マカを飲んでみたいと思っている人は多いですよね?
マカは、「天然のバイアグラ」などと呼ばれたことから、中高年の男性に人気のサプリメントとなりましたが、実は女性でも試してみたいという人が少なくありません。
それは、マカの成分が、いわゆる「妊活」や更年期障害に有効であるということが実証されたからです。
妊活のために夫婦2人でマカを飲んで、待望の子どもを授かったという報告はたくさんあります。
男女を問わず、マカが世界で注目された要因は、いったいどこにあるのでしょうか?
歴史や栽培の実態、さらに、栄養価や効果の詳細がわかれば、もっと安心して飲むことができるはずです。
ここでは、南米ペルーで「アンデスの薬草の女王」と呼ばれるマカについて解説し、マカ製品の種類や選び方を紹介します。
目次
1. マカの歴史と栽培地域
1-1. チベット族が南米にもち込んだ食材
1-2. インカ帝国を支えた保存食
1-3. 海抜4000m以上のボンボン高原
2. 世界が注目した理由
2-1. 低地に住む人が増えたペルーの現状
2-2. 1997年にアメリカで大ブーム
2-3. 日本にも上陸したマカのブーム
3. 天然のマルチサプリと呼ばれる栄養価
3-1. マカの有効成分
3-2. 天然成分でアミノ酸補給
3-3. 効果的な摂取方法
4. 具体的なマカの効果
4-1. エネルギー増強
4-2. ホルモンのバランス調整
4-3. その他の薬理作用
5. マカ製品の種類
5-1. マカ製品の加工プロセス
5-2. 加工品の3つの形状
5-3. 良質なマカの見分け方
1. マカの歴史と栽培地域
「マカ」はアブラナ科の多年生植物です。
見た目は、カブやハツカダイコンに似ている円錐形の根菜で、色は白、黒、黄色、ピンク、濃い紫など、いろいろなものがあります。
日本でよく知られるようになったのは、20世紀も終わりに近い1990年代の終盤でしたが、マカは、数千年まえから栽培されていた植物だと考えられています。
南米のペルーが原産地とされているマカの歴史をさかのぼってみましょう。
1-1. チベット族が南米にもち込んだ食材
現在、ペルーの人たちにとって欠かせない食材となっているマカですが、もともとは、チベット北東部、海抜3205mにある中国最大の湖、青海湖近辺の高地に自生していた植物だといわれています。
2000年ほど前に、この高地で暮らしていたチベット族の一部がペルーに移動したとされており、そのときに彼らがマカをもち込み、アンデス山脈の高地、ボンボン高原という場所で栽培をはじめたものと考えられています。
遠くチベットの地から、彼らがわざわざマカをもってきたのですから、マカが彼らにとって欠かせない、貴重な食べ物であったことは容易に想像できます。
1-2. インカ帝国を支えた保存食
2000年前から、厳しい自然環境のアンデス高地で栽培されていたという記録が残っており、アジアからペルーに渡ったマカは、アンデスの人々が子孫を残し健康を維持するための大切な保存食として現在に至っています。
15世紀から16世紀にかけてのインカ帝国時代には、マカが体力や繁殖力を補う貴重な食品として重視されました。
太陽神を信仰していたインカ帝国は、天に近い海抜3000mの高地であったクスコに都を築いたために、薄い空気と激しい気候で、人々の体力が消耗しがちだったのです。
インカ帝国が戦争で町を制圧した際は、性犯罪を防ぐため、駐留する兵士がマカを食べることを禁止したという話も伝わっています。
1-3. 海抜4000m以上のボンボン高原
ペルー原産のマカは11種類ありますが、その中でもっとも高品質とされる「マカ・モラーダ」という品種が生産されるのは、ペルー中央部の、フニン州があるボンボン高原なのです。
海抜4000mの盆地であるボンボン高原は、周囲を高い山地に囲まれ、最も高いテックリオ峠は海抜4818mにも達します。
その、ひときわ厳しい自然環境の中で良質のマカを育てる、亜鉛や鉛、銅、銀など様々なミネラルが豊富な土壌は、ごく限られた地域だけにあるのです。
マカは9月から10月に種をまいて翌年の6月から7月に収穫され、マカを収穫した土地は、その上で家畜を飼い、最低5年間は休ませて土壌を戻すという手間がかけられます。
2. 世界が注目した理由
マカの栄養価の高さは、世界中から注目されてきました。
現在、原産地のアンデスでは、収穫期になると、ヨーロッパやアメリカ合衆国、日本などからマカを取り扱う企業も参加して、天からの恵みに感謝をささげる「マカ祭」が行われます。
マカがアンデスから世界に広がった経緯を見てみましょう。
2-1. 低地に住む人が増えたペルーの現状
アンデス地方の人々は、2000年前から天日干ししたマカを保存食とし、妊娠適齢期の女性や成長期の子どもには積極的に摂取させ、結婚前の若者には控えさせて、滋養強壮や妊娠促進剤としても取り入れてきました。
葉までもが、弱った家畜の飼料として大切に利用されてきたのです。
ところが近代になると、ペルーでは低地に定住する人たちが増えたために、マカはフニン州に住む人たちだけに限られた食品となっていました。
1997年にペルーの国営テレビがフニン州の特集を組み、4000mの高地に住みながら長寿な人たち、多産な女性たちを紹介すると、マカは再びペルー国内でブームとなったのです。
2-2. 1997年にアメリカで大ブーム
このブームがアメリカ合衆国で報道されると、一気に火がつきました。
ペルーの植物学者で、マカ研究の第一人者であったグロリア・チャコン博士らが、ペルーが誇りをもってすすめる4つの植物として、マカ、キャッツクロー、カムカム、キヌアを紹介すると大ブームとなり、やがてヨーロッパへも飛び火していったのです。
2000年以降は、NASA(米国航空宇宙局)が、宇宙飛行士の体力や生理機能を保全する食料として、マカを採用したといわれています。
また、チャコン博士が、妊娠促進剤としての効用を実証する研究結果を発表したことから、男女を問わない健康促進だけでなく、妊娠促進のためのサプリメントとして大きな話題になったのです。
2-3. 日本にも上陸したマカのブーム
マカは一部の男性たちにとって「秘薬」として知られていましたが、正式に日本上陸を果たしたのは、やはり1997年の秋です。
ペルー系の日系人が健康食品として販売をはじめ、翌年には当時のフジモリペルー大統領が来日して、キャッツクロー、カムカム、キヌアとともにマカを紹介したのです。
その後、いくつかのテレビ番組でも取り上げられ、2000年以降は一般にも普及しました。
現在は、薬局や量販店、インターネットにおいても、様々なマカ加工品が販売されています。
日本では、男性を意識した製品が多かったために、マカには男性的なイメージをもっている人も少なくありませんが、早くから妊娠促進剤として注目した産婦人科医もおり、現在では女性にも人気のサプリメントになっています。
3. 天然のマルチサプリと呼ばれる栄養価
ペルーの人たちが主食とするのは、ペルー原産の農産物であるジャガイモ、トウモロコシ、サツマイモなどで、副食は、地域によって米や豆類、タマネギなどの野菜、肉類や魚類が加わります。
こうした食文化において、マカは健康維持のために欠かせない特別な食材となっています。
世界で注目されたマカは、「天然のマルチサプリメント」とも呼ばれていますが、原産地でもやはりサプリメント的な位置づけにあるのです。
その栄養価や、効果的な摂取方法を見ていきましょう。
3-1. マカの有効成分
マカには、現代人に不足しがちなビタミン、ミネラル、必須アミノ酸などが豊富に含まれています。
ビタミンB群、ビタミンE、ビタミンC、カルシウム、リン、鉄、亜鉛などがとくに多く含まれており、リジンやアルギニンをはじめとする18種類のアミノ酸が主要成分です。
また、ポリフェノールのアントシアニン、高麗人参でも知られるサポニンなども含まれています。
3-2. 天然成分でアミノ酸補給
天然の植物が原料であるマカ製品には、副作用がないので、不妊治療を受けている女性でも安心して摂取することができます。
「アミノ酸の母」と呼ばれるリジンには、女性の生殖機能を活性化して受胎能力を向上させる働きがあります。
また、「アミノ酸の父」と呼ばれるアルギニンには、成長ホルモンの分泌を活性化する働きがあります。
成長ホルモンは「若返りホルモン」とも呼ばれ、活性化すると女性は肌のハリがよくなり、女性ホルモンの働きが活発になるので、排卵障害や月経不順が改善されます。
男性は、精子をつくる機能が活発になって、元気な精子が多くつくられるようになります。
3-3. 効果的な摂取方法
マカ製品の中でも、原料を乾燥させてそのまま砕き、パウダー状にしたものが、栄養豊富で、吸収力も高いとされています。
原材料は、抽出したマカエキスなどではなくて、マカ100%と表示されたものを選びましょう。
たくさん飲めば効果が上がると思うのは間違いで、100%のパウダーを1日に3~4gというのが目安。
毎日欠かさず飲むのが効果的な摂取方法で、効果の現れ方には個人差がありますから、1年間は飲み続けてみましょう。
パウダーのマカはそのまま飲んでもいいのですが、口の中にくっついて少々飲みにくいので、お湯に溶かしたり、牛乳や豆乳、ヨーグルトなどに混ぜたりすると飲みやすくなります。
妊娠促進目的で飲む場合は、夫婦で摂取することが効果を上げるポイントです。
4. 具体的なマカの効果
マカの効能は、滋養強壮や妊娠促進が代表的なものですが、スーパーフードの代表格としてもあげられるマカには、そのほかにもいろいろな効能が認められています。
具体的な効果は、大きく分類すると3つに分けられます。
4-1. エネルギー増強
ビタミンやミネラルによって、疲労回復、食欲増進などが図られ、体力増強につながります。
また、ストレスや緊張の緩和、うつ症状の改善、神経組織の緩和、不眠の改善などで、体調を整えます。
4-2. ホルモンのバランス調整
ホルモンバランスを整えることによって、不妊症の解消、月経不順の改善、生殖機能の活性化などの効果が現れます。
女性はホルモン系の障害が解消されると冷え性が改善され、マカには女性ホルモンであるエストロゲンの分泌を促す作用もあるので、動悸やのぼせ、ほてり、頭痛、肩こり腰痛とった更年期障害の症状をやわらげます。
男性は、勃起不能の解消にも効果が期待できます。
4-3. その他の薬理作用
そのほかにも、炭水化物をエネルギーに変換するアミノ酸の働きによって、ダイエットや体力づくりに必要な体脂肪の抑制効果があります。
さらに、老化防止(エイジング)、貧血の改善、胃や腎臓の炎症改善、脳機能の強化などの効果も認められています。
5. マカ製品の種類
マカは、ペルー政府によって、そのままの状態で国外にもち出すことは禁止されています。
乾燥後、粉末にされて輸出されますが、乾燥させる方法は、短時間でできる機械乾燥と、高度4000mの強力な太陽光で3カ月以上かける天日干しの2種類があります。
はるか昔からボンボン高原の人たちが受け継いできた天日干しは、マカの70%を占める水分をゆっくり蒸発させながらマカの熟成を進めるので、高品質なマカ製品には欠かせない手法となっています。
5-1. マカ製品の加工プロセス
① 収穫~洗浄
葉も一緒に収穫したマカを麻袋の上に並べて乾かし、乾いたマカは湧き水が流れる川で球根のドロを落とします。
② 天日乾燥
洗い終えたマカの葉を取り除き、白いテント生地の上に広げて、3カ月以上の天日干しを行います。
③ 洗浄~殺菌
天日干しが終わったマカの球根を水圧洗浄して泥をきれいに落とします。
洗浄後は蒸気による殺菌を行い、15~17度で瞬間冷却をして、微生物を減らします。
④ 乾燥~粉砕
マカ球根を乾燥室に入れて湿気を取り除き、格子型マグネットに通して金属物質を取り除いた後に粉砕機で粉砕します。
⑤ 加熱処理
あらびきしたマカを65度で8時間ほど加熱処理を行い、粒の大きさを揃えるためにフィルターに通します。
⑥ 袋詰め~出荷
最後にもういちどマグネットに通して金属物質を排除してから、袋詰めします。
袋詰めされたマカは金属探知機に通し、有機認定を受けているものにはJASマークのラベルを貼って日本に輸出されます。
5-2. 加工品の3つの形状
日本に輸入された粉末のマカは、加工工場で製品化されます。
加工品は、大きく分けて「パウダー(顆粒)」「錠剤」「カプセル」の3つに分類できます。
それぞれの特徴は、次のようなものです。
① パウダータイプ
パウダータイプは、ほとんどがペルーで処理されたままの100%製品ですから、ピュアなマカにこだわりたい人に向いています。
自宅で飲むぶんには問題ないのですが、外で飲む場合は、小分けにしたり、容器を考えたりする工夫が必要になります。
ストレートな味覚が舌に残り、ノドに粉末がつきやすいので、飲みにくいと感じる人は、飲み物や料理に入れる使い方がおすすめです。
② 錠剤
パウダータイプの、携帯性や飲みにくさという短所を改善したのが錠剤です。
一度に飲む量を測る必要もないので、手軽に飲用できます。
しかし、錠剤にも短所があります。
マカの錠剤は、つなぎに結晶セルロースに菜種油を加えたものなどが用いられます。
結晶セルロースは医薬品にも使用されており、菜種油とともに安心して飲めるものですが、100%の状態でマカを摂取することはできません。
使いやすいのは錠剤ですが、100%にこだわる人はパウダータイプがいいでしょう。
③ カプセルタイプ
パウダーをカプセルに入れたものなので、パウダーの味や飲みにくさがありません。
錠剤と同様に、携帯しやすく、飲む量を測る必要もありません。
錠剤のように固形化するための添加物は不要ですが、カプセルの原料であるゼラチンなどを飲むことになるので、こちらも純粋に100%の状態とはいえません。
5-3. 良質なマカの見分け方
良質なマカを選ぶポイントは、「海抜4000m以上の高地である、フニン州ボンボン高原で栽培されたマカを使用していること」です。
マカ生産者連合会の保証マークといったものもありますが、公的機関ではないので、正確な判断材料にはなりません。
ボンボン高原で栽培されるマカは、基本的に化学肥料や農薬を使用していませんが、「有機JAS」の認定を受けていれば安心です。
有機JASは、日本の農林水産省が以下のような条件を満たす農産物のみに認定する規格です。
・種まきや植え付けの2年以上前から、禁止された農薬や化学肥料を使用していない畑で栽培
・栽培中も禁止された農薬や化学肥料を使用していない
・使用する肥料や農薬は天然物質又は化学的処理を行っていない天然物質に由来するもののみ
・遺伝子組換え由来の種を使わない
まとめ
マカは近年、化学肥料を使って低地で栽培されたものも出回っており、日本で栽培されたものも存在します。
しかし、有効成分の内容や効能という点から、やはり4000m以上のボンボン高原で栽培されたものを選びたいものです。
不妊症や更年期障害に悩む女性、健康増進を図りたい男性ばかりでなく、子どもの体力増強まで、老若男女を問わず効能が期待できるマカは、ドラッグストアやネットショップで簡単に入手できることも人気の理由になっています。
これから試してみようという人は、この記事を参考にして、効果が現れなくても1年間はあきらめずに飲み続けてみましょう。
【参考資料】
・『研究禄 マカ見分け方講座』 ホットストア 真木京一 2010年
・『話題のマカで赤ちゃんができた』 小野倫一 主婦の友社 2001年
・原料屋 web site