目が疲れているのに仕事を続けるのはつらいですよね。
目がしみる、チカチカする、眼球の奥が痛むといった症状が出ていても、がまんしながらパソコン作業を続けていませんか?
このような疲れ目の症状が出ているのに、さらに目に負担をかけ続ければ、眼精疲労という病気に進行してしまいます。眼精疲労になってしまうと簡単に治すことが難しく、様々な体調不良の原因になってしまうのです。
そうなる前に、目の疲れを解消しなければいけません。
ここでは目の疲れがスッキリとれて、視力の回復ができる方法を、5つのカテゴリーに分類して解説します。いずれも今日から自分でできる方法ですから、ぜひお試しください。
目次
目の疲れをとる1 | 目のコリをとる
1-1 目のメカニズムを知る
1-2 目の筋肉をほぐす「眼筋ストレッチ」
1-3 目に酸素を届けるマッサージ
1-4 正しい姿勢を覚える
1-5 新陳代謝を活性化する深呼吸法
目の疲れをとる2 | ドライアイを治す
2-1 ドライアイの症状と原因
2-2 目が潤う「まばたき体操」
2-3 マイボーム腺のつまりを解消するホットパック
2-4 油分不足を解消するマッサージ
2-5 まぶたの筋力をアップするトレーニング
目の疲れをとる3 | 目の調節能力を高める
3-1 遠近法
3-2 上下左右遠近法
3-3 輻輳&開散トレーニング
3-4 立体視トレーニング
3-5 眼位修正トレーニング
目の疲れをとる4 | 太陽光で目にパワー補給
4-1 紫外線は目にいい!?
4-2 目を日光浴させる
4-3 月のパワーを取り込む
目の疲れをとる5 | 視力を回復する食習慣
5-1 細胞を活性化するビタミンA
5-2 目の疲れをとるビタミンB群
5-3 血流を改善するアントシアニン
まとめ
目の疲れをとる1 | 目のコリをとる
首や肩がこるのは、筋肉が緊張して収縮し、血行が悪くなって疲労物質や発痛物質が溜まってしまうためです。
目の筋肉も同じように血行が悪くなると、こった状態になります。目のこりを解消すると、スッキリして視力が回復します。
1-1 目のメカニズムを知る
(http://www.civillink.net/fsozai/eye.htmlよりフリー素材を引用)
目の周囲には眼球を上下左右に動かすために使う「外眼筋」という筋肉があります。もうひとつ、焦点調節に使われる「内眼筋」という筋肉があり、「毛様体筋」とも呼ばれています。
人間の目は、角膜を通った光を眼底の「網膜」でとらえます。そのとき「水晶体」の厚みを変えることによって光の屈折を変え、網膜で像が結ばれるように調節しています。
この水晶体の厚みを調節しているのが「毛様体」なのです。毛様体は筋肉で、近くを見るときは収縮して水晶体を厚くし、遠くを見るときにはゆるんだ状態になって水晶体を薄くします。
近くのものを見続けたり、パソコン仕事などで同じ距離のものを見続けたりすると、毛様体筋が緊張状態になり、なかなかゆるまなくなってしまうのです。外眼筋もこり固まってしまいます。
ご自身の目が疲れているかどうかのチェックについては「疲れ目を解消し眼精疲労を防ぐ方法9選【目の疲れチェック付】」の記事が参考になるかもしれません。
1-2 目の筋肉をほぐす「眼筋ストレッチ」
ストレッチをして全身の筋肉を伸ばしてやると、血行が改善されて気持ちいいですね。目の筋肉もストレッチをすれば血行を改善して疲れをとることができます。
外眼筋と毛様体筋を伸ばすストレッチです。イスに座って顔を上げ、肩の力を抜いてリラックスします。
【1】まぶたを10秒間ギュッと閉じる
【2】パッと目を開けて上を見る
【3】まぶたを10秒間ギュッと閉じる
【4】パッと目を開けて下を見る
【5】まぶたを10秒間ギュッと閉じる
【6】パッと目を開けて右を見る
【7】まぶたを10秒間ギュッと閉じる
【8】パッと目を開けて左を見る
毎日、朝晩2セット行うようにしましょう。なお、目をうまく動かせない人は、眼精疲労を起こしている可能性がありますから、眼科の受診をおすすめします。
1-3 目に酸素を届けるマッサージ
全身の筋肉と同じように、目の筋肉も酸素を必要とします。目のトラブルのほとんどは、酸素不足が原因であるといわれるほど、目にとって酸素は重要なのです。
目の周りにあるツボをマッサージして血行を改善し、目の筋肉に十分な酸素が届くようにしましょう。ツボは指の腹で探って押すと痛みを感じるところです。
【1】目頭の少し上、鼻の付け根にある骨のくぼみに両手の親指を押し当てる
【2】頭の重みを指にかけて、ゆっくりと口から息をはきながら上体を前傾させる
【3】息を吐ききったら、鼻から息を吸いながら頭を上げて元の姿勢に戻る
【4】同様にして、「まぶたの下、頬骨の上にあるくぼみ」「眉の中央当たりのくぼみ」「目尻と眉尻の間の少し後方のくぼみ」を刺激する
1-4 正しい姿勢を覚える
肩に力が入っていたり、肩こり状態になったりすると、首から上にある眼球や脳の血流は悪化します。
酸素をしっかりと目に送り届けるためには、姿勢を正しくして肩や首のコリを解消する必要があるのです。
【1】座ったまま、手を自然に下ろしてお腹を前にせり出し、首を後ろに引く
【2】その姿勢のまま肩を上に上げる
【3】両腕が少し後ろにいくような感じで、肩を後方へストンと落とす
この姿勢で仕事を続けるようにします。悪い姿勢に戻ったと感じたら、①~③を繰り返すと、この姿勢が楽になります。
1-5 新陳代謝を活性化する深呼吸法
酸素をしっかりと体内に取り入れて、目に送り届ける呼吸法です。
【1】7秒かけて鼻から息を吸い込みながら、目全体に栄養が送られることをイメージする
【2】7秒間息を止めて、目に意識を集中させる
【3】鼻から息を吐きながら、目の疲労物質がすべて鼻から出ていくことをイメージする
この呼吸法を1日に3分間行ってください。
目の疲れをとる2 | ドライアイを治す
ドライアイを発症する人は増加を続けており、現在では全国で800万人を超えるといわれています。
角膜は人間の体で唯一血管がない粘膜で、血液に代わって涙が角膜に酸素や栄養を補給しています。
涙が減ると目が乾燥して角膜が傷つきやすくなり、栄養が行き届かないので修復することもできなくなってしまいます。
2-1 ドライアイの症状と原因
ドライアイは、涙が減ってしまって目の表面が乾き、痛みや充血、慢性的な疲労感、不快感などの症状が出ます。
ドライアイになる原因には、次のようなものがあります。
・パソコンやスマートフォンの過度な使用による、まばたき回数の激減
・冷暖房による空気の乾燥
・顔の筋肉を使わないことにより、まばたきが不完全になる
・コンタクトレンズの使用
2-2 目が潤う「まばたき体操」
涙腺を刺激して、つまりを解消してから、角膜に涙を流してやります。
【1】大きく目を開いて1点を見つめ、できるだけその状態を続ける
【2】目が乾燥してしみるようになってきたら10回まばたきをし、これを5回繰り返す。
【3】大きな背伸びをしながらあくびをして、目に涙をためる
この「まばたき体操」を1日に10回行うと効果的です。
2-3 マイボーム腺のつまりを解消するホットパック
まぶたの上下、まつ毛の付け根に数十個ある小さな穴から油分を分泌する「マイボーム腺」という分泌腺があります。
マイボーム腺は、涙の表面に油膜を作って蒸発しにくくする重要な役割を担っています。女性のお化粧や、自動車の排気ガスなどが原因でマイボーム腺がつまると、油分が不足してしまいます。
50度くらいのお湯につけて絞ったホットタオルで目を温めると、マイボーム腺につまっている油分が溶けて、油分の分泌が戻ります。
2-4 油分不足を解消するマッサージ
ホットパックでつまりを解消したら、指でマイボーム腺をマッサージしてさらに活性化させましょう。
【1】両手の親指をこめかみに当てて、人差し指の腹で下まぶたを4回軽く押す
【2】上まぶたも4回軽く押す
【3】上まぶたの眼球上部の溝を3本の指で10回軽く押す
【4】下側の溝も3本の指で10回軽く押す
【5】目頭の内側、鼻の付け根を親指と人差し指で10回つまむ
2-5 まぶたの筋力をアップするトレーニング
まぶたの筋肉の筋トレを行って、完全なまばたきができるようにします。
【1】アゴを引いて目線を上に向けたまま、ゆっくり10回まばたきをする
【2】顔を上に向けて目線を下に落としたまま、ゆっくり10回まばたきをする
毎日、朝晩に2セット行ってください。
目の疲れをとる3 | 目の調節能力を高める
ここまでは疲れ目の解消を主眼に置いたケアを解説したきました。視力回復のトレーニングを行うために準備を整えたというところです。
この項では、目の調節機能を高めて視力を回復させるためのトレーニングを解説します。
パソコン作業を続けるなど、同じ姿勢で同じ距離のものを見続けると、毛様体筋が緊張して硬くなり、焦点を合わせる能力が落ちていきます。
毛様体筋を鍛えて水晶体の柔軟性を取り戻すことにより、視力の回復を図ります。
3-1 遠近法
パソコンの作業を1時間続けたら、この遠近法を1回行って毛様体筋が固まるのを防ぎましょう。
方法は、窓の外に視線を移して遠くの景色や近所の樹木、看板やクルマなど、いろいろな距離にあるものを、2秒ずつ焦点を合わせながら視線を移動させるだけです。
3-2 上下左右遠近法
窓の外を眺めることができない場合には、近距離で視線を移動させる方法があります。
【1】両手の親指を前に出して上下に広げ、上の親指と下の親指に1秒ずつ焦点を合わす
【2】だんだん上下の距離を広げていき、20回繰り返す
【3】次は両手の親指を右と左に広げ、それぞれ1秒ずつ焦点を合わす
【4】だんだん左右の距離を広げていき、20回繰り返す
3-3 輻輳&開散トレーニング
左右の目で同時にものを見ることを「両眼視」といいます。ここからの3つのトレーニングは、左右の目のバランスを修正してしっかり両眼視ができるようにするためのものです。
左右の目のバランスが崩れると、対象物に焦点を合わせることも、左右の目から入ってきた像を頭の中でひとつに重ねることもできなくなってしまいます。
見たものがふたつにダブって見えてしまうこともあり、対象物との距離やその奥行きを目測することがしづらくなってしまいます。
ひとつめは、輻輳(目を寄せること)と開散(目を左右に広げること)のトレーニングです。
【1】片手の親指を立てて腕を前に伸ばし、両目で見ながら目の前10センチの位置まで引いてくる。これを10回繰り返す
【2】次に、腕を上げて親指を上部と目の前で、次には腕を下げて親指を下部と目の前で、さらに左と右もそれぞれ10回ずつ繰り返す
【3】さらに斜め右上、斜め左上、斜め右下、斜め左下も10回ずつくりかえす。すべて1回ごとに目の前へ視線を戻すことが大切
3-4 立体視トレーニング
両目の距離感をトレーニングします。
部屋の中でコインを2枚用意し、1枚を適当なところに投げたら、もう一枚をそのコイン当てるように投げます。
いろいろな方向、いろいろな距離で行うことによって、両目で距離を把握する能力を鍛えることができます。
3-5 眼位修正トレーニング
眼球周囲の内側にある内直筋が弱くなると、相対的な関係にある外側の外直筋が強くなってアンバランスになり、「外斜位」という症状を起こしやすくなります。
外斜位は、斜視に至るほどではありませんが、目が外にずれている状態です。
眼球を外側から内側に動かして内直筋を鍛えるトレーニングをしましょう。
【1】右手の親指を立てて頭の上から目の前10センチの位置までゆっくり動かし、両目で追う
【2】親指を右斜め上の上げて、目の前10センチの位置までゆっくり動かし、両目で追う
【3】続けて、右、右斜め下、下と同様に行って両目で追う
左右で1セットとして、1日に2セット行います。
目の疲れをとる4 | 太陽光で目にパワー補給
目から入った光は2つのルートで脳に伝わります。
ひとつは、色や形などの視覚情報を認知する後頭葉へと伝わるルート。もうひとつは、体内時計や生体リズムにかかわる松果体へと伝わるルートです。
太陽の紫外線がないとふたつめのルートに問題が生じて、自律神経系、ホルモン系などに悪影響を与えることになり、身体の様々な機能を低下させます。
紫外線は目に悪いとする風潮がありますが、紫外線が足りないと、深海魚が失明するように人間の視力も低下するのです。
4-1 紫外線は目にいい!?
適度な紫外線は人間の身体に必要なもので、目にも有益です。その理由には、次のようなものがあります。これらはすべて科学的に実証されているものです。
・カルシウムの吸収を高める
・血圧を下げる
・心臓を強化して心拍を力強くする
・脳の血液循環がよくなる
・コレステロールが減少する
・体重の増加を防ぐ
・免疫力を高める
・男性ホルモンや女性ホルモンの分泌を高める
・皮膚のホルモンを活性化させる
すべて間接的ではありますが、目の疲れをとり、視力を回復するのに有効な事柄ばかりなのです。
4-2 目を日光浴させる
太陽の光を視力回復に直接利用する方法です。古代ギリシャ時代から太陽の光を活用して行われていた、「ヘリオセラピー」と呼ばれる治療法を再現したものです。
【1】太陽の光を顔に受けた状態で目を閉じ、30秒間日光浴をする
【2】両手をこすり合わせてからお椀のようにして、30秒間、閉じたままの左右の目に覆いかぶせる
太陽の光を直接見ないようにして太陽のエネルギーが目に吸収されることをイメージし、5回くらい繰り返すと効果的です。
4-3 月のパワーを取り込む
月のやさしい灯りの正体は太陽の光ですが、太陽の光とはまた違ったパワーがあるといわれます。
【1】月が出ている晩に、部屋のライトをすべて消して暗くし、窓際に行く
【2】目は閉じても開けたままでもいいので、月光をしっかりと感じ取るようにイメージする
2~3分でも気持ちが落ち着きますが、20分くらい月光を浴びると安眠効果が高まって、視力の回復に大きな威力を発揮します。
目と光の関係性については「目が疲れない照明の使い方-光とうまく付き合うポイント10」の記事もぜひ参考にしてみてください。
目の疲れをとる5 | 視力を回復する食習慣
視力の回復には、身体の中から健康になることも重要です。
とくに、視力回復に大きな効果がある成分として、「ビタミンA」「ビタミンB群」「アントシアニン」の3つを解説します。
5-1 細胞を活性化するビタミンA
目の細胞や粘膜の新陳代謝に欠かせないのが、ビタミンAです。
角膜の細胞を再生して、表面を保護する粘膜の成分としても機能し、網膜で光を感じる細胞の材料となります。
不足すると、暗いところで視力が極端に落ちる夜盲症や、角膜が炎症する原因となります。
ビタミンAを多く含む食品は、牛豚鶏のレバー、うなぎ、バター、卵黄などの動物性食品や、ほうれん草、かぼちゃ、にんじん、小松菜、ブロッコリーなどの野菜、ブルーベリーなどです。
加熱しても壊れにくい成分ですから、いろいろな調理法で毎日必ずとるようにしましょう。
5-2 目の疲れをとるビタミンB群
ビタミンB群には、タンパク質や糖質の吸収を助けて、細胞の成長を促す働きがあります。
中でも重要なのが「ビタミンB1」と「ビタミンB12」で、視神経の機能を高め、視力の低下を防ぐ働きがあります。
ビタミンB1が不足すると目が疲れやすくなるので、十分に摂取したいものですが、これらのビタミンは水に溶けやすいため、一度にたくさん摂取しても汗や尿で排出されてしまいます。やはり毎日必ずとることが大切です。
ビタミンB1とビタミンB12を多く含む食品は、豚肉、牛レバー、乳製品、うなぎ、さば、いわし、かつお、カキなどの動物背食品や、玄米、ごま、大豆、落花生などです。
ほかにも、牛豚鶏のレバー、鶏卵、玄米、干ししいたけ、納豆、のり、わかめなどに含まれる「ビタミンB2」は脂肪の吸収を促進して網膜の働きを助け、目に充血や視力を回復させます。
大豆、豆類、牛豚鶏のレバー、牛乳、さけ、さばなどに含まれる「ビタミンB6」は、水晶体と毛様体の主成分であるタンパク質の吸収に欠かせないものです。
また、「ビタミンC」は水晶体の透明度を保つためには欠かせない成分で、白内障の予防にも効果があります。
5-3 血流を改善するアントシアニン
最近、視力回復に大きな効果があるとして注目されているのが、「アントシアニン」という色素成分です。
ブルーベリーに多く含まれるポリフェノールの一種であるアントシアニンは、眼球内の毛細血管を強くして血流を改善します。
目の隅々まで栄養素や酸素を送り届けることができるようになるので、毛様体の働きを活性化させることができます。
アントシアニンは、ブルーベル―以外にも、ブドウ、イチゴ、赤タマネギなどにも含まれています。
まとめ
日頃から目の疲れをとって、視力を回復させようとする意識を持つことで、眼精疲労をはじめとする様々な目のトラブルを回避することができます。
5つのアプローチで日頃から目にやさしい生活を送っていれば、さらに回復力が高くなるので、一晩寝れば目の疲れもスッキリ回復することでしょう。
【参考資料】
『パソコン・スマホの「疲れ目」「視力低下」驚異の回復法』(三笠書房・2013年)
『目のトラブルを解消する!』(日本書院・2012年)