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もう一人で悩まないで!産後うつの原因と対策

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10人に1人が産後うつになる―。

「産後うつ」という言葉を検索すると、多くの人がそんな衝撃的な事実を目にする時代になりました。

あなたが、「産後うつ」と聞いて思い浮かべるのはどんなお母さんでしょうか?
出産前から精神的に不安定なお母さんや、赤ちゃんの誕生を不安に思うお母さんばかりが産後うつになるわけではありません。

しっかり者で、仕事もバリバリこなすような女性も産後うつになってしまうケースが多くあるのです。

産前産後の女性の体はホルモンの劇的な変化にさらされます。

そして、産後の女性たちは、ただでさえ大変な赤ちゃんのお世話に加え、様々な情報や周囲からの言葉に悩み、傷つき、戸惑うのです。

ここでは、産後うつになってしまうメカニズムを知り、自分自身や周囲の人々がどうすればよいのかを見ていきましょう。

目次

1. 女性ホルモンの仕組みと働きを知っておこう!
1-1. 女性らしさを作るホルモン「エストロゲン」
1-2. 守りモードのホルモン「プロゲステロン」
1-3. 出産後、ホルモンバランスはどう変わる?

2. 子どもを持つと脳まで変化する!
2-1. 出産後の驚きの脳の変化
2-2. 赤ちゃんを産んだらみんながお母さんになれる?
2-3. ハッピーな妊娠中、ブルーな産後……。

3. 10人に1人が産後うつ。あなたは大丈夫?
3-1. 産後うつのチェックリストを見てみよう
3-2. マタニティブルーと産後うつはどう違う?
3-3. 私が弱いから産後うつになっちゃったの?

4. 産後うつかな?と思ったら
4-1. 産後うつの対処法<自分編>
4-2. 産後うつの対処法<周囲編>
4-3. 悲しい結末を避けるためにすべきこと

まとめ

1. 女性ホルモンの仕組みと働きを知っておこう!

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女性ホルモンには「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の2種類があります。

月経のリズムはこの2つの女性ホルモンが増えたり減ったりを繰り返して作られます。
また、妊娠中や出産後はこの女性ホルモンの分泌量が極端に変わり、赤ちゃんを守る一方で、女性の体に様々な変化をもたらします。

まずは、この女性ホルモンについて詳しく見ていきましょう。

1-1. 女性らしさを作るホルモン「エストロゲン」

妊娠していないときの「エストロゲン(卵胞ホルモン)」は、月経後に分泌が高まるホルモンで、特に女性の体の維持に深く関わっています。

その働きは主に以下の通りです。

・思春期に胸をふくらませ、性器の成熟を促し、丸みを帯びた体を作る
・子宮に作用し、子宮の内膜を厚くするなど受精卵の着床を助ける
・血管にコレステロールがたまることや、骨量の減少を防ぐ
・髪の健康や、肌のハリ、潤いを保つ
・脳の機能を維持し、気持ちの安定や、記憶力を維持する。
・関節や筋肉の動き、胃腸を快調に働かせる

まさしく、女性の大切な要素を引き出してくれるホルモンといえます。

このエストロゲンは、妊娠すると子宮の発育を促し、成長していく胎児を助けます。
また、後述するもう一方の女性ホルモンであるプロゲステロンと協力して乳腺の発達を促し、赤ちゃんに与えるおっぱいの準備をすることでも知られています。

1-2. 守りモードのホルモン「プロゲステロン」

そして、もう1つの女性ホルモンが「プロゲステロン(黄体ホルモン)」です。

プロゲステロンは、妊娠していないときには排卵後から分泌が高まるホルモンで、主に妊娠を助けるための「守り」のホルモンといわれています。

その働きは主に以下の通りです。

・妊娠成立しなかった場合、厚くなった子宮内膜をはがし子宮内膜を掃除する
・体温を上昇させる
・体内に水分をためたり、胃腸の動きを弱くする

これらの働きの副作用のような状態として、肌の不調、ぼーっとする、むくみが出る、便秘になる、気持ちが不安定になるなどの状態が出やすくなります。

そして、このプロゲステロンは、妊娠後、子宮の収縮を抑えて妊娠を維持することに役立つ作用もあります。
また、エストロゲンと協力しておっぱいの準備をすることもします。

1-3. 出産後、ホルモンバランスはどう変わる?

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普段、女性ホルモンは卵巣から分泌されています。
しかし、妊娠中は妊娠を維持するためにエストロゲンとプロゲステロンの両方が胎盤からも大量に分泌されるようになります。

その後、赤ちゃんが産まれると胎盤も役割を終え、出産と同時に体から排出されます。
そして、妊娠中に胎盤から分泌されていた女性ホルモンは劇的に減少し、ほとんどゼロになるのです。

女性ホルモンが急激に減少することによって、抜け毛や肩こり、尿漏れ、情緒不安定などの不調が出ることは少なくありません。

さらにこのとき、お母さんの体はホルモンバランスの激変だけでなく、育児に対する不安や緊張、ストレスにさらされてしまうのです。

2. 子どもを持つと脳まで変化する!

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それでは、女性の体内で出産後に変化するのは女性ホルモンの分泌量だけなのでしょうか?

答えはNOです。

最新の研究で、出産・育児を経験すると、女性の脳は大きく変化することが分かっています。
そして、この変化は、育児にとってとても大切な変化なのです。

2-1. 出産後の驚きの脳の変化

出産後、女性の脳に大きな変化が起こり、その変化でもたらされる能力アップは、どれも育児に必要なものばかりです。
実は、この変化は脳の30箇所以上が肥大化するというものなのです。

いくつかの例を挙げます。

・上側頭回:子どもの泣き声に敏感になる
・島:赤ちゃんを愛おしいと思い、守りたいと思う気持ちの強化
・内側前頭前野:育児に喜びを感じる
・運動野:意思決定、行動力の上昇
・視床:赤ちゃんの泣き声、動きから気持ちを読み取る能力の上昇

このような変化のおかげで、お母さんの脳は「赤ちゃんのお世話に特化したもの」となっていくのです。

2-2. 赤ちゃんを産んだらみんながお母さんになれる?

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それでは、赤ちゃんを出産した瞬間からみんなが簡単に「お母さんモード」になれるのでしょうか?

実はそういうわけでもありません。

確かに脳は変化をするのですが、この変化はそれぞれの女性の「育児経験」が大きく関わっているということも研究から分かっています。

出産経験のない20代の女性を対象にした研究があります。
3か月にわたり、週に1回、2時間ほど保育園で赤ちゃんを抱く、おしめをかえる、食事を与えるなどのお世話をするという育児経験をします。
3か月後、赤ちゃんの泣き顔や泣き声を聞いたときの脳の変化を調べてみると、育児経験前に比べ、脳の反応箇所が増えたそうです。
特に、脳内の赤ちゃんに愛着を感じる場所や、泣き声を聞いて心配する気持ちにさせる場所の反応が強くなっていました。

つまり、この研究からわかることは、母性というものは出産経験だけで生まれるものではなく、実際に赤ちゃんに触れ、育児をする中で培われていくものだということなのです。

現代社会においては、自分が出産するまで赤ちゃんと接することがほとんどない女性も少なくないのが現実です。
そのため、母性をはぐくむには不利な環境であるといえるでしょう。

2-3. ハッピーな妊娠中、ブルーな産後……

女性の体の中で妊娠後出産が近づくと、通常の数百倍もの女性ホルモンが体内を満たし、脳内へも働きかけます。
神経細胞にも働きかけ、妊娠中の女性に幸せな気持ちをもたらします。
なんだかハイな気分になってしまったりするのはこのためです。

その一方で、出産と同時に女性ホルモンは急降下してしまい、脳は「孤独や不安」を感じやすくなってしまいます。

実は、人間は本来一人で子育てするのではなく、共同体の中において、みんなで沢山の子どもを養育するような体の仕組みになっているとも言われています。
つまり、産後の孤独感は周囲の手助けを欲するために必要な感情でもあるのです。

しかし、現代においては「ワンオペ育児」という言葉もよく耳にするように、パートナーの協力すら得られないことも多く見受けられます。

協力者もなく孤独感の中で育児をスタートすることは、産後うつを引き起こす原因となります。

3. 10人に1人が産後うつ あなたは大丈夫?

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ここまで、産前産後の女性の体にどんな変化があるのかを見てきました。

それでは、実際に産後うつの症状はどんなものかを確認してみましょう。

3-1. 産後うつのチェックリストを見てみよう

「私は、産後うつなのかもしれない…」

そう不安に思っている人は、まずこの10項目をチェックしてみてください。

① 何に対しても(それまで好きだったものでも)興味や喜びがわかない
② 極端な体重の増減がある
③ 眠れない、寝つきが悪い
④ いつも気持ちが焦る
⑤ わけもなくイライラする
⑥ いつも疲れている
⑦ やる気が出ない
⑧ 集中力がない
⑨ 考えがまとまらない
⑩ 生きていても仕方がないと思う

この中の5つ以上が当てはまり、2週間以上その状態が続いているようであれば、危険信号が灯っています。

そして、何に関しても「私のせいだ」など、自責の念が強く出たり、わけもなく涙がこぼれたりします。
重症になると、何をすればよいのか決められなくなり、医者に行くべきか判断できないだけでなく、周囲にヘルプを求めることすらできなくなります。

3-2. マタニティブルーと産後うつはどう違う?

脳内にはセロトニンという、不安感やイライラを抑えて精神を安定させる作用のある物質が存在します。

実は、女性ホルモンのエストロゲンは、このセロトニンの取り込み口となる受容体を増やすと言われています。
つまり、エストロゲンの分泌低下は同時にセロトニンの分泌も減らしてしまうということです。

産後、脳内のセロトニンが不足してしまうことで、誰もが一時的に情緒不安定になりがちです。
ここに育児のストレスや疲れが加わり、情緒不安定に拍車がかかります。
これが「マタニティブルー」です。

マタニティブルーは、エストロゲンが激減した産後2週間ぐらいに多く起こります。
しかし、マタニティブルーは一時的なもので、産後1か月ほどで本人も気づかないうちに落ち着いてきます。

このように、マタニティブルーは、知らないうちに解消されてしまうものなのですが、一方で、そのまま情緒不安定が続いて不安感が強くなっていくと「産後うつ」につながってしまうのです。

3-3. 私が弱いから産後うつになっちゃったの?

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産後うつになってしまったお母さんの中には、

「周りはきちんと育児できているのに、産後うつになってしまうなんて、私が悪いんだ」

と自分を責めてしまう人も少なくないことでしょう。

しかし、産前産後の体と心の変化についていけないのは仕方のないことです。
そして、特にまじめで几帳面な頑張り屋さんだったり、完璧主義な傾向のある人ほど、産後うつになりやすいと言われています。
仕事もプライベートも、バリバリと生き生きと過ごしてきた人でも「なるときはなる」。
それが、産後うつなのです。

思うように考えられない、体が動かない、それも産後うつの症状。
でも、それは、あなたが怠け者だからではありません。
自分を責める必要は全くないのです。

4. 産後うつかな?と思ったら

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「産後うつかもしれない……」

そう思ったときに大切なことは、落ち込むことでも嘆くことでもありません。
具体的にどうしたらいいのかをしっかり知って、対処していきましょう。

4-1. 産後うつの対処法<自分編>

もちろん、自分が産後うつかもしれないと思ったら、ショックかもしれません。
もしかしたら、慌ただしい日々の中でショックだと感じる余裕もない人もいるかもしれません。
パートナーを含め、周囲の人に相談してみても簡単に理解を得られないことも多くあります。
そんなときには専門家に頼ることで、適切なアドバイスを受けることができます。

もしもまだ、自分で行動を起こせる状態であれば病院を受診してみましょう。
受診する科は、精神・神経科や心療内科が専門ですが、受診を迷っている場合は、子どものかかりつけの小児科や、自分のかかりつけの産婦人科でもかまいません。

病院へ行くハードルが高い場合には、地域の保健センターや、保健所にいる保健師などに相談してみてください。
各地域で、お母さんたちがSOSを出せる環境、そしてSOSを出せないお母さんを助ける取り組みが進んでいます。

また、産後の保健師の家庭訪問がある地域も多いと思います。
そんなときにはためらわずに、自分の状態を話してみるのも大切です。

「こんなことを言ったら自分はダメな母親と思われるのではないか?」

なんて思う必要は全くありません。
ほとんどのお母さんが「育児がつらい」と感じているものなのですから。

4-2. 産後うつの対処法<周囲編>

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そして、もう1つとても大切なのが周囲の協力です。

そもそも、育児への不安や孤独、一人で赤ちゃんのお世話をすることへのストレスや疲労から始まる産後うつです。

落ち込むお母さんに「頑張れ」「みんな通る道だから」などと叱咤激励するばかりでは、お母さんは余計に落ち込んでしまいます。

お母さんが産後うつになってしまったときには、お父さんはゆっくり話を聞き、自分も育児に積極的に参加しましょう。
何をしても怒られるからと育児から逃げることはせず、一緒に前向きに育児に関わりましょう。
お父さんは育児の「協力者」ではなく、「当事者」であるという意識を持ってください。

普段仕事でお父さんが助けられない時間には、双方の実家や公共の育児サポートなどが受けられるよう、手配するのも大切な役割の1つです。

そして、もしもお母さん自身が判断力を失い、病院などに相談できない状態になっていたら、病院への受診を促しましょう。

4-3. 悲しい結末を避けるためにすべきこと

東京23区内において自殺で亡くなった妊産婦は、2005年からの10年間で63人に上ると日本産婦人科学会で報告されました。
出産数に占める割合は10万人当たり8.5人。
これは出血などによる妊産婦死亡率の約2倍です。

自殺した時期は「出産後1年未満」が40人で、その3分の1が「産後うつ」だったことがわかっています。

このような数字を他人事とは決して思わないでください。
そして、お母さんたちは一人で孤軍奮闘することをやめましょう。

各自治体で違いはありますが、自治体では託児サービスや育児相談などの育児支援を行っています。
託児サービスなどを自分のリフレッシュのために利用することも、ときには必要です。
お母さんの心の健康は、赤ちゃんのためにもとても重要なのです。

心と体の不調に気づいたら、早めに病院への受診をしましょう。
地域の子育て支援窓口でもかまいません。

とにかくSOSを出すところから始めてみましょう。

まとめ

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私は現在、1歳と2歳の男の子を育てている2児の母です。

実際2人の子育てをしてみると、自分一人ではどうしようもないことの連続です。
泣き止まない2人の子どもを抱いて途方に暮れて、一緒に泣きだした夜も何度もあります。

アメリカでは妊娠中の両親学級で、産後うつは誰にでも起こりえることで、ならなかったらラッキーと思いなさい、と指導されるそうです。

家事に、育児に、すべてを100%こなすのは無理です。
安心してください。完璧なお母さんなんて、どこを探してもいません。
配偶者や周囲の人々、地域のサービスなどを頼り、甘え上手なお母さんを目指してください!

 

 

【参考資料】
・『ママたちが非常事態!?最新科学で読み解くニッポンの子育て』 ポプラ社 2016年 NHKスペシャル取材班(著)
・『婦人公論 2017年9月12日号 No.1478』 中央公論社 2017年 婦人公論編集部(発行)
・『妊娠・出産・産後生活で大切なこと ペアレンティング・ブック』 小学館 2005年 竹内正人(監修)
・『産後、つらくなったら読む本』 合同出版 2014年 やまがたてるえ(著)
・『NHKすくすく子育て 産後ママの体と心 トラブル解消BOOK』 日本放送出版協会 2010年 対馬ルリコ(監修)

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