手作り化粧品に興味はあっても、安心して使えるかどうか心配ですよね?
作ってみたいけど、なにから始めたらいいのかわからないという人も多いことと思います。
自然素材を使った基礎化粧品で、シンプルスキンケアをする人が増えています。
実は、これは特別なことではありません。
昔から人間は、身近にある食べ物や植物を利用して美肌を保ってきたのです。
添加物の入らない素材でナチュラルスキンケアをしてみませんか?
手作りの化粧品や石けんには様々なアイテムがありますが、ここでは、スキンケアの基本となる化粧水の作り方を解説します。
ベーシックな化粧水5種と、少し工夫を加えてアレンジした化粧水4種をピックアップしましたので、自分の肌質に合ったものを選んで使いましょう。
目次
1. 手作り化粧水の魅力
2. 手作り化粧水の注意事項
3. 用意する道具
4. 主な材料の解説
4-1. 精製水
4-2. 精油
4-3. 植物性グリセリン
4-4. 無水エタノール
4-5. フローラルウォーター
4-6. 植物油
5. 簡単化粧水5選
5-1. ベーシック化粧水
5-2. クエン酸ウォーター
5-3. ビネガー水
5-4. ハチミツウォーター
5-5. 冷酒の化粧水
6. アレンジ化粧水4選
6-1. 緑茶化粧水
6-2. カモミール水
6-3. レモン酒化粧水
6-4. バラの美肌水
まとめ
1. 手作り化粧水の魅力
手作り化粧水を使うことには、たくさんのメリットがあります。
代表的なものを紹介しましょう。
① 原料が把握できる
市販されている化粧品の成分表には、知らない成分がたくさん書かれていることが多いものですが、自分で作った化粧品であれば原料がわかっているので安心です。
人工の防腐剤や香料なども使わずに、化粧品を作ることができます。
② 自分の肌質に合わせられる
せっかく買った化粧品が肌に合わなくて、くやしい思いをした経験をもつ人は多いでしょう。
手作り化粧品だったら少量を簡単に作ることができるので、パッチテストで自分の肌に合うかどうかを確認しながら、自分にぴったりの化粧品を作ることができます。
③ 簡単に作ることができる
家庭にある素材や、薬局で買える材料を使って誰でも簡単に作ることができます。
化粧水などのスキンケアアイテムは、ほぼ混ぜるだけのレシピがほとんどですから、料理をするような気分で気軽に楽しめます。
④ 好きなようにアレンジできる
基本的な作り方さえ理解すれば、好きな香り、効能、質感などを自分の好みに合わせてアレンジすることが可能です。
自分だけのオリジナル化粧水を作り、好きな容器に入れればスペシャルな気分になります。
⑤ 量を気にせず使える
材料は一部の精油や植物油を除けば、気軽に買える価格のものばかりです。
今まで高い化粧水を買って少しずつ使ってきたという人も、手作り化粧水だったら気兼ねなくたっぷり使うことができます。
2. 手作り化粧水の注意事項
安心して手作り化粧水を楽しむためには、いくつか注意しなければいけないことがあります。
以下の事柄は、必ず守ってください。
① 良質な材料を使う
材料は信頼できるショップで購入しましょう。品質や使用期限の確認も忘れないようにしてください。
② 道具や容器は清潔に!
材料を量って混ぜる道具類や、作った化粧水を保存する容器は、清潔を保ってください。煮沸消毒やアルコール消毒を行ってから使用しましょう。
③ 正しい配合と分量で作る
はじめのうちは、レシピ通りの材料と分量で作り、アレンジは慣れてきてからにしましょう。材料によっては、きちんと計量しないと思い通りの効果が得られないこともあります。
④ 保存容器はガラス製のものを
プラスチックやビニール、アルミなどの容器は、化学反応を起こしたり、中身も容器も劣化が早まったりするので避けてください。
⑤ 必ずパッチテストを行う
肌トラブルを回避するために、パッチテストは必須です。材料や完成した化粧水を腕の内側など皮膚の柔らかい部分に少量塗布して、1日程度様子を見ます。かゆみや炎症が出た場合は、使用をやめてください。
⑥ 早めに使い切る
防腐剤が入っていない手作り化粧水は劣化が早いものです。短期間で使い切る量だけを、こまめに作るようにしましょう。材料の中には酸化しやすいものもありますから、材料も早めに使い切ってください。
⑦ 自分だけで使う
手作り化粧品は、効果をうたって他人に譲ったり、販売したりすることが、いわゆる薬事法で禁じられています。基本的には自分だけで使うようにしましょう。
3. 用意する道具
化粧水作りに使う道具は、香りが移ったり熱で変形したりしないガラス製品や陶器、ステンレス製品が適しています。
最初からすべてそろえなければいけないわけではありませんが、計量に関係する道具は必需品です。
① ビーカー
計量や材料のブレンドに使います。耐熱ガラス製のものが使いやすく、手入れも簡単です。
② ガラス棒
材料を混ぜたり、湯せんで溶かしたりするときに使います。
③ 計量スプーン
キッチンでおなじみのアイテムです。ステンレス製のものを使いましょう。大さじ小さじのほかに、小さじ1/2、1/4、1/8、1/10などもあると便利です。
④ デジタルはかり
1グラム単位で計量できて、容器の重さを引きやすい、「デジタルはかり」は必需品です。
⑤ ミクロスパーテル
少量のパウダーなどを扱うヘラです。ステンレス製のものを用意しましょう。
⑥ ロート
完成した化粧水を容器に移すときに便利です。プラスチック製ではなく、ガラス製かステンレス製のものが安心して使えます。
⑦ 容器
PET製のものが安価で種類もありますが、もっとも適しているのはガラス製の遮光ビンです。いろいろな形状のボトルが販売されており、キャップもポンプ式のものやスポイト式のものなど種類があるので、好きなものを選んでください。
4. 主な材料の解説
すべて大型薬局か手作りコスメショップなどで購入できますが、現在は実績のあるインターネットショップでの購入が簡単です。
4-1. 精製水
ミネラルウォーターでも代用できますが硬度の高いものは向きません。
500mℓで200円程度、冷蔵庫で保存します。
4-2. 精油
植物から抽出した芳香物質です。
植物によって香りや有効成分が異なり、5mℓで1000~10000円と値段も様々。
冷暗所で保存します。
4-3. 植物性グリセリン
グリセリンはアルコールの一種で、化粧品には保湿成分として配合されています。
動物性と植物性がありますが、手作り化粧水には植物性が適しており、100gで300円程度。
冷暗所で保存します。
4-4. 無水エタノール
別名を「エチルアルコール」といい、500mℓで1200~2000円程度、冷暗所で保存します。
アルコール度数35度以上のウォッカやホワイトリカーでも代用可能です。
4-5. フローラルウォーター
水蒸気蒸留法で精油を抽出する際に一緒にとれる、植物の芳香成分を含んだ水です。
200mℓで1000~4000円と精油同様に価格は様々、冷暗所で保存します。
4-6. 植物油
多くの化粧品に配合される基本的な材料です。
オリーブオイル、グレープシードオイルなど種類が豊富で、10mℓで800~8000円と価格も様々、冷暗所で保存します。
5. 簡単化粧水5選
ナチュラルスキンケアの基本となる手作り化粧水の、ベーシックバージョンを5種類紹介しましょう。
どれも簡単に作ることができ、自分好みの化粧水をアレンジする際の基本となるものですから、5種類すべてを実践してみることをおすすめします。
5-1. ベーシック化粧水
3種類の材料を混ぜ合わせるだけのシンプルな化粧水ですが、使い続けると肌が元気になるのが実感できるはずです。
ベーシック中のベーシックといえます。
「水 + グリセリン + アルコール」の基本レシピを覚えましょう。
精製水 1/4カップ(50cc)
植物性グリセリン 小さじ1/2~1
無水エタノール 小さじ1
【作り方】
① ビーカーに精製水を入れる。
② グリセリンを入れてよく混ぜる。
③ 無水エタノールを加えてよく混ぜる。
④ 清潔な容器に移し、冷蔵庫で保存する。
ポイント
・保存期間は1週間。
・保湿剤のグリセリンは自分の肌に合わせて加減してください。
・アルコールに過敏な人はエタノールを省いてください。
・精製水の代わりにフローラルウォーターを使用すれば、香りと美肌効果がアップします。
5-2. クエン酸ウォーター
ごくわずかなクエン酸を加えるだけで、肌の引き締め効果が期待できる弱酸性の化粧水ができます。
ちょっと肌が疲れていると感じたときは、洗顔の後にこの化粧水でリフレッシュしましょう。
ピーリング効果があるので、角質細胞が取れて顔色がよくなります。
精製水 1/4カップ(50cc)
クエン酸 耳かき1程度
植物性グリセリン 小さじ1/2
無水エタノール 小さじ1/2
① ビーカーに精製水を入れ、クエン酸を振り入れる。
② グリセリンと無水エタノールを加える。
③ よく混ぜたら清潔な容器に移して、冷蔵庫で保存する。
【ポイント】
・保存期間は1週間。
・クエン酸は入れ過ぎると肌に刺激を感じることがあるので、量には注意してください。
5-3. ビネガー水
酢には、肌を引き締めてキメを整える「収れん作用」があるので、使用後はさっぱりとした印象でも、しばらくするとしっとりしてきます。
抗菌作用もあるので、蒸し暑い夏のケアやニキビ予防に効果的です。
精製水 1/4カップ(50cc)
リンゴ酢 小さじ2
ハチミツ 小さじ1/2
① ビーカーに精製水を入れ、リンゴ酢を加えてよく混ぜる。
② ハチミツを加える。
③ よく混ぜたら清潔な容器に移して、冷蔵庫で保存する。
【ポイント】
・保存期間は1週間。
・リンゴ酢は香りが比較的おだやかなので、精製水の代わりにフローラルウォーターを使用しても大丈夫です。
5-4. ハチミツウォーター
ハチミツは市販の化粧品にも使用される美肌成分たっぷりの素材です。
肌をしっとりさせる保湿効果と、くすみを目立たなくする美肌効果が期待できます。
精製水 1/4カップ(50cc)
ハチミツ 小さじ1
① ビーカーに精製水を大さじ1だけ入れ、ハチミツを加える
② ハチミツが溶けるまでよく混ぜる。
③ 残りの精製水を加えてよく混ぜたら清潔な容器に移して、冷蔵庫で保存する。
【ポイント】
・保存期間は1週間。
・ハチミツの代わりに黒みつを使った「黒みつウォーター」も同様の効果があります。
・保存用の容器に直接ハチミツや黒みつを入れて精製水を加え、フタをしてよく振るだけでもOK。
・ベタつきが気になる人は、夜専用の化粧水にしましょう。
5-5. 冷酒の化粧水
日本酒の原材料である米ぬかは、うるおい成分の「オリザブラン」が豊富です。
日本酒の高い保湿効果が期待できるだけでなく、冷酒の化粧水は暑い時期にひんやりとして肌に心地よいのが特徴です。
日本人女性が昔から米ぬかや日本酒でスキンケアを行っており、その肌の美しさは世界で一番ともいわれました。
精製水 80cc
冷酒 200cc
① 保存用の清潔な容器に、冷やした日本酒を入れる。
② 精製水を加える。
③ 容器を軽く振って精製水と日本酒を混ぜ、冷蔵庫で保存する。
【ポイント】
・保存期間は2週間。
・日本酒の成分が沈殿するので、毎回、使う前に軽く振ってください。
・匂いが気にならなければ、水を加えず、日本酒だけでもかまいません。
・肌が弱い人は、湯せんしてアルコール分を飛ばして使いましょう。
6. アレンジ化粧水4選
ここからは、キッチンにある材料や植物を使ってアレンジする手作り化粧水を4種類紹介します。
キッチンには、まだまだ使える材料がたくさんありますから、好きな香りや効能の素材を利用してオリジナルの化粧水を作ってください。
6-1. 緑茶の化粧水
緑茶には美白や収れん作用が期待できる成分が含まれています。
使い続けると毛穴が引き締まり、肌のキメが整ってきます。
精製水 1/2カップ
緑茶(茶葉) 大さじ1
植物性グリセリン 小さじ1
無水エタノール 小さじ2
① 鍋に精製水を入れ沸騰させたら、火を止めて緑茶を入れる。
② 鍋にフタをして冷えるのを待つ。
③ 冷めたらコーヒーフィルターで濾す。
④ グリセリンと無水エタノールを加えたら、清潔な容器に移して冷蔵庫で保存する。
【ポイント】
・保存期間は1週間。
・グリセリンの代わりにハチミツを使用しても大丈夫です。
・緑茶には、殺菌・抗菌作用があるので、頭皮や足など全身に使えます。
6-2. カモミール水
カモミールは肌が敏感な人でも使用できる、作用がやさしいハーブです。
リラックス効果のあるハーブティーは人気ですが、肌に使用すると保湿や抗菌作用があるので、脂っぽいのに乾燥しがちな肌の人に向いています。
精製水 1/4カップ(50cc)
ジャーマンカモミール(ドライハーブ) 大さじ山盛り2
ハチミツ 小さじ1/2
① 精製水を沸騰させて、カモミールを入れたティーポットに注ぐ。
② ポットを軽くゆすってエキスを抽出したら、そのまま冷めるまで置いておく。
③ 清潔な容器に移したら、ハチミツを加えてよく混ぜ、冷蔵庫で保存する。
【ポイント】
・保存期間は1週間。
・ハチミツは保湿剤として配合しているので、グリセリンに置き換えてもOKです。
・朝晩の洗顔後に顔全体になじませて使いますが、お風呂あがりに全身に使用するのもおすすめです。
6-3. レモン酒化粧水
レモンに含まれるビタミンCの美白効果と、日本酒の保湿効果がうるおいのある肌をもたらします。
使い続けるとシミやくすみが消えて、白さと透明感を取り戻します。
ビタミンCは、ニキビにも効果的です。
精製水 1/2カップ
レモン 1/2個
日本酒 10mℓ
① レモン1/2個をきれいに洗って3mm程度の厚さで輪切りにする。
② フタのある容器にレモンを入れ、精製水と日本酒を加える。
③ フタをしたらよく振って材料を混ぜる。
④ 保存用の清潔な容器に移して冷蔵庫で3時間冷やしたら完成、保存も冷蔵庫で。
【ポイント】
・保存期間は3週間。
・一般に市販されているレモンには農薬やワックスが使われているので、気になる人は外皮をそいで使用してください。
・お風呂上りの寝る前に使用すると、睡眠中に肌の代謝が盛んになるので肌がより化粧水を吸収して美白効果が高まります。
6-4. バラの美肌水
バラはその美しさとともに、香りの素晴らしさが古代から人々に愛されてきました。
19世紀以降になると、バラの成分には強い殺菌力があって肌を清潔に保ち、シミやシワの原因となる活性酸素を取り除き、美肌を作ることがわかりました。
近年の研究では、抗アレルギー作用があることもわかっており、軽度のアトピー性皮膚炎が改善したという報告もあります。
バラの香りでリラックスしながら、美肌と健康が期待できる最強の化粧水です。
精製水 1/2カップ
バラの花 100g
(水とバラの花の重量比率は1:1と覚える)
① バラの花は根本からちぎって水で洗ったら、水をきっておく。
② バラの花をホウロウか陶器の鍋に入れて精製水を加え、ごく弱火で加熱しながら軽くかき混ぜ、沸騰する寸前で火を止める。
③ 冷めたらボールなどに移し、ラップをかけて常温の場所に2日置き、バラの成分を抽出する。
④ 花びらを濾して、清潔な保存用容器に移したら、冷蔵庫で保存する。
【ポイント】
・保存期間は1カ月。
・深紅のバラで化粧水を作ると真っ赤な化粧水になるので、衣服などにつかないように注意してください。
・バラの精油であるローズオイルや、フローラルウォーターを使用して作るバラの化粧水もあります。
まとめ
ここで解説した手作り化粧水以外にも、ヒアルロン酸を含んでいる卵の殻を利用したものや、リンゴやキュウリなど身近な食材を利用したものが人気です。
また、いろいろなハーブや薬草から抽出して作った植物エキスを薄めて使う化粧水もあります。
簡単で、経済的で、安心して使える手作り化粧水は、シンプルスキンケアの強い味方です。
しかも、誰にでも簡単に作れることが、おわかりいただけたことでしょう。
ぜひデイリーケアに取り入れて、美肌ライフを楽しんでください。
【参考資料】
・『手作り石鹸と化粧品で ナチュラルスキンケアきほんBOOK』 マイナビ 2012年
・『手作りの化粧品と美肌パック』 成美堂出版 2005年
・『キッチンでつくる美肌化粧水&ピーリング』 主婦の友社 2003年