薬局のサプリメントコーナーや、目の健康についてインターネットで調べていると「ルテイン」という成分をよく見かけますよね。
日常生活にスマホが欠かせなくなり、SNSや動画視聴の時間が増えるにつれて、目が乾燥したり視力が下がってしまう方が増えてきました。
今回の記事でご紹介するルテインという成分には、目の老化を防ぎ、視力の維持や目の病気を予防する効果が期待できます。
この記事では、そんなルテインの効果や適切な摂取量・ルテインが多く含まれる食品などを解説していきます。
目に異常を感じ始めている方や、目の健康を保ちたい方は、この記事を参考にルテインを日常生活に取り入れてみてくださいね。
目次
1. ルテインとはどんな成分?
1-1. ルテインの主な働き
1-2. ルテインは体内で生成できない
2. ルテインの具体的な効果6選
2-1. 効果①老眼の予防
2-2. 効果②白内障の予防
2−3. 効果③紫外線やブルーライトから目を守る
2-4. 効果④加齢黄斑変性症の予防
2-5. 効果⑤子宮頸がんや乳がんなど婦人科の病気の予防
2-6. 効果⑥スポーツの能力の向上
3. ルテインが多く含まれる食材5選
3-1. 食材①ケール
3-2. 食材②モロヘイヤ
3-3. 食材③小松菜
3-4. 食材④ほうれん草
3-5. 食材⑤ブロッコリー
4. ルテインの効果を高める1日あたりの摂取量
4-1. ルテインの効果を高めるサプリメントの摂取時間
5. ルテインと一緒に摂取したい成分2選
5-1. ①アントシアニン
5-1-1. アントシアニンを多く含む食材(100g中)
5-2. ②アスタキサンチン
5-2-1. アスタキサンチンを多く含む食材(100g中)
まとめ
1. ルテインとはどんな成分?
ルテインとは、全部で約600種類以上もある「カロテノイド」と呼ばれる天然色素の一種です。
天然色素という通り、人工物ではなく自然由来の成分であり、特に「緑黄色野菜」に豊富に含まれています。
このルテインは、人間が生まれつき持っている成分の1つでもあります。
皮膚・乳房・子宮・脳などに蓄えられており、中でも目のレンズである水晶体や、網膜の中心にある黄斑部に多く存在しています。
このため、ルテインを食品から適切に摂取することで、
・目のピント調節を助けてくれる
・加齢黄斑変性症を予防する
・子宮頸がんなど婦人科の病気を予防する
といった効果を得ることができます。
目に効くだけでなく、女性特有の病気を防いだり老眼の進行を遅らせることが期待できるため、どんな方にもおすすめできる栄養成分なのです。
1-1. ルテインの主な働き
ルテインは特に、目のレンズの役割をする水晶体と、網膜の中心にある黄斑部に多く含まれています。
水晶体に含まれるルテインの量が多いほど、ピントを早く正確に調節できるようになり、老眼の「近くのものが見えにくい」「ピントの調節に時間がかかる」といった症状を和らげてくれます。
また、黄斑部のルテイン量が増えると、紫外線やブルーライトなどの有害な光線を吸収して、網膜を保護してくれます。
こうした有害光線は目の老化(老眼)を進行させる大きな原因となることから、ルテインの摂取によって老眼の進行を遅らせることができると言われています。
1-2. ルテインは体内で生成できない
目をはじめ、体のさまざまな部位で重要な役割を果たしてくれるルテインですが、体内で生成することができません。
そのため、ルテインは食事から摂取する必要があり、日頃から意識しないと不足しがちな栄養成分でもあります。
特に現代では、パソコンを使った仕事が増え、スマホを見る時間も長くなっていることから、ルテインは現代人こそ意識して摂り入れたい成分と言えますね。
2. ルテインの具体的な効果6選
ルテインを食事から摂取することで、具体的にどんな効果を得ることができるのでしょうか?
ここからは、ルテインの主な効果を6つご紹介します。
2-1. 効果①老眼の予防
ルテインの主な働きは、「活性酸素の抑制」です。
アンチエイジングなどでよく耳にする、老化の原因となる活性酸素の働きを抑えて、老化を防ぐ効果があります。
ルテインは特に目に多く含まれていることから、目の老化、すなわち老眼を防ぐ効果が期待されています。
その反対に、ルテインの不足は老眼のリスクを高め、老眼を進行させてしまいます。
老眼の主な症状は、以下の通りです。
・近くの文字や細かな文字が読みづらい
・本やネット記事などの小さな字を読むとき、その本やスマホを目から離す機会が増えた
・PCやスマホを見ていてふと目を上げると、遠くの景色がぼやけるようになった
このような症状に覚えのある方は、老眼が進行している可能性があります。
ルテインの摂取によって、このような老眼の症状の進行を防ぐことができます。
2-2. 効果②白内障の予防
ルテインは、白内障の予防に効果があるとされています。
白内障とは、加齢とともに水晶体が白く濁り、視力が低下する病気です。
ルテインは水晶体に多く含まれており、抗酸化作用によって老化を防ぐ効果があることから、白内障を予防してくれます。
白内障の主な症状は、以下の通りです。
・視力が低下する
・視界が全体的にかすむ
・光がまぶしく感じる
白内障は加齢に伴って誰でも起こり得る、一般的な目の病気です。
治療方法も確立されている病気ではありますが、やはり予防が一番効果的です。
誰もが発症する可能性があるからこそ、ルテインの摂取は目の健康を保ちたい方におすすめです。
2−3. 効果③紫外線やブルーライトから目を守る
先ほど解説した通り、ルテインは網膜の黄斑部に多く蓄えられていて、目を紫外線やブルーライトなどの有害光線から保護する役割があります。
その効果から、ルテインは「天然のサングラス」と呼ばれています。
紫外線が目やお肌の老化を進行させることはよく知られていますが、スマートフォン・パソコン・テレビ・蛍光灯などから発せられるブルーライトもまた、目の疲れや老化を進行させる活性酸素を多く生成する原因だと明らかになっています。
1日のうち、パソコンやスマホを1分たりとも見ないという方は、現代ではほとんどいないでしょう。
そのため現代人は、常にブルーライトによって目にダメージを与えて、活性酸素を蓄積してしまっている状態です。
スマホを毎日よく使う人や、パソコンを使って仕事をしている人は、ルテインを日常的に摂取することで目の健康を守り、老眼や目の病気を予防できるでしょう。
2-4. 効果④加齢黄斑変性症の予防
加齢黄斑変性症とは、ものを見る時に働く「黄斑部」が加齢に伴って衰えることで、
・視界がかすんだり欠ける
・視界が歪んで見える
・最悪の場合、失明する
などの症状を引き起こす病気です。
黄斑部は網膜の中心にあり、目を使う時に最も活発化する部位です。
その分活性酸素も発生しやすく、スマホをよく使う現代において、加齢性黄斑変性症は年々増加傾向にあります。
そしてルテインは、この黄斑部に多く含まれています。
ルテイン量が多いほど活性酸素を抑制してくれることから、網膜の保護効果も上がり、加齢性黄斑変性症を予防できるのです。
加齢性黄斑変性症は、日本人の途中失明の原因で上位に数えられています。
そのためルテインの摂取は、網膜の異常や失明という大きなリスクを防いでくれる、現代人に欠かせない栄養成分と言っても過言ではないのです。
2-5. 効果⑤子宮頸がんや乳がんなど婦人科の病気の予防
ルテインは、乳房や子宮内にも含まれていることが知られています。
そのためルテインを食品から適切に摂取できれば、子宮頸がん・乳がん・子宮筋腫といった女性特有の病気を予防してくれる効果も期待できます。
病気の予防と聞くと大げさに聞こえますが、ルテインの摂取によって生理痛が軽減することも報告されています。
ルテインの日常的な摂取は、女性にとって嬉しい効果がたくさんあるのですね。
2-6. 効果⑥スポーツの能力の向上
目の病気を予防するだけでなく、目のピント調節やコントラスト感度など「機能を高める」という意味でも、ルテインの摂取は効果的とされています。
特に、野球やサッカー・テニスなどの速いボールを目で追いかけるようなスポーツをされる方は、ルテインの摂取によってそのスポーツの能力が高まることが研究で裏付けられています。
ルテインを摂取するとスポーツの能力が高まる理由は、おおよそ以下の通りです。
・ルテインの摂取によって網膜から脳に伝わる情報の速度が早まり、反応速度が上がる
・網膜のルテイン量が増えると、物の輪郭がくっきり見えるようになり識別能力が高まる
・物の濃淡を読み取りやすくなり、夜間でも物をくっきり見ることができる
こうした効果から、球技などの速い物を追いかけるスポーツ選手にとって、ルテインは欠かせない栄養成分の一種とされています。
また、激しい運動によって酷使した目を保護するためにも、ルテインは役立ってくれます。
3. ルテインが多く含まれる食材5選
冒頭でお話した通り、ルテインは体内で生成することができないため、食品やサプリメントで体内に摂り入れる必要があります。
ルテインが最も多く含まれる食品のジャンルは、緑黄色野菜です。
また、果物にもルテインが含まれているものが多く、間食やおやつで食べやすいことから、意識すればルテインの不足を心配する必要はありません。
ここからは、ルテインが多く含まれる食材のうち、野菜を5つピックアップしてご紹介します。
100gあたりのルテイン含有量が多い食材から順番に紹介しています。
この中から、毎日食べやすい野菜を1品見つけて、実際に食事に取り入れてみましょう。
3-1. 食材①ケール
青汁の原料として知られるケールは、100gあたり22mgと非常に多くのルテインを含む野菜です。
「苦味があって食べにくい…」というイメージのある野菜ですが、今はケールを粉末状にした青汁で手軽に摂取が可能です。
生野菜であることにこだわらなければ、ケールは比較的食べやすい食材であり、ルテインを簡単に摂取できる野菜です。
3-2. 食材②モロヘイヤ
モロヘイヤには、100gあたり約13mgのルテインが含まれています。
茹でるだけで簡単に食べられ、夏バテ解消に効くと言われるほど栄養価も高いことから、食事意識の高い方に人気の野菜です。
3-3. 食材③小松菜
小松菜に含まれるルテイン量は、100gあたり7.6mgです。
和食の汁物に入れたり、洋食の炒めものに加えたりと、アレンジしやすくクセも少ないため、手軽に摂取できます。
3-4. 食材④ほうれん草
ほうれん草には、100gあたり約4.5mgのルテインが含まれています。
ルテインのほか、ビタミンやミネラルなどの栄養素も豊富に含まれていて、冷凍食品にもラインナップされているため、レンジ1つで簡単に摂取することができます。
3-5. 食材⑤ブロッコリー
ブロッコリーには、100gあたり約1.9mgのルテインが含まれています。
ブロッコリーの栄養面で嬉しいポイントは、ビタミンCが豊富に含まれていること。
ビタミンCはルテインと同じく抗酸化作用があり、老眼や白内障の予防効果をさらに高めてくれます。
ブロッコリーだけで1日のルテイン摂取量を満たすのは難しいため、他の食材と組み合わせてルテインを適切に摂り入れましょう。
4. ルテインの効果を高める1日あたりの摂取量
ルテインの効果を最大限に高めるには、1日あたりの摂取量をきちんと守りましょう。
ルテインの推奨摂取量は、「1日6mg以上が望ましい」とされています。
また、1日10mgの摂取で老眼の発症リスクを軽減する効果が報告されているため、最低6mg・最大10mgを目標に、ルテインを含む食材を毎日の食事に加えてみましょう。
しかし、食事だけではルテインを十分に摂取することは難しいと言われています。
1日10mgということは、先ほど紹介した食材に置き換えると、その量は以下のようになります。
・モロヘイヤ…約74g
・小松菜…約130g
・ほうれん草…約220g
この計算はこの食材だけを摂取した場合であり、他の食材に含まれるルテイン量を加えれば量は上記より少なくなります。
それでも、毎日の食生活でルテインを意識することは難しくいため、「不足分はサプリメントで補う」ことを考えましょう。
4-1. ルテインの効果を高めるサプリメントの摂取時間
栄養補助食品であるサプリメントは、食事の後に摂取するのがおすすめです。
胃の消化活動が活発なうちにサプリメントを飲むことで、サプリに含まれるルテインが効果的に吸収されます。
なお、高脂血症の薬や抗肥満薬にはルテインの吸収効率を低下させるものがあるため、薬とサプリメントの同時摂取はおすすめしません。
これらの薬を服用している方は、薬の摂取時間と医師の指示を守った上で、ルテインのサプリメントは30分〜1時間ど間隔をあけて摂取しましょう。
5. ルテインと一緒に摂取したい成分2選
目を保護したり活性酸素を抑制する成分は、ルテインだけではありません。
最後に、ルテイン以外にも目の健康を保ってくれる2つの成分をご紹介します。
5-1. ①アントシアニン
アントシアニンは、ポリフェノールの一種である青紫色の天然色素です。
ルテインと同じく体内で生成できないため、アントシアニンも食品から摂取する必要があります。
アントシアニンの主な働きも「抗酸化作用」であり、目の老化を防ぐ効果があります。
また、アントシアニンは目の血流を促す効果があるため、目の疲れを回復させたりコリをほぐす効果が期待できます。
ルテインと同じく、スマホやパソコンの見すぎによる疲れ目を癒してくれる、目の健康に欠かせない栄養成分の1つです。
5-1-1. アントシアニンを多く含む食材(100g中)
・ワイルドブルーベリー…486.5mg
・紫キャベツ…322mg
・なす…85.7mg
・黒豆…44.5mg
・いちご…21.2mg
この一覧から分かる通り、アントシアニンは「紫色」の食材に多く含まれています。
目の健康を意識したい時は、普段の食生活に紫色の野菜や果物を取り入れてみてくださいね。
5-2. ②アスタキサンチン
アスタキサンチンもまた、強力な抗酸化作用をもつ赤色の天然色素です。
アスタキサンチンの摂取によって、
・眼精疲労が改善される
・ピント調節機能が改善される
・ピント調節機能の改善によって、肩こりが解消される
といった効果を得られることが研究で報告されています。
このアスタキサンチンも、体内で生成できず、食品から摂取する必要があります。
5-2-1. アスタキサンチンを多く含む食材(100g中)
・エビ、カニ…約40mg
・オキアミ…4.5~13mg
・シャケ…0.3~4mg
・イクラ…約1.4mg
・ニジマス…0.1~1.3mg
植物プランクトンや海藻類が作り出すアスタキサンチンは、それらを食べる魚介類の体に多く含まれます。
赤みのある魚介類を食卓に加えることで、アスタキサンチンを効果的に摂取できるでしょう。
まとめ
ルテインは人間の体内では生成できないため、疲れ目を治したい方や目の病気を予防したい方は、ルテインが多く含まれる野菜や果物をできるだけ効率よく摂りたいところです。
・緑黄色野菜を意識して食べる
・足りない分はサプリメントで代用する
・ケール青汁を習慣化する
といった工夫で、ルテインを日常的に摂取して、目の健康を守りましょう!