ダイエットのために運動を続けようと決心しても、3日坊主で終わってしまうことが多くありませんか?
「なぜ自分は続けられないのだろう」
「なぜこんなに意志が弱いのだろう」
「自分で決めたことができないダメ人間だ」
そして、こんな心境になって、ストレスを溜めてしまうのではありませんか?
ここでは、運動を習慣にしようと思ってもできなかった人のために、5つのステップを紹介します。
運動を習慣化したいと考える人は、「短期間で体重を落としたい」「筋肉を増やしたい」「身体機能を高めたい」など、いろいろな目的があるはずです。
5ステップで解説する運動を習慣づけるメリットは、意識しなくても脂肪を燃焼しやすい身体がつくれること。
ここでは、減量や、短期間の筋力アップではなくて、美しく健康な身体を手に入れて維持するための運動の習慣化を目指します。
目次
1. 義務的に頑張らない
1-1. ストレスは習慣化の最大の敵
1-2. ストレスが美と健康に及ぼす悪影響
2. 快の刺激を組み合わせる
2-1. ストレスを消してくれる快の感情
2-2. 楽しく運動することが習慣化のコツ
3. 誰でもできる軽めの有酸素運動
3-1. 脂肪を燃焼させる有酸素運動
3-2. 呼吸が乱れない程度の運動が効果的
4. 好きになったら週2回の筋トレ
4-1. 糖質を燃焼させる無酸素運動
4-2. 基礎代謝をアップする効果
5. 組み合せて考える食習慣
5-1. 疲労回復に必要なのはタンパク質
5-2. 活性酸素を除去する抗酸化食品
1. 義務的に頑張らない
運動を習慣化しようとしても3日坊主になってしまう原因は、ストレスです。
「毎日やらなければいけない」
「頑張らなければいけない」
という気もちが精神的な負担になって、ストレスを生み出してしまうのです。
ヨガ・ピラティスを中心に、栄養とメンタルを取り入れたバランシングメソッドを設立し、バランシスパーソナルトレーナーのリーダーとして活躍中の杏樹さんは、美と健康のためのダイエットを「美習慣」と呼んで、4つの美習慣をレクチャーされています。
その中でも、運動は「動の習慣」としてトップに登場します。
杏樹さんは、運動を習慣化できない理由を、「やる気」という感情に頼るためだといっています。
頭で考えないことが、運動を続けるポイントだということです。
1-1. ストレスは習慣化の最大の敵
頭で考えるということは、「快」や「不快」の感情をもつこと。
ストレスとは、「視覚」「聴覚」「嗅覚」「味覚」「触覚」という五感で受けた刺激が脳に伝わって、「不快」な感情が生まれると起こる防御反応です。
人間はストレス反応を起こすと、自律神経の交感神経を活性化させて心拍や呼吸を早め、血圧を高めて筋肉を緊張させ、本能的に自分を守ろうと身構えるのです。
これは決して心地よい状況ではありません。
心身が緊張状態にありますから、この状態を続ければ激しく疲労しますし、「嫌な思い」をすることになります。
運動をすることが、ストレスになるとやりたくならないのは、こうした理由があるからです。
1-2. ストレスが美と健康に及ぼす悪影響
ストレスは全身を緊張させるので、その状態を続ければ筋肉が収縮して血流が悪化し、老廃物の排出ができなくなります。
顔にも表情筋という20以上の筋肉がありますから、血流が悪化すれば皮膚に栄養や酸素を届けることができなくなり、肌にも悪影響が出ることになります。
また、ストレスは活性酸素を増やしてしまうので、全身の老化を進め、いろいろな病気を引きこ起こす要因に。
さらには、脳の神経細胞と神経細胞の隙間で信号を伝達している神経伝達物質の働きを阻害して、脳機能を低下させ、うつ病やアルツハイマー型認知症の原因にもなるのです。
ですから、ストレスを溜めてしまうのだったら、むしろ運動をしない方が美容や健康にはよい場合も多いといえるでしょう。
2. 快の刺激を組み合わせる
いかにストレスを溜めないようにして運動を習慣化するかということが、次のステップです。
習慣化の敵であるストレスは、不快な感情が生み出すもの。
ストレスを解消するためには、その不快な感情を忘れてしまえばよいのですが、忘れようとすればその感情を思い出すことになるので、意識的にストレスを消すことはできないのです。
しかも、ストレスの原因となる五感で受ける刺激は、自分の意思とは関係なく降り注ぐものですから、ストレスのない生き方というものはありません。
ストレスとうまく付き合って、運動を習慣化させる必要があるのです。
2-1. ストレスを消してくれる快の感情
人間には快の感情と不快な感情があり、そのもとになる刺激には、快を生み出すプラスの刺激と、不快を生み出すマイナスの刺激があります。
「辛い」「つまらない」「疲れる」「痛い」といった不快な感情を生み出すマイナスの刺激は、自分の意思とは関係なく降り注ぎますが、「心地よい」「楽しい」「うれしい」「美味しい」といった快の感情を生み出すプラスの刺激は、積極的に自分へ与えられるという違いがあります。
しかも、そうした快の感情が起こると、不快な感情を忘れることができるのです。
何か好きなことに没頭して時間が経つのも忘れ、それまで落ち込んでいた気持ちが嘘のように楽になったという経験は誰にでもあるものでしょう。
ストレスを軽減するもっともよい方法は、何かに没頭して無になることなのです。
2-2. 楽しく運動することが習慣化のコツ
運動がストレスになるのは、何らかの不快な感情が生まれているからです。
ですから、快の感情を生み出す運動にすれば、習慣化することは難しくありません。
心地よい環境で、楽しく運動するのです。
ウォーキングを例にあげれば、緑が多くて気持ちよいコースを選んだり。景色を変えたりして心地よい環境をつくり、ウォーキングすることを楽しめるようにすればいいのです。
ウェアやシューズを楽しむとか、誰かと一緒に楽しむとか、危険のない状態で音楽を楽しむとか、いろいろと工夫する余地があるはずです。
3. 誰でもできる軽めの有酸素運動
美と健康のために習慣化する運動といえば、すぐに思い浮かぶのがウォーキング、サイクリング、スイミング、エクササイズなどの有酸素運動でしょう。
それらの中で、誰にでも簡単にはじめられるウォーキングは、やはりおすすめの運動だといえます。
しかし、ウォーキングもやりかたひとつで逆効果になることが、最近の研究でわかりました。
やりすぎると体内の活性酸素を増やしてしまい、悪影響を及ぼすので、軽めの有酸素運動がよいというのが最近の定説になっています。
3-1. 脂肪を燃焼させる有酸素運動
有酸素運動とは、酸素を使って脂肪をエネルギーとして燃やし、活性酸素を発生させる運動です。
三大栄養素の「糖質「脂質」「タンパク質」は、1グラムあたり糖質とタンパク質が4キロカロリー、脂質が9キロカロリーのエネルギーとなります。
糖質はとても燃えやすい性質をもっていますが、体内の貯蔵量は筋肉に2000キロカロリー、肝臓に500キロカロリー程度しかありません。
脂質は、体脂肪として貯蔵されるのでその量は14万キロカロリーにもなり、なかなか燃え出しにくいのですが、いったん火がつけばもっとも安定したエネルギーとなります。
タンパク質は全身の細胞やホルモンなどの材料となる役割があるので、エネルギーとして使われるのはほかのエネルギーがなくなったときだけ。
唯一、小腸壁では糖質と脂質が消化吸収されるので、タンパク質から分解されたアミノ酸の一種がエネルギーとなっています。
脂肪は貯蔵量が多いので、有酸素運動は長時間続けられますが、酸素を使うので活性酸素を増やしてしまうのです。
3-2. 呼吸が乱れない程度の運動が効果的
活性酸素を過剰発生させない程度の軽い有酸素運動が、どの程度の運動かということには個人差がありますけども、杏樹さんは「呼吸が乱れない運動」といっています。
ウォーキングであれば、汗をたくさんかいたり、息が切れたりするところまでやると行きすぎということになるでしょう。
これは習慣化という観点からみると、簡単に続けられるレベルの運動ですよね。
この程度の運動は、活性酸素を過剰にしないで代謝機能を高めるだけでなく、脳を活性化させるので、美と健康には最適なのですね。
筑波大学とカリフォルニア大学の共同研究では、10分間、ゆったりと自転車を漕いだ後に記憶力が高まったという結果が出ているのです。
4. 好きになったら週2回の筋トレ
有酸素運動に対して無酸素運動という運動もあります。
ジムで行う筋トレや短距離走など、瞬発力を必要とするような激しい運動です。
軽めの有酸素運動が美と健康に効果的だとする一方で、週2回の筋トレが効果的だとする見解もあります。
週2回でいいのですから時間的には楽ですけども、初心者はとくに、ジム通いをしてトレーナーの指導を受けなければいけないというハードルがありますから、そういう場所が好きだとか、マシンを使ったトレーニングなどが楽しいと思える人は試してみるべきでしょう。
4-1. 糖質を燃焼させる無酸素運動
無酸素運動は、糖質をエネルギーとして使い、酸素を必要とせず、乳酸を発生させるのが特徴です。
糖質は貯蔵量が少ないので、無酸素運動を長時間続けることはできませんが、火がつきやすいので瞬間的に燃やすことが可能。
ですから持久力ではなくて、瞬発力を必要とする運動に使われるエネルギーなのです。
無酸素運動には活性酸素を発生させないというメリットがあり、発生させる乳酸は糖質が足りなくなったときに、アミノ酸とともに肝臓でブドウ糖に合成される貴重な物質です。
かつて乳酸は、老廃物である疲労物質とされていたのですが、身体にとってとても重要な物質だったのです。
筋トレは、トレーニング後に2~3日間、脂肪の燃焼が高まるアフターバーンという効果があるので、週1~2回でよく、これもやりすぎはかえってよくないといわれています。
4-2. 基礎代謝をアップする効果
筋トレで1週間に消費するカロリーは、毎日行う軽めの有酸素運動よりは多くても、それで減量ができるほど多くはありません。
筋トレの目的は、継続することによって筋肉を増やし、基礎代謝を高めることにあります。
自律神経がコントロールしている、心拍、呼吸、血圧、消化吸収といった生命維持に欠かせない活動におけるエネルギーの消費を「基礎代謝」といいます。
基礎代謝は、なんと全身のエネルギー消費の70%を占めており、運動代謝や生活代謝と呼ばれるエネルギー消費は、30%程度しかありません。
人間は生きるために意識しないところで、70%ものエネルギーを消費しているということなのです。
全身の筋肉を増やすと、基礎代謝を高めることができるので、意識しないところで脂肪が燃焼しやすい身体をつくることができるのです。
5. 組み合せて考える食習慣
栄養素をエネルギーとして使う「運動」の習慣は、栄養素を体内に取り入れる「食」の習慣と組み合わせて考えなければ成立しません。
三大栄養素にビタミンとミネラルを加えた五大栄養素、さらに食物繊維を加えた六大栄養素をバランスよく摂取することが、美と健康の秘訣。
ここではとくに、運動で疲労した筋肉を回復させるタンパク質と、有酸素運動で発生した活性酸素を除去してくれる抗酸化成分を紹介しましょう。
5-1. 疲労回復に必要なのはタンパク質
美と健康に欠かせないのは、全身の細胞やホルモン、酵素の材料となるタンパク質と、悪玉コレステロールを減らして善玉コレステロールを増やす良質な脂質です。
人体に存在するタンパク質は10万種類にも及ぶといわれていますが、実はそのすべてを構成しているのは9種の必須アミノ酸と、11種の非必須アミノ酸なのです。
タンパク質は最終的に小腸でアミノ酸に分解されますが、そのアミノ酸は血液で全身に運ばれて、それぞれの部位で必要とされるペプチドやタンパク質に再合成されます。
アミノ酸が50個程度までつながっているのがペプチド、それ以上つながっているものをタンパク質と呼びます。
鶏むね肉やササミに多く含まれるイミダペプチドは、疲労回復にとても高い効果がある物質として注目されています。
渡り鳥が小さな体で飛び続けられるのは、このタンパク質が強力な疲労回復作用をもっているおかげだったのです。
5-2. 活性酸素を除去する抗酸化食品
食習慣でもうひとつ重要な成分が、運動で発生した活性酸素を除去する抗酸化成分です。
軽めの有酸素運動といっても必ず活性酸素は発生しますし、紫外線を浴びたりストレスを感じたりするだけで活性酸素は増えてしまうので、身体に備わっている抗酸化システムではすぐに間に合わなくなってしまいます。
ですから、日頃から積極的に抗酸化食品を摂取することによって、運動習慣の効果を上げるとともに、老化やがんなどの病気も予防したいものです。
食品に含まれる抗酸化物質は、大きく3つに分類されています。
① ビタミンA、C、E
βカロテンから摂取できるビタミンAは、レバー類、ウナギ、バター、チーズ、卵、緑黄色野菜などに多く含まれ、ビタミンEは植物油やナッツ類に多く含まれます。
AとEは脂溶性ビタミンですから、サプリによる過剰摂取には注意が必要です。
② カロテノイド系
カロテノイドは、動植物に存在する黄色、オレンジ色、赤色の色素。
代表的なものは、ニンジンのオレンジ色であるβカロテン、卵黄や緑黄色野菜の黄色であるルテイン、トマトの赤であるリコピン、サーモンやカニの殻の赤であるアスタキサンチンなどです。
③ ポリフェノール系
ポリフェノールは、植物が自分の身を酸化から守るために作り出す抗酸化物質で、苦み、渋み、色素などの成分になっています。
ブルーベリー、ブドウ、赤シソなどに多いアントシアニンは植物の赤、青、紫の色素。
タマネギやリンゴの黄色であるケルセチン、蕎麦に多く含まれるルチン、緑茶の渋み成分であるカテキン、大豆に多く含まれるイソフラボン、ゴマに多いセサミン、ウコンなどのスパイスに含まれる黄色の色素クルクミン、コーヒーに多いクロロゲン酸などが代表的な成分です。
まとめ
美と健康のために行う運動習慣は、軽めの有酸素運動や週2回の筋トレなどを、「心地よい環境で楽しく続ける」ことが大事なポイントなのです。
余計なストレスを抱えないようにすることが、続けるコツではあります。
しかし、人間にはよい影響をもたらすストレスもあるのです。
それは、達成感や充実感をもたらすストレス。
ところが、その達成感や充実感を追い求めるがため、身体は疲労しているのに疲労感を感じない状態になることが、過労死やうつ病の原因として指摘されています。
運動も同じで、ランニングハイのような状態になると体の疲労を感じなくなってしまいます。
美と健康のために行う運動としては、体内で活性酸素が大量発生していて、これはとても危険な状態です。
アスリートは別として、体を動かすのが好きな人でも運動のやり過ぎには注意しましょう。
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フォレスタアプリ>美容・健康>ダイエット
【参考資料】
・『なぜ、あなたのやる気は続かないのか』 平本あきお 著 青春出版社 2017年
・『輝く美しさを手に入れる 魅せる綺麗ボディのつくりかた』 久保隆之 著 ごま書房新社 2016年