シンクロニシティとは日本語で『共時性』『共時現象』『同期生』『同時性』と訳され、心理学の世界で研究されてきました。
スピリチュアルな考え方が一般的になってきた今、耳にする機会も増えていますが、心理学的に追求していくと奥が深く、理解しにくい部分もあるように感じます。
ここでは、はじめにシンクロニシティとはどのようなものか簡単に理解していただき、その後自分の日常にどう活用していくかを説明していきます。
そして、より深い部分まで知りたい、興味があるという人には、後半で心理学を学んでいなくても理解しやすい考え方や、より深く学べる本の紹介という順に進んでいきますので、興味のある方はどうぞ最後までご覧ください。
シンクロニシティの意味
「偶然という考え方では割り切れない、因果関係のない意味ある一致」です。
つまり、確率で言うとほとんど起こり得ない程度のことが身の回りで観察されるということ。
例えば、誰かに電話をかけようと思ったときに偶然かかってくる、同時にメールを送り合う、街の雑踏の中に知り合いをみつけるなど、意図してやろうと思ってやってもできないような偶然をシンクロニシティと言います。
このようなシンクロニシティは、なぜ起こり、そこにはどのような意味があるのでしょうか。また、自分の生活に活かす方法はあるのでしょうか。
理解しやすい順にご紹介しますので、はじめは力を抜いて、気軽に読んでみてください。
目次
1. シンクロニシティが起きる人と起きない人の違い
2. シンクロニシティを日常に活かす方法
3. シンクロニシティを利用する引き寄せの法則
4. シンクロニシティの定義
5. (まとめ)起きる出来事に目を向けて今を生きるとシンクロニシティに気付く
1. シンクロニシティが起きる人と起きない人の違い
1-1. 偶然の一致に気付く人と気付かない人
シンクロニシティ、偶然の一致に気付く人は、ひとことで言うと「今を生きている」人です。そして、気付かない、気付きにくい人とは、「過去にとらわれている」「未来の心配をしている」など、日常を「心ここにあらず」で過ごしている人といえます。
では、どのような人が「今を生きている」と言えるのでしょうか。
それは、「自分がなりたい状態」をきちんとイメージできていて、心に不安や怖れを抱かずにそれに向かって今、自分がすべきことを迷いなくしている人です。
いつも些細なことに腹を立てたり、悩んだり、悔やんだりしていると、意識はそちらに向いてしまいますから、目の前に起こっている『偶然の一致』であるシンクロニシティにも気付かないのです。
目の前に起きている偶然の一致に「おや?これには何の意味があるのかな?」と気付ける人は、その後起きる出来事に対し「ああ、こういう意味だったのか」と理解していきます。
こうした人は、シンクロニシティを有効に活用することができるでしょう。
1-2. これまでの常識に囚われている人と自由な人
これまでの常識に囚われている人には、シンクロニシティが起きにくく、起きていても本人が気付きにくい状態になります。
反対に、「常識というのは、その出来事を見る角度や時代、立場によって違う」というふうに自由な発想ができる人には、シンクロニシティが起こりやすく、その意味に気付いて有効に活用することができます。
他人の行動や、目の前で起こる出来事に対して、これまでの常識の枠にはめて「あの人は非常識だ」などと腹を立てていると、せっかく起きているシンクロニシティに気付かず、さらに偶然の一致は起きにくくなっていくのです。
1-3. 合理性のないことを無視する人と意味を見出す人
シンクロニシティは、偶然の一致ですが意味があります。こうした合理性のないことに対して、「そんな馬鹿な。意味などあるはずがない」と捉えるか、「面白い偶然だな。どんな意味があるのだろう」と捉えるか。
「意味がない」と捉える人には、その意味は見いだせず、シンクロニシティを活用することはできません。
しかし、「どんな意味があるのだろう」と捉える人は、その後答えを受け取りますから、シンクロニシティの活用方法を徐々に身につけていけます。
これまでの物理科学では説明のできないことが最近、量子物理学などによって解明されてきています。
今現在の人間の知識では「合理性がない」とされても、後年には「そんなの当たり前なのにね」ということが起こるということを、想像できるかどうかの違いと言えるでしょう。
1-4. 自分の人生と真剣に向き合っている人とそうでない人
自分の人生に対して、責任を持ち真剣に向き合っている人にはシンクロニシティが起きますし、本人もそれに気付きます。
反対に、不平不満を口にしながらも、なんの行動もとらずに流されるように生きている人には、シンクロニシティは起きにくいですし、起きたとしても気付かないことがほとんどです。
なぜかというと、人は未経験の行動を起こすとき、危険を察知するために、脳だけでなく体中のあらゆる部分が活発に活動するからです。必要なホルモンを分泌し、意識はクリアになり、感覚器官は最大のポテンシャルを発揮します。
すると、身の回りに起きる些細なことにも気付くようになります。そして、気付いた偶然の一致がどのような意味を持つのかも、察知することができるようになるのです。
そうした人はシンクロニシティから多くのチャンスを見出し、行動し、成功していく可能性大です。
ところが、なにも行動せず流されるように生きている人は、意識が混濁し、注意力は散漫になり、感覚器官も鋭さを失いますから身の回りに起きているシンクロニシティに気付かず、その意味ももちろんわからないために、チャンスをつかむこともできないというわけです。
2. シンクロニシティを日常に活かす方法
2-1. 身近に起きたシンクロニシティを記録する
シンクロニシティを記録することで、さらにシンクロが起きやすく、気付きやすくなっていきます。
シンクロニシティは時間の概念を超えて起こりますから、起こったときには意味がわからないことがとても多いのです。
後になって「あのとき、邪魔が入ったと思ったけれどそのおかげで後の成功につながった」などと気付くことができれば、驚くほど頻繁にシンクロニシティは身の回りで起こっていることが信じられるようになります。
「シンクロニシティを記録する」と心に決めてノートを用意するだけで、これまでは見逃してきた様々な出来事に意味があることに気付きはじめ、「あれ?」と気付くようになります。
2-2. 夢日記をつけることでシンクロニシティに気付く
夢もまた、シンクロニシティの一種ですから、記録することで自分にとっての意味がわかるようになるといいます。
「夢とは、脳が眠る前にあった出来事を整理し、必要なものを記録し、不要なものを処分している状態を見てしまうこと」という説もありますが、夢日記をつけるようになるとそうした出来事以外のことを見ていることがあると気づきはじめます。
シンクロニシティはすべての存在が集合意識でつながっているために起きる現象ですから、誰かが強く念じたことが夢に現れたり、過去の記憶の集積から、今現在の悩みをどうしたら解決できるかのヒントをくれたりということがあるのです。
夢のすべてに意味を見出すことは難しいかも知れませんが、自分の夢日記をつけることで、なにかしらの意味を見いだせるようになるでしょう。
2-3. シンクロニシティが起きたときの感情に目を向ける
晩年はスピリチュアルな考え方に傾倒していた経営コンサルタントの船井幸雄さんは、「シンクロニシティの意味は、自分の感情で決まる」とブログに書かれています。
偶然の一致が起きたとき、それをどのように感じたかによって、意味を判断するというのです。
例えば、ある女性がふたり続けて同じ名前の男性とつきあったとします。名前の漢字は違いましたが、読みは「ヒロシ」です。しかも、そのふたりとも血液型はO型。
ふたり目の「ヒロシ、O型」と別れ、また出会った男性が「ヒロシ、O型」というシンクロが起きたとき、それを「やっぱり運命の人だ」と捉えるか、「『ヒロシ、O型』はやめておこう」と捉えるかは、その女性自身の直感だというのです。
「ヒロシ、O型。面白いな。つきあってみよう」と感じるのか、「ヒロシ、O型はきっと相性が悪い」と感じるのか、自分の感情に目を向けられる人がシンクロニシティを活かすことができるようです。
2-4. シンクロニシティをカラーバス効果として利用する
シンクロニシティを利用することで、『カラーバス効果』と同じように、自分の望みに役立つことを見分けやすくなります。
初心者向けの自己開発セミナーなどでよく行われる『カラーバス効果』とは、『色を浴びる』、つまり『見たいと思う色が目に飛び込んでくる』というもの。
《カラーバス効果を実感する方法》
まず、何も考えずに今自分から見える景色をぐるりと見回してみてください。窓の外の景色でも室内の景色でもかまいません。
その後、目を閉じます。「赤い色のものはありましたか?」と質問されると、脳は先ほど見た景色に赤があったかを確認しはじめます。
そして、「目をあけて、赤い色のものがあったかどうか実際に確認してください」と言われ目を開けると、先ほどは気付かなかった赤い色のものがたくさん見えることに気付くでしょう。
色は何色でもかまいません。相手をみつけて、お互いに実践してみてください。
これが「カラーバス効果」です。お金持ちになりたいのなら「お金持ちになるには?」と考えていれば、脳がそれに関わることを探してみつけやすくするというしくみです。
健康を維持したくて、そう考えていれば、サプリメントの広告やジムの看板が目に入ることに気付くでしょう。
同様に、シンクロニシティを意識することで、シンクロニシティに気付き、自分が望むものを手に入れるチャンスとして利用することができるのです。
3. シンクロニシティを利用する引き寄せの法則
3-1. 自分の内側と外側がシンクロする
引き寄せの法則とは、「自分が考えているもの(内側)を現実に引き寄せる(外側)」ということです。これは、自分の内側と外側がシンクロしていると言えます。
スピリチュアルな考え方をまったく信じていない人も、こう考えれば納得がいくのではないでしょうか。
「いつも部下や後輩に腹を立てて、イライラしている人は、さらにイライラさせられるようなことを引き寄せる」
→スピリチュアルな考え方では、内側と外側がシンクロしていると捉えます。
→そうではないとしても、いつもムッとした顔をしている上司の前で、部下は緊張し慌ててしまい、しなくても良いミスをしてしまうと考えられます。上司に近づきたくなくて、連絡や報告も遅くなるために事態がさらに悪化するということもあるでしょう。
「いつも部下や後輩を褒めて励まし、穏やかな気持ちで見守っている人は、チームの成績向上など良いことを引き寄せる」
→スピリチュアルな考え方では、内側と外側がシンクロしていると捉えます。
→そうではないとしても、穏やかな上司に対しては、大きな失敗になる前に部下はなんでも相談に行くでしょうから解決します。褒められることで脳からエンドルフィンが出てやる気になれば、さらに良い結果を生むはずです。
このように、スピリチュアルと決めつけずに当たり前に考えてみても、自分の内側というのは自然に外側に影響を与えていることがわかります。
3-2. 自然の流れに任せた方がうまくいく理由
引き寄せの法則は、無理に努力したり何かの策略を練ったりするよりも、望むものをイメージしたらあとは自然の流れに任せた方がうまくいきます。
それは、「願っていないこと、こうなってほしくないこと」までも、そのことを考えていれば引き寄せてしまうからです。
例えば、Aさんは今期の営業成績でトップを狙っているとします。そのために人よりも長い時間仕事をして、気の進まないクライアントにも約束をもらって会いに行き、下げたくもない頭を下げ、頑張っています。
一方ライバルは、相性の良いクライアントのところで油を売っていて、仕事は定時で終えて帰っているとします。
Aさんの心には「自分はこんなに頑張ったのに、もしライバルに負けたらどうしよう」「あんなに怠けているライバルより営業成績が悪かったら嫌だ」という気持ちがでてきます。すると、引き寄せの法則は「どうしよう」「嫌だ」と言っていることも引き寄せてしまうのです。
嫌なクライアントにわざわざ会いに行くようなことをしなくても、今お世話になっているクライアントさんを大切にフォローしていくことで、紹介が生まれるかも知れません。定時で帰って趣味を楽しんでいたら、そこにお客様になる人との出会いがあるかもしれません。
自然の流れに任せる方がうまくいくというのは、そういうことです。
3-3. シンクロニシティが頻繁に起きているときは
シンクロニシティがよく起きていると気付いたら、そのときの自分は絶好調だと思って間違いありません。
人のバイオリズムには良いときも悪いときもありますから、調子の悪いときに新しいことをはじめたり、ちょっと頑張らなければ乗り越えられないことを無理に進めたりしない方が良いのです。
身の回りに偶然の一致がたくさん起きているかどうかを確認することで、今の自分の状態が良いのか悪いのかわかるようになります。
このとき、起こっているシンクロニシティの意味がわからなくても、シンクロニシティが起こっているということだけで判断してもかまいません。意味はあとでわかることもありますし、よくわからないまま「あの偶然は何だったのだろう?」ということもありますが、シンクロニシティが起きているということは調子の良いときなのです。
3-4. 引き寄せの法則が起きるときのシンクロニシティ
自分が望む物や状態を引き寄せる「引き寄せの法則」が起きるときには、同時にシンクロニシティもたくさん起こっているはずです。
○「何か甘いものが食べたいなあ…」と思っていたら、遊びに来た友達がおみやげにケーキを持ってきた。
○「次はこんな仕事がしてみたい」と考えていたら、それに関わる問い合わせがあり、仕事を受注した。
○「もう少しのどかな環境で暮らしたい」と思っていたら、夫の転勤が決まった。
これらは、望んでいた物や状況を引き寄せるというシンクロニシティです。
「引き寄せの法則」は、自分が望む物や状態をイメージしてそれを引き寄せるというものですが、引き寄せるプロセスにシンクロニシティが起こっていると言えるようです。
ですから、シンクロニシティに気付きやすくなっている人ほど、引き寄せの法則は働きやすく、望む願いを早く叶えることができるのです。
4. シンクロニシティの定義
ここからは、心理学を中心に少々難しい説明もあります。
シンクロニシティについてより深く理解したいという方には、詳しく書かれている本の紹介もありますので、是非目を通してください。
4-1. ユングが心理学で定義するシンクロニシティとは
心理学者ユングは、「私はシンクロニシティという概念を、因果的に無関係であるが同一あるいは類似の意味を持つふたつ以上の現象が、過去・未来を含めた心的時間の一致で生じる、という特殊な意味で用いている。この意味は『同時発生的』という意味とは反するものである」と述べています。
どういうことかと言いますと、シンクロニシティはA地点とB地点で同時に同じ現象が起こるという事だけを言うのではなく、時間の概念を超えて起こる事も含めているということです。
よく言われる例えとして、「たまたま靴紐が切れて自宅に戻ったため予定の電車に乗り遅れ、飛行機に間に合わなかった。乗るはずだった飛行機が事故に遭ったため、自分は命拾いしたと知る」などということがあります。
このため、シンクロニシティは『同時性』よりは『共時性』と訳されることが多くなったといいます。
この説明ではわかりにくい、または、もっと知りたい、という方はサイエンス・ライターのコンノケンイチさんの著書「ユングは知っていた」をお勧めします。なぜユングがシンクロニシティに気付いたのかなど詳しく書かれています。
4-2. シェルドレイクが行った7つの実験
ルパート・シェルドレイク博士の著書「世界を変える7つの実験」は1994年に出版されましたが、改めてテレビ番組でその実験を検証するなど最近また注目されています。
シェルドレイク博士の実験は、目に見えないもの、シンクロニシティなどを証明するための実験です。とくにこの本に書かれた7つの実験は、わかりやすく見えない世界があることを証明しています。
例えば、「飼い犬は飼い主の帰宅時間を察知する」という実験では、飼い犬がいつも玄関まで迎えに来るのは、飼い主の車の音や足音だけに頼っているわけではないと証明しています。
飼い主がいつもの時間ではない時間に「そろそろ帰ろう」と決めて意識した時間から、家の中で待っている飼い犬はそわそわしはじめる、という結果が出ているのです。
つまり、心のつながりの深い、飼い主と飼い犬の間にはシンクロニシティが起こりやすいと言えるのです。
シェルドレイク博士の実験は、ケンブリッジ大学で自然科学、ハーバード大学で哲学を学び、1967年にケンブリッジ大学で生化学の博士号を取得しています。
1981年に処女作「生命のニューサイエンス」は、科学雑誌「ネイチャー」からはオカルト書扱いの糾弾を受けたが「ニューサイエンティスト」からは絶賛されるという賛否両論の扱いでした。
続編とも言える「世界を変える7つの実験」はイギリス及びドイツでベストセラーとなり、ベストブック賞を受賞、アメリカのテレビシリーズでも注目すべき科学者6人のうちのひとりとしてインタビューされています。
以前は「オカルト」と言われたことも、今では理解が進んで実証されていることもあり、科学の常識というのは時代によって変わると実感できます。興味のある方はご一読ください。
4-3. なぜシンクロニシティが起きるのか
ユングの説明では、シンクロニシティが起こるのは『集合的無意識』によるものです。
「私たちはそれぞれが局所的な存在ではなく、宇宙の存在すべては非局所的に一体に連なったものだということは、すでに量子力学でも証明されている」と、ユングとシンクロニシティについての著書「ユングは知っていた」の中で、サイエンスライターのコンノ・ケンイチさんは述べています。
例えて言うなら、リンゴの皮の部分が『顕在意識』と呼ばれる表層部分の意識、その下にある白い果実は私たちの『潜在意識』、そしてその真ん中にある芯の部分が、ユングの言う『元型・原始心像』となるそうで、この芯の部分は、ひとつひとつが枝を通して太い幹につながり、リンゴの木そのものも大地につながっているとイメージするとわかりやすくなります。
リンゴの木がつながっている大地が、『宇宙全体』であり、私たちリンゴは、局所的な存在ではなく地中である『宇宙空間』でつながっている。
このために、ある人がふと「あの人どうしてるかな。電話してみようかな」と考えたらその人から電話がかかってくる、その人からたまたま手紙が届く、その人の活躍を新聞で知る、などのシンクロニシティが起きるのです。
5. まとめ:起きる出来事に目を向けて今を生きるとシンクロニシティに気付く
シンクロニシティという現象を、意味があるものとして信じても信じられなくても、「あり得ない確率で起こる偶然」というのは誰でも体験していると思います。
その偶然を、「珍しい偶然だ」とやり過ごしてすぐに忘れてしまうのは、頭の中に雑念がたくさんあり、いつも目の前のことに追われて、ただ忙しく日常を過ごしているからです。
「カラーバス効果」で、脳が自分のキャッチしたい情報を自分で探し出すように、人は何かも目標を持って真剣に生きていると、シンクロニシティをキャッチするようにできているのだと感じました。
成功者がよく口にする「たまたま運が良かった」「チャンスをつかむことができた」というのもすべて、シンクロニシティに気付いたからだと言えるでしょう。
これと逆に、シンクロニシティを意識しはじめることによって、自分の求めているものは何なのか、どんな自分になりたいのかなどを考えるようになれば、今を生きるようになり、目の前で起きるシンクロニシティの意味に気付いて、より充実した日々を送れるようになると思います。