現代社会は、疲れる事ばかりですよね?
外で仕事をしていると、朝、家を出てから帰宅するまで、疲れる事の連続だといってもいいくらいです。
誰もがストレスを抱えていて、リラックスできる手段を探し求めています。
日本語の「リラックス」には、「くつろぐ」以外に、「気分転換」や「休息」という類語がありますが、気分転換をしたり、休息をとったりして、ストレスを解消しようと考える人がほとんどでしょう。
ところが、気分転換をはかってもリラックスできない、休息をとっても疲れが抜けないという悩みを抱えている人が多いのです。
それは、ストレスや疲れのしくみを知らないことが原因。
ただやみくもにリラックスを求めているだけでは、本物のリラックスを得ることはできません。
そこでここでは、ストレスや疲れのしくみを理解しながら、3つのステップでリラックスする方法を解説します。
目次
step1. 緊張をゆるめる
1-1. 悲しい音楽でリラックス
1-2. パーソナルスペースでリラックス
1-3. 身体を動かして気分転換
1-4. ゆらぎの中で休息する
step2. 自分を喜ばせる
2-1. リラックスグッズで気持ちよくなる
2-2. 食事で幸せホルモンを増やす
2-3. 読書やゲームに没頭する
step3. 自律神経を整える
3-1. 簡単にできるリラックスヨガ
3-2. 活性酸素を増やさない紫外線対策
3-3. 生活習慣を見直して自律神経を整える
step1. 緊張をゆるめる
“relax”という英語の意味は、「くつろぐ」という意味以外に、「緊張をゆるめる」「力を抜く」「落ち着く」という意味があります。
本物のリラックスを得るためには、まず、「緊張をゆるめて、力を抜いて、落ち着く」というステップが必要です。
ストレスとは、五感から受けた刺激に対する脳の反応です。
五感で受けた刺激が脳に伝わると、「つらい」「悲しい」「痛い」といったマイナスの感情や、「楽しい」「うれしい」「心地よい」といったプラスの感情がわき起こります。
ストレス反応は、主にマイナス感情をもたらす「マイナス刺激」によって起こるものです。
マイナス刺激は、自分の意思とは関係なく勝手に降り注ぐものであり、プラスの感情をもたらすプラス刺激は自分で意識して増やすことができるという特徴があります。
リラックスとは、プラスの刺激を積極的に自分に与えて、ストレスの原因となっているマイナスの感情を忘れることを目的とする行為です。
マイナス刺激は勝手に降り注ぐものなので、なくすことはできません。
マイナスの感情を消そうと努力したり、ストレスと闘おうとがんばったりしても、マイナス刺激のことを意識することになるので、逆効果なのです。
マイナスの感情を忘れるためには、プラスの刺激を自分に与えることが最良の方法。
そして、プラスの刺激を受けるアクションを起こすためには、ストレスで張りつめている心の緊張をほぐす必要があるのです。
1-1. 悲しい音楽でリラックス
スマートホンが普及してから、音楽はますます身近な気分転換アイテムになりました。
アプリでダウンロードする、YouTubeで映像とともに楽しむ、CDから音源を取り込むというように、多くの人が様々な形態で音楽を楽しんでいます。
基本的には、邦楽でも洋楽でも、クラシックでもメタルでも好きな曲を聴いてマイナス感情を忘れればいいのですが、マイナス感情が深いときには少々の工夫をすることで、効果的に緊張をゆるめることができます。
音楽療法などで使われる「同質の原理」というものがあります。
人間は、その時の心理状態と近い情感をもった音楽に同調する、という原理です。
たとえば、深い悲しみの中にいるときは、明るい音楽を聴くよりも、悲しい情感をもった音楽を聴いたほうが癒されるのです。
気持ちを音楽と同調させてから、3曲であるとか5曲なりのストーリーをつくって緊張をゆるめるのが効果的です。
アップテンポの曲で元気になれるという人も、マイナス感情が強くて疲れているときは、クラシックやヒーリングミュージックのようなゆったりとしたやさしい曲で気持ちを同調させてから、徐々にテンポアップしていくと、自然にマイナス感情による緊張をゆるめることができるのです。
音楽で気分転換をはかる人は、ぜひこの裏ワザを覚えて、自分なりのリラックスアルバムをつくりましょう。
1-2. パーソナルスペースでリラックス
ストレスのある環境から離れ、ひとりになれる場所に行って緊張をゆるめましょう。
最新の疲労医学では、身体的疲労による疲労感を覚えるのは、身体のいろいろな部位ではなくて、脳の自律神経中枢であることが判明しています。
自律神経は、心拍、呼吸、血液循環、体温調節など、生命維持に必要な機能をコントロールしている神経システムで、主に昼間優位となる交感神経と、夜間に優位となる副交感神経が、常に双方40~60%の割合で働いています。
交感神経が優位になると心拍や呼吸を早め、血圧が上がって活動モードになり、副交感神経が優位になると、その逆の状態になってリラックスモードになります。
ストレスは交感神経をたかぶらせるので、ストレス過剰になると交感神経が優位な状態が続き、自律神経中枢が疲労して疲労感を発するのです。
最近は、昼休みに会社を出て、ひとりでカラオケスペースやインターネットカフェで過ごす人が増えてきました。
午前中の仕事でたかぶっている交感神経を鎮めて、副交感神経を優位にするためです。
そうした利用を意識した店舗も増えており、東京上野の癒し系ネットカフェ「リラックス24」は、仕切り板ではなく完全個室の造りで30分から使用可能、レディースフロアやパウダールームなどもあるという、女性の休息にも使いやすいスペースになっています。
1-3. 身体を動かして気分転換
デスクワークでストレスがたまったときなどは、席を立って少し歩くだけでも、緊張をやわらげることができます。
エコノミー症候群で一般的にも知られるところとなりましたが、人間は座り続けていると大きなリスクを抱えます。
下肢には全身の筋肉の70%が集まっているので、動かさないでいると筋肉が収縮して緊張することになり、体中の血流が悪化するのです。
かつては、筋肉に乳酸がたまることが疲労につながると考えられていました。
しかし、乳酸は疲労物質ではなく、筋肉疲労の原因は活性酸素であることがわかったのです。
活性酸素は、体内で酸素が使われると発生する、強力な酸化作用をもつ物質であり、細菌やウイルスを攻撃して免疫力を維持するので、人体にとっては必要な物質です。
しかし、激しい運動をしたり、ストレスを抱えたりすることで増えて過剰になり、正常な細胞まで攻撃してしまいます。
活性酸素によって筋肉の細胞が酸化してしまうことが、筋肉疲労の原因なのです。
激しい運動は活性酸素を増やしてしまいますが、軽い運動には、身体がもつ抗酸化力を高めて細胞の酸化を抑える働きがあります。
「だるい」「飽きる」といった感情は、脳が疲労しているサインですから、そういう状態になったら、すぐに休息をとり、軽く体を動かして緊張をゆるめましょう。
1-4. ゆらぎの中で休息する
自然の「ゆらぎ」を感じることによって、緊張をゆるめて副交感神経を優位にすることができます。
自然のゆらぎとは、そよ風にゆらぐ樹木、川の水が流れる音、寄せては返す波の音など、自然が生み出す一定ではないリズムや繰り返しのことです。
心拍や呼吸といった人間の生体リズムにもゆらぎがあり、体内のゆらぎと自然環境のゆらぎが同調すると、人間はリラックスするのです。
ゆらぎのスペースとしてよく知られるのは森林や海岸ですが、仕事中の緊張をゆるめるためにそういう場所へと移動するのは、普通の職場ではなかなか難しいことです。
もっとも簡単にゆらぎを感じる手段は、窓を開けて風を入れることです。
しかし、大きなビルの中にある職場では窓を開けることもできません。
できれば、ちょっと休憩をとって外に出ましょう。
近くに公園があればベスト、公園がなくても木陰のベンチや、雲の流れが見えるカフェなどでゆらぎを感じることができます。
step2. 自分を喜ばせる
緊張をゆるめたら、プラスの刺激を自分に与えるステップに移りましょう。
決して難しいことではありません。
積極的に楽しいことや気持ちのよいことをして、自分を喜ばせればいいのです。
2-1. リラックスグッズで気持ちよくなる
心地よい時間を得るためのリラックスグッズは、いろいろなものが販売されています。
人気があるアイマスク、アロマディフューザー、リラックスチェアの3アイテムから、最近の売れ筋商品を紹介しましょう。
こうしたリラックスグッズを自分のために購入すれば、ショッピングすることも、いいプラス刺激になります。
・USBホットアイマスク
発売元:各社
価格:1200円~2000円程度
PCやモバイルバッテリーなどのUSB端子から電源供給ができるホットアイマスクです。
付属のスプレー容器に水を入れて目にあたる部分に散布すると、蒸気アイマスクになります。
さらに、ケーブルにはリモコンスイッチが付いており、温度やタイマーの設定ができるというスグレモノです。
・Vacplusアロマディフューザー
発売元:Vacplus
価格:2000円~3000円程度
アロマテラピーに使用するディフューザーはいろいろなタイプのものが販売されていますが、最近のトレンドは、LED照明内臓で好きなカラーが選べて、木目調ボディでウッドの落ち着いた質感をもっているものです。
売れ筋商品の中でも人気があるこの商品は、空焚き防止機能がついた静かな超音波式加湿器で、10時間程度の稼働ができる300mlの大容量が特徴です。
・ウッドアームチェア Lサイズ
発売元:アイリスオーヤマ
価格:7000円程度
アイリスオーヤマのウッドアームチェアシリーズは、和室、洋室を問わずマッチするデザインと、背もたれ7段階、ヘッドレスト14段階のリクライニング調整が可能で、98通りのセッティングが特徴の椅子です。
S、M、Lと3サイズの展開ですが、ゆったりくつろげるLサイズが人気です。
2-2. 食事で幸せホルモンを増やす
食欲を満たすことや、美味しいものを食べることは、ストレートなプラス刺激です。
リラックスを意識した食事では、タンパク質と抗酸化成分を十分に摂ることがポイントとなります。
タンパク質は体内でアミノ酸に分解され、全身に運ばれて細胞や組織の材料となります。
各部位に応じた設計図がDNAに記録されており、多くのホルモンもアミノ酸から生成されます。
その中でも脳内の神経伝達物質である「セロトニン」は、リラックスしたときに分泌されるので「幸せホルモン」とも呼ばれ、副交感神経の働きを高めて自律神経を安定させる重要な物質です。
ストレスによって消耗される抗酸化成分を摂ることも大切です。
代表的な抗酸化成分には、ビタミンA、C、Eや、ポリフェノールなどがあります。
「管理栄養士がバランスを考えて作ったメニューで、心も身体もリラックスできます!」というコンセプトで最近話題になった「リラックス食堂」は、2010年に京都で学生のための食堂としてスタートしました。
2014年に、誰でも入れる社員食堂として、運営会社である株式会社UDSの社員食堂が原宿にオープンし、2018年7月現在では、学生のための地域密着型食堂として、神奈川、東京、仙台、滋賀、大阪、広島の6店舗もオープンしています。
2-3. 読書やゲームに没頭する
マイナスの感情を忘れる最良の方法は、何かに没頭することです。
もっとも手軽に現実逃避ができる本や、現実から離れて疑似体験に没頭できるゲームは、楽しい思いをしながらマイナス感情を忘れることができます。
イギリスのある大学の研究では、「読書」「音楽鑑賞」「コーヒーを飲む」「ゲーム」「散歩」という5つの行為で、心拍数や筋肉の緊張状態を調べると、もっとも心身の緊張が緩和されたのは読書だったという結果が出たそうです。
雑誌をパラパラめくる程度では、この効果が得られず、登場人物にじっくりと感情移入できる小説や漫画が適しています。
今やテレビ、スマホ、パソコンなどで行うゲームも、没頭して時間を忘れることができるメジャーな遊びです。
スマホやパッドで読む電子書籍や、TVゲームで注意しなければいけないのは、やりすぎないこと。
液晶パネルを見続けると交感神経を興奮させるので、時間を決めて楽しむことが大切です。
step3. 自律神経を整える
自律神経を整えて、ストレスとうまく付き合える身体をつくることが、3つめのステップとなります。
脳の自律神経中枢で活性酸素が増え、神経細胞が酸化しはじめると、脳は疲労感を発して「このままではダメージが大きくなるから、休息をとりなさい」と教えてくれます。
活性酸素を必要以上に増やさないことが、リラックスした生活を送るカギになるのです。
3つめのステップでは、自律神経のバランスを整えることとともに、活性酸素の増加を抑制する生活習慣を身につけることがポイントです。
3-1. 簡単にできるリラックスヨガ
古代インドで生まれたヨガは、もとは瞑想法でした。
自然と一体化して、魂から幸せになることを目的として生まれましたが、ずっと座っているよりも体を動かした方が頭もすっきりして瞑想しやすいということで、後からポーズが考えられました。
現代のヨガは、心と身体を強く明るく元気にするメソッドとして普及しています。
その中でも、流派やスタイルにこだわらず、心身のリラックスを目的としたものを、「リラックスヨガ」と呼んでいます。
インストラクターがリラックスヨガを教えてくれる教室やスポーツジムは各所にあり、DVDや書籍もたくさん出版されていますから、まずは本を見て簡単なポーズからはじめてみるのがいいでしょう。
ここでは、仕事の合間などにも簡単にできるチェアヨガをひとつ紹介しましょう。
① 椅子に浅めに座って両足裏を床に着け、尾骨と頭頂を引きあうイメージで背筋を伸ばします。
② 両手を後ろに回して椅子の座面をつかみ、背中で肩甲骨を寄せて胸を大きく広げます。
③ 息を吸いながら、背骨をさらに伸ばして胸を高く上げ、斜め上を見るようにして胸を反らします。
④ 尾骨と足裏の位置は変えずに、可能であればそのまま頭を後ろに反らせ、3回深呼吸して、息を吐きながら元の姿勢に戻します。
3-2. 活性酸素を増やさない紫外線対策
リラックスの敵である活性酸素は、激しい運動、飲酒や喫煙、ストレス過多、炎症反応などで増えますから、そうした行為の後は体内の抗酸化作用を高める必要があります。
実は、もっとも簡単に活性酸素を増やしてしまうのは、紫外線を浴びることなのです。
1日に15分程度、皮膚に紫外線を浴びるのは、骨を健康にするビタミンDを体内で生成するために必要です。
しかし、それを超える紫外線は、肌の老化を進めるだけでなく全身に悪影響を及ぼします。
顔を含めて皮膚に当たる紫外線は、日焼け止めや日焼け止め作用のある化粧品などでケアする人が多いのですが、忘れがちなのが目から入る紫外線です。
目から紫外線が入ると、目は脳と直結しているので脳疲労が激しくなり、自律神経中枢も活性酸素の酸化ストレスを受けることになるのです。
長時間の外出は、サングラスや帽子を活用して目の紫外線対策をしっかり行いましょう。
3-3. 生活習慣を見直して自律神経を整える
そのほか、質のよい睡眠をとること、激しくない適度な運動で体を動かすこと、タンパク質や抗酸化食品を意識的に摂取することなどは、自律神経を整える生活習慣として毎日できることです。
自分の生活習慣を見直して、交感神経と副交感神経の切り替えがしっかりとできる状態を維持し、ストレスを受容できる心と体をつくりましょう。
まとめ
リラックスをするためには、副交感神経を優位にすればいいのです。
しかし、そればかりでは日々の活動が成り立ちません。
ここでは、活動モードからリラックスモードへの切り替えが、スムーズにできるステップを紹介しました。
逆に、リラックスモードから活動モードへの切り替えがしっかりできることも重要です。
朝起きたら、太陽の光を浴びることが推奨されているのは、副交感神経が優位な状態から交感神経が優位な状態への切り替えができるからです。
活動とリラックス、どちらが過剰になっても人間は不調をきたします。
自律神経のバランスを整えて、動くときは動く、休むときは休むというメリハリのきいた生活を心がけましょう。
【参考資料】
・『ココロにいいこと事典』 心地よい暮らしをつくる会 青春出版社 2017年
・『5分でできる「プチストレス」解消法』 保坂隆(監修) PHP研究所 2017年
・『簡単 プチヨガ』 yogini編集部 枻出版社 2016年
・relax24 web site
・amazon
・Relax食堂 web site