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2019.04.24



熟年離婚で幸せになるために準備すべきこと

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日本では60歳で定年退職を迎えることが多いため、50代から健康な老後に備えて食生活や適度な運動に気を付け始める人もいれば、充実した老後を送るために新しい趣味を始める人もいるでしょう。なかには、老後は夫婦仲良く温泉旅行でも……といった「幸福なセカンドライフ」を予定している人もいるかもしれません。

ところが、これまでの生活を見直し、これからの生活を見据えた結果、配偶者に離婚を切り出す人、いわゆる「熟年離婚」を決断する人が近年増加しています。

熟年離婚とは次の2つの条件を満たしている夫婦の離婚を意味しています。

1.結婚生活が20年以上継続しており、夫婦の年齢が40代以上。
2.夫婦の間に子供がいる場合は、ある程度成長している。

夫婦生活が長い分、熟年離婚は夫婦間のわだかまりが根深く、老後を控えているために金銭をめぐる対立も厳しくなりがちです。そのため、争いに疲れて熟年離婚を断念する人も少なくありません。

熟年離婚を希望する人は誰もが幸せになりたいからこそ、それを望みます。
そこで、夫婦問題研究家であり、離婚カウンセラーとして離婚相談室を運営されている、岡野あつこさんのアドバイスを参考にして、幸せになるための熟年離婚を成立させるには、どんな準備をしたらよいのかを解説していきましょう。

目次

1.熟年離婚を希望する理由
1−1.妻から熟年離婚を希望する理由
1−2.夫から熟年離婚を希望する理由

2.熟年離婚に必要なお金はいくら?
2−1.熟年離婚にむけて別居中にかかるお金、費用
2−2.熟年離婚の弁護士の費用

3.熟年離婚の財産分与と慰謝料の相場は?
3−1.熟年離婚の財産分与
3−2.熟年離婚の慰謝料

4.熟年離婚と子供の関わり

5.熟年離婚のメリット、デメリット

まとめ

1.熟年離婚を希望する理由

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裁判所が発表している「司法統計」によると、特に多い離婚理由は次の通りです。

・ 性格の不一致
・ 浮気
・ 暴力
・金銭問題(借金、浪費、生活費の未払い)
・精神的な虐待(モラルハラスメント)

実は、20〜30代の若い世代の夫婦の離婚と同じく、熟年離婚でも性格の不一致が離婚理由のトップとなっています。
熟年世代にもなると、いまさら変わらない・変われないという気持ちが、離婚を後押しするのかもしれませんね。

若い世代は夫婦で築いたものが少ないこともあり、離婚もそれほどもめません。
一方、熟年離婚は夫婦で築いたものが多いために泥沼化する傾向があり、事前に十分な準備が必要となります。

1−1.妻から熟年離婚を希望する理由

妻から熟年離婚を希望する場合、やはり理由として多いのが性格の不一致です。
まったく異なる環境で育った男女が新しい家庭を築くのですから、どんな夫婦にも多少の齟齬(そご)はあります。
そのため、相手の意見に耳を傾け、互いに譲り合うことで円満な関係を育むというのが、理想的な夫婦の在り方と言えるでしょう。

ところが熟年層の女性は、一方的に価値観を押し付けてくる夫に対して不満を感じても、経済的な問題や子どものために我慢をする傾向がありました。
これは、性格の不一致以外の理由でも同じ。
長年の我慢の積み重ねが爆発した結果、妻から熟年離婚を希望するのです。

1−2.夫から熟年離婚を希望する理由

少し前まで、熟年離婚は妻から希望するのが一般的でしたが、岡野さんが相談を受ける案件にも、最近は夫から熟年離婚を希望する例が増えているそうです。
夫から熟年離婚を切り出す理由で目立つのが女性問題。いわゆる浮気です。
ただし、浮気が理由の熟年離婚でも、そこに至るまでの流れは大きく分けて2通りあります。

ひとつは、子どもが独立して親の責任を果たし、定年によって会社での評価を気にせずにすむようになったことで、長年の不倫相手と一緒になるために離婚を希望する場合。
もうひとつは、家庭で大切にされてこなかった夫が自分を大切にしてくれる女性と出会い、残りの人生をその女性と過ごすために離婚を希望する場合。

後者の場合、妻からお金としか見てもらえない、いわゆるATM扱いされ続けた結果、優しくしてくれる別の女性に心惹かれるようになり……というパターンが多いようです。

2.熟年離婚に必要なお金はいくら?

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夫婦の一方が離婚を希望しても配偶者が拒否する場合、日本ではまず家庭裁判所に「調停離婚」の申し立てを行います。
ただし、調停委員や家事審判官(裁判官)を交えた話し合いである調停は、離婚を強制する効力はありません。

調停で離婚が成立せず、それでも離婚を希望する場合は、続いて「裁判離婚」の訴えを起こさなければなりません。
相手がどれほど拒否しても、裁判離婚で離婚を認める判決が下されれば、必ず離婚することができるからです。

日本の離婚は、調停を経なければ裁判を起こすことができません。
しかし、調停自体も結論が出るまで半年から1年ほど時間がかかります。

離婚が成立するまで別居を選ぶ場合、さらに裁判で弁護士を雇う場合、専業主婦の女性のように経済的に余裕がない人はその費用をどのように調達すればよいのでしょうか。

2−1.熟年離婚にむけて別居中にかかるお金、費用

妻から熟年離婚を切り出し、さらに離婚するための別居を勝手に始めた場合でも、別居中の生活費を夫に請求することができます。
なぜなら、夫婦はお互いに生活を助け合う義務があり、この義務は別居中でも離婚が成立するまで継続するからです。

婚姻費用は請求した時点から支払いの義務が生じますので、家庭裁判所に調停離婚の申し立てを行う際に、一緒に「婚姻費用分担請求」を行っておけば、同時に進行してもらえます。

注意しなければならないのが、婚姻費用を支払う側の収入に基づいた算定表があるため、過度の金額を請求することはできないという点。
また、請求が通って婚姻費用を支払ってもらえるまで日数がかかりますので、別居を実行するまで、ある程度の費用(数ヶ月は生活できる金額)を準備しておくとよいでしょう。

ただし、婚姻費用分担請求は夫婦がお互いに生活を助け合う義務に基づくものですので、妻の方が夫よりも収入がある場合は、当然のことですが、妻の側に支払い義務が生じます。

2−2.熟年離婚の弁護士の費用

離婚を有利に進めるためには、法律の専門家である弁護士を雇い、アドバイスを受けるのが一番効率的ですが、弁護士費用は非常に高額です。
法律相談だけでも、1時間あたり5000〜1万円が必要となりますし、実際に弁護士に依頼するためには「着手金」と「報酬金」をそれぞれ支払わなければなりません。

〈一般的な着手金と報酬金のモデルケースを岡野先生の著書より引用〉 ※別紙

ただし、各都道府県にある「法テラス(日本司法支援センター)」を利用すれば、経済的な余裕がない人でも弁護士に依頼することは可能です。
法テラスでは、弁護料を立て替え、毎月分割払い(無利息)で返済できるように便宜をはかる民事法律扶助サービスを実施しているからです。

もちろん、民事法律扶助サービスを利用できるのは次の条件があります。

・世帯収入(離婚案件の場合は配偶者が当事者となるため個人収入)が一定額以下。
・解決の見込みがある案件である。
・弁護士をつけるのが妥当な案件である。

また、近年は弁護士費用を補償してくれる「弁護士保険」というプランを扱う保険会社も出てきています。
加入から補償を利用できるまでの年数や、補償の対象のトラブルは保険会社やプランによって異なりますが、数年後の離婚を目指して準備している場合は、加入を検討してみてください。

最終手段としては、依頼する弁護士と直接交渉という方法もあります。
2004年4月から、弁護士の報酬規定が廃止されているため、弁護士によっては、報酬の割引や分割支払いに応じてくれる可能性があるからです。

3.熟年離婚の財産分与と慰謝料の相場は?

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岡野さんのもとに相談に訪れ、熟年離婚に迷っている女性の多くは、離婚後の経済的な不安を口にするそうです。
現在は離婚時に年金が分割されるようになりましたが、何があるかわからない老後を迎えるには、年金だけでは心もとないのは無理もありません。

婚姻中に築かれた財産も、離婚時には分割されることが法律で定められていますが、そもそも分割する財産がほとんどない場合もあります。
また、夫に苦しめられてきた女性ほど、「本当にもらえるのだろうか」という不信感が強いのです。

慰謝料に関しても、財産分割と同じことが言えます。
離婚の原因を作った有責配偶者が、素直に非を認めて慰謝料を支払うのか……。

財産分与と慰謝料をもらう場合のポイントを確認しましょう。

3−1.熟年離婚の財産分与

法律では、婚姻中に築かれた財産を離婚時に夫婦で分けることが定められています。
こうした財産分与は、一般的に「清算的財産分与」といわれます。

夫が専門性の高い高収入の職業(医師など)というような場合をのぞき、清算的財産分与の比率は、妻が専業主婦でも共働きでもおよそ半分ずつです。
もちろん、妻のほうが高収入の場合や、妻が婚姻中に莫大な財産を築いている場合は、妻が夫に財産を分与しなければなりません。

なお、清算的財産分与の対象となる財産が少ないけれど、配偶者の個人資産が豊富だったり、経済力が高かったりする場合は、「扶養的財産分与」を求められる可能性があります。
一般的に、幼い子供を引き取って離婚する女性が請求することが多い扶養的財産分与ですが、熟年離婚の場合は、高齢や病気のために経済的自立が難しいことを理由に求めることはできます。

ただし、扶養的財産分与を強制的に支払わせることはできません。
そのため、配偶者に影響力のある人間(子供、義理の親、友人など)を「味方」につけて、離婚においては「敵」である配偶者に「かわいそうだから払ってあげよう」と思わせるような駆け引きが重要になってきます。

3−2.熟年離婚の慰謝料

夫婦双方に離婚の理由がある、例えば性格の不一致による離婚では慰謝料の請求はできません。
慰謝料は次のような有責行為の損害賠償請求とされています。

・浮気
・暴力
・悪意の遺棄(生活費を渡さない、帰宅しない)
・通常の性交渉の拒否

なお、近年注目されている精神的な虐待である「モラルハラスメント(モラハラ)」ですが、痕跡が残る暴力とちがって証明が難しいうえ、慰謝料はとれても高額は望めないそうです。
さらに、モラハラを離婚の理由にあげる人の多くは、「一刻も早く縁を切りたい」という気持ちが強いため、慰謝料をあきらめて財産分与だけを求める傾向があります。

どうしてもモラハラで慰謝料を請求したい場合は、次の1・2のどちらかを実行して証拠を残す必要があります。

1:配偶者の暴言をICレコーダーなどで録音する。
2:録音が難しい場合は、配偶者にいつ何を言われたのかを長期間メモで記録する。

岡野さんの経験によると、調停や裁判をスムーズに進めるためには、1の録音は文字に起こしておいた方がよいそうです。
なぜなら、証拠の確認のために録音を聴いてもらえるのは、裁判の最終確認の段階で、それまでは書面の内容が重視されるからです。

一方、捏造できるため信頼性が薄いと思われがちな2のメモも、量が多ければ多いほど証拠能力は高くなります。
意外かもしれませんが、人間は毎日ウソを創作することができないからです。

なお、精神的苦痛が強い場合、高額な慰謝料を請求したくなるのは当然ですが、あまりに高額な慰謝料請求は裁判官の心証を損ねることがあります。
悔しいかもしれませんが、確実にもぎ取れる相場の金額にとどめるようにしましょう。

4.熟年離婚と子供の関わり

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熟年離婚の場合は子供がある程度成長しているため、若い世代の離婚のように、子供の親権や養育費でもめることはありません。
すでに独立している子供の場合は、逆に熟年離婚を援護してくれることも。

夫から熟年離婚を希望する場合は、離婚後の母親の生活を心配して、財産分与や慰謝料に関して夫に物申してくれることもあるそうです。

ただし、すべての子供が両親の熟年離婚に賛成するわけではなく、子供が反対するケースも存在します。

例えば、財産分与で住居を処分する場合、「実家がなくなるのはつらい」という理由で反対されることもあるそうです。
また、子供自身が結婚適齢期のため、「結婚式には両親そろって出席してほしい」という理由で反対されることも。

夫婦は離婚すると他人に戻りますが、子供たちにとっては親であることは変わりません。
子供に熟年離婚を反対された場合は、その理由によく耳を傾け、納得してもらえるように説得すると同時に、自らも安心させる行動をとる必要があります。

反対を無視して熟年離婚を強行した結果、配偶者から解放されたものの、子供との信頼関係を失ってしまった……。
そんな結末では、幸せになるための熟年離婚とは言い難いですね。

親の問題だから子供は巻き込みたくないという、親としてのプライドは理解できます。
しかし、何歳になっても、子供にとって親の離婚は大きな問題です。
熟年離婚で幸せになるためには、必ず子供への相談を忘れないようにしましょう。

5.熟年離婚のメリット、デメリット

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熟年離婚の最大のメリットは、「一緒にいたくない」と思う配偶者と他人になることでしょう。
配偶者を呪いながら残りの人生を過ごすよりも、自由を満喫するほうが幸せなはずです。
しかし、現実問題として熟年離婚にはデメリットも存在します。

その最たるものは、やはりお金です。

婚姻中に築いた財産は、離婚時に約半分に分割することが法律で定められてはいますが、肝心の財産がなければ取り分はゼロです。
慰謝料も、有責配偶者に支払い能力がなければ無意味でしょう。

熟年離婚で巨額の財産分与や慰謝料を受けて、優雅な老後を送ることができるのは、非常に限られた恵まれた人なのです。
過度の期待をせず、ある程度の経済力を持っていなければ、待っているのは惨めで孤独な老後かも……。

実は、熟年離婚をして数年後に元配偶者が亡くなり、「あと少し我慢していれば……」と後悔する人はそれほど珍しくありません。

本当に幸せになるためには、熟年離婚した場合のデメリットにも目を向け、家庭内別居や物理的別居のような「妥協」についても検討することが大切です。

まとめ

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熟年離婚で幸せになるためには、どんな準備が必要なのか、どんなことに気をつけたらよいのか、おわかりいただけましたか。

今回解説したことは基本的なことばかりです。

そのため、本気で熟年離婚を希望しているけれども、置かれている状況や立場が特殊な方は、やはり法律の専門家である弁護士や、経験が豊富な離婚カウンセラーに相談したほうがよいでしょう。

状況や立場に応じた、適切なアドバイスを受けることができるはずです。

今回、記事制作にあたりお話を伺った岡野あつこさんはアドバイスをもっと聞いてみ夫婦問題研究家でもあります。

岡野さんのアドバイスももっと聞きたい方はフォレスタのアプリコンテンツもぜひチェックしてみてくださいね。

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