女性にとって、素肌の美しさは重要なテーマのひとつです。ゆで卵のようなツルツルの肌や、赤ちゃんのようなプルプルの肌にあこがれる人は多いでしょう。
できるなら、いくつになっても美しい肌でいたいですよね。
美肌に憧れながらも、仕事や遊びの疲れが肌に出ちゃっていませんか?疲れた肌では、年齢よりも老けてみられることになりかねません。
美肌づくりには、適切な毎日のスキンケアが欠かせません。ここでは美肌をつくるためのスキンケアと悩み別対処法を紹介します。
目次
1 皮膚の構造と美肌のポイントを知る
1-1 皮膚の構造
1-2 肌の美しさを決める5つのポイント
1-2-1 うるおい感
1-2-2 なめらかさ
1-2-3 ハリ
1-2-4 弾力
1-2-5 血色と透明感
2 スキンケアのステップと注意点
2-1 朝のスキンケア
2-1-1 洗顔
2-1-2 化粧水
2-1-3 乳液・クリーム
2-1-4 日焼け止め
2-2 夜のスキンケア
2-2-1 クレンジング
2-2-2 洗顔
2-2-3 化粧水
2-2-4 美容液
2-2-5 乳液・クリーム
3 4つの肌の悩みにスキンケアでアプローチ
3-1 肌のかさつき(乾燥)
3-2 シミ
3-3 シワ
3-4 くすみ
まとめ
1 皮膚の構造と美肌のポイントを知る
まず、皮膚の構造と美肌のポイントについて説明します。
1-1 皮膚の構造
皮膚はおよそ1.5mm~4mmと薄いものですが、「表皮」と「真皮」、「皮下組織」の3層からなっています。
表皮はさらに4層に分かれています。一番上が「角層」、次が「顆粒層」、3番目が「有刺層」、一番下が「基底層」です。
美肌に特に大きく影響するのが角層で、28~40日で新しくなっています。基底層の基底細胞が分裂して、徐々に角層に上がっていき、古くなった角層はアカとなって剥がれ落ちます。これをターンオーバー(新陳代謝)と呼びます。
基底層には紫外線に当たると肌を黒くする「メラニン」をつくる、「メラノサイト(色素細胞)」があります。
表皮の下にある真皮は、表皮を支える役割を担っています。真皮には、肌の弾力を司るコラーゲン繊維やエラスチン繊維などがあります。
真皮の下にある皮下組織は、外部からの衝撃を弱めるクッションの役割を果たしています。
1-2 肌の美しさを決める5つのポイント
「色の白いは七難隠す」ということわざがあるように、日本では昔から「白い肌」が美人の条件と考えられてきました。
しかし、「健康で美しい肌」と考えた場合、白さ以上に大切なものがあります。それが(1)うるおい感、(2)なめらかさ、(3)ハリ、(4)弾力、(5)血色と透明感の5つです。
(1) うるおい感
美肌のポイントのひとつがしっとりしたうるおい。これは肌表面の角層の水分量によって変わってきます。うるおい感やみずみずしさを感じるのは、角層の水分量が15%~20%のときです。
角質の水分量に影響を与えるのが、角層にある「セラミド」という成分です。セラミドが少なくなると、肌の乾燥が進んでしまいます。
(2) なめらかさ
肌のなめらかさとは、「肌のきめ」のことですきめは、肌の表面にある細かな網目模様を指します。網目模様の大きさと形が整っている状態を「肌のきめが細かい」といいます。
(3) ハリ
ハリのある肌は、触ると弾力があって、指が跳ね返されるような感じがします。シワやたるみがなく、ピンと張っていて、若々しさがあります。
(4) 弾力
皮膚をつまんで引っ張ったりしたときに伸びてもすぐに元に戻り、ハリがある肌のことを、弾力がある肌といいます。
ハリや弾力に大きな影響を与えるのが、真皮にあるコラーゲン繊維です。コラーゲン繊維が減ると、シワやたるみができてしまいます。
(5) 血色と透明感
血色と透明感に関係するのは、真皮と皮下組織に張り巡らされている毛細血管です。毛細血管を血液が滞りなく流れていると、肌の細胞の隅々まで栄養が行き渡ります。
血色とは、頬などに見える健康な赤みのこと。これは真皮と皮下組織の毛細血管を流れる血液の色が透けて見えることで生まれます。肌に透明感がないと、きれいな血色は出ません。
2 スキンケアのステップと注意点
肌は、表皮、真皮、皮下組織の3層がきちんと機能していれば、健康で美しい状態を保つことができます。
でも、紫外線や加齢などによってダメージを受けると、肌が備えていた働きが低下して、シワやたるみ、くすみやシミなどが生じてしまうことがあります。
スキンケアは、こうした肌が本来持つ働きを復活させることを目的として行うものです。すぐに効果が出るものではないことため、朝晩のスキンケアの継続が美肌づくりには欠かせないのです。
2-1 朝のスキンケア
朝と夜とではスキンケアのステップが変わってきます。朝のスキンケアは、(1)洗顔→(2)化粧水→(3)乳液・クリーム→(4)日焼け止めの4ステップです。
日中の肌は、紫外線や大気汚染、乾燥した空気といった、さまざまな刺激を受けます。朝のスキンケアでは、こうした刺激から肌がダメージを受けるのを防いだり、受けるダメージを減らしたりすることがテーマとなります。
(1) 洗顔
夜にしっかりとスキンケアしているから、朝は水で洗えば十分と思っていませんか?顔には眠っている間に皮脂などの汚れがついています。朝の洗顔はこうした皮脂汚れなどを落とすために行います。
夜のスキンケアにクリームを使っている人や皮脂の分泌が多い人は、きちんと洗顔料を使って、洗いましょう。
・たっぷりのぬるま湯で顔を洗い流す。
・しっかり泡立てた洗顔料を顔全体になじませて、撫でるように洗う。
・32℃程度のぬるま湯か、水ですすぐ。
・目のまわりや小鼻のまわり、生え際、フェイルラインは洗い残しやすいので、注意して洗い流す。
・洗顔後は清潔なタオルで顔全体を押さえるようにして、水分を取り去る。
※泡立ちにくい洗顔料の場合、こすらず、撫でるように顔全体を洗います。
(2) 化粧水
清潔な状態になった肌に、たっぷりと水分を補給します。化粧水はパッケージなどに記載された量をきちんと使うことが大切です。
・たっぷりの化粧水をコットンに含ませるか、手のひらにとる。
・頬から口元、額の順番に軽く押し込むようにして顔全体になじませる。
(3) 乳液・クリーム
化粧水で補給した水分を肌にとどめるためには、油分の蓋が必要です。この油分の蓋の役割を担うのが乳液やクリームです。
塗る量は、乳液で小さじ1杯程度、クリームならパール粒1粒分程度です。
クリームの方が乳液よりも含まれる油分の量が多いので、肌があまり乾燥していない場合は乳液、乾燥が気になる場合はクリームと、使い分けるとよいでしょう。
・片方の手のひらに乳液をとり、反対の手のひらを合わせて広げる。
・乳液を広げた手のひらを顔に当て、そっと抑えるようにして顔全体に薄くなじませる。
<クリームの塗り方>
・クリームは額、鼻、あご、左右の頬の5カ所に載せる。
・両手の手のひらで包むようにして、顔全体になじませる。
(4) 日焼け止め
紫外線は肌の老化を引きおこす危険なもの。普段からきちんと対策しておくことが大切です。
日焼け止めは、製品のパッケージなどに記載された使用量を守らないと、十分な効果が期待できなくなることがあります。少なめに塗りがちなので、指示された量をきちんと使いましょう。また、「むらなく均一に塗る」ことも重要です。
紫外線対策は顔だけでは十分ではありません。首、首の後ろ、耳、胸元にも忘れずに塗っておきましょう。
・額、あご、鼻、左右の頬の5カ所に日焼け止めを置く。
・内側から外に向かって、日焼け止めを伸ばす。
2-2 夜のスキンケア
1日過ごした顔には、メイクのほか、ホコリや大気汚染に含まれる油汚れなども付着しています。夜のスキンケアは、汚れを落とすことが鍵となります。
ステップは、(1)クレンジング→(2)洗顔→(3)化粧水→(4)美容液→(5)乳液・クリームの5つです。
メイクなどの油性の汚れをクレンジングでしっかり落とすところからスタートしましょう。
(1) クレンジング
クレンジング剤をたっぷり使い、時間をかけずに素早く行うことが大切です。クレンジング剤は肌に刺激を与えるので、時間をかけすぎると肌にダメージを与えてしまうので、気をつけてください。
マスカラやアイラインなどのアイメイク、リップペンシルやリップなど、落としにくいポイントメイクを専用のリムーバーで取り除いてから、顔全体のメイクをクレンジング剤で落とします。
・専用リムーバーはコットンにたっぷり付ける。
・コットンを目元など落としたい場所にしばらく当てておく。
・メイクとリムーバーがなじんで浮いてきたら、力を入れずにそっと拭き取る。
<クレンジング剤の使い方>
・クレンジング剤をたっぷり手にとる。
・力を入れずに、時間もかけずに、なるべく素早くクレンジングとファンデーションをなじませる。
・ファンデーションが浮き上がったら、ぬるま湯(32℃程度)でさっと洗い流す。
・メイク汚れが残りがちな小鼻のまわりやフェイスラインも、きちんと洗い流す。
(2) 洗顔
クレンジングで落とすのは、メイクの6割程度です。残ったメイクや汗など水溶性の汚れは、洗顔できれいにします。
・クレンジング剤を洗い流した後のぬれている肌に、よく泡立てた洗顔料を手のひらでそっとなじませる。
・たっぷりの32℃程度のぬるま湯か水を手のひらで受けて、顔にかけるようにしてきれいに洗い流す。
・顔についた水分を清潔なタオルをそっと押し当てて、吸い取る。
(3) 化粧水
朝と同様、パッケージなどに記載された量をコットンか手のひらにとって、顔全体に優しくなじませます。
乾燥が気になる場合は、ローションパックを行うとよいでしょう。
・コットンに化粧水をたっぷり含ませる。
・化粧水をたっぷり含ませたコットンを3分の1から半分ぐらいの厚みになるように剥ぐ。
・頬や額など乾燥しやすい部分に載せる。
・そのまま3分ぐらい置く。
(4) 美容液
美容液は、有効成分が濃い肌の栄養剤のようなものです。肌のタイプや目的に合わせて、バラエティーに富んだ製品が販売されています。自分の肌の悩みや目指す肌に合うものを選んで使いましょう。
化粧水と同じように、パッケージなどに記載された使用量を守ることが大切です。美容液は高価なものが多くなっていますが、もったいないと、使う量を減らすと十分な効果が期待できなくなります。
・片方の手のひらに指示された量の美容液をとる。
・美容液を載せた手のひらに反対の手のひらを合わせて、よく伸ばす。
・中指と薬指を鼻に添えるように手のひらを顔に当てて、内側から外側になじませていく。
・頬が終わったら額、次にあご、最後に目元・口元・鼻のまわりになじませる。
(5) 乳液・クリーム
乳液やクリームには、化粧水で補った水分や美容液の成分をしっかり閉じ込める役割があります。乳液の後に美容液を使うと、あまり効果が期待できなくなるので、使う順番には注意してください。
塗り方は朝と同様でOKです。油分が多いアイテムなので、塗りすぎるとにきびなどの肌トラブルの原因となることがあるので、気をつけてください。
3 4つの肌の悩みにスキンケアでアプローチ
肌に何らかの悩みを抱えている人は多いでしょう。「お手入れをしっかりしているつもりでも、なかなか美肌になれない」と悩んでいる人は、悩みに合わせたスキンケアを試してみませんか?
肌の乾燥状態を知るために、まずは自分の肌質を調べてみましょう。
方法は簡単です。洗顔後、化粧水などを何も付けずに15〜20分待つだけ。
顔全体がかさつく場合は乾燥肌。顔全体がテカっているようならオイリー肌。かさつく部分とテカっている部分があるようなら混合肌。かさつきもテカリもない場合は普通肌。
肌の状態はいつも同じではありません。いつもと変わらないスキンケアをしていても、肌が荒れてしまったり、にきびや吹き出物ができてしまったりすることもあります。美肌を手に入れるには、肌の状態をきちんと知ることが大切です。
ここでは多くの人を悩ませる4つの肌のトラブルの対処法を紹介します。早めの対処が肌トラブル解決への近道です。
3-1 肌のかさつき(乾燥)
□クレンジングにはオイルを使っている。
□クリームはベタつくのが苦手だから使わない。
□パウダータイプのファンデーションを使っている。
□エアコンの効いた室内で過ごす時間が長い。
角層に15〜20%の水分が含まれている状態が健康な肌です。乾燥肌では、この水分が10%以下に落ちてしまっています。肌の乾燥は、肌が持つバリア機能の低下に繋がるため、さまざまな肌トラブルを招きかねません。
肌が乾燥しているときは、皮脂を落としすぎない洗顔料やクレンジング剤を使って洗顔します。
化粧水はセラミドなどの保湿成分が豊富に含まれているものを選んで、たっぷりつけます。洗顔後や入浴後、なるべく早く化粧水を付けるのがコツです。その後、保湿効果を高めるため、セラミドやNMF(天然保湿成分)が配合された保湿美容液を使いましょう。
乳液やクリームは油分の多いタイプを選んで、薄く均一に顔全体になじませるようにします。
3-2 シミ
□紫外線対策を行わずに外出する。
□曇りや雨の日は日焼け止めを塗らない。
□家にいるときは、ファンデーションを塗らずにすっぴん。
シミの原因となるのは、皮膚のメラノサイトという細胞がつくるメラニンです。
メラニンには、紫外線によって表皮細胞のDNAがダメージを受けるのを防ぐという大切な役割があります。通常は、紫外線を浴びる量が減れば、メラニンの生成も減ります。できたメラニンは、ターンオーバーに伴って、古くなった細胞と一緒に排出されます。
しかし、何らかの原因でメラニンが作り続けられるようになったり、できたメラニンが排出されずに貯まったりすると、シミができてしまいます。
シミのケアでは、予防が大切です。紫外線対策は季節を問わず、きちんと行いましょう。
普段はSPF15〜20、PA++、アウトドアで過ごす時間が長いときはSPF20〜30、PA++といったように、状況に合わせて日焼け止めを使い分けます。
日焼け止めだけではなく、ファンデーションを重ねて使うと効果的です。
メラニンの排出をスムーズに行えるように、ターンオーバーを高める工夫もしましょう。全身の血行をよくするには、入浴や軽い運動がおすすめです。
3-3 シワ
シワはふたつに分けられます。ひとつが表面性のシワ(小ジワ)、もうひとつが真皮性のシワ(深いシワ)です。
小ジワは角層の水分が失われることでできます。その原因となるのは、紫外線や空気の乾燥です。化粧水に保湿美容液を重ねるなど、しっかりとした保湿ケアを行えば消すことができます。
深いシワは老化現象のひとつです。肌の弾力の元となるコラーゲン繊維が加齢によって減ったり、紫外線によってダメージを受けたりしたことなどが原因となります。予防のために、紫外線対策はきちんと行いましょう。小ジワから進行することが多いので、小ジワの段階からケアすることが大切です。
肌の弾力の元になる成分(コラーゲン、ヒアルロン酸、レチノール、ビタミンC)が配合された化粧水や美容液もおすすめです。
3-4 くすみ
肌のくすみは、肌の透明感が不足している状態のことです。くすみを気にする人は多いのですが、実はくすみには明確な定義がありません。
くすみの原因として考えられているのは、ターンオーバーの乱れや血行不良です。
血行の改善には、温かいお湯に浸して絞ったホットタオルで顔全体を温めます。首の後ろや耳の下も合わせて温めるとよいでしょう。
ターンオーバーの乱れの対策には、古くなった角質を取り除くピーリングが有効です。併せて、紫外線ケアと美白ケアを加えて、メラニンの生成や蓄積を防ぎましょう。
まとめ
美肌をつくるためのスキンケアは、シンプルです。乳液やクリームをたっぷりと塗ることが美肌に繋がると誤解されがちですが、重要なのは化粧水や美容液でしっかり保湿ケアを行うことです。
また、紫外線対策は家から出ない日も含めて毎日の習慣にしましょう。肌の光老化を招く紫外線から肌を守ることで、さまざまな肌トラブルを防ぐことができ、美肌に近づけます。
さらなる美肌を目指すなら、適切なスキンケアにプラスして、美肌に欠かせない栄養、ビタミンCを積極的にとるように心がけるとよいでしょう。
【参考資料】
『美肌の教科書』(主婦と生活社・2014年)川島眞
『今更聞けないスキンケアの正解』(主婦の友社・2010年)吉木伸子