「飲む点滴」「飲む美容液」などと呼ばれ、甘酒の栄養成分や美容効果が期待されています。
古くから日本で愛されてきた飲み物が、身体に良いとは嬉しいことですね。
現代では、寒い冬に温かい甘酒を飲むことが多いのですが、俳句の世界では「甘酒」は夏の季語。甘酒は栄養価が高いので、夏バテを防ぐための栄養ドリンクとして愛飲されていたようです。
甘酒には、米麹と米を発酵させてつくるものと、酒かすに水分と糖を加えてつくるものがあります。
それぞれの特徴や効能、作り方をご紹介しましょう。手軽に飲める市販の甘酒もご紹介していきますよ。
目次
1 甘酒とは
1-1 米麹の甘酒について
1-2 酒かすの甘酒について
2 米麹の甘酒の効能
2-1 美肌効果
2-2 便秘改善効果
2-3 ダイエット効果
2-4 その他の健康効果
3 酒かすの甘酒の効能
3-1 美肌効果
3-2 便秘改善効果
3-3 ダイエット効果
3-4 その他の健康効果
4 甘酒の効果的な飲み方
4-1 一日どのくらいの量飲むと良いか
4-2 いつ飲むと効果的か
4-3 甘酒の温度について
4-4 甘酒が苦手な人は
5 甘酒の作り方
5-1 米麹の甘酒の作り方
5-2 酒かすの甘酒の作り方
6 おすすめの甘酒
6-1 市販の甘酒について
6-2 おすすめの甘酒
7 まとめ
1 甘酒とは
1-1 米麹の甘酒について
米麹の甘酒の栄養成分(100gあたり)
・エネルギー…81kcal
・タンパク質…1.7g
・脂質…0.1g
・炭水化物…18.3g
米麹の甘酒の特徴
手作りした場合、高温で加熱されていないため酵素が生きています。麹甘酒の中には300を超えるといわれる多種多様な酵素だけでなく、それが働くのを助ける補酵素(コエンザイム)も含まれています。
海外の人は「ジャパニーズ・ヨーグルト」と呼ぶそうで、ヨーグルト同様に発酵食品として認められはじめているようです。
また、「飲む点滴」と言われるように、ブドウ糖だけでなくビタミン類やアミノ酸も豊富にバランスよく含まれているのも特徴です。
麹甘酒は、アルコール分を一切含まないので小さな子どもからお年寄りまで安心して飲むことができます。
1-2 酒かすの甘酒について
酒かすを使って作る甘酒は、酒かすの量や加える砂糖の量で栄養成分は大きく差が出ます。
ここでは、食品栄養成分表の「酒かす」「上白糖」の栄養成分を元に標準的な甘酒100gあたりの栄養成分を計算しました。
栄養成分表「酒かす」の栄養成分(100gあたり)
・エネルギー…227kcal
・タンパク質…14.9g
・脂質…1.5g
・炭水化物…23.8g
標準的な酒かすの甘酒(酒粕15g、上白糖10g、水75g)の栄養成分
・エネルギー…72kcal
・タンパク質…2.2g
・脂質…0.2g
・炭水化物…13.5g
酒かすの甘酒の特徴
酒かすは日本酒を作る際にもろみを絞ったときの粕ですので、日本酒の良い香りと若干のアルコールが残っています。お酒が好きな大人に好まれる風味のある甘酒になるのが酒かすの甘酒の特徴です。
酒かすには甘味がほとんどありませんので、砂糖やはちみつなどを加えて甘みをつけます。そのため、好みで甘さを調節することができます。
2 米麹の甘酒の効能
2-1 美肌効果
米麹で作られる甘酒に含まれる成分は美肌効果があります。
酵素
人間が一生のうちに作ることができる「潜在酵素」から「消化酵素」「代謝酵素」が作られます。食べ物から酵素を取ることで、消化に使う酵素を節約できますから、代謝酵素として使うことができ、肌の代謝もよくなり美肌につながります。
ビタミンB群
栄養の代謝に欠かせない成分のビタミンB群はデトックス効果も高く、老廃物をスムーズに排出します。
オリゴ糖・食物繊維
どちらも腸内環境を整え、便秘を改善することで肌の調子が良くなります。
コウジ酸
メラニンの生成を抑制する作用があるため、肌の美白効果が期待できます。
2-2 便秘改善効果
麹を発酵して作る甘酒には便秘改善効果があります。
甘酒に含まれる植物性乳酸菌は、胃酸や胆汁酸に強く、生きたまま小腸まで届きます。その際、甘酒に含まれるオリゴ糖は吸収されずに大腸まで届き、善玉菌のエサになります。
こうして増えた大腸の善玉菌は、酪酸を産生します。酪酸は、腸のぜん動運動(便を送り出す運動)を活発にしてさらなる便秘改善に役立ちます。
2-3 ダイエット効果
基礎代謝が上がる
麹から作られる甘酒に含まれるアルギニンなどのアミノ酸には基礎代謝を上げる作用があります。
甘いけれど太りにくい多糖類
麹甘酒の甘味は米のでんぷんが糖化されてできたブドウ糖に由来するものですが、糖質全体としては未分解のでんぷんや食物繊維も含んでいて、多糖類に分類されます。
ブドウ糖や果糖などの単糖類やお砂糖などの二糖類は吸収されやすく余ると脂肪として体内に蓄積されますが、多糖類は消化に時間がかかるので吸収に時間がかかって太りにくい糖となります。
便秘改善でおなかスッキリ
さらに、便秘改善効果によるポッコリお腹の改善といったダイエット効果もあります。
2-4 その他の健康効果
脳の働きを活性化する
脳の栄養となるのはブドウ糖だけということはよく知られていますよね。麹甘酒に含まれるブドウ糖は時間をかけてゆっくりと吸収されるので、脳に栄養を送り続けて活性化することになります。
疲れにくくスタミナアップ
分岐鎖アミノ酸(BCAA)は運動中に筋肉中で代謝されるエネルギー源として利用される3種のアミノ酸(バリン、ロイシン、イソロイシン)の総称で、エネルギー源となるのと同時に、疲労物質である乳酸の発生を抑える役目も持っています。
この分岐鎖アミノ酸すべてを含む麹甘酒を飲むことで、疲れにくくスタミナが持続するようになります。
必須アミノ酸で生き生き効果
麹甘酒は、人体で作ることのできない9種類の必須アミノ酸全てを含み、その他のアミノ酸も含むため「アミノ酸スコア」がとても高く、疲れにくい生き生きした体を作ることができます。
※アミノ酸スコアとは
アミノ酸スコアは、食品中たんぱく質の質的評価をするための指標となる数値で、アミノ酸スコアが高いほど、必須アミノ酸をバランスよく含む良質のたんぱく質といえます。
FAO/WHO 等は、食事のたんぱく質に含まれるべき不可欠アミノ酸の組成(mg/g たんぱく質) を、標準となるアミノ酸評点パターン(Requirement pattern)として公表している。このアミノ 酸評点パターンと食品のたんぱく質中のアミノ酸量を比較することで、たんぱく質の栄養価を評価できる。たんぱく質中のアミノ酸量のうち、アミノ酸評点パターンを下回るものを制限アミノ酸という。アミノ酸スコアは、たんぱく質 1 g 中の第一制限アミノ酸の量(mg)を評点パ ターンにおけるそのアミノ酸の量(mg)で除した値に 100 を乗じたものである。
厚生労働省「アミノ酸2015年版第一章説明」より
3 酒かすの甘酒の効能
3-1 美肌効果
肌の美白効果
酒かすに含まれるアルブチンと遊離リノール酸は、肌のシミの元となるメラニンを生成する際に作用するチロシナーゼ(メラニン生成酵素)の働きを妨げます。
メラニン色素は、ドーパクロムという物質が紫外線を受けて変化したものです。このドーパクロムの生成を促すのがチロシナーゼなので、チロシナーゼの働きを阻害することでドーパクロムの生成が抑制されるのですね。
肌の保湿効果
酒かすの中には、日本酒を作るために時間をかけて育まれた、発酵による生産物がたくさん詰まっています。最近明らかになったのが、酒かすに含まれるα‐エチルグリコシドとα‐グリコシルグリセロールの保湿・肌荒れ防止効果です。
大関・カネボウ・長谷川香料の共同研究によると、α‐エチルグリコシドを入れた水をマウスに1週間飲ませる実験を行ったところ、肌からの水分蒸散量が通常の半分に減り、一方皮膚の柔らかさが2倍になるという結果が出ています。
この他にも、遊離アミノ酸、有機酸、グリセロールなど肌の保湿にかかわる成分が酒粕には豊富に含まれています。
3-2 便秘改善効果
酒かすには、不溶性食物繊維が多く含まれるため、酒かす甘酒を毎日飲むことで、便秘改善効果もあります。
酒かす100gあたりの食物繊維量は、食物繊維が多いといわれるきのこ類や海藻類よりも多くなっています。食物繊維の1日の摂取量は20~25gが望ましいといわれていますが、忙しい現代人は野菜を調理する時間が少なく、外食や総菜・弁当に頼ってしまうためこれを達成するのはとても困難です。
酒かすを1日100g摂取すれば、1日の目標摂取量の四分の一になります。甘酒だけでなくかす汁などでも摂取することで食物繊維の摂取量が増え、便秘改善に効果を発揮します。
3-3 ダイエット効果
酒かすにはダイエット効果があります。その仕組みをご紹介しましょう。
糖質を摂取すると、アミラーゼという消化酵素が働いてブドウ糖(グルコース)になり、小腸から血液に入ります。血中のブドウ糖(血糖)が増えるとインシュリンが分泌され、脂肪細胞に蓄えるように導きます。
血糖値が上がれば上がるほど、インシュリンの分泌量は加速度的に増え、脂肪細胞に取り込まれる量はふくれあがります。糖質の分解速度を遅くすればインシュリンは分泌されにくくなり、脂肪細胞に取り込まれにくくなります。
酒かすに含まれる食物繊維やレジスタントプロテイン(難消化性タンパク質)は糖質の分解を緩やかにし、急激に血糖値が上がることを防ぎます。そのため、糖質が脂肪として蓄積されることを抑制してくれるのです。
さらに、酒かすに含まれるアデノシンという成分は血行を促進し、冷え性を改善しますので基礎代謝が上がるためダイエットにつながります。
3-4 その他の健康効果
コレステロール値の低下
酒かすに含まれるレジスタントプロテインは、悪玉コレステロールと呼ばれるLDLコレステロールを体外へ排出する効果があり、コレステロール値の低下に役立ちます。
腸内環境を整える
酒かすに多く含まれる不溶性食物繊維は、便の量を増やします。
水溶性食物繊維と似た働きを持つレジスタントプロテインは、悪玉コレステロールなどの油分を吸着する働きがあるため大腸でこの油分が潤滑油のような働きとなり便の排出をスムーズにします。
便秘が解消された大腸は正常な働きを取り戻し、腸内環境が整っていきます。
肝臓を守る
酒かすには活性酸素の除去(抗酸化作用)を助けるペプチドが存在し、これが肝臓を強化すると考えられています。
今有力視されているのは、グルタミン、システイン、グリシンの3つのアミノ酸がつながってできたグルタチオンというペプチドで、肝臓に集まって強い抗酸化力を発揮することがわかっています。
血圧を下げる
血圧の調整をしているのは腎臓です。腎臓から分泌されるレニンという物質がアンギオテンシンをつくり、これが血圧を上昇させます。
また、同じく腎臓から分泌されるカリクレインという物質がキニンという物質をつくり、血管を拡張させて血圧を下げます。
この両者のバランスを取ることで血圧を調整しています。
アンギオテンシン変換酵素(ACE)は肺の血管内皮細胞にでき、アンギオテンシンの作用を強化してキニンの働きを低下させ、血圧上昇に強く働きかけます。
このアンギオテンシン変換酵素(ACE)の働きを阻害するペプチドが酒かす内に6種類発見されました(月桂冠総合研究所による)。高血圧ラットに与えた実験でも血圧の低下が認められています。
不眠、ストレス、免疫力に効果
ライオン研究開発本部、近畿大学、京都府立医科大学などの共同研究チームが、酒かすに含まれるS-アデノシルメチオニンという物質が睡眠調節に関与する中枢神経に作用することをつきとめました。この成分がノンレム睡眠を増加させ、睡眠の質を向上させるといわれています。
睡眠の改善により、ストレスの軽減、免疫力アップが期待できます。
4 甘酒の効果的な飲み方
4-1 一日どのくらいの量飲むと良いか
麹甘酒も酒かす甘酒も炭水化物が多くカロリーもそれなりにあるので、身体に良いからといって毎日たくさん飲むとエネルギー過剰になり肥満につながる恐れがあります。
甘酒は1日に100g程度でも毎日摂取すれば効能は期待できますので、100gから多くても200g程度にとどめましょう。
4-2 いつ飲むと効果的か
甘酒を飲むなら、一番のおすすめは朝です。
時間がなくて朝しっかりご飯を食べられない人はぜひ、甘酒を飲んでください。朝食に摂取すれば炭水化物もエネルギーとして使われますし、アミノ酸やビタミン類のおかげで疲れ知らずの一日を過ごすことができますよ。
ダイエットエキスパートの和田清香先生は、朝は野菜や果物で作るスムージーに混ぜて、午後3時ころにはそのまま間食として麹甘酒を飲んでいるそうです。
麹甘酒は甘くて満足感を得ることができるので、間食に甘いものを食べることがなくなったそうです。便秘が解消されて肌の調子が良くなったとのことですよ。
女優の細川直美さんも、おやつをやめて麹甘酒にしたことで乾燥肌がしっとり潤うようになったそうです。
4-3 甘酒の温度について
麹甘酒を飲む温度・酵素を期待するなら60℃以下で
麹で作る甘酒に酵素による効果を期待する場合、できた甘酒をそのままの温度で飲むか、それ以下に冷やしたものを飲みましょう。
酵素は熱に弱いので、70℃以上に温めることで酵素の効果は期待できなくなります。
麹で作る甘酒の場合、米麹自体の麹菌(麹カビ菌)は50℃くらいで死滅します。甘酒の発酵は麹菌の働きではなく、アミラーゼという酵素の働きによります。甘酒は60℃程度で発酵させ、できあがった甘酒には多くの酵素が含まれます。
市販の甘酒も、常温で販売されているものは熱処理されているため、酵素の働きは期待できません。しかし酵素以外にも良い成分はたくさん含まれているので甘酒の効能がなくなるわけではありません。
酒かす甘酒を飲む温度・子どもやお年寄りなら煮立ててから
酒かすで作った甘酒には、酒粕に残った日本酒によるアルコールが入っています。
ごくわずかな量ですので、甘酒にするときに2~3分間ぐらぐら煮立ててしまえばアルコール分は蒸発します。
子どもやお年寄りが飲むときは高温でアルコール分を飛ばしましょう。それでもわずかには残るので、赤ちゃんに甘酒を与えるなら麹甘酒にしましょう。
4-4 甘酒が苦手な人は
甘酒の味が苦手、という人は他の飲み物で割って飲むと良いですよ。苦手ではない人も、甘酒を毎日たくさん摂取するとエネルギー過剰で肥満の原因にもなりかねますので、薄めて飲むことは摂取カロリー面からいってもおすすめです。
・ヨーグルト+甘酒
・青汁+甘酒
・お好みのスムージー+甘酒
・豆乳+甘酒
また、酵素は壊れてしまいますが麹甘酒は砂糖の代わりに調理やお菓子作りに使うことができます。酵素以外の効能はありますので、調味料として使うのもおすすめです。
5 甘酒の作り方
5-1 米麹の甘酒の作り方
米麹の甘酒の基本的な作り方
【1】うるち米もしくはもち米をおかゆ状に炊いたものに水を加えたものを60℃に冷まし、米麹を加えます。
【2】そのまま温度は60℃~65℃を保ちながら8時間程度発酵させます。ヨーグルトメーカーがあれば温度設定をして放置できますが、炊飯器の保温機能を使う場合は蓋をあけるなどして温度調節が必要です。
作りやすい分量
米(うるち米は粒が残りやすく、もち米はなめらかになります)…1合(180cc)
水(米を炊く分)…600cc
水(追加分)…200cc
乾燥米麹又は生米麹…200g
米麹の甘酒の詳しい作り方はこちらでどうぞ(準備中)
5-2 酒かすの甘酒の作り方
酒かすの甘酒の基本的な作り方
【1】酒かすは細かくちぎって鍋に入れ、水を加えて30分~数時間ふやかしておきます。
【2】鍋を火にかけ、混ぜながら酒かすを煮溶かします。砂糖を加えて溶けたら火を止め、好みでしょうが汁を加えます。
作りやすい分量
酒かす…200g
水…5カップ
砂糖…80g
しょうがのしぼり汁(お好みで)
酒かすの甘酒の詳しい作り方はこちらでどうぞ(準備中)
6. おすすめの甘酒
6-1 市販の甘酒について
昨今の甘酒ブームにより、スーパーマーケットやコンビニエンスストアで市販の甘酒を目にすることも増えました。販売されている甘酒の種類も増えています。
市販されている甘酒の違い・特徴
◆アルコールが含まれるかどうか
酒かすを使わず、米麹だけで作られている甘酒はアルコール分を含みません。アルコールが含まれているといっても1%未満なのですが、赤ちゃんに与えるときには注意が必要です。
◆希釈するかストレートで飲むか
酒かすを使わず、米麹を発酵させて作っている甘酒のほとんどは、水を加えて加熱したうるち米かもち米に米麹を加えて発酵させています。
このときに加える水分量によって、とても濃く甘いものになるので水やお湯、ヨーグルトや豆乳で割って飲むタイプがあります。
こうした濃厚な甘酒は、砂糖の代わりに調味料として料理に使うこともできます。
◆添加物があるかどうか
【市販の甘酒に使用されている天然の添加物】
●砂糖・はちみつ
市販の甘酒には、砂糖やはちみつが加えられていることがあります。酒かすには甘味がないため、酒かすを使った甘酒に加えられていることが多く、酒かすと米麹どちらもつかっている商品にも加えられています。米麹の甘酒も、砂糖を加えてある酒かすを使ってある甘酒も、カロリーはさほど違いはありません。
●食塩
甘味を引き立てるために食塩が加えられていることもあります。
●しょうが
甘酒の香りと相性の良いしょうがを加えてあります。
【市販の甘酒に使用されている食品添加物】
●増粘剤(キサンタン)(加工でんぷん)
液体にとろみをつけるための添加物です。キサンタンと表記されているのはキサンタンガムのことで、微生物がでんぷんを分解して作り出す多糖類です。
加工でんぷんは化学薬品を混ぜて作られた食品添加物です。2011年までは天然のでんぷんと、加工でんぷんを区別することなく「でんぷん」と表記していましたが、加工されたでんぷんにわずかでも危険性があることから現在では区別されて表記されています。
●酸化防止剤(ビタミンC)
酸化防止のために加えられるビタミンCです。ビタミンCというと体に良さそうな印象がありますが、酸化防止のために加えられるものはトウモロコシやじゃがいものでんぷん質から化学合成されており、「少量なら問題はない」とされるものの「長期摂取では安全性が疑われる」と考えられてもいます。
●酸味料
酸味を加えて味を調えるために加えられます。クエン酸などの無害なものから、アジビン酸・グルコ酸・コハク酸・リン酸といった化学合成されていて危険性を含むもの、酢酸、リンゴ酸など安全そうに見える名称でも化学合成されているものなどがあります。
●還元難消化性デキストリン(食物繊維)
トクホ(特定保健用食品)の飲み物などに加えられる、トウモロコシでんぷんから作られる消化吸収されにくい食物繊維です。食後血糖値の急激な上昇を抑えるため糖が脂肪として身体につきにくくなるという報告があります。
6-2 おすすめの甘酒
スーパーマーケットやコンビニエンスストアで購入できる甘酒の中から、お好み別にお勧めの甘酒をご紹介します。
アルコール・添加物はない方が良い・子どもにも飲ませたい方には
●「ときめく麹」ヤマキ醸造
●「お米と米麹でつくったあまざけ」こうじや里村
●「昔ながらのあまざけ」大正屋醤油店
添加物は気にならない・酒風味重視の方には
●「甘酒」森永製菓(もも甘酒・冷やし甘酒などの種類があります)
●「甘酒」月桂冠(しょうが入り・冷やし甘酒などの種類があります)
7 まとめ
「飲む点滴」「飲む美容液」といわれる甘酒ですが、米麹からつくる甘酒も酒かすからつくる甘酒も、どちらも素晴らしい美容効果や健康効果があることがわかりました。
米麹の甘酒の場合は手作りすると温度管理や時間管理が必要で少々手間がかかりますが、市販の加熱殺菌された甘酒にはない生きた酵素がたくさん含まれています。
酒かすの甘酒は手軽に作ることができますし、自分で砂糖の量を調整できるので甘さを好みに整えることができますね。
どちらも日本人が昔から主食としてきたお米を発酵させることでできた栄養成分がたっぷり詰まっているのですから、私たち日本人の身体にはぴったりの栄養ドリンクといえるでしょう。
生きた酵素は含まれないとはいえ、市販のものを購入して手軽に飲んでも、たくさんの栄養成分が含まれているので充分に美容効果や健康効果は期待できることもわかりました。
日本ならではの発酵ドリンクを毎日飲んで美しく健康になりたいものですね。
【参考書籍】
「ゆる粕レシピ」栗山真由美(池田書店)
「こんなに使える酒粕のレシピ」栗山真由美(家の光協会)
「酒粕のパワーでやせる!健康になる!」(学研)
「塩麹のおかず甘麹のおやつ」坂田阿希子(家の光協会)
「夏でもおいしい麹甘酒で健康になる」山下くに子(小学館)
「食べる甘酒で病気が治る!楽々やせる!」マキノ出版ムック『壮快』特別編集
「魔法の糀レシピ」浅利妙峰(講談社)
「おいしく食べるあま酒レシピ」舘野真知子(東邦出版)