好感度がアップする話し方を身につけたいと思いませんか?
コミュケーションで悩む人にとって、大きな壁となっているのが話し方です。言葉は幸せをもたらこともあれば、暴力になることだってあります。
好かれる人間になるということは、相手に媚びることではありません。もっと話をしたい、一緒にいたいと思ってもらうことです。
あなたが好きな人はあなたを幸せな気分にします。同様にあなたが「人に好かれる」ということは、「相手を幸せにする」ことなのです。
ここでは、人に好かれる、相手を幸せにする話し方のテクニックを5つのジャンルに分けて解説します。実は、コミュケーションの中で相手に好感をもってもらうことは、それほど難しいことではないのです。
目次
1 人に好かれる話し方 | 相手を満足させる
人に好かれる話し方1 挨拶を欠かさない
人に好かれる話し方2 相手の気持ちを満たす
人に好かれる話し方3 指示的、断定的な表現はしない
人に好かれる話し方4 相手を気遣うひと言を忘れない
2 人に好かれる話し方 | 聞き上手になる
人に好かれる話し方5 相手を好きになる
人に好かれる話し方6 うなずきと相づちを入れる
人に好かれる話し方7 自分が話すタイミングを見計らう
人に好かれる話し方8 キャッチボールを意識する
3 人に好かれる話し方 | 質問上手になる
人に好かれる話し方9 ゴールデンクエスチョンを意識する
人に好かれる話し方10 ポジティブクエスチョンを心がける
人に好かれる話し方11 押しつけや決めつけをしない
人に好かれる話し方12 クローズドクエスチョンを効果的に使う
4 人に好かれる話し方 | 好感をもたれる
人に好かれる話し方13 日頃から笑顔を心がける
人に好かれる話し方14 パーソナルスペースを意識する
人に好かれる話し方15 アイコンタクトを欠かさない
人に好かれる話し方16 相手の右側を意識する
5 人に好かれる話し方 | 嫌われない
人に好かれる話し方17 相手が嫌がる話はしない
人に好かれる話し方18 自分の価値感を押し付けない
人に好かれる話し方19 丁寧すぎる言葉使いに注意する
人に好かれる話し方20 過去の栄光話をしない
まとめ
1 人に好かれる話し方 | 相手を満足させる
ホメられて嫌な気分になる人はいませんね。人間はみな自尊心を満足させられると、いい気持ちになります。
「すごいですね」「さすがですね」といった言葉は相手を承認する意思表示です。人間は他人から承認されることによって満足感や安心感を得るのです。
そのほかにも相手を満足させる話し方には次のようなテクニックがあります。
人に好かれる話し方1 挨拶を欠かさない
好感度を高めるためには、まず周囲の人にきちんと挨拶をしましょう。挨拶はもっともわかりやすい承認のメッセージです。
挨拶が苦手だという人は、笑顔で軽く頭を下げることから始めてください。相手を承認したことが伝わったと感じたとき、あなたの心の中に小さな満足感が芽生えます。その小さな満足感が言葉を発しやすくしてくれます。
人間の脳は具体的な行動をイメージできると安心するといわれています。脳内の不安を減らして行動を起こしやすくするためには、「笑顔で軽く頭を下げよう」と言葉にして脳に伝えればいいのです。
人に好かれる話し方2 相手の気持ちを満たす
相手の3つの自尊心を満たしてあげましょう。「セルフエスティーム(自己肯定感)」の研究で知られるアメリカの心理学者ウィル・シュッツは、人間の自尊心を3つの欲求に分類しました。
・尊重されたいと思う「自己尊重感」
・重要な存在として認められたいと思う「自己重要感」
・有能だと評価されたいと思う「自己有能感」
誰かに仕事を頼まれた場合、「ご期待にそえるように」というひと言を加えると相手の自己尊重感を満たすことができます。これは、「あなたのために」という意思表示ですね。
まだ親しくない相手や交渉相手に対して、話の中で相手の名前を呼ぶようにすると、相手の自己重要感や自己有能感を満たすことができます。
難しい交渉などでは、相手の意見に自分の意見との一致点を見つけ、評価しながら名前を呼ぶと効果的です。
人に好かれる話し方3 指示的、断定的な表現はしない
相手の「自分を肯定したい」という自尊感情に配慮して、指示したり断定したりするような表現は避けましょう。
人間は他人からコントロールされることに嫌悪感をもちます。同じことを伝える場合でも語尾を変えるだけで相手を受容する表現になります。
「〇〇すべきです」 → 「〇〇しましょう」
「これだよね」 → 「これですか?」
「すぐにやって」 → 「すぐにやろう」
受容性を高めると、言葉によっては自信のなさと受け取られてしまう可能性もあります。そのときの相手や場所に合致した的確な表現を見つけましょう。
人に好かれる話し方4 相手を気遣うひと言を忘れない
感謝の気持ちを表す言葉や、相手を思いやる言葉を忘れないようにしましょう。
人間は褒められるよりも感謝されるほうが、喜びの度合いが高いといわれます。「ありがとうございます」のひと言が相手を幸せな気分にさせます。
本来、「すみません」は謝罪の言葉ですから、感謝するときに使っても相手に喜びの感情はわきません。やはり「ありがとうございます」がもっとも適しているのですが、さらに感謝している根拠を付け加えることによって相手の満足感は高まります。
「ありがとう。きれいに仕上がったね」
「ありがとうございます。助かりました」
人間は自分に好意をもってくれる相手に好意をもちます。相手を思いやる言葉にも、行動を示す言葉を付け加えると好感度を上げることができます。
「お疲れさまでした。暑い中をたいへんでしたね」
「お疲れさまでした。重い荷物だったでしょう」
2 人に好かれる話し方 | 聞き上手になる
「聞き上手」こそは、人に好かれる話し方の原点です。
相手に「この人は自分の話をしっかり聞いてくれている」と思ってもらうためには、「この人が喜ぶ笑顔になってあげよう」「この人の気持ちが晴れるまでしっかり聞いてあげよう」と思うやさしさが必要です。
人に好かれる話し方5 相手を好きになる
目の前にいる相手を好きになろうと努力しましょう。先にも言いましたが、人間は自分に好意をもってくれる相手に好意をもつからです。
苦手意識がある相手に対しては、まず「苦手だ」「嫌いだ」という感情をできるだけ抱かないようにします。
そして心の中で好きになろうと努力するのです。「好きだ、好きだ」と心の言葉を繰り返すのもいいでしょう。そうすると、好きな部分が見つけやすくなります。
相手のことが少しでも好きになれると、自分にとっては興味のない話でもまるごと全部受け入れようと思えるようになります。
人に好かれる話し方6 うなずきと相づちを入れる
「私はあなたの話をしっかり聞いていますよ」という意志をもっとも伝えやすいのが、うなずきと相づちです。
「はい」とうなずく。
「そうですよね!」と共感する。
「なるほど!」と感心する。
というように、うなずきながら相づちを打ちます。さらに驚いたり感心したりという表情が加わると相手を肯定する効果が増します。
人に好かれる話し方7 自分が話すタイミングを見計らう
相手の話は最後までにこやかに聞くように努力しましょう。話を途中で遮られると誰でも不快感を抱きますよね。
自分のことを話したくてウズウズしていても、会話の主導権を奪うようなことをしてはいけません。「私はね」と主役の座を奪っても、ただの自己満足にすぎないのです。
相手が話をしている間、その相手はあなたの話を聞く準備ができていません。そこに無理やり話をねじ込んでも、相手も心には届かないのです。
人に好かれる話し方8 キャッチボールを意識する
会話のキャッチボールは、正確に相手へと投げ返しましょう。
相手の話を聞いてボールを受けても、自分の都合ばかり考えてまったく違う方向へ投げ返してしまう人がいます。それでは相手に不快感を与え、その場の雰囲気も壊してしまいます。
疑問形の質問を多く用意しておくと、相手が心地よいキャッチボールを続けられるようになります。
「どんなお仕事をされているのですか?」
「いつから今の会社にいらっしゃるのですか?」
「休日は何をして過ごされますか?」
こうした質問を頭に中に多くストックしておき、質問の答えを相手からもらったら、次の質問を投げるか、関連のある話題へと話を広げるのです。
3 人から好かれる話し方 | 質問上手になる
相手を幸せにするためには、相手のことを知らなければいけません。
相手の考えを引き出したり、気持ちを動かしたりする質問者にならなければいけないのです。いい質問者になるためには3つの条件があります。
・目的を明確にする
・相手をよく知る
・相手を否定しない
明確な質問で相手をよく知り、いかなる場合でも相手を否定せずに受け入れるところから人間関係を構築していくのです。
人に好かれる話し方9 ゴールデンクエスチョンを意識する
必要な情報を入手するためには、しっかりとした目的意識をもってモレのない質問をする必要があります。その際、役に立つのが「5W2H」です。
・When(いつ)
・Where(どこで)
・Who(だれが)
・What(なにを)
・Why(なぜ)
・How Much(いくらで)
・How(どのように)
「ゴールデンクエスチョン」と呼ばれる5W2Hを意識した質問は、短時間に必要な情報を揃えることができます。
しかし、手順を急ぐと相手に不快感を与えてしまうこともありますから、途中で相手の感情に応える時間を作りましょう。あまりしつこく使い過ぎるのも嫌われる原因になりますから、気をつけてください。
人に好かれる話し方10 ポジティブクエスチョンを心がける
肯定的な質問を心がけましょう。否定的な質問は相手の否定的な考えを引き出し、肯定的な質問は相手の肯定的な考えを引き出します。
否定的な質問(ネガティブクエスチョン)は、肯定的な質問(ポジティブクエスチョン)に変換することができます。コツは、5W2Hの「Why(なぜ)」を使わずに質問することです。
「なぜ、できないの?」
↓
「いつまでにできる?」
「どこを変えたらできる?」
「誰とならできる?」
「何があればできる?」
というように、「なぜ」を排除するとポジティブクエスチョンになります。
人に好かれる話し方11 押しつけや決めつけをしない
自分の意見を押し付けず、相手が自主的になれるような質問をしましょう。
誰でも何かを強く押し付けられると、反発したくなってしまいます。人間は命令されると自己重要感が低下してしまいます。低下した自己重要感を反発することによって取り戻し、精神のバランスを保とうとするのです。
このバランスが崩れたままの状態が続くと、うつ病などの原因にもなってしまいます。
相手の自尊心を満たすためには、先入観を捨てて、断定的な言い方や押し付け的な言い方をさけて質問することです。また、お伺いをたてるような質問は、相手の自己尊重感を満たすことができます。
「明日、ミーティングをお願いします」
こんな押し付け的な言い方では相手が不快感をもってもおかしくありません。
「明日、ミーティングを行いたいのですが、ご都合はいかがでしょうか?」
相手の都合を気遣うことによって、自尊心を満たすのです。
人に好かれる話し方12 クローズドクエスチョンを効果的に使う
「イエス」か「ノー」か、または二者択一、三者択一で選択肢を提示するクローズドクエスチョンを効果的に使いましょう。
結論が出しやすいクローズドクエスチョンは、スピーディーな会話を成立させ、なかなか決断ができない相手に対しては効果的な質問方法となります
また、相手に「自分が選んだ」という満足感を与えることもできます。
しかし一方で、あまり続けると会話が単調になり、冷たい印象を与えてしまいがちです。必要以上に結論を急がないようにしましょう。
4 人に好かれる話し方 | 好感をもたれる
好感をもたれる人の条件は、全体から受ける印象のバランスがとれていることだといわれます。全体から受ける印象とは、
・表情
・目線
・声
・言葉使い
・仕草や態度
といった要素を含みます。
人に好かれる話し方13 日頃から笑顔を心がける
笑顔の習慣をつくりましょう。良好な人間関係にもっとも必要とされるのが「笑顔」です。
笑顔がもたらす効能は、相手に好印象を与えるだけはありません。自らの脳を活性化し、免疫力さえ高めるといわれているのです。
笑顔の人は誰もが気軽に声をかけることができて、その場の空気を明るくします。笑顔のない人には話かけづらいものですよね。
笑顔は内面から出てくる明るさが自然に作り出したものです。しかし、作り笑顔でも同等の効能があるといわれます。
普段から笑顔を作るトレーニングをしましょう。口角を上げるだけでも効果がありますよ。
人に好かれる話し方14 パーソナルスペースを意識する
パーソナルスペースを意識して相手との距離をとりましょう。パーソナルスペースとは「心理的な縄張り」のことです。
アメリカの文化人類学者エドワード・ホールは、他人に近づかれると不快に感じる物理的距離を4つに分類しました。
・家族や恋人など密接な関係に許される「密接距離」: 0㎝~45㎝
・友人や知人など通常の個人的関係に許される「個体距離」: 45㎝~120㎝
・交渉や商など社会的関係に基づく「社会距離」: 120㎝~360㎝
・大衆など対象として働きかける「公衆距離」: 360㎝~
通常、密接距離に家族や恋人以外の人が入ると、警戒心や不快感を催します。話の説得力は相手との距離が近いほど増しますが、初対面やあまり親しくない人と話すときには手が届きそうな個体距離をとるとうまくいきます。
プレゼンをするときや、相手に対して積極的に自分をアピールしたいときには、社会距離でも1歩前に出て、相手との距離を詰めると効果的です。
人に好かれる話し方15 アイコンタクトを欠かさない
相手の目を見て話す、目を合わせて挨拶をする、といったアイコンタクトで「あなたの存在を承認しています」という好意を示します。人に好かれる話し方を身につけようと思ったら、アイコンタクトは欠かません。
ところが、アイコンタクトは回数が多すぎると相手に威圧感を与えてしまいます。相手をじっと見つめすぎても、睨まれたと勘違いされてしまうこともあります。
話し方の達人は相手との関係によってアイコンタクトのしかたを変えます。相手に威圧感や圧迫感を与えないように気をつけましょう。
人に好かれる話し方16 相手の右側を意識する
好意をもたれたかったら、相手の右側からの行動を意識しましょう。人間は心臓のある左側を無意識に守る習性があり、左側から迫るものには警戒心を強くします。
・相手の右側に並んで歩く
・資料などを右側から渡す
・部下を右側から注意する
好意をもっている相手の右側を歩くようにすれば、相手は安心感を覚えて恋人に発展する可能性も高まるでしょう。
部下に注意するときなどは、右に立って叱責すれば少々強い口調でも相手に威圧感をあまり与えずにすみます。
逆に左側から行動すれば相手はあなたに脅威を覚えますから、精神的優位に立つことができますが、確実に嫌われます。
5 人に好かれる話し方 | 嫌われない
嫌われるのは、相手があなたに好意をもてない理由があるからです。
人それぞれ、話し方には癖があるものです。自分では気づいていないことが嫌われる原因となっていないか、よく振り返ってみましょう。
自分の中に嫌われないためのルールを作ってしまい、そのルールに自分が苦しめられて不自然な態度で接していることが原因であるケースも多々あります。
嫌われない話し方の基本は自然に振る舞うことです。
人に好かれる話し方17 相手が嫌がる話はしない
相手が嫌がる話や困る話題は避けるのも基本中の基本です。
とくに身体的特徴や癖などを必要もないのに話すのはやめましょう。あなたは冗談のつもりでも、相手を大きく傷つけてしまうことがあります。
もしも、どうしても相手の嫌がることを話さなければいけないときは、2人きりのときを選び、相手が話を聞く準備をしてからにしましょう。
人に好かれる話し方18 自分の価値観を押し付けない
自分の価値観を前面に出さず、相手への譲歩や思いやりを示しましょう。
日常会話には知らず知らずのうちに自分の価値観が出るものです。コミュケーションとは価値観のぶつかり合いでもあります。
自分の価値観にこだわるのは悪い事ではありませんが、お互いの価値観の相違が原因で人間関係を壊してしまうこともあるのです。
知らぬ間に価値観を押し付けて敬遠されないよう、大人の会話を心がけましょう。
人に好かれる話し方19 丁寧すぎる言葉使いに注意する
丁寧すぎる言葉は、冷たさやよそよそしい感じを与えてしまうこともあるので注意しましょう。
目上の人や上司に対して丁寧な言葉で対応するのは当たり前ですが、丁寧すぎると無礼と思われてしまうことがあります。
敬語の使い方は難しいものです。気を使い過ぎて誤解されないよう、正しい使い方を学びましょう。
人に好かれる話し方20 過去の栄光話をしない
過去の栄光話は語らず、未来を語るようにしましょう。未来を話す人は好かれます。
昔の自分はこんなにすごかった、こんな賞をとった、などという過去の栄光話は、現状に対して不満を持っていることを表してしまいます。
相手に、「この人は昔話をして自分を承認するしかないのだ」という印象を与えてしまうのです。そんな後ろ向きの話は誰も聞きたがりません。
まとめ
人に好かれる話し方とはどういうものか、大枠をつかんでいただけましたか?
「人を幸せにするテクニック」というタイトルになっていますが、語尾を変えるだけであるとか、ひと言に気をつけるだけといった簡単な事柄も多いのです。
ただし、ひとつひとつの事柄は難しくはなくても習慣化しないと効果が出ないことばかり。日常的な会話の中に活きてこそ、人を幸せにすることができるのです。
ぜひ、日々の訓練でこれらの事柄を身につけてください。そして、話し方ひとつで人生が変わることを実感してください。
【参考資料】
『好かれる人の会話の法則』(日本能率協会マネジメントセンター・2012年)
『一言変えるだけで!もっと人に好かれる話し方』(大和書房・2009年)