近年、「健康」「スポーツ」「美容」「医療」それぞれの分野でアミノ酸の健康効果が知られるようになり、サプリメントも多く販売されています。
健康のために食生活に気を配り、日常生活に運動を取り入れている人なら、「アミノ酸」に興味のある人も多いことでしょう。
私たちの身体を構成しているたんぱく質は、アミノ酸が繋がってできたもの。そして、体内で合成することができないアミノ酸を私たちは食品から摂取しなければなりません。
サプリメントに頼らずに、食べ物から自然な形でアミノ酸を摂取したいという方に向けて、アミノ酸を含む食品や効果的な摂取方法、おすすめレシピなどをご紹介していきましょう。
目次
1-1. タンパク質を作るアミノ酸について
1-2. アミノ酸スコアとは
1-3. 良質たんぱく質を含む食品
2. アミノ酸の効果を実感する食べ方
2-1. アンチエイジング効果には
2-2. 生活習慣病を予防するには
2-3. 睡眠の質を改善するには
3. スポーツ・ボディメイクのための食べ物
3-1. 分岐鎖アミノ酸(BCAA)とは
3-2. ボディメイク・筋肉をつくるアミノ酸
3-3. アミノ酸の運動に対する働き
4. アミノ酸効果が期待できるレシピ
4-1. 理想の朝食レシピ
4-2. 理想の昼食レシピ
4-3. 理想の夕食レシピ
5. アミノ酸を意識した献立を続ける方法
5-1. 主婦のためのお助け食材
5-2. 一人暮らしの人向けのお助け食材
5-3. 忙しい人が意識しておくと良いこと
1. アミノ酸を効率よく摂取できる食べ物
1-1. タンパク質を作るアミノ酸について
まずは「アミノ酸とは?」といったところから、わかりやすくお話していきましょう。
タンパク質は、アミノ酸が繋がってできたものです。
アミノ酸が2個~数十個繋がったものをペプチドと呼び、さらに数百個以上のたくさんのアミノ酸が繋がったものをタンパク質と呼んでいます。
そして、このたんぱく質はたった20種類のアミノ酸からできています。
アミノ酸が繋がった数とその配列によって、約10万種類ものタンパク質ができるのですね。
私たちの身体は、その20%がタンパク質でできています。筋肉だけではなく皮膚も毛髪も、血管などの臓器や骨も、タンパク質でできています。
身体の約60%は水分なので、水分を除いた固形分の約半分がタンパク質ということになります。
私たちの身体の半分は、アミノ酸でできているということですね。
20種類のアミノ酸のうち、人間の体内で合成できるのは11種類のみで、残りの9種類は食品から摂取する必要があり、これを「必須アミノ酸」といいます。
食品のタンパク質に含まれるこの「必須アミノ酸」をバランスよく摂取することが、私たちの健康、美容、ボディメイクなどの効果に繋がることになります。
1-2. アミノ酸スコアとは
アミノ酸スコアはFAO(国際連合食糧農業機関)とWHO(世界保健機関)が1973年に定めたたんぱく質の評価基準です。
1985年、1989年に見直され、私たちが普段摂取する食品のタンパク質のアミノ酸バランスの指標となっています。
体内で合成することができないため食品から摂取する必要がある9種類の「必須アミノ酸」をどれだけバランスよく含んでいるかを100が最高点となる数値で表しています。
つまり、アミノ酸スコアが高い食品ほど質の高いタンパク質ということになるのですね。
日本食品分析センター「食品タンパク質の栄養価としてのアミノ酸スコア」
1-3. 良質たんぱく質を含む食品
良質のたんぱく質の指標として「アミノ酸スコア」があることをご紹介しました。
そのアミノ酸スコアが100(最高点)の食品は、「大豆」「卵」「牛乳」「肉(牛・鶏・豚)」「魚(アジ、イワシ、サケ、マグロ)」となっています。
ここで注目してほしいのが、「大豆」です。
アミノ酸スコアが100の食品の中で唯一、植物性のタンパク質となっていて、同じ量のたんぱく質を摂取する場合、動物性の食品と比べて摂取エネルギー量(カロリー)が低く抑えられます。
「豆腐」「納豆」「味噌」「しょうゆ」など、日本人の食生活に欠かせない「大豆」のアミノ酸スコアが最高点なのは嬉しいですね。
そんな大豆のアミノ酸スコアは、以前は86でした。最高点の100になったのは、1985年からなのです。
アミノ酸スコアは、各アミノ酸の基準値を元に、食品から摂取する必要がある9種類のアミノ酸のスコアを算出します。
大豆に含まれるメチオニンというアミノ酸の基準値が1973年には高かったため、メチオニンがわずかに少ない大豆のアミノ酸スコアは、86となっていました。
当時、成長中の動物に与えたタンパク質1gで体重が何g増加したかを示す「たんぱく質効率」はラットで実験されていました。
ラットは体毛のために人より多くのメチオニンを使うため、メチオニンの基準値が高くなっていたのです。
1985年には、人間に必要なアミノ酸評点パターンを採用、基準値を改定したために大豆のアミノ酸スコアは100となりました。
さらに、1993年にはたんぱく質としての消化吸収率を計算に加えた「たんぱく質消化吸収率補正アミノ酸スコア」を発表しました。
「たんぱく質消化吸収率補正アミノ酸スコア」は、大豆、牛乳、卵(卵白)が最高値である1.0となっていて、牛肉は0.92となっています。
消化吸収を考慮しても、大豆タンパクは最高に良質のたんぱく質なのですね。
2. アミノ酸の効果を実感する食べ方
2-1. アンチエイジング効果には
女性のアンチエイジング効果を期待するなら、アミノ酸を大豆製品から摂取することと、大豆の良質なタンパク質と一緒にたくさんの野菜を食べることをおすすめします。
ただし、動物性のタンパク質を避けるのは禁物です。大豆も肉もアミノ酸スコアは100となっていますが、それより基準の厳しいプロテインスコアやケミカルスコアでいうとやはり動物性タンパク質のほうが、アミノ酸バランスが良いのです。
ですので、大豆製品中心にアミノ酸を摂取しながらもバランスよく肉も取り入れることが重要です。
大豆イソフラボン(ダイゼイン)は、その構造が女性ホルモンに似ていることから、血管や皮膚の老化防止、更年期症状の軽減、生理不順や骨粗しょう症の改善といった効果が認められています。
また、老化の原因は活性酸素によって身体の細胞がダメージを受けることですが、野菜のほとんどはビタミンやミネラルを多く含むために抗酸化作用を持ち、老化を防ぎます。
アミノ酸が身体に良いからとタンパク質ばかり意識せず、ビタミンミネラルも同時に摂取することがアンチエイジング効果を実感できる食べ方となります。
厚生労働省研究班では、多目的コホート研究(要因対照研究)という大規模コホート研究を行っています。
コホートとは共通の性格をもつ集団のことで、「ある共通点を持つグループ」と「その属性を持たないグループ」を設定し、それぞれのグループを観察調査し、病気の発生率を比較して研究しています。
全国の約10万人の地域住民から、生活習慣や健康に関する情報などを提供してもらい、10年以上にわたって調査することで、どのような生活習慣を持つ人がどのような病気になりやすいのか、なりにくいのかというデータを追跡調査したものが「多目的コホート研究」です。
その結果を見ると、乳がんの罹患率などによって大豆イソフラボンが女性ホルモン様の働きをしている可能性が見いだせます。
乳がん罹患率はアジアで低く、米国で高いことはよく知られていますが、同じ日本人でも米国へ移民した人の場合罹患率は高くなっています。これは、食生活の変化によるものといえるでしょう。
私たちはありがたいことに大豆製品が食生活に根付いている日本に暮らしているのですから、積極的にそれらの食品を摂取したいものですね。
多目的コホート研究 (JPHC Study)「日本における大豆、イソフラボン、乳がんリスクの関係」
アンチエイジングについては「体の中から老化を防ぐ2つのルール-食べ物でアンチエイジング」の記事でも詳しくご紹介していますので、こちらもぜひご覧ください。
2-2. 生活習慣病を予防するには
生活習慣病を予防するためには、筋肉のタンパク質の合成を高めて分解を抑制する分岐鎖アミノ酸(BCAA)を積極的に摂取すると良いでしょう。
分岐鎖アミノ酸(BCAA)とは、バリン、ロイシン、イソロイシンのことで、これらのアミノ酸を摂取しながら運動を取り入れることで筋肉を増やして基礎代謝(何もしない状態でのエネルギー消費量)を高めることができます。
食品として最もおすすめなのは鶏卵です。鶏卵は母乳同様にバリン、ロイシン、イソロイシンの比率が1:2:1の黄金比となっていて、鶏卵のタンパク質はアミノ酸スコアだけでなく、より厳しい基準のプロテインスコアやケミカルスコアでも最高点となっています。
以前、鶏卵はコレステロール値を上げるために食べすぎは良くないといわれた時代もありましたが、現代ではコレステロールは悪者とされておらず、また、一日に数個の鶏卵を食べたところでコレステロール値に悪影響はないとわかっています。
また、アミノ酸の中には脂肪蓄積を抑制するものもあります。
ラットに脂肪が多いエサと一緒にリジン、スレオニン、BCAAの混合物を食べさせると、これらのアミノ酸なしのラットと比べてエネルギー消費量が増えて体脂肪の蓄積が減り、さらに脂肪肝も抑制されました。
リジンやスレオニンは植物性タンパク質に不足しているアミノ酸なので、パンやご飯といった炭水化物だけの食事を避け、一緒に良質たんぱく質を摂取することです。
例えば、ランチにコンビニエンスストアでおにぎりを選択したら一緒にゆで卵を購入して食べるようにし、サンドイッチを選択したら一緒に牛乳やヨーグルトを食べるようにするとアミノ酸バランスが良くなります。
肉類のタンパク質もアミノ酸バランスが良く良質なものですが、同時に動物性の油脂を多く摂取してしまうことになるので、鶏のささ身肉や胸肉、豚や牛ならヒレ肉というように油脂の少ない部位を選ぶと良いです。
2-3. 睡眠の質を改善するには
アミノ酸を摂取することで睡眠の質を改善したいなら、グリシンとヒスチジンを含む食品を摂取すると効果を実感できます。
食べ物でいうと、濃い魚のだしで作ったみそ汁がおすすめです。牛乳のカゼインにも睡眠の質を良くする効果があるので、みそ汁に牛乳を入れて温めたものを寝る30分前くらいに飲むと良いでしょう。
グリシンを多く含む食品(100gあたり)は、ゼラチン、干しホタテ貝柱、するめ、焼き干し(とびうお)、干し鱈、豚軟骨、煮干し(とびうお)、サバ節、分離大豆たんぱく、干しアワビ、削り節(かつお)となっています。
ヒスチジンを多く含む食品(100gあたり)は、かつお節、サバ節、田作り(かたくちいわし)、煮干し(かたくちいわし)、なまり節(かつお)、煮干し(とびうお)、カゼイン(牛乳)、焼き干し(とびうお)、生かつお(春獲り)となっています。
グリシンを寝る前に摂取すると、すみやかに深い眠りに入れるだけでなく、深い眠りの量も睡眠初期に増加することがわかっています。
また、ヒスチジンは脳の疲れを改善する効果があります。アミノ酸のヒスチジンは消化管で吸収されて血液中に取り込まれ、脳でヒスタミンへと変わり、「寝る、起きる」という体のリズムや集中力、判断力などに重要な役割を果たしています。
そのため、日ごろ疲れを感じている人がヒスチジンを摂取すると疲労が軽減し、集中力や注意力が増し、パソコン作業などの知的作業効率が高くなることが認められています。
みそ汁を飲むとホッとする、と感じる人は多いですよね。暖かくて飲み慣れた家庭の味という精神面だけでなく、身体、特に脳が欲しがっているアミノ酸が多く含まれているからなのですね。
塩分の摂りすぎが気になる方は、夕食のみそ汁を残しておいて、睡眠の30分前くらいに温めて飲むと良いでしょう。
3. スポーツ・ボディメイクのための食べ物
3-1. 分岐鎖アミノ酸(BCAA)とは
分岐鎖アミノ酸(BCAA)とは、バリン、ロイシン、イソロイシンのことで、筋肉の合成を高める働きがあるなどとして注目されているアミノ酸です。
様々なサプリメントが販売されていますが、食品から自然に摂取したいという方のために、それぞれのアミノ酸が多く含まれている食品をご紹介していきましょう。
ここでは、食品の可食部100gあたりに含まれるアミノ酸量を上位から順にご紹介しています。
文部科学省の日本食品成分表を元にした「食品成分データベース」では、食品の成分を多く含む順にランキングで見ることができます。
【バリンが多く含まれている食品】
カゼイン(牛乳)、乾燥卵白(鶏卵・卵白)、乾燥かずのこ(にしん卵)、煮干し(とびうお)、かつお節、分離大豆たんぱく、サバ節、たたみいわし、焼き干し(とびうお)
【ロイシンが多く含まれている食品】
カゼイン(牛乳)、乾燥かずのこ(にしん卵)、乾燥卵白(鶏卵・卵白)、分離大豆たんぱく、煮干し(とびうお)、かつお節、たたみいわし、サバ節、焼き干し(とびうお)
【イソロイシンが多く含まれている食品】
カゼイン(牛乳)、乾燥卵白(鶏卵・卵白)、乾燥かずのこ(にしん卵)、煮干し(とびうお)、かつお節、サバ節、焼き干し(とびうお)、たたみいわし
分岐鎖アミノ酸(BCAA)が多く含まれている食品は乾燥した魚類が多いことがわかりますね。食品成分のランキングで気を付けなくてはいけないのは、「一回の食事でどれだけ摂取できるか」ということです。
肉類の100gなら楽々食べられますが、煮干しを100g食べるのはちょっと大変ですよね。
例えば「睡眠の質を向上する」ところでご紹介したグリシンも、ランキング一位は「ゼラチン」ですが、ゼラチンだけを100g一度に食べることはほぼ不可能でしょう。
ですので、ランキングを見るときは50位まで表示して、全体を見ると良いです。一食でどのくらい食べることができるかということも、その成分をどれだけ摂取しやすいかにつながるからです。
分岐鎖アミノ酸(BCAA)の場合は、どのアミノ酸も、この後のランキングでは大豆製品や乳製品が出てきます。
乾燥した魚類は一度にたくさん食べることはできませんから、大豆製品や乳製品を多く摂取することで分岐鎖アミノ酸(BCAA)を摂取することがおすすめです。
3-2. ボディメイク・筋肉をつくるアミノ酸
ボディメイクや筋肉の増量を意識している人が摂取すると良いのが分岐鎖アミノ酸(BCAA)であるバリン、ロイシン、イソロイシンです。
筋肉を作るというと「肉」をイメージする人も多いかと思いますが、先ほどご紹介したように乾燥した魚類にもたくさんの分岐鎖アミノ酸(BCAA)が含まれています。
最近の若い人はみそ汁のない食事をする人も多いようですが、乾燥した魚類からだしを取るみそ汁には分岐鎖アミノ酸(BCAA)が含まれていますので積極的に摂取しましょう。
魚のだしなら、澄まし汁やそば・うどんの汁でも良いのですが、みそ汁には大豆製品である発酵食品の味噌も使われているため、大豆のアミノ酸も入っているのでより効果的にアミノ酸を摂取できます。
鶏卵もアミノ酸スコアが最高点の良質たんぱく質です。
ただし、卵白に関しては加熱調理したほうが良いようです。
映画「ロッキー」で、主役のシルベスタ・スタローンが大きなグラスに生卵をいくつも割り入れてぐいぐい飲んでいるシーンがあります。
一昔前までは、ボディビルダーなど筋肉づくりをする人は、鶏卵を生で摂取することが多かったようですが、今では影を潜めています。
なぜなら、生卵の卵白にはアビジンという物質が含まれていて、ビオチン(ビタミンH)の吸収を阻害することと、生の卵白に含まれるオボムコイドという糖タンパクがトリプトシンの作用を阻害するためです。
ビオチンは脂質・タンパク質・炭水化物の退社、細胞の成長、ビタミンB群の有効利用などに関与していて、欠乏すると口やまぶたなどの粘膜に炎症が起きたり、ニキビができたりするほか、ひどい場合には貧血、抜け毛、血糖値の上昇、不眠、吐き気、うつ症状などを誘発します。
また、トリプトシンはタンパク質分解酵素として体内で重要な働きをしているため阻害されるとタンパク質の消化が妨げられて体内に吸収されにくくなるという逆効果になってしまいます。
アビジンもオボムコイドも加熱によって変性し、その働きをなくすので卵白は加熱することが大切です。
3-3. アミノ酸の運動に対する働き
分岐鎖アミノ酸(BCAA)は「スポーツアミノ酸」と呼ばれることもあります。
これは、分岐鎖アミノ酸(BCAA)が筋肉のパフォーマンスの維持に重要なアミノ酸であることや、運動時の疲れを予防する効果が期待できるためです。
筋肉を動かすためにはエネルギーが必要になります。通常、筋肉のエネルギー源には糖質や脂質が使われます。運動を続けることで糖質や脂質が減ってくると、筋肉では分岐鎖アミノ酸(BCAA)がエネルギーとして効率的に使われます。
また、運動後には筋肉がダメージを受けているために、筋肉の疲労や痛みを感じます。分岐鎖アミノ酸(BCAA)の中で特にロイシンはタンパク質の合成を高めるアミノ酸として知られ、筋肉のダメージからの速やかな回復に役立ちます。
さらに、運動時に感じる疲労感が生じる原因の一つに、脳内にアミノ酸のトリプトファンが多く入ることがあるのですが、分岐鎖アミノ酸(BCAA)はこのトリプトファンが脳内へ入ることを抑制するため、運動前に分岐鎖アミノ酸(BCAA)を摂取することで運動時の疲労を感じにくくすることができます。
ボディメイクに必要なアミノ酸については「アミノ酸の効果|ボディメイクに必要な要素とは」の記事もぜひ参考にしてみください。
4. アミノ酸効果が期待できるレシピ
4-1. 理想の朝食レシピ
アミノ酸効果が期待できる理想の朝食レシピのポイントは、鶏卵です。
卵は保存性が高いので買い置きできますし、価格もお手頃で調理も簡単なので毎日の朝食に向いています。
以前はコレステロール値を上げる悪者扱いされた時期もありましたが、現代ではその心配はないことが分かっていますので、朝食では積極的に卵を使いましょう。
【和食派なら】
ごはん
みそ汁
玉子焼き(目玉焼きでも)
青菜のお浸しや野菜サラダ
果物
【洋食派なら】
パン
牛乳(ヨーグルトやチーズでも)
ゆで卵(目玉焼きでも)
野菜スープやサラダ
果物
4-2. 理想の昼食レシピ
昼食は忙しく済ませる人も多いことでしょう。
みそ汁のついた定食や栄養を考えた手作りのお弁当がバランスよくアミノ酸を摂ることができます。
外食するなら、麺類などよりも肉や魚をメインにした、しっかりとしたたんぱく源のある定食を選びましょう。
お弁当の場合、ごはんに不足している必須アミノ酸は豆類で補うことができるので、煮豆を入れるなどするとアミノ酸バランスが良くなります。
コンビニエンスストアで昼食を購入するなら、卵を使った丼物やゆで卵、ヨーグルトやチーズなどの乳製品を意識して加えることでアミノ酸バランスが良くなります。
4-3. 理想の夕食レシピ
夕食では、メインに肉か魚をしっかりと食べることでアミノ酸を摂取することができます。
摂取エネルギー(カロリー)が気になる人は、主食を少なめにすることと、メインの食材に白身の魚や鶏ささみ、胸肉など油脂の少ない食材を選ぶこと、肉や魚の量を減らして豆腐を加えることなどで調整します。
また、みそ汁には身体や脳の疲れを取ってくれるアミノ酸が豊富に含まれますので、ぜひ加えてください。
5. アミノ酸を意識した献立を続ける方法
5-1. 主婦のためのお助け食材
アミノ酸の摂取を意識した献立を続けるなら、鶏胸肉のレパートリーを増やすと家計にやさしくボリューム感のあるメニューになります。
例えば、とんかつと同じボリュームのチキンカツなら材料費はほぼ半分になりますし、とんかつより低カロリーでヘルシーになります。
胸肉をしっとりと加熱した「鶏ハム」や、胸肉のひき肉に卵を加えて作る鶏つくねなども良質たんぱく質からアミノ酸を摂取できるメニューに役立ちます。
5-2. 一人暮らしの人向けのお助け食材
一人暮らしだけれど、しっかりアミノ酸を摂取したいという人におすすめなのは、鶏卵を常に冷蔵庫に常備することです。
肉や魚に比べて、鶏卵は日持ちします。常温保存できるほどなので、冷蔵庫なら2週間以上は大丈夫です。10個入りで購入しても、毎日の朝食で2個ずつ食べれば1週間以内に使い切ってしまいますので特売日にはぜひ購入してくださいね。
また、その日すぐに食べるものを購入するなら、豆腐や納豆もおすすめです。
とくに調理しなくてもそのまま食べられるので、一人暮らしのたんぱく源としてはありがたい食材といえるでしょう。
5-3. 忙しい人が意識しておくと良いこと
仕事が忙しい、学校とアルバイトで忙しいなど、食事の支度に時間をかけられない人も多いことでしょう。
アミノ酸サプリメントに頼らず食品から良質たんぱく質を摂取し、アミノ酸を取り入れるなら、コンビニエンスストアで買い物する際に「ゆで卵」「チーズ」などすぐに食べられて良質たんぱく質を摂取できるものを加えるように意識してください。
飲み物を選ぶ際に牛乳や飲むヨーグルトを選ぶのも、アミノ酸摂取のためには良い選択ですね。
まとめ
健康を意識する人は、自分に不足していそうな成分をサプリメントから摂取できる時代になっています。
しかし、サプリメントは食品の成分の一部ですから、体内で他の食品から影響を受けるのは確実です。成分を数値で見ても、それが体内でどのように吸収されているのか正確にはわからないことが多いといえます。
アミノ酸に関していえば、現代の日本人なら、食品から良質なタンパク質を摂取することで無理なく必要量を摂取することができます。
朝食に卵を食べる、コンビニエンスストアでは牛乳や飲むヨーグルト、チーズやゆで卵を意識して加える、といった比較的簡単なことでアミノ酸摂取は十分可能なのです。
アミノ酸の摂取を意識して食べ物に気を配り始めると、アミノ酸だけではなくビタミンやミネラル類も自然の食品から摂取しようと考え始めるはずです。
バランスの取れた食生活を目指して、良質たんぱく質の摂取を意識してみてください。
【参考資料】
「トコトンやさしいアミノ酸の本」味の素株式会社編著(日刊工業新聞社)
「生命の万能素材」水谷仁編集(ニュートンプレス)
「アミノエビデンス」大谷勝(現代書林)
「アミノ酸で10歳若返る」ナターシャ・スタルヒン(講談社α文庫)
「アミノ酸で身体の調子がどんどん良くなる」三條健昌(三笠書房)
「介護されない人生・アミノ酸が高齢社会を救う」大谷勝(ダイヤモンド社)