうで自分が恐かったといいます。
Uさんがとった行動は、実家の父親と夫の母親に電話をして、2,3日子供を預かってもらえないかお願いしたことです。実家には母親もいますが、子育てに関しては協力してくれるタイプではなく、娘を預かるのは「責任があるから恐いわ」などと言って避けていました。そのことでUさんは、気軽に自分の親に子供を預けられる他のママ友をうらやましく思っていたのです。
父親は愛情深いタイプの人でしたから、Uさんの頼みを聞いてくれました。「金曜日の夜から、日曜日の夜までなら母さんがなんと言っても自分が預かる」と父親が言ってくれたときには涙が出たとUさんは言います。
旦那の両親は娘を可愛がってくれるタイプでしたが、車で高速を使って3時間と、少々遠方に住んでいました。旦那が休みの週末に、娘を連れて実家に帰り、そのまま泊まってくるのが一番いいのではということになりました。
旦那の母親が「そのうち慣れたら、○○ちゃんだけでお泊まりしていいのよ」と言ってくれたことにも、感謝の気持ちで涙が出そうになったそうです。こうして週末、子供のいない生活を送ったUさんは何をしたかというと、娘のおもちゃをキレイに拭いたり、大掃除をしたりと結局娘のために動いていたそうです。美容室に行くなど自由も満喫しましたが、いつも何か物足りないような気持ちもありました。
そして、どちらの実家に預けたときにも、帰ってきた娘が両手を広げて「ママ!!」と泣きながら抱きついてきたときには、本当に可愛いと感じたそうです。
5.子育てのイライラから心療内科へ。医者や薬に頼ってもいい
子育ては24時間営業、イライラしてしまうのも当たり前のことです。ただ、旦那や両親に助けてもらってるのにダメだ、自分が悪いのだ、そう自分を責めてしまって、苦しくなっている、努力をしているけれど改善されない。ストレスがなくならない、辛い、という場合は、心療内科を受診するのも1つの手段として覚えておきましょう。
専門家に話を聞いてもらうだけでもだいぶ気持ちが楽になることもあります。
どうしても心療内科や処方される薬に抵抗がある方は、子育てのイライラに向けた、市販のサプリメントや漢方などもありますので、試してみるのもいいかもしれません。
ただでさえ、ママは病院へ行くのをつい我慢してしまいがちですし、心療内科に抵抗がある方も多いと思います。ですが、心療内科で受診してもらうことも、薬を飲むことも甘えでも逃げでもではない、ということを覚えておきましょう。
6.子供は親が思ったように育つから不思議です
「子供は親が思ったように育つ」と言うと、「そんなに簡単なら悩まない」と言われてしまいそうですが、実際に説明を聞くと納得できるようです。どういうことなのでしょうか。
5-1.「うちの子は…」そこに何を書き入れますか?
あるお坊さんが話してくれました。子供は、親が思ったように育つのだそうです。
「ああ、うちの子は心配だ。勉強しないから心配だ」と言っていると、勉強をしない心配な子供に育ちます。「うちの子は、勉強は苦手だけれど、思いやりがあって友達の多い子だから大丈夫」と思っていると、大丈夫な子供に育ちます。
なんだかパラドックスみたいで信じられないでしょうか?
自分の子供について、「うちの子は…」のあとに、どんなことを書き入れますか?書き入れたように育つとしたら、どうしたってポジティブな表現にしたくなりますよね。
「うちの子は気が弱いけれど優しくて人の痛みがわかる良い子だ」と書いたとします。
すると、親はそうした態度で子供に接するようになるはずです。「あなたは優しいから良い友達ができるわよ」と口にすることもあるでしょう。子供は、その部分に自信を持ちます。誰かが傷ついていたら優しくしてあげることでしょう。
ほらね、親が思ったように子供は育つようですよ。イライラしたら、「うちの子は…」のあとにたくさんポジティブなことを書いてみてください。
5-2.自分の短所と感じていることが目につく
子供に対してイライラしているとき、その子供の行動や態度に、自分の短所をみつけていることがよくあるようです。自分が、友だちづきあいが苦手で引っ込み思案だったりすると、子供が集団になじめずモジモジしているのを歯痒い思いで見てしまい、あとでイライラしてしまう。
自分が、人の気配を深読みしすぎる傾向にあると、子供がまわりの空気を和らげようとしてお調子者になっているのを見て、そんなに気を遣わなくていいのにとイライラしてしまう。
そういったことがあるかどうか、意識してみてください。自分で短所だと思っているだけで必ずその行動や態度には良い面もあるはずです。もしも完全に短所だとしても、自分に似ているのだからわかってあげられるはずです。イライラするより「ママもそういう性格だったけど、こうした方がいいかもね」と優しくアドバイスした方が効果的です。
5-3.「褒めて育てる」は理想論ではありません
「褒めて育てる」ことは理想論ではなく、本気でやる気があれば実践できることです。イライラしながら怒って育てるより、褒めて育てたい。それは誰もが願っていることでしょう。親がイライラして怒っていることと、子供がしては行けないことに対して真剣に叱ることとは大きく違いますし、子供もちゃんとその違いは受け止めています。
「褒めるだけでは言うことをきかない」「悪いことをしているのに褒めるわけにはいかない」と言って「褒める育児」は理想論としてしまうのはどうかと思います。褒めて育てるけれど、叱るときは叱る。親が自分の感情に振り回されてイライラして怒ったりしない。
つまり、イライラのコントロール、アンガーマネジメントができる親ならば、「褒めて育てる」ことはできるのです。
7.イライラから解放された母親たちの体験談
子育てのイライラに悩まされていた母親が、実践して良くなったという体験談です。イライラして気分悪く過ごすくらいなら、すぐに実践できることからやってみるに限ります。その効果に驚くことでしょう。イライラから解放された母親の事例を参考にして、イライラ育児をストップしましょう。
6-1.環境を変えて成功したFさん
ママ友たちといるときには、ついつい話を合わせてしまい「ダメママキャラ」を演じてしまう自分に疲れ、自宅で子供といるときにはいつもイライラしていました。自分もみんなに嫌われたくなくて、「ダメママ」の失敗談をいつも披露しているのに、息子がお調子者になってポッキーを鼻に入れて笑われているのを見ると無性に腹がたちました。
そんな自分が本当に嫌になり、パートの仕事に出るようになりました。正直言って、保育料を考えるとパート代なんて収入の足しにはなりません。けれどこの環境の変化は自分にとってとてもプラスになりました。
ママ友とだらだら誰かの家や公園で遊ぶこともなくなりましたし、時間を大切に使うようになりました。保育園の先生に対してはわざと「ダメママ」を演じる必要もなく、ごく普通の母親としていればよく、ストレスが一気になくなったのです。
離れている時間がある分、子供を愛しく思えますし、先生に「○○くんは人気者ですよ」と言われたおかげなのか、保育園でお調子者にしている子供を見ても少しも腹が立たないのが不思議です。
6-2.アンガーマネジメントの効果
私はどちらかというと、感情が豊かな方で、子供の頃から喜怒哀楽は激しかったように思います。感激屋で、ドラマや小説ですぐに涙しますし、嬉しいときもすぐに泣いてしまいます。
それでも、怒りに関しては子育てをするまでさほど強く感じたことはありませんでした。
平日は夫がいないとほぼ一日中、子供とふたりきりの生活になってしまったためか、子供に対して威圧的な態度をとったり、イライラして怒ったりすることが多くなっていました。
週末のある日、いつものように子供に怒っていたら、夫が「どうしたの?そんなに怒った○○ちゃんを見たことないよ」と真剣に言ってくれたので、はっと気付きました。
怒り、イライラは、エスカレートしてしまうようなのです。
すぐに感情をコントロールするための本を買ってきて、実践し始めると効果はてきめんに現れました。イライラしないためにすることは、自分にとっても気持ちの良いものばかりだったので実践するのも楽しく、感情はコントロールできることを知りました。
子供も普段は以前よりのびのびした様子で過ごしていますし、私が常にイライラ怒っていたときと違い、真剣に叱るときは真剣に受け止めるようになり、言いたいことが伝わっている実感があります。
6-3.育児記録を読んでイライラ解消
私は筆まめというか、記録を残すことや写真の整理をすることが好きなので、育児記録も楽しくしていました。
始めて言葉を話しはじめた頃の息子のことはとくに詳しく書いてあり、「えっしぇっしぇ(新幹線)」「ぐっと(ヨーグルト)」などの赤ちゃん言葉もたくさん記録してあります。
今は幼稚園に通っている息子にイラッとしたときには、この育児記録やアルバムを出してきて眺めます。「可愛かったなあ…」と思えたら、もうイライラはおさまっています。
ムッとした顔でテーブルに着き、育児記録やアルバムを見ていると、怒られると思って覚悟していた息子も恐る恐る近づいてくるので、「○○くん、可愛いでしょう。天使みたいに可愛くて、ママの自慢の赤ちゃんだったんだよ」と言うと恥ずかしそうに、でもとても嬉しそうにしています。