「化粧品にたよらないアンチエイジングのケア方法を知りたい」
「アンチエイジング化粧品をより効果的にする食べ物を知りたい」
そう思っている女性は多いですよね?
人間の体を構成している60兆個の細胞は、ほぼ毎日新しい細胞が生まれて古い細胞が死んでいきます。
胃腸の細胞は5日、心臓は22日、皮膚は28日、筋肉は60日、骨は90日で、ほとんどの細胞が新しく入れかわるといわれます。
この「ターンオーバー」と呼ばれる代謝活動を支えているのは、私たちが食べたものなのです。
ですから、食べ物を見直すことは、年齢を問わず、アンチエイジングのもっとも重要な要素といえます。
ここでは、2つのルールと題して、アンチエイジング効果の高い栄養素や食品を解説します。
ぜひ、体の中から老化を防ぐ「ナチュラルアンチエイジング」を実践してください。
目次
1. 良質なタンパク質と油脂をとる
1-1. ミネラル豊富な牛肉の赤身
1-2. ビタミンB群豊富な豚肉
1-3. 低エネルギー高タンパクの鶏むね肉
1-4. アンチエイジング成分が豊富な大豆
1-5. アンチエイジング効果の高いオメガ3系オイル
2. 抗酸化食材をとる
2-1. 代表的な抗酸化物質
2-2. 抗酸化力の高い食品10選
2-2-1. 大豆
2-2-2. キノコ類
2-2-3. そば粉
2-2-4. コーヒー
2-2-5. 緑茶
2-2-6. リンゴ
2-2-7. ブルーベリー
2-2-8. 緑黄色野菜
2-2-9. ゴマ
2-2-10. 鮭
1. 良質なタンパク質と油脂をとる
タンパク質は肌細胞の原料となる栄養素で、コラーゲンのもとにもなります。
人間の体の60〜70%は水分で、水についで多いのが15%を占めるタンパク質。
ですから、アンチエイジングにはもっとも重要な栄養素といわれます。
体内におけるタンパク質の働きは、それだけではありません。
人間の体内には約3~10万種ものタンパク質があり、いろいろな働きをしているのです。
主なものには、体を動かす収縮タンパク質、栄養や酸素を運ぶ運搬タンパク質、カルシウムと結合する結合タンパク質、免疫機能をつかさどり体を守る防御タンパク質、成長を促し、生命活動の調整や生体の恒常性を維持するタンパク質(ホルモン)などがあります。
私たちが体を動かすのも、成長するのも、すべてタンパク質の働きによるものだといっていいでしょう。
日々の食事で、緑黄色野菜や良質な植物油とともに、肉や魚などのタンパク質を摂取することが、アンチエイジングには欠かせません。
1-1. ミネラル豊富な牛肉の赤身
牛肉はタンパク質や脂質を多く含んでいます。
中でも赤身肉は、タンパク質が豊富で、鉄分をはじめとするさまざまなミネラルを含んでいます。
ステーキや焼き肉を食べると満ち足りた気分になる人も多いでしょう。
それは、牛肉に含まれるリン脂質、アラキドン酸が体内に入ると、快感をもたらす脳内物質の「アナンダマイド」や「2-アラキドリルクリセロール」が生成されるからなのです。
魚だけでタンパク質をとっていると、どうしても量が不足しがちになります。
牛肉は、効率よく良質のタンパク質を摂取できる食材です。
1-2. ビタミンB群豊富な豚肉
豚肉は体の疲労を回復し、脳のアンチエイジング効果も高いタンパク源です。
豚肉はビタミンB群の宝庫といわれています。
ビタミンB1は代謝を促進してターンオーバーを活性化させ、酵素の働きを助けます。
脳の働きを活性化させるのはビタミンB12です。
豚肉に含まれるビタミン類には、美肌効果が高いという特徴もあります。
豚肉の赤身には、牛肉の10倍以上のビタミンB1が含まれていますが、ビタミンB1は水溶性なので、ゆでたり煮たりするよりも、焼いたり炒めたりして食べるほうがアンチエイジング効果が高まります。
1-3. 低エネルギー高タンパクの鶏むね肉
鶏肉は、牛肉や豚肉よりも脂質が少ないので消化吸収率が高く、必須アミノ酸がバランスよく含まれているので、とてもアンチエイジング効果の高い食材です。
中でもむね肉は、低エネルギー高タンパクで抗酸化作用の高い食材として、注目されています。
鶏肉には、筋肉組織において強力な抗酸化作用を発揮する「イミダペプチド」という成分が多く、とくにむね肉には豊富に含まれています。
タンパク質の一種であるイミダペプチドは、小さな体で長距離を飛び続けられる渡り鳥の研究から発見され、鳥の羽を動かす筋肉や、回遊魚であるマグロの尾びれなどに多く含まれています。
人間の体では脳と筋肉に多く存在します。
1-4. アンチエイジング成分が豊富な大豆
植物性食品には、タンパク質と、ビタミンやミネラルなどのアンチエイジング成分を同時に摂取できる利点があります。
肉や魚との大きな違いは、ビタミンB12が含まれない代わりに、食物繊維がとれることです。
肉や魚のタンパク質は、100グラム中20グラム前後であるのに対し、乾燥大豆は100グラム中35グラムのタンパク質を含んでいます。
豆腐、豆乳、おから、きな粉といった大豆の加工食品はもちろんのこと、雑穀、そば粉、ゴマ、ナッツ類などにも豊富なタンパク質が含まれており、大豆のイソフラボンをはじめとしたアンチエイジング効果の高いビタミンやミネラルも多く含んでいます。
1-5. アンチエイジング効果の高いオメガ3系オイル
油は高カロリーですから取り過ぎは肥満や生活習慣病の原因になりますが、不足すると、脂溶性ビタミンが減って肌や髪の老化を促進します。
さらに、ホルモンの異常を招いて生理不順などのトラブルを起こしやすくなります。
健康とアンチエイジングのためには、良い油を適量摂取し、悪い油をとらないことが大切になります。
油は、常温で液体になる「不飽和脂肪酸」と常温で固体になる「飽和脂肪酸」に大別されます。
不飽和脂肪酸は、化学構造の違いから「オメガ3系」「オメガ6系」「オメガ9系」「トランス脂肪酸」に分けられます。
オメガ3系
α-リノレン酸が多い亜麻仁油、えごま油(しそ油)などで、生活習慣病の予防効果が注目されている。
オメガ6系
リノール酸を多く含む大豆油、コーン油などで、一般的な料理によく使われる。
オメガ9系
オレイン酸を多く含むオリーブ油、キャノーラ油などで、酸化しにくいという特徴がある。
オメガ6系に多く含まれているリノール酸は、過剰摂取すると心臓病、脳梗塞、アレルギー疾患の原因になるといわれていますが、オメガ3系に含まれるα-リノレン酸は逆に中性脂肪や過酸化脂質を溶かして除去する働きがあります。
日々の食事には、悪玉コレステロールを減らす効果があるオレイン酸を豊富に含むオリーブオイルが人気です。
オリーブオイルと同じオメガ9系のキャノーラ油にも、少量のα-リノレン酸が含まれていますが、同時にリノール酸も含んでいます。
マーガリンやショートニングに含まれる人工的なトランス脂肪酸は、心臓病、脳梗塞、アレルギー疾患などを引き起こす原因とされ、世界的に使用が禁止される傾向にあります。
2. 抗酸化食材をとる
「抗酸化」という言葉は、アンチエイジングの分野でよく使われます。
美肌の大敵とされる、紫外線、ストレス、喫煙、偏食、運動不足などは、すべて身体を酸化させる原因になります。
肌が酸化するとシミ、シワ、くすみ、たるみといった肌トラブルを引き起こします。
酸化させるのは活性酸素という物質です。
人間の身体は、エネルギーを燃やすときに酸素を必要とし、その結果、活性酸素が産出されます。
酸素を使って代謝する過程では必ずできてしまうものなのです。
そして、体内で過剰な酸化を防ぐのが、抗酸化機能です。
酸化を防ぐ物質を抗酸化物質といい、食事でとることが可能です。
2-1. 代表的な抗酸化物質
植物性由来の抗酸化物質は、植物が活性酸素から身を守ろうとして作る成分で、「フィトケミカル」と呼ばれます。
野菜や果物には多種の抗酸化物質が含まれています。
これらの抗酸化物質は体内に入ると相互に関連し合って作用するので、特定のものだけをサプリメントなどで大量摂取するのは、いいことではありません。
新鮮な自然食材でバランスの良い食事をすることが望まれます。
加工食品にかたよった食生活をしていると、抗酸化作用は低下します。
代表的な抗酸化物質(フィトケミカル)には次のようなものがあります。
・カロテノイド系(βカロチン、ルテイン、アスタキサンチン、リコピン)
・ポリフェノール系(アントシアニン、ケルセチン、ルチン、カテキン、イソフラボン)
・非フラボノイド系(セサミン、クルクミン、クロゲン酸)
また、ビタミンA、C、Eも、抗酸化物質です。
抗酸化物質が多く含まれる食材は、免疫力を高め、アンチエイジングに作用します。
2-2. 抗酸化力の高い食品10選
2-2-1. 大豆
大豆はタンパク質やビタミンB群、ビタミンE、カルシウム、鉄などのほかにも、大豆イソフラボンや大豆サポニンなど多くの栄養素を含むアンチエイジングの黄金食材です。
大豆にはビタミンCが含まれていないので、緑黄色野菜などと一緒に食べると効果的です。
2-2-2. キノコ類
キノコ類は低カロリーで、ビタミンB類、ビタミンD、ミネラル、水溶性食物繊維などを豊富に含む抗酸化食材です。
キノコが多く含む食物繊維は便通を良くして腸の働きを整え、カリウムは塩分の過剰摂取を抑制して新陳代謝を促します。
2-2-3. そば粉
そばにはポロフェノールの一種であるルチンが多く、抗酸化作用とともに毛細血管を強くして血圧を下げる効果があります。
ルチンは水に溶けやすいので、そば湯は必ず飲むようにしましょう。
そばにはビタミンB1も多く、良質なタンパク質やアミノ酸の含有量も多いので、麺類の中ではもっともアンチエイジング効果が望める食べ物です。
ただし、小麦の割合が多いものは糖質過多になりがちなので注意してください。
2-2-4. コーヒー
コーヒー豆には、カフェインとクロロゲン酸が複合的に働いて血糖値を下げ、マグネシウムがインスリンの感受性を高める働きがあります。
さらにポリフェノール成分が、活性酸素を除去して過酸化脂質の発生を抑制するので、肝臓を守る効果もあります。
しかし、コーヒー豆にはカフェインが含まれているので、過剰摂取には注意が必要。
飲むときの濃さにもよりますが、多くても1日4~5杯程度に抑えましょう。
2-2-5. 緑茶
緑茶の渋みであるカテキンは、強力な抗酸化作用をもち、血中のコレステロールを下げるので、体脂肪を抑制する働きもあります。
緑茶は血圧降下作用や脳神経細胞保護作用があるテアニンも豊富なので、アンチエイジング効果の高い飲料です。
こうした効果を最大限に発揮させるためには、微酸性の軟水でお茶を入れてください。
日本の水はほぼ微酸性ですが、ミネラルウォーターの硬水は味や香りが落ちるので避けましょう。
2-2-6. リンゴ
リンゴには高血圧の予防に欠かせないカリウムや、骨を丈夫にするマンガンなどのミネラル類、アントシアニン、ケルセチン、カテキンといった抗酸化成分も含まれています。
皮の部分に栄養素や抗酸化成分が多いので、丸かじりか、皮ごとジュースにするのが効果的な食べ方です。
2-2-7. ブルーベリー
ブルーベリーの色素であるアントシアニンは、強い抗酸化作用をもつポリフェノールです。
アントシアニンには、眼球内の毛細血管を強くして血流を改善するだけでなく、人体に有害な過酸化脂質を抑えて老化を遅らせる効能があります。
2-2-8. 緑黄色野菜
抗酸化食品の代表とされる緑黄色野菜には、ブロッコリー、トマト、カボチャ、赤ジソなどがあります。
ブロッコリーは、その中でもビタミンCの含有量が圧倒的に多いので、コラーゲンの生成を活性化して免疫力を高めます。
ビタミンB群やビタミンEも多く含み、鉄などのミネラルや食物繊維も豊富なスーパー食材です。
完熟したトマトは、色素のリコピンが強い抗酸化作用を発揮しますが、リコピンは脂溶性なので生トマトを食べるよりも、オリーブオイルで焼いたほうがアンチエイジング効果が高まります。
青汁の原料として知られるケールは、ほうれん草と同様にルテインという抗酸化成分を多く含んでいます。
ルテインには活性酸素の発生原因となる紫外線を吸収して、目の網膜と水晶体の酸化を防ぐ作用があります。
ルテインは脂溶性なので、ケールやほうれん草は炒めるか、脂肪酸を多く含む肉などと一緒に調理して食べればアンチエイジング効果が高まります。
2-2-9. ゴマ
アフリカまたはインドを原産地とするゴマは、古くから栄養価の高い食材として食されてきました。
ゴマに含まれるゴマリグナンは、肝臓で脂肪の分解を促し、肌のターンオーバーを活性化させます。
老化の原因である活性酸素の約70%は肝臓で発生します。
ビタミンCやカテキン、アントシアニンなどは血液中の活性酸素を撃退しますが、肝臓までは到達しません。
しかし、ゴマリグナンは血液中で効果を発揮せず、肝臓に到達してから抗酸化作用を発揮するという特性があるので、肝臓の活性酸素を直撃できるのです。
ゴマは殻が固いので、すりゴマにして食べると効果的です。
2-2-10. 鮭
鮭の赤身をつくっているのはアスタキサンチンという抗酸化物質で、細胞膜の表面と内側の両方で活性酸素を除去します。
その抗酸化作用は、ビタミンEの1000倍ともいわれる強力なものです。
鮭にはアスタキサンチン以外にも、ビタミンA、D、E、EPAやDHAなどが豊富に含まれ、アンチエイジング食品のナンバーワンともいわれています。
養殖物はエサに含まれる添加物や薬品の影響が心配されるので、できれば天然ものを食べるようにしましょう。
まとめ
ここで解説した2つのルール以外に、食生活によるアンチエイジングで重要なことは、「炭水化物をとりすぎない」ということです。
炭水化物とは、糖質と食物繊維のことを指しますが、糖質は体内ですみやかにブドウ糖に変わるので血糖値を急上昇させます。
しかし、食物繊維を最初にとることによって、糖の吸収をゆるやかにすることができます。
また、食物繊維は、乳酸菌などとともに、美肌の大敵である便秘の予防や改善に欠かせない、アンチエイジング成分です。
ですから、「食事の最初に食物繊維をとって、糖質をとりすぎない」ことが大切なのです。
そして食事の仕方は、「1日3食の規則正しい食事」が基本です。
食事の間隔をあけると、エネルギーの吸収がよくなって太りやすい体になります。
【参考資料】
・『「老けないカラダ」が手に入る!』 主婦の友社 2013年
・『本当に正しいアンチエイジング大辞典』 主婦の友社 2012年
・『極上のアンチエイジングレシピ』 主婦の友社 2013年「
・日本食肉消費総合センター web site
http://www.jmi.or.jp/qanda/bunrui4/q_067.html