洗顔にも保湿にも気を使っているのに、最近なんだかお肌がくすんで荒れている。そう感じる方は、肌表面の古い角質がうまく落ちていないのかもしれません。
そんなときは、ピーリングがおすすめです。古い角質を落とし、表皮を健やかにしてやる美容法です。毛穴を引き締めたり、ニキビを改善したりといった効果もあります。
日常のお手入れに取り入れたいピーリングの、やり方や注意点をご紹介します。
目次
4. 石鹸タイプ? ジェルタイプ? ピーリング剤を選ぶ前に
4-1. 固形石けんや洗顔料
4-2. ジェル
4-3. 化粧水
4-4. 美容液
10-1. 敏感肌・乾燥肌の人
10-2. 日焼けの前後
10-3. 生理中の人
1. ピーリングとは?
皮膚は大きく分けて「表皮」「真皮」「皮下組織」の三層から成っていて、肌の表面にあたるのが表皮部分です。
表皮の細胞は、表皮の一番下にある「基底層」というところで生まれ、少しずつ形を変えながら表面に押し上げられてきます。そして、最終的に角化細胞(死んだ細胞)になり、垢として剥がれ落ちるようになっています。
このサイクルをターンオーバーといいます。
しかし、加齢などの理由でこのサイクルがうまくいかず、皮膚の表面に古い角質が留まり続けると、肌色がくすんだり、ニキビができやすくなったりします。
そこでこの古い角質を、酸などを利用して取り除くのが、ピーリングというケア方法です。皮膚の表面になめらかな美しさが戻ると同時に、基底層で新しい細胞が生まれるのを促す効果もあります。
ターンオーバーの促進は、ピーリングのもっとも大切な効果です。
2. ピーリングは毛穴の開きやシミにも効果的
ピーリングをおこなうと、肌の代謝がアップします。紫外線を浴びて増えたメラニンも、ターンオーバーのサイクルに乗って肌の奥から押し上げられ、スムーズに排出されるようになります。できてしまったシミが薄くなるのも期待できます。
また、代謝がアップすると真皮層でのコラーゲン生成も活発になり、肌の張りが改善されます。たるんだ毛穴が目立たなくなり、古い角質が毛穴を塞いで黒ずませることも減るでしょう。
ピーリングは毛穴やシミのケアにも効果的な方法なのです。
3. 自宅でできるピーリング
ピーリングには、自宅でできる簡易な方法と、皮膚科やエステサロンなどで行う専門的な方法があります。
自宅で行うピーリングには、ピーリング効果のあるスキンケア用品を使います。
市販品によく配合されているのは、主にAHA(アルファヒドロキシ酸)という成分です。リンゴ酸、クエン酸、乳酸、グリコール酸などがこのグループに分類されており、果実によく含まれているため、まとめてフルーツ酸と呼ぶこともあります。化粧品としてよく使われるのは、グリコール酸や乳酸です。
AHAには、角質細胞のつながりを弱め、肌表面の古い角質を取り除く作用があります。と同時に、角質層の保湿力をアップし、コラーゲンの生成を促し、皮膚細胞のターンオーバーを活発にします。
他にも、殺菌作用があり、毛穴に詰まった皮脂なども溶かしてくれるサリチル酸や、角質を分解して除去するパパイン酵素などが配合されているものもあります。スクラブの入った洗顔料で古い角質をかき落とすのも、ピーリングに近い効果があります。
市販品は、肌トラブルを起こしづらいよう、ピーリング成分の配合濃度は低めで、効果も穏やかなものが多いようです。
4. 石鹸タイプ? ジェルタイプ? ピーリング剤を選ぶ前に
家庭用のピーリング剤には、石鹸タイプやジェルタイプ、化粧水タイプなど、さまざまな形状があります。どれを選んで使えば良いか、特徴と注意点を見ていきましょう。
どれを選んだとしても、説明書は必ず読んで、正しく使用して下さい。
4-1. 固形石けんや洗顔料
日々の洗顔で少しずつ角質を取り除きたい方には、AHA配合の洗顔石鹸や洗顔料がおすすめです。普通の石鹸と同じように泡立てて洗顔し、水かぬるま湯で流せばよいので手軽です。石鹸の場合は素材がシンプルなことが多いのですが、ペースト状の洗顔料タイプを使う場合は、他の添加物にも注意しましょう。特に酵素が一緒に配合されていると、角質除去の効果は強くなります。はっきりした効果が欲しい人にはお勧めですが、肌が弱い人は避けた方が良いでしょう。
4-2. ジェル
乾いた肌に乗せて使うタイプと、濡れた肌でも使えるタイプがあります。入浴時に一気にお手入れを済ませたい人は、濡れた肌にも使える方を選ぶと便利です。
肌にピーリングジェルを乗せて広げた後、指先でマッサージしていくと、なじんで水のようになったり、消しゴムかすのようなものがポロポロ浮いてくるような変化があらわれます。かすのようなものは大抵、カルボマーなどのゲル化剤が反応したもので、浮かせた角質をこれで絡め取って落としています。
4-3. 化粧水
ピーリング成分が含まれている化粧水、というものもあります。化粧水をコットンに含ませ、肌を拭き取るようにして使います。多少なりとも肌をこすることになるので、敏感肌の人は気をつけてお手入れを。
4-4. 美容液
洗顔後の肌に塗って浸透させ、ターンオーバーの乱れを改善するのが、美容液タイプのピーリング剤です。最後に拭き取るものもありますが、塗ったままにするものの方が、敏感肌の人にはおすすめです。
5. おすすめのピーリング剤ランキング
このように、ピーリング剤には石鹸やジェルなどさまざまなタイプのものがあり、それぞれ良さが違います。
ここでは、ピーリングを初めて試す方のために、手に入れやすく評判の良い商品をいくつかおすすめします。これを手始めにして、自分の肌に合うものを見つけて下さい。
①クレンジングリサーチ ソープ
ドラッグストアなどで簡単に手に入る、ロングセラー商品です。AHA配合で、価格的にも気軽に試せるのが良いですよね。石鹸タイプなので、よく泡立てて、洗顔するのと同じ手順で使います。敏感肌用やジェルタイプのものも出ています。
②タカミスキンピール
美容皮膚科の医師監修で開発された、塗って浸透させるだけの美容液タイプです。角質層に浸透させて肌の内側からターンオーバーのサイクルを整え、肌本来の美しさが継続するよう導きます。洗顔後に適量をなじませ、3分ほど置いてからそのまま次の保湿ケアを行うと、化粧水がぐっとしみ込みやすくなっているはずです。
アットコスメなどの口コミサイトでも、高い評価を得ています。
③ロゼットゴマージュ
何と言ってもこのプチプラと、ドラッグストアで気軽に買える身近さが嬉しい商品。試しに使ってみるのにちょうどいいですよね。フルーツ酸配合で、乾いた肌にそのまま乗せるタイプのピーリング剤です。指で軽くマッサージするうちに、古い角質などを絡め取ったカスがポロポロ落ちてきます。
④ピーリングV10エッセンス
ドラッグストアで買える、本格的なピーリング美容液です。分子の大きさが違う5種類の酸が配合され、角質全体に働きかけてくれます。洗顔後、化粧水を使う前に、コットンに含ませてなじませるように拭き取ります。同じシリーズでパックも出ており、これは肌表面への効果に特化しています。
作用が強力なので、人によっては肌に刺激を感じます。石鹸などの穏やかなピーリング剤では物足りなかった人におすすめです。
⑤ピーリングビーン
注目度急上昇中の、韓国発の角質ケアコスメ。コーヒー豆の粒子がスクラブとなって、古い角質を落としてくれます。コーヒー豆に含まれる油分には保湿効果が、ポリフェノールには皮膚をきれいにする働きもあります。他にもヒアルロン酸、ホホバオイル、シアバターなど、昔から頼りにされてきた天然素材が配合されています。
公式サイトで通販するのが一番安心ですが、最近は東急ハンズなどで特設コーナーができたり、販売イベントが行われるなど、入手の機会が増えています。
6. ピーリング機能付きの美顔器もある
最近人気を集めているのがピーリング機能付き美顔器です。ミスト状にした水だけを使い、毛穴の奥の汚れやゴワつく角質を浮き上がらせて落とします。ウォーターピーリングとも呼ばれています。薬剤などを使わないため、肌に負担を掛けないのも大きな魅力です。
機械のプレート部分を高速振動させて水をミスト状にするので、振動数が多いほどピーリング効果も高くなるとされます。美顔器の購入を検討する際には、忘れずチェックしましょう。
7. 自宅でのピーリング後は保湿をしっかりと!
ピーリングした直後は、肌がまっさらな状態になり、一時的にバリア機能が低下します。すぐに念入りな保湿ケアを行いましょう。化粧水や美容液が普段より浸透しやすいので、肌の深いところで効いて欲しいビタミンCや、保湿成分が配合されたものをおすすめします。イオン導入機能のある美顔器をお持ちの方は、このタイミングでビタミンC誘導体のイオン導入を行うとさらに効果的です。
8. クリニックや美容サロンで行うピーリング
クリニックで行うピーリングも、角質を柔らかくして剥がし、ターンオーバーを促すという点では同じです。しかし、市販のピーリング剤よりも高濃度な薬品を使うことができますし、専門医の技術で、より高い効果を得ることができます。
日本国内で主に使われているケミカルピーリング剤は、グリコール酸、サリチル酸、乳酸、TCA(トリクロロ酢酸)です。
クリニックでのピーリングは、どの程度の深度まで剥離させるかで、四段階に分類されています(日本皮膚科学会のケミカルピーリングガイドラインによる)
肌表面の角質を剥がす最浅層ピーリング、浅層ピーリング、中間層ピーリング、そして真皮の中でも深いところにある網状層にまで干渉する深層ピーリングとなっています。
クリニックでは、個人の肌状態や悩みに応じて、適切な方法、薬品濃度でピーリングを行なってくれます。
シミやニキビの美容治療として行われるのは、大抵、レベル1の最浅層ピーリングです。
9. ピーリングは頻度を守ることが大切
市販のピーリング剤は最近、毎日使えると宣伝するものが増えています。成分配合などを工夫して、できるだけ刺激を少なく、穏やかな効果を重ねられるようにしているのでしょう。しかし、不要な角質とはいえ肌の表面を薄く剥ぐわけですから、負担もゼロではありません。基本的には数日に一度、週に一度くらいの間隔で利用するものだと考えて下さい。
どうしても急いで改善したいような、悩ましい肌の状態であるならば、皮膚科や美容クリニックで専門医に相談しましょう。
10. ピーリングが向かない人
ピーリングは少なからず肌に刺激を与えるため、おすすめできない人もいます。以下の条件に当てはまる人は、肌の状態が落ち着くのを待つか、クリニックで相談して行いましょう。
10-1. 敏感肌・乾燥肌の人
もともと肌が弱く刺激に敏感な人や、乾燥肌の人は、肌自体のバリア機能が低下しています。ピーリングを行うことでヒリヒリしたり赤くなったり、痒みが出るなどのトラブルが発生しがちです。市販のピーリング剤でも肌に合う可能性はありますが、まずは自己判断せず、専門医に相談することをおすすめします。
アトピー体質などで肌が炎症を起こしやすい人も同様です。
10-2. 日焼けの前後
日焼けというのは、肌が炎症を起こしているのと同じ状態です。このタイミングでピーリングを行うと、肌へ更なるダメージを与えることになります。激しい日焼けをしてしまったら、二週間くらいはピーリングを控えましょう。また逆に、日焼けしそうなイベントの前もピーリングは避けて下さい。古い角質を除いた肌は、一時的にバリアが弱くなって、紫外線などの刺激を受けやすくなっています。ピーリング後は日焼け止めクリームや日傘などで、入念な紫外線対策を。
10-3. 生理中の人
生理直前や生理中は、ホルモンの関係で肌の状態が揺らぎ、いつもより敏感になっているものです。刺激を与えるピーリングは、この時期避けた方が良いでしょう。肌の状態が上向く生理後がおすすめです。
まとめ
ピーリングで古い角質を落とすと、肌のくすみや色むらが薄くなり、化粧水や美容液の浸透が良くなります。毛穴の詰まりを防ぐのでニキビ予防にも役立ちますし、何よりターンオーバーが促進され、肌が健やかに整うというのが重要なポイントです。コラーゲンやエラスチンといった肌の弾力を支える成分も活発に生成されるようになります。
無理のない範囲で、定期的にピーリングを取り入れたいものですね。
【参考資料】
『ウソをつく化粧品』 小澤貴子 フォレスト出版
『医師・医療スタッフのための化粧品ハンドブック』 平尾哲二 中外医学社
『化粧品成分表示のかんたん読み方手帳』 久光一誠 永岡書店