毛穴が目立つと憂鬱な気分になりますよね?
しかし、やみくもにケアをしても、なかなか目立つ毛穴は改善しません。
それどころか、かえって悪化させてしまうことも多いのです。
それは、毛穴のトラブルには種類があって、そのタイプに合ったケアをしなければ改善しないからです。
毛穴の黒ずみを気にする人が多いのですが、黒ずんで見える原因もひとつではありません。
ここでは、「たるみ毛穴」「開き毛穴」「詰まり毛穴」という、3つの毛穴トラブルの原因と改善方法を解説します。
自分の毛穴トラブルがどのタイプなのかを知って、適切なスキンケアを行いましょう。
また、詰まり毛穴が原因で起こる代表的な肌トラブルである「大人ニキビ」の対処法と、男性におすすめの毛穴ケアについても解説します。
男女を問わず、毎日のお手入れを怠らずに、毛穴レスの美肌を手に入れてください。
目次
1. たるみ毛穴の肌を改善する対処法
1-1. 原因は加齢でコラーゲンが減少すること
1-2. たるみ毛穴は肌がたるむサイン
1-3. 真皮のコラーゲンを増やすアンチエイジングケア
1-4. セルフピーリングとビタミンCイオン導入
2. 開き毛穴の肌を改善する対処法
2-1. 皮脂腺が大きいことが主な原因
2-2. 開き毛穴のケアに効果がある化粧水の使い方
2-3. 朝晩のしっかり洗顔と食生活
3. 詰まり毛穴の肌を改善する対処法
3-1. 原因は角栓が毛穴に詰まっていること
3-2. 気になる黒い毛穴の汚れを綺麗にするセルフケア
3-3. 洗顔後に出る白い角栓を消すセルフケア
4. 毛穴が原因のぶつぶつを改善する対処法
4-1. 大人ニキビの原因はホルモンバランスの乱れ
4-2. 油分を避けるシンプルスキンケア
4-3. 大人ニキビを防ぐ生活習慣
5. 男性の毛穴トラブルに効果的なセルフケア
5-1. 正しいシェービングの方法
5-2. 洗い流すセルフピーリング
1. たるみ毛穴の肌を改善する対処法
顔の毛穴が目立つのは、毛穴よりも皮脂腺が大きいからです。
皮脂腺とは、皮脂を分泌する器官で、毛穴から分泌された皮脂は汗と混ざって顔の肌に広がり、皮脂膜になります。
この、毛穴に皮脂腺があるという肌の構造が、いろいろな肌トラブルを起こす原因になっているのです。
しかし、「たるみ毛穴」は、少し事情が違います。
まずは、毛穴がたるむという現象から解説しましょう。
1-1. 原因は加齢でコラーゲンが減少すること
毛穴が目立つのは、毛穴が黒ずんで見えるからなのですが、これは2つの原因によるものです。
ひとつは、毛穴の中に皮脂が詰まって角栓をつくっていることで、もうひとつは毛穴がたるんで影ができていることです。
毛穴のたるみが原因の黒ずみは、影なので洗ってもとれません。
毛穴がたるむのは、加齢によって真皮のコラーゲンが減少するためです。
皮膚は外側から、角質が壁になって外部からの異物侵入を防いでいる「表皮」、コラーゲンなどが肌にハリと弾力を与えている「真皮」、皮下脂肪がクッションの役割を果たしている「皮下組織」という3層から成り立っています。
真皮は、タンパク質の線維であるコラーゲンが網目状のネットワーク構造をつくり、そのところどころをエラスチンという線維が補強し、すき間をジェル状の保水物質であるヒアルロン酸などが埋めて、弾力を保っています。
これら、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸は、加齢とともに生成されなくなっていき、40代後半になると体内で生成されなくなってしまうのです。
肌のハリと弾力がなくなり、脂肪の重さを支えられなくなると、シワやたるみができてしまいます。
1-2. たるみ毛穴は肌がたるむサイン
30代後半くらいから、コラーゲンの減少によって肌がゆるみ、毛穴が目立つように感じる人が多くなります。
これは、本格的に肌が弾力を失って、シワやたるみができる前兆です。
毛穴が目立ってきたら、シワやたるみの予防をはじめなければいけないサインだと思ってください。
一度たるんで開いてしまった毛穴を小さくすることは、簡単なことではありません。
シワやたるみも同様で、一度深く刻まれてしまったシワや、重力にまけて落ちてしまった肌は、セルフケアで元に戻すことはできません。
ですから、シワやたるみへと悪化させないために、日々の地道なエイジングケアが必要なのです。
1-3. 真皮のコラーゲンを増やすアンチエイジングケア
真皮のコラーゲンは、口から摂取しても体内でアミノ酸に分解されてしまいますし、肌に塗っても分子が大きいので浸透せず、真皮に定着することはありません。
ですから、コラーゲンの減少や劣化を防ぎ、新陳代謝を高めて増やすエイジングケアが重要です。
表皮は細胞分裂によるターンオーバーで再生されますが、真皮のコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸は、線維芽細胞という細胞が生成する物質。
エイジグケアのポイントは、線維芽細胞の活性を高めてコラーゲンなどの生成を促すことにあるのです。
エイジングケア化粧品の代表的な有効成分には、次のようなものがあります。
・線維芽細胞を増やし、コラーゲンの生成を助けるビタミンCを吸収しやすくした「ビタミンC誘導体」
・ビタミンAの一種でコラーゲンを増やす作用の高い「レチノール」
・レチノールよりもソフトな効能ですが、肌にやさしいので敏感肌の人でも使える「ナイアシン(ビタミンB3)」
また、体内で過剰発生すると真皮にも悪影響を与える「活性酸素」を除去する抗酸化成分も、肌の老化を遅らせる効果があります。
ポリフェノールやリコピン、カテキン、オウゴンエキスなどが代表的な成分です。
1-4. セルフピーリングとビタミンCイオン導入
肌の新陳代謝を活性化するには、ピーリングが有効です。
ピーリングには、美容皮膚科で行っているケミカルピーリングやレーザーピーリングがあり、酸のパワーで古くなった角質を溶かすケミカルピーリングは、市販のピーリングコスメを使用すれば自宅でもできます。
ピーリングコスメは、美容皮膚科で使用している薬剤よりも、肌への刺激がかなり少なく、中でも洗い流すタイプのものは肌の負担が少なくてすみます。
美顔器を使用したセルフケアも有効で、簡単にできるのは、超音波マッサージや、ビタミンC誘導体のイオン導入です。
2. 開き毛穴の肌を改善する対処法
毛穴が開くことによって目立って見えるのが「開き毛穴」です。
オイリー肌や赤ら顔の人に多いのが特徴です。
2-1. 皮脂腺が大きいことが主な原因
開き毛穴になる人は、生まれつき皮脂腺が大きいケースが多く、遺伝的体質による問題なので完全に解消することは困難です。
しかし、日々の地道なスキンケアによって、多少の改善を期待することはできます。
どう見えるかということよりも、このタイプの肌の人は、皮脂腺が大きなことによる毛穴のトラブルを起こしやすいので、皮脂対策を怠らないようにして、清潔な肌を保つようにしましょう。
気をつけなければいけないのは、黒ずみやくすみを除去しようとして、ポリマーの粒子などで肌を研磨する「スクラブ」や、植物由来の成分で摩擦を起こす「ゴマージュ」といった洗顔料を使用することです。
どちらも肌をこすることによって、かえって毛穴を開かせてしまう可能性があるので使用するのはやめましょう。
2-2. 開き毛穴のケアに効果がある化粧水の使い方
オイリー肌の人に多い開き毛穴には、ビタミンC誘導体を配合した化粧水が有効です。
代表的な美容成分として知られるビタミンCは、コラーゲンの生成に欠かせないだけでなく、活性酸素を除去する抗酸化作用や炎症を和らげる抗炎症作用が高いので、過剰な皮脂によるトラブルを予防します。
薄い角質がレンガのように15~20層にも重なり、そのすき間をセラミドなどの細胞間脂質が埋めている表皮の角層は、わずか0.02ミリほどの厚さしかありませんが、細菌やウイルスなど外部からの異物侵入を防ぎ、体内から蒸発する水分を保持して肌の潤いを保っています。
このバリア機能があるために、肌の表面についた水分は中に浸透せず蒸発してしまいます。
ですから保湿ケアやエイジングケアには、水性の化粧水ではなくて油性の美容液が適しているのです。
しかし、水溶性のビタミンCについては、化粧水に配合したものが効果的で、肌への浸透性を少しでも上げるためにビタミンC誘導体として配合しています。
2-3. 朝晩のしっかり洗顔と食生活
毛穴の皮脂腺から分泌される皮脂は、時間が経つと酸化したり、雑菌に分解されたりして、それが刺激となってさらに毛穴を開かせてしまいます。
ですから、朝晩2回のしっかり洗顔で、皮脂をキレイに洗い流しましょう。
メイクを落とす必要のない朝の洗顔は、水かぬるま湯だけですませる人もいますが、寝ている間にも皮脂の分泌は続いていますから、洗顔料を使用しなければいけません。
洗顔料は、肌への刺激が少なくて、余計な成分が入っていない固形タイプの石けんがおすすめです。
また、皮脂の過剰な分泌を抑えるために、脂質と糖質を摂りすぎない食生活を心がけましょう。
3. 詰まり毛穴の肌を改善する対処法
毛穴の黒ずみでも、とくに皮脂の分泌が多いTゾーンに目立つのが「詰まり毛穴」の特徴です。
毛穴に詰まった角栓が出てくることも多くなります。
3-1. 原因は角栓が毛穴に詰まっていること
皮脂腺から分泌された皮脂の油分と、古い角質のタンパク質が混ざって固まりになったものが「角栓」です。
角栓は、これから説明する方法でキレイにとっても、1~2週間するとまた溜まってしまいます。
ですから、開き毛穴のところで解説した皮脂対策を行って、角栓の量を少しでも減らす努力をしつつ、あまり神経質にならないことも大切です。
3-2. 気になる黒い毛穴の汚れを綺麗にするセルフケア
普通の洗顔料では皮脂は落とせても、角栓を洗い流すことはできません。
角栓を除去するためには、タンパク質を分解する作用がある酵素を配合した洗顔料を使う必要があります。
酵素洗顔料も、普通の洗顔料と同様に、洗浄力の強いものからソフトなものまでいろいろなバリエーションがありますから、自分の肌に合ったものを探し、肌の負担を抑えながら使用しましょう。
肌が乾燥している人は、顔全体を普通の洗顔料で洗顔してから、鼻周りだけの酵素洗顔にすると、肌の負担を抑えることができます。
毛穴パックも効果はありますが、やり過ぎるとかえって毛穴が開くこともあるので、月に2回程度を目安にするといいでしょう。
3-3. 洗顔後に出る白い角栓を消すセルフケア
入浴時や洗顔後などに、小鼻の周囲にでる白いつぶつぶは、黒くなる前の角栓です。
「いちご鼻」などと呼ばれる黒い角栓に対して、「ニョロニョロ」などと呼ばれます。
白い角栓は、毛穴のある角栓がふやけて盛り上がった状態ですから、だいたいはしばらく放置すると引っ込んでしまいます。
白い角栓が出たときに、タオルなどでムリに取ったり、肌をゴシゴシこすったりすると、毛穴にダメージを与えることになり、翌日になればまた白い角栓は出てきますから、取ろうとしないことが大事。
白い角栓を消すためには、化粧水や洗顔、食生活による皮脂対策や保湿ケアをしっかり行うことが重要です。
4. 毛穴が原因のぶつぶつを改善する対処法
毛穴には皮脂腺があることによって、いろいろな肌トラブルが発生してしまいます。
中でも、ニキビや、ニキビ跡が陥没したクレーターのぶつぶつは、メイクで隠すことが難しいので悩む人が多いのです。
4-1. 大人ニキビの原因はホルモンバランスの乱れ
ニキビは、毛穴の出口の角質が硬くなり、中に溜まった皮脂を養分とするアクネ菌が繁殖し、白血球がそれを攻撃することで起こる炎症です。
思春期にできるニキビは、過剰な皮脂分泌が原因ですが、30代40代でできる「大人ニキビ」は、皮脂が過剰な状態ではなくてもできます。
主な原因は、ストレスや不規則な生活によって、ホルモンのバランスが崩れることと考えられています。
4-2. 油分を避けるシンプルスキンケア
ニキビを予防するためには、肌に余計な油分を与えないことが基本です。
肌の水分量は増やした方がよいのですが、油分は少ない方がよいのです。
水分が多くて油分の少ない肌が「普通肌」、水分も油分も多いのが「オイリー肌」です。
水分も油分も少なくてガサガサだと「乾燥肌」と呼びます。
ニキビを予防するためには、肌の水分を多くして毛穴の出口をやわらかい状態に保ち、アクネ菌の繁殖につながる油分を増やさないことが大事。
朝晩2回のしっかり洗顔で皮脂を落とし、ビタミンC誘導体配合の化粧水と、セラミドやヒアルロン酸を配合した美容液で保湿ケアをしたら、基礎化粧品にクリームやオイルなどのアイテムは必要ありません。
ビタミンCには、ニキビ跡のブツブツを治す働きもあります。
4-3. 大人ニキビを防ぐ生活習慣
まず、規則正しい生活で、睡眠をしっかりとることが大事です。
睡眠不足は免疫力が低下するので、ニキビが悪化しやすくなります。
次に食事ですが、身体を冷やす生野菜ではなく、ビタミンが豊富な緑黄色野菜を温野菜で摂るようにしましょう。
肌の材料となるタンパク質も大切ですから、良質なタンパク質が摂れる肉や魚も欠かさないようにしてください。
気をつけなければいけないのは、やはり糖質と脂質です。
そして、忘れがちなのが、ストレスを溜めないことです。
ストレスは肌荒れやニキビの原因になります。
日頃から、自分なりのストレスケアを心がけましょう。
5. 男性の毛穴トラブルに効果的なセルフケア
毛穴ケアに限らず、スキンケアでもっとも重要なことは、肌に過剰な刺激を与えないことです。
クレンジングや洗顔は、肌をこすらないようにして、できる限り短時間ですませることが鉄則です。
しかし、男性には毎日ヒゲを剃るという、肌に刃物を当てる行為があるために、どうしても肌のダメージが大きくなります。
カミソリ負けやかゆみから肌荒れを起こし、毛穴トラブルを併発するケースも珍しくありません。
5-1. 正しいシェービングの方法
肌の負担を抑えるシェービングは、洗顔の前にシェービング箇所をぬるま湯でぬらすことからはじめます。
ヒゲをやわらかくしたら、軽くタオルで水分をとり、使用しているシェーバーに合ったプレシェーブローションを塗って肌を保護します。
シェーバーは電気式でも安全カミソリタイプでも、刃が肌に垂直になるよう、刃全体を当てて、口の周りから首筋や鼻の下などを毛の流れに逆らわないようにして剃っていきます。
キレイに剃り終わったら、そのまま洗顔に移ります。
5-2. 洗い流すセルフピーリング
男性の毛穴トラブルに対しても、セルフピーリングは手軽で有効なケアです。
洗顔後にタオルで水気を拭きとったら、ピーリングコスメを肌になじませ、古い角質が取れてきたら水かぬるま湯でキレイに洗い流します。
これもやり過ぎるとバリア機能を壊してしまうので、1~2週間に1回程度を目安にします。
拭き取るタイプは、肌をこすることになるので、洗い流すタイプを選びましょう。
まとめ
毛穴が目立って気になりだしたら、自分はどのタイプなのか判断してケアをすることが重要です。
日々のスキンケアと同時に重要なのが紫外線対策です。
肌の老化の80%は、紫外線が原因といわれます。
紫外線を浴びると、肌は防御反応としてメラニンという色素を生成し、それが肌に残ってしまうと色素沈着といって、シミの原因になります。
それだけではなくて、紫外線を浴びると活性酸素が急増して、真皮のコラーゲンを破壊して毛穴を開かせてしまうのです。
1年を通して紫外線対策を欠かさないようにすることも、毛穴のケアには大事なことですが、日焼け止めは肌への刺激が強いので、日傘や帽子を活用して日焼け止めだけに頼らないようにしましょう。
【参考資料】
・『いちばん正しいスキンケアの教科書』 吉木伸子 西東社 2014年
・『メンズスキンケア』 友利新 文化学園 文化出版局 2013年