おでこにポツポツと赤いニキビ。見つけると憂鬱ですね。
おでこにニキビができやすいのは思春期の頃と言われますが、実際には大人になってからできることもよくあります。
でも、原因や手入れの方法は、思春期ニキビとはちょっと違います。10代の頃と同じケアをすると、かえって悪化することも。
大人のおでこニキビは、どんなことに気をつけたら良いのでしょうか。
目次
3. 思春期ニキビと大人ニキビの違い
3-1. 肌質
3-2. できやすい場所
3-3. 原因
3-4. 日常のケア
4. 大人ニキビの手入れと予防
4-1. 毎日6時間の睡眠を確保
4-2. 油分を控え、保湿をしっかり
4-3. ビタミンC誘導体で予防
4-4. 生理前ニキビにはピーリングも有効
4-5. ビタミンたっぷりの食事を心がけて
1. ニキビができるまで
人の肌の正常な状態では、毛穴が開いていて、皮脂腺から分泌された脂は肌の表面へ滲み出ています。この状態が崩れると、ニキビが発生しやすくなります。
まずはニキビができるまでを、順番に追ってみましょう。
①男性ホルモンの影響や、皮脂が分解されるときの副産物、新陳代謝の低下などで、毛穴の出口あたりの角質が異常に厚くなり、塞がり気味になります。
②出口が塞がると、分泌された皮脂が排出されず、毛穴の中に溜まっていきます。詰まった状態の皮脂を面疱(コメド)といいます。この段階で芯だけを押し出せれば、跡にならずきれいに治ることもあります。
③詰まった皮脂を餌にして、毛穴の中でアクネ菌が繁殖し、炎症を起こします。
アクネ菌とは、人の肌に棲んでいる多数の「常在菌」のひとつで、誰でも持っているものです。ニキビの原因になりますが、他の働きもしており、アクネ菌だけを殺菌しようとすると肌のバランスを崩します。
④炎症がすすむと、毛穴の周囲や内部に白血球が集まって、増えすぎたアクネ菌を攻撃します。白血球や菌の死骸が膿になり、毛穴の周囲が赤く腫れます。さらに悪化すると、毛穴の壁が壊れて炎症が広がることも。
⑤膿が排出されたり、毛穴の中で吸収されたりしておさまった後、ニキビ跡が穴のようになって残ることがあります。
炎症が強くなるのも、穴が残ってクレーター化するのも、体質の影響が大きいようです。連続して発生し、いつまでも治らないような場合は、医者に相談しましょう。
2. なぜおでこにニキビができるのか
なぜ、おでこにはニキビができやすいのでしょうか。
実はおでこから鼻、あごまでをつなぐT形の範囲、いわゆる「Tゾーン」は、他の部分より皮脂腺が多い部分です。分泌される皮脂が多いとアクネ菌が繁殖しやすく、ニキビになりやすいというわけです。
また、おでこは前髪がかかって、刺激を受けやすい場所です。シャンプーや洗顔料がよく流されずに残ると、それが原因で毛穴が詰まり、髪の生え際あたりにくり返しニキビができます。
整髪剤の油分も、アクネ菌の繁殖につながることがあります。
おでこだけに限りませんが、紫外線による肌への刺激も無視できません。
紫外線が当たると肌がダメージを受け、角質が厚くなったり、乾燥が酷くなったりします。
3. 思春期ニキビと大人ニキビの違い
皮脂の多さが主な原因となるおでこのニキビは、皮脂の分泌量が増える思春期頃にできやすいとされています。
もちろん、大人でもおでこにニキビができることはあります。思春期には肌荒れと無縁だった人が、大人になってから急にニキビに悩まされるケースもあります。
実は大人のニキビは、思春期のニキビといろいろ事情が違うのです。
3-1. 肌質
思春期ニキビができやすいのは、オイリー肌の人です。女性よりも男性の方が、皮脂の分泌が多いため、ニキビに悩まされる人も多いようです。
大人ニキビは、乾燥肌の人ほど要注意。加齢によって皮脂の分泌量が減ると、肌が乾燥気味になります。すると、肌は皮脂を多く出して潤いを守ろうとするので、結果的に皮脂分泌が過剰になり、ニキビにつながるのです。
3-2. できやすい場所
思春期のニキビは一般的に、皮脂の多いおでこなどを中心に、顔中散らばってできます。細かい白ニキビが主ですが、中には悪化して膿むこともあります。
逆に大人ニキビの多くは、あごやフェイスラインに沿って、ぽつりぽつりと発生します。フェイスラインは皮脂腺が少なく、乾燥しがちな大人になってからトラブルが起きやすい場所です。
膿を持って大きくなり、色素が沈着して残りやすい傾向があります。
3-3. 原因
思春期のニキビは、もともと皮脂腺が多いとか、毛穴が小さくて詰まりやすいといった、遺伝的な要素に左右されます。甘いものの食べ過ぎや夜更かしで悪化することもあります。
大人ニキビの原因は、主にストレスや不規則な生活の影響です。ストレスでホルモンバランスが崩れると、肌が荒れて乾燥し、肌のバリア機能が低下します。小さな炎症が修復できず、すぐに悪化してしまいます。
ニキビができる初期段階において角質の「角化異常」が起こるのに男性ホルモンが関わっているため、男性ホルモンが多いとニキビができやすいと言われますが、それだけが単独で理由になるわけではありません。
ホルモンを始めとした体内バランスが崩れると、肌の調子も乱れるということなのです。女性の場合、生理前にニキビが悪化しやすいのもこのためです。
3-4. 日常のケア
思春期ニキビのケアには、しっかり洗顔し、イオウなど皮脂を減らす成分が入った化粧品を使うのがおすすめです。
逆に大人ニキビには、イオウ入り化粧品を使うのは控えた方が良いでしょう。イオウには殺菌力と、角質を柔らかくする力がありますが、効果が強いのでかえって肌が荒れてしまいます。選ぶときは必ず、大人ニキビ専用の化粧品を使いましょう。
4. 大人ニキビの手入れと予防
ここまで説明したように、大人のニキビがやっかいなのは、さまざまな原因が複雑にからみあってできていることです。
できてしまったニキビを治療することも大事ですが、肌のバリア機能を回復させること、体内のバランスを整えること、ストレス軽減や生活習慣の見直しなど、対策もひとつではありません。
毎日のスキンケアとして、気をつけたいことを挙げてみましょう。
4-1. 毎日6時間の睡眠を確保
睡眠は、大人のニキビケアで一番大切なものです。
睡眠不足になるとすぐにホルモンバランスが崩れ、肌の免疫力が低下します。
ニキビ予防のためには、毎日6時間以上の睡眠をとりたいところ。仕事で遅くなった日も、食事や入浴に時間をかけるより、できるだけ早く寝る方がおすすめです。
できれば毎日決まった時間に寝ると、体内のサイクルが整い、肌を再生させる成長ホルモンの分泌が活発になります。
4-2. 油分を控え、保湿をしっかり
ニキビの発生にアクネ菌が影響するのは、思春期でも大人でも同じです。脂を好むアクネ菌の繁殖を抑えるため、大人のニキビに悩まされる人は、オイルやクリームなど油分の多い化粧品は控えめにしましょう。
ただし、油分を避けて化粧水だけのケアにすると、肌が乾燥して角質が硬くなります。皮脂腺は肌の潤いを補おうと、脂の分泌量を増やすため、結果的にオイリーになり、ニキビが悪化してしまいます。
洗顔で余分な皮脂を落としたあとは、保湿ケアをしっかりとしましょう。油分の少ない美容液か、アクネ菌の栄養になりづらい油分だけでつくられた「ノンコメドジェニック」の商品を選ぶと良いでしょう。
4-3. ビタミンC誘導体で予防
体質的にどうしてもニキビができやすい人は、ビタミンC配合の化粧品もおすすめです。ビタミンCにはわずかながら、皮脂を抑える働きがあります。
また、美白効果もあり、ニキビ跡の赤みが薄くなるのも期待できます。
肌への浸透力を高めた「誘導体型」ビタミンC配合のものを選ぶのがおすすめです。
4-4. 生理前ニキビにはピーリングも有効
女性の場合、生理前にニキビができやすい人も多いでしょう。これは黄体ホルモンの影響で、皮脂の分泌が活発になることが関係しています。大人ニキビの対策としては、皮脂を抑えようとするより、ピーリングで余分な角質を取り除き、毛穴を詰まりにくくする方が有効です。
ピーリングコスメには、塗って剥がすパックタイプや、拭き取りタイプなどさまざまなものがあります。
ただし、生理前の肌は普段より敏感になる傾向があるので、肌への刺激が比較的穏やかなミルクやジェルの洗い流しタイプがおすすめです。
週1~2回を目安に行って、あとは保湿とUVケア中心の手入れを心掛けましょう。
4-5. ビタミンたっぷりの食事を心がけて
ニキビの予防や改善のためには、ビタミンやタンパク質の多い食事を心がけたいもの。薬のような即効性はありませんが、身体を内側から整えるのは大切なことです。
例えば、肌のターンオーバーを促し皮膚や粘膜の潤いを保つビタミンA(にんじん、かぼちゃ、レバーなど)。
新陳代謝を促すB6(マグロ、カツオ、鶏ささみなど)。
皮脂の分泌を抑制するB2(卵、乳製品など)。
便秘を解消して腸内環境を整え、脂質の代謝を促進する食物繊維(きのこ、ゴボウなど)。
ニキビのためだけでなく、日常的に意識して摂りたい食材です。
5. 大人のニキビは皮膚科の手を借りる
もし、ニキビがくり返しできて治りづらいなら、皮膚科に相談するのをおすすめします。
膿で毛穴が塞がったニキビは、塗り薬が奥まで浸透しづらいので、抗生物質やビタミン剤などの内服薬を併用して治療します。
また、ホルモンバランスを整え、皮膚の免疫を高めるために、漢方薬を処方することもあります。
加えて、クレーター型の陥没や色素沈着などの跡を残さないように、ピーリングやビタミンC誘導体のイオン導入なども組み合わせたりします。
まとめ
大人のおでこニキビが発生する原因は、思春期のおでこニキビと同じではありません。
乾燥からくる過剰な皮脂分泌、食生活やホルモンバランスの乱れ、睡眠不足やストレスによる免疫低下など、さまざまな事柄がからみあっています。
思春期ニキビと同じ手入れをすると、かえって悪化することがあるので注意しましょう。
ストレスを緩和して体内のバランスを整え、保湿に気をつけることが、大人のおでこニキビを抑えるポイントです。
【参考文献】
・『素肌美人になれる 正しいスキンケア事典』 吉木伸子他 高橋書店 2010年
・『素肌美人になるためのスキンケア美容医学事典』 吉木伸子 池田書店 2011年