正しいスキンケアの第一歩は、まず洗顔から始まります。
みなさん、洗顔には何を使っていますか?
洗顔フォーム?
石鹸?
それとも水やぬるま湯だけ?
肌に合う洗顔料を探してあれこれ迷っている人は、ぜひ石鹸洗顔を試してみて下さい。
シンプルな素材で余分な皮脂や汚れだけをスッキリ落とす、一番おすすめの洗顔料なのです。
目次
5. 石鹸を選ぶポイント
5-1. 自分の肌質に合うかどうか
5-2. 安全性にも注目
5-3. 保湿や美容の成分で選ぶ
5-4. コストパフォーマンスも大事
6. 肌質別、おすすめの洗顔石鹸
6-1. 普通肌の人におすすめの洗顔石鹸
6-2. 敏感肌・混合肌の人におすすめの洗顔石鹸
6-3. ニキビが気になる人のための洗顔石鹸
1. 石鹸の材料はとてもシンプル
洗顔石鹸をおすすめする理由のひとつは、基本的に素材がシンプルだからです。そのため肌トラブルを一番起こしにくく、誰でも扱いやすいのが強みです。
石鹸の基本的な材料は、ベースになる油脂と水分、それにアルカリ剤(苛性ソーダか苛性カリ)の3つだけです。苛性ソーダや苛性カリは、油分と水分を石鹸に変化させる化学反応「鹸化」を起こすために必要なものです。反応がすべて終わり、乾燥して落ち着いた石鹸には、アルカリ剤は残りません。
できあがった石鹸は弱アルカリ性を示します。JIS規格ではPh9~11の値になるよう定められています。
2. 石鹸洗顔は肌本来の力を引き出す
弱アルカリ性の石鹸はタンパク質の連結を弱めるため、皮脂汚れを落としやすくしてくれます。そして石鹸成分は水で簡単に分解され、泡切れ良く洗い流せるのも良いところです。石鹸洗顔をおすすめする、ひとつのポイントです。
せっかく汚れを浮かせても、流し残しがあっては、顔を洗った意味がありませんからね。
また、健康な人の肌は弱酸性になっています。弱アルカリの石鹸で洗った肌は、本来の弱酸性に戻ろうとします。つまり石鹸洗顔は、肌が自ら健康であろうとする力を鍛えることにもなります。
これも、石鹸洗顔をおすすめする重要なポイントです。
3. 洗顔用には「鹸化法」で作られた石鹸がおすすめ
現在流通している石鹸は、「中和法」か「鹸化法」で作られています。
中和法とは、原料の油脂から、あらかじめ脂肪酸(石鹸になる部分)だけを取り出して石鹸をつくるやり方です。機械で一気に作りやすいので、価格を抑えて安定した品質のものを作ることができます。
ただし、油脂にもともと含まれているグリセリン(保湿成分)は取り除かれてしまうので、洗浄力重視の石鹸となります。
洗濯用や掃除用の石鹸は、ほぼこちらの方法で作られています。
洗顔用におすすめしたいのは、昔ながらの「鹸化法」で作られた石鹸です。油脂、特に天然の植物油をそのまま使うため、保湿成分もそのまま含まれた石鹸ができあがります。
鹸化法の中にも、ゆっくりと自然に鹸化を待つ「コールドプロセス製法」と、熱を加えることで反応を活発にし、鹸化を早く確実にする「ホットプロセス製法(釜炊き製法)」があります。
いずれも職人が手間暇かけ、型に流し入れてひとつひとつ切り出すので、「枠練り」と呼ばれることもあります。
鹸化法で作られた石鹸は、時間と手間がかかっている分、価格も高めの傾向があります。
ですが、保湿成分のグリセリンもほどよく残っているので、洗顔用としておすすめなのです。
また、ハーブやクレイなどを練り込んで、より肌に良いものをとこだわった石鹸も、鹸化法で作られています。石鹸を手作りして楽しんでいる人なら、よくご存じでしょう。
中和法で作られたお手頃価格の石鹸にも、途中でグリセリンなどを加えなおし、保湿を考えた商品となっているものがあります。
予算や好み、何より自分の肌質を考えて選びましょう。
4. ニキビが気になる人にも、石鹸洗顔がおすすめ
中学生から大人まで、ニキビで悩む人たちにも、石鹸洗顔をおすすめします。
ニキビができるのは、肌のバランスが崩れて皮脂分泌が過剰になり、毛穴に詰まってアクネ菌を繁殖させるからです。
石鹸での洗顔は、肌が本来のバランスを取り戻そうとする力を引き出します。コツコツ続けて肌の調子が整ってくれば、ニキビなどのトラブルも起こりにくくなります。
ひとつ気をつけてほしいのは、思春期のニキビと大人ニキビは、出来る原因が違うこと。そのため、おすすめの石鹸にも違いがあります。
思春期ニキビは、活発な皮脂分泌が主な原因です。そこで、過剰な皮脂をしっかり落とすことと、アクネ菌を増やさないことが最重要となります。殺菌効果のあるイオウやサリチル酸が配合された石鹸を選ぶと良いでしょう。
逆に大人ニキビは、ホルモンバランスの乱れなど様々な原因がありますが、ひとつ主な原因として肌の乾燥が挙げられます。
乾燥肌を守ろうとして皮脂が活発に分泌され、結果的に皮脂過剰になってニキビができてしまうのです。
大人ニキビの場合は、イオウ配合のものは避けましょう。殺菌効果はありますが、乾燥しやすいので逆効果になります。サリチル酸は溜まった角質をオフしてくれる効果もあるので、選ぶならこちらを。
ニキビだけでなく、肌が全体的に荒れていて普通の石鹸では痛いという場合は、敏感肌用の石鹸を使うと良いでしょう。
5. 石鹸を選ぶポイント
さて、ここまでの要点をふまえつつ、洗顔石鹸を選ぶポイントをまとめてみましょう。
5-1. 自分の肌質に合うかどうか
まず自分の肌の性質を把握しておきましょう。皮脂が多くてニキビのできやすい「オイリー肌」ですか?
乾燥やアトピー性皮膚炎などでしみやすい「乾燥肌」ですか?
ベタつく場所と乾燥する場所が混ざった「混合肌」ですか?
皮脂汚れに強い石鹸や、保湿重視の石鹸など、さまざまな石鹸が出ています。
肌質の把握は石鹸選びの基本です。
5-2. 安全性にも注目
顔に使うものですから、余分な着色料や保存料が入っていないかどうか、安全性にも注目しましょう。肌が弱い人はすでに、かぶれやすい成分を自分で把握して、避ける習慣がついているかもしれませんね。
5-3. 保湿や美容の成分で選ぶ
不要な添加物は避けたいところですが、毛穴の黒ずみを取り除くクレイや炭、抗酸化力のある茶のカテキン、保湿力のあるヒアルロン酸、コラーゲン、酒粕、アンチエイジング効果のあるローヤルゼリーなど、美容効果のある成分の配合は歓迎したいですよね。
石鹸は洗い流されてしまうものですし、保湿は洗顔後にも行うので、気にしすぎることはありませんが、入っていれば効果は期待できます。
逆に、毛穴の洗浄に効果がある成分は洗顔時に必要なものですから、積極的に取り入れると良いでしょう。
特に、いわゆる「イチゴ鼻」で毛穴の開きや黒ずみが気になる人は、クレイや炭など毛穴ケアに強い成分が入っているものがおすすめです。
5-4. コストパフォーマンスも大事
高級な美容成分が入っていたり、手間暇のかかっているこだわり石鹸は、当然、それなりのお値段になります。
毎日使うものですから、コストパフォーマンスは各自きちんと考えたいものです。
「石鹸ひとつに高い金額をかけるのはイヤ」と思うか、「スキンケアは基本アイテムほど大事にしたい」と思うか、それは人それぞれの判断でしょう。
ただし、高い=良い石鹸、安い=イマイチな石鹸、というわけではありません。決して値段だけで安易な判断をしないように。市販の安い石鹸の中にも、頼りになるものはたくさんありますよ。
6. 肌質別、おすすめの洗顔石鹸
それでは、具体的にどんな石鹸がおすすめなのでしょう?
「自分の肌に合うものを」と言われても、そもそも使ってみなくては、合うかどうかわかりませんよね。
迷ってしまう人のために、アットコスメなどの口コミサイトで評判の良い石鹸を、いくつか肌質別におすすめします。
6-1. 普通肌の人におすすめの洗顔石鹸
①『アレッポの石鹸 ノーマル』 アレッポの石鹸職人から
シリアのアレッポで、千年以上前から作り続けられているシンプル石鹸です。原料はオリーブオイルとローレルオイル。人の肌によく似たオレイン酸を多く含んでいて、赤ちゃんの肌にも使えます。防腐剤などの添加物もなく、顔も身体もこれひとつで洗えるので、コスパが良いと男女問わず支持されています。
②『カウブランド 赤箱』 カウブランド
ドラッグストアでもスーパーでも大抵置いてある、低価格のロングセラー石鹸。釜炊き製法で作られており、肌を保護するミルク成分と、保湿のためのスクワランが配合されています。しっとりとした使い心地で、顔にも身体にも使えます。青箱の石鹸もあり、こちらはミルク成分のみの配合で、さっぱりとした洗いあがりです。洗顔用には赤箱がおすすめです。
6-2 敏感肌・混合肌の人におすすめの洗顔石鹸
①『然 よかせっけん』 長寿の里
火山灰台地から取り出した、天然ミネラル成分シリカが含まれていて、毛穴の奥の汚れまで吸着します。ローヤルゼリーやウーロン茶エキスなどエイジングケアをサポートする成分もあわせて、保湿・美容成分の配合は60%以上!
使った後もつっぱらないと評判です。逆に防腐剤などは完全に無添加なので、三ヶ月で使い切るよう推奨されています。
②『ダーマメディコ セブンソープ』 ケイセイ
多くの皮膚科専門医の協力によって開発された、敏感肌のための低刺激石鹸。香料や着色料などの無添加に加え、人によっては皮膚への刺激となるラウリン酸や、ニキビの原因になりやすいオレイン酸も排除しています。アトピーなどで肌が荒れていて、普通の石鹸ではしみやすい、という人に。同じシリーズでのスキンケア商品も揃っています。
6-3 ニキビが気になる人のための洗顔石鹸
①『Non A 薬用ニキビ石鹸』 プライマリー
通常の石鹸にくらべて4倍もの泡が立つよう開発された石鹸。豊かな泡で、肌に刺激を与えず洗うことができます。ヒアルロン酸やローヤルゼリーなどの保湿・美容成分と、毛穴を引き締め皮脂の分泌を抑える大豆エキスも配合。ニキビのできにくい肌へ導きます。思春期ニキビにも大人ニキビにもおすすめ。
②『A アクネソープ』 NOV
低刺激スキンケアの専門メーカーによる、ニキビ肌用洗顔石鹸。皮脂分泌の多い思春期向けながら、洗浄力を重視しつつ、敏感肌にも使える低刺激性をキープ。超敏感肌の中学生にもおすすめです。ベタつきと乾燥が混在する大人ニキビ向けにはACというラインもあり、こちらは石鹸ではなく、洗顔フォームとなっています。
7. メンズにおすすめの洗顔石鹸
男性も肌の悩みは女性と同じですが、特に皮脂によるベタつきや、ニキビが気になる人が多いようです。皮脂の多さが悩ましい人は、クレイや酵素など洗浄補助成分が入っているものを選ぶと良いでしょう。ニキビが悩みの人は、グリチルリチン酸ジカリウムやサリチル酸など、消炎効果成分が入っているものを。逆に乾燥が気になる人は、ヒアルロン酸やコラーゲンなど、保湿成分の入っているものがおすすめです。
①『BUSO』 株式会社ウェルネス・アドバンス
こだわる男性のための洗顔石鹸。主成分のフルボ酸が、毛穴の奥の皮脂汚れなどを吸着・排出します。防腐剤や着色料などは不使用。男性用には珍しく、ヒアルロン酸やコラーゲンなどの保湿成分が豊富に配合されています。さっぱりとした洗いあがりと保湿が話題。
②『BULK HOMME THE FACE WASH』 株式会社バルクオム
半練り状の石鹸で、洗顔フォームと同様に使えるのが特徴。石鹸には興味があるけど、チューブタイプの方が扱いやすい、という男性におすすめです。余分な皮脂を吸着するために2種類のクレイを配合。保湿成分としてシルクなどが配合されています。
③『泥炭石』 ペリカン石鹸
肌は気になるけど、石鹸にコストをかけるのはちょっと……と腰がひけてしまう人は、ドラッグストア等で気軽に買えるものから試してみるのもありでしょう。『泥炭石』には保湿効果のある天然泥成分や、毛穴の奥の皮脂汚れを吸着する炭粉末が練り込まれています。角栓が気になる方は試してみてはいかがでしょうか?
8. 石鹸洗顔の正しいやり方
せっかく肌に良い石鹸を厳選したならば、正しい石鹸洗顔のやり方もマスターしましょう。難しいことはありません。少し気をつけるだけで、すぐに習慣になりますよ。
洗顔回数は多ければ良いというものではありません。基本は朝晩の2回です。
外出後の洗顔はもちろん、朝の洗顔も大切です。寝ている間も皮脂は活発に分泌され、埃や垢と混ざります。朝も石鹸できちんと洗顔することをおすすめします。
洗顔石鹸はよく泡立てることが大事です。慣れると手の平だけで素早く泡立てることができます。難しければ、泡立て用のネットやスポンジを使っても良いでしょう。
卵1つ分くらいの、固めの泡を立てるのが理想ですが、CMで見るようなモコモコ泡になるまで神経質にこだわる必要はありません。
石鹸の泡は汚れを浮かせるのと同時に、手の平と肌が強くこすれないようクッションの役割を果たします。こすって洗顔すると、シワやたるみの原因になってしまいます。
泡が立ったら、あらかじめ軽く濡らしておいた顔に乗せていきます。まずは皮脂量の多い額から鼻、いわゆるTゾーンへ。泡を転がすくらいの気持ちで軽く汚れとなじませます。皮脂が溜まりやすい小鼻の横も忘れないようにしましょう。
次に、面積の広い頬やあごなどのUゾーンへ泡を広げます。目や口のまわりは皮膚が薄いので、最後に指先でさっと撫でる程度にします。
文章で読むとややこしそうですが、一度やってみると単純で、理にかなっています。この順番で泡を転がすと、皮脂汚れの溜まりやすい場所ほど長く石鹸の泡に触れることになり、自然と汚れも浮きやすくなるのです。
すすぎは水でも良いのですが、ぬるま湯でおこなうとベストです。
たっぷりのぬるま湯で、肌をこすらず流しましょう。髪の生え際やあごの下など、流し残しがないよう十分気をつけて。
流し残しがあると、それが毛穴を詰まらせて、ニキビの原因になってしまいます。
最後は柔らかいタオルで肌を押さえ、水気を吸い取って終了です。丁寧に洗ってきたのですから、ここでゴシゴシこすらないよう、優しく拭き上げるのを心がけて下さい。
9. 石鹸洗顔のあとは保湿をしっかり!
洗顔直後の肌表面は皮脂や水分を失っています。石鹸で洗ったあとは顔がつっぱる、と感じるのはそのためです。肌は必要な皮脂を分泌して良い状態に戻ろうとするので、肌のバリア機能活性化にもつながっています。
とはいえ、そのままいつまでも放っておいて良いというわけではありません。できるだけ早く保湿をしましょう。
皮脂が洗い流されている分、化粧水もなじみやすくなっています。手の平に化粧水を取って、顔を覆うようにしながら染みこませるか、化粧水を含ませたコットンで、軽くパッティングしながら染みこませて下さい。美容液を付けるならこの後に。
さらに乳液を付けることで、肌に蓋をした状態になり、水分が蒸発するのを防ぎます。
あまりにも強いつっぱりを感じる場合は、石鹸の洗浄力が強すぎるのかもしれません。洗浄力が穏やかなものや、敏感肌用の石鹸に変えてみると良いでしょう。
10. 洗顔石鹸を使わないという選択
「石鹸を使わないで洗顔した方が肌に良い」「石鹸はいらない」そんな意見を聞いたことがある人もいると思います。実際、水だけの洗顔にしたら肌荒れが改善された、という人もいるでしょう。
石鹸を使わない洗顔方法は、合う人と合わない人がいます。これは、その人の肌質によります。
一般的に、普通肌~オイリー肌の人には向きません。
向いているのは乾燥肌~敏感肌の人です。
乾燥肌~敏感肌の人は、皮脂が少なく、少しの刺激でも肌が赤くなったり、かゆみが出たりしやすい状態になっています。
少ない皮脂をさらに石鹸で落とすより、水やぬるま湯で洗うだけにした方が、肌のバランスを保ちやすいというわけです。
ただしこれは、朝の洗顔や化粧をしなかった日の洗顔について、の話です。化粧をして1日外出してきた後は、敏感肌用のクレンジングや洗顔料を使って、きちんと汚れを落として下さい。
まとめ
石鹸は基本的に素材がシンプルです。特に、昔ながらの鹸化法で作られた石鹸には、うるおい成分も適度に含まれているので、皮脂汚れを落としつつ保湿にも気配りすることができます。
石鹸の成分は水で簡単に分解され、肌に残らないのも良いところです。
また、石鹸は弱アルカリ性のため、洗顔後の肌は本来の弱酸性に戻ろうとします。これが健康であろうとする肌の、基礎力を引き出すことにもなるのです。
洗顔に何を使ったらいいか迷ったら、まずは石鹸を選んでみませんか?
【参考資料】
『スキンケア美容医学事典』 吉木伸子 池田書店 2011年
『石けん・洗剤ものしり事典』 大矢勝 ソフトバンククリエイティブ 2008年
『手作り石けんの教科書』 佐々木薫 大泉書店 2010年