「肌ナチュール」は、気になるスキンケアアイテムですよね?
肌への負担を減らすと話題になった「炭酸クレンジング」は、いくつかの製品が発売されましたが、もっとも人気を集めたのが「肌ナチュール」です。
「肌ナチュール」の「リッチモイストクレンジング」は、2014年4月の発売直後から、海外セレブが高評価を与えたことで人気が急上昇しました。
現在も、クレンジングのランキングでは上位にくい込んでくる人気商品です。
クレンジングは、日進月歩で進化するコスメの中でも、もっとも研究が行われているスキンケアアイテムです。
それは、肌への負担が大きいという、クレンジング剤がもつ宿命があったからです。
新しく次々と開発されるクレンジングアイテムは、肌への負担を抑えるだけでなく、本来クレンジングがもっていなかった機能をもたせることにより、シンプルスキンケアを実現しています。
その代表的な存在が、「肌ナチュール」なのです。
ここでは、「肌ナチュール」のメーカーやラインナップなど基本情報と、炭酸クレンジングの魅力とされる6つの機能を検証して真の姿に迫ります。
目次
1. 「肌ナチュール」の基本情報
1-1. メーカーはIT企業
1-2. サプリからコスメへ
1-3. 混乱しているネット上の商品情報
1-4. 現在のラインナップ
2. 炭酸クレンジングの6つの機能を検証
2-1. クレンジング
2-1-1. 「間違ったクレンジング」を解消
2-1-2. 炭酸の洗浄効果と整肌効果
2-2. 洗顔
2-3. パック
2-4. 古い角質のケア
2-5. 保湿力
2-6. 炭酸マッサージ
1. 「肌ナチュール」の基本情報
「肌ナチュール」を開発し、2014年に製造・販売をはじめたのは、株式会社コマースゲートでした。
しかし現在、「肌ナチュール」公式サイト、公式通販サイト「恋するコスメ」ともに、企業情報や会社概要に表示されるのは、株式会社Waqooに変更されています。
「肌ナチュール」の商品はマツモトキヨシやドン・キホーテの一部の店舗で扱っていますが、基本的にネット購入になります。
公式サイトと公式通販サイト以外に、Amazon、楽天市場、YAHOO!ショッピング、マツモトキヨシオンラインストアでも購入できますが、必ずしも全アイテムではありません。
いまだに、楽天、YAHOO!、マツキヨオンラインでは、商品名の頭にコマースゲートがついていたり、製造元がコマースゲートになっていたりするので、はじめて購入しようとする人は、とまどうかもしれません。
1-1. メーカーはIT系企業
「肌ナチュール」は、既存の化粧品メーカーが開発したものではありません。
商品開発は、株式会社コマースゲートというIT系企業によるものです。
現在、「肌ナチュール」を製造・販売している株式会社Waqooは、2007年7月に設立された株式会社コマースゲートが、2015年10月に社名変更したものと公表されています。
しかし、「恋するコスメ」サイトの会社概要には、株式会社Waqooの設立日が2005年12月2日となっています。
どちらも日本オラクルや、サーバーエージェントに在籍した井上裕基氏が代表取締役となっているので、コマースゲートで行っていた業務をWaqooに移行、および統合したものと考えられます。
1-2. サプリからコスメへ
2007年に設立されたコマースゲートは、トマトサプリの「夜スリム トマ美ちゃん」を大ヒットさせて、急成長ベンチャー企業と話題になりました。
しかし2013年12月、約2年間で154万個を売り上げた「トマト美ちゃん パワーアップ版」の、「寝ている間に勝手にダイエット」「寝る前に飲むだけで努力なし」といった宣伝文に根拠がなく、景品表示法違反(いわゆる誇大広告)に当たるとして、消費者庁から再発防止などを求める措置命令を受けたのです。
「夜スリム トマ美ちゃん」はテレビCMも展開していましたし、何人もの有名芸能人が宣伝活動を行っていたので、この措置命令は社会の注目を集めました。
そのコマースゲートが翌年の2014年4月に発売したのが炭酸クレンジング剤の「リッチモイストクレンジング」だったのです。
「リッチモイストクレンジング」は、海外セレブが使用していることが話題になって、発売直後から販売数を伸ばしました。
製造・販売元のコマースゲートは、化粧品メーカーではなくて、美容や健康を中心としたインターネットメディアの運営や通販・卸販売などを手がけるIT企業ですから、旧来の化粧品メーカーとは、商品情報の出し方も、販売形態も違いました。
インターネット上で見ることができる商品情報や宣伝は、化粧品メーカーのように、科学的根拠に基づくデータや、肌や美容にかんする基礎知識などを並べるのではなく、いかにもネット通販を意識したビジュアル重視で、大きな画像と大きな文字でプッシュしたい内容を打ち出し、ユーザーの顔写真や手書き文字風の感想などが使われています。
1-3. 混乱しているネット上の商品情報
製造・販売元の表示が統一されていないことはいいとしても、購入者にとって大きな問題なのは、大手化粧品メーカーのような商品情報の統一感に乏しいことです。
現在、「肌ナチュール」で紹介されているクレンジングアイテムは、
・「炭酸クレンジング(リッチモイストクレンジング)」
・「炭酸クレンジングオイルフリー(リッチモイストクレンジングC2)」
・「炭酸ホットクレンジング」
の3種類です。
「炭酸ホットクレンジング」は、場所によって「ホットクレンジング」や「炭酸クレンジング」などとなっており、商品名の表記が統一されていないので混乱を招きます。
公式サイトで購入できるのは「炭酸ホットクレンジング」と美容液2種の3アイテムだけです。
「炭酸クレンジング(リッチモイストクレンジング)」はなくなって「炭酸クレンジングオイルフリー」に変わり、今の季節は「炭酸ホットクレンジング」しか買えないのかな、と思わせる構成になっていますが、公式通販サイトでは3種のクレンジングが購入可能です。
また、公式通販サイトでは「おすすめの商品」に掲載されている美白美容液と炭酸洗顔フォームが「商品一覧」にはありません。
こういった状態ですから、はじめて購入しようとする人は、ラインナップの全貌をつかむのがまず難しいでしょうし、商品の差異もよくわからないという人が多いのです。
1-4. 現在のラインナップ
現在、公式通販サイトで紹介されているラインナップは、7アイテムです。
商品名と通称を併せて表記しておきます。
① 炭酸ホットクレンジング
オイルフリーの水ベースである「リッチモイストクレンジング(C1)」の秋冬限定とされるホットバージョンで、温感を出すことによって炭酸の働きを強化しています。
よりメイク汚れを落とす力がアップしており、油を使用していないので、まつげエクステにも対応しています。
② リッチモイストクレンジング / 炭酸クレンジング
「肌ナチュール」のベーシックアイテムである炭酸クレンジング剤で、水よりも洗浄力が強いオイルベースなので、接着剤が溶けてしまうまつ毛エクステには使えません。
「炭酸ホットクレンジング」とは、使用されている界面活性剤や、ほかの成分にも違いがありますが、どちらも界面活性剤は、低刺激のものが3種使用されています。
③ リッチモイストクレンジング(C1) / 炭酸クレンジングオイルフリー
「リッチモイストクレンジング」を水ベースにしたオイルフリーバージョンです。
このアイテムは、公式通販サイトの「商品一覧」に掲載されてはいるものの、原材料、「リッチモイストクレンジング」や「炭酸クレンジング」との差異といった商品情報は公開されていません。
④ プレミアムモイストエッセンス / ハリ美容液
炭酸の効果を応用した「アンチエイジング炭酸美容液」です。
⑤ ホワイトエッセンス / 美白美容液
炭酸の効果を応用した「美白炭酸美容液」です。
⑥ プレミアムモイストゲル / オールインワンジェル
洗顔の後に使用するオールインワンジェルで、「美容オイル」「化粧水」「乳液」「美容液」「クリーム」「化粧下地」「パック」という7つの機能を集約してあります。
このアイテムは、炭酸とは関係ありません。
⑦ プレミアムクリーミーホイップ / 炭酸洗顔料
クレンジングの必要がない朝専用の炭酸洗顔フォームです。
ダブル洗顔を否定している炭酸クレンジングの説明とは相反するものがありますが、炭酸クレンジングの後の洗顔に使用してもよいと説明されています。
現在は商品一覧にこの7アイテムがありますが、「肌ナチュール」の主力はなんといっても炭酸クレンジングであり、現在のメイン商品は「炭酸ホットクレンジング」です。
2. 炭酸クレンジングの6つの機能を検証
「肌ナチュール」のメインアイテムである「炭酸ホットクレンジング」最大のセールスポイントは、「6つの機能をあわせもつクレンジング」であることです。
6つの機能は、「3ステップのスキンケア」と「3つのフェイシャルケア」に分けられています。
宣伝する「6つの機能」が、公式サイトでは「クレンジング」「洗顔」「パック」「古い角質ケア」「保湿力」「炭酸マッサージ」であるのに、公式通販サイトでは、後半の3つが「マッサージケア(セルフマッサージによるもの)」「角質ケア(古い角質のお手入れ)」「トリートメント」と表記されていますが、ここでは、より新しい公式サイトの項目を取り上げます。
各項目の説明に使われている、いろいろなフレーズを中心に、科学的根拠や信頼性を検証していきましょう。
2-1. クレンジング
「肌ナチュール」は、炭酸クレンジングがメイン商品ですから、クレンジングの機能はもっとも重視されるところです。
クレンジングは、油分でまずメイクを浮かせてから、水となじませて落とすので、水と油が混ざるようにする「界面活性剤(乳化剤)」が多く使われています。
この界面活性剤を中心とする防腐剤などの添加物が、肌を傷める原因になるので、いかにして肌への負担を抑えるかという、クレンジング剤の研究と商品開発が続けられています。
肌は、「表皮」「真皮」「皮下組織」という3層でできており、表皮の一番外側で外気と接しているのが、「角層(角質層)」とよばれる部分です。
角層は0.02ミリほどの厚さしかありませんが、「角質細胞(角質)」が何層にも重なって、そのすき間を「細胞間脂質」が埋め、強固なバリアをとなって外部からの異物の侵入や、肌から水分が蒸発することを防いでいます。
界面活性剤などの刺激物は、角層のバリアを破壊し、細胞間資質を溶かしてしまうので、いろいろな肌トラブルを引き起こします。
2-1-1. 「間違ったクレンジング」を解消
「こんなクレンジング方法は要注意!!」として、「強くこすってメイクを落とす」「優しく控えめに落とす」「ダブル洗顔をしている」という3点が挙げられています。
「炭酸クレンジング」は、強くこすらなくても、ダブル洗顔なしでメイク汚れがしっかり落ちることをメリットとしているのです。
強くこすることやダブル洗顔は、肌を乾燥させてしまうからNGだと書かれています。
ダブル洗顔の是非は事項で検証するとして、界面活性剤が多く含まれているクレンジング剤を肌にのせて強くこすれば、角層が傷ついて、水分を保持している細胞間脂質が溶けてしまい、乾燥することは間違いありません。
通常、洗浄力と界面活性剤の強さは比例しますから、「こすらなくても汚れがよく落ちる」「泡立ちがいい」クレンジング剤には、強力な界面活性剤が使われていたり、ほどよい強さの界面活性剤が多量に配合されていたりするものです。
公式サイトの「原材料名」を見ると、「炭酸ホットクレンジング」配合されている界面活性剤は、「ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリル」「イソステアリン酸PEG-8グリセリル」「ポリソルベート60」の3種です。
ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリルとイソステアリン酸PEG-8グリセリルは、どちらも親油性が高い(油になじみやすい)天然系合成界面活性剤、ポリソルベート60は親水性が高い(水になじみやすい)天然系合成界面活性剤です。
すべて、安全性が高い「非イオン性界面活性剤」に分類されている成分なので、脱脂力が高くて肌への負担が抑えらる構成になっています。
ただし、配合量の情報はありせん。
2-1-2. 「炭酸の洗浄効果と整肌効果」
Amazonや楽天などのレビューを見ると、メイクがよく落ちるという報告と、落ちないという報告が混在しています。
使用するコスメやメイクの濃さによって、クレンジングの効果には個人差が大きいので、こうしたレビューはあまり参考にはなりませんが、洗い流した後に潤いを残すことから、強力な界面活性剤のクレンジングではないことがわかります。
「肌ナチュール」は、界面活性剤が肌に与える負担を抑えつつ、強い洗浄力をもたせるために炭酸の働きを応用しているのです。
炭酸は炭酸ガス(二酸化炭素)が水に溶け込んだものです。
ヨーロッパでは天然の炭酸泉がたくさん湧き出ているので、昔から身近な療養やリハビリ、美容目的で利用されていました。
しかし、炭酸泉の少ない日本では身近なものではなく、やっと近年になって炭酸の効果が注目されだしたのです。
炭酸の美肌効果としては、肌の汚れを吸着して取り去る「洗浄効果」と、血管を広げることによって新陳代謝を活性化させる「整肌効果」が実証されています。
2-2. 洗顔
ダブル洗顔の是非は、スキンケア論を二分するところです。
美容医療や皮膚科学で実証されたデータをもとに提唱されている現在主流の考え方は、
・肌に負担をかけるクレンジングは手早く済ませる。
・洗顔で、残ったメイク汚れや皮脂をしっかり落とす。
・すぐに保湿美容液などで保湿ケアをする、
というスタイルです。
その一方で、人気があるのは、1本でクレンジングと洗顔を兼ねる洗浄剤なのです。
メイク汚れはしっかり落とさなければいけませんから、保湿ケアまでを1本で済ませる「炭酸クレンジング」は、「しっかり洗い流す」ことと「しっとりした潤いを残す」ことを両立させなければいけません。
これが可能かどうかということは、メイクの状態によって変わってきます。
ライトメイクの人にはダブル洗顔の必要がなくても、落としきれない人はポイントリムーバーやプレミアムクリーミーホイップを使用したほうがいいでしょう。
気を付けなくてはいけないポイントは、絶対に、メイクを落とそうとして肌をこすらないということです。
2-3. パック
炭酸ホットクレンジングは、洗い流してメイクを落とした後に、もう一度たまご大の泡を顔全体に広げてやさしくマッサージし、1~2分なじませてから洗い流すと、炭酸パックの効果が得られるとされます。
一般的には、界面活性剤が含まれるクレンジング剤を肌にのせてマッサージすることは、大変危険とされています。
保湿化粧水や美容液などでも、マッサージすることは推奨されていません。
肌への刺激がとくに強い石油系のものは使っていないとしても、界面活性剤はできれば少しでも早く洗い流したいものですから、「炭酸ホットクレンジング」を使ったパックやマッサージは、違和感を感じたらすぐにやめたほうがいいでしょう。
2-4. 古い角質ケア
ハチミツ発酵エキスには、古い角質をやわらかくして排出を促す作用があります。
古い角質が残ってしまうのは、「ターンオーバー」と呼ばれる肌の新陳代謝が滞っているからです。
表皮細胞は死ぬと角質細胞となって角層を構成し、やがてはがれ落ちていきます。
シミの原因となるメラニンも、肌を紫外線から守るために表皮でつくられて、役目を終えると角質細胞と一緒にはがれ落ちます。
ところが、古い角質細胞がはがれ落ちずに残ってしまうとくすみの原因になり、メラニンが蓄積すればシミや黒ずみの原因になります。
新陳代謝を高める炭酸の効果に加えて、ハチミツの角質をやわらかくする作用で、古い角質の排除を促しているのです。
2-5. 保湿力
「炭酸ホットクレンジング」は、保湿美容液を兼ねた洗浄剤であるところが、最大の特徴です。
しかし、保湿効果にかんする説明は、あまり信頼できるものではありません。
「炭酸ホットクレンジング」は洗浄力と保湿力を両立させるために、3種のセラミドをはじめとして、洗っても落ちにくい吸着型ヒアルロン酸、低分子化して角層への浸透力を高めたナノコラーゲン、圧縮することで保湿力を高めた高濃度プラセンタなど、国産にこだわった53種類の自然派美容成分を配合していると説明されています。
また、こだわりぬいた出雲の温泉水を使用している効果として、「化粧品のほとんどは、水に美容成分が溶け込み、水が肌の角質層へ浸透することによって美容成分を届け、うるおしています」とも書かれています。
しかし、美容成分には水溶性のものと脂溶性のものがあり、最強の保湿成分であるセラミドは脂溶性なので、水には溶ないのです。
皮膚科学の常識として、肌の表面についた水が角層に浸透することはありません。
化粧水のように肌の表面についた水分は、肌を濡らして一時的に潤ったように感じさせますが、すぐに蒸発していまいます。
「炭酸ホットクレンジング」を洗い流した後に保湿力があるとすれば、セラミドなどの保湿成分が角層に浸透しているからなのですが、説得力をもつ説明がないのは残念です。
2-6. 炭酸マッサージ
炭酸パックとして使う際の使用法に、マッサージすることも書かれているので、「6つの機能」の中に、項目立てされる必要はなかったように思われます。
まとめ
以上、現在の美容医療や皮膚科学の常識から見た、「肌ナチュール」の検証でした。
スキンケアやメイクのアイテムは、使ってみなければわからないことばかりです。
体質や肌の状態は十人十色ですから、誰にでも同じ効果を発揮するものなどありません。
ですから、あまりに信頼性に欠けるものは別でしょうが、興味をもったアイテムは、とにかく一度使ってみることをおすすめします。
説明不足であったり、宣伝が十分でなかったりしても、自分に合うアイテムがあるかもしれませんよ。
炭酸クレンジングは、シンプルスキンケアを実現する上で、大きな味方となるスキンケアアイテムであることは間違いありません。
購入する際は、公式サイト、公式通販サイトが安価で入手できるようです。
【参考資料】
・「肌ナチュール」公式サイト
http://hadanature-rmc.jp/r/
・公式通販サイト「恋するコスメ」
http://k-cosme.jp/
・株式会社Waqoo web site
http://waqoo.jp/company.html
・消費者庁 ニュースリリース
http://www.caa.go.jp/representation/pdf/131205premiums_2.pdf
・ドリームゲート web site
http://case.dreamgate.gr.jp/mbl_t/id=1560
・@cosme
http://www.cosme.net/brand/brand_id/109471/top
・Amazon、楽天市場、YAHOO!ショッピング、マツモトキヨシオンラインストア
・『炭酸パワーで元気になる!』 洋泉社 2012年
・『コスメティックQ&A辞典』 中央書院 2011年
・『化粧品成分表示のかんたん読み方手帳』 永岡書店 2017年